JP2643697B2 - ゼロメチン色素とテトラアザインデンを用いる改良された平板状粒子の増感 - Google Patents

ゼロメチン色素とテトラアザインデンを用いる改良された平板状粒子の増感

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は写真用のハロゲン化銀乳剤とこの
乳剤の増感とに関する。なおさらに詳細に、本発明はゼ
ロメチン色素とテトラアザインデン化合物との組み合わ
せを用いて特に増感された、平板状粒子のハロゲン化銀
乳剤に関するものである。
【0002】
【背景技術】本質的に平板状のハロゲン化銀粒子を含む
乳剤は従来から良く知られている。これらの粒子はさら
に慣用の球状の粒子よりもいくつかの利点を有してい
る。例えば、平板状の粒子を含むハロゲン化銀X−線エ
レメントは、その優れた被覆力を維持したまま充分に前
硬化をすることができる。このことは、処理工程中に通
常硬化をされる、球状粒子を含む普通のX−線エレメン
トよりも利点である。その上、平板状粒子はより少ない
塗布量に塗布することができ、そのため普通の粒子を含
むエレメントよりも銀を節約することができる。また、
平板状粒子を含むエレメントは球状粒子によるものより
高い感光度を時には示すものである。しかしながらこの
感光度を増大させる必要性は常に存在するものである。
平板状の粒子は青色光に対して非常に低い感光性を有し
ているので、良好な分光増感色素が得られ、従ってこれ
ら平板状粒子により与えられるすべての特長を利用でき
ることに切実な必要性がある。
【0003】分光増感色素のJ−凝集はまた従来から良
く知られている。J−凝集は、単独の色素または色素混
合物で、より長い波長側に吸収極大の移動を生じさせ
る。色素のJ−凝集体は、それらが選択的な増感を生じ
るシャープなかつ高い吸収係数をもつため、実用上の大
きな重要性を有している。平板状粒子について、多数の
色素が実際に有効であると報告されているが、400〜
500nmの分光領域でJ−凝集する能力をもつものは、
わずかであるかまたはほとんどみられない。平板状粒子
エレメントとともに用いるこのようなJ−凝集性色素の
1つは、1989年9月22日に出願された米国特許出
願第07/412,536号中に引用されたゼロメチン
色素類であり、この特許を参考に挙げておく。これらの
色素は粒子を充分に増感するばかりでなく色素汚染をほ
とんどまたはまったく残さないから、平板状粒子に有用
であると報告されている他の色素よりも著しい利点を有
するものである。
【0004】ハロゲン化銀エレメントの安定剤またはカ
ブリ除去剤としてのテトラアザインデンの使用は従来良
く知られている。これらの化合物類は米国特許第2,8
86,437号で詳しく述べられており、この記述を参
考に挙げておく。これらのカブリ除去剤または安定剤
は、普通乳剤のカブリをコントロールし、またこれらを
含む乳剤で作られたフィルムの長期の安定性を改良する
ために添加されている。しかしながら、充分量の安定剤
を加えると時に感光度が低下し、別の問題が生じる。
【0005】
【発明の要点】本発明の目的の1つは、改良された感光
度、コントラスト、最大濃度および階調をもつ、分光増
感された平板状ハロゲン化銀エレメントを提供すること
である。本発明のいま1つの目的はカブリの少ない乳剤
を提供することである。さらに本発明の目的は、良好な
分光的効率と残留色素汚染の少ない平板状ハロゲン化銀
のX−線エレメントを提供することである。
【0006】これらおよびなおその他の目的は、その上
に少なくとも1つの感光性乳剤が塗布されている支持体
からなり、この乳剤は少なくとも50%のハロゲン化銀
粒子が少なくとも0.1μmの厚み、好ましくは約0.
1〜0.3μmの厚みをもつ平板状粒子で、かつ2:1
より大きなアスペクト比をもつ粒子がバインダー中に分
散しているものであり、そしてこの乳剤はその塗布に先
だって少なくとも1つのJ−凝集性の分光増感色素がハ
ロゲン化銀の1モル当り0.0006〜0.0035モ
ル、好ましくは0.0007〜0.001モルの分量で
存在し、この色素は次の式:
【化2】 ここでX〜Xは他のものと関係なしにハロゲン、メ
トキシ、水素、トリフルオロメチル、またはC〜C
のアルキルであり、R′はCHCOH、(C
R″COH、またはその塩(ここでnは1〜5
の数、R″はHまたはC〜Cのアルキル)、CH
COH−N(R′′′)(ここでR′′′はHまた
はC〜C10のアルキル)、またはR′′′′O(C
CHO)CHCH−(ここでR′′′′はH
またはC〜C10のアルキル、mは1〜10の数であ
る)を有するものであり、またこの乳剤はハロゲン化銀
1モル当り0.025〜0.11モルのテトラアザイン
デン化合物、好ましくは0.035〜0.055モルを
含むものから構成されている写真用エレメントにより達
成された。
【0007】
【発明の具体的説明】ゼロメチン色素は前記の1989
年9月22日出願の米国特許出願第07/412,53
6号の開示に従って作ることができる。これらの色素は
J−凝集体となり平板状のハロゲン化銀粒子を約465
nmに増感する。X−線露光中に与えられたエネルギーの
大部分は関係したハロゲン化銀フィルムを露光しないか
ら、慣用的にX−線フィルムエレメントは増感スクリー
ンとともに使用される。この場合、慣用の増感スクリー
ンの蛍光体はX−線のエネルギーを吸収し、そしてハロ
ゲン化銀フィルムの露光に利用される青色の光を放出す
る。現代のX−線増感スクリーンの多くは400〜50
0nmの領域付近の光を放出するから、本発明の色素はこ
れに特に有用である。これらの色素を球状の粒子を主と
して含む乳剤に添加するときは乳剤の減感を生じる。従
って、平板状の乳剤で前述の効果が認められたことは驚
くべきことである。
【0008】本発明の範囲内で有用な特定の構造の色素
の例は以下の表1中に示すことができる:
【表1】
【0009】上記に示したもの以外の適当な化合物の例
には次のものが含まれる:5−(3−メチル−2−ベン
ゾチアゾリニリデン)−3−カルボキシメチルローダニ
ン 5−(3−メチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)−3
−カルボキシメチルローダニン、トリエチルアムモニウ
ム塩 5−(3−メチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)−3
−カルボキシメチルローダニン、トリ−n−ブチルアム
モニウム塩 5−(3−メチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)−3
−(2−カルボキシエチル)ローダニン、トリエチルア
ムモニウム塩 5−(3−メチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)−3
−(1−カルボキシエチル)ローダニン、トリエチルア
ムモニウム塩 5−(3−メチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)−3
−(5−カルボキシエチル)ローダニン、トリエチルア
ムモニウム塩 5−(3−メチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)−3
−2−(2−カルボキシプロピル)ローダニン、トリエ
チルアムモニウム塩 5−(3−メチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)−3
−1−(1,3−ジカルボキシプロピル)ローダニン 5−(5−メトキシ−3−メチル−2−ベンゾチアゾリ
ニリデン)−3−カルボキシメチルローダニン、トリエ
チルアムモニウム塩 5−(5−クロロ−3−メチル−2−ベンゾチアゾリニ
リデン)−3−カルボキシメチルローダニン、トリエチ
ルアムモニウム塩 5−(5−トリフルオロメチル−3−メチル−2−ベン
ゾチアゾリニリデン)−3−カルボキシメチルローダニ
ン、トリエチルアムモニウム塩。
【0010】これらの色素は多数の適当な溶剤、例え
ば、フェニルエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノ
ール、メチルスルホオキサイド、メタノール、フェノキ
シエタノール、など、またはこれらと水もしくはアミン
との混合物のようなものに溶解することができる。好ま
しくは、色素は前記溶剤中の濃厚なスラリーとして、平
板状粒子の乳剤に対してハロゲン化銀の1モル当り0.
00029〜0.0035モルの範囲、好ましくは臭化
銀の1モル当り0.00049〜0.0015モルの分量
で添加することができる。また、これらの色素溶液は、
本発明の範囲内で使用することができる。色素は化学増
感に先だって、すなわち金およびイオウ塩を添加する前
に平板状粒子の乳剤に加えるのが好ましいが、これらは
粒子の調製中およびその塗布前のいつでも添加すること
ができる。
【0011】本発明の範囲内で有用なテトラアザインデ
ン化合物は多数あり、米国特許第2,886,437号
中で詳しく述べられており、この特許を参考に挙げてお
く。これらには以下の構造のテトラアザインデン類が含
まれる:
【化3】 ここでR′はH、C〜C10のアルキル、カルボキ
シ、アルキル−カルボニル基、アラルキル、またはアリ
ール基であり、R″はH、C〜C10のアルキルであ
り、そしてR′′′はHまたはC〜C10のアルキ
ル、または置換もしくは未置換の芳香環、またはS
R′′′′で、ここでR′′′′はC〜C20のアル
キルである。
【0012】好ましいテトラアザインデンは次のもので
ある:
【化4】
【0013】特に好ましい化合物は次の構造をもつ4−
ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラア
ザインデン(化合物A)である:
【化5】
【0014】平板状粒子のハロゲン化銀製品は従来から
良く知られており、通常の粒子、例えば半球状粒子の製
品より著しい利点をいくつかユーザーに与えている。平
板状製品は普通被覆力を低下することなくはるかに薄い
塗布量で塗布することができる。これらはまたさらに容
易に現像をすることができ、そして大量の慣用の硬化剤
によって硬化することができ、事実上通常の粒子以上の
利点を与えるものである。平板状の塩化物乳剤もまたよ
く知られており、Maskasky氏の米国特許第4,400,4
63号、およびWey氏の米国特許第4,399,205号
で述べられている。平板状粒子エレメントの製造と利用
を述べているこの他の参考例はDickerson氏の米国特許
第4,414,304号;Wilgus氏他の同第4,434,2
26号;およびKofron氏他の同第4,439,520号な
どである。
【0015】ここで使用した「平板状」の用語は、ハロ
ゲン化銀粒子が0.5μm以下(好ましくは0.3μm以
下)の厚みと少なくとも0.2μmの直径とをもち、ま
た2:1より大きい平均アスペクト比をもつものが乳剤
中に存在するハロゲン化銀粒子の全投影面積の少なくと
も50%を占めるということを条件に定義されている。
【0016】本発明のハロゲン化銀乳剤の前述の粒子特
性は、当業者に良く知られている方法により容易に確認
することができる。ここで使用した「アスペクト比」の
用語は粒子の厚みに対する直径の比を指すものである。
乳剤試料の増影法電子顕微鏡写真から、個々の粒子の厚
みを測定しそれから平均値を計算することが可能であ
る。粒子の平均直径は、粒子の面積は中間体積(慣用の
電解粒子サイズアナライザー−EGSAにより別個に測
定した)の比であると仮定した面積と、前述の電子顕微
鏡写真から測定した厚みとから測定される。そこで、
0.5μm(または0.3μm)以下の厚みをもちかつ少
なくとも0.2μmの直径と計算される平板状の粒子を
特定することができる。これから、各平板状粒子のアス
ペクト比を計算することができ、そして厚みと直径の基
準に合致する試料中のすべての平板状粒子のアスペクト
比は、その平均アスペクト比を得るために平均化するこ
とができる。
【0017】この定義により、平均アスペクト比は個々
の平板状粒子アスペクト比の平均値である。実際には、
0.5μm(または0.3μm)以下の厚みと少なくとも
0.2μmの直径をもつ平板状粒子の平均厚みと平均直
径を得て、そしてこれら2つの平均値の比として平均ア
スペクト比を計算するのが通常より簡便である。平均ア
スペクト比を測定するために、個々のアスペクト比を平
均化したものまたは厚みと直径の各平均値のいずれを用
いたとしても、粒子測定値の許容範囲内で得られる平均
アスペクト比は大した違いはない。厚みと直径の基準に
合致するハロゲン化銀粒子の投影面積を合計することが
でき、顕微鏡写真中の残りのハロゲン化銀粒子の投影面
積も別途合計することができ、そしてこの2つの合計値
から厚みと直径の基準に合致する粒子により与えられ
る、ハロゲン化銀粒子の全投影面積パーセントを計算す
ることができる。
【0018】ハロゲン化銀粒子を調製するためには慣用
のハライドのどれも使用することができるが、純臭化銀
またはそれに少量のヨウ化物を混入した臭化物、例え
ば、Br 98%とI 2%のものが好ましい。
【0019】本発明の範囲内で有用な平板状ハロゲン化
銀エレメントを作るために特に好ましい方法は、Nottor
f氏の米国特許第4,772,886号およびEllis氏の米
国特許第4,801,552号中に含まれている。参考と
して挙げたこれらの開示は、せまい粒子サイズ分布をも
つ、高感光度の平板状ハロゲン化銀粒子を作ることので
きる方法を説明している。
【0020】平板状の粒子が前記のNottorfとEllis氏等
の文献中で述べられたようにして調製された後これらは
通常大量のバインダー、例えば、ゼラチンまたはポリビ
ニルアルコール、フタル化ゼラチン、などのようなその
他の既知のバインダーによって分散される。ゼラチンの
代わりに、天然または合成の水透過性有機コロイド結合
剤を、これに置き換えて一部または全部使用することも
できる。このようなものには、水透過性または水溶性の
ポリビニルアルコールおよびその誘導体が含まれ、例え
ば、部分ケン化ポリビニルアセテート、ポリビニルエー
テル、および多くの余分の線状(extralinear)−CH2
CHOH−基を含んだアセタール;無水マレイン酸、ア
クリルおよびメタアクリル酸のエチルエステル、および
スチレンのような付加重合しうる不飽和化合物とビニル
アセテートとの共重合体の加水分解物などである。最後
に記載したタイプの適当なコロイドは、米国特許第2,
276,322号、同第2,276,323号および同第
2,347,811号中に述べられている。
【0021】有用なポリビニルアセタール類にはポリビ
ニルアセトアルデヒドアセタール、ポリビニルブチルア
ルデヒドアセタール、およびポリビニルo−スルホベン
ズアルデヒドアセタールナトリウムなどが含まれる。こ
の他の有用なコロイド結合剤にはBolton氏の米国特許第
2,495,918号のポリ−N−ビニルラクタム、Scha
cklett氏の米国特許第2,833,650号に述べられて
いるN−アクリルアミドアルキルベタインの親水性コポ
リマー、および親水性のセルローズエーテルとエステル
などが含まれる。フタル化ゼラチンも使用することがで
き、同じくデキストランまたはRakoczy氏の米国特許第
3,778,278号の変性加水分解ゼラチンのような、
被覆力を増加するのに有効なバインダー補助剤を用いる
こともできる。
【0022】記載したように、これらの平板状ハロゲン
化銀乳剤は、当業者に良く知られているように金とイオ
ウ塩によって化学増感をすることができる。イオウ増感
剤は活性イオウを含むもので、例えば、アリルイソチオ
シアネート、アリルジエチルチオウレア、フェニルイソ
チオシアネート、テトラメチルチウラムモノサルファイ
ドおよびチオ硫酸ナトリウムなどが含まれる。Blake氏
他の米国特許第2,400,532号のポリオキシアルキ
レンエーテル、およびBlake氏他の米国特許第2,42
3,549号のポリグリコール類も使用することができ
る。Staud氏他の米国特許第1,925,508号およびC
hambers氏他の米国特許第3,026,203号で示され
ているアミン類、およびBaldsiefen氏の米国特許第2,
540,086号で示された金属塩のような、この他の
非分光増感剤も使用することができる。本発明のJ−凝
集性分光増感色素は前記の化学増感工程中に好ましく添
加されるが、これらの色素は乳剤の製造中および支持体
の塗布前のいつでも添加することができる。
【0023】乳剤は前述のテトラアザインデン以外にそ
の他の既知のカブリ除去剤、例えば、6−ニトロベンズ
イミダゾール、ベンゾトリアゾールなど、ならびに通常
の硬化剤、すなわち、クロム明バン、ホルムアルデヒ
ド、ジメチロールウレア、ムコクロル酸、などを含有す
ることができる。添加することができるこの他の乳剤添
加剤にはマット剤、可塑剤、色調剤、増白剤、界面活性
剤、色調改変剤、ハレーション防止色素、および被覆力
用補助剤、その他などが含まれる。
【0024】本発明で使用する乳剤層用のフィルム支持
体は、適当な透明プラスチックのどのようなものでも良
い。例えば、セルローズ系の支持体、つまり、セルロー
ズアセテート、セルローズトリアセテート、セルローズ
混合エステル、などを用いることができる。重合ビニル
化合物、例えば、ビニルアセテートとビニルクロライド
の共重合体、ポリスチレン、および重合アクリレートも
記載することができる。好ましいフィルムは、Alles氏
の米国特許第2,779,684号とその明細書中に引用
されている各特許に従って作られた、2価アルコールと
ジカルボン酸とのポリエステル化生成物から作成された
フィルムが含まれる。この他の適当な支持体は英国特許
第766,290号とカナダ国特許第562,672号の
ポリエチレンテレフタレート/イソフタレートであり、
またテレフタル酸およびジメチルテレフタレートをプロ
ピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラメチ
レングリコールまたはシクロヘキサン1,4−ジメタノ
ール(ヘキサハイドロ−p−キシレンアルコール)など
と縮合することにより得られるものである。Bauer氏他
の米国特許第3,052,543号のフィルムも用いるこ
とができる。上記のポリエステルフィルムは寸法安定性
であるため特に好適である。
【0025】写真用支持体として用いるためにポリエチ
レンテレフタレートを作るとき、ポリマーはフィルム状
にキャストし、Rawlins氏の米国特許第3,567,45
2号のポリマー混合物下引き組成液を付与し、全体を2
軸延伸しついでゼラチンの下引層を付与する。延伸と下
引き組成物の付与の完了に際して、ガラスの焼きなまし
に相当する熱処理により、ベース中の歪みと緊張とを除
去することが必要である。延伸後の熱緩和といわれるこ
の熱処理のため、代表的に100°〜160℃の空気温
度が用いられる。
【0026】乳剤は前述の支持体上に単一層または多層
のエレメントとして塗布される。例えば、医療X−線用
の応用のために銀の塗布量は一般的に高く、乳剤層は青
色に着色するための色素を含んだ支持体の両面上に塗布
されている。乳剤層に接して、乳剤を保護するためその
上に通常硬化ゼラチンの薄い層を付与することが好まし
い。
【0027】〔実施例1〕前述のEllis氏の米国特許第
4,801,552号に従って臭化銀平板状乳剤を作っ
た。粒子の沈殿後、平均アスペクト比は約5:1であり
厚みは約0.2μmであった。これらの粒子を写真用の
ゼラチン中に分散した(臭化銀1モル当りゼラチン約1
17g)。乳剤は当業者に良く知られたようにして金と
イオウ塩とでその最適感光度とした。メタノール2.9m
l中の色素1(表1参照)250mgとトリブチルアミン
160〜200mgの溶液を、以下に示すようにハロゲン
化銀の1モル当り色素150〜217mgとなるように加
えた。ついでこの乳剤に4−ヒドロキシ−6−メチル−
1,3,3a,7−テトラアザインデン(存在する臭化銀
の1モル当り4.16g)と1−フェニル−5−メルカ
プトテトラゾールとを加えることにより安定化した。
【0028】通常の湿潤剤、塗布助剤および硬膜剤を添
加し、ついでこの乳剤を寸法的に安定な厚み7ミル
(0.18mm)のポリエチレンテレフタレートフィルム
支持体上に塗布をした。この支持体は初め慣用の樹脂下
引き層を塗布し、ついでこの上に付与された硬化ゼラチ
ンのうすい下引き層をもつものであり、下引き層は支持
体の両面上に存在している。乳剤は各面上に約2g/m2
に塗布した。硬化ゼラチンのうすい保護層をそれぞれの
乳剤層上に付与した。これらの各試料は、テストターゲ
ットと慣用のステップウエッジとを通じて、X−線増感
スクリーンの作用下にX−線に対して露光を与え、つい
で慣用のX−線処理装置中で現像した。
【0029】各試料の結果は以下の表2中に集約してあ
る:
【表2】 この実施例は、本発明の増感色素の量を変えただけのと
きは感光度の改善が得られないことを示している。
【0030】〔実施例2〕実施例1と同じ乳剤を増感色
素の1つのレベルだけで調製した(167mg/モルハロ
ゲン化銀)。この乳剤を5分割し、これに種々の分量の
4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラ
アザインデン(化合物A)を添加した。この乳剤を実施
例1で述べたように塗布し、乾燥し、露光しそして現像
し以下の結果を得た:
【表3】 この実施例はテトラアザインデンだけの増量はセンシト
メトリー的に大きな影響をしないことを示している。
【0031】〔実施例3〕実施例1と同じ乳剤を調製し
て9分割し、そのそれぞれに種々の量の色素1(添加量
はmg/モルハロゲン化銀で示した)と化合物Aとを加え
た。この乳剤を実施例1で述べたように塗布し、乾燥
し、露光しそして現像し、結果を以下に示した:
【表4】 この実施例は、色素1と化合物Aとの濃度を同時に増加
したときは、センシトメトリー特性に相乗的な改善のあ
ることを示している。これらの改善は、実施例1と2で
示したように、色素だけまたはテトラアザインデンだけ
のいずれかの濃度を、独立的に増加させることによって
得られたものよりも著しく大きいのである。
【0032】〔実施例4〕実施例1で述べたのと同様の
乳剤を調製し11に分割した。実施例3のように種々の
分量の色素1と化合物Aとを添加した。それぞれを実施
例1のように塗布し、乾燥し、露光しそして処理をして
以下の結果を得た:
【表5】 この実施例は色素とテトラアザインデンとの最適の組み
合わせが優れたセンシトメトリー的結果を与えることを
示している。
【0033】〔実施例5〕実施例1で述べたのと同様の
乳剤を調製して24に分割した。実施例3のように種々
の量の色素1と化合物Aとを添加した。また以下に示す
ようにイオウ増感剤(テトラメチルチウラムモノサルフ
ァイド)をmg/モルハロゲン化銀で表わした種々の分量
で添加した。それぞれを実施例1のように塗布し、乾燥
し、露光しそして処理をして以下の結果を得た:
【表6】 この実施例は、本発明の色素とテトラアザインデンとの
間の共働的な効果と、その場合のイオウ増感剤の濃度の
関連とを示している。相乗的の効果はイオウ増感剤の特
定濃度においてのみ最適とされている。
【0034】〔実施例6〕 この実施例においては実施例1のと同様の乳剤を調製し
て12に分割し、これに対して種々の分量の比較色素A
とB(構造は以下に示す)および化合物A(テトラアザ
インデン)を以下に示す量で添加した。対照のため本発
明の色素1を2つの部分に添加した。それぞれの部分を
実施例1のように塗布し、乾燥し、露光しそして処理を
して以下の結果を得た:
【化6】
【0035】
【表7】 この実施例は、本発明の請求項に述べられている特定の
色素をテトラアザインデン化合物とともに用いたときに
のみ、センシトメトリー的の利点が得られることを示し
ている。公知色素AとBは本発明の範囲内の機能を果た
さない。
【0036】〔実施例7〕比較テストとして以下に示す
構造の2つの色素(CとD)をさらに使用して実施例6
をくり返した。対照のためテトラアザインデンとともに
本発明の色素を用いた2つの試料も示してある。
【0037】
【化7】
【表8】 ここでもまた増感の強化はテトラアザインデン化合物と
ともに本発明の色素を使用したときにのみ達成されてい
る。
【0038】本発明の要旨およびその実施態様を以下に
要約して示す。 1. その上に少なくとも1つの感光性乳剤が塗布され
ている支持体からなり、この乳剤は少なくとも50%の
ハロゲン化銀粒子が少なくとも0.1μmの厚み、好ま
しくは約0.1〜0.3μmの厚みをもつ平板状粒子
で、かつ2:1より大きなアスペクト比をもつ粒子がバ
インダー中に分散しているものであり、そしてこの乳剤
はその塗布に先だって少なくとも1つのJ−凝集性の分
光増感色素が、ハロゲン化銀の1モル当り0.0006
〜0.0035モルの分量で存在し、この色素は次の
式:
【化8】 ここでX〜Xは他のものと関係なしにハロゲン、メ
トキシ、水素、トリフルオロメチル、またはC〜C
のアルキルであり、R′はCHCOH、(C
R″COH、またはその塩(ここでnは1〜5
の数、R″はHまたはC〜Cのアルキル)、CH
COH−N(R′′′)(ここでR′′′はHまた
はC〜C10のアルキル)、またはR′′′′O(C
CHO)CHCH−(ここでR′′′′はH
またはC〜C10のアルキル、mは1〜10の数であ
る)を有するものであり、またこの乳剤はハロゲン化銀
1モル当り0.025〜0.11モルのテトラアザイン
デン化合物を含むものから構成されている写真用エレメ
ント。 2. 色素が0.0007〜0.001モル/モルハロ
ゲン化銀の分量で存在し、またテトラアザインデン化合
物が0.035〜0.055モル/モルハロゲン化銀の
分量で存在するものである、前項1に記載の写真用エレ
メント。 3. X〜XがHでありまたR′がCHCO
またはそのトリブチルアミン塩である、前項1に記載の
写真用エレメント。 4. テトラアザインデンが次のものである、前項1に
記載の写真用エレメント
【化9】 5. 乳剤がイオウ増感剤によって増感され、この増感
剤が4〜15mg/モルハロゲン化銀の範囲に存在する
ものである、前項1に記載の写真用エレメント。 6. イオウ増感剤がテトラメチルチウラムモノサルフ
ァイドである、前項5に記載の写真用エレメント。 7. J−凝集性の色素が以下のものよりなる群から選
ばれたものである、前項1に記載の写真用エレメント。 5−(3−メチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)−3
−カルボキシメチルローダニン 5−(3−メチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)−3
−カルボキシメチルローダニン、トリメチルアムモニウ
ム塩 5−(3−メチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)−3
−カルボキシメチルローダニン、トリ−n−ブチルアム
モニウム塩 5−(3−メチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)−3
−(2−カルボキシエチル)ローダニン、トリエチルア
ムモニウム塩 5−(3−メチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)−3
−(1−カルボキシエチル)ローダニン、トリエチルア
ムモニウム塩 5−(3−メチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)−3
−(5−カルボキシエチル)ローダニン、トリエチルア
ムモニウム塩 5−(3−メチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)−3
−2−(2−カルボキシプロピル)ローダニン、トリエ
チルアムモニウム塩 5−(3−メチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)−3
−1−(1,3−ジカルボキシプロピル)ローダニン 5−(5−メトキシ−3−メチル−2−ベンゾチアゾリ
ニリデン)−3−カルボキシメチルローダニン、トリエ
チルアムモニウム塩 5−(5−クロロ−3−メチル−2−ベンゾチアゾリニ
リデン)−3−カルボキシメチルローダニン、トリエチ
ルアムモニウム塩 5−(5−トリフルオロメチル−3−メチル−2−ベン
ゾチアゾリニリデン)−3−カルボキシメチルローダニ
ン、トリエチルアムモニウム塩。
フロントページの続き (72)発明者 タミー・エム・エルキンス アメリカ合衆国ノースカロライナ州 28739.ヘンダーソンビル.シーダーブ ルツクドライブ15 (72)発明者 アラン・アール・シエーンベルク アメリカ合衆国ノースカロライナ州 28804.アツシユビル.ストラツトフオ ードロード141 (72)発明者 オウソー・パーカー・アセルソン・ホイ ト アメリカ合衆国ノースカロライナ州 28739.ヘンダーソンビル.オークゲイ トドライブ30 (56)参考文献 特開 平1−250943(JP,A) 特開 平1−170937(JP,A) 特開 平1−304450(JP,A) 欧州特許出願公開487010(EP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 その上に少なくとも1つの感光性乳剤が
    塗布されている支持体からなり、この乳剤は少なくとも
    50%のハロゲン化銀粒子が少なくとも0.1μmの厚
    み、好ましくは約0.1〜0.3μmの厚みをもつ平板
    状粒子で、かつ2:1より大きなアスペクト比をもつ粒
    子がバインダー中に分散しているものであり、そしてこ
    の乳剤はその塗布に先だって少なくとも1つのJ−凝集
    性の分光増感色素が、ハロゲン化銀の1モル当り0.0
    006〜0.0035モルの分量で存在し、この色素は
    次の式: 【化1】 ここでX〜Xは他のものと関係なしにハロゲン、メ
    トキシ、水素、トリフルオロメチル、またはC〜C
    のアルキルであり、R′はCHCOH、(C
    R″COH、またはその塩(ここでnは1〜5
    の数、R″はHまたはC〜Cのアルキル)、CH
    COH−N(R′′′)ここでR′′′はHまたは
    〜C10のアルキル)、またはR′′′′O(CH
    CHO)CHCH−(ここでR′′′はHまた
    はC〜C10のアルキル、mは1〜10の数である)
    を有するものであり、またこの乳剤はハロゲン化銀1モ
    ル当り0.025〜0.11モルのテトラアザインデン
    化合物を含むものから構成されている写真用エレメン
    ト。
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GB1293543A (en) * 1969-04-10 1972-10-18 Agfa Gevaert Photographic light-sensitive material
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JPH01250943A (ja) * 1988-03-30 1989-10-05 Mitsubishi Paper Mills Ltd ハロゲン化銀写真感光材料

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EP0487010B1 (en) 1996-03-20
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DE69118116T2 (de) 1996-09-12
EP0487010A1 (en) 1992-05-27

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