JP2653971B2 - 屋根板の接合方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】 この発明は、組立収納庫又は組
立物置その他の組立建築物・構築物等における屋根板の
接合方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】 従来、この種の小型組立体の屋根板
は、周壁上の面積とほぼ同面積かそれよりやや広い面積
の一枚物の屋根板の周縁部を夫夫同方向下向きに折曲げ
て周壁上に被着固定するようにするのが通常の方法であ
った。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】 ところで、前述のよ
うに屋根板を一枚物で建物上に葺設すると、屋根の勾配
が前下り又は後下りになり、雨水が一方向だけに流れて
一箇所に多く集まるので都合が悪く、又、建物の奥行き
又は間口が長くなった場合には、屋根板の面積が過大に
なり、周縁部の折曲加工が行い難く、かつ、加工時や製
品出荷時等における取扱いや運搬も不能率で問題を生じ
る。そこで、本発明において前記諸般の問題を解決する
ため、屋根板を二分割又はそれ以上の複数に分割構成
し、組立時にそれら複数の屋根板を水漏れしないようか
つ強固に接合して一体的に形成し、なお、接合部におい
て屋根勾配を両方へ分けて接合できる屋根板の接合方法
を採用することにより、加工上、運搬上の不合理を解決
せんとするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】 前記課題解決の手段と
して、屋根板を前後又は左右に二分割あるいはそれ以上
複数に、又は縦横両方向に分割構成して加工を施した複
数分割屋根板を組立体の組立時において互に接合連結し
て一体的な屋根を構成する方法を採用し、その各分割屋
根板の接合縁部に下向きの楔形状（下方幅が狭く上方幅
が広い形状）の挿入片を形成し、左右両側壁の上端間又
は前後両壁の上端間に溝形の梁材を上面開口状に橋架
し、該梁材の開口内に前記両屋根板の接合縁部の楔形状
挿入片同士を重合して圧入するようにしたものであっ
て、加工時において、接合両屋根板の接合縁部が他部よ
り少し高くなるよう分割屋根板を成形しておくと、両屋
根板の接合部が高位の分水領となって雨水が前後又は左
右両方へ分れて流下する。なお、前記分割両屋根板の重
合挿入片間に弾性シール材を介在させて圧着するように
して水漏れ防止手段とする。また、各屋根板の接合縁部
を除いて組立体周壁部に被着する他縁部に下向き折曲縁
を形成し、該折曲縁を組立体周壁の上端部に外嵌合して
被着し折曲縁を周壁に螺着する手段も付加して屋根板の
結合を確実にする。

【０００５】

【作用】 両屋根板の接合部において両楔形状挿入片を
重合して溝形梁材の開口内に圧入すると、両挿入片が梁
材の開口両側壁で互に内方へ圧迫されるから両挿入片は
重合面で圧着する結果、両屋根板は周壁上において一体
的に連結した状態で被着される。その際に両挿入片間に
弾性シール材を介在させれば、該シール材が圧迫により
収縮して両挿入片重合面に密着するから漏水防止の効果
が生じる。また、両屋根板の接合部が他部より高くなる
から雨水が両方向に分れて流下し左右又は前後に均等に
排水される。

【０００６】

【実施例】 添付図面の図１は本発明一実施例を示す分
解斜視図であつて、図中の符号１は前後対称形状に形成
した分割屋根板、２は二分割形成の側壁板、３は桁材で
左右両側壁板の前後部において夫夫上端間に架設するも
のであるが、後部のものの図示を省略してあり、４は梁
材、５はほぼコ字形に形成した前後両側壁板の連結具兼
梁受具、６は後側の分割屋根板１の接合縁に貼着した弾
性シール材、Ｆは組立体の前面方向を矢印で示す。

【０００７】前記分割屋根板１は、図１に示すように、
矩形平板の周縁部を夫夫下向きに折曲げた曲板である
が、隣接する両分割屋根板１，１の対向する各接合縁部
において、図２に拡大図示したように、下向折曲縁１a
の内側に沿って楔形状（下方幅を狭く上方幅を広くした
階段形状）の挿入片１b を添着し、該接合縁部の反対側
の辺縁部の上面に沿って凹溝１c を凹設し該凹溝を排水
溝とし、左右両側縁に曲成した下向折曲縁１d の前後部
に夫夫ねじ挿入孔イを対設してある。

【０００８】側壁板２は、前後二分割形成された同形の
両壁板を突合わせ状に接合し、その接合部の上端に連結
具兼梁受具５を冠載し、側壁板２の内側においてその下
向片５a を二個のねじロで両側壁板に螺着（図４参照）
することにより固着連結してあり、前記連結具兼梁受具
５の上側には、両側壁４a ，４a の上端に相反対向きの
リップ縁４b ，４b を対設した溝形の梁材４を上面開口
状に載架してあり、該梁材４は左右両側壁板の上端中央
部間に梁受具５を介して橋架してあり、その両端部にお
いて溝底壁から梁受具５の外端部上面に沿って曲面を形
成した舌片４cを延設し、該舌片４c により梁材上に漏
れ落ちた雨水を外側方へ導き排水するよう形成してある
（図１参照）。

【０００９】本発明の要旨とするところは、前記隣接す
る両分割屋根板１，１を突合わせに配し梁材４を介して
接合する点にあり、その手法と手順とを図２及び図３に
図示説明してあり、先ず、図３に示すように、両分割屋
根板１，１の対向する両下向折曲縁１a ，１a 間に弾性
シール材６を介在させて突合わせ、両屋根板の下向折曲
片１a を挿入片１b と共にその下方部（幅の狭い部分）
を梁材４の開口内上部に臨ませてから突合わせ部全体を
下方へ押圧すると、梁材開口の両側壁４a ，４a の上端
部が両挿入片１b ，１b の上部幅広部分の外面に接し、
なお押圧を続行すると開口両側壁４a ，４a で両挿入片
１b ，１b を内方へ圧迫するがその圧迫力に抵抗して強
く押圧すると弾性シール材６が圧縮されて両折曲縁１a
，１a に密着して図２に図示したように接合部全体が
梁材４の開口内に嵌入し、開口両側壁４a ，４a の圧迫
力により両屋根板が接合部において圧着連結する。その
後において、図１に示すねじ挿通孔イ，イから両側壁板
上端部に向ってねじハ（図４参照）を螺挿することによ
り、両屋根板を左右両側の側壁板に螺着固定して確実に
壁部に被着する。図４にその固着要部の縦断面図を示
す。

【００１０】図５は、分割両屋根板1'，1'を左右方向で
二分割して前後両壁板上端の中央部において接合した実
施例を示したもので、接合縁の下方部は前記実施例に準
ずるものである（方向が相違するだけ）から図示を省略
するが、屋根板接合部は一平面状に連結し、屋根の勾配
は一方向の前下りになるよう形成してある。

【００１１】図６は、前後に二分割した分割屋根板１，
１を一平面状に接合した実施例を示し、図１に図示した
ものの接合部上面を面一状で前下り勾配に変更したまで
のものであるから、屋根板下方部の図示を省略する。

【００１２】図７は、屋根板を前後左右に四分割した実
施例を示したもので、四分割屋根板11，12，13，14は、
図１に図示した分割屋根板１に準じて形成するが、互に
相対向する内方の直角二辺部を接合縁として下向折曲縁
１a ，挿入片１b （図示省略）、弾性シール材６を設
け、前後両縁部上面に凹溝１c を凹設してある。また、
梁材15を十字形に形成して周壁上に梁受具５を介して架
設した後、中心部から前後左右の四方に延びる溝開口部
に前記四分割屋根板の接合縁部を図１のものに準じて圧
入固定し左右両側部において両側壁板に螺着固定するよ
う構成してあり、その作用、効果も図１のものと同様で
あるが、この方法は組立体が大型になる場合に採用する
と各部材を小型化できて有利である。なお、前記十字形
の梁材15の工作上においては、中心部で分割形成した四
本の梁材を適当な継手により連結する手段を採用すれ
ば、短寸の梁材四個に分割されるので組立物として最適
であり加工と取扱い上、運搬上において便利である。

【００１３】

【発明の効果】 収納庫その他の組立体の周壁上に被着
する広い屋根板を複数枚に分割形成し、各分割屋根板を
梁材を介して接合し一体化するよう構成したので、広面
積の屋根板を小型化して形成でき、板材の曲板工作にお
いて加工がし易く、作業中における材料の取扱いと運搬
時に軽量化できて労力を軽減し、組立商品として出荷す
る場合と販売する場合において他の組立材と一緒に小容
積にまとめて梱包し運送し易く、前記夫夫の工程におい
てコストを低減して組立体全体の価格を安価にできる利
点がある。また、組立時において、軽量化した分割屋根
板を寄せ集めて夫夫の接合縁を梁材の溝開口部に挿入す
ることにより一体的な屋根を形成するので組立労力を軽
減し組立能率を向上する。また、各分割屋根板の接合部
に弾性シール材を介在させて庫内への漏水を防止し、万
一漏水が生じても梁材によりそれを受けて両側方へ導き
排水できるから、庫内に雨漏りがする惧れはない。分割
屋根板の接合部において接合縁の高さを他の部位より高
くして接合することで屋根の勾配を両流れ勾配に形成
し、排水を両方へ二分することができ、使用上に利点が
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明一実施例の要部を分解して示す分解斜視
図

【図２】図１における屋根板を接合した接合要部のみを
拡大して示す縦断面図

【図３】図１における屋根板を接合する手法と手順の手
始めを拡大して示す縦断面図

【図４】図２における屋根板接合部の断面を前方から示
す縦断面図

【図５】屋根板の分割方法につき他の実施例を示す概略
斜視図

【図６】屋根板の接合方法につき更に実施例を示す概略
斜視図

【図７】屋根板の分割方法につき他の実施例を示す分解
斜視図

【符号の説明】

１，1'…分割屋根板 １a …下向折曲縁（接合縁） １b …挿入片 １c …凹溝 １d …下向折曲縁（側端縁） イ…ねじ挿通孔 ロ…ねじ ハ…ねじ ２…側壁板 ３…桁材 ４…梁材 ４a …壁壁（開口側壁） ４b …リップ縁 ４c …舌片 ５…連結具兼梁受具 ５a …下向片 ６…弾性シール材 11，12，13，14…分割屋根板

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 隣接する複数屋根板の突合わせ接合縁部
   に沿って夫夫下向きに楔形状の挿入片を対設し、両側壁
   上に橋架した溝形の梁材の開口内に前記両挿入片を重合
   して圧入することにより梁材の開口両側壁で両挿入片を
   圧着させて両屋根板を接合するようにした屋根板の接合
   方法。
2. 【請求項２】 両挿入片の重合面間に弾性シール材を介
   在させて圧着するようにした請求項１記載の屋根板の接
   合方法。
3. 【請求項３】 両挿入片を溝形の梁材の開口内に圧入し
   た後、両屋根板の接合縁部を除く他縁部に設けた下向折
   曲縁を両側壁板の上端部に外嵌して螺着するようにした
   請求項１又は２記載の屋根板の接合方法。
4. 【請求項４】 両屋根板の接合縁部に下向折曲縁を形成
   し、該折曲縁の内側に沿って、下方を幅狭く上方を幅広
   く形成した楔形の挿入片を添着した請求項１又は２，３
   記載の屋根板の接合方法。