JP2645454B2 - マンコンベア点検装置 - Google Patents

マンコンベア点検装置

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、マンコンベアの状態を点検するためのマン
コンベア点検装置に関する。
〔従来の技術〕
近年、各種建造物にはエレベータ、エスカレータや動
く歩道等のマンコンベア、リフト等の昇降機が設置さ
れ、移住者や来客等の便に供され、人々にとつて不可欠
のものとなつている。したがつて、この昇降機に故障が
発生すると、その建造物の移住者や出入の人々はその生
活や業務に多大の迷惑を蒙るばかりでなく、人身事故に
つながるおそれも生じる。このため、昇降機に対しては
常時その異常の有無を監視する監視システムが採用され
ている。
このような監視システムには種々のものがあるが、一
例として、特願昭63−275106号に記載されたものの概略
を説明する。この監視システムは、昇降機制御装置、監
視端末装置、監視センタ、および昇降機を管理する営業
所で構成され、監視端末装置と監視センタ、および監視
センタと営業所は電話線で接続されている。なお、監視
センタは多数の監視端末装置を管轄する。
上記構成において、昇降機制御装置は、昇降機の運行
の制御および昇降機の異常発生有無の判断を実行する。
この異常発生有無の判断において、発生した異常は、そ
の異常の重要度毎にランク付けされて記憶され、又、異
常発生時点における諸データも記憶される。監視端末装
置は常時昇降機制御装置を監視しており、異常が発生し
たとき、監視センタに自動ダイヤルして監視センタとの
電話回線を接続し、監視センタに異常のランクを出力す
る。監視センタは監視端末装置からの異常のランクを受
信すると、その異常のランクが重要度の高いものである
ときには監視端末装置から異常の内容および昇降機の状
態をとり出し、これを記憶する。一方、監視センタの係
員は、監視端末装置から異常のランクを受信すると直ち
にこれを異常発生昇降機を管理する営業所に連絡し、巡
回中の保守員を現場に急行せしめるとともに、その後入
力された異常の内容等を営業所に連絡し、さきに急行せ
しめた保守員への人員、修理機材等の必要なバツクアツ
プを行なわせる。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記昇降機の遠隔監視装置は、異常発生時に、迅速か
つ適切な処理を行なうことができる装置である。ところ
で、上記営業所の保守員は、自己の担当区域にあるマン
コンベアの設置個所を巡回して、当該マンコンベア購入
使用者との契約に基づき定期的な点検を実行したり、営
業所からの指令により異常発生のマンコンベアへ急行し
て所要の処理を採る等の作業を行っている。
この保守員による作業は、一旦マンコンベアを停止さ
せ、マンコンベアの乗降個所の蓋をあけて行われるが、
この場合、マンコンベアの停止時はこれを階段として使
用し得ること、蓋が乗降個所にあること等の理由によ
り、たとえ開いた蓋の周囲を柵で囲っても、人が過って
落下する危険があった。このため、例えばデパート等の
ように不特定の顧客が多数出入りする業種では、異常の
ランクが低い場合、マンコンベアの蓋を開けずに点検を
行い、また、その点検も短時間で行うことが強く要望さ
れていた。
しかしながら、従来、マンコンベアの点検において
は、このような要望を満足せしめることはできなかっ
た。
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、マン
コンベアの乗降口の蓋を長時間開けることなく、かつ、
保守員が極めて容易、迅速、効率的に点検を行うことが
できるマンコンベア点検装置を提供するにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記の目的を達成するため、本発明は、マンコンベア
の所定個所のデータを測定検出する測定・検出部と、マ
ンコンベアの駆動を制御するとともに前記測定・検出部
からのデータに基づいてマンコンベアの異常を診断する
マンコンベア監視装置とを備えたマンコンベアに対する
点検を行う装置を、前記マンコンベア監視装置の接続端
子に着脱される入出力端子と、この入出力端子を介して
前記マンコンベア監視装置へ前記マンコンベアの起動、
停止を指令する第1の指令手段と、前記マンコンベアの
種々の運転状態における所定の点検項目を選択する選択
手段と、前記第1の指令手段から指令が出力されたとき
この指令に対応する前記選択手段により選択された点検
項目について前記入出力端子を介して前記マンコンベア
監視装置へ点検を指令する第2の指令手段と、この第2
の指令手段で指令された点検の結果を前記入出力端子を
介して入力し記憶する記憶手段とを備え、携帯可能に構
成したことを特徴とする。
さらに、他の発明は、上記構成に加えて、前記マンコ
ンベア監視装置に記憶されているマンコンベアの来歴デ
ータを呼出す入力手段を設けたことを特徴とする。
さらに他の発明は、上記の各構成に加えて、前記記憶
手段に記憶されたデータと、前記入力手段で呼出された
データを比較して異常の有無を判定する判定手段を設け
たことを特徴とする。
〔作用〕
保守員はマンコンベア点検装置を常時携行しており、
また、このマンコンベア点検装置には点検項目が設定さ
れている。保守員は、点検対象のマンコンベアに到着す
ると、その入出力端子をマンコンベア監視装置の接続端
子に接続する。次いで、第1の指令手段によりマンコン
ベアの停止指令または運転指令を出力する。マンコンベ
ア点検装置は、この指令出力後、第2の指令手段により
点検項目について点検、測定を指令し、その結果を取入
れて記憶手段に格納する。保守員は、当該結果に基づい
て所要の処置を採り、または当該結果をそのまま営業所
に持ち帰って検討する。
また、他の発明では、上記マンコンベア点検装置の機
能に加え、マンコンベア監視装置に記憶されているマン
コンベアの来歴を入力手段により呼出し記憶する機能が
付加されており、さらに他の発明では、この付加機能に
加えて、上記記憶手段に格納された検出、測定結果とマ
ンコンベアの来歴とを比較して異常の有無を判断する機
能も付加されている。これら付加機能により、保守員
は、保守の判断資料として来歴を参照することができ、
さらに、直ちに異常個所を知り早急に所要の処置をとる
こともできる。
〔実施例〕
以下、本発明を図示の実施例に基づいて説明する。
第1図は本発明の実事例に係るマンコンベア点検装置
およびマンコンベア遠隔監視装置のブロツク図である。
図で、Mはマンコンベア(エスカレータ)、10はマンコ
ンベアMの各所定個所の測定や検出を行なう各装置を総
合して示す測定・検出部である。20は従来の昇降機制御
装置に相当するマンコンベア監視装置、30は従来の監視
端末装置に相当する発報端末装置、40は監視センタであ
る。50はマンコンベア点検装置を示す。Aはマンコンベ
アMを管理する営業所、Tはマンコンベア監視装置30と
監視センタ40との間、および監視センタ40と営業所Aと
の間の電話回線を示す。なお、通常は1つの建造物に複
数のマンコンベアMが備えられており、測定・検出部10
およびマンコンベア監視装置20が各マンコンベアMに付
属し、それら複数のマンコンベア監視装置20を1つの発
報端末装置が監視する構成となつているが、図では、1
台のマンコンベアMとこれに付属する測定・検出部10お
よびマンコンベア監視装置20のみが示され、他は図示が
省略されている。又、監視センタ40は、多数の発報端末
装置30を管轄するが、1つの発報端末装置30のみが示さ
れ、他は図示が省略されている。マンコンベア監視装置
20は、所要の演算、制御を行なうMPU20a、このMPU20aの
処理手順を記憶するROM20b、所要のデータを記憶するRA
M20c、およびデータの入出力を行なうI/O20d、20eより
成るマイクロコンピユータで構成されている。発報端末
装置30は、マンコンベア監視装置20から所要のデータを
取出して記憶する記憶手段、監視センタ40に自動ダイヤ
ルする自動ダイヤル装置、および監視センタ40との間で
情報の授受を行う送受信回路で構成されている。
さらに、マンコンベア点検装置50は、所要の演算、制
御を行なうMPU50a、このMPU50aの処理手順を記憶するRO
M50b、所要のデータを記憶するRAM50c、データの入出力
を行なうI/O50dより成るマイクロコンピユータ、およ
び、各種指令等を入力するためのキーボード50e、入力
された指令や各種データ等を表示する表示器50f、プリ
ンタ50g等で構成されている。このマンコンベア点検装
置50は、保守員がポケットに入れて持ち歩くことができ
る程度の小型の寸法の構成となっている。
第2図は第1図に示すROM20cの一部の内容説明図であ
る。RAM20cには図示されているように、一部に、Aラン
ク故障記憶部20c1,Bランク故障記憶部20c2,Cランク故障
記憶部20c3,および状態記憶部20c5等を備えており、マ
ンコンベアMの異常を、その異常に対して予め定められ
ているランク付けに従つて該当するランクの故障記憶部
に記憶する。状態記憶部20c5は、マンコンベアMの状態
を記憶する記憶部である。上記ランク付けおよび状態に
ついては、第3図により説明する。
第3図はマンコンベアの異常項目(自己診断内容)の
ランクおよびマンコンベアの状態の一例を説明する説明
図である。第3図で、Aランクに区分される異常項目
は、マンコンベアの乗客に優慮すべき影響を及ぼすおそ
れがある重大な異常である。又、Bランクに区分される
異常項目は、マンコンベアの乗客に直ちに優慮すべき影
響を及ぼすおそれはないが、そのまま運転を続けると重
大な異常となる項目、又は一時的に停止し再起動するべ
き異常項目である。さらに、Cランクに区分される異常
項目は、そのまま運転を続けると運転に支障を生じるお
それがあり、整備を必要とする異常項目である。これら
各ランクに区分される異常項目はすべて、マンコンベア
監視装置20が有する診断機能により自己診断され、各異
常毎に該当するランクの故障記憶部に記憶される。具体
的には、各異常項目は個別に、RAM20cの定められたアド
レスに対応せしめられ、これら各アドレス毎にランクが
定められることになる。そして、ある異常項目に異常が
生じると、この異常項目に対応するアドレスの値が例え
ば「0」から「1」に変化するようなつている。
なお、上記異常項目についての補足説明する、マンコ
ンベアにおいては、故障発生時、その故障に応じて安全
装置が作動するが、重大な故障の場合は手動でなければ
安全装置を復帰することができず、又、それ程重大な故
障でなければ安全装置は自動復帰するようになってい
る。Aランクの「手動復帰安全装置動作」が前者に、ま
たBランクの「自動復帰安全装置動作」が後者に相当す
る。「発煙」は、タバコ等がマンコンベアに巻込まれて
落下し、油のしみ込んだ綿埃等から煙が発生する異常で
ある。「ブレーキ制動距離異常」は、マンコンベア停止
時に乗客が将棋倒しになるのを防止すべく、マンコンベ
アを徐行停止させるために必要な制動距離が異常である
ことを意味する。「ハンドレール走行異常」は、左右の
ハンドレールの走行速度、又はステツプと各ハンドレー
ルの走行速度が同期していない状態をいう。「ステツプ
チエーン伸び異常」は、ステツプとステツプの間を連結
するステツプチエーンが所定値以上に伸びる異常であ
り、この伸びが大きくなると乗客がステツプとステツプ
の間に足を挟まれるおそれが生じる。「ドライビングチ
エーン伸び異常」は、ステツプチエーンが係合している
スプロケツトの回転部とモータとの間を連結するチエー
ン(ドライビングチエーン)が所定値以上に伸びる異常
であり、この伸びが大きくなると運転中にチエーンのコ
マ飛びが生じ、異様な音が発生する。「ハンドレール駆
動チエーン伸び異常」は、ハンドレール駆動体とモータ
との間を連結するチエーンが所定値以上に伸びる異常で
あり、この伸びが大きくなるとハンドレールの走行に異
常を生じる。
次に、第3図に示す状態記憶項目について説明する。
状態記憶項目とは、測定・検出部10から出力されるデー
タおよび診断後のデータの項目であり、これら項目のデ
ータは逐次変化するデータではなく、ある数値のデータ
であつて、具体的には、これら項目は個々にRAM20cの定
められたアドレスに対応せしめられ、これらアドレスが
第2図に示す状態記憶部を構成する。これら各項目のデ
ータが、基準値等と比較され、比較の結果、異常の場合
は、各故障ランクの所定の個所へ登録されることとな
る。
なお、図示の状態記憶項目について補足説明する。
「起動・停止回数」は点検間隔の決定の判断のための
値、「照明点灯時間」はランプ寿命の判断のための値、
「ステツプチエーン伸び量」、「ドライビングチエーン
伸び量」、「ハンドレール駆動チエーン伸び量」は、各
チエーンの伸び量の測定値である。
ところで、第3図に示すCランクの各チエーン伸び異
常の診断は、状態記憶項目の各チエーン伸び量に基づい
て判断されるが、この伸び量は、マンコンベア運転時と
停止時の各チエーンのたわみ状態で測定される。これを
第4図により説明する。第4図はステツプ駆動機構の系
統図である。図で51は図示されていないステツプを移動
させるステツプチエーン、52はステツプチエーン51と係
合するスプロケツト、53はスプロケツト52を駆動するモ
ータ、54はモータ53に連結されたスプロケツト、55はス
プロケツト54と、スプロケツト52と一体のスプロケツト
(図示されていない)との間に掛け渡されたドライビン
グチエーンである。56は床を示す。
ドライビングチエーン55の伸び量は次のようにして測
定される。今、床56の所定点をP1とする。マンコンベア
MのUP運転時、ドライビングチエーン55の上側は張力が
大きくなり、これに伴つて下側は破線に示されるように
大きくたるむ。このときの所定点P1の直上のドライビン
グチエーン55の位置をP2とする。一方、マンコンベアM
の停止時、ドライビングチエーン55の上側の張力は運転
時のように大きくはなく、したがつて、下側のたるみも
実線に示されるようにそれぼど大きくはない。このとき
の所定点P1の直上のドライビングチエーン55の位置をP3
とする。ドライビングチエーン55の伸び量は、位置P1,P
2間の距離と、位置P1,P3間の距離との差(P3−P2)によ
り表わされる。即ち、マンコンベアMの運転時と停止時
の両方の測定値が必要である。これは、他のチエーンに
ついても同じであり、例えばステツプチエーンの伸び量
は、ステツプチエーンに張りを与えるためのスプリング
について、マンコンベアMの運転時と停止時の当該スプ
リングの長さ(圧縮量)の差により表わされる。
次に、マンコンベア監視装置20、発報端末装置30およ
び監視センタ40による遠隔監視の動作を第5図、第6図
および第7図に示すフローチヤートを参照しながら説明
する。第5図はマンコンベア監視装置20の自己診断動作
を示すフローチヤートである。マンコンベア監視装置20
はまず、測定・検出部10の測定値や検出信号を監視し、
これに基づいて、前記運転時データと停止時データを比
較しなくても異常判定を行なうことができる各異常項目
について異常が発生しているか否かの判定を行なう(第
5図に示す手順S201)。そして、もし異常と判定された
場合は、RAM20cの所定のアドレスにその異常を記憶す
る。前記各異常項目についての判定が終了すると、今度
は減速時、起動時および前述のように、運転時データと
停止時データとの比較が必要な項目についての判定に移
る。
まず、マンコンベアMが停止中か否かが、例えば運転
指令のリレーが作動しているか否かにより判断される
(手順S202)。停止中と判断された場合、前記運転指令
のリレーが停止動作側に作動したばかり(停止時)か否
かが判断される(手順S203)。作動したばかりの場合
は、減速時における必要項目(例えば制動距離)につい
て、測定・検出部10に測定指令を出力し(手順S203)、
測定を実施せしめる。また、手順S203でマンコンベアが
完全に停止していると判断された場合には、停止中にお
ける必要項目について、測定・検出部10に測定指令を出
力し(手順S205)、測定を実施せしめる。手順S202で停
止中ではないと判断された場合、前記運転指令のリレー
が運転側に作動したばかり(起動時)か否かが判断され
る(手順S206)。起動時であれば、それに必要な項目
(例えば起動回数等)について、通常運転中であればそ
れに必要な項目について、それぞれ測定・検出部10に対
して測定指令を出力し(手順S207、S208)、測定を実施
せしめる。
手順S204、S205、S207、S208の処理により測定された
値は、RAM20cの状態記憶項目の対応個所に記録される
(手順S209)。次いで、この記録された値と基準値とが
比較照合され(手順S210)、照合の結果、測定された値
が異常か否かが判断される(手順S211)。異常であれ
ば、RAM20cの故障ランクの対応項目に異常が記録される
(手順212)。最後に、現在保安作業中なのか通常の状
態なのかが判断され(手順S213)、通常の状態であれ
ば、処理は再び手順S201に戻る。
なお、上記処理中、手順S210における基準値との比較
照合において、当該基準値は、乗客のいたずら等による
異常発報の多発を防止するため、相当程度の裕度をもっ
て設定されている。
次に、発報端末装置30の動作を説明する。第6図は発
報端末装置30の動作を説明するフローチヤートである。
発報端末装置30はその入出力部を介してマンコンベア監
視装置20のRAM20cの故障記憶部20c1〜20c4の各アドレス
の記憶の状態を、例えばミリ秒単位で繰返して確認し
(第6図に示す手順S31)、異常が記録されているか否
かを判断する(手順S32)。
もし、RAM20cの故障記憶部20c1〜20c4の各アドレスの
記憶状態が「0」から「1」に変化し、手順S32で異常
が発生したと判断されると、その異常が属するランクを
確認する(手順S33)とともに、そのランクのすべての
異常項目の内容、およびそのとき状態記憶部20c5に記憶
されている内容を直ちに記憶部に格納する。なお、マン
コンベアMが複数台ある場合には、異常の内容は各マン
コンベア毎にそのマンコンベアの番号を付して記憶され
る。次いで、自動ダイヤル装置に監視センタ40へのダイ
ヤルを指令し、電話回路5を介して監視センタ40との電
話回線を接続する(手順S34)。そして、監視センタ40
に、発生した異常のランクのみを発報する(手順
S35)。異常のランクが複数ある場合は緊急度が上位の
ランクのみを発報する。
次に、監視センタ40の動作を説明する。第7図は、監
視センタ40の動作を説明するフローチヤートである。監
視センタ40は発報端末装置30からの電話回線接続要求に
応じて電話回線接続を行ない(第7図に示す手順
S41)、発報端末装置30から発報された異常のランクを
受信し、かつ、これを記憶装置に記憶する(手順
S42)。そして、受信したランクを表示装置に表示し
(手順S43)、このランクに基づいて異常の内容を確認
するか否かの判断をする(手順S44)。この確認の要、
否は各ランクに対して予め定められている。例えば、第
3図に示すマンコンベアMの異常のランクの例では、A
ランク〜Cランクはすべての確認を要する。手順S44
確認が必要であると判断された場合、監視センタ40は直
ちに電話回線Tを介して発報端末装置30に対して、発報
端末装置30の記憶部に記憶されている異常の内容および
状態を問合せ、これらを監視センタ40に発信するように
指令し、それらを受信し記憶する(手順S45)。
そして、受信された異常の内容および状態を表示装置
に表示する(手順S46)。
監視センタ40の係員は、電話回線Tを介して、異常が
生じているマンコンベアMを管理する営業所Aに、ま
ず、異常発生およびその異常のランクを連絡するととも
に、その後、その異常がAランク〜Cランクである場合
には、上記手順S45の処理により読出されたデータに基
づき、手順S46により表示された表示事項をみて、異常
の内容およびマンコンベアMの状態をも営業所Aに報知
する。営業所Aではこのような監視センタ40からの異常
の報知に基づいて、直ちに巡回中の保守員にマンコンベ
アMに異常が発生していることおよびその異常のランク
が連絡し、もしそのとき、異常項目およびそのときのマ
ンコベアMの状態が判明しているときにはこれらの内容
も連絡し、マンコンベアMに保守員を急行させる。保守
員は、この連絡によりマンコンベアMの異常原因がどの
部分にあるか、又、マンコンベアMがどのような状態に
あるかを予め知ることができるので、マンコンベアMに
到着したとき、迅速に適切な処置を採ることができる。
又、最初保守員に異常のランクのみが連絡された状態で
保守員がマンコンベアMに急行したときには、その後営
業所Aに問合せを行なうことにより、保守員は異常項目
とマンコンベアMの状態を知ることができ、同じく迅
速、適切な処置を採ることができる。
一方、営業所Aでは、異常の内容に基づいて、マンコ
ンベアMの異常の修復に必要な機器であつて保守員が携
行していないものがある場合には、係員を派遣してこれ
を直ちにマンコンベアMへ運搬させることができ、これ
により、確実かつ迅速な異常の修復を保証することがで
きる。又、最初に異常のランクが報知されるので、これ
に対応する人員の手当てを迅速に行なうことができる
(通常Aランクの場合、2名の保守員を要することが多
い)。さらに、同時に複数のマンコンベアに異常が発生
したときでも、ランクが報知されることにより直ちに上
位ランクの異常に対して優先処置をとることができる。
なお、監視センタ40で必要がある場合には、電話回線
Tを介して発報端末装置30に記憶されているマンコンベ
アの診断内容・状態記憶項目の個々の内容を読出し、こ
れを表示装置に表示させることができる。
以上、マンコンベアの遠隔監視装置について述べた。
次に、上記保守員が携行するマンコンベア点検装置50の
動作を、第8図に示すフローチャートを参照しながら説
明する。
保守員はマンコンベアMに到着すると、先ず、マンコ
ンベア監視装置20のI/O20eに、マンコンベア点検装置50
のI/O50dをリード線により接続する。この接続は、マン
コンベアMの乗降口近辺にI/O20eの接続端子を設けてお
けば、蓋を開ける必要はなく行うことができる。次い
で、保守員は、必要な測定項目または異常判定項目をキ
ーボード50eによりRAM50cに設定しておく(第8図の手
順S500)。なお、この設定は現場で行わずに予め設定し
ておいてもよい。マンコンベア点検装置50の動作は、大
別して、停止中データ計測、運転中データ計測、およ
び、来歴データ採取と異常判断の3つに分けられる。
停止中データ計測は、保守員のキーボード入力によ
り、マンコンベアMの運転を停止する指令を出力し(手
順S511)、次いで、マンコンベアMの減速時に測定すべ
き項目の測定を、測定・検出部10に指令し(手順
S512)、さらに、マンコンベアMの完全停止時に測定す
べき項目についての測定をも指令する(手順S513)こと
により行われる。
運転中データ計測は、保守員のキーボード入力によ
り、マンコンベアMの運転を開始する指令を出力し(手
順S521)、次いで、マンコンベアMの起動時に測定すべ
き項目の測定を、測定・検出部10に指令し(手順
S522)、さらに、マンコンベアMの平常運転時に測定す
べき項目についての測定をも指定する(手順S523)こと
により行われる。
以上の各測定値は、それぞれRAM20cの所定アドレスに
記憶される(手順S530)。
次に、来歴データ採取と異常判断の動作について説明
する。マンコンベアMのそれまでの動作の各種データは
マンコンベア監視装置20のRAM20cに記憶されている。保
守員のキーボード操作により、これらのデータがRAM20c
から取出され、RAM50cに記録される(手順S541)。次い
で、RAM20cから異常発生データが取出されてRAM50cに記
憶され(手順S542)、これらデータが表示器50fに表示
される(手順S543)。保守員はこの表示をみて、緊急に
処理する異常が存在する場合には所要の処理を行う。マ
ンコンベア点検装置50は手順S543の処理が終わった後、
RAM20cから状態記憶データを取出し、これらをRAM50cに
記録する(手順S544)。そして、手順S530で記録されて
いる各データ相互の値の差、例えばドライビングチエー
ンの運転中と停止時の寸法の差、状態記憶データ、前記
各測定値等を、基準値と比較照合する(手順S551)こと
により、異常の有無を判断する(手順S552)。異常があ
れば、これを表示器50fに表示する(手順S553)。保守
員はこの表示をみて、必要と判断した場合は所要の処置
をとる。
なお、上記処理において、手順S551の照合処理で用い
られる基準値は、発報多発のおそれがないので、遠隔監
視時の照合処理(第5図に示す手順S210)において用い
られる基準値より裕度は小さく設定されている。また、
保守員は、表示器50fに表示されるデータをみて緊急処
置の必要がなければ、そのままそのデータを営業所Aに
持ち帰ることができる。
このように、マンコンベア点検装置50とマンコンベア
監視装置20とは、点検時、一本のコードで接続されるの
みであるので、マンコンベアMの点検中、その乗降口の
蓋は閉じたままでよく、乗客が開口から転落する危険を
防止することができる。また、マンコンベア点検装置50
は、マンコンベア監視装置20と接続し、マンコンベアM
の駆動を任意に制御して所要の測定を行い、そのデータ
を採取し、またはマンコンベア監視装置20のRAM20cから
そこに記憶されている所要のデータを取出し、さらに、
これらデータに基づいて異常の判断を行うようにしたの
で、保守員による点検を容易、迅速、かつ、効率的に行
うことができる。さらに、マンコンベア点検装置50は、
各種データの採取、記録が可能であるので、これらデー
タを営業所Aに持ち帰ってマンコンベアMについて充分
な検討を行うこともできる。
〔発明の効果〕
以上述べたように、本発明では、マンコンベア点検装
置とマンコンベア監視装置とは、点検時、一本のコード
で接続されるのみであるので、マンコンベアMの点検
中、その乗降口の蓋は閉じたままでよく、乗客が開口か
ら転落する危険を防止することができる。また、マンコ
ンベア点検装置はマンコンベアの駆動を任意に制御して
所要の測定を行い、所要のデータを取出し、さらに、こ
れらに基づいて以上の判断を行うようにしたので、保守
員の点検を容易、迅速、かつ、効率的に行うことができ
る。さらに、マンコンベア点検装置は、各種データの採
取、記録が可能であるので、これらデータを営業所に持
ち帰ってマンコンベアについて充分な検討を行うことも
できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例に係るマンコンベア点検装置の
およびマンコンベア遠隔監視装置のブロツク図、第2図
は第1図に示す発報端末装置のRAMの記憶内容説明図、
第3図はマンコンベアの異常項目のランクおよびマンコ
ンベアの状態例の説明図、第4図はステツプ駆動機構の
系統図、第5図、第6図および第7図は第1図に示す装
置の動作を説明するフローチヤート、第8図はマンコン
ベア点検装置の動作を説明するフローチヤートである。 10……測定・検出部、20……マンコンベア監視装置、20
e……I/O、30……発報端末装置、40……監視センタ、50
……マンコンベア点検装置、50d……I/O、M……マンコ
ンベア、A……営業所
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−159988(JP,A) 特開 昭63−180689(JP,A) 実開 昭58−196361(JP,U)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マンコンべアの所定個所のデータを測定検
    出する測定・検出部と、マンコンベアの駆動を制御する
    とともに前記測定・検出部からのデータに基づいてマン
    コンベアの異常を診断するマンコンベア監視装置とを備
    えたマンコンベアに対する点検を行う装置であって、前
    記マンコンベア監視装置の接続端子に着脱される入出力
    端子と、この入出力端子を介して前記マンコンベア監視
    装置へ前記マンコンベアの起動、停止を指令する第1の
    指令手段と、前記マンコンベアの種々の運転状態におけ
    る所定の点検項目を選択する選択手段と、前記第1の指
    令手段から指令が出力されたときこの指令に対応する前
    記選択手段により選択された点検項目について前記入出
    力端子を介して前記マンコンベア監視装置へ点検を指令
    する第2の指令手段と、この第2の指令手段で指令され
    た点検の結果を前記入出力端子を介して入力し記憶する
    記憶手段とを備え、携帯可能に構成したことを特徴とす
    るマンコンベア点検装置
  2. 【請求項2】請求項(1)記載のマンコンベア点検装置
    において、前記マンコンベア監視装置に記憶されている
    マンコンベアの来歴データを呼出す入力手段を設けたこ
    とを特徴とするマンコンベア点検装置
  3. 【請求項3】請求項(2)記載のマンコンベア点検装置
    において、前記記憶手段に記憶されたデータと、前記入
    力手段で呼出されたデータとを比較して異常の有無を判
    定する判定手段を設けたことを特徴とするマンコンベア
    点検装置
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