JP2632997B2 - 削孔方法及び削孔装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明はアースオーガ工やパイプルーフ工等の各種工
事に用いられる管体（以下「ケーシング」という）を使
用して削孔する場合に、削孔方向を簡易に修正できる、
削孔技術に関する。

＜従来の技術＞ アースオーガを構成するケーシングは、一般に１本も
のの鋼管が用いられ、ケーシングに回転又は揺動運動と
貫入力を付与しつつ、ケーシングの先端に設けたチップ
類で削孔している。

＜本発明が解決しようとする問題点＞ 従来のケーシングは、掘削方向を修正できる機能が特
別付与されていないために、掘削方向にずれを生じた場
合、そのずれを修正できず新たに削孔をし直しているこ
とが多い。

又、鋼管の刃口を斜めに切り落としたケーシングに揺
動運動を与えて掘削方向を修正する方法が考えられる
が、この方法の場合、刃口の最も突出する箇所がケーシ
ングの揺動に伴い左右に移動することから、方向修正機
能が低い欠点がある。

＜本発明の目的＞ 本発明は以上の問題点を解決するために成されたもの
であって、その目的とするところは簡易にしかも高能率
にケーシングの削孔方向を修正できる、削孔技術を提供
することにある。

＜本発明の構成＞ 以下、図面を参照しながら本発明の一実施例について
説明する。

直、本実施例ではアースオーガを一例にして説明す
る。

＜イ＞アースオーガの全体構成 第２図にアースオーガの全体図を示す。

１は走行機能を有するパワーユニットである。

ブーム２は、その下部をパワーユニット１の前部に軸
支して装架され、両者１、２間に配設した俯仰用シリン
ダ３の伸縮操作によりブーム２の俯仰が制御される。

オーガ４を内挿した特殊なケーシング５は、ブーム２
の途上でハウジング６を介して昇降自在に設けられてお
り、ブーム２を前後方向（図面では左右方向）に俯仰す
ることでケーシング５の貫入角度を調節できる。

＜ロ＞掘進機構 ６は、ブーム２に昇降自在に取り付けられた円盤状の
ハウジングであり、ケーシング５を把持可能なチャック
７と、このチャック７を回転又は揺動するケーシング駆
動用モータ８とを装備している。

ハウジング６の前部には伸縮機能を有する垂直材９が
載置され、又、垂直材９の上部にはハウジング６と平行
に片持腕10が固着されている。

片持腕10の自由端には、下向きでオーガ駆動用モータ
11が垂下されている。

垂直材９の下端には、減速機を内蔵した回動用モータ
12が装着してあり、回動用モータ12の正転又は逆転操作
により片持腕10と共に回動用モータ12が揺動可能に構成
されている。

尚、ハウジング６の昇降機構としては、例えばエンド
レス形のチェーンにハウジング６の一部を接続したり、
ラックとピニオンを用いた方式等公知の昇降機構を適用
することも可能である。

＜ハ＞ケーシング刃口のガイド機構 片持腕10には、傾斜ガイド面13を有する案内体14が配
設してある。

案内体14は、後述するケーシング５の刃口を斜めに形
成するための案内部材であり、本実施例のように筒体の
他に柱状体であってもよい。

又、案内体14は、その傾斜ガイド面13の傾斜の向きを
変えられるように回転又は揺動自在に構成されている。

案内体14を回転可能に構成するには、例えば第１図に
示すようにギア付きのモータ15を案内体14の外周に設け
たギア16に噛合させれば、傾斜ガイド面13の傾斜方向を
制御できる。

＜ニ＞ケーシング 従来のケーシングは１本のものの鋼管であったが、本
発明では、鋼管を長手方向に沿って分割した複数の円弧
帯板5a、5b…からなるケーシング５を使用する。

各円弧帯板5a、5b…は、第３図に示すようにその長手
方向に沿ってのみ摺動し、それ以外の方向に離脱しない
ような噛み合い構造となっている。

ケーシング５を構成する円弧帯板5a、5b…の分割枚数
は、ケーシング５の口径や貫入深さ等を考慮して決定す
る。

又、案内体14の傾斜ガイド面13に当接する各円弧帯板
5a、5b…の基端（上端）に丸みを持たせたり、耐摩耗性
に優れた素材で被覆する等して両者の摺動面の接触抵抗
をできるだけ小さくしておくとよい。

尚、ケーシング５を構成する円弧帯板5a、5b…の刃口
に、削孔用のビットやチップ類を設けたり、各円弧帯板
5a、5b…を直線状に形成して断面が多角形のケーシング
５であってもよい。

＜作用＞ 次に前記アースオーガによる削孔方法について説明す
る。

＜イ＞直線削孔 オーガ４に回転を付与し、同時にケーシング駆動用モ
ータ８を作動してケーシング５に回転を与えながら、削
孔を開始する。

第４、５図に示すようにケーシング５の刃口の最も突
出する点Ｐをケーシング５の回転と共に順次移動させる
ために、ケーシング５と案内体14を速度差を介して同
一方向に回転させるか、或は、ケーシング５と案内体
14を夫々逆転させる。

すると、回転中の各円弧帯板5b、5c…の上部が回転す
る案内体14の傾斜ガイド面13に当接して押し下げられ
て、ケーシング５の刃口の最も突出する点Ｐが回転移動
しつつ、各円弧帯板5b、5c…の刃先が切羽に貫入して削
孔が進行する。

このように、ケーシング５の刃口の傾斜の向きを変え
ながら直線状の削孔が進行する。

尚、ケーシング５に回転力を与えつつ上下方向のスラ
イド運動を付与するには、両運動を同時に満足できる程
度にチャック７の把持力を選択するか、或はケーシング
５を断面多角形状に形成すると共に、チャック７の内形
をケーシング５より多少大きい多角形に形成して組み合
わせてもよい。

＜ロ＞ケーシング等の接続 所定の深度まで削孔を完了したら、チャック７を緩
め、オーガ駆動用モータ11からオーガ４の基端を分離す
る。

次に回動用モータ12を回転させてオーガ４及びケーシ
ング５の真上に位置する片持腕10と共に回動用モータ12
を、その中心から外れる位置まで移動する。

その結果、地中に貫入したオーガ４及びケーシング５
の真上の空間に障害物がなくなった状況下で、延長用の
オーガ４及び各延長用の円弧帯板5a、5b…をボルト又は
溶接等によって接続する。

接続を完了したら、ケーシング５の外方に沿ってハウ
ジング６を上昇させ、再びオーガ４の基端とオーガ駆動
用モータ11を接続すると共に、チャック７でケーシング
５を把持して削孔作業を再開する。

＜ハ＞方向修正作業 ケーシング５の削孔方向にずれを検知したときは、次
の動作によって貫入方向を修正する。

まず、第６、７図に示すように案内体14をゆっくりと
回転して傾斜ガイド面13の最下部Ｑを修正方向に一致さ
せて停止する。

次に、ケーシング５に回転又は揺動を与えて削孔を再
開する。

図面ではオーガを省略しているが、ケーシング５の削
孔再開と同時にオーガ４による削孔も再開する。

その結果、各円弧帯板5a、5b、5c…の上部が傾斜ガイ
ド面13に案内されて静止状態の案内体14の最下部Ｑへ接
近するに従って下方に押し下げられながら削孔が進行す
る。

案内体14が静止していることから、ケーシング５の刃
口の最も突出する点Ｐは、傾斜ガイド面13の最下部Ｑの
延長線上に位置することになる。

つまり、各々円弧帯板5a、5b、5c…が回転運動と並行
して縦方向にスライドしているにもかかわらず、ケーシ
ング５の刃口の全体形は変化しない状態で削孔が進行す
る。

従って、ケーシング５の刃口の傾斜方向が特定の方向
に規制されることによりケーシング５の周面摩擦に抵抗
差を生じ、これによりケーシング５の削孔方向が修正さ
れる。

＜その他の実施例＞ 前記実施例は、楔状の案内体14を用いてケーシング５
の刃口を斜めにして削孔する場合について説明したが、
第８図に示すようにコンピュータで伸縮を制御可能な複
数組のシリンダ17を用いても同様に削孔できる。

各シリンダ17はその一端を第１図に示すハウジングに
公転可能な状態で固定すると共に、その他端に接続した
掛止フック18を各円弧帯板5a、5b、5c…の上部に掛止し
て配設する。

そして、コンピュータにより各シリンダ17群を個別に
伸縮制御することで、ケーシング５の刃口を斜めに形成
できる。

又、以上は下向きにケーシング５で削孔する場合につ
いて説明したが、横向き或は上向きの何れの方向の削孔
作業に適用することも可能である。

＜本発明の効果＞ 本発明は以上説明したようになるから次の効果が得ら
れる。

＜イ＞ケーシングを複数組の円弧帯板で構成すると共
に、ケーシングの刃口の傾斜方向を変えないで削孔する
ことができる。

従って、ケーシングの刃口の傾斜面を移動させる方式
に比べて、高能率にケーシングの方向修正を行える。

＜ロ＞ケーシングの回転中、各円弧帯板が順次地中に貫
入するので孔壁が圧密されて「みずみち」を生じ難い、 ＜ハ＞アースオーガによる削孔や、パイプルーフ工等の
種々の工事に用いられる各種ケーシングの貫入への適用
が可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図：本発明に係る要部の説明図であってケーシング
の一部を省略した斜視図 第２図：アースオーガの全体図 第３図：ケーシングを構成する円弧帯板の連結部の構造
を示すケーシングの横断面図 第４図：ケーシングによる直線削孔時の説明図 第５図：第４図のケーシングの横断面図 第６図：削孔方向の修正時の説明図 第７図：第６図のケーシングの横断面図 第８図：複数組のシリンダを用いてケーシングの刃口を
斜めに形成するその他の実施例の説明図

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数の円弧帯板をその長手方向にのみ摺動
   可能に連結したケーシングを使用し、 ケーシングの斜めに傾斜させる刃口の向きを特定の方向
   に規制しつつ、回転を与えて削孔することを特徴とす
   る、 削孔方法。
2. 【請求項２】複数の円弧帯板を連結してなるケーシング
   に回転又は揺動を与える機構と、 ケーシングの上部で円弧帯板に長手方向に貫入力を与え
   る傾斜ガイド面を有する案内体とを備え、 ケーシングの基端側に前記案内体を回転又は揺動可能に
   設置したことを特徴とする、 削孔装置。