JP2621145B2 - 粗面化フイルム - Google Patents

粗面化フイルム

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JP2621145B2 JP61215849A JP21584986A JP2621145B2 JP 2621145 B2 JP2621145 B2 JP 2621145B2 JP 61215849 A JP61215849 A JP 61215849A JP 21584986 A JP21584986 A JP 21584986A JP 2621145 B2 JP2621145 B2 JP 2621145B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は易滑性、油含浸性および電気絶縁性に優れた
粗面化フィルムに関し、更に詳しくはコンデンサー用ベ
ースフィルム、油浸ケーブル用ベースフィルムの改良に
関するものである。
〔従来の技術〕
従来、粗面化フィルムとしては、二酸化硅素、炭酸カ
ルシウムなどの無機粒子を添加して表面を粗面化したフ
ィルムや、無機粒子を添加した層を複合したフィルムが
知られていた。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかし、このようなフィルムは易滑性、油含浸性は付
与されるものの、無機粒子によるボイドなどから絶縁欠
陥などが生じる欠点を有していた。本発明は上記欠点の
ないもの、すなわち易滑性、油含浸性、電気絶縁性に優
れた粗面化フィルムを提供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明の粗面化フィルムは、プラスチックフィルムの
少なくとも片面に、水溶性樹脂(A)と膨潤性無機層状
ケイ酸塩(B)との固形分重量比率(B/A)が1/1000〜2
/1である混合物よりなる層を設けた積層フィルムにおい
て、該層中の膨潤性無機層状ケイ酸塩がカードハウス構
造を有することによって該層表面が粗面化され、その中
心線平均表面粗さ(Ra)が0.1〜2.0μとすることに特徴
を有する。
本発明の基材プラスチックフィルムとしては、単体、
複合体あるいは延伸・未延伸・発泡体を問わず、適宜の
プラスチックのフィルムを用いうる。
代表的なものとして、ポリオレフィンフィルム、ポリ
スチレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボ
ネートフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、セ
ロハンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアミドイミ
ドフィルム、アラミドフィルム、ポリイミドフィルム、
ポリフェニレンスルフィドフィルム、ポリエーテルイミ
ドフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスル
ホンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリ酢
酸ビニルフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィル
ム、ポリエーテルケトンフィルムなどの公知のプラスチ
ックフィルムを挙げることができる。その中でも熱寸法
変化が小さく、剛性が高いという点から、ポリエステル
フィルム(特に延伸したフィルム)、ポリプロピレンフ
ィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルム、ポリイミ
ドフィルム、アラミドフィルムが好適である。プラスチ
ックフィルムの厚みは特に限定されないが通常は0.5μ
m以上6mm以下であり、好ましくは1μm以上1mm以下、
コーティング性の面から2μm以上500μm以下のもの
が特に好ましい。
複合フィルムを使用する場合、その層数あるいは方法
は特に限定されないが、複合押出法あるいは、基材フィ
ルム上への押出ラミネート法、あるいは種々の接着剤を
用いたラミネート法などにより、複合されるのが通常で
ある。
本発明ではコーティング成分として膨潤性無機層状ケ
イ酸塩を用いることを本質とする。ここで膨潤性とは層
間に水を配位していわゆる「膨潤」する性質を有する無
機層状ケイ酸塩をいい、本発明のコーティングフィルム
のコーティング層中ではこの膨潤性を利用して少なくと
も部分的に層間分離して形成されたカードハウス構造の
形でこれが存在することを本質とする。
本発明で用いられる膨潤性無機層状ケイ酸塩は構造的
にはSiO4、四面体のSi対Oの比が理論上2:5のフィロケ
イ酸塩で結晶単位格子が厚み方向に繰り返された結晶構
造を有するものであり、その代表例を化学式で示すと次
のように表わすことができる。
0.3〜1.11.8〜3.2(Si3.5〜4.5O10)Z1.8〜2.2 ここで、 W:層間イオンであり、1種以上のカチオン性イオン。
X:八面体位置のイオンであり、Mg2+又はMg2+の一部をLi
+、Fe2+、Ni2+、Mn2+、Al3+及びFe3+からなる群から選
ばれる少なくとも1種のイオンで置換したイオン。
O:酸素。
Z:F-又はOH-の中から選ばれた一種又は二種のイオン。
尚、本発明では上記の四面体位置のSi4+がGe4+又はこ
れらの一部がAl3+、Fe3+、B3+等で起きかわったもので
もよく、本発明にいう膨潤性無機層状ケイ酸塩はこれら
も包含する。
これらの具体例としては、モンモリロナイト、バーミ
キュライト等の天然物や前記一般式を有する溶融あるい
は水熱で合成されるテトラシリシックマイカ、テニオラ
イト、ヘクトライト等の合成物の如き粘度系、雲母系鉱
物がある。
これらのうちでも不純物が少ないこと、組成が均一で
あるため均一な結晶となることから、特に合成物が好ま
しく、またその中でも結晶の平面性に優れると共に、結
晶サイズが大きいという点から、 Wx−0.1〜x+0.1Mg2.8−x〜3.2−xLix(Si
3.5〜4.0O10)F1.8〜2.0 又は Wx−0.1〜x+0.1Mg2.8−x〜3.2−xLix(Si
3.5〜4.0O10)(OH)1.8〜2.0 (ただしx=0.8〜1.2)なるものが好ましい。また層間
イオンWとしては、1種以上のカチオン性イオンであれ
ばよく特に限定されないが、カチオン性イオンの例とし
て、 (ただしR1は炭素数3以上50以下のアルキル基、R2〜R4
は水素又は炭素数1〜10のアルキル基)、K+、あるいは
Mg++、Ca++、Ba++等のアルカリ土類金属、Al+++を挙げ
ることができる。その中でも水に対する分散性が特に良
好であり、同時にカードハウス形成性が優れているため
に、 が全層間イオンの40%以上、好ましくは60%以上、更に
好ましくは80%以上占めている場合が好適である。
さらにR1が炭素数7以上の場合、電気絶縁性の点で特
に好ましい。
膨潤性無機層状ケイ酸塩のサイズは特に限定されない
が、沈降法により測定された平均粒径が0.05μm〜15μ
m、好ましくは0.1μm〜8μm、更に好ましくは0.15
μm〜3μmの範囲にある場合、均一な層を得ることが
できるため好ましい。また全粒子の50%、好ましくは80
%、更に好ましくは90%の厚みが800Å以下、好ましく
は400Å以下、更に好ましくは100Å以下である場合、コ
ーティング層表面が均一微細に粗面化されるためより好
ましい。ここに厚みとはコーティングフィルムのコーテ
ィング層断面内に存在する無機粒子の厚みをいう。
次に本発明でいう膨潤性無機層状ケイ酸塩のカードハ
ウス構造について以下に説明する。
層間で剥離し水をとり込んでゾル状となる膨潤性無機
層状ケイ酸塩の剥離した板状表面はその配位構造から四
面体シートの底辺酸素の露出により負の層電荷あるいは
点電荷を有している。一方、端部面は八面体に配位した
Mg++やLi+あるいは四面体位置のAl++などの露出により
正電荷を帯びている。カードハウス構造とは負に帯電し
た板状面と正に帯電した端部面とが静電気的引力によっ
て図1の如く角度θをもって吸着した状態をいい、かつ
板状面と端部面との接点における角度θが30゜≦θ≦15
0゜の場合をいう。好ましくは45゜≦θ≦135゜、更に好
ましくは60゜≦θ≦120゜の時が良好な粗面と呈するカ
ードハウス構造である。本発明の目的を満足するには全
膨潤性無機層状ケイ酸塩の30%以上がカードハウス構造
を形成しているのが好ましい。より好ましくは50%以上
である。形成したカードハウスは塗膜面を均一微細に粗
面化する効果を有する。
膨潤性無機層状ケイ酸塩のカードハウス形成の理由に
ついては必ずしも明確ではないが、層間に入り層状ケイ
酸塩の分散を助長している水の電気二重層を薄くし、板
状面と端部面との静電気的引力が作用するまで接近させ
ることにより発現すると考えられる。その方法としては
等電点において最も電気二重層が薄くなる膨潤性無機層
状ケイ酸塩を分散させた塗液のPHを等電点近くに調整す
る方法や比誘電率の小さい水溶性の有機溶媒を作用させ
る方法が有効である。前述の等電点による方法は等電点
が層状ケイ酸塩の構造や層間イオンによって変化するの
で調合が困難なことや腐蝕性のガスを発生するなどの点
から後述の有機溶媒による方法が好ましい。水との混合
溶媒として使用する有機溶媒は水と相溶し比誘電率の小
さいものを用い、かつ特に34≦Σε・M≦75なる条件を
満たす混合溶媒とする必要があり、この条件下におい
て、塗液中の膨潤性無機層状ケイ酸塩の分散性がよく、
カードハウス形成によって、積層膜表面を粗面化するこ
とができるのである。ただし塗液中の各溶媒の25℃にお
ける比誘電率をε、重量分率をMとした。
なお膨潤性無機層状ケイ酸塩を凝集することなく分散
させ、更に塗膜中でカードハウスを作成するためには上
記条件が満たされる範囲で水を使用するのが好ましい。
水との混合溶媒として使用される溶媒は膨潤性無機層
状ケイ酸塩が凝集せずカードハウス構造をとるものであ
れば任意に選ぶことができるが水との相溶性、層状ケイ
酸塩の塗料中での分散性の点で炭素数1〜30のアルコー
ル類が好ましく使用できる。
例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、
2−プロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、
1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プ
ロパノール、インペンチルアルコール、シクロヘキサノ
ール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2
−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、ベン
ジルアルコール、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール、グリセリンなどである。
溶媒の揮散、層状ケイ酸塩の分散性の点でメタノー
ル、エタノール、1および2−プロパノール、1および
2−ブタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキ
シエタノールの使用が好ましい。またこれらの2種以上
の溶媒を水との混合溶媒として用いてもよい。
本発明でいう水溶性樹脂とはコーティング液形成時水
溶性を示し最終製品たるコーティングフィルムのコーテ
ィング層中で重合体(架橋重合体又は非架橋重合体)で
あるものであれば本質的にはいづれでもよい。
構造的には以下に示すような親水性の強い極性基を1
種以上持った有機高分子又は高分子形成性物質が好まし
い。
陰イオン性:−COO−、−SO3−、−OSO3−、 陽イオン性:−NH2、NH、 非イオン性:−OH、−O−、−CN、−CONH2 代表的水溶性樹脂としては、シランカップリング剤、
チタンカップリング剤、水溶性アクリル、水溶性ポリエ
ステル、水溶性ポリアミド、水溶性エポキシ、水溶性ア
ミノ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミ
ド、ポリエチレンオキサイド、酢酸ビニル共重合体、ポ
リビニルピロリドン等の樹脂あるいはそれらの混合物を
挙げることができる。
本発明に使用する水溶性樹脂は、脱水乾燥後の軟化温
度が50℃以上、好ましくは80℃以上、更に好ましくは12
0℃以上のものが50重量%以上、好ましくは80重量%以
上、更に好ましくは90重量%以上占めている場合が好適
である。硬化型樹脂を好ましく使用しうることも言うま
でもない。これらの樹脂は使用する基材フィルムに応じ
て選択することが好ましい。
例えばポリエステルを基材とする場合、シランカップ
リング剤、チタンカップリング剤、水溶性アクリル、水
溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリエステルが接着性の面か
ら好適である。またポリオレフィンを基材とする場合
は、チタンカップリング剤、シランカップリング剤、水
溶性アクリル、水溶性エポキシ樹脂が、接着性の面から
好適である。
またポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテ
ルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ある
いはポリイミドを基材とする場合はシランカップリング
剤、チタンカップリング剤が好適である。
シランカップリング剤の代表例として、アミノ系シラ
ンカップリング剤、ビニル系あるいはメタクリロキシ系
シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング
剤、メチル系シランカップリング剤、クロロ系シランカ
ップリング剤、アニリノ系シランカップリング剤、メル
カプト系シランカップリング剤などを挙げることができ
る。シランカップリング剤は、基材の種類に応じて適宜
選択すればよいが、例えばポリエチレンテレフタレー
ト、ポリカーボネートなどのポリエステル系の基材に塗
布する場合は、 なる構造のエポキシ系シランカップリング剤が、あるい
なる構造のクロル系シランカップリング剤が塗布時の増
粘の点から、あるいは基材に対する接着性の点から特に
好適である。
尚上記において、m=0または1、n=1〜10の整
数、R′=炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、シ
クロヘキシル基から選ばれた炭化水素残基、R″=水素
乃至炭素数1〜10のアルキル基から選ばれた炭化水素残
基を示す。
また、基材としてイミド系基材、あるいはポリフェニ
レンスルフィド等を使用する場合は、上に示したと同様
の構造をもつエポキシ系シランカップリング剤が好適で
ある。
水溶性ポリエステルの代表例としては芳香族ジカルボ
ン酸および/または非芳香族ジシカルボン酸およびエス
テル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物とグリコー
ルの重縮合物が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸にはテレフタル酸、イソフタル
酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、1,4−ナフ
タレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、
ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エ
タン−p,p′ジカルボン酸およびそれらのエステル形成
性誘導体などがあり、また非芳香族ジカルボン酸には蓚
酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、
セバシン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−
シクロヘキサンジカルボン酸およびそれらのエステル形
成性誘導体などである。
エステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物とし
ては、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、
4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジ
カルボン酸、スルホ−p−キシリレンジグルコール、2
−スルホ−1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン
などのアルカリ金属塩(スルホン酸のアルカリ金属塩)
およびこれらのエステル形成性誘導体が挙げられ、5−
スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸のナトリウム
およびこれらのエステル形成性誘導体がより好ましい。
これらのエステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合
物の添加量は全カルボン酸成分に対し7〜40モル%であ
り、好ましくは10〜20モル%である。
グリコールとしては脂肪族または脂環族グリコール、
例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、
1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ルなどが使用できるがこのグリコール成分にジエチレン
グリコールあるいはトリエチレングリコールを全グリコ
ール成分に対して1〜60モル%、好ましくは2〜18モル
%加えたものがより好ましく使用できる。
水溶性エポキシ樹脂の代表例として、グリシジルエー
テル系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジ
ルアミン系エポキシ樹脂あるいは脂肪族系エポキシ樹脂
を挙げることができる。
本発明において膨潤性無機層状ケイ酸塩(B)と水溶
性樹脂(A)との重量比率(B/A)は1/1000〜2/1、好ま
しくは1/500〜1/5とする必要がある。これは1/1000に満
たない場合には十分に粗面化されないし2/1を越える場
合には層状ケイ酸塩相互の結合が不足となり劈開しやす
く実用上耐久性が劣るため好ましくない。
本発明における電気絶縁性とは、20℃×65%RHにおけ
る表面比抵抗が1013Ω以上、好ましくは1014Ω以上、更
に好ましくは1015Ω以上であることをいう。耐コロナ性
が要求される用途においては、重量比(B/A)を1/5〜1/
30、更に好ましくは1/6〜1/10とするのが特に好適であ
る。
本発明における粗面の程度は表面が均一に粗面化され
ており、本発明の目的を達成できる範囲であれば特に限
定するものではないが、例えば中心線平均表面粗さ(R
a)が0.1〜2.0μ、最大表面粗さ(Rt)が0.5〜10μ、よ
り好ましくはRaが0.2〜1.0μ、Rtが1.0〜5.0μである
時、易滑性、油含浸性の良好な粗面を得ることができ
る。
本発明の粗面化フィルムにおけるコーティング層は上
記成分由来の無機粒子とバインダー樹脂の特性を損わな
い範囲で適宜他の成分を共存させうるが通常上記成分が
60重量%以上、好ましくは80重量%以上、更に好ましく
は90重量%以上となるように用いられる。
本発明のコーティングによる粗面化層は該プラスチッ
クフィルムの片面あるいは両面に全面あるいはストライ
プ状、あるいは部分的にコートされているものとする。
本発明におけるコーティング層の厚みは0.01〜15μが
好ましい。より好ましくは0.05〜5μの範囲である。こ
れは0.01μより薄い場合には十分に均一な粗面が得にく
く、一方15μより厚い場合にはコーティング層の可撓性
が乏しくなり、クラックが入りやすくなるため好ましく
ない。
次に本発明の製造方法の代表例について説明するが当
然これに限定されるものではない。
膨潤性無機層状ケイ酸塩(B)を水およびコーティン
グ層内においてカードハウス構造を構成するに必要な有
機溶媒との混合溶媒に分散させて非凝集状態の微細粒子
分散系をつくりこれに水溶性樹脂(A)を所定重量比で
混合し、これを基材プラスチックフィルムの表面に塗布
する。塗液中において膨潤性無機層状ケイ酸塩はその膨
潤性を利用して微細粒子化し凝集し、沈降することなく
分散している。基材フィルムは必要に応じ空気中その他
種々の雰囲気中でコロナ放電処理を施しておいてもよ
い。またウレタン樹脂、エポキシ樹脂など公知のアンカ
ー処理剤を用いてアンカー処理を施しておいてもよいが
通常は特に必要ではない。かかる基材フィルムの一また
は両面上に上記コーティング液をグラビアコート、リバ
ースコート、スプレーコートなど公知の方法を用いて塗
布する。コーティング後は通常60〜250℃で1秒〜15分
程度乾燥させる。尚コーティング層を別途製膜してお
き、あとからラミネートしても良いが、層状ケイ酸塩を
主体とする層はやや強度が不足するため直接基材フィル
ム上にコーティングする方法が好ましい。
本発明の粗面化フィルムの用途として特に限定されな
いが、粗面化による効果として易滑性、油含浸性が良好
でかつ電気絶縁性の良好な層状ケイ酸塩を含むことから
コンデンサー用ベースフィルム、油浸ケーブル用フィル
ムなどの電気絶縁用フィルムとして用いるのが好適であ
る。
〔作用〕
本発明は、このように特定の膨潤性無機層状ケイ酸塩
を使い、水溶性樹脂と凝集とすることなく均一に混合す
ることができ、乾燥後の塗膜中においても二次凝集せず
均一なカードハウス構造が形成されることにより均一な
粗面が付与できたものである。
〔発明の効果〕
(1) 薄い塗膜で均一微細な粗面を得られるため、極
薄フィルムの厚みをほとんど増加させることなく易滑
性、油含浸性の優れたフィルムを得る。
(2) 二次凝集などによる粗大突起がないため、巻姿
が良く製品がコンパクトになる。
(3) 特定の無機層状ケイ酸塩を粗面化剤として用い
ているため電気絶縁性が良い。
〔特性の測定方法、評価基準〕
なお本発明における特性の測定方法、および評価基準
は次の通りである。
(1)塗布厚み 塗布乾燥後の粗面化フィルムの断面の顕微鏡観察によ
り塗膜の厚みを測定した。粗面化表面は山部と谷部の平
均をとった。
(2)表面粗さ 触針式粗さ計SE3E(小坂研究所(株)製)を用いJIS
B0601−1976に準じて0.25mmカットオフで中心線平均
表面粗さ(Ra)と最大表面粗さ(Rt)を求めた。油含浸
性はRaが大きい程良好である。
(3)静摩擦係数(μs)、動摩擦係数(μd) ASTM−D−1894B−63に準じてμs、μdを求めた。
測定は塗布面/非塗布面で行なった。
(4)塗膜密着力 市販のセロハン粘着テープ(ニチバン(株)製)によ
り90゜剥離し剥離後粘着テープへのコート層付着面積が
40%未満を「○」、40%以上を「×」として基材との密
着性を評価した。
(5)カードハウス構造の形成率 保護層を厚み方向に超薄切片とし透過型電子顕微鏡
(日本電子(株)製JEM−1200EX)にて加速電圧100KVで
断面を観察した。10検体の断面写真から次式によってカ
ードハウス形成率Cを求め下記の評価基準で判定した。
○=30%以上 △=10%以上30%未満 ×:10%未満 (6)絶縁破壊電圧 JIS C2318−66に準じて測定した。
(7)表面比抵抗 20℃、65%RH雰囲気中で、8時間放置したサンプルに
ついて超絶縁計を用いて測定した。
(8)耐コロナ性:温度20±5℃、相対湿度65±5%の
大気中でアルミニウム箔を電極として両電極間にJIS
C 5102に規定する直流電源により、昇圧速度100v/sec
で絶縁破壊電圧の20%まで昇圧し、破壊するまでの時間
を耐コロナ性とした。
〔実施例〕
次に実施例に基づいて本発明の実施態様を説明する。
実施例1〜4,比較例1〜2 基材フィルムとして厚さ12μのポリエチレンテレフタ
レート二軸延伸フィルムを用い、その表面に以下の組成
の層を設ける。ただし5重量%ゾルの状態で塗布し乾燥
後の厚みが0.5μとなるようにした。乾燥は、150℃で2
分間行なった。
[コーティング組成] 層状ケイ酸塩(B): WMg2Li(Si4O10)F2 W:CH3(CH215N+(CH3(セチルトリメチルアンモ
ニウムイオン) (以下この層状ケイ酸塩をセチル・TMA−TNと略記す
る。) 水溶性樹脂(A): 酸成分としてテレフタル酸/イソフタル酸(モル比85
/15)85モル%に対し5−ナトリウムスルホイソフタル
酸15モル%を用い、ジオール成分としてエチレングリコ
ール95モル%、ジエチレングリコール5モル%を用い、
常法により重縮合して得たポリエステル共重合体(IV:
0.57)を80℃熱水で溶解した。
(A)、(B)を溶解および分散させる溶媒としては
次のものを用いた。
(1)水 (2)エタノール (3)2−エトキシエタノール これらを(1):(2):(3)=20:50:30重量%と
なるように調合した。
表1に示すように本発明に比べ層状ケイ酸塩が少なす
ぎる場合には十分に粗面化せず易滑性、油含浸性とも不
良で、電気絶縁性も劣るものであった(比較例1)。ま
た本発明より多すぎる場合には塗膜の劈開が起り実用上
問題のあるものであった(比較例2)。本発明範囲にあ
る場合のみ良好な易滑性、油含浸性を示し、かつ電気絶
縁性の良好な粗面化フィルムを得ることができた(実施
例1〜4)。
実施例3,4 層状ケイ酸塩を非膨潤性層状ケイ酸塩(KMg3(AlSi3O
10)F2沈降法による平均粒子径1μ)とした以外は実施
例1と同様にして評価を行なった。非膨潤性層状ケイ酸
塩はカードハウスを形成せず添加量が少ない場合には十
分粗面化されず易滑性もない(比較例3)。また粗面化
するため添加量を多くすると二次凝集物によって不均一
に粗面化され巻姿が悪くなるし電気絶縁効果もない(比
較例4)。
比較例5 塗膜の溶媒をメタノール/水(5/95重量%)とした以
外は実施例1と同様にして評価したところ、溶媒の比誘
電率が大きいためかカードハウスをほとんど形成せず、
易滑性、油含浸性の良い粗面化フィルムを得ることがで
きなかった。
【図面の簡単な説明】
第1図は膨潤性無機層状ケイ酸塩のカードハウス構造の
一例を示したものである。 1:膨潤性無機層状ケイ酸塩 θ:板状面と端部面の接点の角度

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プラスチックフィルムの少なくとも片面
    に、水溶性樹脂(A)と膨潤性無機層状ケイ酸塩(B)
    との固形分重量比率(B/A)が1/1000〜2/1である混合物
    よりなる層を設けた積層フィルムにおいて、該層中の膨
    潤性無機層状ケイ酸塩がカードハウス構造を有すること
    によって該層表面が粗面化され、その中心線平均表面粗
    さ(Ra)が0.1〜2.0μであることを特徴とする粗面化フ
    ィルム。
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