JP2634838B2 - 電圧非直線抵抗体の製造方法 - Google Patents

電圧非直線抵抗体の製造方法

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JP2634838B2
JP2634838B2 JP63018499A JP1849988A JP2634838B2 JP 2634838 B2 JP2634838 B2 JP 2634838B2 JP 63018499 A JP63018499 A JP 63018499A JP 1849988 A JP1849988 A JP 1849988A JP 2634838 B2 JP2634838 B2 JP 2634838B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、酸化亜鉛を主成分とする電圧非直線抵抗
体の製造方法に関し、とくに電気的特性に影響する本焼
成を効果的に実施する電圧非直線抵抗体の製造方法に関
するものである。
(従来の技術) 電圧非直線抵抗体は、主成分である酸化亜鉛粉末にBi
2O3、Sb2O3、SiO2、Co2O3、MnO2等の各種添加物を加え
て混合した後、造粒、加圧成形、焼成の各工程を経て製
造されるが、とくに焼成工程は電圧非直線抵抗体の諸特
性を大きく左右する要因として重要であり、なかでも最
適な焼成雰囲気を作り出すことは安定した諸特性を得る
上でとくに重要な条件となる。
従来、加圧成形後の成形体又はその仮焼体の如き被処
理物を焼成するにあたっては、アルミナ、ムライトおよ
びコージェライト等よりなるふた付きの焼成容器が使用
され、その内部には、被焼成物とほぼ同組成よりなり焼
成中の容器内の雰囲気調整に役立つ敷板および/または
敷粉が配置されるようになっていた。
(発明が解決しようとする問題点) ところで、上記の焼成用の容器内での本焼成工程にお
いて、最適な焼成雰囲気とは被焼成物の組成変動を起こ
さない状態を意味するが、従来では組成変動を起こさな
いようにするため、ほぼ同組成よりなる敷板または敷粉
を配置していた。しかしこれら敷板、敷粉および被焼成
物の組成を考慮して、焼成容器内の雰囲気を最適にする
十分な方法が取られていないため、被焼成物から前記成
分が雰囲気中に必要以上に拡散されたり、逆に雰囲気中
から吸着されたりして、被焼成物の電気的特性が一定に
ならないという問題があった。
この発明の目的は、上述した問題点を解消し、安定し
た電気的特性の良好な電圧非直線抵抗体を製造する方法
を提供せんとするにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、酸化亜鉛を主成分として少なくとも酸化ビ
スマスおよび酸化アンチモンを含む金属酸化物の混合物
を成形する工程と、成形にて得られた成形体を仮焼成し
たのち、焼成容器内にて本焼成する工程と、本焼成にて
得られた焼結体の端面に電極を付設する工程とを経るこ
とにより電圧非直線抵抗体を製造するに当たり、 上記本焼成工程において、前記焼成容器の内容積
(A)と前記焼成容器内の少なくとも酸化ビスマス、酸
化アンチモンを含む充填物の総体積(V)の比率を 0.1≦V/A≦0.3 の範囲として密閉状態で焼成することを特徴とする電圧
非直線抵抗体の製造方法である。
(作 用) この発明では、焼結容器内に存在する少なくとも酸化
ビスマス、酸化アンチモンを含む充填物、たとえば被焼
成物、敷板および敷粉、の総体積と焼成容器の内容積と
の比が上記に規定する範囲内とすることによって、問題
点で説明したような被焼成物から雰囲気中への上記成分
の必要以上の拡散または雰囲気中から被焼成物への成分
の吸着を生じさせることなく、所望の成分組成を有する
焼成物を得ることができる。したがって得られた焼成物
の電気的特性も製品毎のバラツキが少なくなり、安定な
ものが得られる。
ところで、充填物の体積と焼成容器の内容積との比を
上記のように限定したのは、この比が0.1未満では酸化
ビスマス、酸化アンチモンの被焼成物からの飛散量が多
くなり過ぎて、電気的特性の低下を起こし、逆に0.3を
越えると焼成容器内の酸素濃度が低下し、被焼成物の外
表面近傍が弱い還元性雰囲気となり、電気的特性は極端
に低下するためである。
4 なお、「密閉状態で本焼成する」ことは、開口部の
ない焼成容器中に入れ蓋をした状態で焼成する状態をい
い、多少の空気の流通はある。
以下この発明を適用して電圧非直線抵抗体を製造する
場合の要領につき説明する。
所定の粒度に調整した酸化亜鉛の主原料と所定粒度に
調整した酸化ビスマス、酸化コバルト、酸化マンガン、
酸化アンチモン、酸化クロム、酸化ケイ素、酸化ニッケ
ル等よりなる添加物および好ましくは銀を含むホウケイ
酸ビスマスガラスの所定量を混合する。次いでこれらの
原料粉末に対して所定量のポリビニルアルコール水溶液
および酸化アルミニウム源として硝酸アルミニウム溶液
の所定量を混合する。この混合操作は好ましくは乳化機
を用いる。
次に好ましくは200mmHg以下の真空度で減圧脱気を行
い混合泥漿を得る。混合泥漿の水分量は30〜35wt%程度
に、またその混合泥漿の粘度は100cP±50とするのが好
ましい。
次に得られた混合泥漿を噴霧乾燥装置に供給して平均
粒径100±50μmで、水分量が0.5〜2.0wt%、より好ま
しくは0.9〜1.5wt%の造粒粉を造粒する。
次に得られた造粒粉を、成形工程において、成形圧力
800〜1000kg/cm2の下で所定の形状に成形する。そして
その成形体を昇降温速度50〜70℃/hrで400〜1000℃、保
持時間1〜5時間という条件で仮焼成して結合剤を飛散
除去する。
次に、仮焼成した仮焼体の側面に絶縁被膜層を形成す
る。絶縁被覆層は具体的には酸化ビスマス、酸化アチモ
ン、酸化亜鉛、酸化けい素等の所定量に有機結合剤とし
てエチルセルロース、ブチルカルビトール、酢酸nブチ
ル等を加えた酸化物ペーストよりなるものとし、これを
30〜300μmの厚さに仮焼体側面に塗布する。
次に、絶縁被膜層が塗布された仮焼体を、第1図に示
すような蓋付きのアルミナ、ムライトまたはマグネシア
質製の開口部を設けない焼成容器11に収容する。この焼
成容器11の底面には、複数の、仮焼体即ち被焼成物13と
ほぼ同組成の敷板15を敷き詰めた上に、同じく仮焼体13
とほぼ同組成の敷粉17が均一に敷き詰められている。こ
の上に所定の個体数の仮焼体即ち被焼成物13を所定間隔
で載置する(第1図(a)酸参照)。このとき同組成の
敷板15、敷粉17および被焼成物13の総体積(V)と焼成
容器11の内容積Aとの比率V/Aが 0.1≦V/A≦0.3 となるようにする。このような比率とすることによっ
て、焼成容器内の雰囲気を最適なものにすることができ
る。また第1図(a)に示した例のほかに敷板15を省略
した例として、第1図(b)に示すように被焼成物13と
焼成容器11の底部との間に敷粉17のみを敷き詰めてい
る。この場合においても上記の規定における総体積は敷
粉および被焼成物の夫々の体積を加えた量となる。ま
た、敷板または敷粉にビスマス及びアンチモンのいずれ
も含まない場合は、それは総体積に含めないものとす
る。
このように焼成容器に収容された被焼成物の本焼成工
程については、昇降温速度30〜60℃/hr,1000〜1300℃で
2〜7時間という条件で本焼成して、電圧非直線抵抗体
用の素体を得る。
なお、ガラスフリットに有機結合剤としてエチルセル
ロース、ブチルカルビトール、酢酸nブチル等を加えた
ガラスペーストを前記絶縁被覆層上に100〜300μmの厚
さに塗布し、空気中で昇降温速度100〜200℃/hr、400〜
600℃で0.5〜2時間という条件で熱処理することにより
ガラス層を形成することが好ましい。
次に、得られた電圧非直線抵抗体用の素体の両端面を
平滑に研磨し、研磨した素体の両端面の所要の電極形成
領域にアルミニウム、金、銀または銅等の電極材を好ま
しくは溶射して電極を形成する。電極材は、上記のもの
に特に限定されるものではなく、導電性物質であればよ
い。
(実施例) 実施例1 上述した要領にて作製した直径47mm、厚さ22.5mmの電
圧非直線抵抗体において、本発明により本焼成時に、内
容積A=3690cm3の開口部のない焼成容器に被焼成物
(仮焼体)を収容し、第1図(b)に示すように、被焼
成物の下に敷粉のみを敷き詰め、被焼成物および敷粉の
総体積を以下に表−1に示すように種々に変化させた試
料1〜3と、比較例として本発明の範囲からはずれた数
値で作成した試料4〜8とを準備し、それぞれのV1mA
雷サージ放電耐量および開閉サージ放電耐量を調査し
た。
ここにV1mAは、得られた抵抗体(試料数n=50)に電
流1mAを流すのに必要な制限電圧(kV)を示し、雷サー
ジ放電耐量は、100〜130kAの電流を4/10μsの電流波形
で2回繰り返し印加した後の累積破壊率を示し、開閉サ
ージ放電耐量は、1000〜1200Aの電流を2msの電流波形で
20回繰り返した後の累積破壊率を示す。
その結果を表−1に示す。
表−1から明らかなように、この発明に従う試料No.1
〜3は電気的諸特性が良好でかつ安定していることが確
かめられた。
(発明の効果) かくしてこおの発明によれば、電圧非直線抵抗体の本
焼成中の焼成容器内の雰囲気を最適に調整して、成分組
成の所望の焼結体を得、その結果良好かつ安定した電気
的諸特性の電圧非直線抵抗体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に使用される焼成容器の構成例をそれぞ
れ示す断面図である。 11……焼成容器、13……被焼成物 15……敷板、17……敷粉
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−55003(JP,A) 特開 昭56−62301(JP,A) 特開 昭62−263608(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化亜鉛を主成分として少なくとも酸化ビ
    スマスおよび酸化アンチモンを含む金属酸化物の混合物
    を成形する工程と、成形にて得られた成形体を仮焼成し
    たのち、焼成容器内にて本焼成する工程と、本焼成にて
    得られた焼結体の端面に電極を付設する工程とを経るこ
    とにより電圧非直線抵抗体を製造するに当たり、 上記本焼成工程において、前記焼成容器の内容積(A)
    と前記焼成容器内の少なくとも酸化ビスマス、酸化アン
    チモンを含む充填物の総体積(V)の比率を 0.1≦V/A≦0.3 の範囲となるようにして密閉状態で焼成することを特徴
    とする電圧非直線抵抗体の製造方法。
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