JPH08205897A - 特異結合検査法およびそれに用いる検査用試薬 - Google Patents

特異結合検査法およびそれに用いる検査用試薬

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JPH08205897A
JPH08205897A JP7019572A JP1957295A JPH08205897A JP H08205897 A JPH08205897 A JP H08205897A JP 7019572 A JP7019572 A JP 7019572A JP 1957295 A JP1957295 A JP 1957295A JP H08205897 A JPH08205897 A JP H08205897A
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JP
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ribozyme
sequence
target substance
specific binding
nucleic acid
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JP7019572A
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Kaoru Naito
薫 内藤
Jiyunko Kashima
淳子 賀嶋
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Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】目的物質を、簡便かつ高感度に検出する。 【構成】標識として二重鎖DNAを備える特異結合試薬
を検査試薬として用いる。標識二重鎖DNAは、所定の
構造のリボザイム32の鋳型配列を有する。試料中の目
的物質と検査試薬とを反応させて複合体とし、未反応物
から分離して、得られた複合体の標識二重鎖DNAを鋳
型としてリボザイム32(特定の塩基配列の核酸を所定
の位置で切断する触媒としての機能を有する核酸)を合
成する。該リボザイム32を、所定の基質鎖31に作用
させると、基質鎖31は切断されて塩基配列長が短くな
る。この切断後の短い核酸を検出することで、試料中の
目的物質を定性的/定量的に推定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、検査対象の目的物質
を、該物質に特異的に結合する物質を用いて検出する方
法に係り、特に、目的物質が微量であっても高感度に検
出する特異結合検査法(specific binding assay)に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、目的物質を高感度に同定、定
量するために、目的物質と高い特異性を持って結合する
物質(特異結合物質)を用いる特異結合検査法(specif
ic binding assay)といわれる検査法が用いられてい
る。この特異結合検査法には、例えば、特異結合物質に
あらかじめ標識を付与しておき、この標識された特異結
合物質を被検体中の目的物質と結合させ、被検体から未
反応物を分離、除去した後、被検体中に存在する標識を
検出することにより、該標識を備える特異結合物質と結
合している目的物質を検出するものがある。これらの特
異結合検査法のうち、特に、特異結合反応として抗原抗
体反応を用いる免疫検査法(immunoassay)が広く実施
されている。
【0003】この免疫検査法は、抗原−抗体反応により
生じる沈澱物や凝集体を光学的に検出する免疫比濁法
(turbidimetric immunoassay:TIA)と、分別検出
の容易な物質で標識した抗体または抗原を用いる標識化
免疫法とに大別される。
【0004】現在用いられている検査を見てみると、T
IA法を使用しているものには、血清中の蛋白質である
トランスフェリン、C反応性タンパク(C-reactive pro
tein:CRP)、免疫グロブリン(IgG、IgA、Ig
M)や、自己免疫関連物質であるリウマチ因子などの検
査が挙げられる。また、TIA法による血液学的検査に
は、プラスミノーゲンの定量分析、アンチトロンビンII
Iの定量分析等が挙げられる。
【0005】一方、標識化免疫測定法には、その標識物
によって種々の系があり、代表的なものとしては、放射
性同位元素を含むものを標識とする放射線免疫検定法
(radioimmunoassay:RIA)、酵素を標識とする酵素
免疫定量法(enzyme immunoassay:EIA)、蛍光体を
標識とする蛍光抗体法(fluorescent antibody techniq
ue:FAT)等がある。RIA法は、内分泌学検査(例
えばエリスロポエチン、プロスタグランディンなどの検
査)からウイルス学検査(例えばB型肝炎表面抗原(he
patitis B surface antigen:HBs)抗体、C型肝炎
ウイルス(hepatitis C virus:HCV)抗体などの検
査)、腫瘍関連検査(例えばAFP、CEAなどの検
査)、生化学検査(例えばトリプシン等)と広い範囲に
適用されている。また、EIA法は、血液学検査(例え
ばプロテインS、FPAなど)、免疫血清学検査(例え
ば免疫複合体、マイクログロブリンなど)、FAT法は
ウイルス抗体(例えばエプスタイン−バーウイルス(Ep
stein-barr virus:EBV)抗体、ヘルペスウイルス抗
体など)の検査、免疫血清学検査(例えば抗核抗体な
ど)に使用される。
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】上述のように、免疫
検査法は広く臨床検査等に利用されている。これらの免
疫検査法のうち、EIA法やFIA法などでは、感度の
点で使用が制限されるという問題がある。そこで、特に
高感度に目的物質を検出するためには、RIA法を用い
ることが多い。しかし、このRIA法では、放射性同位
元素の取扱いに危険性を伴うという問題や、試薬の保存
期間が短いという問題がある。
【0007】そこで、イムノPCR(polymerase chain
reaction)法が提案されている。このイムノPCR法
は、標識としてDNA(デオキシリボ核酸)を用い、こ
のDNAの自己増殖能を利用して検査結果を増幅するこ
とにより、高い感度を確保するものである。すなわち、
イムノPCR法では、DNA(デオキシリボ核酸)フラ
グメントを標識として備える特異結合物質を用い、該特
異結合物質と目的とを反応させて複合体を得る。この複
合体には標識であるDNAフラグメントが含まれてい
る。そこで、複合体を分離したのち、該複合体に含まれ
るDNAフラグメントを鋳型として、酵素によりDNA
フラグメントを複製、増殖し、増殖されたDNAフラグ
メントを検出すれば、増幅された検出結果を得ることが
できる。しかし、このイムノPCR法は、DNAを増殖
させるために、一定時間ごとの温度変更を伴う厳密な温
度コントロールが必要になり、機器コストが高くなると
いう問題がある。このような厳密な温度コントロール
は、イムノPCR法に限らず、DNA自体の増殖を伴う
検査法においては常に必要であり、簡便かつ安価な検査
の妨げとなっている。
【0008】本発明はこのような問題点に鑑みてなされ
たもので、目的物質を、簡便かつ高感度に検出すること
を目的にしている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明では、目的物質と特異的に結合する性質を有
する特異結合部分と、標識部分とを、一分子中に有する
検出試薬と、試料中の該目的物質とを結合させて複合体
を形成する複合体形成ステップと、上記複合体中の上記
標識を用いて上記試料中の目的物質の有無および/また
は量を推定する検出ステップとを備える特異結合検査法
において、上記標識部分は、リボザイムの合成に際して
鋳型として用いることのできる塩基配列を有する二重鎖
デオキシリボ核酸であり、上記検出ステップは、上記複
合体中の上記二重鎖デオキシリボ核酸を鋳型としてリボ
ザイムを合成する合成ステップと、上記合成したリボザ
イムを用いて、該リボザイムにより切断される塩基配列
であるリボザイム切断配列を少なくとも一部に有する核
酸分子である基質鎖を切断して切断された核酸を得るス
テップと、上記切断された核酸を検出するステップとを
有することを特徴とする特異結合検査法が提供される。
なお、リボザイム切断配列は、該基質鎖の分子とリボザ
イム分子とを結合する手段である塩基配列と、リボザイ
ム分子が切断点を識別するための塩基配列とを含む。
【0010】特異的に結合する物質としては、抗原また
はハプテンおよび抗体、生理活性物質および該生理活性
物質の受容体、核酸および該核酸に相補的な塩基配列を
備える核酸、多糖類およびレクチン、免疫グロブリンG
およびプロテインAなどがあり、これらの組み合わせ
は、いずれも、本発明における目的物質と特異結合部分
との組み合わせとして用いることができる。ここで生理
活性物質には、ホルモン、ビタミン、薬剤等を含む。
【0011】また、基質鎖の各分子は、リボザイム切断
配列を、分子中のあらかじめ定められた位置に備えるこ
とが望ましく、リボザイム切断配列の基質鎖における位
置が、該リボザイム切断配列を有する基質鎖1分子が上
記リボザイムにより切断されて生成する2つの核酸分子
の塩基配列長が、互いに同じになるような位置であれ
ば、切断後の核酸の分子数が切断前の基質鎖の分子数の
2倍になるので、さらに望ましい。
【0012】本発明の特異結合検査法は、目的物質が複
数種類の場合であっても、適用することができる。すな
わち、上記目的物質が複数種類の場合、検出試薬とし
て、各々の種類の検出試薬の特異結合部分が、それぞ
れ、対応する目的物質に特異的に結合する性質を有する
試薬が、目的物質に応じて複数種類用いられる。この場
合、各々の種類の検出試薬の標識部分は、それぞれ、対
応する目的物質ごとに異なる配列を切断するリボザイム
の鋳型となる塩基配列を有する二重鎖デオキシリボ核酸
とし、また、基質鎖としては、それぞれ、対応するリボ
ザイムのリボザイム切断配列を分子中に有する核酸が、
リボザイムに応じて複数種類用いられる。これらの基質
鎖は、同時に合成される他のリボザイムのリボザイム切
断配列を有しないことが望ましく、そのリボザイム切断
配列の位置が、リボザイムにより切断されて生じる核酸
の塩基配列長が互いに異なるような位置であることが望
ましい。
【0013】なお、目的物質と検出試薬との複合体は、
固相に固定されていることが望ましい。これは、未反応
の試薬と複合体との分離が容易になるからである。そこ
で、上記複合体形成ステップは、試料中の目的物質を固
相の担体に固定するステップと、固定化した目的物質
に、上記検出試薬を結合させるステップとを備えること
が望ましい。このようにすれば、目的物質が固相に固定
されるため、複合体も固相に固定されることになるから
である。また、検出試薬が、固相の担体に固定化されて
いてもよい。この場合も、固定化された検出試薬に目的
物質が結合することで、生成する複合体は固相に固定化
されることになる。
【0014】このように、複合体が固相に固定化される
場合は、検出試薬の標識部分は、上記特異結合部分と、
制限酵素により切断される塩基配列である制限酵素切断
配列を介して結合されており、検出ステップは、合成ス
テップの前に、制限酵素切断配列を、制限酵素により切
断するステップを、さらに備えていることが望ましい。
このようにすれば、制限酵素の作用により、固相に固定
化された複合体から標識部分を遊離させるので、固相化
による標識部分の反応性低下を回避することができる。
【0015】また、本発明では、あらかじめ定められた
検査対象物質に対する特異結合物質との接続部分の配列
と、リボ核酸合成の開始のためのプロモータ配列と、リ
ボザイムの鋳型となる配列とを備える二重鎖デオキシリ
ボ核酸であることを特徴とする検査用試薬が提供され
る。
【0016】この検査用試薬の具体例としては、5’末
端から順に、上記接続部分の配列であるビオチン化ポリ
A鎖部と、上記プロモータ配列であるT7プロモータ配
列と、上記リボザイムの鋳型となる配列とを備える二重
鎖デキオキシリボ核酸が挙げられる。
【0017】なお、接続部分の配列とプロモータ配列と
の間に、制限酵素によって切断される配列をさらに備え
ることが望ましい。制限酵素を作用させることにより、
プロモータ配列およびリボザイムの鋳型配列を、遊離さ
せることができるからである。
【0018】
【作用】本発明においては、標識として二重鎖DNAを
備え、検査の目的物質に特異的に結合する性質を有する
特異結合物質を検査試薬として用いる。本発明において
標識として用いられる二重鎖DNAは、あらかじめ定め
られた構造のリボザイム(ribozyme)を合成する鋳型と
なる塩基配列を有する。なお、リボザイムは、核酸であ
りながら酵素的な機能を有する分子であり、あらかじめ
定められた塩基配列(リボザイム切断配列)に対してあ
らかじめ定められた位置(以下、「切断点」と呼ぶ)
で、その構造に応じてあらかじめ定められた塩基配列を
有する核酸(以下、このリボザイムにより切断される、
あらかじめ定められた塩基配列を有する核酸を「基質
鎖」と呼ぶ)を切断する反応の触媒として機能する触媒
核酸分子である。
【0019】検査試料中の目的物質とこの検査試薬とが
反応すると、目的物質と標識された特異結合物質との複
合体が形成される。この複合体を反応溶液から分離し、
得られた複合体の二重鎖DNAを鋳型としてリボザイム
を合成する。これにより、特定の塩基配列を有する核酸
を、所定の位置で切断する触媒としての機能を有するリ
ボザイムが得られる。
【0020】このリボザイムを、該リボザイムにより切
断される配列を有する基質鎖に作用させると、基質鎖は
あらかじめ定められた位置で切断され、分子量の小さい
核酸になる。そこで、この切断された核酸を検出、測定
すれば、試料中の目的物質を定性的あるいは定量的に検
出することができる。
【0021】このように、本発明では、検出試薬の備え
る標識であるDNAを、直接増殖させるのではなく、該
DNAを鋳型としてリボザイムを合成し、さらに該リボ
ザイムにより基質鎖を切断することにより、検出結果を
増幅させる。従って、本発明によれば、DNAを直接増
殖させる場合のように厳密に一定の温度サイクルを維持
することなく、一定の温度に保持するだけで、検出結果
の簡便かつ精密な増幅が実現される。
【0022】上述のように、本発明では、触媒核酸分子
であるリボザイムを合成し、その合成したリボザイムの
触媒としての性質を利用することにより、検出結果を増
幅するので、微量の目的物質を感度よく検出することが
できる。そこで、まず、リボザイムについて説明してお
く。
【0023】核酸フラグメントに作用する機能分子とし
ては、制限酵素やリガーゼなどが従来より知られていお
り、それぞれ目的に応じてよく使用されている。制限酵
素は核酸フラグメントを切断する機能を有し、また、リ
ガーゼは核酸フラグメントを結合する機能を有する。こ
のように、核酸フラグメントに作用する酵素には、多く
の種類が知られているが、いずれも基質の二重鎖の核酸
配列を識別して処理するものである。これらの酵素は蛋
白質であり、その調製には多大な時間とコストとを費や
さなくてはならない。なお、本明細書において「核酸を
切断する」とは、核酸のホスホジエステル結合を切断す
ることを意味する。
【0024】これに対し、近年になって、核酸分子であ
りながら核酸フラグメントを切断する機能を有する分子
「リボザイム」が見出された。リボザイムの基本構造
は、本来的にはRNA(リボ核酸)分子である。しか
し、その機能を高めるために、人工的にデオキシリボヌ
レオチドとオキシリボヌクレオチドのハイブリッドによ
り構成された、いわゆるキメラタイプの分子も調製され
ている。
【0025】リボザイムは、基質との結合部位が2つ
と、それらの結合部位の間にある触媒ループ部位とを備
える。すなわち、リボザイムは、「5’−基質との結合
部(以下、結合部Aと呼ぶ)−触媒ループ部−基質との
結合部(以下、結合部Bと呼ぶ)−3’」と表される核
酸配列を備える。
【0026】なお、結合部A,Bは、塩基対を形成する
ことにより基質と結合する部位である。従って、リボザ
イムは、結合部A,Bの配列と塩基対を形成して結合す
る塩基配列を備える核酸を切断することになる。結合部
A,Bは、通常、5〜10個程度のヌクレオチドからな
るオリゴヌクレオチドである。
【0027】また、触媒ループ部は、特定のループを形
成して、配位子としてマグネシウムイオンを取り込むこ
とのできる分子鎖である。触媒ループ部としては、例え
ば、5'CUGAUGAGUCCGUGAGGACGAAAC3'と表される塩基配列
を備えるものが挙げられる。なお、本明細書において
は、塩基配列は慣例の表記法に従って記載し、G、C、
A、およびUは、それぞれグアニン、シトシン、アデニ
ン、ウラシルを表す。
【0028】一方、このリボザイムにより切断される基
質は、「5’−触媒との結合部位(以下、結合部B’と
呼ぶ)−切断対象配列−触媒との結合部位(以下、結合
部A’と呼ぶ)−3’」と表される構成を備える。切断
対象配列は、例えば、−GUX(切断点)−である。な
お、ここでXはC、UおよびAのうちのいずれか一つで
ある。
【0029】この基質とリボザイムとは、基質の結合部
A’とリボザイムの結合部Aとが塩基対を形成し、さら
に基質の結合部B’とリボザイムの結合部Bとが塩基対
を形成することにより、結合する。この状態で、リボザ
イムの機能活性化の条件が整うと、基質のGUX部位のX
の3’末端と結合部A’との結合が切断される。このよ
うに、リボザイムは、核酸分子でありながら核酸フラグ
メントを酵素的に切断する機能を有する触媒核酸分子で
ある。
【0030】本発明の検査方法は、目的物質に特異的に
結合する検出試薬を用い、検査試薬と目的物質との結合
した複合体を分離し、その量を増幅することにより、微
量の目的物質を感度よく検出する特異結合検査法であ
る。特異結合検査法では、検出試薬として、目的物質に
特異的に結合する特異結合物質であって、標識を備える
ものを用いることが多いが、本発明では、この標識とし
て、特定塩基配列を切断するリボザイムを合成する鋳型
二重鎖DNAを用いる。すなわち、本発明では、まず、
リボザイムの鋳型となるDNAの結合した特異結合物質
を、検出試薬として用い、これと試料中の目的物質とを
反応させることによって、目的物質と検出試薬との複合
体を得る。検出試薬として特異結合物質を用いるので、
試料中の目的物質は、非常に高い特異性を持って検出試
薬と結合する。そこで、複合体と未反応の検出試薬等と
を分離(B/F分離:binding/free分離)すれば、目的
物質が、検出試薬との複合体の形で得られる。
【0031】得られた複合体の分子数は、試料中に含ま
れていた目的物質と同様に、非常に微量である。例え
ば、目的物質と検出試薬との結合が1:1であれば、目
的物質の分子数と同じである。そこで、検出感度を改善
するためには、この分子数を増幅する必要がある。本発
明では、この分子数を2段階の反応により増幅する。
【0032】まず、第1の増幅では、複合体に結合して
いる標識(リボザイム合成用二重鎖DNA)を用いて検
出結果が増幅される。すなわち、本発明では、この標識
二重鎖DNAを鋳型として、特定配列を切断するリボザ
イムを合成する。この場合、個々の標識DNAがそれぞ
れ鋳型となり、複数のリボザイムが合成される。従っ
て、生成するリボザイムの分子数は、複合体の分子数が
増幅されたものとなる。
【0033】第2の増幅では、生成したリボザイムによ
って基質鎖を切断することにより行われる。リボザイム
自身は触媒であるため、1分子のリボザイムが複数の切
断点を順次切断する。従って、切断されて生成する分子
量の小さい核酸の分子数は、リボザイムの分子数を増幅
したものとなる。
【0034】また、基質鎖は切断されることにより分子
量が極端に変化する。従って、切断された基質鎖の切断
片である核酸と未反応の基質鎖とは、この分子量の差に
より容易に判別することができる。この基質鎖が切断さ
れて生成した低分子量の核酸の検出は、例えば、電気泳
動法やクロマトグラフなどの分析方法を用いることによ
り簡単に行うことができる。
【0035】なお、検査結果の増幅に用いる基質鎖に
は、リボザイムによって切断された後の核酸を容易に解
析することのできるような塩基配列をあらかじめ備える
核酸フラグメントを用いることが望ましい。このような
核酸フラグメントとしては、例えば、該核酸フラグメン
トの一端よりあらかじめ定められた位置に切断対象配列
が配置されているものや、端部より等間隔に切断対象配
列が複数個配置されているものなどが挙げられる。これ
は、リボザイムによる切断後に、一定の長さ、あるいは
一定の長さの整数倍の長さの核酸鎖が得られるため、切
断された基質鎖の量を容易に解析することができる。
【0036】また、検査試薬として、固相に固定した試
薬を用いれば、目的物質と結合した複合体も固相に固定
されることになる。このように、複合体を固相に固定す
ることは、B/F分離が容易になるため好ましい。ただ
し、複合体が固相に固定される場合は、標識であるDN
Aの反応性を高めるために、標識を複合体より遊離させ
る過程を加えることが好ましい。
【0037】標識を遊離させる方法としては、例えば、
標識である二重鎖DNAを制限酵素により切断すること
で、標識DNAの分子中のリボザイムの鋳型になる部分
を固相から遊離させることが考えられる。この場合、特
異結合物質との結合部位と、リボザイムの鋳型となる部
位との間に、制限酵素により切断するための部位を備え
るDNAを、標識として用いる。このような制限酵素に
より切断される部位を備えるDNAを標識として用いれ
ば、B/F分離後に、制限酵素を作用させて、特異結合
物質との結合部位とリボザイムの鋳型となる部位との間
を切断することができるので、リボザイムの合成前に、
あらかじめ、標識のDNA分子のうちリボザイムの鋳型
となる部位を固相から遊離させ、反応性を高めることが
できる。
【0038】また、本発明によれば、目的物質が多種類
ある場合にも、つぎのようにして容易にそれらの同時検
出ができる。
【0039】複数種の目的物質が混在する試料につい
て、各目的物質をそれぞれ同時に検出する場合には、各
目的物質ごとに、その特異結合物質を用意し、各特異結
合物質に、それぞれ切断対象の配列が異なるリボザイム
の鋳型である二重鎖DNAを、標識として結合させたも
のを、検出試薬として用いる。また、リボザイムにより
切断される基質鎖についても、標識DNAにより合成さ
れるリボザイムの切断対象配列をそれぞれ一箇所ずつ含
む、複数種類の核酸を用意する。なお、各種類の基質鎖
は、切断後の核酸が、その種類に応じて互いに異なる塩
基配列長になるような配列のものを用いる。
【0040】このようにすれば、各標識により合成され
るリボザイムが、各々異なる配列を切断する機能を有す
るので、切断された基質鎖の塩基配列長とその量とを解
析することにより、各目的物質の量を知ることができ
る。
【0041】なお、塩基鎖として、一分子中に各リボザ
イムの結合配列および切断配列を有し、かつ任意の切断
点の組み合わせにおいて切断されても、切断片の塩基配
列長が同一にならないような塩基配列の核酸を用いれ
ば、塩基鎖として上述のように複数種類のものを用いず
に、一種類の塩基鎖を用いて、複数種のリボザイムの存
在を検出することもできる。
【0042】切断された基質鎖の分析は、例えば、ゲル
電気泳動により行うことができる。切断後の基質鎖は、
ゲル電気泳動法を行うと、ゲルパターンとして、その分
子量ごとに、各々異なる場所に局在化する。そこで、こ
の局在化した核酸を、エチジウムブロマイド等で染色し
て蛍光を観察すれば、各々の分子量(塩基配列長)の切
断された基質鎖を、同時に簡単に判別することができ
る。従って、複数の目的物質の存在を、同時にそれぞれ
検出することができる。また、螢光強度を測定すること
により、各々の核酸の量を測定することができるので、
複数の目的物質の有無のみならず、その量も測定するこ
とができる。
【0043】なお、螢光を測定する方法の他、基質鎖を
染色することなく、吸光度の測定などの分光分析法によ
る定量を行ってもよく、核酸の局在化した領域のゲルを
取り出し、その中に含まれる核酸の量を、公知の方法で
定量しても、切断された核酸の量を知ることができる。
【0044】また、クロマトグラフィ法を用いても、ゲ
ル電気泳動法による場合と同様に、複数の目的物質が混
在する試料中の各目的物質を簡単に検出できる。
【0045】ゲル電気泳動法や薄層クロマトグラフィ
法、カラムクロマトグラフィ法などを用いた場合、検出
結果である、切断された核酸の局在化した標本(ゲル
板、カラムなど)をそのまま保存することができるの
で、データを、後日、いつでも再チェックすることがで
きるという利点もある。さらに、ゲル電気泳動法を用い
る場合は、1枚の泳動パターンで簡単に検体相互の比較
ができるというメリットもある。
【0046】
【実施例】本発明を用いて、試料中に微量に存在するガ
ン胎児性抗原(CEA)を定量分析する場合の実施例を
説明する。なお、本実施例では、特異結合物質として、
目的物質であるガン胎児性抗原(CEA)の抗体を用い
た。
【0047】A.検査用試薬の調製 本実施例では、目的物質に特異的に結合して、その検出
を容易にするための検査試薬であるDNA標識抗体と、
目的物質を固相に固定化してB/F分離を容易にするた
めの固相化抗体と、標識であるDNAを鋳型として合成
されるリボザイムにより切断されることで検査結果を増
幅するための基質鎖とを用いて、目的物質の検出を行
う。そこで、まず、DNA標識抗体と、固相化抗体と、
基質鎖とを調製した。
【0048】(A−1)標識用DNA溶液の調製 DNA標識抗体を調製するために、まず、標識用DNA
溶液を調製した。本実施例では、アビジン−マレイミド
のリンカーを介して抗体と標識とを結合させる。そこ
で、標識用DNAとして、ビオチン化された二重鎖DN
Aを合成した。すなわち、公知のDNA合成法により、
核酸自動合成装置を用いて、ビオチン化二重鎖DNAを
合成し、得られたビオチン化二重鎖DNA1mgを、
0.1mol/lリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.
0)0.3mlに溶解して標識用DNA溶液とした。
【0049】本実施例において合成したビオチン化二重
鎖DNAの構造を図1に示す。なお、本実施例および図
面では、慣習に従って、核酸の構造を、該核酸を構成す
るヌクレオチドの塩基の略号(G、T、C、A、U)の
配列により表現する。ここで、「G」、「T」、
「C」、「A」、「U」は、それぞれグアニン、チミ
ン、シトシン、アデニン、ウラシルを表し、「*」は塩
基対が形成されていることを表し、「N」は任意のヌク
レオチドを表す。また、二重鎖DNAについては、慣例
に従って、転写されない鎖の塩基配列によりその構造を
表現し、3’と5’とは、それぞれ、核酸の3’末端と
5’末端とを表す。
【0050】本実施例の標識用DNA鎖は、図1に示す
ように、5'末端から順にビオチン化ポリA鎖部10、E
co RI切断配列11、T7プロモータ配列12、第
1の基質との結合部位の鋳型配列13a、触媒ループ部
位の鋳型配列14、および、第2の基質との結合部位の
鋳型配列13bを備える。
【0051】ビオチン化ポリA鎖部10の塩基配列は、
5'AAAAAAAA3'である。Eco RI切断配列11は、制
限酵素Eco RIによって切断される部位であり、そ
の塩基配列は、5'GAATTC3'である。T7プロモータ配列
12の塩基配列は、5'TAATACGACTCACTATA3'であり、第
1の基質鎖との結合部位の鋳型配列13aの塩基配列は
5'ATTTT3'である。また、触媒ループ部位の鋳型配列1
4の配列は5'CTGATGAGTCCGTGAGGACGAAAC3'であり、第2
の基質鎖との結合部位の鋳型配列13bの配列は5'TTA
3'である。これらの配列のうち、基質鎖との結合部位の
鋳型配列13aおよび13bと触媒ループ部位の鋳型配
列14とが、リボザイムを合成する際の鋳型となる。
【0052】(A−2)DNA標識抗体(検査試薬)の
調製 上述したように、本実施例では、アビジン−マレイミド
のリンカーを介して、抗体と標識とを結合させる。そこ
で、まず、アビジン化抗体を合成した。
【0053】3.4mgのアビジンを、0.3mlのリ
ン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0、0.1mol/
l)に溶解し、そこへ1.2mg(3600nmol)
のN−スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチ
ル)シクロヘキサン−1−カルボキシレートをN,N−
ジメチルホルムアミド0.03mlに溶解したものを加
え、30℃にて1時間反応させ、沈殿した未反応のマレ
イミド化合物を遠心分離にて除去して、上清を採取し
た。なお、本実施例では、N−スクシンイミジル−4−
(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボ
キシレートの添加量は1.2mgとしたが、0.8〜
1.6mg(2400〜4800nmol)の範囲であ
ればよい。
【0054】この上清を、0.1mol/lリン酸ナト
リウム緩衝液(pH6.0)で平衡化したSephadex G-2
5カラム(ファルマシア社製)を用い、移動相を0.1
mol/lリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)とし
たゲル濾過により精製し、反応生成物(マレイミド化合
物)を含む画分約0.3mlを採取した。
【0055】つぎに、エチレンジアミン四酢酸(EDT
A)をリン酸ナトリウム緩衝液に5mmol/lになる
ように溶解して、EDTA含有リン酸ナトリウム緩衝液
を調製し、この緩衝液0.3mlに約2.0mgの抗C
EA抗体を溶解して、抗体溶液を得た。
【0056】この抗体溶液0.3mlに、上記の反応生
成物を含む画分0.3mlを添加して混ぜ合わせ、4℃
にて20時間インキュベートした後、反応溶液を、0.
1mol/lリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)を
移動相として、0.1mol/lリン酸ナトリウム緩衝
液(pH6.5)で平衡化したUltrogel AcA 44カラム
(LKBプロダクツ社製)を用いてゲル濾過により精製
し、アビジンの結合した抗CEA抗体(アビジン化され
た抗体)を得た。
【0057】つぎに、アビジン化された抗体とビオチン
化された標識とを結合させて標識化抗体を得た。
【0058】このアビジン化された抗体に、(A−1)
で調製した標識DNA溶液(ビオチン化DNAを1mg
含む)を加えて反応させたのち、反応溶液を、0.1m
ol/lリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)を移動
相として、0.1mol/lリン酸ナトリウム緩衝液
(pH6.0)で平衡化したSephadex G-25カラムを用
いてゲル濾過により精製し、目的とする、DNAの結合
した抗CEA抗体(DNA標識抗体)を得た。
【0059】(A−3)検出用基質核酸(RNA)鎖の
調製 つぎに、リボザイムの生成を確認するための基質鎖を調
製した。本実施例では、図2に示す配列を有するRNA
を、公知のRNA合成法により、核酸自動合成装置を用
いて合成し、基質鎖として用いた。この基質鎖は、塩基
配列長が400bpsであり、(A−1)で合成したD
NAを鋳型として合成されるリボザイムによって切断さ
れる配列20を一箇所のみ有している。なお、配列20
は、本実施例のリボザイムが切断点を特定するのに用い
る配列であり、ここでは、切断点配列と呼ぶ。また、リ
ボザイムの作用する基質鎖中の配列は、結合部位配列と
切断点配列とであるが、これらを合わせてリボザイム切
断配列と呼ぶ。
【0060】この基質鎖のうち、図2にaおよびa’と
して表した配列は、本実施例で用いられるリボザイムの
リボザイム切断配列を含まない任意の塩基配列である。
残る配列(図2においてbとして表した配列)が、本実
施例においてリボザイムと作用する部位であり、その配
列は、5'UAAGUCAAAAU3'である。このうち、3’末端側
の配列「AAAAU」21aと5’末端側の配列「UA
A」21bとは、リボザイムの基質との結合部位と塩基
対を形成する配列であり、これらの結合部位配列21a
およびbに挾まれている配列「GUC」20が切断点配
列である。リボザイム切断配列は、配列21a、配列2
0、配列21bである。
【0061】図3に、本実施例で用いたリボザイムと基
質鎖との結合状態を模式的に示す。本実施例のリボザイ
ム32は、(A−1)で合成したDNAを鋳型として合
成されるRNAであり、図1に示したDNAの第1の結
合部位鋳型配列13aに起因する配列33aと、該DN
Aの触媒ループ部位鋳型配列14に起因する配列34
と、該DNAの第2の結合部位鋳型配列13bに起因す
る配列33bとを備える。このリボザイムの塩基配列長
は、32bpsである。
【0062】本実施例の基質鎖31は、配列21aが、
リボザイムの第1の結合部位配列33aと塩基対を形成
し、配列21bが、リボザイムの第2の結合部位配列3
3bと塩基対を形成することにより、図3に示すように
リボザイム分子と結合する。この結合状態において触媒
条件が整うと、基質鎖の配列20は、リボザイムの触媒
ループ部位配列34により切断される。
【0063】なお、切断点配列は、「GUX(XはC、
UおよびAのうちのいずれか)」であるが、本実施例で
調製した検出用基質鎖は、切断点配列20として配列
「GUC」を備えている。切断点配列20の切断点は、
配列「GUC」のCの3’位である。本実施例の基質鎖
では、該基質鎖の3’末端から切断点までの塩基配列
長、および、該基質鎖の5’末端から切断点までの塩基
配列長は、いずれも200bpsである。
【0064】(A−4)固相化抗体の作製 0.1mol/lリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.
2)1.0mlに、抗CEA抗体約4.0mgを溶解し
たものを、マイクロタイタープレートの各ウエルに加
え、そのまま4℃にて1晩インキュベートした。これに
より、マイクロタイタープレートに抗CEA抗体が固定
化された。そこで、マイクロタイタープレート上の液を
捨て、マイクロタイタープレートをリン酸ナトリウム緩
衝液(pH7.2)にて洗浄して、マイクロタイタープ
レートに固定化された抗CEA抗体である固相化抗体が
得られた。なお、このマイクロタイタープレートは、反
応容器として使用できる凹みである複数のウエルを備え
ており、各々のウエルの内壁に、それぞれ抗体が固定化
された。
【0065】B.検量線の作成 以上のようにして調製したDNA標識抗体、固相化抗
体、および基質鎖を用い、目的物質を既知の種々の濃度
で含む標準試料について、それぞれ次の(B−1)〜
(B−5)の処理を行い、その結果から、後述する(B
−6)に示すように、目的物質の定量分析のための検量
線を作成した。
【0066】(B−1)標識化免疫反応複合体の形成 B/F分離を容易にするためには、検出試薬および目的
物質のうちのいずれかが固相に固定化されていることが
好ましい。そこで、本実施例では、まず目的物質を固相
に固定化したのち、固定化された目的物質に検出試薬を
結合させる。このようにすれば、目的物質と検出試薬と
の複合体は、固相化抗体−抗原−標識化抗体複合体(標
識化免疫反応複合体)となり、固定化されるので、B/
F分離および洗浄が容易になる。
【0067】まず、(A−4)で作製した抗体の固定化
されたマイクロタイタープレートのウエルにCEAの標
準試料5mlを加え、室温にて2時間インキュベートし
た。これにより、固相化抗体に抗原である目的物質(C
EA)が結合した。なお、検量線の作成のためには、同
一マイクロタイタープレートを用いて、濃度の異なる複
数の標準試料についてそれぞれ測定するが、この場合、
各標準試料ごとに、それぞれ異なるウエルを用いる。
【0068】つぎに、目的物質を結合させたウエルから
液を除去し、該ウエルをリン酸ナトリウム緩衝液(pH
7.2)にて洗浄したのち、該ウエルに検出試薬溶液
1.0mlを加え、室温にて1時間インキュベートし
た。これにより、固相化抗体に結合した抗原に、標識化
抗体が結合した。なお、検出試薬溶液は、(A−2)で
調製したDNA標識化抗体を、0.1mol/lリン酸
ナトリウム緩衝液に、その濃度が50μmol/lにな
るように溶解したものである。
【0069】最後に、ウエルから液を除去したのち、該
ウエルをリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)にて洗
浄して未反応検出試薬を除去し、固相化抗体−抗原(C
EA)−標識化抗体複合体(標識化免疫反応複合体)を
得た。
【0070】(B−2)標識の分離 得られた標識化免疫反応複合体に10μlの制限酵素E
co RIと500μlの緩衝液(50mmol/lの
NaClと、7mmol/lのMgCl2とを含むTr
is−HCl溶液、pH7.5)を加え、37℃で30
分間インキュベートした。これにより、標識DNAのE
co RI切断配列11が切断され、DNA標識のT7
プロモータ配列12、第1の基質との結合部位配列13
a、リボザイムの触媒ループ部位配列14、および、第
2の基質との結合部位配列13bの部分が、標識化免疫
反応複合体から反応溶液中に遊離した。最後に、反応溶
液をフェノール・クロロホルム処理した後、エタノール
を加えて、遊離したDNA標識を沈殿させ、標識DNA
(配列10、11を除く)を回収した。なお、得られた
標識DNAの塩基配列長は39bpsである。
【0071】(B−3)リボザイムの合成 まず、40mmol/lTris−HCl緩衝液(pH
8.0)に、それぞれ0.5mmol/lになるよう
に、アデノシン5’−三リン酸(ATP)、グアノシン
5’−三リン酸(ATP)、シチジン5’−三リン酸
(CTP)、ウリジン5’−三リン酸(ATP)を加
え、さらに、8mmol/lになるようにMgCl
2を、5mmol/lになるようにジチオトレイトール
(DDT)を、2mmol/lになるようにスペルミジ
ンを加え、最後に、T7 RNAポリメラーゼ300U
と、リボヌクレアーゼ抑制剤(RNaseインヒビタ
ー)50Uとを加えて、in vitro転写反応液と
した。
【0072】このin vitro転写反応液1ml中
に、(B−2)で回収したDNAの全量を加え、37℃
で4時間保温した。これにより、RNAであるリボザイ
ムが合成されたので、反応溶液をフェノール・クロロホ
ルム処理した後、エタノールを加えて核酸を沈殿させ、
濾取して、DNAと反応生成物であるリボザイムとの混
合物を得た。
【0073】(B−4)基質鎖の切断 50mmol/lTris−HCl緩衝液(pH8.
0)に25mmol/lになるようにMgCl2を加え
た溶液1mlに、(A−3)で調製した基質鎖1mmo
lと、(B−3)で得たDNAとリボザイムとの混合物
の全量とを添加して、リボザイム反応溶液とした。この
リボザイム反応溶液を37℃で3時間インキュベートし
た。これにより、基質鎖がリボザイムの作用で切断され
た。反応溶液をフェノール・クロロホルム処理した後、
エタノールを加えて核酸を沈殿させ、濾取して、DN
A、リボザイム、未反応の基質鎖、および切断された基
質鎖を含む核酸混合物を得た。
【0074】(B−5)検出 (B−4)で得られた核酸混合物の全量を、0.5ml
の尿素-EDTA溶液(8Nの尿素水溶液に、5mmo
l/lになるようにEDTAを溶解したもの(pH
7))に溶解し、さらに、等量のスクロース・色素溶液
(20%スクロース水溶液に、5mmol/lになるよ
うにEDTAを溶解したもの(pH7)に、0.05%
のブロモフェノールブルーおよび0.05%のキシレン
シアノールFFを加えたもの)を加えた。この溶液を、
8.3mol/lの尿素水溶液を加えたアクリルアミド
ゲルにて電気泳動し、エチジウムブロマイドで染色した
ところ、DNAに起因するバンドと、リボザイムに起因
するバンドと、未反応の基質鎖に起因するバンドとに加
えて、さらに切断された基質鎖に起因するバンドを有す
る泳動パターンが得られた。
【0075】得られた泳動パターンの例として、CEA
標準試料の濃度が0.01μmol/lの場合の泳動パ
ターンを、図4に示す。この試料の検出結果では、ゲル
板40上に、泳動方向45に対して直角な3つのバンド
41〜43が見られた。各バンドの塩基配列長は、泳動
距離が短い方から順に、バンド41が400pbs、バ
ンド42が200bps、バンド43が30〜40bp
sであった。従って、バンド41は未反応の基質鎖のバ
ンドであり、バンド42はリボザイムにより2つに切断
された基質鎖両方のバンドであり、バンド43は標識D
NA(39bps)およびリボザイム(32bps)の
バンドであると考えられる。
【0076】そこで、染色された核酸1molあたりの
螢光強度をあらかじめ求めておき、切断された基質鎖の
バンド42の螢光強度から、切断された基質鎖の量(m
ol)を求めた。なお、ゲル板40から、切断された基
質鎖のバンド42の部分のゲルを取りだし、そのゲルに
含まれているRNAを公知の方法で定量分析して、切断
された基質鎖の量を測定してもよい。
【0077】(B−6)検量線の作成 上記で用いた同一の免疫検査用タイタープレートの未使
用ウエルにて、既知濃度の各標準試料について、(B−
1)〜(B−5)の検出操作をそれぞれ行い、標準試料
中のCEA濃度(μmol/l)と、切断された基質鎖
の量(μmol)との関係をプロットし、検量線を作成
した。その結果、図5のような検量線を得た。
【0078】C.目的物質の定量分析 既知の濃度(この濃度を真の濃度と呼ぶ)の目的物質を
含む試料について、上記(B−1)〜(B−5)の操作
を行い、切断された基質鎖の量を求め、該基質鎖量をも
とに、(B−6)で作成した検量線から、試料中の目的
物質の濃度を求めたところ、求められた目的物質の濃度
は、真の濃度に一致した。このことからわかるように、
本実施例の検査方法によれば、微量な目的物質を正確に
検出できる。
【0079】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、標識と
してリボザイムの鋳型であるDNAを用いることによ
り、目的物質を、簡便かつ高感度に検出することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 標識として使用したDNAの構成例を示す模
式図である。
【図2】 使用した基質RNAの構成例を示す模式図で
ある。
【図3】 リボザイムと基質RNAとの結合状態を示す
模式図である。
【図4】 切断されたRNAの泳動パターンを示す模式
図である。
【図5】 リボザイム量と生成するRNA断片量との関
係をプロットした検量線を示すグラフである。
【符号の説明】
10…標識DNAのビオチン化ポリA鎖部、11…標識
DNAのEco RI切断配列、12…標識DNAのT
7プロモータ配列、13a…標識DNAの第1の基質と
の結合部位の鋳型配列、13b…標識DNAの第2の基
質との結合部位の鋳型配列、14…標識DNAの触媒ル
ープ部位の鋳型配列、20…リボザイム切断部位、21
a…第1のリボザイムとの結合部位配列、21b第2の
リボザイムとの結合部位配列、31…基質鎖、32…リ
ボザイム、33a…リボザイムの第1の基質との結合部
位、33b…リボザイムの第2の基質との結合部位、3
4…リボザイムの触媒ループ部位、40…電気泳動用ゲ
ル板、41…未反応の基質鎖のバンド、42…リボザイ
ムにより切断された基質鎖のバンド、43…標識DNA
のバンド、44…リボザイムのバンド、45…泳動方
向。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年2月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項6
【補正方法】変更
【補正内容】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 9/00 15/09 ZNA G01N 33/53 D J 33/535

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】目的物質と特異的に結合する性質を有する
    特異結合部分と、標識部分とを、一分子中に有する検出
    試薬と、試料中の該目的物質とを結合させて複合体を形
    成する複合体形成ステップと、上記複合体中の上記標識
    部分を用いて上記試料中の目的物質の有無および/また
    は量を推定する検出ステップとを備える特異結合検査法
    において、 上記標識部分は、 リボザイムの合成に際して鋳型として用いることのでき
    る塩基配列を有する二重鎖デオキシリボ核酸であり、 上記検出ステップは、 上記複合体中の上記二重鎖デオキシリボ核酸を鋳型とし
    てリボザイムを合成する合成ステップと、 上記合成したリボザイムを用いて、該リボザイムにより
    切断される塩基配列であるリボザイム切断配列を分子中
    の少なくとも一部に有する核酸分子である基質鎖を切断
    して切断された核酸を得るステップと、 上記切断された核酸を検出するステップとを有すること
    を特徴とする特異結合検査法。
  2. 【請求項2】請求項1において、 上記目的物質と上記特異結合部分との組み合わせは、 抗原またはハプテンおよび抗体と、 生理活性物質および該生理活性物質の受容体と、 核酸および該核酸に相補的な塩基配列を備える核酸と、 多糖類およびレクチンと、 免疫グロブリンGおよびプロテインAとのいずれかであ
    ることを特徴とする特異結合検査法。
  3. 【請求項3】請求項1ににおいて、 上記基質鎖の各分子は、 上記リボザイム切断配列を、分子中のあらかじめ定めら
    れた位置に備えることを特徴とする特異結合検査法。
  4. 【請求項4】請求項3において、 上記リボザイム切断配列は、該リボザイム切断配列を有
    する基質鎖1分子が上記リボザイムにより切断されて生
    成する2つの核酸分子の塩基配列長が、互いに同じにな
    るような位置に存在することを特徴とする特異結合検査
    法。
  5. 【請求項5】請求項1において、 上記目的物質は複数種類であり、 上記検出試薬は、上記目的物質に応じて複数種類用いら
    れ、 各々の種類の検出試薬の特異結合部分は、それぞれ、対
    応する目的物質に特異的に結合する性質を有し、 各々の種類の検出試薬の標識部分は、それぞれ、対応す
    る目的物質ごとに異なる配列を切断するリボザイムの鋳
    型となる塩基配列を有する二重鎖デオキシリボ核酸であ
    り、 上記基質鎖は、上記リボザイムに応じて複数種類用いら
    れ、 各々の種類の基質鎖は、それぞれ、対応する上記リボザ
    イムのリボザイム切断配列を分子中に有することを特徴
    とする特異結合検査法。
  6. 【請求項6】請求項1において、 上記目的物質は複数種類であり、 上記検出試薬は、上記目的物質に応じて複数種類用いら
    れ、 各々の種類の検出試薬の特異結合部分は、それぞれ、対
    応する目的物質に特異的に結合する性質を有し、 各々の種類の検出試薬の標識部分は、それぞれ、対応す
    る目的物質ごとに異なる配列を切断するリボザイムであ
    り、 上記基質鎖は、分子中に、上記各検出試薬のリボザイム
    のリボザイム切断配列を有することを特徴とする特異結
    合検査法。
  7. 【請求項7】請求項5において、 上記各々の種類の基質鎖は、同時に合成される他のリボ
    ザイムのリボザイム切断配列を有しないことを特徴とす
    る特異結合検査法。
  8. 【請求項8】請求項5において、 上記各々の種類の基質鎖におけるリボザイム切断配列の
    位置は、 それぞれ、対応する上記リボザイムごとにあらかじめ定
    められており、 上記対応するリボザイムにより切断されて生じる核酸の
    塩基配列長が、対応するリボザイムごとに互いに異なる
    ような位置であることを特徴とする特異結合検査法。
  9. 【請求項9】請求項1において、 上記複合体形成ステップは、 上記試料中の目的物質を固相の担体に固定するステップ
    と、 上記固定化した目的物質に、上記検出試薬を結合させる
    ステップとを備えることを特徴とする特異結合検査法。
  10. 【請求項10】請求項1において、 上記検出試薬は、固相の担体に固定化されていることを
    特徴とする特異結合検査法。
  11. 【請求項11】請求項9または10において、 上記検出試薬の標識部分は、上記特異結合部分と、制限
    酵素により切断される塩基配列である制限酵素切断配列
    を介して結合されており、 上記検出ステップは、上記合成ステップの前に、 上記制限酵素切断配列を、制限酵素により切断するステ
    ップを、さらに備えていることを特徴とする特異結合検
    査法。
  12. 【請求項12】あらかじめ定められた検査対象物質に対
    する特異結合物質との接続部分の配列と、 リボ核酸合成の開始のためのプロモータ配列と、 リボザイムの鋳型となる配列とを備える二重鎖デオキシ
    リボ核酸であることを特徴とする検査用試薬。
  13. 【請求項13】請求項12において、 上記二重鎖デキオキシリボ核酸は、 5’末端から順に、 上記接続部分の配列であるビオチン化ポリA鎖部と、 上記プロモータ配列であるT7プロモータ配列と、 上記リボザイムの鋳型となる配列とを備えることを特徴
    とする検査用試薬。
  14. 【請求項14】請求項13において、 上記接続部分の配列と、上記プロモータ配列との間に、 制限酵素によって切断される配列を、さらに備えること
    を特徴とする検査用試薬。
JP7019572A 1995-02-07 1995-02-07 特異結合検査法およびそれに用いる検査用試薬 Pending JPH08205897A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999047704A1 (de) * 1998-03-17 1999-09-23 Andreas Jenne Ribozym codierende dna und ein oligonucleotidsubstrat enthaltende zusammensetzung und verfahren zur messung von transkriptionsraten
WO2000058505A1 (de) * 1999-03-26 2000-10-05 Artus Gesellschaft für molekularbiologische Diagnostik und Entwicklung mbH Detektion von nukleinsäure-amplifikaten

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WO1999047704A1 (de) * 1998-03-17 1999-09-23 Andreas Jenne Ribozym codierende dna und ein oligonucleotidsubstrat enthaltende zusammensetzung und verfahren zur messung von transkriptionsraten
WO2000058505A1 (de) * 1999-03-26 2000-10-05 Artus Gesellschaft für molekularbiologische Diagnostik und Entwicklung mbH Detektion von nukleinsäure-amplifikaten

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