JP2623281B2 - 高分子正温度特性組成物及び素子 - Google Patents

高分子正温度特性組成物及び素子

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JP2623281B2 JP63027002A JP2700288A JP2623281B2 JP 2623281 B2 JP2623281 B2 JP 2623281B2 JP 63027002 A JP63027002 A JP 63027002A JP 2700288 A JP2700288 A JP 2700288A JP 2623281 B2 JP2623281 B2 JP 2623281B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本願請求項1乃至3の発明は、高分子正温度特性組成
物及び素子に関し、さらに詳しくは、高温領域において
も優れた正温度特性を有し、たとえば過電流保護素子、
温度保護素子、大発熱量発熱体などに好適に利用するこ
とのできる高分子正温度特性組成及び素子に関する。
[従来の技術および課題] 従来、正温度特性を有する高分子系組成物として結晶
性ポリマーとカーボンブラック等の導電性粒子とを含む
組成物が広く知られている。
しかしながら、前記組成物においては、多くの場合、
前記結晶性ポリマーとしてポリエチレンやポリフッ化ビ
ニリデン(PVDF)等が用いられているので、いずれの組
成物も比較的低温(通常50〜180℃)でしか正温度特性
を示すことができなかった。
ところで、このような正温度特性を有する組成物は、
各種機器の過電流保護素子や、温度保護素子、発熱体な
どに広く用いられ、このような用途の拡大に応じて、さ
らに高い温度領域で使用し得るものが要請されている。
したがって、従来の高分子系の正温度特性組成物に
は、このような要請に応えることができないという課題
を有する。
本願発明は前記課題を解決するためになされたもので
ある。
すなわち、本願発明の目的は、前記課題を解決し、従
来の高分子系の正温度特性組成物よりも高い温度領域に
あっても正温度特性を示し、かつ大電流を流すことので
きることなどの優れた特性を有する高分子正温度特性組
成物及び素子を提供することにある。
また、本願発明の他の目的は、前記課題を解決し、従
来の高分子系の正温度特性組成物よりも高い温度領域に
あっても正温度特性を示し、かつ大電流を流すことので
きることなどの優れた特性を有し、さらに耐電圧性の向
上した高分子正温度特性組成物を提供することにある。
[前記課題を解決するための手段] 本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究した結
果、特定のポリマーと特定の導電性粒子とを特定の割合
で配合してなる組成物が、たとえば250〜350℃という高
温領域においても優れた正温度特性を示し、しかも大電
流を流すことができ、それによって発熱量の大きな発熱
体や過電流保護素子、温度保護素子等の素材として好適
に利用することのできる正温度特性組成物であることを
見出し、この知見に基づいて請求項1の発明を完成する
に至り、また、上記特定のポリマーと特定の導電性粒子
とさらに、半導電性粉体とを特定の割合で配合してなる
組成物が、上記の優れた特性を有するとともにさらに耐
電圧性や発熱均一性の向上している、優れた正温度特性
組成物であることを見出し、この知見に基づいて請求項
3の発明を完成するに至った。
すなわち、本願の請求項1及び2に記載の発明は、 次の式 (但し、式中、Zは、 を表す。) で表される繰り返し単位を有するポリシアノアリールエ
ーテルと、粒状もしくは粒状の導電性粒子とを、前記ポ
リシアノアリールエーテルと前記導電性粒子との合計量
を100重量%としたときに、前記ポリシアノアリールエ
ーテルが、20〜90重量%になる割合で配合してなること
を特徴とする高分子正温度特性組成物及び素子であり、 本願の請求項3に記載の発明は、 次の式 (但し、式中、Zは、 を表す。) で表される繰り返し単位を有するポリシアノアリールエ
ーテルと、粒状もしくは粒状の導電性粒子と半導電性粉
体とを、前記ポリシアノアリールエーテルと前記導電性
粒子との合計量を100重量%としたときに前記ポリシア
ノアリールエーテルを20〜90重量%、前記導電性粒子を
80〜10重量%とし、かつ、前記ポリシアノアリールエー
テルと前記導電性粒子との合計量100重量部当たり前記
半導電性粉体が10〜300重量部になる割合で配合してな
ることを特徴とする高分子正温度特性組成物である。
本願請求項1乃至3において、ポリシアノアリールエ
ーテルは、式(I)で表される繰り返し単位を有するポ
リマーであるが、該繰り返し単位をより具体的に示す
と、たとえば、次の式 (但し、式中、Zは前記同様のものを表す。)で表され
る繰り返し単位を挙げることができる。これらの繰り返
し単位の中でも、特に、式(I a)の繰り返し単位が好
ましい。
また、式(I)もしくは式(I a)、(I b)中のZ
が、ナフチレン基 の場合にはこのナフチレン基の具体例として、たとえ
ば、1,5−ナフチレン基、1,6−ナフチレン基、1,7−ナ
フチレン基、2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基等
を挙げることができる。これらの中でも特に2,7−ナフ
チレン基等が好ましい。
本願請求項1乃至3において、ポリシアノアリールエ
ーテルは、前記式(I)で示される繰り返し単位を有す
る単独重合体であってもよく、あるいは、前記式(I)
で示される繰り返し単位と他の繰り返し単位とを有する
共重合体であってもよい。
この共重合体は、前記繰り返し単位中の 基、−Z−のいずれか一方、あるいはその両方とは異な
る繰り返し単位を任意の割合で有するものであってもよ
い。
前記各種のポリシアノアリールエーテルは、1種単独
で使用することもできるし、また、2種以上を混合して
ポリマーブレンドなどとして用いることもできる。
もっとも、前記各種のポリシアノアリールエーテルの
中でも、下式 で表される繰り返し単位からなるポリシアノアリールエ
ーテル単独重合体または下式 で表される繰り返し単位からなるポリシアノアリールエ
ーテル単独重合体等を特に好適に使用することができ
る。
本願請求項1乃至3の発明において、前記ポリシアノ
アリールエーテルは、p−クロロフェノールを溶媒とす
る濃度0.5g/dlの溶液の60℃における還元粘度が、0.1dl
/g、好ましくは0.2〜1.5dl/g程度の範囲内にあるものを
好適に使用することができる。
前記各種のポリシアノアリールエーテルは、たとえ
ば、 次の式 (但し、式中、Xは、各々にフッ素原子、塩素原子、臭
素原子またはヨウ素原子を表し、2個のXは互いに同一
であっても相違していても良い。) で表されるジハロゲノベンゾニトリルと、次の式 HO−Z−OH (III) (但し、式中、Zは、前記と同様の意味を表す。) で表される二価フェノール類とを、アルカリ金属化合物
の存在下、中性の極性溶媒中で加熱することにより、縮
合重合せしめる方法、 、前記式(II)で表されるジハロゲノベンゾニトリル
と前記式(III)で表される二価フェノール類のアルカ
リ金属塩とを、中性の極性溶媒中で加熱することによ
り、縮合重合せしめる方法などによって好適に製造する
ことができる。
なお、式(II)中のハロゲン原子としては、フッ素原
子、塩素原子が好ましく、反応性や経済性などを考慮す
ると、塩素原子が特に好適であり、また反応性を主に考
慮するとフッ素原子が特に好ましい。
式(II)で示される前記ジハロゲノベンゾニトリルの
具体例としては、たとえば、2,6−ジフルオロベンゾニ
トリル、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,5−ジフルオ
ロベンゾニトリル、2,5−ジクロロベンゾニトリル、2,4
−ジフルオロベンゾニトリル、2,4−ジクロロベンゾニ
トリル等を挙げることができる。
これらの中でも、特に2,6−ジフルオロベンゾニトリ
ル、2,6−ジクロロベンゾニトリル等が好ましい。
前記式(III)で示される二価フェノール類として
は、たとえば、ハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−
ジヒドロキシビフェニル、2,7−ジヒドロキシナフタレ
ン、2,6−ジヒドロキシナフタレン等を挙げることがで
きる。これらの中でも、特に、レゾルシン、2,7−ジヒ
ロキシナフタレン等が好ましい。
なお、前記各種のジハロゲノベンゾニトリルおよび二
価フェノール類は、それぞれ一種単独で用いてもよく、
二種以上を混合物などとして併用してもよい。
前記ジハロゲノベンゾニトリルと前記二価フェノール
類の使用割合としては、通常等モルもしくは等モル付近
とするのが好適である。
前記アルカリ金属化合物としては、前記フェノール類
をアルカリ金属塩にすることができるものを使用するこ
とができ、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭
酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、重炭酸ナトリウ
ム、重炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩など
を好適に使用することができ、特にアルカリ金属炭酸
塩、アルカリ金属炭酸水素塩などを好適に使用すること
ができる。
なお、これらのアルカリ金属塩は、一種単独で用いて
もよく、二種以上を混合物などとして併用してもよい。
前記中性の極性溶媒としては、たとえば、N−メチル
ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド、スルホランなどを挙げることができる。
なお、これらの中性の極性溶媒は、一種単独で使用し
ても、二種以上を混合溶媒などとして併用してもよく、
あるいは、他の不活性溶媒、特に反応系から水分を共沸
除去することのできるベンゼン、トルエン、キシレンな
どの芳香族系溶媒と共に混合溶媒として使用することも
できる。
前記アルカリ金属化合物の使用量としては、使用する
二価フェノール1当量(0.5モル)当り、通常1〜1.3当
量程度の範囲とするのが好適である。
前記縮合重合の反応温度としては、通常100〜350℃、
好ましくは150〜300℃とするのが好適であり、反応時間
は、たとえば通常0.5〜10時間、好ましくは2〜5時間
とするのが適当である。
反応圧力としては、任意に設定することができるが、
通常は常圧付近に設定するのが好ましい。
また反応雰囲気としては、通常の場合、窒素、アルゴ
ンなどの不活性ガス気流下、減圧排気下などの不活性雰
囲気とするのが好適である。
本願請求項1乃至3の発明において、前記導電性粒子
としては、粒状もしくは粒状のものを用いることがで
き、たとえば、各種カーボンブラック粒子、グラファイ
ト粒子、金属粉体などの導電性の粒状物もしくは粉状物
などを挙げることができ、中でもカーボンブラック粒
子、グラファイト粒子などの粒状物が好ましく、特にカ
ーボンブラック粒子が好ましい。
前記の導電性粒子は、単独で、またはその二種以上を
併用することができる。
前記導電性粒子の平均粒径としては、その種類により
好適な範囲が異なるので一様に規定することができない
が、カーボンブラック粒子については、通常の場合、10
〜200mμ、好ましくは10〜100mμの平均粒径のものを好
適に用いることができ、他の導電性粒子については、通
常10〜100mμ程度の平均粒径のものを好適に使用するこ
とができる。
なお平均粒径が異なる2種以上のものを併用すること
もできる。
本願請求項3の発明において、半導電性粉体として、
特に制限はないが、比抵抗の値が10-2〜10-8Ωcmである
ものが好ましく、たとえば、SiC、B4C、Si、Ge、SnO、G
aSb、GaP、GaAs、InSb、InSe、GaSe、InTe、GaTe、Li
3N、β−Al2O3、などの粉末状物が挙げられ、中でもSiC
粉末、Bi4C粉末などが好ましい。
なお、これらの粉末状の半導電性物質は、一種単独で
使用することもできるし、二種以上を混合物等として併
用することもできる。
前記半導電性粉体の平均粒径としては特に制限はない
が、通常300μm以下、好ましくは100μm以下のものを
好適に使用することができる。
本願請求項1及び2の発明の高分子正温度特性組成物
及び素子は、前記ポリシアノアリールエーテル[(A)
成分と称する。]と前記導電性粒子[(B)成分と称す
る。]とを、用いる(A)成分と(B)成分との合計量
を100重量%としたときに、該(A)成分が20〜90重量
%[すなわち(B)成分が80〜10重量%]、好ましくは
(A)成分が、50〜70重量%[すなわち、(B)成分
が、50〜30重量%]の割合で配合することによって得る
ことができる。
この(A)成分の割合が、20重量%未満では[すなわ
ち(B)成分の割合が80重量%を超えると]、正温度特
性が充分に発現しなくなることがあり、一方、(A)成
分の割合が、90重量%を超えると[すなわち、(B)成
分の割合が10重量%未満では]、得られる組成物の抵抗
が大きくなって、大きな電流を流すことが困難になり、
たとえば、発熱体として用いたときに実用上十分に発熱
しないことがある。
本願請求項3に記載の高分子特性組成物は、前記ポリ
シアノアリールエーテル(A)と前記導電性粒子(B)
との他にさらに前記半導電性粉体(C)を所定の割合で
配合することによって得ることができる。
この(A)成分と(B)成分との配合割合およびその
好ましい配合割合は、前記請求項1の組成物の場合と同
様である。
前記(C)成分は、用いる(A)成分と(B)成分と
の合計量100重量部当り10〜300重量部、好ましくは15〜
200重量部の範囲内になるように配合する。
この成分(C)の配合割合が、前記(A)成分と前記
(B)成分の合計量100重量部当たり10重量未満である
と、高温領域での正温度特性に優れ、大電流を流すこと
のできる発熱体等として好適に使用することができるも
のの、耐電圧性の向上が十分でなく、一方、300重量部
を超えると混練が困難になるほか、正温度特性が充分に
発現しなくなる。
前記半導電性粉体を上記の範囲の配合割合で添加する
ことにより、より一層、得られる組成物の抵抗安定性お
よび温度安定性を向上させることができる。
なお、本願請求項1乃至3の発明においては、前記各
成分のほかに、所望に応じて、さらにTiO2などの改質剤
やその他の酸化防止剤などの添加剤をそれぞれの発明の
目的に支障のない範囲で適宜に添加することもできる。
本願請求項1乃至3の発明において、前記各種成分の
配合の順序,方式としては特に制限はなく、各成分を同
時に配合してもよく、あるいは段階的に配合してもよ
い。
前記配合は、たとえば、単軸スクリュー押出機、2軸
スクリュー押出機、単軸往復動スクリユー混練機、高温
二軸ローター混練機、高温ラボプラストミルなどを用い
て十分に混練すること等により行うことができる。
この場合の混練温度は、特に制限はないが、通常の場
合、用いるポリシアノアリールエーテルの融点以上の温
度、好ましくは、該融点より30℃以上の高い温度にする
のが好適である。
このようにして得られた請求項1および請求項3に係
る高分子正温度特性組成物は、所望の成形加工を施して
所望の形状,形態の成形体とすることができる。
前記成形は、たとえば加熱プレス機、加熱ロール、加
熱押出機、金型などを用いて射出成形、金型成形、押出
成形、加工成形等の各種の成形法によることができる。
なお、前記配合は、前記成形操作において実現するこ
ともできる。
本願請求項1乃至3の発明において、前記成形時にお
いて、あるいは、成形後において、組成物中のポリシア
ノアリールエーテルが架橋することにより、前記組成物
を硬化させるのが好ましい。
前記組成物を硬化させると、正温度特性が改良される
とともに、たとえば発熱素子として用いたとき該素子の
動作中の発熱体素材の熱変形あるいは熱軟化等による発
熱素子の不良化を防止することができるからである。
前記ポリシアノアリールエーテルの架橋は、300度以
上の温度での加熱操作および/または放射線照射操作を
利用して行うことができる。
以上のようにして得られる本願請求項1乃至3に記載
の高分子正温度特性組成物及素子は、従来の高分子系の
正温度特性組成物に比較して高い温度領域、たとえば25
0〜350℃という高温領域においても良好な正温度特性を
有し、かつ大きな電流を流すことのできる発熱体等の各
種素子またはその素材として優れている。また、請求項
3の発明の組成物は、上記の優れた特性を有するととも
にさらに耐電圧性の向上した高分子正温度特性組成物で
ある。
請求項1および3に記載の高分子正温度特性組成物
は、たとえば、過電流保護素子、温度保護素子、発熱体
等の素材として好適に利用される。
本願請求項1および3の発明の高分子正温度特性組成
物を、請求項2に記載したように、たとえば、正温度発
熱素子などの各種の素子として利用する場合には、この
組成物の所望の形態に成形加工して得られる成形体の表
面における所望の対向する位置に、直接に電極を設けて
使用することができる。
この電極の設ける方法としては、たとえば、金属箔や
金属メッシュなどの金属圧着、導電性ペーストの塗布も
しくは印刷、金属蒸着法、化学メッキ法等の各種の手法
を挙げることができる。
このように電極を設けた高分子正温度特性組成物の成
形体は、通常の場合、さらに所望の外装を施して使用さ
れる。
前記外装は、公知の各種の方法を採用して行うことが
できる。
使用する外装材としては、特に制限はなく、たとえ
ば、ポリイミド樹脂等の耐熱性樹脂フィルム、セラミッ
クス焼結体、金属等が挙げられ、いずれを採用するかは
その素子の目的に応じて適宜に選択される。
[実施例] (実施例1) ポリシアノアリールエーテルの製造例(1) 反応容器に、2,6−ジクロロベンゾニトリル8.60kg、
レゾルシン5.51kgおよび炭酸ナトリウム5.83kg(モル比
=0.1497:0.15:0.16)、ならびにN−メチルピロリドン
(a)とトルエン(b)との混合溶媒58(容積比;
(a):(b)=6:1)を仕込み、200℃に加熱しなが
ら、3時間かけて、撹拌下に反応を行なった。
得られたポリマー溶液にメチルエチルケトンを添加し
ポリマー粉末を析出させ、ろ別した。
次いで、N−メチルピロリドンとメチルエチルケトン
との混合液、アセトン、水で洗浄し、乾燥することによ
り、ポリマー粉末を得た。
このポリマーは下記の繰返し単位を有するものであっ
た。
高分子正温度特性組成物の製造例および評価例 上記で得られたポリマー粉体70重量部、カーボンブラ
ック[三菱化成(株)製ダイアブラックE]30重量部お
よび酸化チタン[日本アエロジル社製、二酸化チタン、
ルチル型とアナターゼ型の混合物、平均粒径20mμ]1
重量部を配合し、二軸押出混練機で355℃にて混練し
た。
この混練組成物を加熱プレス機で360℃にてシート成
形した後、上下面に電解ニッケル箔を重ねて同様にプレ
ス成形し、厚さ約1mmの積層シートを得た。
この積層シートを230℃で30分間かけてアニールした
後、このシートを3cm角に切り取り、これを素子サンプ
ルとした。
この素子サンプルを気流恒温槽中で温度と抵抗の関係
を測定したところ、第1図に示す様な特性となり、320
℃以上で急激な抵抗の増大が認められた。
なお、室温における比抵抗は16.2Ω・cmであった。さ
らに発熱体としての特性をみたところ、(電流)×(電
圧)の値が一定となる定常域において、19.0ワットの発
熱量が認められた。なお、このときの表面温度は310℃
であった。
さらに、1cm角の素子サンプルを作成し、これに電圧
を印加し、電圧を上昇させて破壊に至る電圧(静的耐電
圧)を測定したところ、80Vであった。
(実施例 2) ポリシアノアリールエーテルの製造例(2) 反応容器に、2,6−ジクロロベンゾニトリル8.58kg、
2,7−ジヒドロキシナフタレン8.01kgおよび炭酸カリウ
ム8.29kg(モル比;0.05:0.0495:0.06)、ならびにスル
ホランおよびトルエンの混合溶媒75(容積比2:1)を
仕込み、アルゴンを吹き込みながら160℃にて1.5時間、
200℃にて2時間の反応を行なった。
生成した重合体をメタノール中で析出させ、これを粉
砕した後、水、メタノールで洗浄し、乾燥することによ
りポリマー粉末を得た。
このポリマーは下記の繰返し単位を有するものであっ
た。
高分子正温度特性組成物の製造例 このポリマー粉末を実施例1と同様に配合し、二軸押
出混練機で370℃で混練して、組成物を得た。
この組成物を、380℃にて実施例1と同様に成形する
ことにより、積層シートを得た。これを270℃で2時間
アニールした後、3cm角の素子サンプルとした。
これの温度と抵抗とを測定したところ、330℃以上で
急激な抵抗の増大が認められた。
室温における比抵抗は、10.2Ωcmであった。さらに発
熱体としての特性をみたところ定常域において22ワット
の発熱が認められた。表面温度は319℃であった。
(実施例3) 前記実施例1で得られたポリシアノアリールエーテル
粉体62重量部、前記と同様のカーボンブラック38重量
部、酸化チタン1重量部、炭化ケイ素粉体[不二見研磨
剤工業(株)製、商品名SiC#2000]43重量部を混合
し、この混合物を二軸押出機により、370℃において混
練した。
この混練組成物を370℃において、前記実施例1と同
様にして積層シートを作成した。
この積層シートを230℃において30分間アニールし
て、3cm角の素子サンプルとした。この素子サンプルの
温度と抵抗との関係を測定したところ、320℃以上で急
激な抵抗の増大が認められた。また、このものは、室温
における比抵抗が15.0Ωcmであった。
つぎに、発熱体としての特性を見たところ、(電流X
電圧)の値が一定になる定常域において、20ワットの発
熱量が認められた。このときの表面温度は312℃であ
り、赤外線サーモグラフによる表面温度分布は、実施例
1のサンプルよりも均一な分布を示した。
さらに、1cm角の素子サンプルについて測定した静的
耐電圧の値は、130Vであった。
(比較例1) エチレン−エチルアクリレート共重合体[日本ユニカ
ー(株)製「NUC6570」]74重量部と実施例1と同一の
カーボンブラック26重量部とをラボプラストミルで120
℃にて20分間かけて混練し、組成物を得た。
この組成物を加熱プレス機で170℃にてシートに成形
し、上下面に電解ニッケル箔を重ねてプレス成形し、厚
さ約1mmの積層シートを得た。このシートを3cm角に切り
取り、これを素子サンプルとした。
これを気流恒温槽中で温度と抵抗との関係を測定した
ところ、第1図に示す様な特性が認められ、低温領域で
抵抗の増大がみられた。
室温での比抵抗は19.5Ω・cmであった。
さらに発熱体としての特性をみたところ、(電流)×
(電圧)の値が一定となる定常域において2.6ワットの
発熱量が認められた。
表面温度は84℃であった。
(比較例2) 高密度ポリエチレン[出光石油化学(株)製、540B]
70重量部と実施例1と同一のカーボンブラック30重量部
とをラボプラストミルで170℃にて20分間かけて混練し
た。
この組成物を加熱プレス機で190℃にてシートに成形
し、その上下面に電解ニッケル箔を重ねてプレスして厚
さ約1mmの積層シートを得た。
このシートを3cm角に切り取り、これを素子サンプル
とした。
この素子の温度−抵抗の関係は第1図に示す様になり
低温領域で抵抗の増大がみられた。
室温での比抵抗は15.7Ω・cmであった。
さらに発熱体としての特性は定常域において3.4ワッ
トの発熱量が認められた。表面温度は120℃であった。
[発明の効果] 本願請求項1及び2の発明によると、高分子成分とし
て、特定のポリシアノアリールエーテルを用い、これと
特定の導電性粒子とを特定の割合で配合しているので、
従来の高分子系の正温度特性組成物よりも、高い温度領
域たとえば250〜350℃という高温領域でも、優れた正温
度特性を示し、しかも大きな電流を流すことができると
ころの、発熱素子などの正温度特性素子として好適な特
性を有し、実用上著しく有利な高分子正温度特性組成物
及び素子を提供することができる。
また、本願請求項3の発明によると、上記の如き優れ
た特性を有し、さらに耐電圧性ならびに発熱均一性の向
上した実用上さらに有利な高分子正温度特性組成物を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例1〜3および比較例1,2で得られた素
子の温度−抵抗増大比の関係を示すグラフである。 図中、実線1〜3は、それぞれ実施例1〜3の結果を示
し、実線1′,2′は、比較例1,2の結果を示す。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の式 (但し、式中、Zは、 または を表す。) で表される繰り返し単位を有するポリシアノアリールエ
    ーテルと、粒状もしくは粒状の導電性粒子とを、前記ポ
    リシアノアリールエーテルと前記導電性粒子との合計量
    を100重量%としたときに、前記ポリシアノアリールエ
    ーテルが、20〜90重量%になる割合で配合してなること
    を特徴とする高分子正温度特性組成物。
  2. 【請求項2】次の式 (但し、式中、Zは、 または を表す。) で表される繰り返し単位を有するポリシアノアリールエ
    ーテルと、粒状もしくは粒状の導電性粒子とを、前記ポ
    リシアノアリールエーテルと前記導電性粒子との合計量
    を100重量%としたときに、前記ポリシアノアリールエ
    ーテルが、20〜90重量%になる割合で配合してなること
    を特徴とする高分子正温度特性素子。
  3. 【請求項3】次の式 (但し、式中、Zは、 または を表す。) で表される繰り返し単位を有するポリシアノアリールエ
    ーテルと、粒状もしくは粒状の導電性粒子と半導電性粉
    体とを、前記ポリシアノアリールエーテルと前記導電性
    粒子の合計量を100重量%としたときに、前記ポリシア
    ノアリールエーテルを20〜90重量%、前記導電性粒子を
    80〜10重量%とし、かつ、前記ポリシアノアリールエー
    テルと前記導電性粒子との合計量100重量部当たり前記
    半導電性粉体が10〜300重量部になる割合で配合してな
    ることを特徴とする高分子正温度特性組成物。
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