JP3423833B2 - 半導電性ポリエーテルスルホンフィルムの製造方法とその使用方法 - Google Patents

半導電性ポリエーテルスルホンフィルムの製造方法とその使用方法

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JP3423833B2 JP06731096A JP6731096A JP3423833B2 JP 3423833 B2 JP3423833 B2 JP 3423833B2 JP 06731096 A JP06731096 A JP 06731096A JP 6731096 A JP6731096 A JP 6731096A JP 3423833 B2 JP3423833 B2 JP 3423833B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導電性の芳香族
ポリエーテルスルホンフィルムの製造方法及び該フィル
ムを感光ドラムの帯電部材とか電気抵抗器の抵抗部材等
に使用する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性のポリエステル、ポリアミド、
ポリカーボネートとか、熱硬化性又は、熱可塑性のポリ
イミドにカーボンブラック等の導電剤を混合して成型し
得た半導電性のフィルムについては一般に良く知られ、
また実用化もされている。例えばトナーによる画像形成
が行われる複写機では、感光ドラムの帯電用部材として
使用され、またフィルムとか紙等を取り扱う際に発生す
る静電気の除去用部材として使用されている。更にカー
ボンブラックを混合し半導電性を付与せしめたエポキシ
樹脂等の熱硬化樹脂も知られ、これらは絶縁型炭素皮膜
抵抗器、又は固定体抵抗器の抵抗部材として使用されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで従来から知ら
れ、また使用もされている電子写真装置に用いられる前
記半導電性フィルムに関しては、電気抵抗特性、特に通
電による抵抗値の経時変化とか、環境の変化による抵抗
値変化、更に電圧の変化による抵抗値変化(電圧依存
性)においてすべてを同時に満足できる品質と性能のレ
ベルにはないのが現状である。これらにすべて十分に満
足できない為に、日々違った画質でコピー、又はプリン
トされる。これは、常に高画質のコピー、プリントが安
定して得られねばならぬという現実の要求に対し極めて
大きな問題である。
【0004】また、前記半導電性のエポキシ樹脂等の熱
硬化型樹脂の電気抵抗部材としての使用においては、特
に環境依存(つまり高温、低温または、高湿度、低湿
度)の変化によって 抵抗値が変動しやすいという問題
があって、使用環境とか、使用範囲において自ずから制
約を受けてもいる。
【0005】前記のように、樹脂への電気抵抗性の付与
の手段は、樹脂に導電剤を練り込むことによって行われ
ているものが多い。前記する欠点の発生原因は選択する
樹脂自身にもよるが、この練り込むという内部的に半導
電性を付与するという手段にもよると考えられる。練り
込みによる場合は、樹脂への完全な分散が行われ難く、
その結果半導電性にバラツキが発生しやすい。また導電
剤の樹脂内での移動が行われ易い。
【0006】前記のような原因想定のもとに、本発明者
らは改めて選択する合成樹脂と導電剤との混合様態等に
ついて詳細に検討した結果、意外にも特定の合成樹脂と
それに対する特定の導電化手段との組み合わせにより前
記従来の問題点を一挙に克服することができ、充分に満
足できる品質と性能のレベルにある半導電性部材の製造
方法を発明するに至った。つまりこれは、次の手段によ
って達成できるものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は以下の各項より
達成される。 (1) 5〜30重量%の粉状導電剤と5〜30重量%
の粉状ガラスとを主成分として含有する芳香族ポリエー
テルスルホン樹脂を、溶液流延法によりフィルム状に成
型することを特徴とする半導電性芳香族ポリエーテルス
ルホンフィルムの製造方法。 (2) 粉状導電剤がカーボンブラックである(1)に
記載の半導電性芳香族ポリエーテルスルホンフィルムの
製造方法。 (3) 体積抵抗率が10〜1011Ω・cmである
(1)又は(2)に記載の半導電性芳香族ポリエーテル
スルホンフィルムの製造方法。 (4) (1)〜(3)のいずれか1項に記載の製造方
法にて製造された半導電性ポリエーテルスルホンフィル
ムを、複写機感光体の帯電用部材として使用することを
特徴とする半導電性芳香族ポリエーテルスルホンフィル
ムの使用方法。 (5) (1)〜(3)のいずれか1項に記載の製造方
法にて製造された半導電性芳香族ポリエーテルスルホン
フィルムを、電気抵抗器の抵抗用部材として使用するこ
とを特徴とする半導電性芳香族ポリエーテルスルホンフ
ィルムの使用方法。
【0008】そして前記得られた半導電性のポリエーテ
ルスルホンフィルムは請求項4によって帯電用部材、請
求項5によって抵抗用部材としての使用方法を提供し、
用途の点からも従来技術による課題の解決をはかるもの
である。以下前記各構成をより詳細に説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】請求項1に記載のフィルムから詳
述する。まず基体となる芳香族ポリエーテルスルホン樹
脂(以下PES樹脂と呼ぶ)から説明する。該樹脂は芳
香族環が1つのスルホニル基(−SO2−)と、1つ又
は2つのエーテル基(−O−)とで結合される構造を1
つの構成単位とし、これが反復単位となって高分子化し
た固形ポリマーである。勿論、この固形ポリマーは熱に
よって可塑化し、押出成型等によってフィルムに成型で
きるに足りる高分子量体である。この熱による可塑化温
度(軟化温度)は、重合度(n)により若干の差はある
が、大略200〜270℃程度の範囲にある。具体的該
樹脂の構造単位を例示すれば化1又は化2(1)、
(2)の通りである。
【0010】
【化1】
【0011】
【化2】
【0012】尚、前記化1に示すPES樹脂は、例えば
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4’
−ジクロロジフェニルスルホンとの当モルを、また化2
の(1)と(2)とでは、4,4’−ジクロロフェニル
スルホンと1,4−ジヒドロキシフェニル又は4,4’
−ジヒドロキシジフェニルとの当モルを各々有機極性溶
媒中で混合し加熱下(一般には150〜350℃)で縮
合重合せしめることによって合成される。ここで有機極
性溶媒は出発原料、合成されるPES樹脂両方を溶解せ
しめるもので、これは、例えばN,N’−ジメチルホル
ムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチ
ル−2−ピロリドン等が例示できる。また、前記化1と
化2のPES樹脂は、単独に限らず両者が混合(物理
的、化学的)されていても良い。そして化2の(2)の
PES樹脂においては、エーテル基に結合する2つのフ
ェニル基が直結されているが、これがアルキレン基等を
介して結合されても同様に使用されている。
【0013】そして、粉状導電剤は、PES樹脂に所定
量混合分散せしめて半導電性を付与せしめることのでき
る無機物あるいは有機物である。ここで粉体は一般にい
う粒状粉体(平均粒径約1〜500μm程度)からウィ
スカーのものにみられる細長い(例えば2〜3mm程度
まで)ものまで含まれる意味である。かかる粉末導電剤
としては、一般にはカーボン系と金属系とに大別されカ
ーボン系ではカーボンブラックとカーボンファイバー、
金属系ではアルミニウム、銀、銅、酸化亜鉛、インジュ
ウム錫等の粒状粉体、そして他にチタン酸ウィスカー、
カーボンウィスカー(グラスカー)等が有効なものとし
て例示できる。
【0014】しかし、前記する粉状導電剤の中でもカー
ボンブラックがより好ましく用いられる。これは、電圧
依存性、通電による抵抗値変化、更には環境による抵抗
値変化等に対して、軽減する方向により効率的に作用す
るからである。これは、併用する粉状ガラスとの相乗的
作用もあるが、他にPES樹脂自身との極めて高い相溶
性とそれによる良好な分散性を有していることによるも
のと考えられる。尚、該カーボンブラックといってもそ
の原料ソースの違いによって種々ある。それはアセチレ
ンブラック、チャネルブラック、ファーネスブラック、
サーマルブラック等であり、これらの中でもアセチレン
ブラックまたはファーネスブラックが好ましい。
【0015】また併用する粉状ガラスは、二酸化ケイ素
を主成分とする一般に知られているガラス(種類として
はAガラス、Cガラス、CEガラス、Sガラス等)の粉
状体である。ここでいう粉状体も前記粉状導電剤と同じ
ように粒状粉末から細長い大きなものまで含まれる意味
である。粉状体にする前のガラスの状態は、特に制限さ
れない。従って一旦繊維状にしたガラス繊維を粒状にし
ても良い。細長い粉状体はこのガラス繊維からつくるの
が好ましい。しかし細長い粉状ガラスといってもその長
さは、2〜3mm程度までとするのが良い。これは本発
明における粉状ガラスが、一般の熱硬化樹脂の強化では
なく、前記するように粉状導電剤の効果を、より完全な
ものにするよう作用せしめることを目的に併用されるも
のであるからである。
【0016】次に前記粉状の導電剤とガラスとを所定量
含有するPES樹脂について、その含有の手段について
説明する。この所定量は、基体となるPES樹脂に対し
て粉状導電剤、粉状ガラス共に、5〜30重量%好まし
くは10〜25重量%にする必要がある。ここで粉状導
電剤は、前記する如く本質的には、PES樹脂への半導
電性の付与にあり、そして粉状ガラスは、該導電剤の分
散そのものの助剤的作用もあるが、主たる効果は電圧依
存性とか、通電による抵抗値変化とか、環境による抵抗
値変化等を大きく抑制させる。特に最終的に得られたP
ES樹脂フィルムが高温下、又は昇温を伴うような使い
方(例えば電気抵抗器の抵抗部材)をされた場合に該ガ
ラスの効果が大きい。これはPES樹脂中に分散する粉
状導電剤の微妙な変化(動き)を抑制する作用によるも
のでないかと考えられる。しかし必要以上に多量である
ことは、他の面での問題が発生する。従って、含有量が
特定範囲に限られることになる。
【0017】つまり、まず、粉状導電剤が5重量%未満
の少量では半導電性として必要な体積抵抗値約1011Ω
・cmが得られず、より大きい抵抗値を有することにな
り、電流の流れが極めて悪くなる。その結果徐々に蓄電
され遂には放電しスパークするような状態におかれ使用
不能となる。逆に30重量%を越えると半導電性として
必要な体積抵抗値約106Ω・cmより小さい抵抗値と
なり電流の流れがあまりにも良く帯電性能とか、電気抵
抗性能が低下し実用できないものになる。特に本発明の
物の形態がフィルム形状にあることによっても、前記す
る蓄電による影響が顕著に現れる。十分注意すべき含有
範囲といえる。この体積抵抗値として望ましい範囲は導
電剤含有量に対応して107〜1010Ω・cmである。
【0018】一方、粉状ガラスが5重量%未満では、前
述する特に環境の変化下での使い方の場合での電気抵抗
値の変化がより大きくなるので、好ましくない。逆に3
0重量%を超えると他の面、例えば得られるフィルムが
より硬く、かつ機械的強度が低下するとか、フィルムと
しての成型性も悪く表面の平滑性も悪くなる。硬くなる
ことは使い勝手、加工面でも好ましくないと言える。
【0019】尚、本発明にいう体積抵抗値は、JIS−
K6911に準拠した、円盤電極を用いて測定される抵
抗値であって、厚みや面積で換算した体積抵抗値であ
る。
【0020】そしてPES樹脂への含有は、PES樹脂
を前記する有機溶剤中に溶解したPES樹脂溶液に、前
記所定量の各粉体を同時にまたは、別個に添加して十分
に攪拌混合し均一に分散せしめる。PES樹脂の溶液濃
度はフィルム状への成型手段によるが可能な限り高濃度
であることが望ましいので一般には5〜40重量%(固
形分)が良い。以下この方法を湿式含有法と呼ぶ。尚、
一般に知られ、また使用されているあらゆる添加剤の中
から必要なものを選択して添加混合することを制限する
ものではない。
【0021】
【0022】湿式含有法による含有PES樹脂では、溶
液流延法によるのが良い。該法は例えば平滑な金属体上
に流しながら又は流し出してからフィルム状に流延し含
有溶剤を蒸発除去して目的とするフィルムを得る方法で
ある。具体的には平滑な金属ベルト又は金属ドラム上に
コーターで流延するとか、あるいはTダイを使って直接
金属ベルト等の上に押出して溶媒を蒸発除去するいわゆ
る溶液キャスト法による。更に回転する金属筒の内面に
フィルム状に流延し含有溶媒を加熱蒸発せしめてフィル
ムを得る、いわゆる遠心成形によるものである。これら
の溶液流延法の中でも前者の金属ベルト等の上に流延し
て目的とするフィルムを製造するのがより好ましい。こ
れは、含有PES樹脂中に分散されている導電剤とガラ
スとがその状態を保って均一に分散されたフィルムにな
るのに対して、後者の遠心成形では、該導電剤とガラス
とがフィルム中で傾斜的に偏在し、分散される状態に変
わり易いからである。押出成形によるフィルムよりも湿
式含有法によるフィルム成形が好ましいのは、前者では
必然的に押出機内の加熱混練工程が入るために得られる
フィルムの半導電性がバラツキ易く常に安定した体積抵
抗率を得難いからである。
【0023】前記溶液流延法では、有機極性溶媒の溶剤
除去のための加熱が必要であるが、この加熱蒸発の除去
手段には特段の制約はないが、例えば高温に加熱して一
挙に蒸発させるよりも、徐々に多段的に加熱するのが好
ましく、また蒸発した有機極性溶媒は速やかに系外へ除
去する配慮を行うのが良い。尚、前記流延が溶液キャス
ト法か、コーター法によるかは、湿式含有法により得ら
れる溶液粘度によって決められる。つまり常温で実質的
に流動しないような高粘度では、例えば押出機を使って
Tダイを通して金属ベルト等の上に所定の厚さをもって
一挙に流延する。
【0024】成型するフィルムの厚さについては柔軟性
を有するが支持性を失わない範囲の厚さであることが望
ましくこれは0.03〜0.3mmが例示できる。これ
は支持性を失うような薄いフィルムでは、例えば帯電部
材として使う場合に相手に対しての帯電効率が悪く、ま
た加工しにくい。一方あまり厚いと帯電のためのより大
きい印加電圧を必要とし、また加工もしにくくなる等の
理由による。
【0025】かくして製造された半導電性芳香族ポリエ
ーテルスルホンフィルムは、前記から明らかなようにそ
の優れた電気的性質により種々の用途に利用され、また
今後新分野への用途展開も期待できるが、差詰め請求項
4,5に記載したように複写機の感光体の帯電用部材と
か電気抵抗器の抵抗用部材としての使用が有効である。
【0026】まず、請求項4に記載の帯電用部材として
の使用方法について説明する。複写機による複写は、ま
ず感光体全面をコロナ放電器によって帯電せしめる工程
からはじまるが、本発明の帯電用部材は例えばこのコロ
ナ放電器に取り付けて、電圧を印加された帯電用部材は
進行する感光体(ドラム状、ベルト状等)に対して横設
される。勿論、該部材の一端には電極を設けてリード線
によって該放電器にセットされる。
【0027】前記、帯電用部材として使用する場合の形
状については、特定はされないが、単純でかつ効率的帯
電形状は、半導電性芳香族ポリエーテルスルホンフィル
ム(以下単に半導電性フィルムと呼ぶ)を感光体の横巾
とほぼ同一長さで短冊状にカットしたものである。他に
円筒形状を考えられる。例えば半導電性フィルム自身を
円筒状に加工するか、又はアルミ管に捲着する等して使
用する方法である。
【0028】そして、感光体と前記帯電部材の先端部分
とは、接触するかしないかの極めて僅少な間隔をもって
配置するが好ましい。これは本発明の半導電性フィルム
が極めて優れた帯電性能を有するためでより低い印加電
圧でもって、且つ実質的に放電のない状態で帯電ができ
る。このことは複写機で極めて問題視されているオゾン
の発生まで大きく抑制することができることになる。
【0029】次に、請求項5に記載する抵抗部材として
の使用について説明する。電気抵抗器は印加電流をコン
トロールするために電子および電気通信機器、電気測定
器、電子応用機器等に多用されている。そして固定と可
変の抵抗器に分けられる。本発明では、体積抵抗値約1
6〜1011Ω・cmの範囲の半導電性の抵抗部材で
且つフィルム状のものが得られるので、該抵抗値範囲内
で電流(電圧)をコントロールする固定抵抗器用として
使用するのに良い。
【0030】そして使用態様は、例えば絶縁形炭素皮膜
抵抗器としてつまり半導電性フィルムを帯状にカット
し、これを耐熱性の絶縁性円筒体(磁器、ガラス等の円
筒体)に、一定の隔間をもたせてラセン状に捲着固定す
る。そしてこの両端には、導電性ペースト等によって所
定巾の電極を全周に設け、そこからリード線を引き出
す。ここで捲着回数は、抵抗線の長さともいえる。長さ
によって抵抗値を変えようと思えば、この捲着回数によ
っても行うことができる。また細巾でカットした該フィ
ルムを絶縁フィルムに挟んで、渦巻状に捲着し、全体を
絶縁樹脂で包含被覆する。これは固定式抵抗器のような
態様での使い方である。勿論、両端には電極を設け、こ
れに連結するリード線は該樹脂から外部に出しておく。
【0031】更に半導電性フィルムは単に所定サイズに
カットし両端に電極を設けてそこからリード線を引き出
す。これを各々回路に連結する。その他使い方は種々あ
る。これも本発明の抵抗用部材がフィルム状であること
で加工が容易であることによる。
【0032】尚、前記する本発明の主たる三つの効果の
発現がいかなる作用によるものかは明確でないが、次の
ように推察される。導電剤とガラスのPES樹脂中高度
な分散と分散後に導電剤が移動したりして変化しないこ
とによるが、更に詳細には、PES樹脂自身が非晶性で
かつ極性基(−SO2−,−O−)を有する芳香族ポリ
マーであり、相溶性が極めて良好であることが考えられ
る。また分散されている導電剤が移動しないことについ
ては、特にガラスの併用によって、水蒸気バリヤー性が
向上したり、より耐熱性と機械的強度が改善された結果
と考えられる。つまり、水蒸気バリヤー性は特に環境
(乾湿)に対して左右されないので、これの向上は環境
に影響されないので、従って導電剤への影響はなく、分
散状態は維持される。また耐熱性と機械的強度とは、特
に電圧依存性と通電による抵抗値の経時変化に影響を及
ぼす。つまり本発明の半導電性フィルムは一種の抵抗体
でもあるので、電圧を印加すれば、ある程度の発熱はさ
けられない。内部発熱は分散する導電剤の微妙な動きを
促進しやすい。ここでより高い耐熱性と機械的強度が付
与されることによって該導電剤の動きは封じられること
になる。
【0033】
【実施例】さらに、本発明を比較例と共に実施例により
詳述する。
【0034】(実施例1)前記化1で示されるポリエー
テルスルホンの樹脂粉末730gを1703.3gのジ
メチルアセトアミドに加熱溶解して得た溶液に、更に導
電剤としてカーボンブラック粉体(三菱カーボン製、品
種MA−100)120g(該樹脂に対して12重量
%)とガラス繊維を粉砕して得た粉状ガラス(直径10
μm、長さ20μm)150g(該樹脂に対して15重
量%)とを添加し、ミキサーを使って、十分に混合分散
せしめて、含有該樹脂溶液を得た。この配合量は、固形
分(該樹脂、導電剤、ガラス繊維)が全体の30重量%
になるようにきめたものである。
【0035】一方、巾150mm、長さ500mmの平
滑なステンレス板と所定クリアランスをもって正確にコ
ーティングできるコーターを準備した。そしてまず、前
記含有樹脂溶液を該ステンレス板上に流し、その上にて
コーターを定速度で移動して、所定厚さで流延した。こ
の時の流延の厚さは約400μmとした。そして水平を
保って、ステンレス板全体を熱風乾燥機に投入した。こ
の時の温度は、最初は40℃で100℃まで1時間で加
熱し、引き続き270℃まで3時間で昇温し、その後2
70℃で一時間保持した。冷却してステンレス板を取り
出し、成型されたフィルムを剥離した。得られたフィル
ムの厚さは50μmで、体積抵抗値は(1〜5)×10
8Ω・cmでほぼ一定であった。
【0036】次に、前記得られた、半導電性フィルムを
10×20mmにカットして電極間距離(d)を2.1
mmに設定して、2本の電極を銀ペーストのスクリーン
印刷によって該電極の一端にリード線を引き出した。こ
れを測定サンプルとして図1に示す測定用電気回路につ
ないで電圧依存性と通電による抵抗値の経時変化、及び
環境による抵抗値変化をチェックした。
【0037】まず、電圧依存性については次の実験を行
い体積抵抗値に変動はないことを確認した。高電圧電源
3によって100Vの直流電圧と前記半導電性フィルム
1に設けられた電極2に印加した。その時の電流計(直
流)4は0.5μAを示した。この印加電圧と電流値か
ら求めた体積抵抗値は2×108Ω・cmであった。次
に1kVの直流電圧を同様に印加したところ、電流計4
は5.0μAを示した。両値から同等に体積抵抗値を求
めると2×108Ω・cmであった。つまり印加電圧を
変えても体積抵抗値には変化のないことがわかる。
【0038】次に、通電による抵抗値の経時変化をチェ
ックした。これには高電圧電源3から400V(電流2
μA)の電圧を電極2に接続して36時間印加した。そ
の結果電流計の2μAは終始全く変化なかった。つまり
かかる高電流(実際では1μA程度の低電流で使用)を
長時間流しても抵抗値に変動はないことがわかる。
【0039】最後に環境による抵抗値変化をチェックし
た。これには図1の電気回路を密封容器に入れ、該容器
を10℃に調整して、且つRH(相対湿度)5%の雰囲
気に調整した。そして高電圧電源3から1kVの電圧を
電極2に1時間印加した。その時の電流計4の電流値は
0.5μAで一定であった。次に、該容器中の温度を4
0℃に昇温するとともに、RHを80%にして同様条件
で電圧を印加したところ、その間の電流計4の電流値は
0.5μAで一定であった。つまり、環境が変わっても
半導電性フィルムが持つ体積抵抗値に変化ないことが理
解できる。
【0040】(比較例1)実施例1におけるカーボンブ
ラック粉体と粉状ガラスとの混合分散割合を表1に示す
如く変える以外すべて同一条件にてフィルム状に溶液流
延製膜して各々の組成のフィルムを成型し同様に電気特
性についてチェックした。結果は表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】(比較例2)ポリカーボネート粉末にカー
ボンブラック粉体MAー100を12重量%を添加しミ
キサーで十分混合した後、更に2軸押出機(バレル温度
250〜280℃)にて混練してペレットを得た。次に
得られたペレットを使って、巾100mm、スリット巾
1mmのダイス(ダイス温度250℃)から1軸押出機
(バレル温度250〜270℃)によって押出成型し
た。得られたフィルムの厚さは50μmであり、体積抵
抗値は1014Ω・cmであったので抵抗値が高すぎて帯
電用部材として使用できなかった。また、カーボンをア
セチレンブラックに変更し17%添加して同様にフィル
ムを成型すると、体積抵抗値は1×108〜1×109Ω
・cmでありバラツキが大きいことがわかる。バラツキ
が大きいので抵抗器としては実使用できなかった。
【0043】(比較例3)宇部興産株式会社製の芳香族
ポリイミド前駆体の20重量%Nメチルピロリドン溶液
(ポリイミドUワニスSタイプ)に、実施例1と同様に
カーボンブラック粉体MA−100を12重量%(該前
記前駆体20重量部に対して)添加しミキサーにて十分
混合し、分散せしめた。この分散混合溶液を、実施例1
と同様にステンレス板に流延した後、水平を保ちつつ熱
風乾燥機の中に入れて、実施例1と同様に、40℃から
100℃まで1時間で昇温し、その後270℃まで3時
間で昇温、さらにNメチルピロリドンの完全な蒸発と該
前駆体のイミド化をさせるために360℃まで1時間で
昇温し、360℃で1時間保持した。そして最終的に該
カーボンブラックを含有する厚さ50μmの半導電性の
ポリイミドを得た。得られた該フィルムの体積抵抗値は
(1〜5)×108Ω・cmと実施例1とほぼ同一の抵
抗値であった。
【0044】次に、前記フィルムを実施例1と同様に1
0×20mmにカットし、電極を設けて図1の電気回路
に組み込み400Vの電圧(電流にして2μA)を印加
し、通電による体積抵抗値の変化をチェックした。その
結果、1時間経過すると電流値は0.4μAに低下し
た。これは体積抵抗値で1×109Ω・cmに相当し、
1桁変化があり、これでは、抵抗用または、帯電用の部
材として長時間安定して使用できない。
【0045】(実施例2)実施例1で得られた半導電性
フィルムを5×250mmにカットし、その端面に銀導
電ペーストを使ってスクリーン印刷により、巾1.5m
m、長さ250mmの帯状の電極を設け、そこから1本
のリード線を引き出しておいた。これを帯電用部材とし
て、櫛歯状帯電器に組み込んだ。この時電極部分は、外
に出すようにセットされている。そして該櫛歯状帯電器
は、複写機内に配設するが、この配設に際して該櫛歯状
帯電器から外に向かって出ている該フィルムの先端(非
電極部分)は、該複写機の感光ドラム(巾250mm)
と約0.2mmの隔間をもって近づけて横設するように
調節した。
【0046】そして、前記帯電用部材を使った複写機に
0.1μAの電流が流れるように直流電圧を印加して、
ベタ画像のコピーを行い、画像ムラをチェックした。ベ
タのムラは極めて良好であることが確認できた。次にこ
の直流電圧を昼夜連続して印加し、7日後に同じコピー
を行い同様にベタのムラをチェックした。最初と同じ
で、画像ムラの無いことを確認した。つまりこのこと
は、通電を連続して続けても体積抵抗値に変化のないこ
とを証するものである。
【0047】(比較例4)未硬化のエポキシ樹脂前駆体
に実施例1で用いた、カーボンブラック(MAー10
0)粉体を、該前駆体に対して、12重量%添加し、次
にポリアミン系硬化剤と共に、分散せしめた後、金属板
流延し、これを実施例1で用いた熱風加熱機に入れ、4
0℃から100℃まで1時間で昇温し、熱硬化温度を考
慮して、その後150℃まで1時間で昇温、さらに15
0℃で1時間保持した。その後冷却して、厚さ52μm
のフィルムを得た。このものの体積抵抗値を測定したと
ころ、(1〜5)×108Ω・cmでありほぼ一定であ
った。
【0048】次に、前記得られた、半導電エポキシ樹脂
フィルムを、実施例1と同様に10×20mmにカット
し電極リード線を設け、これを図1の回路に組み込み、
全体を密閉容器に収納した。そして、まず該容器を10
℃、RH5%に調整して、高電圧電源から400Vの電
圧を、電極2に1時間印加した。この間の電流計4の電
流値は0.4μAで一定であった。電流と電圧から算出
される抵抗値は、1×109Ω・cmであった。次に、
該容器中の温度を40℃に昇温すると共に、RHを80
%に調整し、同様条件にて、電圧を印加したところ、体
積抵抗値は1×1010Ω・cmに変化した。つまり従来
から使用されているレジン系抵抗部材も本発明の半導電
性フィルムに比較して抵抗値変化の大きいことがわか
る。
【0049】
【発明の効果】本発明は前述の如く構成されているの
で、次のように効果を奏する。
【0050】本発明の方法によって得られる半導電性ポ
リエーテルスルホンフィルムは、種々の電気的特性に優
れているが、その一つには長時間の通電を行っても電気
抵抗値に変化がみられず安定した性能を発現する。
【0051】また印加電圧を変えても、電気抵抗値に変
化がみられない。つまり電圧依存性に優れている。
【0052】更に、使用環境、つまり温度とか湿度が変
わっても、電気抵抗値に変化がみられず、その他機械的
強度、加工性にも優れている。
【0053】以上のような効果を有することで、電気抵
抗部材として、種々の機器に使用されているが、とりわ
け複写機の感光体の帯電部材とか、各種電気抵抗器の抵
抗部材としての使用が有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】測定用電気回路である。
【符号の説明】
1.半導電性フィルム 2.リード線をもつ電極 3.高電圧電源 4.電流計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−57815(JP,A) 特開 平4−18703(JP,A) 特開 平8−286470(JP,A) 特開 平6−145519(JP,A) 特開 平8−337678(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 1/24 H01B 13/00 C08L 71/10 G03G 15/02 101

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 5〜30重量%の粉状導電剤と5〜30
    重量%の粉状ガラスとを主成分として含有する芳香族ポ
    リエーテルスルホン樹脂を、溶液流延法によりフィルム
    状に成型することを特徴とする半導電性芳香族ポリエー
    テルスルホンフィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 粉状導電剤がカーボンブラックである請
    求項1に記載の半導電性芳香族ポリエーテルスルホンフ
    ィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 体積抵抗率が10〜1011Ω・cm
    である請求項1又は2に記載の半導電性芳香族ポリエー
    テルスルホンフィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製
    造方法にて製造された半導電性ポリエーテルスルホンフ
    ィルムを、複写機感光体の帯電用部材として使用するこ
    とを特徴とする半導電性芳香族ポリエーテルスルホンフ
    ィルムの使用方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製
    造方法にて製造された半導電性芳香族ポリエーテルスル
    ホンフィルムを、電気抵抗器の抵抗用部材として使用す
    ることを特徴とする半導電性芳香族ポリエーテルスルホ
    ンフィルムの使用方法。
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