JP2630535B2 - 溶液製膜方法 - Google Patents

溶液製膜方法

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JP2630535B2 JP1938992A JP1938992A JP2630535B2 JP 2630535 B2 JP2630535 B2 JP 2630535B2 JP 1938992 A JP1938992 A JP 1938992A JP 1938992 A JP1938992 A JP 1938992A JP 2630535 B2 JP2630535 B2 JP 2630535B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はセルローストリアセテー
ト(TAC),セルロースダイアセテート(DAC)等
の写真感光材料用支持体フィルム或いは、光学用フィル
ムの溶液製膜方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えばセルローストリアセテート
の溶液製膜方法としては、ドラム流延方法は図1に示す
ように流延ダイ1より回転するドラム6上に流延された
セルローストリアセテートフィルム3は、ドラム6上で
或程度乾燥され、ドラム上の剥離点4より剥ぎ取られ、
搬送ローラ71 ,72 ,73 ・・・によって搬送され引
続いてテンター搬送ゾーンに入って両面より乾燥され
る。このような工程で生産速度をあげて行くためには、
セルローストリアセテートフィルム3中の残留溶媒比率
を出来るだけ高い状態においてドラム6の支持体より剥
離してフィルムとすることが有効であり、これらについ
ての技術は多数開示されている。例えば米国特許2,2
21,019号,同2,607,704号,同2,73
9,069号各明細書、特公昭45−9074号,特公
昭54−48862号,特開昭62−115035号各
公報等である。フィルムの流延膜を支持体より剥離して
フィルムにするためには、支持体上での乾燥による溶媒
の蒸発と、支持体の表面温度を剥離点でのフィルムの残
留溶媒量に応じた凝固点以下に冷却することによって達
成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら支持体か
ら剥離するフィルムに含有する有機溶剤の重量比率が6
8重量%を越えると、フィルムが軟膜である為支持体上
の剥離点からの搬送手段でフィルムのたるみ、ばたつき
などの搬送の不安定化が起こり、擦り傷,クニック,シ
ワ等の面状故障が発生する。この搬送の不安定化は剥ぎ
取り点から搬送時間20秒間の乾燥の初期工程で発生す
る。フィルムのたるみ、ばたつきを防止するために、ロ
ーラ搬送ゾーン10では一般に適当な搬送テンションで
フィルムを搬送し、搬送の安定化が図られてきた。この
場合、結果としてフィルムの搬送速度は該フィルムが搬
送方向に伸びる為、金属支持体6であるドラム6の移動
速度に対して1.005〜1.10倍程度になる。しか
し、剥離点4で有機溶剤の含有比率が重量比68重量%
を越える場合、フィルムの当該剥離点から20秒間の搬
送では、フィルムが軟膜である為搬送が安定化するまで
搬送テンションを上げると、フィルムが搬送方向に伸
び、結果としてフィルム幅が収縮し所望の製品幅のフィ
ルムが製造出来ないという欠点を有していた。又テンタ
ー搬送ゾーン11では幅方向のテンションの調節によっ
て搬送の安定性,製品の平面性確保が図られてきたが、
剥離点4で有機溶剤の含有比率が重量比68重量%を越
えるフィルムの当該剥離点から20秒間の搬送では、搬
送が安定化するまでテンションを上げようとすると、フ
ィルムが幅方向に著しく伸び結果としてテンター幅を設
備能力限界までに広げても安定性の確保ができない。或
いは必要以上の製品幅のフィルムができてしまい、後工
程で必要製品幅に裁断する際、無駄となってしまうとい
う欠点を有していた。上記の問題は金属支持体がドラム
の場合も,バンドの場合も共通である。ロール搬送ゾー
ンとテンター搬送ゾーンをうまく組み合わせて搬送の安
定化と製品幅を両立させる事も可能であるが、種々の品
種に最適な設備設計、工程条件を決めるのは難しい。
【0004】本発明の目的は従来の問題点を解消し、金
属支持体からの剥離点に於いて。フィルム中に含有する
有機溶剤の重量比率が68重量%を越える場合、剥離点
より搬送時間が少くとも20秒間、フィルムが軟膜であ
るが為の搬送の不安定性、たるみ、ばたつきを防止し、
擦り傷,クニック,シワ等の面状故障を防止することの
出来る溶液製膜方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明の上記目
的は、セルロースエステルをメチレンクロライドを主成
分とする有機溶剤に溶かした溶液を、エクストルージョ
ンダイより磨いた金属支持体上に流延し、該金属支持体
上で乾燥と冷却によって凝固せしめ、該凝固したフィル
ムを金属支持体上より剥離し、パスローラ次いでテンタ
ーによる搬送手段で乾燥しながら搬送する溶液製膜方法
において、前記金属支持体から剥離された該フィルム中
の有機溶剤の含有量が68重量%以上の場合、前記剥離
点から搬送時間少くとも20秒の間、乾燥風温度を30
〜80℃とすることを特徴とする溶液製膜方法によって
達成される。
【0006】本発明において、セルロースエステルをメ
チレンクロライドを主成分とする有機溶剤に溶かした溶
液とは、セルロースエステル、可塑剤など乾燥後固体と
なる成分の重量比率は18〜35%wtである。また、
メチレンクロライド以外の有機溶剤としてはメタノー
ル、ブタノール等が有り全溶媒中重量比13〜25重量
%程度混入される。本発明において金属支持体とは、ド
ラム流延方式であってもバンド流延方式であってもよい
ことを意味する。本発明において流延したフィルムを金
属支持体上で乾燥と冷却によって凝固せしめ、該凝固し
たフィルムを金属支持体より剥離し、パスローラついで
テンタによる搬送手段で乾燥しながら搬送するとはパス
ローラによる搬送手段とは、パスローラを用い搬送方向
にテンションを加えながら搬送する方法であり、テンタ
ー搬送とはフィルム端部を保持し幅方向にテンションを
加えながら搬送する方法である。本発明において金属支
持体からの剥離点から少くとも搬送時間20秒の間の搬
送工程に於いて、乾燥温度を30〜80℃の範囲にする
ということは、乾燥温度が30℃以下では、フィルムの
乾燥が遅れフィルムの難膜性により擦り傷、クニック、
シワ等の面状故障が発生する。又、乾燥温度が80℃以
上ではフィルムが急激に昇温し冷却によってゲル状に凝
固したフィルムが粘着化(ドープ化)し搬送の不安定
化、搬送ローラへの付着汚れ等を発生させる。本発明に
おいて乾燥温度とは、ケーシング内に給気する乾燥風温
度言う、乾燥風の流れは搬送されるフィルムに直接当た
らないゾーン乾燥でも、搬送するフィルムに直接当たる
乾燥例えば垂直風乾燥や水平風乾燥でも良い。また乾燥
温度は搬送時間20秒の間必ずしも全体をこの温度範囲
にする必要は無く、20秒間の工程の中でとくに搬送の
不安定化が起きやすい部分のみに温度設定しても良い。
【0007】
【実施例】本発明の実施例を図を用いて説明する。図1
に示す製造装置を用いて、以下の諸条件を基本条件とし
て、20秒間の乾燥温度を変えて比較を行った。金属支
持体6の剥離点4から20秒間の搬送は前半がローラ搬
送、後半がテンター搬送となる。 使用ドーブ: 溶質;セルローストリアセテートと微量の可塑剤 溶媒;メチレンクロライド:メタノール:ブタノールの
混合液 (重量比 メチレンクロライド:メタノール:ブタノー
ル=82:15:3) ドープ中の溶質比率;25重量% フィルムの膜厚: 135μm(乾燥後) 金属支持体(ドラム)の表面温度は3℃以下、剥離点以
降のフィルムの搬送速度を金属支持体の移動速度の1.
04倍になるよう搬送テンションを設定した。剥離点に
於けるフィルムの含有有機溶剤比率は68重量%であっ
た。また、搬送ロール71 ,72 ,73 ・・・は表面材
質をステンレスとし図示されていない冷却手段によりロ
ール全幅の表面温度を10℃以下にした。
【0008】(比較例−1) 剥離点から搬送時間20
秒以内の工程での乾燥風温度を20℃で行った。結果と
して搬送フィルムにたるみ、ばたつきが発生した。ロー
ラ搬送ゾーンでフィルムの両端部にしわが発生し、とき
として製品内にまで到達して面状故障となった。また、
テンター搬送ゾーンでベースが乾燥ダクト9に接触し擦
り傷が発生した。また、クニックも多発した。
【0009】(実施例−1) 剥離点から搬送時間20
秒以内の工程での乾燥風温度を30〜80℃に上昇させ
た。フィルムのたるみ、ばたつきは軽減し、擦り傷、ク
ニックなどの面状故障の発生率は1日に5〜10個の頻
度となった。この面状故障の発生率は製造を続ける上で
許容できる頻度であった。
【0010】(実施例−2) 剥離点から搬送時間20
秒以内の工程での乾燥風温度を40〜80℃にした。フ
ィルムのたるみ、ばたつきはさらに軽減し、擦り傷、ク
ニック等の面状故障はまったく発生しなかった。乾燥温
度が60〜80℃で搬送ロール71 ,72 ,73 の端部
付近にフィルムの昇温による粘着化の為,僅かな付着汚
れが発生したが製造上さしたる問題はなかった。
【0011】(比較例−2) 剥離点から搬送時間20
秒以内の工程での乾燥風温度を90℃以上にした。フィ
ルムの昇温による軟膜化の為、再びたるみ,ばたつきが
発生し、擦り傷、クニック等の面状故障が発生した。ま
た、フィルムの粘着化は更に悪化し、搬送ローラに於い
て付着汚れが発生し長時間製造を行う事ができなかっ
た。
【0012】
【発明の効果】本発明の溶液製膜方法により、乾燥風温
度を30℃以上にすることで、フィルムの乾燥が迅速に
進み、フィルムが硬化し搬送が安定化する。また乾燥風
温度を80℃以下にすることでフィルムの急激な昇温が
押さえられ、フィルムの粘着化(ドープ化),搬送の不
安定化が防止できる。以上により、フィルムの軟膜であ
る為の搬送の不安定性,なるみ,ばたつきを防止し、擦
り傷,クニック,シワ等の面状故障を防止し生産速度及
び生産効率を上昇せしめることが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶液製膜方法を実施し得る装置の一実
施例の概略部分側面図
【符号の説明】
1 流延ダイ 2 流延部 3 流延されたフィルム 4 金属支持体からの剥離点 5 金属支持体から剥離後のフィルム 6 金属支持体(ドラム) 7a,7b,7c,・・・ 搬送用パスローラ 8 テンター 9 テンター内の乾燥風吹き出しダクト 10 ローラ搬送ゾーン 11 テンター搬送ゾーン
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 1:00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロースエステルをメチレンクロライ
    ドを主成分する有機溶剤に溶かした溶液を、エクストル
    ージョンダイより磨いた金属支持体上に流延し、該金属
    支持体上で該流延膜を乾燥と冷却によって凝固せしめ、
    該凝固したフィルムを金属支持体上より剥離し、パスロ
    ーラ,次いでテンターによる搬送手段で乾燥しながら搬
    送する溶液製膜方法において、 前記金属支持体から剥離された該フィルム中の有機溶剤
    の含有量が重量比率で68重量%以上の場合、剥離点か
    ら搬送時間が少くとも20秒の間乾燥風温度を30〜8
    0℃とすることを特徴とする溶液製膜方法。
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JP2006297920A (ja) * 2005-03-25 2006-11-02 Fuji Photo Film Co Ltd ポリマーフイルムとその製造方法
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