JP2625490B2 - ピルビン酸塩の精製方法 - Google Patents

ピルビン酸塩の精製方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はピルビン酸塩の精製に関する。詳しくは、例
えば、プロピレングリコール又は乳酸を分子状酸素と接
触させるか、又は、乳酸エステルの気相酸化脱水素によ
り得られるピルビン酸エステルを加水分解、中和反応等
により得られる粗ピルビン酸塩を精製する方法に関す
る。
ピルビン酸は生体内物質代謝経路での重要な中間体で
あり、各種の生理活性物質を合成する有用な合成原料で
ある。またインドールとピルビン酸およびアンモニアを
原料として、これにトリブトフアナーゼを作用させ、酸
素法により、L−トリプトフアンを製造する方法におけ
る重要な原料となる。
〔従来の技術〕
従来ピルビン酸の製造法としては、ジアン化ソーダと
塩化アセチルを反応させてシアン化アセチルを合成し、
これを加水分解する方法または酒石酸を硫酸水素カリウ
ムと反応させることにより製造されていた。しかし両法
とも原料が高価であり、又収率も低くピルビン酸製造法
として有利な方法とは言い難い。
その後ピルビン酸の製造法として、乳酸エステルの気
相酸化脱水素法(特公昭57−24336、特公昭56−19854号
公法)や、プロピレングリコール又は乳酸より液相酸化
する方法(特公昭51−28614、特公昭61−15863、特開昭
54−132519号公報)が提案されている。しかし、生成す
るピルビン酸塩の精製法については従来全く知られてお
らず特開昭55−98132号公報にピルビン酸塩の単離法と
して、イソプロパノールによる方法が提案されているだ
けである。
ピルビン酸塩は熱安定性が悪く、又高濃度になると低
温に於ても二量加物が生成しやすくなる。又、反応中に
於ても例えばプロピレングリコールや乳酸の液相酸化で
合成する場合、ピルビン酸塩の脱炭酸による酢酸塩は、
前述のピルビン酸二量化物、反応原料又は中間体となる
乳酸塩塔種々の不純物が生成する。これらの不純物は前
記特開昭55−98132号公報の方法ではほとんど除去され
ない。
〔発明が解決しようとする課題〕
これらの粗ピルビン酸塩中の不純物を除去し、高純度
ピルビン酸塩を得る簡便な精製法が求められており、本
発明は、プロピレングリコール又は乳酸の液相酸化や、
乳酸エステルの気相酸化脱水素により得られるピルビン
酸エステルを加水分解、中和反応して生成するピルビン
酸塩等の粗ピルビン酸塩を精製して高純度のピルビン酸
塩を得る方法を提供せんとするものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、粗ピルビン酸塩水溶液を、粗ピルビン酸塩
1gに対し活性炭10〜1000ccを充填した充填塔に、空とう
速度SV=0.1〜10hr-1で通液して、該水溶液中のピルビ
ン酸塩二量化物又は乳酸塩を含む不純成分を流出させ、
ついでピルビン酸塩を回収することを特徴とするピルビ
ン酸塩の精製方法を提供するものである。
本発明に於て使用する粗ピルビン酸塩はプロピレング
リコール又は乳酸を原料とし分子状酸素と接触させる方
法や、乳酸エステルを気相酸化脱水素することにより得
られるピルビン酸エステルの加水分解・中和反応等によ
り得られるものである。前記の様な方法により製造され
た粗ピルビン酸塩は、溶媒を減圧下回収し乾固させたも
の又は、水溶液であれは任意の濃度でよい。又粗ピルビ
ン酸塩中に微量の有機溶媒反応原料、例えばメタノー
ル、プロピレングリコール等が存在してもかまわない。
本発明で使用される粗ピルビン酸塩中に夾雑する不純
物としては、ピルビン酸塩二量化物、酢酸、ギ酸、乳酸
等の塩などを挙げる事ができる。
本発明で用いられる活性炭の種類は、石灰系活性炭、
やし殻系活性炭、木炭系活性炭、石油ピツチ系活性炭
等、具体的には、ダイヤホープ008、S80、ダイヤソーブ
G、W(三菱化成工業(株)製)、HC−30S、GL−30、2
GL、4GL(ツルミコール(株)製)、BAC−LP、MP(呉羽
化学工業(株)製)、クラレコールGW、GL、GLC、PK
(クラレケミカル(株)製)、LH2C、W5C、KL(武田薬
品工業(株)製)など適宜使用することができる。
本発明の方法においては、粗ピルビン酸塩を水の存在
下活性炭と接触処理するが、その処理条件について特に
制限されるべきものではないが、活性炭使用量は、ピル
ビン酸塩1gに対して10〜1000cc程度であり、空とう速度
SV=0.1〜10hr-1、温度は50℃以下が適当である。
処理圧力は加圧、常圧、減圧いずれでもよいが反応装
置、操作性を考えると常圧もしくは常圧付近で行なう事
が好ましい。処理方法としては、流通式が好ましく、具
体的には、活性炭を充填したカラムに、水溶液又は乾固
した粗ピルビン酸塩を、常圧もしくは常圧付近、常温に
て、水を助剤とし、流通させる。得られた水溶液中の成
分については液体クロマドグラフイーにより分析するこ
とができる。本法により粗ピルビン酸塩中に夾雑するピ
ルビン酸塩二量化物、乳酸塩などは、目的とするピルビ
ン酸塩よりも先に留出する。したがつて、その後の留出
液を取れば、純品のピルビン酸塩を含む水溶液を得るこ
とができる。また、夾雑する不純物と共に留出した一部
のピルビン酸は、再びカラムに流通させる事により回収
が可能である。
反応助剤は非常に安価な水であり、活性炭の再生も水
で良く、活性炭は繰り返し使用が可能である。
得られたピルビン酸塩水溶液は、そのまま使用する
か、又は濃縮したい場合には、水を減圧留去、逆浸透膜
装置等により行なう事が好ましい。
〔発明の効果〕
本発明は活性炭を用いピルビン酸塩中に夾雑する二量
化物を主体とする不純物を精製除去する新規にして簡便
なピルビン酸塩の精製法を提供するものである。
〔実施例〕
次に本発明を実施例及び比較例によつて具体的に説明
する。
実施例1 プロピレングリコールの液相酸化反応によつて製造し
たピルビン酸ナトリウム水溶液を減圧下水を留去し、粗
ピルビン酸ナトリウムの固体を単離した。粗ピルビン酸
ナトリウムに含まれるピルビン酸ナトリウムは70wt%で
あり、主な不純物としてはピルビン酸ナトリウム二量化
物、乳酸ナトリウム等であつた。
内径35mmガラスカラムに活性炭(呉羽化学(株)製BA
C・LP)を160cc充填し、少量の水で洗浄した。前記粗ピ
ルビン酸ナトリウム2.0g(含有ピルビン酸ナトリウム1.
40g)を水に溶解し、室温下活性炭カラム上部より流通
させた。SV=0.5hr-1で水を約400cc流通させ、得られた
水溶液を高速液体クロマトグラフイーで分析した。その
結果、後半部の留出液として純度92.5%のピルビン酸ナ
トリウム水溶液を回収率93.1%で得ることができた。
実施例2 実施例1において、粗ピルビン酸ナトリウム1.0g(0.
7gのピルビン酸ナトリウム含有)を用いた他は、実施例
1と同様に、精製を行なつた。その結果、純度99.5%の
ピルビン酸ナトリウム水溶液が回収率64.3%で得られ
た。
実施例3 実施例1と同様の反応を反応条件を変えて得られた粗
ピルビン酸ナトリウム2.0g(含有ピルビン酸ナトリウム
1.14g)を使用し、活性炭として三菱化成(株)ダイヤ
ホープ008を用いた他は実施例1と同様に行なつて、純
度98.0%のピルビン酸ナトリウム水溶液を回収率40.4%
で得た。その後さらに水を流通させたところ、純度99.5
%のピルビン酸水溶液をさらに回収することができた。
合計回収率は56.9%であつた。
比較例1 実施例3と同様の粗ピルビン酸ナトリウム0.45g(含
有ピルビン酸0.26g)を日本錬水(株)製イオン交換樹
脂SK1BS200ccを35mmガラスカラムに充填したものの上部
より水をSV=0.6hr-1で流通させた。得られた水溶液を
高速液体クロマトグラフイーで分析した結果、生成物組
成は仕込み原料と全く同じであり、精製されなかつた。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粗ピルビン酸塩水溶液を、粗ピルビン酸塩
    1gに対し活性炭10〜1000ccを充填した充填塔に、空とう
    速度SV=0.1〜10hr-1で通液して、該水溶液中のピルビ
    ン酸塩二量化物又は乳酸塩を含む不純成分を流出させ、
    ついでピルビン酸塩を回収することを特徴とするピルビ
    ン酸塩の精製方法。
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