JP2631118B2 - セラミック配線基板の製造方法 - Google Patents

セラミック配線基板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はセラミック配線基板の製造方法に関し、より
詳細には高密度の配線パターンを有する回路基板や半導
体素子収納用パッケージ等に適用されるセラミック配線
基板の製造方法に関するものである。
〔従来の技術〕
従来、セラミック配線基板における配線パターンの形
成にあっては、セラミックのグリーンシート(未焼成セ
ラミックシート)表面に高融点金属から成る導体ペース
トをスクリーン印刷法により印刷塗布し、しかる後、こ
れを約1500℃の温度で焼成する厚膜方法が採用されてお
り、セラミック配線基板にリードピンやヒートシンク等
の金具を取り付ける場合には、前記配線基板に設けられ
た配線パターンを構成する配線層に銀ロウ等のロウ材を
介しロウ付けする方法が採用されている。
一方、近年に至り、セラミック配線基板はLSI等の集
積回路と同様に配線パターンの高密度化が要求されつつ
あり、従来の厚膜方法では配線層の微細化が困難である
ことから、厚膜方法に代わりイオンプレーティング法、
スパッタ法等を用いた薄膜方法が提案され、例えばセラ
ミック基板表面にTi,Cr等から成る接着層とAg,Cu,Ni,Pb
等から成るバリア層を順次スパッタリング等によって層
着させ、しかる後、これらの層をエッチング加工法によ
り所定の配線パターンに形成するとともに、前記バリア
層上に主導体層としてのAuをめっきにより層着させるこ
とによって高密度の配線パターンを有するセラミック配
線基板が形成されている。
尚、前記薄膜方法により配線パターンが形成されたセ
ラミック配線基板はその表面に高密度の配線パターンが
形成されているため、各配線パターンを外部の電気回路
に正確、かつ確実に接続するためにはセラミック基板の
寸法精度を大幅に向上させるとともに配線パターンの形
成位置を正確とする必要があり、通常セラミック基板は
その外表面をラッピングや研磨等の機械加工を施し、所
定の寸法精度となしている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、この薄膜方法を用いて配線パターンを
形成したセラミック配線基板はセラミック基板の寸法精
度を向上させるためにその表面にラッピングや研磨等の
機械加工が施こされており、該機械加工はセラミック基
板表面の結晶を削り取る加工方法であることからセラミ
ック基板表面の結晶組織内には微小で、且つ角部が角張
ったクラックが多量に残留している。そのため前記セラ
ミック基板表面に層着された配線パターンを構成する配
線層にリードピンやヒートシンク等の金具を銀ロウ等の
ロウ材を介しロウ付けした場合、ロウ付けの際に発生す
る応力が配線層に印加され、同時にこれがセラミック基
板表面の結晶組織内に存在するクラックの角張った角部
に集中して微小なクラックを大きく成長させてしまい、
その結果、セラミック基板表面から配線層の層着されて
いる結晶が脱落して配線層のセラミック基板に対する密
着強度が大幅に低下するという不都合を生じていた。
〔発明の目的〕
本発明は上記欠点に鑑み案出されもので、その目的と
するところは、配線層のセラミック基板に対する密着強
度を大とし、配線層にリードピン、ヒートシンク等の金
具を取り付けることが可能な高密度の配線パターンを有
するセラミック配線基板の製造方法を提供するものであ
る。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明のセラミック配線基板の製造方法は、アルミナ
質焼結体より成るセラミック基板表面を研磨加工した
後、1050乃至1560℃の温度にて再焼成し、その後、上記
再焼成したアルミナ質焼結体より成るセラミック基板上
に接着層、バリア層および主導体層の3層構造を有する
配線層を層着させることを特徴とするものである。
〔実施例〕
次に本発明のセラミック配線基板の製造方法について
詳細に説明する。
まずアルミナ質焼結体より成るセラミック基板を準備
する。このセラミック基板は、例えばアルミナ、シリカ
等のセラミック原料粉末に適当な溶剤、溶媒を添加混合
して泥漿物を作り、これを従来周知のドクターブレード
法によりシート状と成すとともに約1500℃の温度で焼成
することによって製作される。
次に上記セラミック基板はその寸法精度を高いものと
するためにダイシング等の切断および平面研磨やラップ
研磨等の表面研磨加工を施し、その後、1050乃至1560℃
の温度で再焼成する。この再焼成処理は、セラミック基
板にダイシングや研磨加工等を施した際に形成されるク
ラックの角張った角部を丸味を有するものにかえる作用
を為し、これによって後述の配線パターンを構成する配
線層にリードピン等の金具をロウ付けし、ロウ付けの際
の応力がクラックに印加されたとしても該応力はクラッ
クの角部に集中することはなく、クラックの成長が抑制
される。
そして次に前記セラミック基板表面にイオンプレーテ
ィング法、スパッタ法等の気圧成長法によってTiから成
る接着層とW,Moの少なくとも1種を主成分とするバリア
層、例えばTiとWとの合金又はMoとCuとの合金から成る
バリア層を順次層着させ、更にその上にCu,Niの少なく
とも1種を主成分とする主導体層を前記気相成長法もし
くはめっき法により層着させ配線層を形成する。次に前
記接着層、バリア層及び主導体層から成る導電層をエッ
チング加工法によって所定の配線パターンとし、しかる
後、前記配線層上に銅(Cu)、コバール(Fe−Ni−Co合
金)から成るリードピン等の金具をロウ材を介してロウ
付けし、最終製品としてのセラミック配線基板が完成す
る。
尚、前記リードピン等の金具のロウ付けは、還元雰囲
気、例えば湿式水素あるいは加湿フォーミングガス(H2
/N2)中、約700乃至1050℃の温度で行われる。
また、前記配線層上にリードピン等の金具をロウ付け
する場合、ロウ付けの際に発生する応力がセラミック基
板表面に存在するクラックに作用したとしても該クラッ
クはその角部が丸味を有していることから応力の集中が
なく、クラックの成長に起因して発生するセラミック基
板表面結晶の脱落を皆無として配線層のセラミック基板
に対する密着強度を極めて高いものとすることができ
る。
本発明におけるアルミナ質焼結体より成るセラミック
基板の再焼成温度は、1050℃未満ではセラミック基板表
面の結晶組織内に存在するクラックの角張った角部を丸
味を有するものにかえることが不十分となり、金具をロ
ウ付けする際の応力によってセラミック基板表面の結晶
が脱落し、配線層のセラミック基板に対する密着強度が
低下してしまい、また前記再焼成温度が1560℃を越える
とセラミック基板に歪みが生じ所定の寸法精度を維持す
ることができなくなり、また基板自体の強度が弱くなる
ことからアルミナ質焼結体から成るセラミック基板の再
焼成温度は1050乃至1560℃の範囲に限定される。
尚、前記配線層を構成する主導体層はその上部に更に
Au,Pt,Pb等の耐蝕性、導電性に優れた貴金属層を設け、
これによって配線層の酸化防止、半田濡れ性、ワイヤボ
ンディング性を向上させてもよい。
次に、本発明の作用効果を下記に示す実験例に基づい
て説明する。
実験例 1 アルミナ質焼結体から成るセラミック基板表面を250
番相当のダイヤモンド砥石で平面研削加工または320番
相当の砥粒を用いてラッピング加工し、しかる後、上記
加工済セラミック基板を1050乃至1560℃の温度で再焼成
し評価試料を得、同時に再焼成しないものを比較試料と
して準備する。
次にこれら評価試料及び比較試料としてのセラミック
基板を各々洗浄し、各基板表面にスパッタリング法によ
りTiの接着層を0.1μm、Ti10%残部WよりなるTi−W
合金のバリア層を1μmおよびCuの主導体層を3μm順
次層着し、エッチング加工法により1×1mmのドットパ
ターンの配線層に加工した。
そして次に上記ドット部にKovar製金具を銀ロウ(Bag
8またはAg)を用いて還元性雰囲気中850乃至1030℃の熱
処理を10分間行ってロウ付けした。
かくして得られた評価試料及び比較試料の上記金具を
垂直方向に引張り、金具の配線層に対する引張り強度を
測定し、ロウ付強度とした。
また、同様にして前記1×1mmのドットパターンの配
線層を有する評価試料及び比較試料を、金具のロウ付け
条件と同様の還元性雰囲気中850乃至1030℃の熱処理を1
0分間行い、その後配線層表面にめっき法によりNiを1
μm、更にAuを2μm層着させるとともに測定用金具を
半田付けした。そしてその後、前記金具を垂直に引張
り、その引張り強度を測定して、配線層のセラミック基
板に対する密着強度とした。
その結果、平面研削加工を施した後、再焼成しない比
較試料のロウ付強度は1.24Kg/mm2以下、配線層の密着強
度は1.44Kg/mm2以下であるのに対し、本発明の再焼成し
た評価試料はロウ付強度が5.23Kg/mm2、配線層の密着強
度が5.56Kg/mm2であった。
また、ラッピング加工を施した後、再焼成しない比較
試料のロウ付け強度は1.31Kg/mm2以下、配線層の密着強
度は1.45Kg/mm2以下であるのに対し、本発明の再焼成し
た評価試料はロウ付強度が5.43Kg/mm2、配線層の密着強
度が5.51Kg/mm2であった。
実施例 2 実験例1と同様の方法により、洗浄済セラミック基板表
面にイオンプレーティング法によりTiの接着層を0.1μ
m、Moのバリア層を1μmおよびCuの主導体層を0.5μ
m層着するとともにエッチング加工法により1×1mmの
ドットパターンの配線層に加工し、還元性雰囲気中で85
0℃の温度にて熱処理を行った後、配線層の上部にNi層
を無電解めっき法によって層着した。
次いで実験例1と同様の方法によりロウ付強度及び配
線層の密着強度を測定した。
その結果、平面研削加工を施した後、再焼成しない比
較試料のロウ付強度は1.21Kg/mm2以下、配線層の密着強
度は2.31Kg/mm2以下であるのに対し、本発明の再焼成し
た評価試料はロウ付強度が5.18Kg/mm2、配線層の密着強
度が5.01Kg/mm2であった。
また、ラッピング加工を施した後、再焼成しない比較
試料のロウ付け強度は1.25Kg/mm2以下、配線層の密着強
度は2.42Kg/mm2以下であるのに対し、本発明の再焼成し
た評価試料はロウ付強度が4.95Kg/mm2、配線層の密着強
度が4.91Kg/mm2であった。
〔発明の効果〕
以上詳述した通り、本発明のセラミック配線基板の製
造方法によれば、研磨加工したアルミナ質焼結体より成
るセラミック基板を1050乃至1560℃の温度で再焼成する
ことから、研磨加工の際にセラミック基板表面に形成さ
れたクラックはその角部がすべて丸味を有したものにか
わり、配線層にリードピンやヒートシンク等の金具をロ
ウ付けする場合、ロウ付けの際の応力がクラックに応力
が印加されたとしても該クラックは大きく成長すること
が一切なく、その結果、配線層にリードピンやヒートシ
ンク等の金具を強固に取着することが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H05K 3/38 H01L 23/12 Q 23/14 C (56)参考文献 特開 昭62−182183(JP,A) 特開 昭62−291154(JP,A) 特開 昭53−47415(JP,A) 特開 昭61−17468(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミナ質焼結体より成るセラミック基板
    表面を研磨加工した後、1050乃至1560℃の温度にて再焼
    成し、その後、上記再焼成したアルミナ質焼結体より成
    るセラミック基板上にチタン(Ti)から成る接着層と、
    タングステン(W)、モリブデン(Mo)の少なくとも1
    種を主成分とするバリア層と、銅(Cu)、ニッケル(N
    i)の少なくとも1種を主成分とする主導体層とを順次
    設けて成る配線層を具備せしめたことを特徴とするセラ
    ミック配線基板の製造方法。
  2. 【請求項2】前記配線層のうち少なくとも接着層とバリ
    ア層が気相成長法により形成されていることを特徴とす
    る特許請求の範囲第1項記載のセラミック配線基板の製
    造方法。
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