JP2634799B2 - 内燃機関の動弁機構 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、シリンダーヘッド上方に一本のカムシャフ
トを、又燃焼室の頂部中央には電極を臨ませてスパーク
プラグを配設し、各シリンダーボアに４バルブを有する
内燃機関の動弁機構に関する。

（従来の技術） 従来の火花点火式の内燃機関としては、例えば特公昭
61−18669号公報に示されたものがある。この種の内燃
機関は、シリンダーボア毎に各々一対の吸気バルブ、及
び排気バルブを有する４バルブタイプで、一対の吸・排
気バルブ間に一本のカムシャフト、及び吸・排気用の二
本のロッカーアームを有するSOHCタイプであり、スパー
クプラグの電極が燃焼室の頂部中央に臨ませて配設され
ている。

そして、シリンダーヘッドの幅寸法、及び高さ寸法の
小型化を図るとともに燃焼室での燃焼を中央から周縁部
に至り全域に、素速く、且つ均等に伝播させ、ノッキン
グを抑制し、燃焼効率を高めている。

（発明が解決しようとする問題点） ところが、上記した従来の内燃機関の動弁機構におい
ては、一対のロッカーアームシャフトの間に、スパーク
プラグを装着するプラグ穴が配置されているが、ロッカ
ーアームシャフトのプラグ穴側の一対の軸端が支持され
ていないので、ロッカーアームシャフトの支持剛性が不
足するという問題があった。

そこで本発明は、シリンダーヘッド上部にプラグ穴を
配置し、プラグ穴を挟む位置で、一対のロッカーアーム
シャフトの軸端を、シリンダーヘッドに形成した一対の
支持部で支持することにより、支持部材を別途設けるこ
となく、ロッカーアームシャフトの支持剛性を向上させ
ることが可能な内燃機関の動弁機構を提供することを目
的とする。

（問題点を解決するための手段、及び作用） 以上の問題点を解決するための手段は、燃焼室の天井
面の略中央に臨むスパークプラグを装着するためのプラ
グ穴をシリンダーヘッドに形成し、このシリンダーヘッ
ド上部に単一のカムシャフトを設け、このカムシャフト
に係合して一対の機関弁を開閉する一対のロッカーアー
ムを設けてなるSOHC型内燃機関において、前記シリンダ
ーヘッド上部には、前記一対のロッカーアームの間に前
記プラグ穴を配置し、同ロッカーアームを支えるロッカ
ーアームシャフトを、その軸方向に分割して互いに対向
する一対の軸端を形成し、前記シリンダーヘッドのプラ
グ穴を挟む位置で、前記一対の軸端を支持する一対の支
持部を、前記シリンダーヘッドに形成し、前記支持部に
は、前記一対の軸端の下側半部を受ける略半円状の支持
面を形成した。

以上の手段による本発明の動弁機構は、ロッカーアー
ムシャフトを分割してその支持部をプラグ穴を挟む位置
に形成したことから、支持部材を別途設ける場合と比べ
て部品点数が低減されるとともに、プラグ穴の位置に左
右されずにロッカーアームシャフトを配置することがで
き、その自由度の向上によって、動弁機構のコンパクト
化が可能となり、かつ、ロッカーアームシャフトの全長
が小さくなって軸の曲げ剛性が向上し、また、その支持
部をシリンダーヘッドに形成し、略半円状の支持面とし
たことから、その支持剛性が向上し、かつ軸の組み付け
が容易となる。

（実施例） 以下に本発明の一実施例を添付図面に基づき説明す
る。

第１図は動弁機構を示す内燃機関の横断面図、第２図
は要部の平面図である。

１はシリンダーブロック、２はシリンダーボア、３は
シリンダーヘッド、４はシリンダーヘッドカバーを示
す。シリンダーブロック１にはシリンダーボア２を備
え、シリンダーブロック１上にはシリンダーヘッド３が
固着され、シリンダーヘッド３には燃焼室５に連通する
吸気通路６（第１図中の右側）、及び排気通路７（第１
図中の左側）を備える。

また、シリンダーヘッド３には、各シリンダーボア２
毎に４つのバルブ穴、即ち２つ一組の吸気バルブ穴6a
と、２つ一組の排気バルブ穴7aとを備える。従って、シ
リンダーヘッド３には各シリンダーボア２毎に同種機関
弁をなす２つ一組の吸気バルブ９と、２つ一組の排気バ
ルブ10が配設された４バルブタイプとなっている。

これ等のバルブ9,10は、各シリンダーボア２毎に、シ
リンダーヘッド３の吸気側でその長手方向に沿い一組の
吸気バルブ９が配設されるとともに、シリンダーヘッド
３の排気側でその長手方向に沿い一組の排気バルブ10が
配設され、これ等の吸気バルブ９と排気バルブ10とは、
互いにシリンダーヘッド３の上方に至るに従い離隔する
ように共に傾斜して配設されている。

吸気バルブ９及び排気バルブ10は、夫々バルブガイド
11、及び12により軸方向移動可能に支持されており、各
基端側に固着されたスプリングリテーナ13,14とスプリ
ングシート部15,16との間に介装されたバルブスプリン
グ17,18により、各バルブ9,10の閉止方向に付勢されて
いる。

上記シリンダーボア列の上方であって、シリンダーヘ
ッド３の上方には、一本のカムシャフト20が配設され、
さらにこのカムシャフト20の上方両側に二本のロッカー
アームシャフト21と22が配設されている。これ等カムシ
ャフト20、ロッカーアームシャフト21,22は、互いに平
行に配設されている。

カムシャフト20には、各シリンダーボア２毎に、吸・
排気側の一組のロッカーアーム23…,24…を夫々駆動す
るカム20a…,20b…を備えており、両側には吸気側のカ
ム20a,20aが位置し、これ等の間に排気側のカム20b,20b
が設けられている。

そして、第２図に示すように、カム配列と対応するよ
うに、吸気側のロッカーアーム23,23との間に、排気側
のロッカーアーム24及び24が配設され、吸気側ロッカー
アーム23,23は、ロッカーアームシャフト21により、排
気側ロッカーアーム24,24はロッカーアームシャフト22
により夫々支承されている。更に隣接する排気側のロッ
カーアーム24と24とも間にウエーブワッシャ40が介装さ
れており、また、吸気側のロッカーアーム23と23、カム
ホルダー25の夫々の支承部間には、ウエーブワッシャ40
が介装されており、これにより夫々のロッカーアーム支
承部がロッカーアームシャフト支持部に向けて付勢され
ている。

上記カムシャフト20は、各シリンダボア２の中心より
も排気側（第１図中の左側）に偏位して配設されてお
り、該カムシャフト20の両端部、及び中間の複数箇所で
カムホルダー25により支承されている。カムホルダー25
は、第２図に示すように、各シリンダーボア２の両側の
上方、即ち、各シリンダーボア２の上方であって、ロッ
カーアーム23,23,24,24の両側となるシリンダーヘッド
３上に設けられている。

これ等のカムホルダー25は、シリンダーヘッド３上面
に突設された下側軸受部（図示省略）と、これにボルト
26,36により上部から固着される上側軸受部27とからな
り、第３図（ｂ）のように上側軸受部27の両端部には、
後述する吸・排気側のロッカーアームシャフト21と22の
支持部27Aと27Bとを一体的に備えている。

また、第１図に示すようにシリンダヘッド３には、ス
パークプラグ29が設けられている。このスパークプラグ
29は、プラグ穴30に装着されている。プラグ穴30は、一
端側が燃焼室５の頂部中央に臨み、他端側がカムシャフ
ト20と反対側の上方へ傾斜するようにシリンダーヘッド
３、及びこのシリンダーヘッド３の上面に突設されたプ
ラグ挿入筒31に亘って形成されている。

つまり、プラグ穴30は、その他端側で吸気バルブ９に
略沿い一組の吸気バルブ９の間に位置するように傾斜し
て設けられている。このため、上記プラグ挿入筒31も、
シリンダヘッド３上面から斜に延在するように、シリン
ダーヘッド３と一体的に形成されている。

このプラグ穴30の先端側には、スパークプラグ29がそ
の電極を燃焼室５に臨ませて螺着されており、このスパ
ークプラグ29には、プラグ穴30の基端側に装着されるキ
ャップ32を貫通するイグニッションケーブル33が接続さ
れている。従って、電極を燃焼室５の頂部中央に臨ませ
ることができるので、ノッキングの発生が低減される。

また、上記プラグ挿入筒31の上面は水平面に形成する
一方、シリンダーヘッドカバー４に設けられるプラグ挿
入部の下面も同様の水平面に形成されている。プラグ挿
入部34の下面にはＯリング挿入用の環状溝34aを形成
し、挿入筒31上面とプラグ挿入部34の下面とは、Ｏリン
グ35を介して接合されている。

上記ロッカーアームシャフト21と22の内、排気側のロ
ッカーアームシャフト22は、複数箇所で上記カムホルダ
ー25と一体の支持部27Bにより支持され、排気側のロッ
カーアーム24,24を支持している。

他方、吸気側のロッカーアームシャフト21は、第３図
（ａ）の如く、軸方向に分割されて互いに対向する一対
の軸端を有する複数の短軸21a…に形成されている。こ
れ等の短軸21a…は、第２図に示すように上記一組の吸
気バルブ９−９間に配設されるプラグ穴30を避けるよう
に、隣り合う端部間に所定間隔を保って配設される。

各短軸21a…は、夫々中実に形成され、各短軸21a…の
下側半部が第３図（ｂ）に示すように、上述したプラグ
挿入筒31に一体的に形成された支持部31aの略半円状の
支持面31bに、上記と同様にボルト37により固着される
一方、他端側の下側半部が、各カムホルダー25に一体的
に形成された支持部27Aの略半円状の支持面27aに上部か
らボルト36により固着されている。

つまり、短軸21a…の一端側を夫々支持する２つの支
持部31a,31aがプラグ挿入筒31に一体的に形成され、プ
ラグ挿入筒31は、上述した如くシリンダーヘッド３とと
もに一体的に形成されている。従って、双方のロッカー
アームシャフト21と22は、少なくとも各シリンダーボア
２上方の両側で支持されるため、これ等の剛性を高める
ことができ、高速回転での許容能力が高まる。特に燃焼
室の天井面の略中央に臨むスパークプラグを装着するた
めのプラグ穴をシリンダーヘッドに形成し、このシリン
ダーヘッド上部に単一のカムシャフトを設け、このカム
シャフトに係合して一対の機関弁を開閉する一対のロッ
カーアームを設けてなるSOHC型内燃機関において、前記
シリンダーヘッド上部には、前記一対のロッカーアーム
シャフトの間に前記プラグ穴を配置し、同ロッカーアー
ムを支えるロッカーアームシャフトを、その軸方向に分
割して互いに対向する一対の軸端を形成し、前記シリン
ダーヘッドのプラグ穴を挟む位置で、前記一対の軸端を
支持する一対の支持部を、前記シリンダーヘッドに形成
し、前記支持部には、前記一対の軸端の下側半部を受け
る略半円状の支持面を形成したので、本発明の内燃機関
の動弁機構は、ロッカーアームシャフトを分割して、そ
の支持部をプラグ穴に形成したことから、支持部材を別
途設ける場合と比べて部品点数が低減されるとともに、
プラグ穴の位置に左右されずにロッカーアームシャフト
を配置することができ、その自由度の向上によって、動
弁機構のコンパクト化が可能となり、かつ、ロッカーア
ームシャフトの全長が小さくなって軸の曲げ剛性が向上
し、また、その支持部をシリンダーヘッドに形成し、略
半円状の支持面としたことから、その支持剛性が向上
し、かつ、軸の組み付けが容易となる。また、吸気側の
ロッカーアームシャフト21が短軸21a…に分割され、各
短軸21a…は、その両端がカムホルダー25とプラグ挿入
筒31により支持されるので、更にその剛性を高めること
ができる。

尚、本実施例では、第３図に（ｂ）に示すように、プ
ラグ挿入筒31に一体的に備える双方の支持部31a,31aの
支持面31b,31bとし、断面略半円状の支持面31b,31bとす
るので、一度の加工作業で形成することができ、このた
め、双方の支持部31a−31a間には、プラグ穴30と連通す
る穴38が形成されている。そこでこの穴38とプラグ穴30
との油密性を確保するために、プラグ穴30内には、両端
外周にＯリング状の凸部39aを有するシリンダーパイプ3
9が挿入されており、これによって、短軸21a…等の潤滑
油がプラグ穴に侵入することを防止している。

（発明の効果） 以上で説明したように本発明によれば、ロッカーアー
ムシャフトを分割して、その支持部をプラグ穴を挟む位
置に形成したことから、支持部材を別途設ける場合と比
べて部品点数が低減されるとともに、プラグ穴の位置に
左右されずにロッカーアームシャフトを配置することが
でき、その自由度の向上によって、動弁機構のコンパク
ト化が可能となり、かつ、ロッカーアームシャフトの全
長が小さくなって軸の曲げ剛性が向上し、また、その支
持部をシリンダヘッドに形成し、略半円状の支持面とし
たことから、軸の支持剛性が向上し、かつ軸の組み付け
が容易となる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図（ｂ）は本発明の一実施例に係る動
弁機構を示し、第１図はその断面図を示す第２図中のＩ
−Ｉ矢視断面図、第２図はその要部を示すシリンダーヘ
ッド上方の平面図、第３図（ａ）は短軸の斜視図、第３
図（ｂ）は短軸の取り付け構造を示す概略斜視図であ
る。 尚図面中３はシリンダーヘッド、５は燃焼室、20はカム
シャフト、21,22はロッカーアームシャフト、21aは分割
されたロッカーアームシャフト、23,24はロッカーアー
ム、25はカムホルダー、29はスパークプラグ、30はプラ
グ穴、31a,27Aは支持部、31b,27aは略半円状の支持面で
ある。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−43228（ＪＰ，Ａ) 実願 昭58−185235号（実開 昭60− 92706号）の願書に添付した明細書及び 図面の内容を撮影したマイクロフィルム （ＪＰ，Ｕ)

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】燃焼室の天井面の略中央に臨むスパークプ
   ラグを装着するためのプラグ穴をシリンダーヘッドに形
   成し、このシリンダーヘッド上部に単一のカムシャフト
   を設け、このカムシャフトに係合して一対の機関弁を開
   閉する一対のロッカーアームを設けてなるSOHC型内燃機
   関において、 前記シリンダーヘッド上部には、前記一対のロッカーア
   ームの間に前記プラグ穴を配置し、同ロッカーアームを
   支えるロッカーアームシャフトを、その軸方向に分割し
   て互いに対向する一対の軸端を形成し、 前記シリンダーヘッドのプラグ穴を挟む位置で、前記一
   対の軸端を支持する一対の支持部を、前記シリンダーヘ
   ッドに形成し、 前記支持部には、前記一対の軸端の下側半部を受ける略
   半円状の支持面を形成した、 ことを特徴とする内燃機関の動弁機構。
2. 【請求項２】前記カムシャフトを支えるカムホルダに
   は、前記ロッカーアームシャフトの他端を支える支持部
   を形成し、この支持部は、ロッカーアームシャフトの他
   端の下側半部を受ける略半円状の支持面としたことを特
   徴とする特許請求の範囲第１項記載の内燃機関の動弁機
   構。