JP2617544B2 - 気液接触方法 - Google Patents

気液接触方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、湿式排煙脱硫装置等に適用でき、被処理ガ
ス中の有害成分を吸収液で洗浄したり被処理ガス中の可
溶性分を吸収液で捕集したりする気液接触方法に関す
る。
〔従来の技術〕
気液接触方法としては、従来、スプレー塔、充填塔、
ベンチュリースクラバー、気泡塔方式など多種多様のも
のが開発され実用に供されているが、それぞれの性能、
特徴においては一長一短があり、それらの長所を兼ね備
えた高性能の気液接触方法の開発が望まれていた。
本出願人は、昭和57年実用新案登録願第146860号(昭
和57年9月28日出願 実開昭59−53828)において上記
方法を供する気液接触装置を提案した。
以下に第5図によって、この気液接触装置を説明す
る。
気液接触装置は、塔本体に被処理ガスの入口と出口と
を一方が同塔上部に他方が下部になるように配設し、前
記塔本体内部にガス吸収液を液柱上でほぼ上方に向かっ
て吐出させる吐出管を複数個配置してなることを特徴と
し、液柱状でほぼ上方に向かって吐出されるガス吸収液
の液柱高さを調整することによって、気液接触効率を効
果的に変化させることのできる新規な気液接触装置であ
る。
即ち、第5図において、5,7は被処理ガスの入口また
は出口、6は塔本体であり、塔本体内部にはガス吸収液
3を液柱状でほぼ上方に向かって吐出させる吐出管1が
ヘッダーパイプ4に複数個配置されている。
そしてヘッダーパイプ4も通常複数本配置されるが、
必ずしも同一平面状に配置しなくてもよい。吐出管1か
ら液柱状に吐出せられるガス吸収液は、塔本体6底部の
液溜め8からポンプ11で送入されるが、その吐出液量を
調整することによって液柱高さを任意に変えられる。
吐出されたガス吸収液は、液柱の最高位に達した後、
重力作用によって落下し、塔本体下部の液溜め8に入
る。被処理ガスは符号5又は7で示される部分のどちら
か一方を入口とし、他方を出口とする。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、前記第5図に示す気液接触装置では、液柱状
で上方に向かって吐出されたガス吸収液が、最高位に達
し拡がり落下する際の拡がり面積が小さく、流入する被
処理ガスと吐出されたガス吸収液が確実に接触するため
には、ヘッダーパイプ4に多数の吐出管1を配置する必
要があった。そのために、塔本体で気液接触に使用する
ガス吸収液流量が増大する欠点を有している。
本発明は、このような型式の気液接触装置において、
噴出するガス吸収液の分散を良くし、良好な気液接触を
得ようとするものである。
〔課題を解決するための手段〕 本発明の被処理ガスとガス吸収液とを接触させる気液
接触方法は、次の手段を講じた。
(1) ガス吸収液を、該ガス吸収液の蒸気圧以下にし
て減圧沸騰させて分散させた上記被処理ガスに接触させ
るようにした。
(2) 上記(1)の気液接触方法において、充填物の
上流において被処理ガスとガス吸収液を接触させるよう
にした。
(3) 上記(1)の気液接触方法において、ガス吸収
液に予め気体を吹き込むよううにした。
(4) 上記(1)のガス吸収液に沸石を添加した。
〔作用〕
第5図に示すような気液接触装置において、吐出管1
とヘッダーパイプ4との間に、ヘッダーパイプ4に接続
された径の小さいスロート管2、同スロート管2と吐出
管1との間に設けられた徐々に径が増加するディフュー
ザ管12を設けたときにガス吸収液を該ガス吸収液の蒸気
圧以下にする場合を第1図によって説明する。
第1図は、第5図に示す従来の気液接触装置と同一の
部分は同一の符号で示されている。
ガス吸収液3は、ヘッダーパイプ4より吐出管1に送
入される前に吐出管1より小の断面積を持つスロート管
2を通過し、スロート管2と吐出管1を接続しているデ
ィフューザ管12を介して吐出管1より噴出される。
第2図は、第1図のガス吸収液各部の静圧を図示した
ものである。
吐出管1より噴出される点の静圧は通常大気圧である
が、スロート管2の静圧は、ベルヌーイの定理より下式
に示されるように、吐出管1内部の液の動圧とスロート
管2内部の動圧の差に見合って、吐出管1より圧力を降
下する(第2図参照)。
(ベルヌーイの定理) 但し Pi:i点の圧力 (p) Hi:i点の基準点からの高さ(m) Vi:i点の流速 (m/s) ρ:ガス吸収液の密度 (kg/m3) g :重力加速度 (m/s2) ガス吸収液の蒸気圧をPw(p)とすると、Pi<Pwの条
件でガス吸収液は減圧沸騰する条件となる。スロート管
2内部の静圧Ptを減圧沸騰させる条件は下記(2)式と
なる。
但し Pw:ガス吸収液の蒸気圧 (p) Pt:スロート管内部の静圧(p) Po:吐出管出口部の静圧 (p) Vd:吐出管内部の液流速 (m/s) ΔH :吐出管出口とスーロト管の高さ差(m) ΔP1:スロート管以降の流路の圧力損失(p) 従って、吐出管内部の液流速:Vdが一定の条件(即ち
吐出管の内径と液流量が一定の条件)においては、上記
(2)式に示すように、スロート管の内径を小としmを
小とすることにより、スロート管内部の静圧は減少し、
ガス吸収液の蒸気圧より小さくなるまで条件で、ガス吸
収液はスロート管2において減圧沸騰を開始する。
上記(1)の本発明は、例えば上記第1図に示すよう
な手段により、被処理ガスと接触するガス吸収液を該ガ
ス吸収液の蒸気圧以下にして減圧沸騰せしめ、ガス吸収
液自体の沸騰による液分散力を利用して、ガス吸収液を
分散させる。この分散したガス吸収液を被処理ガスに気
液接触せしめることによって、前記被処理ガスとガス吸
収液との良好な気液接触が得られる。
また、ガス吸収液の分散によって被処理ガス気流の偏
倚流が防止され、被処理ガスとガス吸収液との均一な気
液接触が実現され、気液接触効果が高められる。
上記(2)の本発明は、上記(1)の発明における気
液接触を充填物の上流で行ない、ガス吸収液の減圧沸騰
によって、充填物における気液接触効率が高められ、全
体として高い気液接触効率が得られる。
上記(3)の本発明は、上記(1)の発明において、
ガス吸収液に気体を吹き込むことによって、ガス吸収液
の減圧沸騰による分散が更に高められ、従って気液接触
効果が更に向上する。
上記(4)の本発明は、ガス吸収液に沸石を添加する
ことによって、ガス吸収液の減圧沸騰を促進し、ガス吸
収液の分散をよくして高い気液接触効果が得られる。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を説明する。
第3図に示される装置は、第1図及び第2図に示され
るようなスロート管2とディフューザ管12、及び以下説
明する気体送入管を除いて、第5図に示す従来のものと
違いが無いので、同一の部分は同一の符号で示されてい
る。
なお5は塔本体6の上部に設けられた被処理ガスの入
口で、処理されるガスは入口5から入り塔本体6内を下
方に向かって流れ、出口7から流出するようになってい
る。
上記塔本体6の内部にガス吸収液を上方に向かって吐
出せしめるヘッダーパイプに接続された複数の吐出管1
の各々の途中には、第1図及び第2図に示すようなスロ
ート管2を設けスロート管2と吐出管1はディフューザ
管12で接続されている。
上記塔本体6の下部はガス吸収液3の溜め8を形成
し、同溜め8に開口しポンプ11が配置された配管が上記
ヘッダーパイプ4に接続されていて、ポンプ11によって
ガス吸収液3を溜め8からヘッダーパイプ4に送り、吐
出管1よりほぼ上方に向かって噴出するようになってい
る。また、ガス吸収液の溜め8には、開口9′を持つ気
体送入管9を設け、同開口9′より気体10をガス吸収液
溜め8に吹き込むようになっている。
本発明の第一実施例では、上記第3図に示す気液接触
装置を用いて、SO2 700ppmを含む排ガス14,000m3/hをガ
ス吸収液としてCaCO3スラリーを用いて気液接触させ
た。上記第3図に示す気液接触装置の吐出管1を4本設
けその内径を60mmとし、スロート管2の内径を36mmと
し、ディフューザ管12の広がり角度を5度とした。
ガス吸収液としては、CaCO3 20wt%、残部が水のスラ
リーを用い、このガス吸収液を上記の気液接触装置のヘ
ッダーパイプ4に280m3/hで送液し、気体の送入管9に
は空気を送入しなかった。ガス吸収液を、4本の吐出管
1より上方に向って噴出させながら、排ガスをガス吸収
液の液柱頂部の上方から下方に向けて導入したところ、
排ガスの出口SO2濃度は60ppmとなった。
ガス吸収液の温度は15℃であり、このときの水の蒸気
圧は−747mmHg(G)であるのに対し、スロート管2の
内圧を測定したところ−750mmHg(G)であった。
このため、本実施例においては、スロート管2内でガ
ス吸収液に減圧沸騰が起り、吐出管1より上方に向って
噴出されたガス吸収液は、同吸収液の沸騰による分散力
によって排ガス中によく分散し、これによって、気液接
触が活溌に行なわれ、また排ガスの偏倚流が防止され均
一な気液接触が行なわれ、この結果、上記排ガスの出口
SO2濃度60ppmが得られた 次に本発明の第二実施例では、上記第一実施例と同条
件の下に、更に吸収液溜めに設けられた気体の送入管よ
り空気を150m3N/hで送入し、ガス吸収液を280m3/h送液
したところ、排ガスの出口SO2は40ppmの濃度となった。
なお、ヘッダーパイプに設けたサンプリングノズルよ
り吸収液を抜き取り、気体の混入率を測定したところ、
気体混入率は4.0vol%であった。
本実施例では、ガス吸収液に気体を吹き込むことによ
って、第一実施例より更に気液接触効率が高められた。
第一の比較例として、第5図に示す上記の従来の気液
接触装置を用いて、第一及び第二実施例と同様SO2 700p
pmを含む排ガス14,000m3N/hを、ガス吸収剤としてCaCO3
スラリーを用いて気液接触させた。ガス吸収液のスラリ
ー濃度は20wt%とした。
ガス吸収液を280m3/hで送液し、内径60mmの吐出管4
本より同ガス吸収液を上方に向かって噴出させながら排
ガスを液柱頂部の上方から下方に向けて導入したとこ
ろ、排ガスの出口SO2は130ppmの濃度となった。
また、第二の比較例として、第一実施例におけるスロ
ート管の内径を48mmに変更し、他の条件は第一実施例と
同じ条件でガス吸収液を280m3/hで送液したところ排ガ
スの出口SO2濃度は130ppmであった。
スロート管の内圧は−280mmHg(G)を示している
が、ガス吸収液が減圧沸騰する圧力ではなく、出口SO2
の濃度は上記第一の比較例と同じであった。
以上の通り、第一実施例では、吐出管から噴出するガ
ス吸収液を該ガス吸収液の蒸気圧以下にして減圧沸騰さ
せることによって気液接触効率が著しく高められ、ま
た、第二実施例ではこれに加えて、ガス吸収液溜めに気
体を吹き込むことによって気液接触効率が更に高められ
た。
次に、本発明の第三実施例では、上記第一実施例と同
じ条件の下で、ただガス吸収液のスラリー濃度を2wt%
としガス吸収液を280m3/h送液したところ、出口SO2濃度
は100ppmとなった。ガス吸収液の温度は15℃で、スロー
ト管の内圧を測定したところ−750mmHg(G)であり、
ガス吸収液が減圧沸騰する条件は満たされていた。
次に、本発明の第四実施例では、上記第三実施例にお
けるガス吸収液に、沸石としてCaCO3に加えてCaCO4・2H
2Oを添加し、ガス吸収液のスラリー濃度を10wt%に調整
しガス吸収液を280m3/h送液したところ、排ガスの出口S
O2濃度は60ppmとなり、第一実施例と同一の吸収効率と
なった。
ガス吸収液のすらりー成分の組成は、CaSO4・2H2Oが9
0〜95%残りはCaCO3である。
本第四実施例では、以上の通り、吐出管から噴出する
ガス吸収液を該ガス吸収液の蒸気圧以下にして減圧沸騰
させることによって気液接触が著しく高められるが、こ
れに加えて、減圧沸騰を効率よく発生させるために沸石
としてCaCO3およびCaSO4・2H2Oを該ガス吸収液中に存在
させることによって、高い気液接触効率を得ることがで
きる。
次に、本発明の第五実施例では、第4図に示す気液接
触装置を用いて、SO2 700ppmを含む排ガス14,000m3N/h
を、吸収剤としてCaCO3スラリーを用いて気液接触させ
た。
本実施例に使用される第4図に示す気液接触装置で
は、以下に説明するヘッダーパイプの下部に設けた充填
物を除いて第3図に示す気液接触装置と相違がなく、同
一の部分は同一の符号で示されている。
充填物13は、ポリプロピレン製の厚み4mm、高さ100m
m、幅500mmの板を1段当り36枚で格子を形成したものを
10段、即ち1mの充填高さとした。
スロート管2及びディフューザ管12及び吐出管1は、
第一実施例におけると同一のものを使用した。
ガス吸収液溜めに設けられた気体の導入管より空気を
150m3N/hで送入し、ガス吸収液を230m3/hでヘッダーパ
イプに送液し、排ガス液柱頂部の上方から下方に向けて
導入したところ、排ガスの出口SO2は55ppmの濃度となっ
た。
スロート管の内圧を測定したところ−750mmHg(G)
であり、ガス吸収液の温度は15℃であって、ガス吸収液
が減圧沸騰する条件は満たされており、またガス吸収液
のCaCO3の濃度は20wt%であった。
ヘッダーパイプ4と充填物13の間を流れている排ガス
のSO2濃度を測定したところ112ppmであった。従って、
本実施例の液柱部での脱硫率は84%であり、充填物前後
での脱硫率は51%、装置総合の脱硫率は92%であった。
次に第三の比較例として、吸収液がヘッダーパイプ4
より直接吐出管1を通り塔本体6内部に吸収液を上方に
向かって吐出せしめる第5図に示す気液接触装置を用い
吐出管の内径を60mmとした。
本比較例においては、スロート管2及びディフューザ
管12を取り除いた以外は上記第五実施例と同一の条件と
した。
第五実施例と同濃度のガス吸収液を同量の230m3/hで
送液したところ、排ガスの出口SO2は125ppmであり、ヘ
ッダーパイプ4と充填物13の間を流れている排ガスのSO
2濃度は210ppmであった。従って、本実施例の液柱部で
の脱硫率は70%であり、充填物前後の脱硫率は40%、装
置総合の脱硫率は82%であった。
以上の通り、第五実施例及び第三比較例が示す通り、
充填物の上部において、ガス吸収液を該ガス吸収液の蒸
気圧以下にして減圧沸騰させることによって、充填物で
の気液接触効率も高められることが確認された。
〔発明の効果〕
被処理ガスとガス吸収液を気液接触させる気液接触方
法に於いては、噴出液の分散を高めること及び気液の偏
倚流を防止することが良好な気体の洗浄効果をもたら
す。
本発明は、該ガス吸収液をその蒸気圧以下にして減圧
沸騰せしめ、ガス吸収液自体の沸騰による液分散力によ
りガス吸収液を分散させた上、被処理ガスとの気液接触
を行なうことによって、高い気液接触効率が得られ、ま
た、気液の偏倚流も防止して均一な気液の接触を行わせ
ることができ、気液接触効果を上げることができる。
また、本発明は、これに加えて、充填物の上流で気液
接触を行なうことによってガス吸収液の減圧沸騰によっ
て、充填物における気液接触効果を高めることができ
る。
また、本発明は、更にガス吸収液に予め気体を吹き込
むことによって減圧沸騰によるガス吸収液の分散を高
め、又はガス吸収液に沸石を添加して減圧沸騰を促進す
ることによって、ガス吸収液の分散を高め、これによっ
て高い気液接触効果を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の作用を説明するためのガス吸収液吐出
部の縦断面図、第2図は第1図に示すガス吸収液吐出部
におけるガス吸収液の圧力分布図、第3図及び第4図は
それぞれ本発明の実施例に用いられる気液接触装置の縦
断面図、第5図は従来の気液接触装置の縦断面図であ
る。 1……吐出管、2……スロート管、 3……ガス吸収液、4……ヘッダーパイプ、 8……液溜め、9……気体送入管、 10……気体、11……ポンプ、 12……ディフューザ管、13……充填物、

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被処理ガスとガス吸収液とを接触させる気
    液接触方法において、ガス吸収液を、該ガス吸収液の蒸
    気圧以下にして減圧沸騰させて分散させた上前記被処理
    ガスと接触せしめることを特徴とする気液接触方法。
  2. 【請求項2】充填物の上流において、被処理ガスとガス
    吸収液とを接触せしめることを特徴とする請求項(1)
    に記載の気液接触方法。
  3. 【請求項3】ガス吸収液に予め気体を吹き込むことを特
    徴とする請求項(1)に記載の気液接触方法。
  4. 【請求項4】ガス吸収液に沸石を添加したことを特徴と
    する請求項(1)に記載の気液接触方法。
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