JP2650441B2 - 二軸配向積層フィルム - Google Patents

二軸配向積層フィルム

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JP2650441B2 JP1272704A JP27270489A JP2650441B2 JP 2650441 B2 JP2650441 B2 JP 2650441B2 JP 1272704 A JP1272704 A JP 1272704A JP 27270489 A JP27270489 A JP 27270489A JP 2650441 B2 JP2650441 B2 JP 2650441B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、二軸配向積層フィルムに関するものであ
る。
[従来の技術] 二軸配向積層フィルムとしては、走行性が改良された
フィルムが知られている(例えば、特開平1−176556号
公報等)。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、上記従来の二軸配向積層フィルムで
は、例えば、磁気媒体用途における磁性層塗布、カレン
ダー工程、あるいは、できたビデオテープ等をダビング
してソフトテープ等を製造する工程等の工程速度の増大
に伴い、接触するロールやガイドでフィルム表面に傷が
つくという欠点があった。さらに、最近はVTRカセット
中で用いられるガイドピンにプラスチック製が使用され
ることが多くなり、そこでの滑り性、傷のつきにくいこ
とが課題となっている。本発明はかかる課題を解決し、
特にプラスチックピンとの接触で傷でつきにくい(以下
耐スクラッチ性に優れるという)二軸配向積層フィルム
を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明は、熱可塑性樹脂Bを主成分とするフィルム
(B層)の少なくとも片面に、不活性粒子および炭素原
子数10〜33の高級脂肪族モノカルボン酸、そのエステ
ル、そのアミドまたはその金属塩からなる化合物の少な
くとも一種を含有する熱可塑性樹脂Aを主成分とするフ
ィルム(A層)を積層してなる二軸配向積層フィルムで
あって、該不活性粒子の平均粒径がA層の0.2〜5倍、
A層中における該不活性粒子の含有量が2〜20重量%、
A層の厚さが0.01〜3μmであることを特徴とする二軸
配向積層フィルムに関するものである。
本発明を構成する熱可塑性樹脂Aはポリエステル、ポ
リオレフィン、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド
など特に限定されないが、特に、ポリエステル、なかで
も、エチレンテレフタレート、エチレンα,β−ビス
(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4′−ジカルボキ
シレート、エチレン2,6−ナフタレート単位から選ばれ
た少なくとも一種の構造単位を主要構成成分とする場合
に耐スクラッチ性がより一層良好となるので望ましい。
本発明を構成する熱可塑性樹脂Aは結晶性、あるいは
溶融時光学異方性である場合に耐スクラッチ性がより一
層良好となるのできわめて望ましい。ここでいう結晶性
とはいわゆる非晶質でないことを示すものであり、定量
的には結晶化パラメータにおける冷結晶化温度Tccが検
出され、かつ結晶化パラメータΔTcgが150℃以下のもの
である。さらに、示差走査熱量計で測定された溶融熱
(融解エンタルピー変化)が7.5cal/g以上の結晶性を示
す場合に耐スクラッチ性がより一層良好となるのできわ
めて望ましい。なお、本発明を阻害しない範囲内で、2
種以上の熱可塑性樹脂を混合してもよいし、共重合ポリ
マを用いてもよい。
本発明フィルムを構成する熱可塑性樹脂Aがポリエス
テルの場合はフィルムの固有粘度が0.60以上、特に0.70
以上の場合に耐スクラッチ性がより一層良好となるので
特に望ましい。
本発明の熱可塑性樹脂A中の不活性粒子は、相対標準
偏差が0.6以下、好ましくは0.5以下の場合に耐スクラッ
チ性がより一層良好となるので望ましい。
本発明の熱可塑性樹脂A中の不活性粒子の種類は特に
限定されないが、上記の好ましい粒子特性を満足するに
はコロイダルシリカに起因する実質的に球形のシリカ粒
子、架橋高分子による粒子(たとえば架橋ポリスチレ
ン)等が望ましく、アルミナ珪酸塩、1次粒子が凝集し
た状態のシリカ、内部析出粒子等は好ましくない。特に
10重量%減量時温度(熱重量分析装置による測定。昇温
速度20℃/分、窒素中)が380℃以上になるまで架橋度
を高くした架橋高分子粒子の場合に耐スクラッチ性がよ
り一層良好となるので特に望ましい。なお、コロイダル
シリカに起因する球形シリカの場合にはアルコキシド法
で製造された、ナトリウム含有量が少ない、実質的に球
形のシリカの場合に耐スクラッチ性がより一層良好とな
るので特に望ましい。しかしながら、その他の粒子、例
えば炭酸カルシウム、二酸化チタン、アルミナ等の粒子
でもフィルム厚さと平均粒径の適切なコントロールによ
り使用することも可能である。
本発明の熱可塑性樹脂A中の不活性粒子の結晶化促進
係数は特に限定されないが、−15〜15℃、好ましくは−
5℃〜10℃の場合に、耐スクラッチ性がより一層良好と
なるので特に望ましい。
不活性粒子の大きさはフィルム中での平均粒径が、熱
可塑性樹脂Aを主成分とするフィルム(A層)厚さの0.
2〜5倍、好ましくは0.5〜5倍、さらに好ましくは1.1
〜3倍の範囲であることが必要である。平均粒径/A層厚
さ比が上記の範囲より小さくても、逆に大きくても耐ス
クラッチ性が不良となるので好ましくない。
また不活性粒子の平均粒径は0.01〜0.5μm、さらに
は0.02〜0.45μmの範囲である場合に、耐スクラッチ性
がより一層良好となるので望ましい。
本発明の、熱可塑性樹脂A中における不活性粒子の含
有量は、2〜20重量%、好ましくは3〜10重量%、さら
に好ましくは4〜10重量%であることが必要である。不
活性粒子の含有量が上記の範囲より少なくても、逆に大
きくても耐スクラッチ性が不良となるので好ましくな
い。
本発明の熱可塑性樹脂A中には、炭素原子数10〜33の
高級脂肪族モノカルボン酸、そのエステル、そのアミド
またはその金属塩からなる化合物の少なくとも一種(以
下ワックスという)を含有することが必要である。
本発明の熱可塑性樹脂A中の必須添加成分である、炭
素原子数10〜33の高級脂肪族モノカルボン酸、そのエス
テル、そのアミドまたはその金属塩からなるワックスに
おける高級脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、ス
テアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、カルナウバ
酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、ペトロ
セリン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸およびこ
れらを含む酸混合物などが挙げられるが、特に炭素数20
〜33のものが好ましい。
本発明における高級脂肪族モノカルボン酸エステルと
は、上記の高級脂肪族モノカルボン酸を、炭素原子数2
〜33を有する1価または2価のアルコールで一部または
全部をエステル化することによって得られるものであ
る。具体的には、モンタン酸エチレングリコールエステ
ル、モンタン酸エチルエステル、モンタン酸セリル、リ
グノセリン酸オクタコシル、リグノセリン酸メリシル、
リグノセリン酸セリル、セロチン酸ミリシル、セロチン
酸セリルなどが挙げられ、天然に得られるモンタンワッ
クス、カルナウバワックス、ビーズワックス、カンデリ
ラワックス、ヌカロウ、イポタロウなども好ましく用い
られる。
本発明においては、高級脂肪族カルボン酸とアルコー
ルからなるエステルとしては、その構成となる酸および
アルコールの炭素原子数が、好ましくはともに18〜33、
さらに好ましくは20〜32の組合わせで得られるエステル
が、特に耐スクラッチ性が良好となるので特に望まし
い。
本発明における高級脂肪族モノカルボン酸アミドとし
ては上記高級脂肪族モノカルボン酸のアミド、例えばス
テアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミ
ド、ベヘン酸アミドが挙げられ、特にエルカ酸アミドが
望ましい。
本発明における高級脂肪族モノカルボン酸の金属塩の
例としては上記の高級脂肪族モノカルボン酸のアルカリ
および/またはアルカリ土類金属塩、例えばリチウム、
ナトリウム、カリウム、バリウム、マグネシウム、カル
シウム、ストロンチウムが挙げられ、特に好ましい化合
物としてはステアリン酸マグネシウム、モンタン酸カル
シウム、モンタン酸ナトリウム、エルカ酸ナトリウムな
どが挙げられる。
本発明におけるワックスは主成分、すなわち、50重量
%以上が上記した高級脂肪族モノカルボン酸またその誘
導体であるものである。
これらワックスの主成分の脂肪族モノカルボン酸部分
の炭素数が10未満の場合はフィルム表面へのブリードア
ウトが激しく、カレンダー汚れが不良となり、他方これ
が33を越える場合は耐スクラッチ性が不良となるので好
ましくない。ワックスの含有量は熱可塑性樹脂A100重量
部に対して0.005〜2重量部であることが好ましく、さ
らに好ましくは0.01〜1重量部、より一層好ましくは0.
05〜0.5重量部である。上記含有量が0.005重量部未満で
も、逆に2重量部を越えても耐スクラッチ性が不良とな
るので好ましくない。
本発明は、上記の特定のワックスを含有するA層がさ
らに特定の粒径/A層厚さ比および含有量、A層厚さを有
するときに、その相乗効果により格段の耐スクラッチ
性、耐ダビング性が得られるものである。
本発明の少なくともA層表面の表層粒子濃度比は、特
に限定されないが1/10以下、特に1/50以下である場合に
耐スクラッチ性がより一層良好となるので特に望まし
い。
本発明のフィルムは耐スクラッチ性の点で、少なくと
もA層の、表面から深さ3,000nmまで測定した不活性粒
子の濃度分布において、該粒子濃度が表層粒子濃度の10
倍となる深さ(表面からの距離)a(nm)と表層粒子濃
度と同じ粒子濃度となる深さb(nm)(b>a)の関係
が下式(i)および(ii)を満足することが好ましい。
10≦b−a≦1500 ……(i) 5≦a≦500 ……(ii) 本発明の熱可塑性樹脂A中には、本発明の目的を阻害
しない範囲内で酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸
収剤などの有機添加剤が、通常添加される程度添加され
ていてもよい。
本発明フィルムは上記組成物を二軸配向せしめたフィ
ルムである。一軸あるいは無配向フィルムでは耐スクラ
ッチ性が不良となるので好ましくない。この配向の程度
は特に限定されないが、高分子の分子配向の程度の目安
であるヤング率が長手方向、幅方向ともに350kg/mm2
上である場合に耐スクラッチ性がより一層良好となるの
できわめて望ましい。分子配向の程度の目安であるヤン
グ率の上限は特に限定されないが、通常1500kg/mm2程度
が製造上の限界である。
また、本発明フィルムは、ヤング率が上記範囲内であ
っても、フィルムの厚さ方向の一部分、例えば、表層付
近のポリマ分子の配向が無配向、あるいは、一軸配向に
なっていない、すなわち、厚さ方向の全部分の分子配向
が二軸配向である場合に耐スクラッチ性がより一層良好
となるので特に望ましい。特にアッベ屈折率計、レーザ
ーを用いた屈折率計、全反射レーザーラマン法などによ
って測定される分子配向が、表面、裏面ともに二軸配向
である場合に耐スクラッチ性がより一層良好となるので
特に望ましい。
さらに熱可塑性樹脂Aが結晶性ポリエステルであり、
その表面の全反射ラマン結晶化指数が20cm-1以下、好ま
しくは18cm-1以下、さらに17cm-1以下の場合に耐スクラ
ッチ性がより一層良好となるのできわめて望ましい。
本発明のA層の厚さは0.01〜3μm、好ましくは0.02
〜1μm、さらに好ましくは0.03〜0.5μmであること
が必要である。A層の厚さが上記の範囲より小さくて
も、逆に大きくても耐スクラッチ性が不良となるので好
ましくない。
本発明の少なくともA層表面の平均突起高さは5〜50
0nm、好ましくは10〜300nm、さらに好ましくは15〜200n
mの範囲である場合に耐スクラッチ性がより一層良好と
なるので特に望ましい。本発明の少なくともA層表面の
平均突起間隔は6μm以下、好ましくは4μm以下であ
る場合に耐スクラッチ性がより一層良好となるので特に
望ましい。
本発明のフィルムは耐スクラッチ性の点で、少なくと
も片面の表面粗さパラメータRt/Raが8.0以下、特に7.5
以下であることが望ましい。
本発明のフィルムは耐スクラッチ性の点で、少なくと
も片面の、表面粗さパラメータRz/Rtが0.85以上、Smが
6.0μm以下であることが望ましい。
本発明積層フィルムの積層の組合せは、特に限定され
ないがA/B、A/B/A、A/B/C等が好ましく用いられる。こ
こで熱可塑性樹脂B及びCは、熱可塑性樹脂Aに望まし
く用いられるものを使用することが望ましい。さらに、
熱可塑性樹脂A、B、及びCは同じ種類でも、異なるも
のでも良い。
本発明の熱可塑性樹脂Bを主成分とするフィルム(B
層)中には不活性粒子を含有している必要は特にない
が、平均粒径が0.01〜2μm、特に0.02〜0.45μmの不
活性粒子が0.001〜0.15重量%、特に0.005〜0.05重量%
含有されていると、耐スクラッチ性がより一層良好とな
るのできわめて望ましい。
熱可塑性樹脂B及びCに含有する不活性粒子の種類は
A層に望ましく用いられるものを使用することが望まし
い。A層、B層、及びC層に含有される粒子の種類、大
きさは同じでも異なっていても良い。
本発明フィルムは上記組成物からなる積層フィルムで
ある。通常の単層フィルムでは、耐スクラッチ性が満足
されないのみならず、上記の加工工程でのカレンダー削
れが不良となるので好ましくない。
次に本発明フィルムの製造方法について説明する。
まず、熱可塑性樹脂Aに不活性粒子を含有せしめる方
法としては、熱可塑性樹脂がポリエステルの場合には、
ジオール成分であるエチレングリコールのスラリーの形
で分散せしめ、このエチレングリコールを所定のジカル
ボン酸成分と重合せしめるのが本発明範囲のフィルム厚
さと平均粒径の関係、含有量、望ましい範囲の配向状態
のフィルムを得るのに有効である。また、不活性粒子を
含有するポリエステルの溶融粘度、共重合成分などを調
節して、その結晶化パラメータΔTcgを40〜65℃の範囲
にしておく方法は本発明範囲のフィルム厚さと平均粒径
の関係、含有量、望ましい範囲の配向状態のフィルムを
得るのに有効である。
また、不活性粒子のエチレングリコールのスラリーを
140〜200℃、特に180〜200℃の温度で30分〜5時間、特
に1〜3時間熱処理する方法は本発明範囲のフィルム厚
さと平均粒径の関係、含有量、望ましい範囲の配向状
態、表層粒子濃度比のフィルムを得るのに有効である。
また熱可塑性樹脂に不活性粒子を含有せしめる別の方
法として、粒子をエチレングリコール中で140〜200℃、
特に180〜200℃の温度で30分〜5時間、特に1〜3時間
熱処理した後、溶媒を水に置換したスラリーの形で熱可
塑性樹脂と混合し、ベント方式の2軸押出機を用いて混
練して熱可塑性樹脂に練り込む方法も本発明範囲のフィ
ルム厚さと平均粒径の関係、含有量、望ましい範囲の配
向状態、表層粒子濃度比、平均突起高さのフィルムを得
るのにきわめて有効である。
粒子の含有量を調節する方法としては、上記方法で高
濃度マスターを作っておき、それを製膜時に不活性粒子
を実質的に含有しない熱可塑性樹脂で希釈して粒子の含
有量を調節する方法が有効である。
次に、熱可塑性樹脂Bを主成分とするフィルムの少な
くとも片面に熱可塑性樹脂Aを主成分とするフィルムを
積層する方法としては、次の方法が有効である。
所定量の不活性粒子、ワックスを含有する熱可塑性樹
脂Aと熱可塑性樹脂Bを必要に応じて乾燥した後、公知
の溶融積層用押出機に供給し、スリット状のダイからシ
ート状に押出し、キャスティングロール上で冷却固化せ
しめて未延伸フィルムを作る。すなわち、2または3台
の押出し機、2または3層のマニホールドまたは合流ブ
ロックを用いて、熱可塑性樹脂A、Bを積層し、口金か
ら2または3層のシートを押し出し、キャスティングロ
ールで冷却して未延伸フィルムを作る。この場合、熱可
塑性樹脂Aのポリマ流路に、スタティックミキサー、ギ
ヤポンプを設置する方法は本発明範囲のフィルム厚さと
平均粒径の関係、含有量、望ましい範囲の配向状態、平
均突起高さ、表層粒子濃度比のフィルムを得るのに有効
である。また、熱可塑性樹脂A側の押し出し機の溶融温
度を、熱可塑性樹脂B側より、10〜40℃高くすること
が、本発明範囲のフィルム厚さと平均粒径の関係、含有
量、望ましい範囲の配向状態、平均突起高さ、表層粒子
濃度比、全反射ラマン結晶化指数のフィルムを得るのに
有効である。
次にこの未延伸フィルムを二軸延伸し、二軸配向せし
める。延伸方法としては、逐次二軸延伸法または同時二
軸延伸法を用いることができる。ただし、最初に長手方
向、次に幅方向の延伸を行なう逐次二軸延伸法を用い、
長手方向の延伸を3段階以上に分けて、操縦延伸倍率を
3〜9倍で行なう方法は本発明範囲のフィルム厚さと平
均粒径の関係、含有量、望ましい範囲の配向状態、表層
粒子濃度比のフィルムを得るのに有効である。ただし、
熱可塑性樹脂が溶融光学異方性樹脂である場合は長手方
向延伸倍率は1.0〜1.1倍が適切である。長手方向延伸温
度は熱可塑性樹脂の種類によって異なり一概には言えな
いが、通常、その1段目を50〜130℃とし、2段目以降
はそれより高くすることが本発明範囲のフィルム厚さと
平均粒径の関係、含有量、望ましい範囲の配向状態、平
均突起高さ、表層粒子濃度比のフィルムを得るのに有効
である。但しこの場合、延伸温度の設定は熱可塑性樹脂
Bを基準として設定する必要がある。また、長手方向延
伸速度は5,000〜50,000%/分の範囲が好適である。幅
方向の延伸方法としてはステンタを用いる方法が一般的
である。延伸倍率は、3〜5倍、延伸速度は1,000〜20,
000%/分、温度は80〜160℃の範囲が好適である。次に
この延伸フィルムを熱処理する。この場合の熱処理温度
は170〜200℃、特に170〜190℃、時間は0.5〜60秒の範
囲が好適であるが、2層積層フィルムの熱処理工程は、
熱可塑性樹脂A層に吹き付ける熱風温度を熱可塑性樹脂
B層よりも3〜20℃低くすることが、本発明範囲のフィ
ルム厚さと平均粒径の関係、含有量、望ましい範囲の配
向状態、平均突起高さ、表層粒子濃度比、全反射ラマン
結晶化指数のフィルムを得るのに特に有効である。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法] 本発明の特性値の測定方法ならびに効果の評価方法は
次の通りである。
(1)粒子の平均粒径 フィルムからポリエステルをプラズマ低温灰化処理法
で除去し粒子を露出させる。処理条件はポリエステルは
灰化されるが粒子はダメージを受けない条件を選択す
る。これを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、粒子の
画像をイメージアナライザーで処理する。観察箇所を変
えて粒子数5,000個以上で次の数値処理を行ない、それ
によって求めた数平均径Dを平均粒径とする。
D=ΣDi/N ここで、Diは粒子の円相当径、Nは粒子数である。
(2)粒径の相対標準偏差 上記(1)の方法で測定された個々の粒径Di、平均径
D、粒子数Nから計算される標準偏差σ(={Σ(Di
D)2/N}1/2)を平均径Dで割った値(σ/D)で表わし
た。
(3)粒子の含有量 ポリエステルは溶解し粒子は溶解させない溶媒を選択
し、粒子をポリエステルから遠心分離し、粒子の全体重
量に対する比率(重量%)をもって粒子含有量とする。
場合によっては赤外分光法の併用も有効である。
(4)結晶化パラメータΔTcg、融解熱 示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した。DSCの測定
条件は次の通りである。すなわち、試料10mgをDSC装置
にセットし、300℃の温度で5分間溶融した後、液体窒
素中に急冷する。この急冷試料を10℃/分で昇温し、ガ
ラス転移点Tgを検知する。さらに昇温を続け、ガラス状
態からの結晶化発熱ピーク温度をもって冷結晶化温度Tc
cとした。さらに昇温を続け、融解ピークから融解熱を
求めた。ここでTccとTgの差(Tcc−Tg)を結晶化パラメ
ータΔTcgと定義する。
(5)結晶化促進係数 上記(4)の方法で粒子を1重量%含有するポリエス
テルのΔTcg(I)、およびこれから粒子を除去した同
粘度のポリエステルのΔTcg(II)を測定し、ΔTcg(I
I)とΔTcg(I)の差[ΔTcg(II)−ΔTcg(I)]を
もって、結晶化促進係数とした。
(6)ヤング率 JIS−Z−1702に規定された方法にしたがって、イン
ストロンタイプの引っ張り試験機を用いて、25℃、65%
RHにて測定した。
(7)表面の分子配向(屈折率) ナトリウムD線(589nm)を光源として、アッベ屈折
計を用いて測定した。マウント液にはヨウ化メチレンを
用い、25℃、65%RHにて測定した。ポリマの二軸配向性
は長手方向、幅方向、厚さ方向の屈折率をN1、N2、N3
した時、(N1−N2)の絶対値が0.07以下、かつ、N3/
[(N1+N2/2]が0.95以下であることをひとつの基準と
できる。また、レーザー型屈折率計を用いて屈折率を測
定しても良い。さらに、この方法では測定が難しい場合
は全反射レーザーラマン法を用いることもできる。全反
射レーザーラマンの測定は、全反射ラマンスペクトルを
測定し、例えばポリエチレンテレフタレート(以下PET
と略記する)の場合では、1615cm-1(ベンゼン環の骨格
振動)と1730cm-1(カルボニル基の伸縮振動)のバンド
強度比の偏光測定比(YY/XX比等。ここでYY:レーザーの
偏光方向をYにして、Yに対して平行なラマン光検出、
XX:レーザーの偏光方向をXにして、Xに対して平行な
ラマン光検出)が分子配向と対応することを利用する。
ポリマの二軸配向性はラマン測定から得られたパラメー
タを長手方向、幅方向の屈折率に換算して、その絶対
値、差などから判定できる。この場合の測定条件は次の
とおりである。
光源 アルゴンイオンレーザー(5145Å) 試料のセッティング フィルム表面を全反射プリズムに圧着させ、レーザの
プリズムへの入射角(フィルム厚さ方向との角度)は60
゜とした。
検出器 PM:RCA31034/Photon Counting System(Hamamatsu C123
0)(supply 1600V) 測定条件 SLIT 1000μm LASER 100mW GATE TIME 1.0sec SCAN SPEED 12cm-1/min SAMPLING INTERVAL 0.2cm-1 REPEAT TIME 6 (8)全反射ラマン結晶化指数 全反射ラマンスペクトルを測定し、カルボニル基の伸
縮振動である1730cm-1の半価幅をもって表面の全反射ラ
マン結晶化指数とした。測定条件は上記(7)と同様で
ある。測定深さは、表面から500〜1,000Å程度である。
(9)固有粘度[η](単位はdl/g) オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度
から下記式で計算される値を用いる。すなわち、 ηSP/C=[η]+K[η]・C ここで、ηSP=(溶液粘度/溶媒粘度)−1、Cは溶媒
100mlあたりの溶解ポリマ重量(g/100ml、通常1.2)、
Kはハギンス定数(0.343とする)。また、溶液粘度、
溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。
(10)表層粒子濃度、表層粒子濃度比 2次イオンマススペクトル(SIMS)を用いて、フィル
ム中の粒子に起因する元素のうち最も高濃度の元素とポ
リエステルの炭素元素の濃度比を粒子濃度とし、厚さ方
向の分析を行なう。SIMSによって測定される最表層粒子
濃度(深さ0の点)における粒子濃度A(表層粒子濃度
と定義)とさらに深さ方向の分析を続けて得られる最高
濃度Bの比、A/Bを表層粒子濃度比と定義した。測定装
置、条件は下記のとおりである。
1次イオン種 :O2 + 1次イオン加速電圧:12KV 1次イオン電流 :200nA ラスター領域 :400μm□ 分析領域 :ゲート30% 測定真空度 :6.0×10-9Torr E−GUN :0.5KV−3.0A (11)表面突起の平均高さ、突起数、平均突起間隔 2検出器方式の走査型電子顕微鏡において、フィルム
表面の平坦面の高さを0として走査した時の突起の高さ
測定値を画像処理装置に送り、画像処理装置上にフィル
ム表面突起画像を再構築する。次に、この2値化された
個々の突起部分の中で最も高い値をその突起の高さと
し、これを個々の突起について求める。この測定を場所
をかえて500回繰返し突起数を求め、測定された全突起
についてその高さの平均値を平均高さとした。走査型電
子顕微鏡の倍率は、1,000〜8,000倍の間の値を選択す
る。平均突起間隔は突起数から求めた。なお、場合によ
っては高精度光干渉式3次元表面解析装置(WYKO社製TO
PO−3D、対物レンズ:40〜200倍)を用いて得られる高さ
情報を上記SEMの値に読み替えて用いてもよい。
(12)表面粗さパラメータRa(中心線平均粗さ)、Rt
(最大高さ)、Rz(10点平均粗さ)、Sm(突起間隔)、
Rp(中心線深さ) 表面粗さ計を用いて測定した。条件は下記のとおりで
あり、20回の測定の平均値をもって値とした。
・触針先端半径:0.5μm ・触針荷重 :5mg ・測定長 :1mm ・カットオフ値:0.08mm (13)耐スクラッチ性 フィルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたも
のをテープ走行性試験機を使用して、プラスチックガイ
ドピン上を走行させる(走行速度1,000m/min、走行回数
10pass、巻き付け角:60゜、走行張力:65g)。この時、
フィルムに入った傷を顕微鏡で観察し、幅2.5μm以上
の傷がテープ幅あたり2本未満は優、2本以上10本未満
は良、10本以上は不良と判定した。優が望ましいが、良
でも実用的には使用可能である。
(14)カレンダー汚れ 磁性層を塗布したフィルムを小型テストカレンダー装
置(スチールロール/ナイロンロール、5段式、ナイロ
ンロールがベースフィルムに接する)70℃、線圧200kg/
cmでカレンダー処理する。上記処理を70000mにわたって
続けた後、この処理によって発生したナイロンロールに
付着した白粉を観察し次のランク付けを行なう。
ランクA:白粉がほとんど付着していない。
ランクB:わずかに白粉が付着するが加工工程上、製品性
能上のトラブルには至らない。
ランクC:白粉の付着が多く、加工工程上、製品性能上の
トラブルになり、使用不可。
ランクA、Bは○、ランクCは×。
[実施例] 本発明を実施例に基づいて説明する。
実施例1〜4、比較例1〜4 平均粒径の異なる架橋ポリスチレン粒子、コロイダル
シリカに起因するシリカ粒子を含有するエチレングリコ
ールスラリーを調製し、これを190℃で1.5時間熱処理し
た後、テレフタル酸ジメチルとエステル交換反応後、重
縮合し、該粒子を1.0〜15重量%含有するPETのペレット
を作った。この時、重縮合時間を調節し固有粘度を0.70
とした。これに種々のワックスを含有するマスタポリマ
を所定量混合した(熱可塑性樹脂A)。また、常法によ
って、固有粘度0.62の実質的に不活性粒子を含有しない
PETを製造し、熱可塑性樹脂Bとした。これらのポリマ
をそれぞれ180℃で3時間減圧乾燥(3Torr)した。熱可
塑性樹脂Aを押出機1に供給し310℃で溶融し、さら
に、熱可塑性樹脂Bを押出機2に供給、280℃で溶融
し、これらのポリマを合流ブロック(フィードブロッ
ク)で合流積層し、静電印加キャスト法を用いて表面温
度30℃のキャスティング・ドラムに巻きつけて冷却固化
し、2層構造の未延伸フィルムを作った。この時、口金
スリット間隙/未延伸フィルム厚さの比を10として未延
伸フィルムを作った。また、それぞれの押出機の吐出量
を調節し総厚さ、熱可塑性樹脂A層の厚さを調節した。
この未延伸フィルムを温度80℃にて長手方向に4.5倍延
伸した。この延伸は2組ずつのロールの周速差で、4段
階で行なった。この一軸延伸フィルムをステンタを用い
て延伸速度2,000%/分で100℃で幅方向に4.0倍延伸
し、定長下で、200℃にて5秒間熱処理し、総厚さ15μ
m、熱可塑性樹脂A層厚さ0.05〜5μmの二軸配向積層
フィルムを得た。これらのフィルムの本発明のパラメー
タは第1表に示したとおりであり、本発明のパラメータ
が範囲内の場合は耐スクラッチ性は第1表に示したとお
り優であったが、そうでない場合は耐スクラッチ性を満
足するフィルムは得られなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−245520(JP,A) 特開 昭62−236736(JP,A) 特開 昭61−130043(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂Bを主成分とするフィルム
    (B層)の少なくとも片面に、不活性粒子および炭素原
    子数10〜33の高級脂肪族モノカルボン酸、そのエステ
    ル、そのアミドまたはその金属塩からなる化合物の少な
    くとも一種を含有する熱可塑性樹脂Aを主成分とするフ
    ィルム(A層)を積層してなる二軸配向積層フィルムで
    あって、該不活性粒子の平均粒径がA層の0.2〜5倍、
    A層中における該不活性粒子の含有量が2〜20重量%、
    A層の厚さが0.01〜3μmであることを特徴とする二軸
    配向積層フィルム。
  2. 【請求項2】該B層の片面のみに該A層を設けたことを
    特徴とする請求項(1)記載の二軸配向積層フィルム。
  3. 【請求項3】該B層の両面に該A層を設けたことを特徴
    とする請求項(1)記載の二軸配向積層フィルム。
  4. 【請求項4】該B層の片面に該A層を設け、反対面に不
    活性粒子を含有する熱可塑性樹脂Cを主成分とするフィ
    ルム(C層)を設けたことを特徴とする請求項(1)記
    載の二軸配向積層フィルム。
  5. 【請求項5】請求項(1)〜(4)のいずれかに記載の
    二軸配向積層フィルムであって、該B層が平均粒径0.01
    〜2μmの不活性粒子を0.001〜0.15重量%含有するこ
    とを特徴とする二軸配向積層フィルム。
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JPS62245520A (ja) * 1986-04-16 1987-10-26 Diafoil Co Ltd 磁気記録媒体

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