JP2648977B2 - 溶液の均一混合装置 - Google Patents

溶液の均一混合装置

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は溶質を含む二つ以上の溶液を均一溶液に混合
する溶液の均一混合化装置に関する。
更には溶質を含む二つ以上の溶液を均一混合して化学
反応させ、生成物質を生成する時のそれらの溶液の均一
混合化装置に関する。更には写真の分野において有用で
あるハロゲン化銀(以後「AgX」と記す)乳剤粒子の製
造装置に関する。更には該AgX乳剤粒子の化学増感用の
装置に関する。更には写真的に有効な添加剤溶液の該Ag
X乳剤への添加用装置に関する。
〔従来の技術とその問題点〕
溶質を含む二種以上の溶液を均一混合化する操作は化
学の分野でよく用いられる重要な基本操作である。従
来、この操作は撹拌羽根の回転、マグネチックスターラ
ーの回転、邪魔板の併用、ジェットミキサー、震盪およ
び超音波撹拌の単独およびそれらの2種以上の併用によ
り行なわれている。この均一混合操作の上手・下手が該
化学反応の円滑な進行、収量、副生成物の生成などに影
響することが多い。
例えば静置した液体2相間反応を考えてみると、これ
は撹拌均一混合化が最も悪い場合の化学反応に相当す
る。この場合、それぞれの液体中に溶解している溶質A
とBは該界面においてのみ接触し、反応する。しかし、
それで反応した生成物Lは該界面から取り除かれない
為、界面近傍において反応生成物の濃度が高くなる。そ
の為に主反応であるA+B→Lの反応が起こらなくな
り、代りに望ましくない副反応のL+A→LA,L+B→LB
が起こり、副生成物の収率が多くなる。従って均一混合
化操作がよくないと、一般に反応速度は遅くなり、か
つ、主反応生成物の収率が減少し、副生成物が多くなり
好ましくない。
従って、一般に溶液中において反応物質A,B,C……よ
り生成物質L,M,N……を生成する化学反応において、反
応物質を添加後、反応物質を迅速に撹拌し、均一混合系
にもっていく必要がある。特に該化学反応がいわゆる非
可逆過程反応に分類される反応の場合は特にその必要度
が高い。一般に化学反応速度は、該反応物質濃度に比例
し、更に温度が高くなる程、はやくなる。その為、該溶
質溶液の添加口近傍の他溶質濃度領域においては反応速
度がはやく、かつ、該反応による発熱の為に、更に反応
速度がはやくなり、局所的高速反応が生じる。可逆反応
系では、この行き過ぎた反応は、均一混合後、反応が逆
戻りしてバランスするが、非可逆反応系では均一混合後
の逆反応速度が非常に遅く、該局所的高速反応により生
じた不均一反応物が残存することが多い。
例えば銀塩とハロゲン化物塩(以後、X-塩と記す)か
らAgX乳剤粒子を製造する反応においては、銀塩および
またはX-塩溶液を容器内溶液(以下容器溶液と称する)
に添加した時、該添加溶液の添加口近傍の濃度が非常に
高く、かつ、該溶液の容器溶液全体への均一混合化に通
常、かなり長くの時間を要する為に次に示すような種々
の不都合な結果を生じている。
例えばAgBrの水溶液中における溶解度積は60℃で1.
58×10-11mole2/であり、一方、容器溶液に添加す
るAgNo3水溶液やNaBr水溶液濃度は通常、10-1〜3mol/
濃度である為、溶質の添加口近辺での平衡溶解濃度に対
する過飽和度は104〜106になり、非常に高い反応速度で
AgNO3−KBr→AgBr+KNO3の反応が進行する。該反応速度
は溶質濃度に比例し、該溶質濃度は撹拌の程度に依存す
る為、該反応速度は容器溶液の撹拌の程度に大きく依存
することになる。より具体的には、例えば核形成時には
生成する核の数または大きさ、および双晶面や転位等の
欠陥の混入は、容器溶液の過飽和度に依存する為、それ
らの核の特性が容器溶液の撹拌レベルに大きく依存する
ことになる。即ち、生成するAgX粒子の大きさ、形状が
容器溶液の撹拌レベルに大きく依存することになる。こ
れは同一のAgX乳剤製造処方を用いた場合、研究レベル
の小量の製造装置間における再現性を悪くしているが、
工場生産レベルの大量製造装置で製造する場合には更に
再現性を悪くしている。特に特願昭63−315741号記載の
単分散平行2重双晶粒子の場合、核形成時の過飽和度の
調節が重要である為、その問題が大きい。
AgCl,AgBr,AgIの二つ以上の混晶の成長時に、不均
一なX-塩溶液と銀塩溶液が溶質添加口近辺で不均一な反
応を起こせば、不均一混晶となる。即ち、粒子内におい
ても、粒子間においても、Cl-,Br-,I-の含有率が均一と
ならなくなることが考えられる。
感光性AgX粒子の場合、粒子成長中にAgX粒子内に形
成される還元増感銀核が、高感度化に寄与するが、該還
元増感が不均一になる。それは、同一容器溶液中におい
てAgX粒子上への還元銀核の形成は、Ag+濃度の高い所の
方が促進される為、AgNO3の添加口近辺でより還元核形
成が不均一に促進されて形成されるためである。
これらの場合、該不均一反応が生じると、AgX粒子は
そのままどんどん成長して大きくなる為、該不均一生成
物は通常の100℃以下の条件では、AgX粒子中に固定化さ
れたまま残る。
その他、2種以上の溶液の迅速な均一混合化が要求さ
れる例として、AgX乳剤の化学増感を挙げることができ
る。通常、AgX乳剤の化学増感過程は40〜80℃に加熱し
たAgX乳剤に対して化学増感剤を10-5〜10-7モル/モルA
gXの割合で添加して5分〜50分間程度の化学熟成をする
ことによりなされるが、その際、化学増感剤の添加した
所で急速な硫化銀や硫化金銀が生成し、AgX粒子間で付
近一な化学増感核形成が起こる。これは粒子間で写真感
度のバラツキを生じ、硬調な写真階調が得られなく、ま
た、重層系において好ましい重層効果が得られないとい
う不利益を生じる。従って該両者の迅速な均一混合化装
置が要求されている。
また、AgX乳剤に写真的に有効な添加剤を添加する場
合で、特に該添加剤とAgX乳剤粒子が非可逆過程を生じ
る場合(特にかぶらせ剤や還元増感剤との反応)にも、
該添加をより均一混合添加する必要がある。しかし、従
来の添加装置は十分に満足するものではなかった。
これらの不都合な点を改良するために反応物質溶液
(以後、添加溶液と記す)の添加方法や撹拌混合方法に
種々の工夫がなされてきた。AgX乳剤粒子製造装置では
添加溶液の容器溶液中への添加は、はじめの頃は添加チ
ューブを用いて滝状に容器溶液表面に添加されていた。
しかし、容器溶液表面近傍の撹拌状態は通常、他の部分
よりも劣る為、不都合を生じていた。容器溶液表面近傍
に撹拌羽根を設置し、添加された添加溶液を迅速に撹拌
混合しようとすると泡が激しく生じ、逆に撹拌効率を悪
くする結果となる。それは泡は容器溶液の1部であるに
もかかわらず、殆ど撹拌混合されないためである。ま
た、容器溶液を滝状に添加したとき、該添加により泡が
発生する点においても不都合である。その為、添加チュ
ーブの出口を容器溶液中の撹拌羽根近傍の所に設置し、
添加溶液を容器溶液中の撹拌羽根近傍に注入(直接液中
添加)し、撹拌効率を良くする工夫がなされた。
この方法の詳細に関しては特公昭55−10545号、米国
特許3,785,777、同3,790,386、同3,692,283、同3,415,6
50号の記載を参考にすることができる。これにより撹拌
効率は上がったが、しかし、添加チューブから流出する
濃い反応物質溶液層流が容器溶液中で不均一反応を起こ
すことや、該添加溶液が前述容器溶液中に均一混合され
るまでにかなりの時間を要することに変わりはない。ま
た、工場生産レベルでは、該添加チューブ径が太くな
り、より太い添加溶液の層流が流出される為にやはり、
該不均一反応が問題である。また、研究段階の小量製造
特性と工場生産段階の大量製造特性が一致しないという
問題も根本的には解決されていない。このような添加溶
液の添加方法の工夫の他、撹拌羽根の形状や設置位置の
工夫、撹拌方法として邪魔板を併用する工夫などが一般
に良く知られている。しかし上記問題を解決する為の従
来の試みはいずれも撹拌に伴うマクロ的な現象(液の流
動状態、乱れの大きさと強さ、吐出流量、消費電力等)
の解析を通して行なうことを意図したものばかりであ
り、原子・分子レベルで検討したものとはいえない。
例えば1938年のBcheの提案は反応容器内での溶
解、抽出、伝熱等の速度定数を一定に保持したままでか
きまぜタンクを相似的に拡大するためには「溶液の単位
容積あたりの消費電力が同一になるように拡大すればよ
い」とするものであり、1951〜1952年のRushtonの提案
は、これを発展させたものであるが、原子・分子オーダ
ーの撹拌均一混合化と直接に話がつながっていない。そ
してこの撹拌均一混合化過程の問題はこのハイテクノロ
ジーの現代においても、まだ明確にされていない未解決
問題として残されている。これらの詳細については、 化学工学協会編,「化学工学便覧」第20章,丸善(19
88年)、 三沢忠則編,増補「混合および撹拌」化学工業社,
(1989年)、 日本化学学会編,「新実験化学講座1」基本操作II,
第5〜2節,丸善,(1975年)、 の記載を参考にすることができる。
また、上記均一混合過程を撹拌羽根による撹拌過程の
みで行なおうとすると、激しい撹拌が必要になり、それ
によりAgX粒子が損傷を受け、現像した時にかぶりの多
いAgX乳剤となる問題もある。
これらの問題点を解決する為の別の試みとして、予め
調製したAgX超微粒子剤を添加する方法がある。(超微
粒子の平衡溶解度>種晶粒子の溶解度)の関係を利用
し、Ostwald熟成により種晶粒子を結晶成長させる方法
である。AgX超微粒子の溶解は徐々に起こる為、前記の
不均一反応は回避されるが、次のような多くの不都合が
存在する。
(1) 予めAgX超微粒子乳剤を調製し、冷蔵庫保存し
ておかねばならず、また添加するときにはゲル化したAg
X乳剤を加温して溶解させねばならず、製造手間がかか
りすぎる。
(2) 超微粒子AgXは不安定で、保存中にも微粒子間
のOstwald熟成で、粒子サイズが変化しやすい。従って
その溶解度が大きく変化し、結晶成長時の製造再現性が
悪い。
(3) 超微粒子とはいえ、そのような安定核の溶解度
は小さい為、該Ostwald熟成を促進する為にAgX溶剤を併
用させねばならず、AgX溶剤の副作用を伴ったAgX粒子と
なる。また、結晶成長系がOstwald熟成を許容する低過
飽和系となる為、生成するAgX乳剤粒子の粒子サイズ分
布が広くなる。その為、より溶解度の高い微粒子を作る
為に高過飽和度下で微粒子形成しようとする双晶粒子の
混入をきたし、逆に溶解しにくい粒子の混入をきたすと
いうジレンマをきたす。
(4) 該AgX微粒子は銀塩溶液とX-塩溶液を混合して
形成せねばならず、核形成時の前記問題は未解決のまま
である。
従って前記問題点が未解決であるという状態は変わっ
ていないといえる。本発明はこれらの問題を根本的に解
決する「溶液−溶液の均一混合装置」を提供するもので
ある。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は銀塩とX-塩からAgX乳剤粒子を製造す
る反応において、銀塩およびもしくはX-塩溶液を容器溶
液に均一に添加・混合する装置を与えることにより、製
造再現性が良く、AgX混晶粒子内のハロゲン組成、還元
増感レベルの均一性がよく、双晶面や転位等の欠陥の数
が制御され、もしくは除去され、形状が揃っていて単分
散性が良く、感度・画質に優れたAgX乳剤を提供するも
のである。
更には、AgX乳剤に化学増感剤溶液を均一に添加・混
合する装置を与えることにより、粒子間の化学増感の均
一性がよく、感度・画質に優れたAgX乳剤を提供するも
のである。
また、「1つのAgX粒子上の化学増感核の生成数/cm2
およびまたは場所が制御された粒子」において該制御性
を更に向上されたAgX乳剤を提供するものである。
更には、AgX乳剤にAgX写真的に有効な添加剤を含む添
加溶液を均一に添加・混合する装置を与えることによ
り、粒子間の写真特性の均一性がよく、感度・画質に優
れたAgX乳剤を提供するものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の上記目的は (1)少なくとも親水性分散媒と水を含む容器中に、少
なくとも銀塩と水を含有する添加溶液と、少なくともハ
ロゲン化物塩と水を含有する添加溶液とを加圧添加し均
一混合する事によりハロゲン化銀粒子を生成する均一混
合装置において、該添加溶液の少なくとも一方を、孔の
直径が10-6mm〜2mmの孔が1添加溶液当り孔数10〜1015
である多孔体を通して添加し、該分散媒濃度が0.05〜10
重量%であり、該分散媒がゼラチン、蛋白質、セルロー
ス誘導体、糖誘導体及び合成親水性高分子物質から選ば
れる事を特徴とする均一混合装置。
(2)該多孔体が該容器内溶液中にあり、1本のチュー
ブ(tube)あたり出口を2つ以上有するチューブ型多孔
体である事を特徴とする上記(1)記載の均一混合装
置。
(3)少なくとも親水性分散媒と水とハロゲン化銀粒子
を含む容器中に、化学増感剤、分光増感色素、カブリ防
止剤、かぶらせ剤、強色増感剤から選ばれる写真乳剤添
加剤を少なくとも1つ含有する添加溶液を添加し均一混
合するハロゲン化銀乳剤の均一混合装置において、該添
加溶液の少なくとも一方を、孔の直径が10-6mm〜2mmの
孔が1添加溶液当り孔数10〜1015である多孔体を通して
添加し、該分散媒濃度が0.05〜10重量%であり、該分散
媒がゼラチン、蛋白質、セルロース誘導体、糖誘導体及
び合成親水性高分子物質から選ばれる事を特徴とする均
一混合装置。
(4)該多孔体が該容器内溶液中にあり、1本のチュー
ブ(tube)あたり出口を2つ以上有するチューブ型多孔
体である事を特徴とする上記(3)記載の均一混合装
置。
によって達成された。
次に本発明をさらに説明する。
1. AgX乳剤の製造装置 本発明のAgX乳剤製造装置は容器中に少なくとも水と
分散媒を入れ、銀塩およびまたはX-塩溶液を多孔体を通
して撹拌しながら該容器溶液中に添加する製造装置であ
る。該多孔体は該容器溶液の液面の上部に設置して添加
することもできるが、その場合には該添加液を該容器溶
液の液面上にしか添加できない。これに対して該多孔膜
を該容器溶液中に設置した場合は、該添加溶液を該容器
溶液中に広く散在して添加できる為、この点でより好ま
しい。従って、主に該多孔膜を該容器溶液中に設置した
場合について、以下、説明する。
まず該多孔体から順に説明する。
A.多孔体とは 本発明でいう多孔体は形態的に次の2つに分類するこ
とができる。
I.一般にfilterと称されている膜状の多孔膜で、孔径サ
イズが超過(superfiltration,10Åφ以下)、限外
過(ultrafiltraiton,10〜104Åφ)、精密過(micro
filtration,200〜105Åφ)、過(filtration,孔径>
104Åφ)の範囲のもの。
II.一般にtubeと称されている中空の細長い細管で1本
のtubeあたりに1つの出口のみを有するものを指す。
本発明でいう多孔体は通常、上記のI類のものを指す
が、II類のものも好ましく用いることができる。それは
該細管の孔径を小さくし、用いる細管の本数を増してい
けばI類を用いた場合に近い効果が得られることがある
為である。しかし、小さい孔径で流量を大きくとれ、よ
り理想的な溶液添加ができるという点でI類の方が好ま
しい。ただし、中空糸状過膜を用いた場合と、管壁に
多くの穴を有するtubeを用いた場合のように両者の区別
がはっきりしない場合があるので、IIは1本のtubeあた
りに出口を1つのみ有する細管を指すとものとする。1
本のtubeで2つ以上を出口を有するものをI類とする。
本発明でいう多孔体の孔の数は1添加溶液あたり、該
容器溶液中に10個〜1015個より好ましくは100〜1015
の孔を有する溶液添加系を指す。小孔系多孔体の孔数は
光学顕微鏡、電子顕微鏡で単位面積あたりの孔数を数え
ることにより求めることができる。
また、該多孔体の孔系は好ましくは2mm以下10-6mm以
上、好ましくは10-6mm〜0.5mm、更に好ましくは2×10
-6mm〜0.1mm、最も好ましくは2×10-6mm〜10-3mmであ
る。ここで孔径とは孔の面積と等しい面積の円の直径を
指す。孔径は小さければ小さい程、そこから流出する添
加溶液の液塊の大きさが小さくなり、流出した所ですで
に均一混合化された状態となる為、より好ましい。しか
し、孔径<10Åφの超濾過領域は半透膜、透析膜、逆浸
透膜と呼ばれる領域であり、H2Oのように小さい分子量
の分子を通すが、大きな分子量の分子を通さない。本発
明の場合、例えばAgNO3水溶液の内、低分子量のH2Oをよ
く通すが、Ag+NO3 -(水和している)を通さないかもし
くは通しにくい状況となる。この場合には反応物質が容
器溶液中に意図した通りに供給されない為、好ましくな
い。従って孔径としては、添加溶液中の溶媒分子も溶質
分子もほぼ同じ透過率で透過できる孔径領域が好まし
く、それは通常、限外過領域、精密過領域、過領
域であるとよばれている領域である。一方、出口孔径が
孔径>0.5mmφ、特に孔径>2mmφでは、そこから流出す
る添加溶液の流塊が大きくなり、撹拌による均一混合化
の出発点が非常に均一混合化の悪い状態となる。これは
特に該流塊近傍で不均一反応が多く生じる為に好ましく
ない。また、上記の孔径104〜20Åφ領域は後述の如
く、分子拡散項を大きくするという点で好ましい領域で
ある。従って好ましい孔径範囲は上記領域である。
その他、孔径としてはAgX乳剤粒子(粒径は通常0.1〜
3μmφで、粒子の表面にはゼラチン分子が吸着してい
る)を通さない孔径の多孔体〔即ち(孔径<該AgX)の
多孔径)の多孔体〕は、たとえ添加溶液側が減圧となっ
た場合でも、AgX乳剤粒子が該多孔体の中に入ってこな
いという点で好ましい。
該孔径のサイズ分布は狭い方が好ましい。それは各孔
から均等な添加液が流出すること、および後述のC.
(i)項記載のΔP調節がよりスムーズに行なえる為で
ある。好ましい孔径サイズ分布は該変動係数で50%以
下、より好ましくは35%以下、更に好ましくは20%以下
である。
また、孔の形状は円筒形や楕円状でも多角形(3角形
〜∞角形)状でもよい。また、カミソリの刃で切ったよ
うな細長い切り口でもよい。この場合は該溝幅の口径の
孔が線状に並んでいると見なすことができ、穴の数は
(該切り口の長さ/該切り口の幅)と見なすことができ
る。
孔の分布は反応容器中に広く散在していることが好ま
しい。それは反応物質溶液が添加された時点において、
即に添加溶液が全容器溶液に均等に行き渡り、均一混合
化された状態となるためである。従って多孔体は孔径が
許容範囲内にできるだけ小さく、かつ、添加液の添加口
面積はできるだけ大きいことが好ましい。好ましい該添
加口総面積は容器溶液1あたり、1添加溶液あたり、
12mm2以上、より好ましくは1〜5000cm2、更に好ましく
は4cm2〜1000cm2である。該反応容器の大きさが限られ
ている為、該面積を大きくしすぎると該容器内が該多孔
体だらけになり、撹拌に支障をきたす。従ってそのよう
な支障の少ない範囲内で該面積を大きくすることが好ま
しい。
また、孔の位置をより広く散在させる為に、該多孔膜
の一部を例えば有機高分子材料等で孔を充てん合着させ
たり、表面塗布し、該多孔膜の一部をふさぐこともでき
る。孔の位置が散在している程度(SC)を定量的に表わ
すと、次式で表わされる。
但しi>j ここで(xi,yi,zi)は該容器溶液中のi番目の孔の中
心位置を示す座標を指す。SCの値が最も大きくなる位置
が最も孔の散在をしていることを示す。孔の数が一定の
時はd(SC)/d(xi,yi,zi)=0の位置がSCの極大点を
与える。孔の数を一定とした時の最大SC値の好ましくは
10%以上、より好ましくは30%以上になるように孔の位
置を容器内に配置することが好ましい。但し、容器溶液
の表面近傍(該表面から1cm以内)には泡が存在するこ
とが多い為、避けた方がよい。
本発明の装置の主旨は次の通りである。例えば出口面
積5mm2のtube1本で反応物質溶液を添加する場合に対
し、出口面積1mm2のtube5本を反応容器中に散在させて
添加溶液を添加した方が、添加出口の所で既に約5倍の
均一化混合がなされていると見なすことができる。
より一般的に述べると出口面積5mm2/nのtube n本を反
応容器中に散在させて添加溶液を添加した方が添加出口
の所で即に約n倍の均一化混合がなされていると見なす
ことができる。従って本発明の最も理想的な形態はこの
nの数を局限にまで大きくした形態であり、具体的に
は、原子・分子オーダーの孔が容器溶液中に散在し、添
加した添加溶液が添加出口近傍において既に原子・分子
オーダーの均一混合化がなされている場合である。いず
れにしろ、従来は通常、1つの添加溶液につき1つの流
出口をもつ1本のtube(反応容器の大きさにより出口径
が2mm〜2cmφのtubeが通常、用いられている。)が用い
られているが、本発明の装置の添加溶液の添加は、小径
の穴を多数有する多孔体を通して行なわれる為、添加出
口の所で即に均一混合に近い形で行なわれるのである。
1つの孔を内径の半径r、長さlの円筒細管で近似す
ると、この1本の円筒細管中を流れる粘性流(層流)の
流量Qは一般に次のHagen−Poiseuilleの式で表わされ
る。
ここでP1とP2は細管の入り口と出口の圧力、ηは溶液
の粘度である。従って孔形が小さくなればなる程、孔の
断面積(A)比例以上に流出量が低下する。例えば孔形
半径がr/nになると流量はA/n2に低下する。これは細管
自体が制止している為、流出溶液が管壁から、より大き
な抵抗を受ける為である。しかしこの関係は(2)式が
成立する領域において孔径を1/nにすれば、同一操作
圧、同一添加流量の添加系においては、添加溶液の添加
口面積をn2倍にできることを示しており、本発明の系に
おいてはこれは有利に働く。即ち、添加溶液の添加口面
積を大きくし、かつ、容器溶液中にできるだけ広く散在
させ、添加出口近傍で直ちに分子レベルの均一混合化が
なされているという理想状態により近づくことができる
為である。しかし反応容器の大きさが限られた大きさで
ある為、該添加口面積を大きくするにも限りがある。そ
の為に流量を大きくとることができなくなる。この場合
にも(2)式の関係式を利用することができる。(2)
式によると該流量は該細管の長さに逆比例する。即ち流
量を大きくする為には該細管の長さを短くすればよい。
従来の添加tubeは、研究レベルの小量(容量4程度)
のAgX乳剤製造装置で25〜35cmであるが、多孔膜の場
合、該多孔膜の構成材料にもよるが対称型の場合、約50
μm〜2cmにまでlを短くすることができるというメリ
ットを有する。この下限限界は主に該多孔膜の膜強度か
らくるものである。また厚い方は、あまり厚くなりすぎ
ると、反応容器内でかさばり、邪魔になる為であり、よ
り好ましくは約50μm〜0.5cmである。
該膜構造をLoeb型(非対称膜)にした場合には更にl
を短くすることができる。これは孔径の大きい多孔膜上
に孔径の小さい多孔膜を積層した構造をしており、前者
の層は厚く、膜強度を大きくする役割を持ち、後者の層
は薄く、従って(2)式のlが小さい微細孔膜層の役割
をもつ。該積層型構造は同一材質膜で構成(例えば有機
高分子膜−有機高分子膜)してもよく、異なる材質膜
(例えばセラミックス膜−有機高分子膜)で構成するこ
ともできる。最初にLoebが作った該積層型膜では該支持
層の厚さが100〜200μmで、該薄層(活性層と称する)
の厚さが0.1〜0.25μmであったが、本発明では本発明
の使用目的に応じて該支持層の厚さと、該活性層の厚さ
を選ぶことができる。この場合のそれぞれの層の厚さ
は、主に該膜強度から制限を受ける。該活性層の厚さは
通常0.05μm以上が好ましく、0.1〜100μmがより好ま
しい。(該支持層+該活性層厚)は50μm〜2cmが好ま
しく、100μm〜0.5cmがより好ましい。いずれにしろ、
前記IIに比べて、I類の多孔膜は、該孔径を小さくした
時に生じる流量低下を、(2)式のlを小さくすること
により補うことができ、孔径を更に小さくできるという
点でより好ましい。
上記積層型膜の使用形態としては該活性層を容器溶液
側に向ける形態と、該活性層を添加溶液側に向ける形態
のいずれにも用いることができる。しかし、後者の場合
には、印加圧は該活性層側から支持層側に印加される
為、該活性層が膜はがれを生じる恐れはなく、その点で
より好ましい。
その他、層構成として粗孔膜/微孔膜/粗孔膜の三層
構成の多孔膜も好ましく用いることができる。この場
合、容器溶液側の粗孔膜部は、該活性層の補強層として
作用する。添加溶液側の粗孔多孔膜では、その厚さが厚
くなっても、その流動抵抗による圧損失を生じなければ
支障が生じないが、該容器溶液側の粗孔膜の厚さが厚く
なると、該粗孔部より添加溶液が添加される態様に近づ
き、好ましくない。従って該膜厚は、該微径部よりのジ
ェット流に支障をきたさない範囲にすることが好まし
い。この場合、粗孔膜の該圧損失は印加圧の30%以下が
好ましく、10%以下がより好ましい。
前記II類の場合には細管の長さlは通常4リットル程
度の反応容器の場合5〜50cm程度が用いられる。また、
該tubeを多数本用いる場合、該容器溶液中の到る所に添
加口を配置する為に、種々の長さのtubeを組み合わせて
用いることができる。この場合、長いtubeと細いtubeの
流量を合わせる為には(2)式に従って該tubeの太さを
調節すればよい。また、1本のtubeに多数本の枝tubeを
有するtubeを用いてもよい。多孔膜の場合に比べてより
容易に添加を該容器溶液中に散在させ、(1)式のSC値
を大きくすることができる利点を有する。またこの場
合、該tubeの太さは圧損失の少ない太さにし、添加口の
孔径を該tube径より小さくして用いることもできる。
また、孔径を小さくした場合に生じる流量低下を補う
為に溶液を押し出す圧((2)式の(P1−P2)に相当す
るΔP〕を大きくすることができる。用いることのでき
るΔPは通常は0.05〜50kg/cm2であり、好ましくは0.1
〜20kg/cm2である。あまり大きくすると、膜が破れた時
に添加溶液が飛び散り危険である。特にAgNO3溶液が飛
散すると危険である。
また、添加液の流量としては1の容器溶液に対して
0.1〜200ml/分領域が好ましく、0.3〜100ml/分領域がよ
りましい。
該添加法では低流量側(0.1〜3ml/分)も添加精度が
よく、かつ、ΔPを大きくとれる為に、添加中に反応溶
液の添加系への逆流も生じないという利点を有する。こ
れは次のような理由による。該多孔膜で隔てられた2相
の溶液間における溶質イオンの化学ポテンシャル差(Δ
μ)は Δμ=−SiΔT+ViΔP+ZiFΔψ +RTΔlnCi ……(3) で表わされる。但し、Δμ=該2相での物質iの化学
ポテンシャル差,ΔT=温度差、ΔP=圧力差、Δψ=
電位差、Ci=iの濃度差、Si=部分モルエントロピー、
Vi=部分モル体積、Zi=電荷数、F=Faraday定数、R
=気体定数である。添加溶液側のPを大きくすると添加
溶液側の各種溶質イオンも溶媒分子もその化学ポテンシ
ャルが高くなり、添加液側から該容器溶液側への物質移
動は起こるが、該容器溶液側から添加溶液側への溶質や
溶媒の逆流は生じ難くなる。多孔膜を用いた場合、添加
口の開口面積が大きくなるにもかかわらず、そのような
逆流が生じ難いのは該多孔膜で隔てられた該2液間のΔ
μiが大きい為である。ここでΔは該2液間の距
離である。従って低流量側においても逆流を防ぐという
点で該多孔間の厚さlは小さい方が好ましい。
該多孔体の材質としては、添加溶液や容器溶液と反
応しない材質のもの、温度(通常は20〜80℃領域)に
対して安定なもの、AgX乳剤製造時に用いられる容器
溶液のpH領域(通常はpH3〜10)で安定なもの、過
圧を大きくとれる(理想的強度が大である)もの、孔
径サイズや分布を意図通りに調整しえるもの、が好まし
い。用いることのできる材質としてはセラミックス〔ガ
ラス(ケイ酸円)、アルミナ(Al2O3)、二酸化ケイ素
水化物、シリカアルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタ
ンおよびそれらの2種以上の混成物、炭化ケイ素(Si
C)、シリカゲル等〕、耐蝕性金属や不動態様を形成す
る金属〔ステンレス鋼、Al、Ti、Al−Mg系、Al−Mn系、
Al−Si系、ニクロム系、白金、金、モネルメタル、Cu−
Ni系、Cu−Ni−Sn系、Cu−Al系等〕、合成有機高分子材
料〔テフロン、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリアク
リロニトリル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリフッ
化ビニリデン、ポリプロピレン、エポキシ、ポリカーボ
ネート、ビニル系(ポリ塩化ビニル、変性ビニル、塩ビ
−アクリル共重合体)等〕、天然有機高分子材料〔セル
ロース、セルロース誘導体(酢酸セルロース、ニトロセ
ルロース等)、タンパク質分子(硬膜したゼラチン膜、
フィブリノーゲン等)、およびそれらの2種以上の複合
材料、その他、合成および天然有機高分子材料で被覆し
た金属材料を挙げることができる。これらの材料の詳
細、特性、製法等の詳細に関して、た該多孔膜の全般に
関しては、近藤連一著,多孔材料,技報堂,(1973
年)、三沢忠則編,過,化学工業社,(1987年)、B.
Jirgesons and M.E.Straumanis著,玉虫文一監訳,コロ
イド化学,第15章(1967年)、大矢晴彦編著,膜利用技
術ハンドブック,幸書房(1983年)、日本化学学会編,
化学便覧,応用編第8・10節、第12・7節、第15・10
節、第16・6節、丸善出版(1986年)、同10・3・4
項、10・12・4項,丸善出版(1980年)、M.J.Matteson
and C.Orr,Filration,Marcel Dekker,Inc.,New York
(1987年)、J.B.Poole and D.Doyle,Solid−Liquid Se
paration,P.421〜447,Her Majesty′s Stationery Offi
ce(1966年)、日本金属学会編,金属便覧,第11,12
章,丸善(1982年)の記載を参考にすることができる。
次に本発明に用いるさとのできる多孔膜の種類につい
て更に説明する。
B.多孔膜の詳細 (i)微粒子結合体多孔膜 セラミックス粒子、金属粒子、有機高分子粒子および
それらの複合粒子(例えば金属粒子表面を合成有機高分
子材料で被覆した粒子)の粒子同志を融着させて形成し
た多孔膜、孔径は骨剤粒子の粒子径が小さく、結合剤の
量が大い程、一般的に平均径は小さくなる。また該粒子
の粒子サイズ分布が狭い程、また形状が揃っている程、
該孔径のサイズ分布は狭くなる。該形状が球の場合、該
孔径は予め計算で予知できるという利点を有する。材質
としてのセラミックス材は次のような特長をもつ。
フッ酸、アルカリ(pH>11)以外のあらゆる腐食液
に対して優れた耐蝕性を有している。アルカリ液に対し
てはカーボン系セラミックスが耐蝕性を有する。
耐熱性が良く、熱変形、軟化が全く無く、〜1000℃
までの使用にも耐える。熱膨張率が小さい為、温度変化
による孔径変化が小さい。
気孔分布が比較的均一で約0.1〜600μmの範囲の細
孔径を任意に作ることができる。
軟膜の場合、加圧により圧密化し、孔径が小さくな
り、流量を大きくすることができなくなるが、剛性が大
の為、それが生じない。
溶出物が発生せず、添加溶液や容器溶液への汚染が
ない。
セラミックス多孔体は一般には所定粒度の骨材を結合
剤で均一に塗布し、これを金難等に詰め、所定形状に成
形し、乾燥し、焼成して得られる。結合剤は高温焼成
(1000〜1400℃)によって溶融し、骨材と表面で反応し
強固な塗膜層を形成すると共に、結合材相互の溶着によ
って骨材を結合する機能を持つ。結合剤を殆んど使用せ
ず、骨材の自己結合によって多孔膜を作ることもでき
る。成形時に粗径骨材部、微細骨材部を作り分けて、溶
液流出部を散在させることもできるし成形後、表面にい
わゆる上ぐすり(ガラス質)を塗布し溶液流出部を散在
させることもできる。また、粗径骨材からなる成形部上
に、微細骨材からなる層を塗布し、焼成し、前述のLoeb
型構造多孔膜とすることもできる。また、微細骨材層で
成形した後、針状のもの、もしくは細線で所定の場所に
所定の口径の孔を開けた後、焼成することもできる。
金属粒子を焼結またはホツトプレスすることにより金
属多孔膜を形成することができる。粒子同志が相互に密
着して固結し、多孔膜が形成される。多孔金属フィルタ
ーは一般に球状に近い金属粉を原料とし、これを所定の
粒度に分けて焼結して作られる為、孔径は予め計算で予
知できて、サイズ分布も狭いという利点を有する。ま
た、溶質成分を吸収・吸着することもなく、強度、耐熱
性、耐衝撃性にも優れ、熔接、ろう付などの細工やメッ
キ等も行なうこともできるというメリットを有する。
上記セラミックス材や金属材と有機高分子材料との複
合材料も用いることができる。即ち結合剤として合成樹
脂等の有機結合剤を用いることもできる。球状粒子材料
としてはその他、有機高分子材料(例えばDow Chemical
社のPolystyre neuiform latex粒子等)、球状繊維体
(繊維を加工成形し、小さな毛球とし、該毛球の集合結
合体からなる多孔膜)等を挙げることができる。
上記記載の多孔膜の成形法としては鋳込み成形法、可
塑成形法、加圧成形法を、焼結方法としては加圧焼結法
等を用いることができる。
(ii)織布繊維多孔膜 織布繊維多孔膜の場合は、光学顕微鏡もしくは電子顕
微鏡で表面を観察すると、通常は縦糸と横糸が碁板の目
状に配列しており、該糸間の四角形の孔サイズが孔径と
なる。この場合、縦糸と横糸の交差点が結合剤や融着等
で固定された場合、使用による孔径変化が少ない為によ
り好ましい。また、これらの織布を2層以上に重ねて縫
合もしくは合着したもの、孔径の異なる織布を前述のLo
eb型に縫合もしくは合着したものも好ましく用いること
ができる。この場合、糸の太さaと孔径bの比a/bがそ
こを通過する添加溶液の流動特性や膜の強さ等に影響す
る。この場合、aもbも制御して作ることができるの
で、該流動特性値は、ほぼ予測することができ、また孔
間距離も制御できる。該aとbのサイズ分幅も製造条件
の調節により調節することができる為、ほぼ意図通りの
多孔膜を作ることができるというメリットを有する。該
糸は単糸とより糸があるが、単糸の方がより正確に流動
特性を理論予測できるというメリットがある。糸の断面
形状は円形、楕円形、長方形、正方形等を目的に応じて
使い分けることができる。正方形、長方形は孔径が膜の
厚さ方向に対しても揃っているので(2)式で理論予測
できるという点でより好ましい。糸の材料としては有機
高分子繊維の他、前記無機材料の繊維(ガラス繊維、石
綿、アルミニウムシリケート質繊維、アルミナ質繊維、
炭素繊維、各種セラミックファイバー、金属繊維)も用
いることができる。
(iii)不織布繊維多孔膜 不織布繊維多孔膜としてはプレスフェルト、合繊フェ
ルトおよび乾式不織布、湿式不織布を挙げることができ
る。湿式不織布は抄紙機で製造される紙等を指す。不
織布繊維は織布繊維に比べ、どこで裁断しても裁ち目か
らのほつれがないこと、三次元的な繊維充てん層の細孔
が形成されるために空隙率が比較的に高く、過流量が
大きいことなどのメリットを有する。糸の材料としては
織布繊維多孔膜の場合と同様に、有機高分子繊維の他、
無機材料繊維も用いることができる。
(iv)膜状多孔膜 膜状のフィルターで最も小さい孔径を有するものはメ
ンブレンフィルターと称するもので、高分子鎖間の間隙
を低分子量溶液を通過するタイプの多孔膜である。分枝
構造をもつ高分子はbulky分子である為、該分子からな
る膜では一般的にその間隙が大きくなる。
まずゼラチン膜フィルターから順に説明する。
分解していないゼラチン分子の場合は、分子量が約10
万であり1分子あたり約40点の架橋点を有する。従って
該ゼラチンと写真用硬膜剤の混合モル比を1〜40〜1間
で調整することにより、該分子のnetworkの網目の大き
さを自由に調整することができるという利点を有する。
この写真用硬膜剤に関しては特開昭63−305343合および
後述の記載を参考にすることができる。ゼラチンとして
は通常のアルカリ処理ゼラチンや酸処理ゼラチンの他、
フタル化ゼラチンや酸アミド化ゼラチンのような修飾ゼ
ラチン、および酵素、酸またはアルカリ等で分解した低
分子量ゼラチンも該膜特性を調整する為に用いることが
できる。該修飾を受けた位置は硬膜剤の架橋点にはなら
ない。
該修飾ゼラチンに関しては後述の記載を参考にするこ
とができる。また膜質を均一にするという点で、該等電
点が揃い、分子量分布の狭いゼラチンが好ましい。該ゼ
ラチンの分子量分布はフィルターによる分子量画法やゲ
ル過クロマトグラフィー等の分画手法で狭くすること
ができる。
AgX写真の分野では、該ゼラチン膜を通して種々の現
像主薬、発色剤等の写真的に有用な分子が行き来し、有
用に使用されている実績を有する為、該ゼラチン膜は本
発明にも好ましく用いることができる。ゼラチンは他の
タンパク質と異なり、加熱によっても変性しないという
好ましい特性を有する。また、ゼラチン膜のように吸水
し、膨潤する膜では、該膨潤により該間隙が大きくな
る。使用中に該間隙が変化し、添加流量が変化すると困
るから、このような場合には先に水で膨潤させ、平衡状
態にしておいてから使用することが好ましい。
コロジオン膜は線形長鎖のニトロセルロース分子が分
子間でからみ合った網目構造を有する膜であり、透明膜
は100〜400Åの孔径を、半透明膜は400〜1200Åの孔径
を、不透明膜は1200Å以上の孔径を有する多孔膜であ
る。この場合、1本の分子が均一にほぐれていると平均
孔径は小さく、数本の分子がより集まった繊維からなる
場合は平均孔径が大きい。従ってそのような分子状を調
節することによっても孔径を調節することができる。線
形長鎖分子は一般に鎖の長さが長くなる程、ゲル化した
networkを作りやすい。
その他、酢酸セルロース膜のように良溶媒に溶解さ
せ、製膜し、次に貧溶媒に膜を浸し、分子を球状化さ
せ、次に熱処理をし、球状粒子が互いにそのとびでた分
子鎖でからみあって結合された多孔膜を挙げることがで
きる。この場合、貧溶媒の程度、熱処理法により、平均
孔径が0.1〜10μmφの多孔膜が形成される。
膜状多孔膜としてはその他、その他多孔膜〔微量の架
橋剤ジビニルベンゼンを含むポリスチレン膜、ペクチン
(親水性長鎖の多糖類)、ゲル酸ゲル、ゴム、水酸化ア
ルミニウム等、およびポリスルホン、ポリフッ化ビニリ
デン、ポリアミド、ポリフッ化エチレン(テトラ、ト
リ、ジ、モルフルオロエチレン)等〕の他、ポリスチレ
ンスルホン酸ナトリウム、アクリロニトリル共重合体
膜、12−ナイロン等のイオン選択透過膜を挙げることが
できる。このイオン選択透過膜の場合、例えば陽イオン
選択透過膜をAgNO3水溶液添加系に用いると、Ag+が選択
的に透過し、NO3 -は該膜との電荷反発により透過しがた
くなる。また、陰イオン選択膜をNaBr水溶液添加系に用
いると、Br-が選択的に透過し、Na+は該膜との電荷反発
により透過しがたくなる。従って、理想的にはAg+とBr-
と水だけが添加系より供給され、反応容器内でAgDr粒子
が生じ、NaNO3が生じなくなり、後の脱塩工程を省略も
しくは軽減することができることを示す。これはAgX乳
剤の製造工程を簡略化できるという利点を有する。
膜状多孔体としてはその他、foam(膜材料が連続相を
形成し、その中に独立気泡または連通気泡が分散したも
の)と称されるものを挙げることができる。発泡ポリウ
レタン、発泡ポリスチレン等であり、発泡成形法(成形
時に揮発性液体または分解発泡剤を混入する、空
気、窒素などを吹き込む、スプレーにより泡を作る、
反応生成ガスを利用するなどの方法〕で作ることがで
きる。材料として有機高分子材料の他、発泡アルミニウ
ムのように溶融金属に発泡剤を添加したもの、泡ガラス
のようにガラス粉体と発泡剤との混合物を焼成して作っ
たもの等を挙げることができる。
その他、分相ガラス多孔膜も挙げることができる。
(v)微細加工膜 まず、有機高分子微細加工膜から順に説明する。有機
高分子膜に光(自然光、単色光、レーザー光、シンクロ
トロンラジエーション光、紫外光、遠紫外光)、X線、
電子線、電荷粒子線、高エネルギー線を照射することに
より高高分子膜の溶解性が(変性、架橋、崩壊、解重
合、重合反応などにより)変化することを利用して該高
分子膜に穴をあけることができる。容易さの点でフォト
ポリマーが最も多用されている。該膜は印刷工業をはじ
め、プリント配線板、シャドウマスクなどの精密加工、
超LSI半導体の微細加工用に用いられている。この内、
微細加工性の点で超LSI半導体微細加工用レジスト膜は
本発明用として好ましく用いることができる。具体的に
はフォトレジスト材料としてポリイミド、ポリ(ケイ皮
酸ビニル)、ゴム/アジド系レジスト、o−ナフトキノ
ンジアジドスルホン酸エステル(NQD)/ノボラック樹
脂、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メチルイソプ
ロペニルケトン)、フェノール樹脂、/芳香族アジドな
ど挙げることができる。電子線レジスト膜としてクロロ
メチル化ポリスチレン、塩素化ポリ(メチルスチレ
ン)、ノボラック/ポリ(メチルペンテンスルホン)等
を挙げることができる。X線が物質に及ぼす化学作用は
電子線のそれに似ているので、電子線レジストはそのま
まX線レジストとして使える。
また、該解像度を高める為の高解像度化技術(Contra
st enhancing layer法、post exposurebake法、resolur
ion enhanced lithography法、HARD法、LENOS法、像反
転法等)や多層プロセス法(二層法、三層法等)、diff
usion controlled silyating resist法、エキシマーレ
ーザーリングラフィー、Deep UVリングラフィー法、ド
ライ現像レジスト法も好ましく用いることができる。特
にO2reactive ion etching法を用いた異方性エッチング
法は孔の深さ方向に対する横方向への広がりも少なく、
高精度の加工ができる為に好ましい。
上記有機レジスト膜の他に無機レジスト膜も挙げるこ
とができる。
これは半導体微細加工の場合と異なり、〔一度製作
すれば何回も使用できる為、電子線描画のように時間を
要する方法も好ましく用いることがでいる。半導体に
対する損傷対策を考慮しなくてよい為、高エネルギー荷
電粒子線、電子線、X線等による描画法も用いることが
できる。必ずしも膜の厚味方向に対して、垂直な孔で
なくてもよい。厚味方向に対して孔径が広がる形態であ
ってもよい。添加溶液の出口部の孔径が小さければよ
い。孔間距離が大きい為、微細加工時の相互作用効果
等を考慮しなくてもよい。〕というメリットを有する
為、より高精度の微細加工を行うことができる。
これらのフォレジスト膜の機械的強度を補強する為に
他の粗孔膜と重ね合わせた積層構成にして用いることが
好ましい。即ち、他の粗孔膜上に該レジスト膜を塗布
し、露光し、現像し、微細孔を意図通りに形成するもの
である。
また、SiO2,Al等の基板上にレジスト膜を塗布し、パ
ターニングをした後、dry etching法もしくはwet etchi
ng法により該基板に孔をあけて多孔膜を形成することも
でのる。この中で特に、Reactive ion etching法は真空
中で電張で加速されたイオンによるetchingである為、
横方向への広がりの少ない方向性を有するエッチングが
でき好ましい。
その他、電子顕微鏡観察用支持体として用いられてい
るようなメッシュがある。これらのメッシュは主に化学
的腐食法や電鋳法による作られている。また、カラーテ
レビのブラウン管に用いられているシャドウマスク等も
挙げることができる。これらは主にフォトエッチング加
工により作られている。
これらの微細加工膜では設計通りの孔径、孔間距離、
孔径サイズ分布、孔長の多孔膜を得ることができる為、
特に好ましい。これらのレジスト材料、レジスト技術、
エッチング材料、エッチング技術、マイクロ微細加工法
等の詳細に関しては、日本化学会編,化学便覧 応用化
学編 第14・4節,丸善(1986年)、山岡亞夫,日本写
真学会編,51,475(1988年)、マイクロ加工技術編集委
員学会,マイクロ加工技術,日刊工業新聞社(1988
年)、S.M.Sze「著,VLSI Technology,Chap.7,8,M′cGra
w−Hill(1983年)、菅野卓雄編,半導体プラズマプロ
セス技術,産業図書(1985年)、鳳紘一郎編,半導体リ
ソグラフィー技術,産業図書(1988年)、楢岡清威著,
エレクトロニクスの精密微細加工,総合電子出版社(19
80年)、西沢潤一編,半導体研究(14〜26巻),工業調
査会(1978〜1987年)、超SLI微細加工技術便覧,情報
企画研究所(1984年)、特願昭60−176392号の来を参考
にすることができる。
微細加工膜としてその他、nucuqopore filterを挙げ
ることができる。これは5〜10μmの厚さのポリカーボ
ネートまたはポリエステル等の膜に高エネルギーの荷電
粒子を照射して膜内に荷電粒子の飛跡を作り、続いてア
ルカリエッチングを行なって孔を作った多孔膜である。
孔は円筒状で、かつ、孔径が揃っており、添加液の該流
動特性は(2)式の予測値とほぼ一致する。nucleopore
多孔膜は孔径サイズ分布が狭く、かつ、孔の存在密度も
照射する荷電粒子密度で調節できる。孔径も0.01μm〜
15μm領域まで種々の市販品が揃っており、かつ、該表
面処理により、疏水型も市販されている。従って本発明
の目的仕様通りの多孔膜を得ることができるという点で
特に好ましい。但し膜厚が薄い為、他の粗孔膜(例えば
ステンレス製多孔膜)を補強層として重ね合わせて用い
ることが好ましい。
(vi)機械的に加工した多孔膜 その他の多孔膜例としては、有機高分子材料、金属材
料やセラミック材料にドリル、針、刃もの等で機械的に
穴やスリットを開けたものも好ましく用いることができ
る。穴の位置とサイズを思い通りに制御することができ
る。但し、10μmφ以下の孔を製作することは難しい。
本発明法に使用する多孔膜としては設計通りの孔径、
孔間距離、孔径サイズ分布、孔長を有する多孔膜が好ま
しい。その点で〔該粒子サイズ分布がC1V120%以下、好
ましくは10%以下の粒子からなる微粒子結合体多孔
膜〕、〔該繊維の断面形状が正方形もしくは長方形であ
る織布繊維多孔膜〕〔上記(v)項記載の微細加工
膜〕、〔均一に硬膜されたゼラチン膜〕、〔上記(vi)
項記載の多孔膜〕およびそれらと他の粗孔膜との積層型
多孔膜が特に好ましい。
上記の中で少なくとも該接液部構成材料がポリフッ化
エチレン、テトラ−、トリ−ジ−、モノ−フルオロエチ
レン)、特にポリテトラフルオロエチレンの多孔膜は、
耐薬品製、疎水性の点で優れており、好ましく用いるこ
とができる。構成材料すべてがポリヘッ化エチレンの多
孔膜や、他の構成材料(金属、セラミックス、合成高分
子等)粒子上にポリフッ化エチレンがcoatされた微粒子
結合体多孔膜などを挙げることができる。
C.該多孔膜添加系の操作 (i)添加手順 該多孔膜添加系を反応溶液中に設置し、添加溶液を添
加するとき、次の点に配慮することが好ましい。
該多孔膜材料が親水性の場合(即ち、接触角θ<90
゜の場合〕は該多孔膜を容器溶液中に入れた時に、毛管
現象により該容器溶液が該多孔膜の孔に入ってくる。こ
れを防止する為に該添加系に例えばN2ガス圧(ΔP)を
加えたとする。この場合、〔毛管現象により該容器溶液
が細孔に入っていこうとする力(2πrσVScosθ)<
ΔPにより該容器溶液を細孔から押し出す力(ΔP・π
r2)〕が成り立つ時(即ち2σVScosθ<ΔP・rの
時)には該容器溶液は該多孔膜より押し出される。ここ
でr=細孔の半径,σVS=該容器溶液(vessel solutio
n)の表面張力、θ=該容器溶液と該多孔膜との接触角
である。しかし該ΔPが大きすぎると、細孔よりN2ガス
がどんどん放出され、容器溶液が発泡する。これを防止
する為には〔細孔から泡が押し出される時になされる定
圧膨張の仕事(ΔP・dV)<表面張力に抗して新しい表
面が作られる為の仕事(σVS・dA)〕、即ち泡を球で近
似した時はΔP・r<2σVSの条件にすればよい。従っ
てθ<90゜の時、ΔPを の条件に保持すれば、発泡もしなければ、該容器溶液が
該多孔膜に入ってくることもない。
該ΔP=2σVS/rの点を、一般にblbble pointと呼
ぶ。
該多孔膜材が疎水性でθ′>90゜の場合、ΔP<0で
も毛管現象の為に該多孔膜内に水が入っていかない。こ
の場合、(細孔が該容器溶液をはじこうとする力(−2
πrσVScosθ′)>負圧により該容器溶液を細孔内に
入れようとする力(−ΔP・πr2)〕、即ち2σVScos
θ′<ΔP・rの場合には、該容器溶液には細孔内に入
ってゆかない。従ってこの場合にはΔPを の条件に保つと、発泡も起こらなけれは、該容器溶液が
該多孔膜に入ってくることもない。
これらの関係からは該多孔膜材は(θ>90゜)の方
が該ΔP領域が広くて操作しやすい為に好ましい。該
多孔膜材が(θ′<90゜)であっても、θ′の大きい材
質の多孔膜の方が、該ΔP領域が広いため、ガス圧調節
がより容易にできるという点で好ましい。例えばテフロ
ンと水の接触角はθ′=108゜で特に好ましい。
また、該容器溶液が水溶液である場合、該bubble poi
ntΔPと該孔径(φ)との関係を図示すると第10図点線
aのようになる。但しこの図では水溶液の表面張力を70
dyne/cmで近似している。また、市販の多孔膜の孔径は
平均孔径を示しており、例えば1μmφ表示の場合2〜
3μmφまでの孔が存在する為、市販品の表示孔径に対
するbubble pointΔPは通常、該図のΔPの約1/2程度
の値となっている。また、本発明におけるゼラチンを含
む水溶液系では表面張力が水の表面張力よりも小さくな
る為、該bubble pointΔPは該図のΔPの(1〜1/2、
即ち第10図の点線aと一点鎖線bの間のΔP)となる。
添加溶液の添加を開始する時、該添加系に残存するガス
を該多孔膜から容器溶液側に放出する為には上記bubble
point圧以上の圧をかける必要がある。しかし、我々が
簡便にかつ精度良く用いることのできるΔP領域は好ま
しくは0.05〜50kg/cm2、より好ましくは0.1〜20kg/cm2
であるから、該ΔP領域にbubble pointを有する孔径を
多孔膜がその点で好ましい。
また該ΔPの低圧側を用いる場合は反応溶液中におけ
る該多孔膜の位置の水深も影響してくる為、その場合は
該多孔膜位置の該水深を揃えることが好ましい。より具
体的には、該多孔膜を反応溶液表面に平衡に置くことが
好ましい。また、該発泡量を少なくするには該添加系の
残存ガス量を少なくすればよく、従って前述の流動抵抗
が影響しない範囲内で該添加系のdead spaceを小さくす
ればよい。添加開始時には、添加溶液側のコックを開
け、ΔP>2σVS/rの圧を印加し続けると、該多孔膜添
加系内のガスは全部、該細孔から放出される。
また、この場合、第7図に示すようにガス抜きlineを
設けておけば、容易に該多孔膜添加系のガスを抜くこと
ができる。即ち、添加溶液のコック72を開け、同時にガ
ス抜きコック71を開けると、該添加系内のガスは71を通
って放出される。ガス抜きが終ると、ガス抜きコック71
を閉じればよい。従ってこの場合には容器溶液への発泡
は生じない。但し、該多孔膜の細孔内に残った少量のガ
スは、該添加開始時に該容器溶液中に放出される。
添加が終われば第7図の72のコックをガス系に切り換
え、ΔP<2σVS/rの圧で該添加液を押しだせば、該残
留添加液は該多孔膜より放出され、ガスは出てゆかな
い。該残留添加液を全部押しきり、空にすれば元の状態
に戻る。これをくり返せば何段添加でもできる。
上記第7図で該多孔膜添加系2に添加溶液Ag+を入
れ、多孔膜の細孔に空気が残存した場合、この場合は、
容器溶液と添加溶液は、該細孔の空気によって隔てられ
た状態となる。この場合、該細孔内のガスが容器溶液側
にでていく為にはΔP>2σVS/rの印加圧が必要で、該
細孔内のガスが添加溶液側に入ってくる為にはΔP<2
σSS/rの吸引圧が必要である。ここでσSSは添加溶液
(solutesolution)の表面張力を示す。
従ってこの態様においては、ΔPは −2σSS/r<ΔP<2σVS/r 領域で該状態は平衡状態に保たれる。
上記bubble pointΔP値による該多孔膜の孔径制限
を回避する為に次の方法も好ましく用いることができ
る。
孔径が小さい側では添加溶液の添加開始前に、大気
中で該多孔膜添加系に先に添加溶液もしくは溶媒液を入
れておく。この場合、該多孔膜は空気中にある為、θ<
90゜の場合は毛管現象により該溶液は(2σSScosθ)
rのΔPで細孔内に吸い込まれる。但しこの場合のθは
添加溶液との接触角を示す。該bubble point圧を与えな
くても、自然に細孔内のガス抜きがなされる。この場
合、該細孔に入った該溶液が外側の空気中にどんどん漏
れ出ては困る。該細孔から該溶液が外へ出ないようにす
るには、〔該添加溶液が該表面張力に抗して新しい表面
(dA)を作る仕事(σSSdA)<該溶滴が大きくなる時に
なされる定圧膨張仕事(ΔP・dV)〕、即ち液滴を球と
近似するとΔP<2σSS/rにすればよい。即ち、該添加
系に前記のbubbue point圧に相当する圧以上のΔPをか
けない限り該溶液は漏れ出すことはなく、また(−2σ
SScosθ)/r以上の負圧でひっぱらない限り該細孔内に
入った添加溶液はでてこない。従って のΔP領域で該添加溶液は該細孔内に安定に保持され
る。
この状態で該多孔膜部にcoverをかぶせて容器溶液中
に入れておく。添加開始と同時に該coverをはずせばよ
い。
θ′>90゜の場合は該添加系にΔP>(−2σSScos
θ′)/rの圧をかけると該添加液は該細孔内に入ってい
く。またΔP<2σSS/rであれば該溶液は該細孔から外
へ洩れていかない。従って (−2σSScosθ)/rΔP<2σSS/r (7) のΔP領域で該添加溶液は該細孔内に安定に保持され
る。
該孔径が大きい側では、該添加系を負圧にしない
と、添加液は自然に漏れでてしまう。従って該多孔膜に
coverをかけた状態で容器溶液中に入れる。この時、該
多孔膜内は空の状態である。添加開始と同時にcoverを
はずすとまず該添加系の残留ガスが放出され、次いで該
添加溶液が添加される。
添加が終れば、前記のの場合は添加液の液切れが
生じるとよくない為、1段目の添加が終ればコックをき
りかえて2段目の添加液もしくは溶媒のみを添加系に入
れ、次に該多孔膜部にshield coverをかぶせれば元の状
態に戻る。または該多孔膜部を大気中にひき上げれば元
の状態に戻る。のの場合は該添加系より添加液を全
部出しきり、空にし、次に該多孔膜部にcoverをかぶせ
れば元の状態に戻る。これをくり返せば何段添加でもで
きる。
このの方式は〔該bubble point制限が回避できるこ
と。必要な時のみ該多孔膜を容器溶液に入れる方式の
為、容器溶液との接触の問題も少ないこと。添加が終れ
ば該添加系を外に出す為、洗浄等もできること。親水性
多孔膜も好ましく用いることができること。〕の為に、
より簡単に操作でき、より好ましい態様である。
coverを使用する方式 上記,項のめんどうくささの一因は、該添加口に
開閉のcoverがついていないことによる。従って該cover
をとり付けると、そのめんどうさは回避される。
このcoverの1例として第8図のrotally cover形式の
ものを挙げることができる。第8図は円筒型多孔膜の上
面図を示したもので、81は閉鎖系、82は小孔径多孔膜、
83は中または大孔径多孔膜、84はrotally coverを示
す。添加開始と同時に84が回転し、82の部分が開放され
る。溶質の添加速度を高める場合は、はじめは該添加系
のΔPを大きくしてゆくが、更に高めたい場合にはrota
lly coverを回し、83の部分が開放される。83の孔径は
大きい為、より大きな流量を得ることができる。閉の状
態にセットした場合には添加溶液の漏れや、容器溶液の
逆流等のトラブルは生じない。その他、平面状多孔膜の
表面と表面が重ね合わされ密着され、閉の状態にセット
される形態を挙げることができる。
溶媒が浸透することにより該多孔膜が膨潤し、該孔
径が変化するよな多孔膜の場合は、上記のの方法の
ように先に該多孔膜に添加液を入れておくことが好まし
い。
また、通常、添加系から容器溶液側への溶質の供給は
ΔPにより、(2)式に基づいて行なわれるが、厳密に
はその他、該多孔膜で隔てられた2相溶液間の溶質濃度
差、電位差、温度差等の寄与を入れた(3)式の寄与も
含めて計算する方が正しいことはいうまでもない。
一方、前記II類の多孔体の場合にはチューブの長さ
lが長い為、該対策がより簡単である。該添加系の元弁
を閉にしておけば、容器溶液が該多孔体中に入ってきた
時、該添加系の内部圧が上昇し、ある位置でbalance
し、それ以上は入っていかない。添加を開始すると、ま
ず該容器溶液が該添加系から放出された後、該添加溶液
が放出される。
これらに対し、該多孔膜を該容器溶液の液面の上部
に設置する方法では、添加開始時に元コックを開け、添
加が終れば元コックを閉じるだけであり、簡単であり、
この点で好ましい。
(ii)添加流量変化 AgX粒子形成においては添加流量を添加時間に対して
大きく増加させたい時がある。しかし、該孔径サイズが
固定されていると、該ΔPの変化だけでは該流量変化幅
は制約を受ける。この問題に対しては次の態様を好まし
く用いることができる。
上記(i)項で示したように孔径の異なる複数個
の多孔膜添加系を準備しておく。添加流量を上げる時
は、次々により流量の大きい多孔膜(より孔径が大き
い、孔長lがより短かい、より孔の密度が大きい、もし
くはそれらの組み合わせ)きりかえていく態様。
添加流量を上げる時、該多孔膜の開放面積を大きく
してゆく態様。例えば後述の第1図で添加流量が少ない
時は該中空円柱形多孔間添加系の1部を開放系にし、他
の該多孔膜は単に邪魔板の役割をするだけである。添加
流量を上げるにつれ、次々と該多孔膜が開放系にスイッ
チされる態様である。また、次々と開放または投入され
る該多孔膜がより流量の大きい多孔膜系である態様も好
ましく用いることができる。
(iii)該多孔膜添加系への加圧法 本発明の多孔膜添加系に印加する圧力のかけ方として
は、高圧ガスボンベより減圧弁を通してガス圧を印加
する方法。ガスの種類としては該添加液との相互作用の
少ないガスが好ましく、N2,Ar等の不活性ガス、空気等
が好ましい。通常、市販のガスボンベにより0〜150気
圧のガス圧を得ることができる。圧縮機を用いて高圧
ガスを作り、それを該添加系に印加する。通常ピストン
式ポンプ、回転式ポンプやピストン圧縮機等が用いられ
る。ガスを介さず、液に直接、ピストン等で圧をかけ
る方式、いわゆるプランジャーポンプやダイヤフラム型
プランジャーポンプであり、本出願人が平成2年2月23
日(D)で出願した発明の名称「ハロゲン化銀乳剤の製
造方法」の明細書の記載を参考にすることができる。ピ
ストンにかける荷重で圧が調節される。荷重としては重
し、液体伝導装置(油圧伝導装置、ターボ式流体伝導装
置)電動モーターの回転パワー等が用いられる。送液
ポンプの送液力がそのまま圧力に変換される方式。ポン
プの羽根やロータが回転して液体に圧力を生じさせる方
式。その他シリコンチューブを回転ローラーでしごいて
送液加圧する方式等を用いることができる。
これらの圧力印加の詳細に関しては、大矢晴彦編,膜
利用技術ハンドブック,第2・6節,幸書房(1983
年)、化学装置百科辞典,第1章,第22章,化学工業社
(1976年)、石原,市川,金子,竹中編,油圧光学ハン
ドブック,朝倉書店(1972年)の記載を参考にすること
ができる。
(iv)液晶AgX粒子形成用の添加系 AgX乳剤粒子製造系においては、結晶成長とともに混
晶組成を変化させることが多い。その場合の具体的操作
例を次に示す。
最も簡便な方法はCl-,Br-,I-塩を含む添加液に対して
それぞれ専用の多孔体添加系を設置する方法である。そ
して各々の添加溶液の流量を目的のハロゲン組成になる
ように設定すればよい。各々の添加流量は、各々の添加
系に印加する圧をそれぞれ独立に調節すればよい。但し
この場合、多孔膜添加系ではCl-塩溶液、Br-塩溶液およ
びI-塩溶液はそれぞれ別の添加口から添加される為、添
加口付近においては、Cl-,Br-,I-塩濃度の不均一性が存
在する。この不均一性を少なくするにはCl-,Br-,I-塩溶
液の添加口を近接して設置すればよい。1例として第9
図に示す態様を挙げることができる。この場合は、Cl-,
Br-,I-塩溶液添加のそれぞれに細い多孔間92,93,91が隔
壁94境にして交互に配列されている。該細幅多孔膜の細
い方が好ましいが、あまり細くしすぎると該中空部で圧
損失を生じる。従って、該圧損失を後述の(v)項の規
定内で細くし、該配列数を増し、添加口近辺で即に均一
混合化された形にすることは好ましい。
一方、前記A項のII類の多孔体を用いた系では、Cl-,
Br-,I-塩溶液の添加出口の所で互いに混合しあう形で添
加すればよい。
その他の態様として第5図および第6図に示す態様を
あげることができる。第5図の場合はCl-,Br-,I-塩溶液
を一度、Mixing Tank52に入れ、撹拌混合してから容器
溶液中へ添加する為、添加口付近においてもCl-,Br-,I-
塩濃度の不均一性は存在しない。該Mixing Tank内の溶
液のハロゲン組成はCl-,Br-,I-塩を含む溶液のMixing T
ankへの流量を時間に対して変化させていけばよい。第
5図に示すように、ガス圧制御装置53により該流量を制
御する場合には、各々のX-塩溶液系の印加圧とMixing T
ank内との差圧を制御すればよい。但し、Mixing Tank内
の圧は、その中の溶液の添加流量を規定する圧に設定さ
れており、該流量は結晶成長とともに増加させることが
多い。これに対し、第6図の方式ではピストン63を動か
せるパルスモーターのパルス数によりCl-,Br-,I-塩溶液
の添加流量を変化させる。この場合、該差圧を考慮しな
くてもよいというメリットがある。
Mix Tankの撹拌は該図に示すように外部から磁器回転
撹拌羽根で撹拌すれば、加圧密閉系のリークへの影響は
ない。また、Mix Tankの溶液量は少ない方がより迅速に
ハロゲン組成変化をすることができることはいうまでも
ない。
(v)プレフィルター 添加する該添加溶液中にダストが混入していると、該
ダストが該多孔膜に目づまりを生じさせるので、プレフ
ィルターを通すなどして該添加溶液からダストを除去し
ておくことが好ましい。孔径が小さくなるにつれ、この
効果は大きくなる。
(vi)多孔体添加系内のスペース 該多孔体添加系内の中空部スペースに関しては、例え
ば添加溶液を添加する時に該スペース内の空気を容器溶
液側に放出して用いる態様において、該発泡量を少なく
したい時は、該スペースを小さくした方がよい。しか
し、小さくしすぎると、該中空部における流動抵抗によ
り圧損失が生じる。圧損失が生じると該多孔膜部に有効
に圧が印加されなくなる為、好ましくな。該圧損失割合
は、印加圧の30%以下が好ましく、10%以下がより好ま
しい。圧損失を生じはじめるスペースサイズは、添加流
量が大きくなる程、大きくなる。従ってそれぞれの系
で、該最小サイズは異なる。
一方、添加溶液の温度を容器溶液の温度に近づける為
には、該多孔膜スペース中での添加溶液の滞在時間を長
くすることが好ましい。その場合には該スペースを大き
くすることが好ましい。第7図のように発泡させないで
用いる場合には、支障なく、該スペースを大きくするこ
とができる。
D.撹拌混合装置関係 (i)撹拌混合の基礎過程 上記の方法で容器溶液内に添加される添加溶液は、例
えていえば細長いソーメン状の形で放出されてくる。該
ソーメン状液塊の断面径サイズは該多孔膜の孔径で制御
されている。これは理想的には、非常に小さく、〜102
Åオーダーになっている。これを更に均一混合化する為
の基本因子は溶質の自然拡散、流体中における邪魔
板等の障害物の粘性抵抗による該粒塊のせん断、該障
害物の慣性抵抗による該粒塊のせん断、容器内全体の
循環流による容器溶液全体の均一混合化、である。ま
ず、この〜の基礎過程について次に説明する。
AgNO3とKBrの水溶液中(25℃)における拡散係数は
AgNO3(D≒1.7×10-5cm2/sec)、NaBr(D≒1.6×10-5
cm2/sec)である。t時間の間のその平均拡散距離は で与えられるから、L(AgNO3)≒(4.1×105Å/sec,4.
1×103Å/0.1msec)≒L(NaBr)である。分子を鋼体球
と見なせばD=T1.5/Pで与えられる(但しT=絶対温
度、P=圧力)から、通常行なわれる25〜80℃、1気圧
下のAgX乳剤製造条件においてはL(AgNO3)≒L(NaB
r)≒(4.1×103〜4.7×103Å/0.1msec)である。従っ
て温度の影響は小さいといえる。該計算結果によると、
該ソーメン状液塊中の溶質イオンは10-4秒程度の時間で
約4×103Å程度拡散する為、該液塊直径が約104Åφ以
下、好ましくは103Åφ以下であれば、添加後10-4秒以
内に分子拡散で、均一混合化する程度が大きいことを示
している。
該液塊径≒孔径=2rとし、10-4秒間における溶質イオ
ンの拡散距離をL(AgNO3)≒L(NaBr)≒4.1×103
とし、10-4秒間に該液塊中の溶質イオンが半径(r+
L)の円柱状に分子拡散するとモデル化すると、10-4
間に該液塊はπ(r+L)2/πr2倍の希釈をうける。こ
れを図で表わすと第10図の実線cで表わされる。また10
-2秒間の場合には、該実線dで表わされる。
また、このことはより好ましい均一混合化の為には細
化間隔を104Å以上好ましくは105Å以上にした方がよい
ことも示している。添加溶液を小液塊の形で添加する
と、該表面/体積比が大きくなる為、溶質が拡散しうる
拡散層の総表面積が著しく増し、上記,項よりもこ
の拡散項の寄与が大きくなる。この点は、従来の,
項のみを取り扱っている撹拌理論と本発明法の大きな違
いの1つである。従来の撹拌理論は出発点でマクロな液
塊の存在を容認し、それをいかに迅速に小塊化するかと
いうことのみを取り扱っている為である。
また、均一混合化の第1のステップを該拡散で行なう
ことは再現性の点でも優れている。即ち乱流による撹拌
混合化過程は、装置の違い、容器容量の違い等により変
化するが、該拡散過程は常に該Einstein式に従うもので
あり、装置定数の影響を受けない。
流体中におかれた障害物近傍においては流速の速度
勾配が存在する。それは障害物および障害物の表面に吸
着している水分子は静止しており、流体は動いている
為、両者増に速度勾配が生じる為である。該液塊が該速
度勾配の存在する所を通過する時、ずり力を受け、変形
し、せん断されていく。この障害物による粘性抵抗力は
一般に f∝ηvr (8) で与えられる。但しη=流体の粘性率、v=流体の速
度、r=該障害物のサイズを表わす代表的一辺の長さ
である。該速度勾配が存在する領域は該障害物の表面で
あるから、該領域を大きくする為には、該障害物の比表
面積を大きくすればよい。即ち、障害物として太い棒状
障害物を1本立てるよりは、後述の第1図に示すように
細い棒状の障害物を沢山散在させて立てる法が、より均
一混合化は促進される。
この場合の障害物とは、(8)式のrが好ましく20
mm以下、より好ましくは7〜0.1mmであり、該障害物の
容器溶液中における総表面積(容器の器壁等の基本構成
物の表面積は除外する)が1の容器溶液あたり好まし
くは50cm2以上、より好ましくは102〜105cm2のものを指
す。また形状は抵抗係数が好ましくは0.7以下の流線形
のものを指す。その他、細かい穴(好ましくは10mmφ以
下、より好ましくは5〜0.1mmφ)を多数(好ましくは
1個/cm2以上、より好ましくは2〜102個/cm2)有する
障害物(例えば細かいメッシュを有する金網状のもの)
も好ましく用いることができる。
流速が速くなると該障害物の周りの速度勾配を有す
る領域(境界層)がはがれを生じ、障害物の後に渦を生
じ、かつ、この渦は次々に下流に長されていく。該液塊
が該境界層や該渦領域を通過する時、項よりも大きな
ずり力、せん断力を受け、より小液塊にせん断されてい
く。
該慣性力は流体が単位時間に障害物と正面衝突し、変
化させられた運動量に相当し、一般に f∝ρv2s (9) で表わされる。但しρ=液体の密度、v=流速、S=障
害物の衝突断面積である。この場合も均一混合化を促進
する為に該境界層領域を大きくする為には、該障害物の
比表面積を大きくすればよい。その規定は上記項の規
制通りである。Richardsonの法則によると乱流拡散の場
であり、分子拡散の場合の に比べてtが大きくなった時の効果が大きい。従って、
tが小さい所では(1)項の寄与が大きく、tが大きく
なった所では,項の寄与が大きいといえる。
上記,,による均一混合化を受けた添加溶液
は、循環流により容器溶液全体と均一混合化される。こ
れにより、容器溶液全体の中におけるの濃度分布が小さ
くなる。
本発明において通常、該多孔膜は流体中の静止物体で
ある為、該障害物を兼ねている。添加された液塊はすぐ
に該膜表面で上記,項によるずり力、せん断力をう
け、粉々にされ、迅速に均一混合化される。上記,
項の効果およびの効果を大きくする為には上記の式で
示されるように容器溶液の流速vを大きくする必要があ
る。その為には泡発生を伴わないで該溶液に撹拌羽根で
できるだけ大きな(撹拌エネルギー/単位溶液)を与え
る必要がある。泡が発生すると、泡部の撹拌効率が著し
く低下する為である。次にこれらの撹拌について説明す
る。
(ii)撹拌エネルギーと泡発生防止 撹拌羽根が容器溶液に与えるエネルギー(P),撹
拌羽根のシャフトにかかるトルクをT〔W・sec〕、そ
の回転角速度をω=2πn〔rad/sec〕とすると、Pは で与えられる。但し、r0=撹拌羽根の半径、d=撹拌羽
根の幅、q=撹拌羽根による吐出流量、Δv=撹拌羽根
と該溶液の速度差、M=吐出される溶液の質量を表わ
す。従ってPを大きくする為には、ω,l,d,Δvおよび
第2図のように撹拌羽根の本数を増せばよい。該溶液が
撹拌羽根と一緒のspeedで回転しはじめると、該撹拌羽
根は溶液にそれ以上のエネルギーを与えることができな
くなる。従ってΔvが大きい程、撹拌羽根は該吐出溶液
に大きなエネルギーを与えることができる。通常、邪魔
板等で溶液の回転速度を低下させると、Δvが増大し、
Pmax(最大撹拌エネルギー)が増大する。しかし、この
ようにしてPを増していくと激しく発泡しはじめる。こ
の発泡を抑える為には次のような対策をすることが好ま
しい。
泡発生防止対策 撹拌羽根のω,l,dを増していくと遠心力により溶液
が容器周辺部に移動し、そこの溶液表面が盛り上り、容
器中心部の溶液表面がくぼむ。該くぼみが撹拌羽根にま
で達すると激しく発泡する。これを防止する為にはまず
容器周辺部に邪魔板を設け、該周辺部の溶液を中心部に
返還させればよい。しかし、流速vが更に大きくなって
くると、溶液流と該邪魔板との衝突により大きな乱流が
発生し、発泡しはじめる。特に従来のように容器壁に垂
直に邪魔板を設置すると溶液流と邪魔板が正面衝突する
形になり、該邪魔板の反対側(下流側)に渦流が生じ、
発泡しやすい。渦流が空気を巻き込む為である。第1図
の6のような流線形の邪魔板にすると同じ流速に対して
境界層のはがれが生じにくく、渦流が生じにくく、発泡
しにくい。従って更にvを大きくすることができてより
好ましい。容器器壁よりの各該邪魔板のでっぱりの大き
さは、該容器内径の5〜30%が好ましく、10〜25%がよ
り好ましい。個数は2〜8個が好ましい。形状は抵抗係
数0.7以下の流線形が好ましい。
容器周辺部に邪魔板を設置しても、溶液が円周運動
をする限り、中央部にその遠心力に相当するくぼみが生
じる。該くぼみが撹拌羽根に達するとやはり発泡する。
それに対する他の対策としては撹拌羽根の位置をできる
だけ溶液表面から離れた位置に設置することである。通
常は第1図に示すように容器の底に近い所に設置するこ
とが好ましい。より具体的には容器底部から液面までの
1/2以下の所が好ましく、1/3以下の所がより好ましい。
その他、該くぼみは中央部にできる為、撹拌羽根の位置
を該くぼみから離れた偏心位置や偏心方向に設置するこ
となども併用することができる。
泡発生部のReynolds数を小さくする。上記,で
中心部のくぼみと撹拌羽根に対する対策をすると、残る
泡発生部は流体中の静止物体(邪魔板の役割をする)に
より生じる渦流部である。一般に静止物体の形状が相似
形である時、該渦流が発生し、発泡しはじめる時のReyn
olds数は、ほぼ同じ値である。但しReynolds数=(慣性
抵抗/粘性抵抗)=ρRv/ηである。ここでv=該溶液
流の流速、R=該静止物体の大きさを表わす代表的な一
辺の長さ、η=粘性率、ρ=溶液の密度である。従って
Rを小さくすれば、泡が発生しはじめる時のvを大きく
することができる。Rとしては20mmφが好ましく、7〜
0.1mmがより好ましい。
泡発生の形状の流線形化。上述の項で説明したよ
うに該静止物体のサイズが同じでも該形状を流線形にす
ると一般に泡発生しはじめるvが大きくなる。従って、
該形状を抵抗係数0.7以下の流線形にすることが好まし
い。
その他、特公昭55−10545号にも記載されているよ
うに、容器溶液の中心部の撹拌流を底部より上部への上
昇流にする。
このようにして添加溶液は容器溶液内の到る所にミク
ロ的に存在する速度勾配層や乱流層でbulk溶液と均一混
合化される。その他、均一混合化に対して次の手法も有
効である。
その他の有効な撹拌均一混合化法 撹拌羽根の役割は1.容器全体に溶液流を生じさせ
る、2.撹拌羽根による溶液のせん断や乱流の発生により
混合混合化を促進すること、である。この内、2項の作
用を促進する為には、小さな穴(好ましくは10mmφ以
下、より好ましくは5〜0.1mmφ)もしくはスリットを
多数(好ましくは1個/cm2以上、より好ましくは2〜10
2個/cm2以上)有する撹拌羽根を用いればよい。同一形
状の撹拌羽根の場合、穴またはスリットを開けると、
(10)式のPが減少するが、それは撹拌羽根のサイズを
大きくし、回転数を増し、撹拌羽根の本数を増すことに
より補うことができる。
容器溶液中に2個以上の撹拌羽根を設置すること
は、容器溶液中に乱流を沢山発生させることになり、該
撹拌羽根近傍の均一混合化が迅速になされる。この効果
は、製造装置のように容器が大きくなればなる程、大き
くなる。また2個以上の撹拌羽根の内の一部の撹拌羽根
を異なるPで他と逆方向に回転させると、(10)式のΔ
v大きくなりPを大きくすることができて好ましい。
混合化を迅速に促進する為には超音波撹拌や震盪の
併用も行なうことができる。その他、容器溶液の撹拌混
合に関しては化学工学協会編,化学工学便覧,第20章丸
善(1988年)、三沢忠則編,晶析,第6・1節,化学工
業社(1983年)、日本化学学会編,新実験化学講座1,基
本操作II,第5・2節,丸善(1975年)、三沢忠則編,
増補混合および撹拌,化学工業社(1984年)および後述
の文献の記載を参考にすることができる。
E.AgX乳剤製造装置の具体例 次に前記多孔体を反応容器中に設置した具体的なAgX
乳剤の製造装置例を示す。もちろん本発明の装置の実施
態様がこれだけに限定されるものではないことはいうま
でもない。
反応容器中への多孔体の設置方法は、前述の如く、で
きるだけ反応容器中に広く散在しているこおが好まし
い。
(i)第1図は多孔膜添加形の好ましい実施態様例を示
すもので、図中の記号は図面の簡単な説明を所に記され
ている通りである。(a)は側面図を、(b)は平面図
を表わす。銀塩水溶液とX-塩水溶液の中空円柱状多孔膜
添加系が対になり、容器溶液内の致る所に広く散在して
いる。該中空円柱状多孔膜の有効表面積が大きい為、前
記の本発明の理想系に近い系となっている。該上面図で
は2aと2bを沢山書けないのでそれぞれ1つに省略してい
る。また図中の5は該多孔膜支持体を示すが、該5が多
孔膜添加系であってもよい。より均一添加できる為であ
る。周辺部の邪魔板は周辺部のもり上った容器溶液を中
心部に効率よく返却させる役割をする。流線形の為、流
速がはやくても発泡が少ないという特徴を有する。沢山
の細い中空円柱棒状の多孔膜は反応溶液の致る所に添加
溶液を均一に添加する役割と、添加溶液の致る所に小さ
な乱流を生じさせる前記静止物体の役割をする。添加さ
れた添加溶液は該円柱棒部に生じた乱流によりすぐさま
均一混合化される。特に、銀塩溶液添加系の該円柱棒と
X-塩溶液添加系の該円柱棒が該溶液流の上下流位置に近
接して存在する場合、銀塩とX-塩がすぐに均一混合化さ
れ、微細な不安定AgX粒子が生じると考えられる。該不
安定粒子はbulk液中ですぐに溶解し、種晶の結晶成長に
使われる。撹拌羽根は容器溶液表面から最も離れた反応
容器の底部の近くに設置され、発泡性を防止している。
撹拌羽根には多数の小さな穴があいており(図面の都合
上、穴の数は少なく書かれている)、撹拌羽根部に多く
の速度勾配を有する表面が存在する。その上、撹拌羽根
のvが大きい為、該速度勾配は大きく、強力なずり力で
容器溶液の均一混合化がなされる。
また溶液の全体的な流れは、〔撹拌羽根による横方向
への回転吐出→容器周辺部の邪魔板部から中央部へのス
ムーズな溶液の返還→撹拌羽根領域〕といった自然法則
に沿った流れをより効率よく推進し、循環頻度を高くし
ている。また該周辺部の邪魔板は容器器壁のプレス加工
により作り込まれたものである為、従来法で見られる該
邪魔板と容器器壁との間に生じる溶液滞留部が生じな
い。また、容器の比表面積が増し、恒温槽の温水との接
触面積が増す為、容器溶液の温度制御精度もよくなると
いう利点を有する。
上記の中空円柱状(もしくは中空糸状)該多孔膜の場
合、(該多孔膜表面積/該多孔膜体積を)を大きくとる
ことができ、かつ、容器溶液中の致る所に散在させるこ
とができるという利点を有する為に好ましい。該断面形
状に制限はないが、通常、該系に圧を印加すると、該形
状は円形に近づく。また、円形に近い形の方が耐圧性も
大きい。
(ii)該第1図の2aと2bと前記II類の多孔体に置きかえ
れば、前記II類の多孔体の設置例となる。この場合、添
加口は2aと2bの先端である。2a間および2b間の長さは互
いにい種々異なっていてもよい。また、2a,2bがタコ足
状の細管tubeであってもよい。より(1)式のSC値が大
きくなる為、好ましい。
(iii)特公昭55−10545号記載のAgX乳剤製造装置にお
いて、該混合boxの内面壁に該多孔膜を取り付けた態
様。銀塩溶液とX-塩溶液は該多孔膜を通して該混合box
内に添加される。また該混合boxの上下を逆転させ、撹
拌羽根の回転方向を逆転させ、容器溶液の流れ方向を逆
方向にした態様も挙げることができる。
また、該混合boxを複数個(2個以上)有する態様を
挙げることができる。これは特に50〜1klクラスの大
容量の反応容器の場合、特に好ましい。容器が大きくな
っていった場合、容器溶液の循環頻度を同じに保つ為に
は循環流速を大きくしていく必要があるが、発泡やAgX
粒子への力学影響の点で限界がある。この場合、多くの
混合boxがそれぞれの領域を分担すれば循環流速のみに
頼らなくても、該循環頻度を容易に同じに保つことがで
きるという利点を有する。この場合、容器溶液500に
つき該混合boxを1個以上、好ましくは3〜20個有する
ことがで好ましい。
(iv)第2図は銀塩溶液添加側とX-塩溶液添加側が互い
に別々の混合boxからなる態様を示す。多孔膜を通して
均一に添加された銀塩およびX-塩は、各混合box7内で撹
拌機8によって均一混合された後、bulk溶液9中で撹拌
混合される。この態様の利点は次の通りである。
銀塩溶液とX-塩溶液は混合box7内でそれぞれbulk溶
液に混合希釈された後に混合されるので、両液が混合さ
れるときの過飽和度が低く、従って双晶核が発生しがた
い。これは特願昭63−223729号に記載されている如く、
完全無双晶粒子核を形成する場合に好ましい、 ある
一定のX-塩濃度溶液下で双晶粒子核を形成する場合、均
一に混合希釈された銀塩溶液と、均一に混合希釈された
X-塩溶液の混合により双晶核が形成されるために、核形
成時の過飽和度のバラツキが少なく、従って非平衡双晶
化比率の少ない平板粒子の核形成ができる、 AgX核
形成および成長時の過飽和のバラツキが少ない為、製造
再現性に選れている。この場合も該混合boxの流れ方向
を逆にした態様や、該混合boxを複数個(2個以上)有
する態様も好ましく用いることができる。
(v)第3図の撹拌装置は、(a)は該側面図を、
(b)は該平面図を表わす。この撹拌装置では、撹拌羽
根10により吐出された溶液11は側面の鈍角側壁12の勾配
に沿って上昇し、次に側面上部の鋭角側壁13面に当って
中心部に戻る。また上部の周辺部に設けられた流線形邪
魔板14により、効率よく溶液が中心部に返還される。従
って平面図的に見ても、側面図的に見ても、溶液が自然
な流れで効率良く容器全体を循環する為に好ましい。添
加された溶質イオンは該循環流によりすぐに穴あき撹拌
羽根10により強力な撹拌混合を受け、次に鈍角側壁12部
へ吐出される。この該鈍角側壁12と該鋭角側壁13は第3
図に示すように垂直面15を伴ってもよく、垂直面15がな
くてもよい。垂直面15が存在する方が、該循環流はスム
ーズに流れる。この場合、該鈍角の角度としては、底面
に対し90〜140゜が好ましく、100〜130゜がより好まし
い。該鋭角の角度としては底面に対し40〜90゜が好まし
く、50〜80゜がより好ましい。この場合の多孔膜は2c,2
dである。
(vi)第4図に示すように該多孔膜2e,2fを反応容器16
壁面に取り付け、側面側より添加溶液を添加してもよ
い。また第1図の邪魔板6部に多孔膜2e,2fを設置し、
該6部より添加溶液を添加する態様を挙げることができ
る。
また、上記(i),(iii)〜(vi)項に用いる多孔
膜添加系は、Ag+塩溶液添加用の多孔膜(y)と、X-
溶液添加用多孔膜(z)を第9図に示す態様のように交
互に配した態様をとることもできる。この場合、添加さ
れたAg+とX-とすぐに反応し、不安定AgX核を形成し、bu
lk溶液中で溶解し、溶質の供給源となると考えられる。
また、上記(i)〜(vi)の二つ以上を組み合わせた態
様も好ましく用いることができる。
反応容器としては上記の回分式反応器や半回分式は反
応器の他、連続式反応器(管式反応器、槽式反応器)、
その他の反応器に対しても、該多孔体添加系を適用する
ことができる。それらの反応器については化学工学協会
編,化学工学便覧,III反応操作編,丸善(1988年)の記
載を参考にすることができる。
また、銀塩溶液とX-塩溶液を互いに該多孔膜を通して
均一混合させた後に該容器溶液へ添加することもでき
る。即ち、先にサイズ分布の揃った不安定AgX粒子を形
成し、それを該容器溶液に添加することもできる。この
場合、均一混合化後、該添加されるまでの時間を短かく
する程、該不安定核サイズは小さくなる為に好ましい。
F.分散媒 本発明のAgX乳剤製造に用いられる分散媒としてはAgX
乳剤に通常用いられるものを用いることができ、ゼラチ
ンをはじめ、種々の親水性コロイドを用いることができ
る。通常はゼラチンが好ましく、ゼラチンとしてはアル
カリ処理ゼラチンの他、酸処理ゼラチン、フタル化ゼラ
チンの如き誘導体ゼラチン、低分子量ゼラチン(分子量
2000〜10万、酵素分解ゼラチン、酸・アルカリによる加
水分解ゼラチン)を用いることができるし、それらの混
合物を用いることもできる。誘導体ゼラチンとしてはゼ
ラチンと酸ハライド、酸無水物、イソシアネート類、ブ
ロモ酢酸、アルカンサントン類、ビニルスルホンアミド
類、マレインイミド化合物類、ポリアルキレンオキシド
類、エポキシ化合物類等の種々の化合物を反応させて得
られるものが用いられる。その他、ゼラチンと他の高分
子とのグラフトポリマー、アルブミン、カゼイン等の蛋
白質、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチル
セルロース、セルロース硫酸エステル類の如きセルロー
ス誘導体、アルギン酸ソーダ、でん粉誘導体などの糖誘
導体、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニ
ルアルコール部分アセタール、ポリ−N−ビニルピロリ
ド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル
アミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾー
ル等の単一あるいは共重合体の如き多種の合成親水性高
分子物質を単独もしくは混合系で用いることができる。
該容器溶液の分散媒濃度としては核形成時および結晶
成長時は通常、1〜10重量%が用いられる。一方、特願
昭63−223739号記載の完全無双晶粒子核形成の場合は1
〜15重量%が好ましく、3〜15重量%がより好ましく用
いられ、特願昭62−319740号、同61−299155号、同62−
203635号記載の平衡2重双晶粒子核形成の場合には0.05
〜5重量%が好ましく、0.1〜1.6重量%がより好ましく
用いられる。
また、添加する銀塩およびもしくはX-塩溶液に該分散
媒を含ませることができる。この場合の分散媒の濃度と
しては、該添加溶液と同じ濃度にすることがより好まし
い。それは添加溶液出口の所で分散媒濃度に関しても不
均一性が除去され、より均一なAgX粒子核形成、およびA
gX粒子成長ができる為である。該分散媒濃度としては0
〜5重量%が好ましい。この場合、低分子量ゼラチン
(分子量300〜4万)は濃度が高くてもゲル化しないの
で高濃度側(1.6〜5重量%)で用いる場合は特に好ま
しい。銀塩溶液側にゼラチンを加えると溶液pHが上昇し
て水酸化銀を生成する場合がある。それを透明にしたい
時は該溶液のpHをHNO3等を加えて5以下に下げるとよ
い。
G.その他の条件 該添加溶液濃度としては特に制限はなく、目的に応じ
て希薄濃度(10-4mou/)から該反応物質の溶解度限界
の高濃度まで用いることができる。本発明の溶液の添加
法を用いると極めて均一に溶質が添加される為該高濃度
溶液を添加しても、乳剤凝集等のトラブルを生じること
がない。同一容積の反応容器を用いて製造する場合、該
容積あたりのAgX乳剤粒子収量を大きくした方が製造コ
ストが安くなり、好ましい、この場合、より濃い反応物
質溶液を用いた方が該収量は増加する。この場合、該添
加溶液濃度としては好ましくは室温における該反応物質
の溶解度限界の20〜100重量%を用いることができ、よ
り好ましくは40〜97重量%を用いることができる。
容器溶液中の溶質過飽和を高くし、AgX粒子成長を拡
散律速成長の寄与の大きい成長機構で成長させると、粒
子サイズ分布の狭い正常晶乳剤粒子や平板状乳剤粒子が
得られる。この場合の過飽和度としては臨界過飽和度の
20%〜100%が好ましく、30〜97%がより好ましい。こ
の場合、結晶成長とともにAg+およびX-の添加素度を増
加させていくが、その増加させていく方法としては、特
公昭48−36890号、同52−16364号に記載のように、一定
濃度の銀塩水溶液およびX-塩水溶液の添加速度(流速)
を上昇させてもよく、また銀塩水溶液およびX-塩水溶液
の濃度を増加させてもよい。また、それらの重ね合わせ
でもよい。Ag+およびX-の添加速度は段階状に増加させ
てもよく、また連続的に増加させてもよいが、連続的に
増加させる方が通常は好ましい。その詳細については特
願昭63−223729号、特開昭55−142329号、同58−113926
号、米国特許3,650,757号、同4,242,445号、英国特許1,
335,925号の記載を参考にすることができる。
また特願昭63−223739号に記載されている予め計算さ
れた理論式に従って添加することもできる。本発明の溶
質添加法に従来の溶質添加法を少し併用してもよい。併
用される添加溶質の割合は60モル%以下、好ましくは40
モル%以下である。特に核形成期と結晶成長終期(全溶
質の添加量の内の最後の1/5モル%以下の添加領域)は4
0%以下が好ましく、20%以下がより好ましい。
ネガ型AgX乳剤ではAgX粒子中に正孔捕獲性還元増感銀
核を含んでいると高感度となるために好ましい。ここで
いう還元増感銀核とは光が照射された時に生じた正孔と
反応し、例えばAg2+正孔→Ag+Ag→2Ag++eにより電子
を放出し、それが潜像形成に寄与する銀核をいう。これ
は通常、AgX乳剤粒子の結晶成長時の容器溶液のpHを好
ましくはpH6〜10、より好ましくはpH〜9.8にすることに
よりなされる。これらに関する詳細については特願昭63
−223729号の記載を参考にすることができる。
表面かぶらせ型の直接反転AgX乳剤を製造する場合
は、AgX粒子内に還元銀核を含ませない方が好ましい。
通常は容器溶液pHを好ましくは6以下、より好ましくは
pH1.6〜5.6にすることによりなされる。
本発明のAgX粒子形成装置はその他、既知のあらゆるA
gX粒子形成法に好ましく用いることができる。既知のAg
X粒子に関しては後述の文献の記載および特願昭6322372
9号、同62−319740号、同62−251377号の記載を参考に
することができる。
2. 化学増感 本発明の化学反応物質の製造装置はAgX乳剤粒子の化
学増感用の装置としても好ましく用いることができる。
但し該装置としては、1項のAgXの製造装置に記載の装
置をそのまま用いることができる。AgX乳剤中に入れた
多孔体を介して化学増感剤溶液を添加すると、化学増感
剤はAgX乳剤中に均一に添加され、該AgXa乳剤中のすべ
てのAgX乳剤粒子が均等に化学増感される。従ってすべ
てのAgX粒子が過不足なく最適に化学増感され、硬調・
高感度AgX乳剤が得られる。この場合、通常は35〜80℃
に加熱し、撹拌されたAgX乳剤中に添加される。
ここでいう該化学増感反応により形成される化学増感
核はイオウ、セレン、テルル、金および第8族貴金属化
合物もしくはリン化合物の単独もしくは組み合わせから
なる化学増感核で、最も好ましくは金−イオウ増感核で
あり、詳細は後述の文献を参考にすることができる。化
学増感剤の具体的化合物例としてはイオウ増感剤として
チオ硫酸ナトリウム、チオ尿素化合物(例えばトリエチ
ルチオ尿素、allyl−thiourea等)、ローダニン系化合
物(例えば5−benzylidene−3−ethylrhodanine
等)、チオン系化合物(例えば3−allyl−4−oxa−ox
azolidene−2−thion等)、Na2S、チオアミド、ポリサ
ルファ化合物、セレン系化合物、Te系化合物等があり、
金増感剤としてはHAuCl4,KAu(SCN)2,Na3Au(S2O32,
Au2Sコロイド等があり、第8族貴金属化合物としては、
A2PtX6,A2PtX4,A2IrX6,A3IrX6,A2PdX4,A2PdX6,A2O5X6
どがある。ここではAはK,NH4を指し、XはCl,Brを指
す。
これらの化合物の詳細およびその他の化合物例に関し
ては3.4.2.の項の文献および後述の文献の記載を参考
にすることができる。
3. 写真的に有効な添加剤の添加 本発明の反応物質の添加方法は、その他の写真的に有
効な添加剤のAgX乳剤中への添加方法としても好ましく
用いることができる。例えば分光増感色素、かぶり防止
剤(AgX感光材料の保存中に発生するかぶりを防止する
目的で使われる場合は、乳剤安定剤とよばれ、現像時に
発生するかぶりを防止する目的に使われる場合は現像抑
制剤とよばれる)、かぶらせ剤(ヒドラジン系化合物等
の有機かぶらせ剤、無機かぶらせ剤)、強色増感剤、還
元増感剤、潜像安定剤、圧力減感防止剤、現像剤、写真
特性改良剤の内の少なくとも1つ以上の化合物を指す。
本発明法は特に添加剤が非可逆的反応を起こす場合に効
果的であり、従って、上記の内、かぶらせ剤によるかぶ
らせ反応、還元増感剤による還元増感反応に特に効果的
である。上記の写真的に有効な添加剤の具体的化合物例
については後述の文献の記載を参考にすることができ
る。
4. その他の構成 本発明のAgX乳剤製造装置を用いてAgX乳剤を製造する
場合、粒子形状から塗布時までに添加することのできる
添加剤に特に制限はない。また、既知のあらゆる技術と
の組み合わせを用いることができる。これらに関しては
次の文献の記載を参考にすることができる。
特願昭63−153722号 Research Disclosure Vol.176(item 17643)(Decem
ber,1987)、 Research Disclosure Vol.184(item 18431)(Augus
t,1979)、 Research Disclosure Vol.216(item 21728)(May,1
982)、 日化協月報1984年、12月号、p.18〜27、小坂橋洸夫、
日本写真学会誌、49巻、7(1986年) 特願昭58−113926〜113928、同59−90842、同62−997
51、同63−151618、同61−3134、同61−3135、同62−62
51、同62−160449、同62−115053、同63−305343、同62
−269958、同63−71838、同61−112141、同62−27731、
同56−501776、 特願昭62−219982、同63−223739、同62−319740、同
61−109773、同62−54640、同62−263319、同62−20363
5、同62−208241、同61−634132、同61−034131、同60
−275509、同63−129226、同63−311518、 U.S.4,705,744、同4,707,436、同4,728,602 T.H.James,The Theory of The Photographic Proces
s,Fourth Edition,Macmillan,New York,1977年 V.L.Zelikman et al著、Making and Coating Photogr
aphic Emulsion(The Focal Press刊、1964年) P.Guafkides,Chimie et Physique Photographiqles,F
ifth Edition,Edition de 1'Usine Nouvelle,Paris,198
7年、同Second Edition,Paul Montel,Paris,1957年。
本発明の装置で製造したハロゲン化銀乳剤は、黒白ハ
ロゲン化銀写真感光材料〔例えば、Xレイ感材、印刷用
感剤、印画紙、ネガフィルム、マイクロフィルム、直接
ポジ感材、超微粒子乾板感材(LSI フォトマスク用、シ
ャドー用、液晶用マスク用)〕カラー写真感光材料(例
えばネガフィルム、印画紙、反転フィルム、直接ポジカ
ラー感材、銀色素漂白法写真など)に用いることができ
る。更に拡散転写用感光材(例えば、カラー拡散転写要
素、銀塩拡散転写要素)、熱現像感光材料(黒白、カラ
ー)、高密度digital記録感材、ホログラフィー用感材
などにも用いることができる。
本発明の装置で製造した乳剤は特開昭62−269958号の
実施例1、同63−305343号、同63−151618号の実施例1
3、14、同60−95533、同59−142539、同62−253159、特
願昭62−203625号の実施例9、同61−109773号、同62−
54643号、同62−208241、同62−263319号、の実施例の
構成乳剤として好ましく用いることができる。
多孔膜をAgX乳剤製造系に用いた従来例としては特公
昭62−27008号、特開昭62−113137号が知られている。
しかし、これらはいずれもAgX乳剤製造中に該乳剤から
水溶液を別し、該容器溶液量の増加を防止することを
目的としたり、該容器溶液中の可溶性塩の除去を目的と
したものであり、本発明の装置とは異なるものである。
〔発明の効果〕
少なくとも分散媒と水を含む容器溶液中において銀塩
とX-塩溶液を添加してAgX写真乳剤を製造する方法にお
いて、銀塩およびまたはX-塩溶液を該容器溶液中に入れ
た多孔膜を通して直接、液中に添加することを特徴とす
る本発明のAgX乳剤製造装置は従来の添加tube1本で添加
する装置に比べて次の10点の特長の内少なくとも1つ以
上の特長を有する。
(2)式で示されるように孔径を1/nに小さくする
と、同一操作圧系、同一流量系では該添加口の総面積を
n2倍に増すことができる。従って該添加口を該容器溶液
中に広く散在させることができる。また、添加される液
滴サイズが小さい為、該液滴の比表面積が大きく、分子
拡散効果を非常に大きくすることができる。従って最も
理想状態においては添加溶液を添加した瞬間に分子レベ
ルでの均一混合化がなされる。
大量製造装置においても添加液の均一混合化が極め
て良好である為、小量製造特性と大量製造特性の下が少
ない。従って研究段階の少量製造乳剤を容易に同じ特性
で大量製造化できるという特長を有する。小量スケール
においても、大量スケールにおいても添加液は同一孔径
の多孔膜を通して添加される為、添加液塊のサイズが同
じであり、かつ、はじめの均一混合化が装置定数によら
ない分子拡散によることが大きく寄与している。また、
同一製造装置で製造した場合も製造特性再現性が極めて
良好であり、製品の品質バラツキが少ない。
該多孔膜は容器溶液中にある為、該多孔膜はほぼ容
器溶液温度となっている。添加液は該多孔膜中の細孔側
壁とぶつかりながら遅い流速で進む為、熱交換効率がよ
い。従って添加液は該容器溶液温度に近い温度となって
添加される為、該容器溶液中の温度分布は極めて均一で
ある。
極めて均一に添加溶液が添加される為、添加溶液を
高濃度液にした場合でも、製造再現性、乳剤凝集等のト
ラブルがない。従って、高濃度添加溶液を用いることが
できる。同一容積の反応容器を用いて製造する場合、該
容積あたりのAgX乳剤収量を大きくすることができ、製
造コストを安くすることができる。
AgX核形成は均一混合化されたAg+とX-の混合により
なされる為、AgX核形成時の過飽和度分布が極めて均一
である。その為、核形成時の過法飽和度を極めて低く設
定することができ、これを特願昭63−223739号記載の完
全無双晶粒子の核形成に適用した場合、より完全に完全
無双晶化できるという利点を有する。特に微粒子乳剤核
や高沃度含量核の核形成時には核過飽和度が高くなり、
欠陥が導入されやすいがそれを除去することができる。
また、これを特願昭63−315741号記載の平板粒子形成に
適用した場合、より平行2重双晶粒子比率が高く、より
単分散性のよい平板状乳剤乳剤粒子が形成される。
AgX粒子内を還元増感する時は該還元増感が均一に
なされ、高感度なネガ乳剤が得られる。逆に還元増感反
応を防止する時は該反応がより完全に防止され、高感度
な直接反転乳剤が得られる。
容器溶液中でCl-,Br-およびI-の濃度組成分布が存
在すると、該溶解度積から予想されるように精製するAg
X粒子中および粒子間の混晶組成が不均一になる。本発
明の製造法では、反応溶液中におけるCl-Br-およびI-
度が従来に比べて不均一である為、生成する混晶AgX粒
子も、より均一組成を有する。
局所的に溶質濃度が高くなり、新核が発生するとい
う現象が避けられる為、容器溶液全体の過飽和度をより
均一に高くすることができる。従ってより拡散律速成長
寄与分の大きい結晶成長を行なうことができ、より粒子
サイズ分布の狭いAgX乳剤粒子を得ることができる。
本発明の装置を用いて化学増感すると、化学増感剤
の局所滴濃度が存在しない為、該AgX乳剤中にすべての
粒子が均等に化学増感され、硬調・高感度なAgX乳剤が
得られる。また、特願昭63−223739号、同63−315741号
項記載の「1つのAgX粒子上の化学増感核の生成数/cm2
およびまたは場所が制御された粒子」の核制御が更に向
上した乳剤が得られる。
本発明の好ましい実施態様は次の通りである。
1. 該多孔体1.A項記載のI類およびII類の多孔体、よ
り好ましくはI類の多孔膜であり、かつ、1添加溶液あ
たり4個以上、好ましくは10個以上、より好ましくは10
0〜1015個の添加口を有することを特徴とする特許請求
の範囲第1〜8項記載の2種以上の溶液の混合装置。
2. 該多孔体の孔径が好ましくは2mmφ以下、より好ま
しくは0.5mm〜10Åφ、更に好ましくは0.1mm〜20Åφ、
最も好ましくは104Å〜20Åφであることを特徴とする
実施態様第1項記載の2種以上の溶液の混合装置。
3. 該多孔体の添加口口径サイズのサイズ分布が単分散
であり、該サイズ分布の変動計数(C1V1)が好ましくは
50%以下、より好ましくは35%以下、更に好ましくは20
%以下であることを特徴とする実施態様第1、2項記載
の2種以上の溶液の混合装置。
4. 該多孔体の添加口総面積が容器溶液1あたり、1
添加溶液あたり、好ましくは12mm2以上、より好ましく
は1〜5000cm2、更に好ましくは4〜1000cm2であること
を特徴とする実施態様第1〜3項記載の2種以上の溶液
の混合装置。
5. 該多孔体の添加口の中心位置が該容器中に広く散在
しており、孔の数を一定とした時、(1)式の最大値の
好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上になるよ
うに孔の容器内に配置したことを特徴とする実施態様第
1〜4項記載の2種以上の溶液の混合装置。
6. 該多孔膜が対称型膜であり厚さが好ましくは50μm
〜2cm、より好ましくは50μm〜0.5cmであることを特徴
とする実施態様第1〜5項記載の2種以上の溶液の混合
装置。
7. 該多孔膜がLoeb型(非対称膜)であり、該活性層の
厚さが好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1〜1
00μmであり、(該支持層熱+該活性層厚)が好ましく
は50μm〜2cm、より好ましくは100μm〜0.5cmである
ことを特徴とする実施態様第1〜6項記載の2種以上の
溶液の混合装置。
8. 該Loeb型多孔膜の活性層を添加溶液に向けた態様で
用いることを特徴とする実施態様第1〜7項記載の2種
以上の溶液の混合装置。
9. 該多孔膜が粗孔膜/微孔膜/粗孔膜の3層型である
ことを特徴とする実施態様第1〜8項記載の2種以上の
溶液の混合装置。
10. 該添加口の孔径が該tubq径よりも小さいII類多孔
体であることを特徴とする実施態様第1項記載の2種以
上の溶液の混合装置。
11. 該多孔膜が1のB項記載の微粒子結合体多孔膜、
織布繊維多孔膜、不織布繊維多孔膜、膜状もしくはスク
リーン状多孔膜〔メンブレンフィルター、硬膜したゼラ
チン膜、コロジオン膜、酢酸セルロース膜、イオン選択
透過膜、その他多孔膜、form,nucleoporフィルター、分
相ガラス、超LSI半導体や印刷用等に用いられている微
細加工されたレジスト膜やフォトポリマー膜、ドライエ
ッチング法やウェットエッチング法(電鋳法や化学的腐
食法)で微細加工されたスクリーン膜、機械的に穴をあ
けられた多孔膜〕およびそれらと粗項膜とのLoeb型多孔
膜であることを特徴とする実施態様第1〜9項記載の2
種以上の溶液の混合装置。
12. 該多孔膜の構成材料が1.B項記載のセラミック材
料、金属材料、合成有機高分子材料、天然有機高分子材
料およびそれらの2種以上の複合材料であることを特徴
とする実施態様第1〜11項記載の2種以上の溶液の混合
装置。
13. 該化学反応系がイオン反応系であり、生成物質の
陽イオンを供給する添加系が陽イオン選択透過膜であ
り、該陰イオンを供給する添加系が陰イオン選択透過膜
であることを特徴とする実施態様第1〜12項記載の2種
以上の溶液の混合装置。
14. 該多孔膜が1.B項記載の設定通りの孔径、孔間距
離、孔径サイズ分布、孔長を有する多孔膜であることを
特徴とする実施態様第1〜13孔記載の2種以上の溶液の
混合装置。
15. 該多孔膜の構成材料もしくは該多孔膜の接液部の
構成材料がポリフッ化エチレン(テトラー、トリー、ジ
ー、モノ−フルオロエチレン)であることを特徴とする
実施態様第1〜14項記載の2種以上の溶液の混合装置。
16. 該多孔膜添加系に印加する圧が好ましくは0.05〜5
0kg/cm2、より好ましくは0.1〜20kg/cm2であることを特
徴とする実施態様第1〜15項記載の2種以上の溶液の混
合装置。
17. 該多孔膜のbubble point圧が好ましくは0.05〜50k
g/cm2、より好ましくは0.1〜20kg/cm2であることを特徴
とする実施態様第1〜16項記載の2種以上の溶液の混合
装置。
18. 該多孔体を介した溶液の添加を1.C項記載の態様で
添加することを特徴とする実施態様第1〜17項記載の2
種以上の溶液の混合方法。
19. 該多孔膜の孔と孔の間隔が104Å以上、好ましくは
105Å以上であることを特徴とする実施態様第1〜18孔
記載の2種以上の溶液の混合装置。
20. 該容器溶液鋳に流体障害物が存在し、該障害物の
サイズを表わす代表的一辺の長さが好ましくは20mm以
下、より好ましくは7〜0.1mmであり、該障害物の容器
溶液中における総表面積が、1の容器溶液あたり好ま
しくは50cm2以上、より好ましくは102〜105cm2であり、
形状が好ましくは抵抗計数0.7以下の流線形であること
を特徴とする実施態様第1〜19項記載の2種以上の溶液
の混合装置。
21. 該容器溶液中に散在する該多孔膜添加系が上記第2
0項記載の障害物を兼ねていることを特徴とする実施態
様第1〜20項記載の2種以上の溶液の混合装置。
22. 該反応容器が1.Dの(ii),項の内の少なくとも
1つ以上の発泡防止処置がなされていることを特徴とす
る実施態様第1〜21項記載の2種以上の溶液の混合装
置。
23. 該容器溶液の攪拌が1.Dの(ii),項記載の態様
であることを特徴とする実施態様第1〜22項記載の2種
以上の溶液の混合装置。
24. 該反応装置が1.Eの(i)〜(vi)項記載の態様で
あることを特徴とする実施態様第1〜23項記載の2種以
上の溶液の混合装置。
25. 該分散媒がゼラチンであることを特徴とする実施
態様第1〜24項記載の2種以上の溶液の混合装置。
26. 該添加溶液の濃度が好ましくは室温における該反
応物質の溶解度限界の20〜100重量%、より好ましくは4
0〜97重量%であることを特徴とする実施態様第1〜25
項記載の2種以上の溶液の混合装置。
27. AgX粒子の結晶成長中における該容器溶液中の溶質
の過飽和度が、好ましくは該臨界過飽和度の20〜100
%、より好ましくは30〜97%であることを特徴とする実
施態様第1〜26項記載の2種以上の溶液の混合装置。
28. 該添加方法と併用して添加される従来方式の溶質
の割合が好ましく60モル%以下、より好ましくは40モル
%以下であることを特徴とする実施態様第1〜27項記載
の2種以上の溶液の混合装置。
29. 該AgX乳剤粒子が直接反転用乳剤粒子であり、結晶
成長中の容器溶液のpHを6以下、好ましくはpH1.6〜5.6
にして還元増感されないことを特徴とする実施態様1〜
28項記載の2種以上の溶液の混合装置。
30. 該AgX乳剤粒子がネガ用乳剤粒子であり、結晶成長
中の溶液pH3〜10の内の最適pHにして還元増感され、正
孔捕獲性銀核が組みこまれることを特徴とする実施態様
第1〜29項記載の2種以上の溶液の混合装置。
31. 該AgX乳剤粒子が完全無双晶乳剤粒子であることを
特徴とする実施態様第1〜30項記載の2種以上の溶液の
混合装置。
〔実施例〕
以下、本発明を写真用乳剤の製造に応用した場合の実
施例について説明するが、本発明はこれにのみ限定され
ず、前記した如き種々の分野に適用することができる。
実施例1. 第1図に示した反応装置(容積4)を用いて次の平
板状粒子を形成した。該装置の多孔膜はポリカーボネー
トnucleoporeフィルター(疎水性型)で、孔径1.0μ
φ、平均孔間距離10μmであった。孔径0.5mmのステン
レススクリーンフィルターを支持層として、重ね合わせ
て、該nucleopore filterを添加溶液側にして用いた。
印加圧は0.1〜3kg/cm2領域で使用した。
反応容器にゼラチン水溶液〔水1146ml、平均分子量
=20,000のゼラチン7.2g(塩酸酸分解後、脱イオン化処
理したゼラチン)、KBr5.4g、pH6.5〕を加え、30℃で撹
拌しながらダブルジェット法でAgNO3水溶液(100ml中に
AgNO3を20g含む)とKBr水溶液〔100ml中にKBrを14.9g含
む〕をそれぞれ48ml/分で66秒間、蕩児に転嫁した。1
分後にゼラチン水溶液〔H2O162ml、脱イオン化アルカリ
処理ゼラチン38g、pH6.3〕を添加し、2分間攪拌した
後、昇温した。75℃にした後12分間、熟成し、次にAgNO
3水溶液(18重量%液)を7ml/分で28.3ml添加した。3
分後、NH4NO3水溶液(50重量%液)を9.5ml、次にNH
3(8重量%液)を29.5ml添加し、18分間、熟成した。
次にHNO3水溶液(3N)を添加し、pH5.0にした。次にKBr
を添加し、銀電位を−20mV(対飽和カロメル電極S.C.
E.)に設定し、AgNO3水溶液(18重量%液)とKBr水溶液
(13.2重量%液)を−20mVのコントロール・ダブルジェ
ット(C.D.J.)添加した。AgNO3液ははじめの5分間は8
ml/分でスタート流量8ml/分、最終流量22ml/分の35分間
の直線的流量加速法で添加した。次に温度ぽ30℃に下
げ、水洗をし、40℃で再分散させた。得られたAgX粒子
のレプリカ像を電子顕微鏡で観察し、該特性結果を表1
に示した。
実施例2. 実施例1の装置を500容積に相似形で拡大し、実施
例1の処方を125倍に大量化し、平板状AgX乳剤を製造し
た。得られたAgX粒子の特性を表1に示した。
比較例1. 特公昭55−10545号記載の装置(容器容積4)を用
いて、実施例1と同一の処方で平板状粒子を形成した。
得られたAgX粒子の特性を表1に示した。
比較例2. 比較例1の装置を500容積に相似形で拡大し、実施
例1の処方を125倍に大量化し、平板状AgX乳剤を製造し
た。得られたAgX粒子の特性を表1に示した。小量製造
結果と大量製造結果は対応が悪かった。また、該成長時
に新核の発生も生じていた。
本発明の装置を用いた実施例1と2は少量製造結果と
大量製造結果がよく一致していることを示している。比
較例1と2は小量製造結果と大量製造結果がよく一致し
ていないことを示している。
実施例3. 実施例1と同じ反応容器にゼラチン水溶液(水990m
l、ゼラチン40g、pH7.0、KBr0.5g)を加え、75℃に昇温
し、攪拌しながらAgNO3水溶液とKBr水溶液を精密定流量
ポンプで4ml/分(AgNO30.028g/分に相当)で10分間、同
時添加し、続いて26ml/分で7分間、同時添加した。こ
の添加中のpHとpBrは一定であった。次にKBr水溶液(1
0.5重量%液)を添加し、銀電位(対S.C.E.)を−25mV
に設定した。続いて、該KBr水溶液とAgNO3水溶液(14重
量%液)を用いて、AgNO3液の初期流量3ml/分、最終流
量27mlの40分間の直線流量加速法で、該銀電位とpHを一
定に保ちながら同時添加した。次にその2倍濃度のAgNO
3水溶液とKBr水溶液を用い、初期流量12ml/分、最終流
量16.4ml/分の22分間の直線流量加速添加法で該銀電位
とpH値を一定に保ちながら同時添加した。次に温度を30
℃に下げ、水洗し、40℃で再分散させ、pH6.4、pBr3.0
に調節した。得られた八面体AgBr乳剤粒子のレプリカ像
を電子顕微鏡で観察した。該特性結果を表2に示した。
実施例4. 実施例3の装置を500容積に相似形で拡大し、実施
例3の処方を125倍に大量化し、八面体AgBr乳剤を製造
した。得られたAgBr粒子の特性結果を表2に示した。
比較例3. 比較例1の装置を用い、実施例3と同一処方で八面体
AgBr粒子を形成した。得られたAgBr粒子の特性を表2に
示した。
比較例4. 比較例2の装置を用い、実施例4と同一処方で八面体
AgBr粒子を形成した。得られたAgBr粒子は新核の発生を
伴なっていた。該粒子の特性を表2に示した。
本発明の装置を用いた実施例3と4は少量製造結果と
大量製造結果がよく一致していることを示している。比
較例3と4は少量製造結果と大量製造経過がよく一致し
ていないことを示している。
実施例5. 実施例3で製造した乳剤と比較例3で製造した乳剤を
60℃に昇温し、イオウ増感剤として、Na2S2O3・5H2Oを
2×10-5mol/mol AgXだけ添加し、続いて金−チオシア
ン酸錯体(塩化金酸:NaSCN=1:100mol比)溶液を1×10
-5mol/mol AgXだけ添加し、50分間の熟成をした。該化
学増感剤の添加方法としては、従来法による添加(該化
学増感剤溶液の全量を試験管より1秒以内で添加する)
法と第7図の装置を用いて添加する方法の2つの方法を
用いた。該化学熟成後、温度を40℃に下げ、かぶり防止
剤TAI(4−hydroxy−6−methyl−1,3,3a,7−tetrazai
ndene)を6×10-3mol/mol AgXと塗布助剤を加えて塗布
(塗布銀量は1.5g/m2、ベースはトリアセチルセルロー
スフィルム)し、乾燥させた。該塗布フィルムを1秒間
のウェッジ露光をし、MAA−1現像液で20℃、10分間、
現像した。得られた特性曲線より求めたかぶりとガンマ
は表3の通りであった。
本発明の装置を用いて製造したAgX乳剤に、本発明の
装置を用いて化学増感剤を添加し、化学増感した乳剤が
最も低かぶりで、ガンマが高かった。なお、比較例3の
粒子成長時のpHを6.0にすると、かぶりが実施例3の乳
剤と同等レベルになった。従って、実施例3の乳剤はか
ぶりが少なく、かつ、より粒子内部の還元増感が均一で
より還元増感された乳剤を与えることを示している。
【図面の簡単な説明】
第1〜4図は本発明均一化混合装置の好ましい態様例を
示す。図中の記号は共通しており、次の通りである。 1,11……反応溶液 2a,2c,2e,……中空円柱型多孔膜添加系(銀塩溶液添加
系)、2b,2d,2f……中空円柱多孔膜添加系(ハロゲン化
物塩溶液添加) 71……ガス抜きコック 72……添加溶液の開閉コック Ag+……=銀塩水溶液 X-……=ハロゲン化物塩水溶液 3,10……穴あきパドラー型撹拌羽根 4,16……反応容器 5……多孔膜支持体 6,14……邪魔板 94……隔壁 7……混合box、8……撹拌機 12……鈍角側壁、9……大量溶液 13……鋭角側壁 15……垂直面 第5図と第6図は混晶AgX粒子形成用のX-塩溶液添加系
のCl-,Br-,I-溶液の前混合装置の系統図を示す。 51,61……磁気撹拌装置 52,62……Mixing Tank 53……差圧検出装置、圧制御装置 63……ピストン、64:シールドパッキング 第7図はガス抜きlineを有する多孔膜添加系を示す。 第8図はrotally coverを有する多孔膜添加系を示す。
図中の記号は次の通りである。 81:閉鎖膜 82:小孔径多孔膜 83:中または大孔径多孔膜 84:rotally cover 第9図は混晶AgX粒子形成用のX-塩溶液添加用の多孔膜
の1例を示す。 91……I-塩溶液添加用多孔膜 92……Cl-塩溶液添加用多孔膜 93……Br-塩溶液添加用多孔膜 第10図の点線aは〔多孔膜の孔径φ(Å)VS.水溶液中
のbubble point圧ΔP(kg/cm2)〕の関係を示す。点線
aと点線bの間はゼラチン水溶液中における該関係(ゼ
ラチン濃度により変化する)を示す。実線cは、〔該孔
径VS.該孔より添加された溶液が分子拡散により10-4
間に何倍に希釈されるかを表わす希釈倍数〕を表わす。
実線dは10-2秒間における該関係を示す。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも親水性分散媒と水を含む容器中
    に、少なくとも銀塩と水を含有する添加溶液と、少なく
    ともハロゲン化物塩と水を含有する添加溶液とを加圧添
    加し均一混合する事によりハロゲン化銀粒子を生成する
    均一混合装置において、該添加溶液の少なくとも一方
    を、孔の直径が10-6mm〜2mmの孔が1添加溶液当り孔数1
    0〜1015である多孔体を通して添加し、該分散媒濃度が
    0.05〜10重量%であり、該分散媒がゼラチン、蛋白質、
    セルロース誘導体、糖誘導体及び合成親水性高分子物質
    から選ばれる事を特徴とする均一混合装置。
  2. 【請求項2】該多孔体が該容器内溶液中にあり、1本の
    チューブ(tube)あたり出口を2つ以上有するチューブ
    型多孔体である事を特徴とする請求項1記載の均一混合
    装置。
  3. 【請求項3】少なくとも親水性分散媒と水とハロゲン化
    銀粒子を含む容器中に、化学増感剤、分光増感色素、カ
    ブリ防止剤、かぶらせ剤、強色増感剤から選ばれる写真
    乳剤添加剤を少なくとも1つ含有する添加溶液を添加し
    均一混合するハロゲン化銀乳剤の均一混合装置におい
    て、該添加溶液の少なくとも一方を、孔の直径が10-6mm
    〜2mmの孔が1添加溶液当り孔数10〜1015である多孔体
    を通して添加し、該分散媒濃度が0.05〜10重量%であ
    り、該分散媒がゼラチン、蛋白質、セルロース誘導体、
    糖誘導体及び合成親水性高分子物質から選ばれる事を特
    徴とする均一混合装置。
  4. 【請求項4】該多孔体が該容器内溶液中にあり、1本の
    チューブ(tube)あたり出口を2つ以上有するチューブ
    型多孔体である事を特徴とする請求項3記載の均一混合
    装置。
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