JP2654501B2 - 新規なスチレン系樹脂 - Google Patents

新規なスチレン系樹脂

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JP2654501B2
JP2654501B2 JP2272291A JP27229190A JP2654501B2 JP 2654501 B2 JP2654501 B2 JP 2654501B2 JP 2272291 A JP2272291 A JP 2272291A JP 27229190 A JP27229190 A JP 27229190A JP 2654501 B2 JP2654501 B2 JP 2654501B2
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【発明の詳細な説明】 (発明の属する技術分野) 本発明は、新規なスチレン系樹脂に関するものであ
り、さらに詳しくは、特定の割合からなるスチレン系構
造単位とアクリル酸エステル(メタクリル酸エステル)
系構造単位と特定の構造式で示される長鎖のアルキル鎖
を持つ構造単位とからなる、透明性、(耐折)強度、流
動性(低温成形性と比較的低い耐熱性)のバランスの良
い新規なスチレン系樹脂に関する。
さらに詳細には、本発明は、(i)上記新規なスチレ
ン系樹脂から得られた、真空成形、圧空成形時の成形サ
イクルを短縮させると共に、強靭性を高めて成形品のト
リミング時の抜き割れ防止を付与した、透明性の優れた
新規な二軸延伸スチレン系樹脂シート; (ii)上記新規なスチレン系樹脂から得られる、加熱二
次発泡成形性に優れ、発泡成形品の強度に優れた新規な
スチレン系樹脂発泡体; (iii)上記スチレン系樹脂を成形してなる、透明性、
強度に優れた新規なスチレン系樹脂成形体を提供するも
のである。
(従来の技術および課題) スチレン系樹脂は、透明性、成形性、剛性に優れた樹
脂であるところから、過程用品、電気製品等の成形材料
として広く用いられてきた。最近、スチレン系樹脂に対
する需要は一層増大の傾向にある。これと共に利用分野
を拡大するために、及び製品の生産性を高めるために、
スチレン系樹脂の強度、成形性の改良の需要が高まって
いる。
強度の高いスチレン系樹脂を得るには、平均分子量を
大きくすれば良いことは公知の事実である。しかし、平
均分子量を大きくすることにより成形性の低下は免れ得
ない。また、成形性を補うために可塑剤の使用も公知の
方法であるが、可塑剤を添加すると剛性強度が低下す
る。また、成形時、可塑剤が成形品表面又は金型表面に
付着する現象、いわゆるスエッティング現象が生じ、成
形品の品質低下、生産性低下を招く。従って、強度と成
形性に優れたスチレン系樹脂が強く求められている。
食品包装用途では、スチレン系樹脂のシート、延伸シ
ート、発泡体の成形体が多く使用されているが、現在の
成形条件よりも低温で生産性良く成形できるスチレン系
樹脂が求められている。
また、種々の包装用途で塩化ビニル樹脂のシート、フ
ィルムが多用されている。塩化ビニル樹脂のシート、フ
ィルムは成形性が良好であり、成形体の強度も優れてい
るが、最近の環境問題から、塩化ビニル代替え樹脂が求
められている。
スチレン系単量体だけからなるスチレン系樹脂の改良
が種々行われているが、未だ市場要求を満足させること
は出来ていない。
このような限界を打破するために、スチレン系単量体
と共重合可能な第二の単量体を導入することは公知であ
る。例えば、成形性を向上させるためには、そして耐熱
性を下げるためには、ブチルアクリレートを導入すれば
よいことはよく知られている。すなわち、BAS樹脂であ
る。
一方、強度を向上させるためには、アクリロニトリ
ル、メチルメタアクリレートを導入すればよいこともよ
く知られた事実である。すなわち、AS樹脂、MS樹脂であ
る。
しかし、AS樹脂、MS樹脂は成形性が低下し、BAS樹脂
は強度が低下することもよく知られた事実である。そし
て、これらスチレン系樹脂は単独では透明であるが、他
のスチレン系樹脂、例えばポリスチレンとブレンドする
と不透明になるため、ポリスチレンと同じ環境では使用
に耐え得ないものであった。
特開平2−103207号公報には、多官能型開始剤を用い
て、ブチルアクリレート又はブチルメタクリレート、或
いはブチルアクリレートと2−エチルヘキシルメタクリ
レートの混合物とスチレンの共重合を行った記載があ
る。
しかし、スチレン系単量体/アクリル酸エステル(メ
タクリル酸エステル)単量体の割合が70/30〜40/60(g/
g)とスチレン系単量体が少ないこと、重合方法が懸濁
重合(積分型重合)であること、重合温度が75℃〜105
℃と低いこと等の理由から、得られたスチレン系樹脂は
不透明であり、また、ポリスチレンとブレンドしても不
透明であって、市場の要求を満足させるものではない。
また、特開昭59−8726号公報(特公昭63−32089号公
報)、特開昭59−93725号公報、特開昭59−176320号公
報には、スチレン系等のビニルモノマーの重合開始剤と
して本発明の構成単位(C)に相当するジアシル型ポリ
メリックオキシド低温分解型有機過酸化物を用いて重合
し、製造や取扱いが簡単で且つ開始剤効率を高めること
が記載されている。
しかし、この場合、それらの実施例の参考例1にスチ
レン単独の重合例ではあるが、上記過酸化物に相当する
構成単位(C)が本発明に比較して多いことが分かる。
従って、本発明のようにスチレン(SM)とメタクリル酸
エステル(MMA)又はブチルアクリレート(BA)とを重
合させた場合に、上記ジアシル型ポリメリックオキシド
に基づく長鎖アルキル基を持つ構成単位(C)が特定範
囲の量比で重合体鎖を構成することによる、透明性、
(耐折)強度、流動性(低温成形性と比較的低い耐熱
性)のバランスの良い樹脂が得られることは示唆しな
い。
なお、該公報には、それらの実施例の参考例2に上記
過酸化物の高い開始剤効率の確認実験としてたまたま該
過酸化物の濃度が比較的低い例が示されているが、その
重合時間の記載がなく如何なる構造のポリマーが得られ
たかを示唆するものでない。
<スチレン系樹脂シート> 従来の二軸延伸スチレン系樹脂シートは、腰の強さ、
透明性、成形性に優れている等の理由で食品収納容器用
の軽量容器等に多用されている。
二軸延伸スチレン系樹脂シートは真空成形、圧空成形
機により各種軽量容器に熱成形されるが、熱成形する際
の成形サイクルの短縮は生産性を向上させるので、成形
サイクルの短縮できる二軸延伸スチレン系樹脂シートが
要望されている。
成形サイクルを短縮させるために、延伸による分子配
向を小さくし、配向緩和応力を低くした二軸延伸スチレ
ン系樹脂シート、分子量を小さくした二軸延伸スチレン
系樹脂シート等が試みられているが、成形品を重ねてト
リミングした際、成形品が割れるという問題点があっ
た。
成形サイクルを短縮させるために、内部潤滑剤を添加
した二軸延伸スチレン系樹脂シートが試みられている
が、大きな改善効果は認められない。また、ブチルアク
リレート等との共重合体を用いて、成形サイクルの短縮
が試みられているが、成形品の強度が著しく劣るもので
あった。
食品収納容器として、硬質塩ビシートが用いられてい
るが、最近の環境問題から、代替え樹脂が求められてい
る。しかし、従来の二軸延伸スチレン系樹脂シートで、
硬質塩ビシートと同じ条件で成形出来るものはなかっ
た。
<スチレン系樹脂発泡体> ポリスチレン系樹脂発泡体は、加熱により二次発泡
し、容易に所望の形状に成形でき、かつ得られた成形体
は軽量で、機械的強度に優れ、外観が美しく、疎水性に
富み、断熱性に優れているために、箱、トレー、カップ
等食品包装材や簡易容器に使用されている。
最近、生産性の向上、不良率の減少の観点から、二次
発泡成形性の良好な、そして可能な限り低温で成形でき
るスチレン系樹脂発泡体が望まれている。
さらに、包装用トレー等ては、自動包装する時に割れ
等が生じないように強度の改良が求められている。
シート状のポリスチレン系発泡体を加熱炉で加熱処理
して発泡させ、次いで加熱炉から取り出して金型で成形
する一連の加熱二次発泡成形体の製造において、加熱炉
内の温度が不均一であることや外気温による炉内温度の
変動のために、シートの一部又は全部が加熱不良とな
り、成形時にシートが破れたり、型決まり性が悪くなっ
たり、逆に加熱過剰となって、成形品表面にケロイド状
が発生したり、成形品の厚さが変動する等の現象が生じ
る。
ケロイド状の発生を防ぐために、スチレン系重合体基
材の分子量を上げたり、シート表面にフイルムを貼った
り、樹脂密度の大きい層、いわゆるスキン層を形成した
りする方法が知られているが、かかる方法では型決まり
性の良い発泡体が得られ難く、深絞り成形品の場合に
は、シート破れが生じやすい。
また、型決まり性の良い発泡体を得るために、スチレ
ン系重合体基材に可塑剤、滑剤等を添加する方法が知ら
れているが、二次成形時の加熱過剰時に発生するケロイ
ド状の不良現象が起きやすい。
ケロイド状の発生を抑え、型決まり性の良好なスチレ
ン系発泡体を得る方法として、分子量分布の広いスチレ
ン系発泡体を使用することが有効であることが特開昭62
−22834号公報に記載されている。しかし、かかる分子
量分布の広いポリスチレン系発泡体の成形品は本質的に
強度が弱いという欠点を有している。
また、成形体の生産性を高めるために、成形温度を下
げるには限界がある。可塑剤の添加により耐熱性を下げ
ることは可能であるが、前述の理由で良好な成形品が得
られない。
コモノマー、例えばブチルアクリレートを共重合する
と、耐熱性が低下することは良く知られているが、この
共重合体は強度が弱く、実用的に用いることができな
い。
<スチレン系樹脂成形体> スチレン系樹脂は安価であり、透明性、成形性、剛性
に優れていることから、オーディオカセットハーフ、カ
セットハーフを収納するプラスチックケース等のオーデ
ィオ製品、書類等を収納するトレー等の事務用品、金魚
鉢、洋服を収納するトレー、鳥篭、飲料用カップ等の日
常雑貨用品等多岐に渡って使用されている。
近年、各用途で成形体に対する要求性能が高度化して
きている。例えば、カセットハーフ、プラスチックケー
スの場合に、コストダウンの要請から成形サイクルを極
限まで短縮して生産性を高め、かつ成形品の厚みを極限
まで縮めコスト低減を計る等の方策が検討されており、
このために、スチレン系樹脂成形体の強度向上が要求さ
れている。収納箱のトレー等も大型化の方向を指向し、
これに対応するために、成形体の強度向上が求められて
いる。
これまで、強度の高い成形体を得るためには、強度の
高いスチレン系樹脂が用いられてきた。強度の高いスチ
レン系樹脂を得るには、平均分子量を大きくすれば良い
ことは公知の事実である。しかし、平均分子量を大きく
することにより、成形性が低下し、ハイサイクル成形性
が要望されている分野では問題があった。また、大型成
形体を成形することが困難であるという問題があった。
この課題を補うために、可塑剤の使用も公知である。
可塑剤として、ミネラルオイルが一般的に多用されてい
る。しかし、可塑剤を添加すると、強度の低下が大き
く、高分子量化して強度向上を計った効果を大きく低下
させることになる。
また、可塑剤を添加すると、成形時にモールドスエッ
ティング現象が生じ、成形体の外観不良、金型清掃等に
よる生産性の低下を招くことになる。
強度と成形性を改良するために、スチレン系単量体と
共重合可能な第二の単量体を導入することは公知であ
る。例えば、成形性を向上させるためには、、ブチルア
クリレートを導入すれば良いことはよく知られている。
しかし、従来のスチレン−ブチルアクリレート共重合
体はブチルアクリレートの含有量を増やしていくにつれ
て流動性は向上するが、成形体の強度は流動性に反比例
して低下するという欠点を有している。また、スチレン
−ブチルアクリレート共重合体は透明であるが、ポリス
チレンと混合使用する時、白濁し、透明性を失うという
致命的な欠陥を有していた。このため、現在まで市場で
は、実用に用いられることはなかった。
(課題を解決するための手段) 本発明者ら、かかる現状に鑑み、鋭意検討を重ねた結
果、スチレン系単量体と共重合可能な第二の単量体とし
て、アクリル酸エステル(メタクリル酸エステル)を導
入し、かつ適性な方法を用いて特定量の長鎖アルキル基
を導入することにより、 透明性、(耐折)強度、流動性(低温成形性と比較的
低い耐熱性)のバランスの良い新規なスチレン系樹脂が
提供でき、詳細には、 (i)成形性、強度のバランスが著しく向上したスチレ
ン系樹脂が得られること、スチレン系樹脂を成形したフ
イルム、(二軸延伸)シート、発泡体は低温で二次成形
でき、かつ成形体の強度が優れたスチレン系樹脂が得ら
れることを見出し、特に (ii)二次加熱成形性、ケロイド状の発生を抑え、型決
まり性が良好であり、かつ発泡成形品の強度が優れ、低
温で成形できる新規スチレン系樹脂発泡体が得られるこ
とを見出し、また (iii)透明性、強度に優れた成形体が得られることを
見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は: 一般式; (式中、R1は水素又はメチル基であり、R2は水素又は炭
素数1〜5のアルキル基である) (式中、R3は水素又はメチル基であり、R4は炭素数1〜
8のアルキル基であり、ただし、R3メチル基の時は、炭
素数2〜8のアルキル基である) (式中、1、nは1〜20の整数で、mは0又は1〜5の
整数で、R5、R6、R7、R8は夫々水素又は炭素数1〜5の
アルキル基、シクロヘキシル基あるいはフェニル基であ
る。) で示される構成単位からなり、 構成単位(A)、(B)の割合が、 (A):80〜99.5mol% (B):0.5〜20mol% (但し、(A)+(B)=100mol%)であり、FT−NMR
を用いて測定した構成単位比(C)/〔(A)+
(B)〕=0.005〜0.00001の範囲にあり、25℃における
10重量%トルエン溶液の粘度が15センチポイズ以上、80
センチポイズ以下である、新規なスチレン系樹脂を提供
するものである。
なお、本発明は下記の実施の態様をも包含するもので
ある。
上記構成単位(A)、(B)、(C)から構成さ
れ、上記に示される構成単位(A)、(B)の割合、及
び構成単位比(C)/[(A)+(B)]を有するスチ
レン系樹脂によって形成される、新規な二軸延伸スチレ
ン系樹脂シート。
使用するスチレン系樹脂の25℃における10重量%ト
ルエン溶液粘度が20センチポイズ以上、80センチポイズ
以下である、前記項記載の、新規な二軸延伸スチレン
樹脂シート。
上記構成単位(A)、(B)、(C)から構成さ
れ、上記に示される構成単位(A)、(B)の割合、及
び構成単位比(C)/[(A)+(B)]を有するスチ
レン系樹脂を成形してなる、二次発泡成形性、発泡成形
品の強度に優れた新規なスチレン系樹脂発泡体。
使用するスチレン系樹脂の25℃における10重量%以
下トルエン溶液粘度が20センチポイズ以上、80センチポ
イズ以下である、前記項記載の二次発泡成形性、発泡
成形品の強度に優れた新規なスチレン系樹脂発泡体。
スチレン系樹脂発泡体の厚さが0.1mm〜10mm、密度
が0.03〜0.5g/ccのシート状である、前記項又は項
記載の二次発泡成形性、発泡成形品の強度に優れた新規
なスチレン系樹脂発泡体。
上記構成単位(A)、(B)、(C)から構成さ
れ、上記に示される構成単位(A)、(B)の割合、及
び構成単位比(C)/[(A)+(B)]を有するスチ
レン系樹脂をスチレン系樹脂を成形してなる、透明性、
強度に優れた新規なスチレン系樹脂成形体。
使用するスチレン系樹脂の25℃における10重量%ト
ルエン溶液粘度が25センチポイズ以上、70センチポイズ
以下である、前記項記載の透明性、強度に優れた新規
なスチレン系樹脂成形体。
成形体が大型成形体である、前記項又は項記載
の透明性、強度に優れた新規なスチレン系樹脂成形体。
以下、本発明を詳細に説明する。
構成単位(B)の量は、0.5〜20mol%の範囲である。
より好ましくは1〜17mol%の範囲である。ただし、成
形体の場合は、0.5〜12mol%の範囲である。より好まし
くは1〜10mol%の範囲である。
20mol%を超える場合は、耐熱性が低くなる結果、シ
ート、発泡体、成形品の実用範囲が非常に狭くなる。ま
た、0.5mol%未満の場合は、成形サイクルの短縮効果が
小さく、強度の優れた(二軸延伸)シート、発泡体、成
形品が得られない。
特に、成形体では、12mol%を超える場合は、実用的
に耐える透明性が得られない。また、0.5mol%未満の場
合は、成形性の向上、強度向上の効果が発現しない。
特に、発泡体では、20mol%を超える場合は、耐熱性
が低くなる結果、発泡成形品の実用範囲が非常に狭くな
る。また、0.5mol%未満の場合には、二次成形性、発泡
成形品の強度の優れた発泡成形体が得られない。
FT−NMRを用いて測定した構成単位比(C)/
[(A)+(B)]は0.005〜0.00001の範囲、より好ま
しくは0.005〜0.00005の範囲である。
構成単位比(C)/[(A)+(B)]が0.005を越
える場合は、強度向上の効果が小さくなり、また、スチ
レン系樹脂やそれからの二軸延伸スチレン系樹脂シート
のコストアップにつながる。0.00001未満の時は、強度
向上の効果が発現せず、強度の優れたシート成形品が得
られない。
本発明のスチレン系樹脂の重合度は、シート、発泡成
形品、成形体の形状、使用目的等を考慮して、25℃にお
ける10重量%トルエン溶液の粘度で15〜80センチポイズ
の領域で、より好ましくは20〜70センチポイズの領域で
設定される。さらに好ましくは、特に二軸延伸シート、
発泡体では、25〜70センチポイズの領域で、成形体では
30〜60センチポイズの領域である。
10重量%トルエン溶液の粘度が15センチポイズ未満で
あると、本発明の構成単位(C)導入しても強度向上が
少なく、また、製造時に分子量調整が困難であるため好
ましくなく、強度の優れた二軸延伸スチレン系樹脂、発
泡体、成形体が得られない。
また、粘度が80センチポイズを越える場合は、スチレ
ン系樹脂の成形性、押出加工性等が極端に低下し、スチ
レン系樹脂の生産性が悪くなり、実用的でない。
本発明において、構成単位(A)としては、例えば次
に示す構造のものが挙げられる。
本発明において、構成単位(B)としては、例えば次
に示す構造のものが挙げられる。
本発明において、構成単位(C)としては、例えば次
に示す構造のものが挙げられる。
あるいは、上記構造式の構成単位を二つ以上ランダム
に有しても良い。
本発明のスチレン系樹脂を得るには、先ず第一段階の
重合工程を特定の低温分解型有機過酸化物からなる重合
開始剤の存在下で行う必要がある。
この低温分解型有機酸化物は、一般式: (式中、1、nは1〜20の整数で、mは0又は1〜5の
整数で、R9、R10、R11、R12は夫々水素、炭素数1〜5
のアルキル基、シクロヘキシル基あるいはフェニル基で
ある。) で示される繰り返し単位を少なくとも3個、好ましくは
5〜30個含有するものである。
このような有機過酸化物としては、例えば、次に示す
繰り返し単位を有するものが挙げられる。
上記構造の構成単位二つ以上がランダムに結合した低
温有機過酸化物も使用できる。また、本発明において
は、これら繰り返し単位を有する有機過酸化物を単独又
は二つ以上混合して使用することも出来る。
これらの有機過酸化物は、特公昭63−32089号公報、
特開昭59−93725号公報、特開昭59−176320号公報に記
載されている方法に準じて合成できる。
スチレン系単量体とアクリル酸エステル(メタクリル
酸エステル)単量体の混合割合が、100/0〜80〜20(モ
ル%/モル%)である単量体混合溶液100重量部当たり
上記の低温分解型有機過酸化物0.005〜2.0重量部添加
し、110℃以下の温度で重合する。この段階で最終的に
得られるスチレン系重合体の15重量%以上、好ましくは
20重量%以上のスチレン系重合体を得ることが必要であ
る。
この後、別の反応機で重合したスチレン系単量体とア
クリル酸エステル(メタクリル酸エステル)単量体との
(共重合体)重合溶液と混合し、目標とするスチレン系
樹脂の組成比、重合度が得られるように、必要に応じて
スチレン系単量体そして/又はアクリル酸エステル(メ
タクリル酸エステル)単量体を添加し、最適な重合温度
で重合することにより、本発明に係るスチレン系樹脂が
得られる。
この時に、重合溶媒、例えばエチルベンゼン、トルエ
ン、キシレン等を用いることも可能である。また、スチ
レン系樹脂の重合に常用されている有機過酸化物を上記
低温分解型有機過酸化物と併用することも可能である。
また、重合の途中で添加することもできる。
重合方法は、スチレン系樹脂の製法で常用されている
塊状重合法、溶液重合法が用いられる。また、回分式重
合法、連続重合法いずれの方法も用いることが出来る。
本発明のスチレン系単量体としては、スチレン、α−
メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチル
スチレン等が使用出来る。これらスチレン系単量体単
独、または混合して使用することも出来る。
アクリル酸エステル(メタクリル酸エステル)単量体
としては、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート
等が使用できる。これらアクリル酸エステル(メタクリ
ル酸エステル)単量体単独、又は混合して使用できる。
未反応単量体及び/又は溶媒を回収する前又は後の任
意の段階で、例えば成形、又は発泡成形する前に、スチ
レン系樹脂に慣用されている添加剤、例えば酸化防止
剤、滑剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤等を添加すること
もできる。
このようにして得られたスチレン系樹脂は、一般に、
熱可塑性樹脂の成形に用いられている公知の方法、例え
ば射出成形、真空成形、圧空成形、押出成形、圧縮成形
等の方法によって各種成形体に成形される。
また、本発明では、フイルム、二軸延伸フイルム、シ
ート、発泡シート、発泡ビーズ等に成形された後、所望
の成形体に成形することができる。また、得られたスチ
レン系樹脂成形体、特にフイルム、シート、発泡体の表
面特性を改良するために、帯電防止剤、シリコーン等の
滑剤を表面に塗布してもよい。
また、本発明で意図する目的を損なわない範囲で、本
発明で使用する特定のスチレン系樹脂と他のスチレン系
樹脂を混合して使用することも可能である。
<スチレン系樹脂シート> 本発明に係わる二軸延伸スチレン系樹脂シートを作成
するには、押出機によってスチレン系樹脂をシート状に
押出した後、一般に知られたテンター方式、インフレー
シヨン方式等を採用して延伸し、延伸倍率は2〜5倍に
するのが好ましい。本発明に係わる二軸延伸スチレン系
樹脂シートは、ASTM D−1504に準拠して測定した配向
緩和応力が1〜15kg/cm2、より好ましくは2〜10kg/cm2
の範囲となるように二軸延伸されているものが好まし
い。配向緩和応力が上記範囲以上になると、一般の成形
機では成形が不可能で、型再現性の悪い成形品しか得ら
れない。また、上記範囲以下ではシートの強度が弱く、
トリミング時の割れの現象が生じ、好ましくない。
本発明に係わる二軸延伸スチレン系樹脂シートは、成
形性が良好で、ストレート法、ドレープ法によって真空
成形、又は熱板圧空成形(接触加熱圧空成形)もしくは
ストレート法、ドレープ、プラグアシスト法にやる間接
加熱圧空成形によって軽量容器、蓋等を成形する際に成
形サイクルを短縮することができる。
本発明に係わる二軸延伸スチレン系樹脂シートは、シ
ートの強度が強く、トリミング時に成形品の抜き割れが
生じない。また、構成単位(B)の量を増やすことによ
り、スチレン系樹脂シートのガラス転移温度が低下する
ので、硬質塩ビシートと同等の成形条件で成形すること
も可能である。
<スチレン系樹脂発泡体> スチレン系樹脂発泡体は、スチレン系樹脂にプロパ
ン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の低級炭化水素や塩
化メチル、ジクロロメタン、トリクロロモノフルオロメ
タン、ジクロロジフルオロメタン等のハロゲン化炭化水
素等の発泡剤を含浸させ、押出機に供給するか、スチレ
ン系樹脂を押出機に供給した後、押出機中に上記発泡剤
を圧入し、発泡剤とスチレン系樹脂を押出機中で溶融・
混練させ、Tダイ又はサーキュラーダイ等から押出す等
の公知の方法により、厚さ0.1mm〜10mm、密度0.03〜0.5
g/ccのシート状のスチレン系樹脂発泡体が製造される。
シートの厚さは0.1〜10mmが好ましい。厚さが0.1mmよ
り薄いと、二次発泡時にシートが破損したり、十分な成
形品強度を有しない。また、厚さが10mmを越えると、二
次成形が困難になる。
密度は0.03〜0.5g/ccが好ましい。密度が0.03g/ccよ
り小さいと、二次発泡成形時にシートが破れたり、成形
品強度が十分でなく、0.5g/ccよりも大きいと発泡品と
してのメリットが減じる。
スチレン系樹脂を発泡させ、スチレン系樹脂発泡体を
得るに当たり、発泡セル径を制御するタルク、炭酸カル
シウム等の造核剤、可塑剤、滑剤、顔料、帯電防止剤、
難燃剤等を混合使用しても良い。
以上のようにして得られたスチレン系樹脂発泡体を加
熱二次発泡成形するには、スチレン系樹脂発泡体を加熱
炉に入れて、軟化、二次発泡させた後、加熱炉から出
し、直ちにプレス成形して、成形体にするのが一般的で
ある。
<スチレン系樹脂成形体> 本発明の特定のスチレン系樹脂を用いた成形体は、強
度に優れている点に特徴がある。
成形体の形状については特に制限はないが、本発明の
スチレン系樹脂は流動性−強度のバランスが優れている
ことから、大型成形品、例えば、事務機器用収納トレ
ー、用紙収納トレー、コピー用紙受け、金魚鉢、鳥篭、
飼育箱、衣装ケース、食品収納ケース、オーディオ製品
収納ケース、玩具、コンピューター用テープ収納機器、
電気冷蔵庫クリスバー、事務機部品、オーディオ機器部
品、化粧品収納ケース等に最適に用いられる。
また、記録媒体収納容器、例えば、オーディオテー
プ、ビデオテープの収納容器、オーディオカセット、ビ
デオテープカセット、オーディオディスク、ビデオディ
スク、フロッピーディスク等の収納ケースなどにも用い
ることができる。
(実施例) 本発明を以下の実施例により具体的に説明するが、こ
れらは本発明の範囲を制限しない。
(1)構成単位比(C)/〔(A)+(B)〕は以下
の方法で測定する。
スチレン系樹脂を10倍量のメチルエチルケトに溶解
後、同量のメタノールをゆっくり添加しながらスチレン
系樹脂を析出させる。このスチレン系樹脂を200℃、5mm
Hgの減圧下で30分乾燥する。このように前処理されたス
チレン系樹脂を用いて、日本分光(株)JNM−GX400 FT
−NMRを用いて13Cを測定する。
以下に記す測定条件で測定、計算を行う。
13Cの測定) パルス幅=9.3μs;45゜パルス データーポイント=32768 繰り返し時間=2.0秒 ADコンバーター=16ビット 積算回数=30,000〜100,000 サンプル濃度=20重量% 溶媒=1,1,2,2−テトラクロロエタン− (d2) サンプル管=10mm 測定温度=120℃ 構成単位(C)のメチレン基に由来するピークが29.4
ppmに現れる。一方、構成単位(A)、(B)のメチン
基、メチレン基の炭素に由来するピークが39〜50ppmに
現れる。ピーク面積比より構成単位比(C)/〔(A)
+(B)〕を決める。
(2)構成単位(A)、(B)の割合は以下の方法で求
める。
13C測定と同じ操作で試料を調整し、JNM−GX270 FT
−NMRを用いて1Hを以下に記す条件で測定する。
1Hの測定) パルス幅=8.4μs データーポイント=16384 繰り返し時間=7.559秒 ADコンバーター=16ビット 積算回数=1,000 サンプル濃度=10重量% 溶媒=1,1,2,2−テトラクロロエタン− (d2) サンプル管=5mm 測定温度=120℃ 構成単位(A)のフェニル基に由来するピークが6.2
〜7.4ppmに現れる。構成単位(B)の水素に由来するピ
ークが3.4〜3.8ppmに現れる。ピーク面積比より構成単
位(A)、構成単位(B)のモル比を求める。
(3)実施例における物性試験法を以下に記す。
(イ)メルトフローレート(MFR):ISO R1133に準ず
る。
(ロ)ビカット軟化点(VICAT):ASTM D1525に準ず
る。
(ハ)引張強度:ASTM D638に準ずる。
(ニ)一撃衝撃強度:成形温度=240℃、成形圧力=SSP
+5kg/cm2、金型温度=60℃の条件で5cm×8.8cm×2mmの
試験片を射出成形し、東洋精機製作所製の「落錘型グラ
フィックインパクトテスター」を用いて、高さ20cmより
質量6.5kgのミサイルを自然落下させて破壊の最大荷重
を求める。
透明性:一撃衝撃強度と同じ成形条件で同じ試験片を
成形し、目視で判定する。
耐折強度:幅1cmのフイルムを切り出し、フイルムの
約半分を上下より固定し、残り半分を上下90゜に折り曲
げ破断するまでの回数を求める。
<スチレン系樹脂の製造> (実施例1〜5) 添付の第1図に記載した装置により、スチレン系樹脂
の重合を行う。
重合反応機1、1′は完全混合型反応機であり、容量
は各々30で、5〜25の範囲で反応溶液容量を変化さ
せることが出来る。重合反応機2、2′は静的混合機を
内蔵した管型反応機であり、容量は各々20である。重
合溶液と重合開始剤溶液を混合するために、重合反応機
2′の入口に静的混合機を設置し、その容量は1であ
る。重合反応機1、1′2′及び回収系の出口にギアポ
ンプを設置する。重合反応機2′の出口のギアポンプの
供給側に可塑剤を胸供給するポンプ、配管を設置する。
第1表に示す重合条件で重合を行う。各反応機出口で
の重合溶液中のポリマー濃度も第1表に示す。
重合反応機2′を出た重合溶液は予熱器に導かれる。
予熱器は静的混合器を内蔵しており、その容量は0.8
である。予熱器で240℃迄加熱された後、240℃に保温さ
れた回収装置に導かれ、10mmHgの真空下で脱揮されペレ
ット化される。重合開始後48時間目から製品を採取し、
物性を評価するその物性評価結果を第2表に示す。
(比較例1) 第1表に示す重合条件で実施例1と同様に操作し、製
品を採取して物性を評価する。その物性評価結果を第2
表に示す。
(比較例2〜3) 比較例1と同じ重合条件で操作し、重合反応機2′を
出た重合溶液にミネラル・オイル(スルイルP−260)
を供給する以外、比較例1と同様に操作して製品を採取
する。比較例2の製品中のミネラル・オイル量は2.0重
量%である。比較例3の製品中のミネラル・オイル量は
3.5重量%である。それらの物性評価結果を第2表に示
す。
(比較例4) 第1表に示す重合条件で実施例1と同様に操作し、製
品を採取して物性を評価する。その物性評価結果を第2
表に示す。
(比較例5) 添付の第2図の記載した装置により、スチレン系樹脂
の重合を行った。重合反応機1は第1図の重合反応機1
と同じものである。
スチレン94.2重量部、ブチルアクリレート2.8重量
部、エチルベンゼン2.98重量部、1,1−ビス(t−ブチ
ルパーオキシ)シクロヘキサン0.02重量、部からなる混
合溶液を4/Hrの液量で反応機1に供給する。滞留時
間は5.5時間である。重合温度135℃で重合する。重合溶
液中のポリマー濃度は58重量%である。実施例1と同様
に操作し、製品を採取して物性を測定する。その物性評
価結果を第2表に示す。
(比較例6) 反応機1へ供給する混合溶液がスチレン91重量部、ブ
チルアクリレート5.5重量部、エチルベンゼン2.98重量
部、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサ
ン0.02重量部であり、反応機1への供給量が3/Hrで
あり、重合温度が135℃、滞留時間が6時間である以
外、比較例5と同様に操作し、製品を採取して物性を測
定する。その物性評価結果を第2表に示す。
(比較例7) 第1表に示す重合条件で実施例1と同様に操作して、
製品を採取して物性を測定する。その物性評価結果を第
2表に示す。
(実施例6) 第3表に示す重合条件で実施例1と同様に操作して製
品を採取した。このスチレン系樹脂の物性評価結果を第
4表に示す。
スチレン系樹脂を30mmφ押出機で押出し、厚み1.1mm
のシートを作成した。二軸延伸装置を用いて、縦10cm、
横10cmに裁断したシートを縦方向、横方向とも3倍でAS
TM D−1504に準拠して測定した。配向緩和応力が8〜
9kg/cm2になるように、100〜110℃の温度で延伸し、厚
み100μの二軸延伸シートを得る。この延伸シートの物
性評価結果を第4表に示す。
(比較例8) 反応機1へ供給する混合溶液がスチレン80.5重量部、
ブチルアクリレート16.5重量部、エチルベンゼン2.98重
量部、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキ
サン0.02重量部であり、反応機1への供給量が3/Hr
であり、重合温度が135℃、滞留時間が6時間である以
外、比較例5と同様に操作し、製品を採取して物性を測
定する。その物性評価結果を第4表に示す。
実施例6と同様の操作を行って、厚み100μの二軸延
伸シートを得る。この延伸シートの物性評価結果を第4
表に示す。
第2表の結果を図示したのが第3図である。
第2表及び第3図より、本発明のスチレン系樹脂は、
構成単位(B)を含まない通常のポリスチレンの分子量
を変化させた時、及び可塑剤を添加した時の流動性−強
度のバランスよりも優れていることが理解出来る。
また、構成単位(B)を含有した場合でも、構成単位
(C)を含まない場合は、通常のポリスチレンよりも流
動性−強度のバランスは劣り、本発明のスチレン系樹脂
と比較した時、流動性−強度のバランスは著しく低下す
ることが理解できる。
また、本発明の樹脂の透明性は、一般の市販ポリスチ
レンと肉眼で判定する限り同等であり、また、市販ポリ
スチレンとブレンドしても透明性を損なうことはない。
構成単位(C)を含まないスチレン系樹脂は市販ポリス
チレンとブレンドした場合は透明性が悪くなる。
第4表にフイルムの強度比較結果を示している。本発
明のスチレン系樹脂をフイルムにした場合、耐折強度が
著しく向上していることが理解出来る。
<スチレン系樹脂シートの製造> (スチレン系樹脂1〜3、5) 第1図に示す装置により、実施例1〜5と同様の操作
で第5表に示す重合条件で製造された樹脂である。その
物性評価結果を第6表に示す。
(スチレン系樹脂6) 重合反応機2′を出た重合溶液にミネラル・オイル
(スルイルPS−260)3.5重量%を供給する以外、上記ス
チレン系樹脂5と同条件で操作して製造する。その物性
評価結果を第6表に示す。
(スチレン系樹脂7) 添付の第2図に記載した装置によりスチレン系樹脂の
重合を行った。重合反応機1は第1図の重合反応機1と
同じものである。回収装置も第1図の回収装置と同じも
のである。
スチレン91.0重量部、ブチルアクリレート5.5重量
部、エチルベンゼン2.98重量部、1,1−ビス(t−ブチ
ルパーオキシ)シクロヘキサン0.02重量部からなる混合
溶液を3/Hrの液量で反応機1に供給する。滞留時間
は6.0時間である。重合温度135℃で重合する。重合溶液
中のポリマー濃度は58重量%である。スチレン系樹脂1
と同様に操作し、製品を採取して物性を測定する。その
物性測定結果を第6表に示す。
(注)スチレン系樹脂4:旭化成工業(株)製 スタイロ
ンG8102である比較樹脂。
(実施例7〜9、比較例9〜12) スチレン系樹脂1〜7を50mmφ押出機で押出し、厚み
1.35mmのシートを作成した。
二軸延伸装置を用いて縦10cm、横10cmに裁断したシー
トを縦方向、横方向共に3倍でASTM D−1504に準拠し
て測定した。配向緩和応力が8〜9kg/cm2になるよう
に、120〜130℃の温度で延伸し、厚み150μの二軸延伸
シートを得た。得られた7種類の二軸延伸シートを熱板
圧空成形機を用いて熱成形を行った。
加熱圧力1.0kg/cm2でシートを加熱し、成形圧力2.5kg
/cm2、成形時間2秒、金型温度60℃の条件下で成形し、
金型(フィードバック)のヒンジ3Rが金型どうり再現で
きる熱板温度150℃、120℃、125℃、130℃での加熱時間
を求めた。
また、得られたシートを折り曲げて割れるまでの回数
を求めた。その結果を第7表に示す。
<スチレン系樹脂発泡体の製造> (実施例10〜12及び比較例13〜15) スチレン系樹脂発泡体の製造に使用したスチレン系樹
脂は、スチレン系樹脂シートの製造に使用したスチレン
系樹脂と同じものを用いた。
フレオン−12を発泡剤として、スチレン系樹脂1〜
3、5〜7を押出発泡し、厚さ1.2mm、密度0.10g/ccの
シート状のスチレン系樹脂発泡体を得た。得られたスチ
レン系樹脂発泡体を1ケ月間養成し、赤外線加熱炉を用
いて種々の温度で10秒間加熱し、二次発泡させ、第4図
に示す弁当箱の成形品を得た。
次に、110℃で加熱時間を変化させて同様の二次発泡
を行い、成形品を得た。その発泡成形品の評価結果を第
8表に示す。
<スチレン系樹脂成形体の製造> (実施例13〜15及び比較例16〜18) スチレン系樹脂成形体の製造に使用したスチレン系樹
脂は、スチレン系樹脂シートの製造に使用したスチレン
系樹脂と同じものを用いた。
射出成形機IS800B−75(東芝機械(株)製)を用い
て、射出圧力100kg/cm2、金型温度60℃の条件でスチレ
ン系樹脂1〜3、5〜7を射出成形し、第5図に示すト
レーを成形した。この時、射出温度を変えて、トレーが
成形できる最低温度を求めた。
次に、このトレーの中心部に40gの鋼球を落下させ、
割れが生じる高さを検討し、破壊エネルギーを求めた。
その結果を第9表に示す。
(実施例16) スチレン系樹脂1とスチレン系樹脂5を1/1(重量
部)でペレットブレンドし、実施例13と同様の条件でト
レーを成形した。目視判定した結果、透明性は良好であ
った。
(比較例19) スチレン系樹脂7とスチレン系樹脂5を1/1(重量
部)でペレットブレンドし、実施例13と同様の条件でト
レーを成形した。目視判定した結果、若干白濁してお
り、ポリスチレンとしては使用不可能の透明性である。
<上記実施例と比較例のまとめ> (A)第2表よりのまとめ:その1 (本発明の樹脂と対照GPPSとの比較) (1)本発明の樹脂と同等の強度にする時、流動性、耐
熱性が犠牲になる(比較例1)。
(2)流動性、耐熱性を同一にするには、可塑剤(ミネ
ラルオイル)を用いる必要があるが、強度の低下が大き
い(比較例2、3)。
(3)可塑剤(ミネラルオイル)を用いず、流動性を上
げるためには、分子量を低くする必要があるが、強度の
低下が大きい(比較例4)。
結局、本発明の樹脂は、GPPSでは達成できない強度−
流動性−耐熱性のバランスを有している。
(なお、本発明でいう耐熱性は低いことが好ましいもの
である;9頁末行〜10頁1行) (B)第2表よりのまとめ:その2 (本発明の樹脂と対照スチレン(SM)−ブチルアクリレ
ート(BA)共重合体との比較) (1)SM−BA共重合体は本発明と同等の流動性、耐熱性
を有している。しかし、本発明でいう特定の構成単位
(C)を含有していないので、強度が著しく低い(比較
例5、6)。
(2)BAの含有量が低い場合はGPPSとブレンドしても透
明性は良い(比較例5)。しかし、BAの含有量が高くな
ると、透明性は許容できないレベルになる(比較例
6)。
(3)構成単位(C)が本発明の規定値以下となると、
殆ど効果は認められない(比較例7)。
(4)可塑剤(ミネラルオイル)を用いず、流動性を上
げるためには、分子量を低くする必要があるが強度の低
下が大きい(比較例4)。
(1)比較例8のポリマーは耐折強度は本発明の樹脂に
比べ、半分以下である。本発明の構成単位(C)が耐折
強度の向上に大きく寄与していることが分かる。
(D)第6、7表よりのまとめ: (本発明の樹脂とGPPS(BAモノマー不含)との比較) (1)耐熱性が108℃であると、本発明の樹脂より加熱
時間(成形サイクル)が30〜70%以上低下する(比較例
9〜10)。
(2)構成単位(C)を含有させても、成形性の改良に
は結びつかない(比較例10)。
(3)耐熱性を下げるために可塑剤(ミネラルオイル)
を用いると、強度(折れ割れ回数)が低下し、シート上
に細かな亀裂(クレージング)が生じる(比較例11)。
(本発明の樹脂とSM−BA共重合体との比較) (1)構成単位(C)を含有しないSM−BA共重合体は強
度(折れ割れ回数)が低い(比較例12)。
これに対してBA、構成単位(C)を含有する本発明の
樹脂は、成形性に優れ、且つ強度に優れていることが理
解できる。(実施例7〜9)。
(E)第6、8表よりのまとめ; (本発明の樹脂とSM−BA共重合体(BAモノマー不含)と
の比較) (1)耐熱性が108℃である、発泡品の成形は非常に困
難になる(比較例13)。
(2)耐熱性を下げるために可塑剤(ミネラルオイル)
を用いても、発泡品の成形性向上には大きく寄与しな
い。そして、成形品表面の外観を著しく悪くする。強度
も低下する(比較例14)。
(本発明の樹脂とSM−BA共重合体との比較) (1)構成単位(C)を含有しないSM−BA共重合体は成
形品表面の外観が著しく悪くなる。また、強度も低下す
る(比較例15)。
(2)BA、構成単位(C)を含有する本発明の樹脂は、
成形性に優れ、成形品表面の外観が優れ、且つ強度に優
れていることが理解できる(実施例10〜12)。
(発明の効果) 本発明においては、スチレン系単量体と共重合可能な
第二の単量体として、アクリル酸エステル(メタクリル
酸エステル)を導入し、かつ適性な方法を用いて特定量
の長鎖のアルキル鎖を導入することにより、 透明性、(耐折)強度、流動性(低温成形性と比較的
低い耐熱性)のバランスの良い新規なスチレン系樹脂を
提供する。
より詳細には、本発明は上記構成にしたので、(i)
成形性、強度のバランスが著しく向上したスチレン系樹
脂が得られること、 (ii)スチレン系樹脂を成形したフィルム、シート、発
泡体は低温で二次成形でき、かつ成形体の強度の優れた
スチレン系樹脂が得られること、 (iii)二次加熱成形性、ケロイド状の発生を抑え、型
決まり性が良好であり、かつ発泡成形品の強度が優れ、
低温で成形できるスチレン系樹脂発泡体を与えること、 (iv)さらに、本発明の成形体の透明性が従来のポリス
チレンと同等であり、ミネラルオイル等の可塑剤を添加
しても、又従来のポリスチレンと混合しても透明性を損
なうことがない。
【図面の簡単な説明】
第1〜2図は、本発明の実施例で使用される重合装置の
説明概略図である。 第3図は、実施例における一撃衝撃強度と流動性との関
係を示すグラフである。 第4図は、実施例で発泡成形した弁当箱の概略図であ
る。 第5図は、実施例で成形した大型トレーの概略図であ
る。 1,1′:完全混合反応機 2,2′:静的混合器内蔵の管型反応機 3:脱揮槽 4−1〜2:原料溶液フィードポンプ 4−3:重合開始剤溶液フィードポンプ 4−4:添加剤溶液フィードポンプ 5、5−1〜4:重合溶液移送ポンプ 6:溶融樹脂移送ポンプ 7:静的混合器 8:予熱器(静的混合器内蔵) 9:真空ライン 10:溶融樹脂移送ライン

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式; (式中、R1は水素又はメチル基であり、R2は水素又は炭
    素数1〜5のアルキル基である) (式中、R3は水素又はメチル基であり、R4は炭素数1〜
    8のアルキル基であり、ただし、R3がメチル基の時は炭
    素数2〜8のアルキル基である。) (式中、1、nは1〜20の整数で、mは0又は1〜5の
    整数で、R5、R6、R7、R8は夫々水素又は炭素数1〜5の
    アルキル基、シクロヘキシル基あるいはフェニル基であ
    る。) で示される構成単位からなり、 構成単位(A)、(B)の割合が、 (A):80〜99.5mol% (B):0.5〜20mol% (但し、(A)+(B)=100mol%)であり、FT−NMR
    を用いて測定した構成単位比(C)/[(A)+
    (B)]=0.005〜0.00001の範囲にあり、25℃における
    10重量%トルエン溶液の粘度が15センチポイズ以上、80
    センチポイズ以下であることを特徴とする、新規なスチ
    レン系樹脂。
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