JP2646460B2 - 離型フィルム - Google Patents

離型フィルム

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【発明の詳細な説明】 [発明の技術分野] 本発明は、粘着性物質などに適用される離型フィルム
に関するもので、さらに詳しくは、紫外線硬化型シリコ
ーンを帯電防止プラスチックフィルムに塗布した離型フ
ィルムに関する。
[発明の技術的背景とその問題点] 従来より、ポリオルガノキロキサンを主成分とする組
成物を各種の紙、合成フィルム、繊維等の基材表面にて
硬化させ、被膜を形成することにより、粘着性物質に対
する剥離性を付与させることはよく知られている。
このようなポリオルガノキロキサン組成物には、縮合
反応により硬化するもの(特開昭47−34447号公報等参
照)や、付加反応により硬化するもの(特公昭52−4091
8号公報等参照)が知られている。しかしこれらの反応
を行うには、加熱する必要があるため耐熱性のある基材
でないと適用できないという欠点がある。
この加熱硬化型シリコーン組成物の欠点を克服するた
め、紫外線硬化型シリコーン組成物が開発されている
(特開昭56−166224号、特開昭58−213024号、特開昭60
−47064号、特開昭60−84329号、特開昭61−293268号、
特開平1−297421号、特開平1−311103号各公報参
照)。紫外線照射装置は、輻射線照射装置の一種である
が、価格が安く、保守が容易であり、かつ使用者への危
険が少ないために最も広く使用されている。この方法で
は、通常、硬化時間が短くてすみ、また熱エネルギーに
よって損傷を受けるような基材でも、塗工後に加熱する
ことなく紫外線照射により硬化させることができるとい
う利点を持つ。
紫外線硬化型シリコーンは、硬化形態によりおよそ次
の4つの型に分類される。
(1)Si−Vi基(Viはビニルの略)とSi−H基を白金触
媒の存在下に紫外線で硬化させるタイプ。
(2)アクリル官能性シリコーンをラジカル開裂型光触
媒の存在下に紫外線で硬化させるタイプ。
(3)Si−Vi基とS−H基をラジカル開裂型光触媒の存
在下に紫外線で硬化させるタイプ。
(4)エポキシ官能性シリコーンをカチオン発生型触媒
の存在下に紫外線で硬化させるタイプ。
上記(1)のタイプは、高価な触媒を多量に使用する
ことが必要であり、経済的に好ましくない。
(2)のタイプは、硬化は速いが、酸素による硬化阻
害があるため、不活性ガス雰囲気下で反応を行う必要で
あって、装置上の工夫を要し、不活性ガスのランニング
コストがかかるという欠点がある。
(3)のタイプは、酸素による硬化阻害が少なく硬化
性に優れているが、メルカプト基を含有するため、不快
臭が強くて作業者にとり好ましくなく、しかも組成物の
安定性が悪く、シェルフライフが短いという欠点を有す
る。
(4)のタイプは、紫外線により硬化し、酸素による
硬化阻害もなく、不快臭もないため、非常に優れてい
る。しかし、各種帯電防止フィルム基材に塗工した場
合、原因不明の硬化阻害がみられることがあり、この技
術の適用には不安があった。
[発明の目的] 本発明はこのような問題点を解決し、帯電防止フィル
ム基材を用いた場合でも、硬化阻害を受けることなく、
表面をシリコーン塗膜で処理された離型フィルムを提供
することを目的とする。
[発明の構成] 本発明者は、このような離型フィルムを得るべく種々
検討した結果、プラスチックフィルムに塗布または内部
添加する帯電防止剤として、特定のものを使用すること
により、硬化性を損なうことなく、そのフィルム上にエ
ポキシ官能性シリコーンとその光開始剤を配合したもの
を塗工後、紫外線照射により硬化させることによって、
優れた離型フィルムが得られることを見いだし、本発明
をなすに至った。
すなわち本発明の離型フィルムは、 窒素、リン、イオウのいずれをも含まない化合物より
なる帯電防止剤を塗布または内部添加したプラスチック
フィルムと、そのフィルム上にオニウム塩である光開始
剤を添加して塗工され紫外線照射により硬化させたエポ
キシ官能性シリコーン被膜から成る。
本発明におけるプラスチックフィルムとしては、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレ
ンテレフタレート等のフィルムが挙げられる。
離型フィルム製造時には、静電気の発生が著しく、離
型被膜が静電気スパークにより劣化したり、溶剤への引
火の危険性があるため、フィルムに帯電防止剤を内部添
加あるいは塗布するなどの方法が一般的に用いられる。
本発明で用いることのできる帯電防止剤は、窒素、リ
ン、イオウのいずれをも含有しない化合物であり、特に
該化合物はエステル類、アルコール類、またはオルガノ
シリケート部分加水分解物であるのが好ましく、またそ
れらは1種以上で使用することができる。具体的な例示
をすれば、ペンタエリスリットモノステアレートやペン
タエリスリットモノラウレートなどの多価アルコールの
脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールの脂肪酸エス
テル等のエステル類、エチレングリコール、グリセリン
等のアルコール類、エチルシリケート等の部分加水分解
物を挙げることができる。エステル化合物とアルコール
化合物は、プラスチックに内部添加する場合が一般的で
あり、添加量はプラスチック100重量部に対して0.2〜3.
0重量部が好ましい。0.2重量部未満であると帯電防止硬
化が乏しく、3.0重量部より多いとシリコーン被膜の密
着性が乏しくなる。オルガノシリケートの部分加水分解
物は、フィルムに塗布するのが一般的で、0.1μm〜0.5
μmの厚さに塗布するのが好ましい。
本発明におけるエポキシ官能性シリコーンとしては、
1分子中に平均2つ以上のエポキシ官能性の有機基をも
つものが必要である。エポキシ官能性シリコーンは、ポ
リメチルハイドロジェンシロキサンに4−ビニルシクロ
ヘキセンオキシド、アリルグリシジルエーテル、7−エ
ポキシ−1−オクテンなどのオレフィン性エポキシ単量
体を、白金化合物などの触媒を用いて、付加反応させる
ことにより得られる。
本発明に用いる光開始剤は、エポキシ官能性シリコー
ンに相溶し、光によってエポキシ環を開かせる能力のあ
るオニウム塩開始剤であるならば、特に使用は限定され
ない。
本発明に好適な光開始剤は式R2I+MXn -、R3S+MXn -、R3
Se+MXn -、R4P+MXn -又はR4N+MXn -(式中、Rは(1)炭
素原子数6〜20の芳香族炭化水素基、(2)C1〜C8のア
ルコキシ基、C1〜C8のアルキル基、窒素原子、塩素原
子、臭素原子、シアノ基、カルボキシル基、メルカプト
基などの中から選ばれた1〜4個の1価の基で置換され
た炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基、及び(3)ピ
リジル基、チオフェニル基、ピラニル基などを含む芳香
族複素環式基からなる群より選ばれた炭素原子数1〜30
の同一または相異なる有機基であり、またMXn -はBF4 -
PF6 -、AsF6 -、SbF6 -、SbCl6 -、HSO4 -、ClO4 -などの非塩
基性かつ非求核性の陰イオンである)で表されるオニウ
ム塩である。中でもビス(ドデシルフェニル)ヨードニ
ウムヘキサフルオロアンチモネートのようなジアリール
ヨードニウム塩が好適である。光開始剤の量は、特に制
約されるものではないが、硬化速度と経済性の点から0.
5〜3.0重量部が好ましい。
[発明の効果] 本発明の離型フィルムは、帯電防止フィルムを基板に
使用した場合でも、従来技術のように硬化阻害を受ける
ことなく、良好な硬化状態のシリコーン被膜が形成され
たものとなる。その結果、優れた離型性などを有し、そ
の製造には生産性、作業性などの優れた紫外線硬化型エ
ポキシ官能性シリコーンを使用することができる。
[発明の実施例] 以下において、実施例及び比較例をあげ、本発明を詳
細に説明する。
まず、試料の調製および評価方法は以下のとおりであ
る。
(評価用塗工液の調製) 25℃における粘度が16cStで水素含有量が0.16重量%
の、両末端がトリメチルシリル基で封鎖されたポリメチ
ルハイドロジェンシロキサン1000部に、25℃における粘
度が400cStの、両末端がジメチルビニル基で封鎖された
ポリジメチルシロキサン200部を混合し、塩化白金酸イ
ソプロピルアルコール溶液を白金換算で15ppmとなるよ
う添加した後、50℃で1時間反応させた。その後さら
に、4−ビニルシクロヘキセンオキサイド250部を2時
間かけて滴下した。この時発熱がみられるが、50〜60℃
の間に制御して4時間反応させた。その後、10mmHg下13
0℃で2時間トッピングを行い、未反応物及び低留分を
除去した。得られたエポキシ変性シリコーンオイルは、
25℃における粘度が250cStであった。
このエポキシ変性シリコーンオイル100部に、ビス
(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアン
チモネート2部を添加・溶解させた液を、硬化性及び剥
離特性の評価用塗工液とした。
(硬化性の評価) 実施例及び比較例に示した各種プラスチックフィルム
に、評価用塗工液を1.3g/m2の厚さに塗工し、高圧水銀
灯80W/cm1灯を10cmの高さに設置した条件下で、速度5m/
minのコンベアーを通して硬化させた。紫外線照射直
後、シリコーン塗工面を2往復指でこすり、表面状態を
観察し、硬化状態を次の3つに分類して硬化性を評価し
た。
×…シリコーンが硬化せず、かすみ(スミアー)があ
る。
△…シリコーンは硬化しているが、密着性が悪く脱落
(ラブオフ)がある。
○…シリコーンは硬化しており、密着性も良好である。
(剥離力の測定) シリコーン硬化1日後、No.502テープ(日東電工
(株)製)を2kgゴムローラーで1往復させながら圧着
して貼付後、20g/cm2荷重下25℃,20時間エージングさせ
た。エージング後、180゜方向に0.3m/minの速度で引き
剥がし、その時の剥離力を測定した。なお、剥離力が特
に低いのは、離型性がよいのではなく、離型塗膜の異常
を示す値である。
(残留接着率の測定) シリコーン硬化1日後、ニットー31Bテープ(2.5cm
幅、日東電工(株)製、商品名)を貼付し、20g/cm2
重下25℃,20時間エージングさせた。エージング後、テ
ープを剥がし、ステンレス板(JIS C2107)に貼り付つ
け、2kgゴムローラーで圧着後、25℃で3時間エージン
グさせ、その後180゜方向に0.3m/minの速度で引き剥が
し、その時の剥離力(f)を測定した。一方ブランク試
料として、ポリテトラフルオロエチレンフィルムにニッ
トー31Bテープを貼り付つけ、同様の操作により剥離力
(f0)を測定した。残留接着率(%)は次式で算出し
た。
残留接着率(%)=f/f0×100 実施例 1 多価アルコール脂肪酸エステル系の帯電防止剤である
ペンタエリスリットモノステアレート0.8重量%を練り
込んで調製した低密度ポリエチレンフィルム(50μm
厚)に、評価用塗工液を前述方法に従って塗工し、硬化
性、剥離力、残留接着率を測定した。結果を第1表に示
す。
実施例 2 多価アルコール脂肪酸エステル系の帯電防止剤である
ステアリン酸モノグリセライド2.5重量%を練り込んで
調製したポリプロピレンフィルム(50μm厚)に、実施
例1と同様にシリコーン処理し、評価した。結果を第1
表に示す。
実施例 3 多価アルコール脂肪酸エステル系の帯電防止剤である
ステアリン酸モノグリセライド4.0重量%を練り込んで
調製したポリプロピレンフィルム(50μm厚)に、実施
例1と同様にシリコーン処理し、評価した。結果を第1
表に示す。
実施例 4 多価アルコール脂肪酸エステル系の帯電防止剤である
ソルビタンモノパルミテート2.5重量%を練り込んで調
製したポリスチレンフィルム(50μm厚)に、実施例1
と同様にシリコーン処理し、評価した。結果を第1表に
示す。
実施例 5 市販のPETフィルム(ルミラー、商品名、東レ(株)
製)にシリケート系の帯電防止剤(コルコートP、商品
名、コルコート(株)製)を0.2μm(Dry)厚に塗工
後、100℃で2分加熱し、硬化させた。その後、実施例
1と同様にシリコーン処理し、評価した。結果を第1表
に示す。
実施例 6 帯電防止剤としてグリセリン0.5重量%を練り込んで
調製したポリエチレンフィルム(50μm厚)に、実施例
1と同様にシリコーン処理し、評価した。結果を第1表
に示す。
比較例 1 帯電防止剤にアミン系のアミノエチルエタノールアミ
ン0.8重量%を用いる以外は実施例1と同様にシリコー
ン処理し、評価した。結果を第1表に示す。
比較例 2 帯電防止剤にスルホン酸塩系のドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム2.5重量%を用いる以外は、実施例1
と同様にシリコーン処理し、評価した。結果を第1表に
示す。
比較例 3 帯電防止剤にアンモニウム塩系のラウリルトリメチル
アンモニウムクロライド1.0重量%を用いる以外は、実
施例2と同様にシリコーン処理し、評価した。結果を第
1表に示す。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒素、リン、イオウのいずれをも含まない
    化合物よりなる帯電防止剤を塗布または内部添加したプ
    ラスチックフィルムと、そのフィルム上にオニウム塩で
    ある光開始剤を添加して塗工され紫外線照射により硬化
    させたエポキシ官能性シリコーン被膜から成る離型フィ
    ルム。
  2. 【請求項2】帯電防止剤における窒素、リン、イオウの
    いずれをも含まない化合物が、エステル類、アルコール
    類およびオルガノシリケート部分加水分解物から選ばれ
    た1種以上の化合物である請求項1記載の離型フィル
    ム。
  3. 【請求項3】光開始剤が、式R2I+MXn -、R3S+MXn -、R3Se
    +MXn -、R4P+MXn -あるいはR4N+MXn -(式中Rは芳香族炭
    化水素であり、MXn -はBF4 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -、SbCl
    6 -、HSO4 -およびClO4 -から成る群よりえらばれた陰イオ
    ンである)で表されるものである請求項1記載の離型フ
    ィルム。
  4. 【請求項4】帯電防止剤の内部添加量が、プラスチック
    フィルムに対して0.2〜3.0重量%である請求項2記載の
    離型フィルム。
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