JP2616745B2 - 超伝導層間のコンタクト構造及びその製造方法 - Google Patents
超伝導層間のコンタクト構造及びその製造方法Info
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Description
構造及びその製造方法に係り、特に高温超伝導体を用い
た回路における高温超伝導層同士のコンタクトの構造と
その製造方法に関する。
高温超伝導回路における高温超伝導層間のコンタクト構
造としては、層間絶縁層にコンタクトホールを開けて行
うことが一般的である(例えば、アプライド・フィジッ
クス・レターズ、第59巻第3051頁、1991)。
クト構造の一例の断面図を示す。同図に示すように、基
板10上の第1の超伝導層11と第2の超伝導層12が
層間絶縁層13を挟んだ構造を有しているが、第1の超
伝導層11と第2の超伝導層12間の超伝導コンタクト
は、層間絶縁層13にコンタクトホール14を開け、そ
こで第1の超伝導層11と第2の超伝導層12を直接接
触させることにより行っている。
に、コンタクトホールを第1の超伝導層11を含む深さ
に開け、第1の超伝導層11のエッジの傾斜面を用いて
コンタクトをとる方法が提案されている(特開平2−7
7177号公報)。すなわち、この従来のコンタクト構
造によれば、図5に示すように、ab面内に伸びた酸化
物超伝導層配線内に設けられた電気的コンタクト部にお
いて、コンタクトホール14を層間絶縁層12と第1の
超伝導層11に開け、第1の超伝導層11のab面に対
して斜めに切断された面で第2の超伝導層12を接触さ
せた構造である。
のコンタクト構造では、コンタクトホールのパターニン
グ工程と加工工程とが少なくとも必要であり、プロセス
が煩雑である。
ジョセフソン接合がよく用いられる。図6はこのエッジ
接合の断面図を示す。同図に示すように、このエッジ接
合は下部電極21をその上の層間絶縁層23と共に加工
し、下部電極21のエッジ24を露出させ、このエッジ
24に常伝導体又は絶縁体からなるトンネルバリア25
を介して上部電極22を形成し、下部電極21と上部電
極22との間でジョセフソン効果を生ぜしめるタイプの
ジョセフソン接合である。
下部電極21と上部電極22を超伝導ショートさせるコ
ンタクトが必要になる場合がある。この場合、下部電極
21と上部電極22は同一平面上にあるため、下部電極
21と上部電極22とのコンタクトにおいて図4及び図
5に示した従来のコンタクト構造におけるコンタクトホ
ール14を必ずしも設ける必要がないという特長があ
る。
染を防止する目的で、トンネルバリア25と上部電極2
2は連続成膜、連続加工するため、下部電極21と上部
電極22との間にトンネルバリア25が存在し、平面上
のコンタクトや緩やかな斜面上でのコンタクトでは、ト
ンネルバリア25のためにコンタクトの臨界電流密度は
非常に小さくなり、必要とする程度の臨界電流密度を得
るためには、広いコンタクト面積が必要になる。
斜面が急峻であると、コンタクトホール14に導入され
る部分の第2の超伝導層12の超伝導特性が低下し、結
果としてコンタクトホール14での臨界電流密度が減少
する。従って、この場合にも広いコンタクト面積が必要
になる。高温超伝導集積回路はインダクタンスを可能な
限り小さくしなければならない場合が多く、このため上
記の広いコンタクト面積の必要性は回路構成上重大な問
題となる。
エッジ接合を用いた超伝導層間のコンタクト構造のコン
タクト面積の縮小及びプロセスの簡略化を実現し得る超
伝導層間のコンタクト構造及びその製造方法を提供する
ことを目的とする。
成するため、第1の超伝導層に形成された第1のエッジ
上に、常伝導体若しくは絶縁体からなるトンネルバリア
を介して第2の超伝導層が結合されたエッジ接合を有す
ると共に、エッジ接合を構成する第1のエッジよりも急
峻な傾斜角を有する第2のエッジを第1の超伝導層に形
成し、第2のエッジ上に第2の超伝導層を配置したもの
である。
それぞれ第1の超伝導層の反対側面に形成されているこ
とを特徴とする。
バリアの膜厚を、第1のエッジ上のトンネルバリアの膜
厚よりも薄く形成されているように構成したものであ
る。
ト構造の製造方法は、基板上に第1の超伝導層と層間絶
縁層とが順次に積層され、かつ、層間絶縁層上の所定領
域にレジストマスクが形成された基板を固定した状態
で、斜め上方からイオンビームを照射してイオンビーム
エッチングを行い、層間絶縁層及び第1の超伝導層上に
それぞれ互いに異なる傾斜の第1及び第2のエッジを形
成する第1の工程と、第1の工程により形成された第1
及び第2のエッジと層間絶縁層上に常伝導体若しくは絶
縁体からなるトンネルバリア層及び第2の超伝導層を連
続成膜する第2の工程と、第1及び第2のエッジを少な
くとも含む部分にトンネルバリア層及び第2の超伝導層
が配置されるよう連続加工を施す第3の工程とを含むよ
うにしたものである。
のエッジのうち急峻な傾斜の方の第2のエッジに成長す
るトンネルバリアの膜厚が、緩やかな傾斜の方の第1の
エッジに成長するトンネルバリアの膜厚よりも薄くなる
方向に基板の角度を調整してトンネルバリアの成長を行
うことが、急峻な傾斜の第2のエッジ上のトンネルバリ
アの膜厚をより薄くできる点で望ましい。
の場合、平面上又は緩やかな斜面上でのコンタクトでは
間にトンネルバリアが存在するため、コンタクトの臨界
電流密度はエッジ接合と同程度又はそれ以下になる。し
かし、エッジ接合を構成するエッジより傾斜が急峻な面
で下部電極と上部電極とがコンタクトする場合、トンネ
ルバリアは通常50nm以下であり、典型的な下部電極
の膜厚300nmに比べて十分に薄いため、トンネルバ
リアによる下部電極表面の被覆性はエッジ接合部に比べ
て低下する。
直接接触する場所やトンネルバリアが他の部分より薄い
場所が発生する。高温超伝導層同士が完全にバリア無し
に結合した場合の臨界電流密度はエッジ接合の臨界電流
密度の100〜1000倍にも達する。従って、これら
の部分ではコンタクトの臨界電流密度は飛躍的に増加す
る。
成する第1のエッジよりも急峻な傾斜角を有する第2の
エッジを第1の超伝導層に形成し、第2のエッジ上に第
2の超伝導層を配置するようにしたため、第1の超伝導
層の第2のエッジ上の第2の超伝導層とのコンタクト部
分ではコンタクトの臨界電流密度は飛躍的に増加させる
ことができる。
うに、基板20上に下部電極21が設けられ、更に下部
電極21上に層間絶縁層23が設けられ、これらに形成
された緩やかなエッジ24上にトンネルバリア25を介
して上部電極22が形成された構成であり、下部電極2
1と上部電極22とは同一平面上にある。このため、従
来のコンタクト構造のようなコンタクトホールを設ける
必要がなく、エッジ接合部と同様に下部電極21のエッ
ジ24上に上部電極22を配置することでコンタクトを
形成できる。この際、コンタクト部になるエッジの斜面
がエッジ接合部の斜面より急峻であれば、上記の効果が
期待できる。
は、基板20を固定した状態でイオンビームを斜めから
照射して下部電極21の高温超伝導薄膜をエッチング
し、所望の傾斜を持ったエッジを形成する。図3はこの
ときのイオンビーム入射角と代表的な高温超伝導体であ
るイットリウム・バリウム・銅酸化物
傾斜角との関係を示す。
り、基板の法線方向が90°である。丸印の特性Iはエ
ッジがレジストマスクによってイオンビームから影にな
る側の傾斜角であり、比較的緩やかな傾斜角が得られる
ことからエッジ接合はこちら側のエッジに形成される。
一方、四角印の特性IIはその反対側のレジストマスクに
よってイオンビームから隠されないエッジの傾斜角であ
る。典型的な場合、エッジ接合部にはイオンビーム入射
角30°の場合のエッジ傾斜角7°の特性IIが用いられ
る。このとき、反対側(特性I)の傾斜角は約30°と
なり、エッジ接合部と比べて急峻である。
ジ接合を構成するエッジよりトンネルバリアが薄く成長
する方向に基板角度を調整し、トンネルバリアの成長を
行うことにより、コンタクト部での下部電極に対するト
ンネルバリアの被覆性を一層低下させることができる。
ではエッジ接合部と反対面のより急峻なエッジ上にコン
タクトを形成することやトンネルバリア成膜時の基板角
度を調整することで、下部電極上のトンネルバリアの被
覆性を低下させることができ、臨界電流密度が高いより
優れた超伝導コンタクトがコンタクトホールを設けるこ
となしに得られる。
明する。図1は本発明になる超伝導層間のコンタクト構
造の一実施例の断面図を示す。基板10上にエッジ接合
の下部電極である第1の超伝導層11が300nmの膜
厚で形成されている。第1の超伝導層11は、ビーム入
射角30°のイオンビームエッチングで加工され、図
中、左側に傾斜角7°の緩やかなエッジ16が形成さ
れ、右側に傾斜角30°の急峻なエッジ17が形成され
ている。
部での膜厚が20nmであるトンネルバリア15を介し
てエッジ接合の上部電極である第2の超伝導層12が4
00nmの膜厚で形成されている。また、第1の超伝導
層11上には層間絶縁層13が形成されている。ここ
で、第1及び第2の超伝導層11及び12は、YBCO
であり、基板10と層間絶縁層13はチタン酸ストロン
チウム(SrTiO3、以下、「STO」と記す)であ
る。また、トンネルバリア15はプラセオジウム・バリ
ウム・銅酸化物
O等の絶縁体を用いることもできる。
て第1の超伝導層11と第2の超伝導層12が緩く結合
したエッジ接合部18、すなわちジョセフソン接合が構
成されている。一方、エッジ17にもトンネルバリア1
5を介して第1の超伝導層11と第2の超伝導層12が
結合したエッジ接合部19、すなわちジョセフソン接合
が構成されているが、これらはエッジ17の傾斜が急峻
であるため、トンネルバリア15による第1の超伝導層
11の被覆性が低く、第1の超伝導層11と第2の超伝
導層12との間の超伝導臨界電流密度はエッジ接合部1
8に比べてずっと大きくなる。このため、エッジ接合部
19は良好なコンタクト部を構成することとなる。
ト構造の製造方法について説明する。図2は本発明にな
る超伝導層間のコンタクト構造の製造方法の一実施例の
工程説明図を示す。本実施例では、図2(a)におい
て、STOからなる基板10上に、YBCOからなる第
1の超伝導層11とSTOからなる層間絶縁層13がそ
れぞれ300nmの膜厚で積層され、更に層間絶縁層1
3上の所定領域にレジストマスク30が設けられてい
る。
オンビーム入射角30°の条件で図2(a)に示す如
く、例えばアルゴン(Ar)イオンビーム31を照射す
ると、イオンビーム31がレジストマスク30を介さず
に直接衝突する層間絶縁層13とその下の第1の超伝導
層11は、図2(b)に示すように衝突時の衝撃により
削り取られて急峻な(傾斜角30°)エッジ17が形成
される。
にはレジストマスク30の存在により、層間絶縁層13
とその下の第1の超伝導層11には、図2(b)に示す
ように緩やかな(傾斜角7°)エッジ16が形成され
る。
30を除去した後、蒸着等により平坦部での膜厚が20
nmであるトンネルバリア15及び平坦部での膜厚が4
00nmである第2の超伝導層12を連続成膜する。そ
の後、図2(c)に示すように、イオンビームエッチン
グにより第2の超伝導層12及びトンネルバリア15を
連続加工する。
の超伝導層11と第2の超伝導層12との間にトンネル
バリア15が存在するため、エッジ接合部18が形成さ
れる。一方、エッジ接合部18を構成するエッジ16よ
り傾斜が急峻なエッジ17上では、第1の超伝導層11
と第2の超伝導層12の間のトンネルバリア15は20
nmと第1の超伝導層11の膜厚300nmに比べて十
分に薄いため、トンネルバリア15による表面の被覆性
は低下しており、よってエッジ17上には第1の超伝導
層11と第2の超伝導層12の間の臨界電流密度が大き
なコンタクト部19を形成できる。このようにして、図
1に示した断面構造のコンタクト構造が製造される。
10を図2(b)中、例えば45°時計方向に回動する
と、エッジ接合部18となるエッジ16は蒸着源の方を
向くが、コンタクト部となるエッジ17は蒸着源から影
となるため、エッジ17上のトンネルバリア15の膜厚
はエッジ16上の膜厚よりも更に薄く成長させることが
でき、よって、エッジ17上でのトンネルバリア15に
よる第1の超伝導層11の被覆性を更に低下させること
ができる。このことにより、コンタクト部となるエッジ
接合部19での臨界電流密度は更に向上する。
エッジ接合を用いた回路において、エッジ接合の反対側
にある急峻な斜面をコンタクト部として用いることがで
きる。また、本実施例はコンタクトホールを開口する必
要がないため、プロセスが簡単である。また、コンタク
トホールを設ける場合に比べてコンタクト面積を大幅に
縮小することができる。
第1の超伝導層に緩やかなエッジと急峻なエッジを形成
し、第1の超伝導層上に形成されるトンネルバリアの膜
厚を急峻なエッジ上で薄くできることから、急峻なエッ
ジ上でのトンネルバリアの被覆性を低下させることがで
き、よってこの急峻なエッジ上に臨界電流密度が高い優
れた第1及び第2の超伝導層間のコンタクト部を形成で
き、かつ、このコンタクト部をコンタクトホールを設け
ることなしに得られる。よって、本発明によれば、コン
タクトホールを用いる場合に比べてプロセスが簡単にな
り、また、コンタクト面積も縮小するため、回路の面積
も縮小でき、回路のインダクタンスも縮小できる。
る。
のイオンビーム入射角依存性を示す図である。
接合の断面図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 第1の超伝導層に形成された第1のエッ
ジ上に、常伝導体若しくは絶縁体からなるトンネルバリ
アを介して第2の超伝導層が結合されたエッジ接合を有
すると共に、前記エッジ接合を構成する前記第1のエッ
ジよりも急峻な傾斜角を有する第2のエッジを前記第1
の超伝導層に形成し、該第2のエッジ上に前記第2の超
伝導層を配置したことを特徴とする超伝導層間のコンタ
クト構造。 - 【請求項2】 前記第1及び第2のエッジは、それぞれ
前記第1の超伝導層の反対側面に形成されていることを
特徴とする請求項1記載の超伝導層間のコンタクト構
造。 - 【請求項3】 前記第2のエッジ上の前記トンネルバリ
アの膜厚は、前記第1のエッジ上の前記トンネルバリア
の膜厚よりも薄く形成されていることを特徴とする請求
項1記載の超伝導層間のコンタクト構造。 - 【請求項4】 基板上に第1の超伝導層と層間絶縁層と
が順次に積層され、かつ、該層間絶縁層上の所定領域に
レジストマスクが形成された前記基板を固定した状態
で、斜め上方からイオンビームを照射してイオンビーム
エッチングを行い、前記層間絶縁層及び前記第1の超伝
導層上にそれぞれ互いに異なる傾斜の第1及び第2のエ
ッジを形成する第1の工程と、 前記第1の工程により形成された前記第1及び第2のエ
ッジと前記層間絶縁層上に常伝導体若しくは絶縁体から
なるトンネルバリア層及び前記第2の超伝導層を連続成
膜する第2の工程と、 前記第1及び第2のエッジを少なくとも含む部分に前記
トンネルバリア層及び前記第2の超伝導層が配置される
よう連続加工を施す第3の工程とを含むことを特徴とす
る超伝導層間のコンタクト構造の製造方法。 - 【請求項5】 前記第2の工程は、前記第1及び第2の
エッジのうち急峻な傾斜の方の前記第2のエッジに成長
する前記トンネルバリア層の膜厚が、緩やかな傾斜の方
の前記第1のエッジに成長する前記トンネルバリア層の
膜厚よりも薄くなる方向に前記基板の角度を調整して前
記トンネルバリア層の成長を行うことを特徴とする請求
項4記載の超伝導層間のコンタクト構造の製造方法。
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JPH08340133A JPH08340133A (ja) | 1996-12-24 |
JP2616745B2 true JP2616745B2 (ja) | 1997-06-04 |
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- 1995-06-09 JP JP7142841A patent/JP2616745B2/ja not_active Expired - Fee Related
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