JP2643240B2 - レーダビーム走査方式 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はレーダビーム走査方式に関し、特に回転型電
子走査空中線を利用する電子走査レーダの水平もしくは
垂直面内ビーム走査の改善を行なったレーダビーム走査
方式に関する。

〔従来の技術〕

従来、この種の回転型電子走査空中線を用いるレーダ
では、たとえば水平面内での電子的ビーム走査の大きな
自由度を追尾専用ビームの形成走査等に応用していた。
この結果、追尾目標に対して空中線１回転の間に、２回
以上のビーム照射を行なうことにより、追尾データの平
均的更新時間の短縮を図ることが可能であった。一方、
捜索目標に対しては、全周にわたり一様な密度でビーム
形成走査を行っていたので、目標の探知に必要なヒット
数とビーム幅から回転周期が定まっていた。

〔発明が解決しようとする課題〕

上述した従来の回転型電子走査レーダは、目標捜索の
ために走査面内にわたって一様なビーム走査を行ってい
たので、捜索ビームの回転速度と空中線の機械的回転速
度が等しく、全周にわたる目標捜索が必要でなく、捜索
方位範囲の限定されたレーダシステムにおいてもこの条
件を加味した捜索データ更新間隔の短縮が図れないとい
え欠点がある。

〔課題を解決するための手段〕

本発明のレーダビーム走査方式は、少なくとも水平面
内でのビーム走査機能を有する電子走査の空中線放射部
とペデスタルとを備えて水平面内で前記放射部を機械的
に回転するレーダビーム走査方式において、所定第１の
方位範囲ではビーム指向方向の空中線放射部法線方向に
対する相対的方位角が空中線回転方向に進んだ方位角と
なるようにビーム走査を行なうと共に所定の第２の方位
範囲では上記相対的方位角が空中線回転方向に対し遅れ
た方位角となるようにビーム走査を行なう構成を有す
る。

〔実施例〕

次に、本発明について図面を参照して説明する。

第１図は本発明の一実施例を示す平面図であり、水平
面内での空中線の回転方向とビーム指向方向の相対的角
度関係を示す。第１図において、１は電波を放射する空
中線放射部、２は放射部を載せて水平面内で回転するペ
デスタルである。

空中線放射部法線方向は放射部１の回転につれて空中
線放射部法線方向３から空中線放射部法線方向４を経て
再び空中線放射部法線方向３と順次回転する。

空中線放射部１は、水平方向にビーム５を電子的走査
する機能を有しており、空中線放射部１の機械的回転に
対応してビーム５の指向方向を放射部法線方向の左右に
電子走査することができる。ここで、レーダのシステム
運用上必要とされる水平面覆域が空中線放射部法線方向
３の両側２αの角度領域だけを除外できる場合、すなわ
ち、捜索不要な領域に対応する角度が２αである場合に
ついて説明する。この場合、空中線放射部１のビーム走
査機能により第１図（ａ）の回転位置では、空中線放射
部法線方向３に対し角度αだけ回転方向に進んだ方位角
にビームを５を形成する。引き続き空中線の回転に伴な
いビーム５の進み角を減少させつつ、第１図（ｂ）に示
すように空中線放射部法線方向４を指向した時、空中線
放射部法線方向４と同一の方位にビーム５を形成する。
すなわち、第１図（ａ）の回転位置から第１図（ｂ）の
回転位置の間で形成したビームにより第１の方位範囲を
走査する。次に、空中線放射部法線方向４がこれを過ぎ
るとビーム５の指向方向の相対角を空中線放射部法線方
向に対し遅らせ、１回転して再び第１図（ｃ）に示すよ
うに空中線放射部法線方向３を指向した時には、回転方
向に対し角度αだけ遅れた方向にビーム５を形成する。
すなわち、第１図（ｂ）の回転位置から第１図（ｃ）の
回転位置の間で形成したビームにより第２の方位範囲を
走査する。しかる後に直ちに捜索不要な領域に対応する
角度２αだけビーム電子走査し、すなわち、角度αだけ
遅れた方向から、角度αだけ進んだ方向へ切り替えてビ
ームを電子走査し第１図（ａ）の状態へもどる。第２図
に以上の空中線回転方位とビーム指向方向の関係を回転
の１周期についてグラフで示す。第２図のθは空中線の
放射部法線方向を、又は放射ビーム指向方向を示し、
グラブ10はビームを水平面内で電子走査せず常に放射部
法線方向を指向させた場合のビーム指向方向を、又グラ
フ11は回転と共にビームを電子走査する本実施例の場合
のビーム指向方向を示している。

第３図は、第１図の実施例のレーダ水平面覆域を示す
説明図である。全方位範囲に対し、レーダ水平面覆域20
は全方位360度から空中線放射部方位方向３の両側２α
のレーダ水平面覆域除外角度領域２を除いた範囲とな
る。従って、本実施例では空中線１回転に対しビームが
形成走査される角度領域は（360゜−２α）となるの
で、捜索の必要な領域でのビーム走査密度は増加するた
め、第２図のグラフ10のビーム走査無しの場合と、グラ
フ11のビーム走査有りの場合に空間のビーム走査密度を
変化させないものとすると、本実施例での空中線回転数
は全周をビーム走査するグラフ10の場合に比して、360/
（360−２α）だけ回転数を増加させることが可能とな
る。

通常の平面型電子走査空中線では、そのビーム走査角
は最大60度程度まで取ることができるので、この場合回
転数の増加は約1.5倍となり捜索の大幅なデータレート
の向上を図ることが可能となる。

以上の実施例の説明では、電子走査空中線の水平面内
ビーム走査機能についてのみ説明したが、垂直方向にも
ビーム走査機能を有す２次元電子走査空中線の場合にも
全く同様に当てはまることは明らかである。

また、上記実施例ではレーダ覆域が一連の水平面内覆
域を形成する場合を取り扱かったが、覆域が２つの領域
に分離形成される場合にも、同様に適用できることは明
らかである。

さらに、上記実施例では、各ビームのヒット数を変化
させない条件の下で回転速度の向上を図ったが、逆に回
転速度を変化させない条件の下で覆域内のヒット数を増
加させ目標探知確率の向上を図ることもできる。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明は、回転型電子走査空中線
を利用する電子走査レーダのレーダビーム走査方式にお
いて、捜索不要な領域を除外し、捜索の必要な領域を示
す運用覆域にのみビームを電子走査形成するので、この
運用覆域でのビーム走査密度が増加する。そして、この
ビーム走査密度を変化させないようにするとこの増加す
るビーム走査密度に対応する分、空中線回転速度を速く
することができる。そして、空中線回転速度を速くする
ことにより、データ更新間隔を短縮でき、従って著しく
データレートの向上を図ることができるという効果があ
る。

【図面の簡単な説明】 第１図は本発明の一実施例を示す平面図、第２図は第１
図の実施例における空中線回転方位とビーム指向方向の
関係を示す特性図、第３図は第１図の実施例におけるレ
ーダ水平面内覆域を示す説明図である。 １……放射部、２……ペデスタル、3,4……空中線放射
部法線方向、５……ビーム、20……レーダ水平面覆域、
21……レーダ水平面覆域除外角度領域、22……第一の方
位範囲、23……第二の方位範囲、51……ビーム指向方
向。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】少なくとも水平面内でのビーム走査機能を
   有する電子走査の空中線放射部とペデスタルとを備えて
   水平面内で前記放射部を機械的に回転するレーダビーム
   走査方式において、 捜索の必要な所定の第１の方位範囲と第２の方位範囲及
   び捜索の不要な方位範囲の全方位範囲をビーム走査する
   ときに、前記第１の方位範囲ではビーム指向方向の空中
   線放射部法線方向に対する相対的方位角が空中線回転方
   向に進んだ方位角となるようにビーム走査を行ない、前
   記第２の方位範囲では前記相対的方位角が空中線回転方
   向に対し遅れた方位角となるようにビーム走査を行な
   い、前記捜索の不要な方位範囲ではこの方位範囲にビー
   ム指向方向が入ったときに、前記捜索の不要な方位範囲
   と前記第２の方位範囲との境界での前記遅れた方位角か
   ら前記捜索の不要な方位範囲と前記第１の方位範囲との
   境界での前記進んだ方位角へビーム指向方向を切り替え
   るようにしたことを特徴とするレーダビーム走査方式。