JP2641760B2 - エレクトロルミネツセント素子の製造方法 - Google Patents

エレクトロルミネツセント素子の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、分散型と呼ばれるエレクトロルミネツセン
ト素子の製造方法に関する。
〔従来の技術〕
分散型エレクトロルミネツセント素子(以下ELと略称
する)は、透明電極と対向電極との間に螢光体層と誘電
体層からなる発光層を介装し、両電極間に交流電場を印
加することによつて、発光層を発光させるようにしたも
ので、各種機器の表示手段や液晶等の表示部のバツクラ
イト等として広く用いられている。
第3図はこの種ELの基本構造を示す断面図であり、同
図において、1は透明電極フイルムを示し、該透明電極
フイルム1は透明な合成樹脂フイルム2とその表面に蒸
着等の手段を用いて形成されたITO等の透明電極3とか
らなる。この透明電極フイルム1の表面には、螢光体粉
末をバインダ樹脂に分散させてなる螢光体層4と、高誘
電率の樹脂からなる誘電体層5とが順次積層されてお
り、これら螢光体層4と誘電体層5とで発光層6が構成
されている。また、この発光層6における誘電体層5の
上には対向電極7が積層されており、これら透明電極フ
イルム1と発光層6および対向電極7の積層体は図示省
略した封止フイルム内に封入されるようになつている。
前述の如く構成されたELを製造する方法としては、例
えばアルミニウム箔からなる対向電極7の上に誘電体層
5と螢光体層4とからなる発光層6を積層した後、この
発光層6の上に透明電極フイルム1を貼り合わせて一体
化するという方法が知られているが、この場合、貼り合
わせ工程が必要となるため、積層体の全てを一環生産す
ることができないという難点がある。
そこで本出願人は、積層体の全てを印刷技術によつて
形成するELの製造方法を、特開昭64−10595号公報にお
いて先に提案した。この方法は、透明電極フイルム1の
表面に、スクリーン印刷等の手段によつて螢光体層4お
よび誘電体層5をコーテイングして発光層6を形成した
後、この誘電体層5の上に、導電体粉をバインダ樹脂中
に分散させたペーストを、同じくスクリーン印刷等の手
段によつてコーテイングして対向電極7としたものであ
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
前述した本出願人の提案に係る製造方法によれば、貼
り合わせ工程を省略して積層体を全て印刷技術により一
環生産できるという利点に加え、材料の歩留まりを大幅
に向上できるという利点があるものの、問題がないわけ
ではない。
すなわち、透明電極フイルム1に印刷形成される螢光
体層4の表面は、バインダ樹脂中に分散される螢光体粉
末の粒径(30μm程度)に起因してかなりの凹凸面に粗
面化されてしまうため、この凹凸面上に印刷される誘電
体層5を30μm以上の膜厚に形成しないと、誘電体層5
に必要とされる耐電圧を確保することができなくなる。
このため、ELの高輝度化を目的として、透明電極3と対
向電極6間の印加電圧を高めたとしても、発光層6に占
める誘電体層5の膜厚が大であるため、螢光体層4にか
かる電界強度は上昇せず、高輝度のELを実現することが
困難であつた。また、前述の如く螢光体層4の表面に凹
凸が形成されるため、螢光体層4と誘電体層5の界面に
生じる界面分極と呼ばれる分極現象が大となり、この界
面分極によつてELの消費電力が増大するという問題もあ
つた。
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされ
たもので、その目的とするところは、高輝度で消費電力
の少ないELを提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために、本発明は、透明電極フイ
ルム上に螢光体層を印刷形成した後、この螢光体層の表
面を加熱・加圧して平坦化し、しかる後、この平坦化さ
れた螢光体層上に誘電体層と対向電極とを順次印刷して
積層したことを特徴とするものである。
〔作用〕
透明電極フイルム上に螢光体層を印刷形成した後、こ
の螢光体層の表面を熱プレスや熱ロール等の手段で平坦
化すると、螢光体層の上に印刷される誘電体層の膜厚を
小さくしても、該誘電体層に必要とされる耐電圧を確保
することができる。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を図面に基づき説明する。
まず第1図に、本発明の方法により製造されるELの全
体構造を示す。同図において、8は透明電極フイルムを
示し、該透明電極フイルム8は透明な合成樹脂フイルム
9とその表面に形成されたITO等の透明電極10とからな
る。この透明電極フイルム8の表面には、螢光体層11と
誘電体層12が順次積層されており、これら両層11,12で
発光層13が構成される。また、誘電体層12の表面には対
向電極14が形成されており、これら透明電極フイルム8
と発光層13および対向電極14からなる積層体は、図示せ
ぬ封止フイルム内に封入されるようになつている。そし
て、上記封止フイルムより導出されたリード端子を介し
て、透明電極10と対向電極14間に交流電場を印加するこ
とにより、これら電極10,14間に介装された発光層13が
発光する。
次に、上記の如く構成されたELの製造方法を第2図に
ついて説明する。
まず第2図(a)に示すように、透明電極フイルム8
における透明電極10の表面に、バインダ樹脂中に螢光体
粉末を分散させた螢光体ペーストをスクリーン印刷等の
手段によりコーテイングし、所定膜厚、例えば40μm程
度の螢光体層11を形成する。ここで、螢光体層11の表面
は、用いられる螢光体粉末の粒径が約30μmと大きいた
めに平滑面とならず、表面粗さが5〜10μm程度の凹凸
面Aが形成される。
次に第2図(b)に示すように、透明電極フイルム8
と螢光体層11の積層体をプレス機15にて加熱・加圧し、
螢光体層11の表面を凹凸の上下差が5μm以下となるよ
うに平坦化する。この場合の条件としては、100〜150℃
(加熱温度),10〜100kg/cm2(加圧力)が好適であり、
このような加圧条件を選択することにより、透明電極10
のクラツクや変質を伴うことなく螢光体層11の平坦化が
可能となる。
しかる後、第2図(c)に示すように、螢光体層11の
平坦化された表面に、高誘電率の樹脂またはこれに高誘
電率の誘電体粉末を混入した誘電体ペーストをスクリー
ン印刷等の手段によりコーテイングし、10〜20μm厚の
誘電体層12を形成する。
次いで、第2図(d)に示すように、バインダ樹脂に
銀やカーボン等の導電体粉を分散した導電ペーストを同
じくスクリーン印刷等の手段によりコーテイングし、最
上層に対向電極14を形成する。そして、このようにして
形成した透明電極フイルム8と発光層13(螢光体層11と
誘電体層12)および対向電極14の積層体を、透明樹脂か
らなる封止フイルム内に封入することによつてELが得ら
れる。
このようにして製造されたELは、螢光体層11の平坦化
された表面に誘電体層12が印刷形成されているため、誘
電体層12を10〜20μmまで薄くしても、必要とされる耐
電圧を確保することができる。このため、発光層13全体
の膜厚に占める螢光体層11の比率が大きくなつて、螢光
体層11にかかる電界強度が上昇し、輝度を従来困難とさ
れていた50cd/m2から70cd/m2程度まで高めることができ
る。また、螢光体層11の表面が平坦化された分だけ、螢
光体層11と誘電体層12間の界面分極が少なくなるため、
消費電力を大幅に減ずることができる。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明によれば、高輝度で消費
電力の少ないエレクトロルミネツセント素子を提供で
き、その実用的価値は高い。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の方法によつて製造されるエレクトロル
ミネツセント素子の断面図、第2図はその製造工程を示
す説明図、第3図は従来のエレクトロルミネツセント素
子の断面図である。 8……透明電極フイルム、11……螢光体層、12……誘電
体層、13……発光層、14……対向電極、A……凹凸面。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明電極フイルム上に螢光体層を印刷形成
    した後、この螢光体層の表面を加熱・加圧して平坦化
    し、しかる後、この平坦化された螢光体層上に誘電体層
    と対向電極とを順次印刷して積層したことを特徴とする
    エレクトロルミネツセント素子の製造方法。
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