JP2640780B2 - 金属基板の層間接続方法 - Google Patents

金属基板の層間接続方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、各種電子機器に利用されている金属基板に
おける配線パターンと、そのベース材である金属板とを
接続する金属基板の層間接続方法に関する。
(従来の技術) 第7図は従来の金属基板における配線パターンと金属
板との接続(以下、層間接続と呼ぶ)の構成の一例を示
す断面図であり、1は金属基板であり、アルミニウム
板,鉄板,ステンレス板などよりなる金属板1−1と、
金属板1−1の表面に形成された樹脂などよりなる絶縁
層1−2と、絶縁層1−2上に積層された銅箔をエッチ
ングするなどの方法によって形成された配線パターン1
−3とによって構成されている。2は金属板1−1上に
設けられためねじであり、このめねじ2には頭部を有す
るおねじ3が螺入されている。おねじ3の頭部は配線パ
ターン1−3に半田づけ4されており、さらにおねじ3
の先端部は樹脂などによって封止または半田づけ5さ
れ、めねじ2とおねじ3の噛合い部に湿気,ガスなどが
浸入して接続が不確実になるのを防いで、おねじ3と金
属板1−1とを接続している。
第8図(a),(b)は層間接続の他の従来例であ
り、第8図(a)において、6は金属板1−1に設けら
れた座ぐり部、7は金線,アルミニウム線などよりなる
ボンディングワイヤーで、金属板1−1と配線パターン
1−3との間をワイヤーボンディング方式によって接続
している。第8図(b)において、8はエッチング法な
どによって絶縁層1−2に設けられた開孔部で、ボンデ
ィングワイヤー7によって金属板1−1と配線パターン
1−3との間をワイヤーボンディング方式によって接続
している。
(発明が解決しようとする課題) このように、従来の方法によっても金属基板の層間接
続を行なうことができる。しかしながら上記の従来の方
法においては下記のような問題があった。
まず、第7図に示した方法においては、層間接続をさ
せるために広い基板面積を必要とし、高密度実装の用途
には不適当であること、金属板1−1の厚さが薄い場合
には、めねじ2を形成するのが困難になること、金属板
1−1とおねじ3の接続は半田づけ5をしない場合には
接触接続であるため接続が不確実になりやすいこと、及
び金属板1−1へのめねじ2の形成,おねじ3の螺入,
おねじ3の頭部と配線パターン1−3との半田づけ4,お
ねじ3先端部の樹脂封止、または半田づけ5を必要とす
るので加工工数が多くなって接続コストが高くなるなど
の問題があった。
次に、第8図(a)に示した方法においては、層間接
続に必要な基板面積は第7図に示した方法よりも小さく
なるが、確実な接続方法を得るためには配線パターン1
−3のワイヤーボンド箇所、及び金属板1−1の材質に
よっては、座ぐり部6の面に金メッキを施す必要があり
コスト高になること、ボンディングワイヤー7に外力が
加わると、容易にボンディングワイヤー7が断線するこ
と、及び座ぐり加工を必要とするのでコスト高となると
ともに、金属板1−1の厚さが薄い場合には座ぐり加工
が困難となって実施できなくなるなどの問題があった。
第8図(b)に示した方法によれば座ぐり加工は不要
となり、薄い金属板でもボンディング接続が可能である
が、絶縁層1−2の部分的なエッチング除去のためには
複雑な処理を必要とし、第8図(a)における問題点に
加えてさらに接続コストが高くなるという問題がある。
金属基板1は、その構造上、絶縁層1−2をはさん
で、片側の配線パターン1−3を、反対側に導電性の金
属板1−1を有しているので配線パターン1−3と金属
板1−1とを任意の箇所で簡単に、かつ微細に接続でき
れば、金属板1−1を、単にケース,シールド,放熱板
などとして利用するのみでなく、電源回路,グランド回
路などの全回路に共通の回路構成用の導体としても活用
することができ、あたかも両面スルーホール基板のよう
な使い方をすることが可能となる。
本発明の目的は、金属基板上の任意の箇所で、金属板
の厚さに関係なく、微細な基板面積内で、確実かつ簡単
に、低コストで層間接続することができる金属基板の層
間接続方法を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 上記の目的を達成するため、本発明は、金属板上に絶
縁層を設け、この絶縁層上に配線パターンを形成してな
る金属基板を、前記配線パターンを下側にして平板状の
加工台上に載置し、平坦状または半球状の先端部を有す
る接続用工具の先端で前記金属板の層間接続すべき箇所
の表面から前記金属基板を加圧し、前記絶縁層を破るよ
うにして層間接続することを特徴とし、また金属板上に
絶縁層を設け、この絶縁層上に配線パターンを形成して
なる金属基板に対して、層間接続すべき箇所の金属板側
の表面と配線パターン側の表面とから同時に同軸上で平
坦状または半球状の先端部を有する接続用工具の先端で
加圧し、前記絶縁層を破るようにして層間接続すること
を特徴とする。
(作 用) 上記の手段を採用したため、配線パターンまたは金属
板または両者が接続用工具の先端によって局部的に押圧
されて凹みを生じ、この凹みによって絶縁層が破れて、
配線パターンと金属板とが直接接触することになり、加
圧力によって両者が冷間圧接され、層間接続がなされ
る。
(実施例) 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第1図(a)〜(d)は本発明の実施例を説明するた
めの比較例としての金属基板の層間接続方法における加
工工程を示す断面図であり、1は金属基板であり、金属
板1−1,絶縁層1−2,配線パターン1−3は第7図に示
した従来例と全く同様の材料,方法によって構成されて
いる。9は接続用工具であって、例えば鋼,超硬合金な
どで製作されており、その先端は半球状に形成されてい
る。10は鋼などの加工台,11は配線パターン1−3と金
属板1−1との接合部である。
次に上記の比較例の動作について説明する。
第1図(a)は準備状態を示しており、金属基板1を
金属板1−1の下側にして加工台10の上に載置し、接続
用工具9を層間接続すべき箇所の配線パターン1−3の
上方に配置する。続いて接続用工具9を下方に移動させ
て第1図(b)に示すように接続用工具9の先端を金属
基板1内に加圧圧入せしめる。さらに接続用工具9を下
方に移動させると第1図(c)に示すように、延性にと
ぼしい絶縁層1−2は加圧箇所で破れるが、延性のすぐ
れた配線パターン3は破れることなく、配線パターン1
−3と金属板1−1とが直接接触し、加圧力によって両
者が接合部11において冷間圧延されて接合して層間接続
される。第1図(d)は層間接続完了の状態である。
第1図(a)〜(d)に示した方法では、配線パター
ン1−3の厚さが薄かったり、絶縁層1−2の厚さが厚
い場合には、配線パターン1−3が金属板1−1に確実
に接触せず、層間接続が不完全になることがある。この
ような場合には第2図(a)〜(d)に示した本発明の
第1実施例による層間接続方法が有効である。
第2図(a)〜(d)において、金属基板1,接続用工
具9,加工台10は第1図の場合と全く同様のものであり、
11が接合部である。
次に上記の第1実施例に動作について説明する。第2
図(a)は準備状態を示しており、金属基板1を配線パ
ターン1−3側を下側にして加工台10の上に載置し、接
続用工具9を層間接続すべき箇所の金属板1−1の上方
に配置する。次に第2図(b),(c)に示すように、
第1図(b),(c)に示した比較例と同様にして接合
部11を得て層間接続させるが、この第1実施例において
は、金属板1−1の厚さが絶縁層1−2,配線パターン1
−3の厚さに比して充分に厚く、絶縁層1−2の厚さが
多少厚くても、また配線パターン1−3の厚さが多少薄
くても、常に確実に金属板1−1と配線パターン1−3
とが接触し、完全な層間接続を得ることができる。第2
図(d)は層間接続完了の状態である。
第3図(a)〜(d)は本発明の第2実施例の加工工
程を示す断面図であり、金属基板1,接続用工具9は第1
図(a)〜(d)に示した比較例と同様の方法のもので
あるが、加工台10には鋼などの半球状の頭部を有する一
方の接続用工具となる突起12を設けてある。11は配線パ
ターン1−3と金属板1−1との接合部である。
次に上記の第2実施例の動作について説明する。第3
図(a)は準備状態を示しており、金属基板1を、金属
板1−1を下側にして層間接続すべき箇所に突起12の先
端が合致するように、突起12の上に載置し、接続用工具
9の層間接続すべき箇所の配線パターン1−3の上方、
すなわち突起12と同軸上に載置する。なお、この場合、
図示はしないが、配線パターン1−3を下側にして載置
しても全く同様の効果が得られる。続いて接続用工具9
を下方に移動させると第3図(b)に示すように接続用
工具9の先端と突起12の先端とが同時に金属基板1内に
加圧圧入される。さらに接続用工具9を下方に移動させ
ると第3図(c)に示すように、延性にとぼしい絶縁層
1−2は加圧箇所で破れるが、延性のすぐれた配線パタ
ーン1−3と金属板1−1とは破れることなく、配線パ
ターン1−3と金属板1−1とが直接接触し、加圧力に
よって両者が接合部11において冷間圧接されて接合し、
層間接続される。第3図(d)は層間接続完了の状態で
ある。
また第3図(a)〜(d)では、接続用工具9のみを
移動させる例を示したが、接続用工具9と突起12とを同
時に移動させても同様の効果が得られる。
上記の比較例,第1実施例においては加圧を金属基板
1の片側のみから行なうので、層間接続後、金属基板1
に「そり」が発生しやすいが、この第2の実施例では金
属基板1の両側から均等に加圧するので「そり」の発生
がない。
上記の各実施例では、半球状の先端部を有する接続用
工具9を使用した場合を示したが、例えば第4図に示す
ように先端部を平坦状に成形した接続用工具13を使用し
ても上記の各実施例と同様の工程を経て層間接続させる
ことが可能であり、第5図,第6図は、それぞれ比較例
と第1実施例の層間接続方法による場合の層間接続完了
の状態を示している。
上記の実施例では、下記に示すように効果を奏する。
(1)平坦状または半球状の先端部を有する接続用工具
9,13の先端で、層間接続すべき箇所の金属基板1の表面
から加圧するようにしたので、簡単な装置で1回の動作
によって、任意の箇所を金属基板1の厚さに関係なく、
低コストで層間接続することができる。
(2)配線パターン1−3と金属板1−1との接合は、
冷間圧接によってなされるので接続の信頼性が高い。
(3)層間接続をするために必要な金属基板1の面積
は、一般的なスルーホール基板のスルーホール径程度で
よく、高密度実装が可能である。
(4)金属板1−1を電源回路,グランド回路などの全
回路に共通の回路構成用の導体として活用することが可
能となり、片面基板であっても両面スルーホール基板に
匹敵する布線処理能力を発揮し、高密度実装が可能とな
る。特に、金属板1−1をグランド回路とした場合に
は、グランドインピーダンスを著しく低く保つことが可
能となり、動作の安定した特性のすぐれた電気回路を提
供することができる。
(5)第1実施例では、配線パターン1−3が薄い場合
にも、あるいは絶縁層1−2および金属板1−1が厚い
場合でも、確実に層間接続することができる。
(6)金属基板1の両側から同軸上で同時に加圧する第
2実施例の方法によれば、加圧による金属基板1の「そ
り」を防止することができる。
(発明の効果) 本発明によれば、接続用工具によって金属基板を加圧
することによって層間接続がなされるため、金属基板上
の任意の箇所で、しかも配線パターンが薄い場合にも、
あるいは絶縁層および金属板が厚い場合でも、厚さに関
係なく、微少な基板面積内で、基板のそりがなく、確実
かつ簡単に、低コストで層間接続できる金属基板の層間
接続方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)〜(d)は本発明の金属基板の層間接続方
法の比較例における加工工程を示す断面図、第2図
(a)〜(d)は本発明の第1実施例における加工工程
を示す断面図、第3図(a)〜(d)は本発明の第2実
施例における加工工程を示す断面図、第4図は接続用工
具の他の例を示す正面図、第5図,第6図は第4図の接
続用工具を用いた場合の層間接続完了の状態を示す金属
基板の断面図、第7図,第8図(a),(b)は従来の
金属基板の層間接続構成を示す金属基板の断面図であ
る。 1……金属基板、1−1……金属板、1−2……絶縁
層、1−3……配線パターン、9,13……接続用工具、10
……加工台、11……接合部、12……加工台の突起。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属板上に絶縁層を設け、この絶縁層上に
    配線パターンを形成してなる金属基板を、前記配線パタ
    ーンを下側にして平面状の加工台上に載置し、平坦状ま
    たは半球状の先端部を有する接続用工具の先端で前記金
    属板の層間接続すべき箇所の表面から前記金属基板を加
    圧して、前記絶縁層を破るようにして層間接続すること
    を特徴とする金属基板の層間接続方法。
  2. 【請求項2】金属板上に絶縁層を設け、この絶縁層上に
    配線パターンを形成してなる金属基板に対して、層間接
    続すべき箇所の金属板側の表面と配線パターン側の表面
    とから同時に同軸上で平坦状または半球状の先端部を有
    する接続用工具の先端で加圧し、前記絶縁層を破るよう
    にして層間接続することを特徴とする金属基板の層間接
    続方法。
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