JP2638088B2

JP2638088B2 - 入浴剤

Info

Publication number: JP2638088B2
Application number: JP63151579A
Authority: JP
Inventors: 康彦才茂; 司村松
Original assignee: TSUMURA KK
Current assignee: TSUMURA KK
Priority date: 1988-06-20
Filing date: 1988-06-20
Publication date: 1997-08-06
Anticipated expiration: 2012-08-06
Also published as: JPH01319414A

Description

【発明の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本発明は、日焼け後の皮膚に温和な作用をする入浴剤
に関する。

〔従来の技術〕

入浴には、一日の疲れを取り、心身ともにリラックス
させる効果を始めとし、種々の効果が知られている。し
かしながら、さら湯には皮膚に対する刺激があるといわ
れており、入浴剤を浴湯に添加することにより、浴湯の
皮膚に対する刺激を緩和することが知らされている。

このような入浴剤の原料としては、従来、各種の無機
塩類が知られており、浴湯の皮膚に対する刺激を緩和す
るためには、これに更にホホバ油等を添加することによ
り、皮膚への刺激の緩和が試みられている。しかしなが
ら、このようにホホバ油等のオイルを添加した浴剤組成
物を入浴に用いた場合も、夏の強い日差しによる日焼け
等により変化を起こした皮膚に対する刺激はさほど緩和
されるものではなく、特に潮紅、浮腫、じんま疹、水泡
等の強い変化を起こした皮膚への刺激は殆ど緩和される
ものではない。このため、入浴による強烈な皮膚刺激が
浴者にもたらす不快感は相当なものであった。

日焼け後の皮膚は、一種のやけどのような状態にな
り、ひどい場合は、潮紅、浮腫、水泡などになり、その
ままで入浴すると、皮膚がヒリヒリして、苦痛を伴い、
激しい場合は入浴そのものができないこともある。そこ
で、このような入浴時の苦痛を緩和するために、従来、
ホホバ油等の油類の浴剤への添加が試みられているが、
これによっても皮膚に対する刺激は殆ど緩和されない。

〔発明が解決しようとする問題点〕

このような、日焼け等による強い変化を受けた皮膚へ
の刺激が強烈である従来の入浴剤に対して、本発明は、
このような皮膚刺激を緩和し、快適に入浴することがで
きる入浴剤を提供しようとするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明者等は、このような問題を解決すべく鋭意研究
した結果、浴剤組成物の原料として、ローズヒップ油と
アルカリ剤（２％濃度で水に溶解したとき、pHが7.5以
上の値を示すもの）を配合することにより、入浴時に皮
膚への刺激が大幅に緩和される浴剤組成物が得られるこ
とを見出だした。すなわち、本発明は、ローズヒップの
種子から得られるローズヒップ油とアルカリ剤とを配合
することを特徴とする浴剤組成物を提供するものであ
る。

以下、本発明の詳細を説明する。

本発明で使用するローズヒップ油は、南米チリに生息
する野生のバラの一種であり、Rosamosquetaと呼ばれて
いるものであり、その種子から抽出される透明で黄色の
液状油である。その代表的な構成脂肪酸の平均値は次の
とおりである。

オレイン酸 14.0％パルミチン酸 3.8％リノール酸 44.0％ステアリン酸 1.7％リノレン酸 35.0％また、ローズヒップ油の性質を示すと、次のとおりで
ある。

比重（15℃） 0.9327 屈折率（20℃） 1.4805 酸価 0.4 ヨウ素価 179.9 エステル価 190.6 不けん価物 1.2 けん化価 191.0 ローズヒップ油は、通常、ローズヒップの種子を溶剤
抽出して得た粗精油をろ過し、浴剤を溜去して脱臭、脱
色することにより得られる。このようにして得られたロ
ーズヒップ油は、黄色または無色の透明な液体である。

ローズヒップ油は、必須脂肪酸であるリノール酸及び
リノレン酸を高濃度に含有している油でありこれらの成
分は、プロスタグランジンの合成、細胞膜や生体の防御
機能、成長および組織の再生に関する様々な過程に不可
欠の物質であり、日焼け後の皮膚に付着して皮膚障害の
鎮静化に有効である。

しかしながら、ローズヒップ油の効果を最大限に引き
出すためには、ローズヒップ油にアルカリ剤を配合し、
皮膚の余分な皮脂を取り除き、ローズヒップ油が皮膚に
付着しやすい状態にする必要がある。

ただし、浴湯水pHが2.5を超える程の高濃度のアルカ
リ剤を添加すると、弱っている皮膚に対してアルカリ剤
が強く作用して、かえって皮膚障害を起こす原因とな
る。

そこで、日焼け後の入浴には、ローズヒップ油にアル
カリ剤を配合し、浴湯水のpHが9.5以下になるように調
節した入浴剤を提供することが必要である。

このようにして調整した入浴剤を浴湯に添加して使用
することにより、日焼けなどにより潮紅等を起こした皮
膚に対する刺激を緩和して、快適に入浴することができ
るものである。

アルカリ剤の例としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸
ナトリウム、ホウ砂、メタ珪酸ナトリウム等が掲げられ
る。

ローズヒップ油とアルカリ剤とを必須成分とする入浴
剤を製造する場合に、これらの物質以外の物質として
は、以下に示すものが使用できる。

１）無機塩類塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウ
ム、硫酸カルシウム、塩化アンモニウム、チオ硫酸ナト
リウム等。

２）生薬類ソウジュツ、ビャクジュツ、カノコソウ、ケイガイ、
コウボク、センキュウ、橙皮、トウキ、ショウキョウ
末、ニンジン、ケイヒ、シャクヤク、ハッカ葉、オウゴ
ン、サンシン、ブクリョウ、ドクカツ、ショウブ、ガイ
ヨウ、マツブサ、ビャクシ、ジュウヤク、リュウノウ、
サフラン、オウバクエキス、チンピ、ウイキョウ、カン
ピ末、カミツレ、メリッサ、ローズマリー、マロニエ、
西洋ノコギリ草、アルニカ等。

３）油脂類イソプロピルパルミテート、イソプロピルミリステー
ト、スクワラン、トリ（カプリル−カプリン酸）、グリ
セリン、糠油、米糠エキス、オリーブ油、ホホバ油、ダ
イズ油、流動パラフィン、白色ワセリン等。

４）色素類赤色２号、黄色２号、緑色３号、青色１号、赤色213
号、橙色205号、黄色202号の１、厚生省令タール色素別
表Ｉ及びIIの色素、クロロフィル、リボフラビン、アン
ナット等の食品添加剤として使用が認められている天然
色素。

さらに、本発明の浴剤組成物は、上記したもの以外に
も必要に応じて殺菌防腐剤、金属封鎖剤、香料などを配
合することができる。

次に、本発明に係る浴剤組成物の製造方法について説
明する。

本発明の浴剤組成物は、前記した他の配合成分にロー
ズヒップ油およびアルカリ剤を配合し、均一に混合する
ことができる方法であれば、いかなる方法であってもよ
い。その配合量は、浴剤全量を100として、ローズヒッ
プ油の配合量は約0.1〜80％が好ましく、特に好ましく
は、1.0〜20％が好適である。

また、アルカリ剤の配合割合は、浴剤全量を100とし
て、1.0〜90％が好ましく、特に20〜90％が好適であ
る。

この浴剤組成分の混合に用いられる混合機は、粉体の
撹拌、混合に使用されているものであれば、どのような
ものでも使用できるが、具体的には、バードミキサー、
ナウターミキサー、万能撹拌機、リボンミキサー、Ｖ字
型混合機等を掲げることができる。

ローズヒップ油およびアルカリ剤は、浴剤組成物を製
造する任意の段階で配合することができる。

浴剤組成物の混合時間は、構成成分が均一に混合する
のに必要な時間があればよく、上記の例に掲げた混合機
を使用する場合は、室温で、通常５〜50分間混合すれば
よい。

なお、ローズヒップ油は、常温では液状であるため、
粉末の浴剤組成分に配合することができるが、液状もし
くはペースト状等任意の剤型の入浴剤に配合することも
できる。

〔発明の効果〕

本発明は、ローズヒップ油とアルカリ剤とを浴剤組成
分に配合することにより、日焼け後の各種の炎症等を起
こした皮膚に対する刺激が極めて温和な浴剤組成分を得
ることができるものである。

次に、本発明の浴剤組成分と従来の浴剤組成物との皮
膚刺激の比較をした実験例を挙げ、本発明の浴剤組成分
が皮膚の刺激緩和に使用であることを説明する。

〔実験例〕

本発明の浴剤組成物と従来の浴剤組成物を、それぞれ
次のようにして製造した。

試料本発明の浴剤組成物乾燥硫酸ナトリウム20.0重量部、硫酸マグネシウム1
5.1重量部、炭酸水素ナトリウム60.0重量部、ローズヒ
ップ油3.0重量部、ローズ系調合香料1.5重量部、黄色20
2号の（１）0.4重量部を均一に混合し、試料とした。

試料本発明の浴剤組成物乾燥硫酸ナトリウム46.6重量部、炭酸水素ナトリウム
39.5重量部、炭酸ナトリウム10.0重量部、ローズヒップ
油2.0重量部、ローズ系調合香料1.5重量部黄色202号の（１）0.4重量部を均一に混合し、試料とし
た。

試料本発明の浴剤組成物硫酸マグネシウム30.0重量部、炭酸水素ナトリウム2
9.5重量部、炭酸ナトリウム30.0重量部、ホウ砂4.6重量
部、ローズヒップ油4.0重量部、ローズ系調合香料1.5重
量部、黄色202号の（１）0.4重量部を均一に混合し、試
料とした。

試料従来の浴剤組成分硫酸ナトリウム49.0重量部、硫酸マグネシウム47.1重
量部、ホホバ油2.0重量部、ローズ系調合香料1.5重量
部、黄色202号の（１）0.4重量部を均一に混合し、試料
とした。

試料従来の浴剤組成物硫酸ナトリウム68.5重量部、硫酸マグネシウム29.6重
量部、ローズ系調合香料1.5重量部、黄色202号の（１）
0.4重量部を均一に混合し、試料とした。

（評価例１）５つの浴槽に、それぞれ41℃の浴湯200を入れ、そ
れぞれの浴槽に試料から試料までの浴剤組成物を各
50g投入し、これらの浴槽にパネラーが入浴できるよう
にした。

日焼けした成年男子（平均年令26.4歳）10名が、それ
ぞれの浴槽に３〜５分間入浴し、入浴中の皮膚に対する
刺激度を下記基準により評価した。

評価基準皮膚刺激の度合いについて ◎：皮膚に対する刺激が殆ど感じられない。

△：皮膚に対する刺激がやや感じられる。

×：皮膚に対する刺激が強く感じられる。

第１表の評価結果からあきらかように、ローズヒップ
油とアルカリ剤とを配合した浴剤組成物（〜）は、
従来の浴剤組成物（及び）に比較して、日焼けした
皮膚に対する刺激の度合いが少なく、総合的な評価にお
いても優れたものであることが判った。

［実施例］以下、実施例により本発明を具体的に説明する。

実施例１（粉末浴剤）ローズヒップ油６部炭酸水素ナトリウム 90部乾燥硫酸ナトリウム３部香料１部に若干量の青色２号を加え、ナウター型ミキサー（細川
鉄鋼所製 NX−Ｓ型）に入れ、20分間撹拌混合して入浴
剤30kgを得た。これを50g取り、200の浴湯水に添加し
て入浴を行ったところ、ほとんど刺激が感じられず、心
地よい入浴ができた。

実施例２（粉末浴剤）ローズヒップ油 15部炭酸ナトリウム 20部乾燥硫酸ナトリウム 60部香料５部を加え、万能撹拌混合機（三英製作所製 25AM−rr（Q
r））に入れ、10分間撹拌混合して入浴剤10kgを製造し
た。これを0.5g取り、浴槽に入れ入浴を行ったところほ
とんど刺激が感じられず心地よい入浴ができた。

実施例３（バブルバス）ローズヒップ７部炭酸水素ナトリウム 30部アルスコープLN−90 30部（東封化学工業（株）製）硫酸ナトリウム 30部香料３部を加え、万能撹拌混合機（三英製作所製 25AM−rr（Q
r））に入れ、10分間撹拌混合して入浴剤10kgを製造し
た。これを50g取り浴槽に入れ、お湯を投入し、バブル
バスを作り入浴したところ、実施例１及び２と同様な効
果が得られた。

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】ローズヒップの種子から得られるローズヒ
ップ油にアルカリ剤を配合することを特徴とする入浴
剤。