JP2616707B2 - 赤外線検出器の製造方法 - Google Patents

赤外線検出器の製造方法

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JP2616707B2
JP2616707B2 JP6203373A JP20337394A JP2616707B2 JP 2616707 B2 JP2616707 B2 JP 2616707B2 JP 6203373 A JP6203373 A JP 6203373A JP 20337394 A JP20337394 A JP 20337394A JP 2616707 B2 JP2616707 B2 JP 2616707B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、禁制帯幅の狭い半導
体、特にHgを含む化合物半導体を用いた赤外線検出器
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に赤外線検出器においては、禁制帯
幅の狭い半導体を用いたものが高感度であることが知ら
れている。特に検出部分にpn接合を有する光起電力型
素子は、単素子を二次元に配列した構成を採った赤外線
撮像装置にとって非常に有効である。
【0003】その代表的なものにHgCdTe半導体結
晶を用いた光起電力型赤外線検出器がある。これはその
検出器としての特性が結晶特性に大きく依存するため、
n型結晶にp型領域を形成したp−on−n構造(n型
半導体層の上にp型半導体層を形成した構造)のフォト
ダイオードが良いとされている。この構造のダイオード
の製造工程の一例を図2に示す。CdTe基板1の基板
上に積層されたInドープのn−HgCdTe2にレジ
ストマスク11を用い、部分的にAsをイオン注入する
ことで、赤外線検知部となるAsドープのp−HgCd
Te12によるpn接合ダイオードを形成する。この方
法はpn接合パターンや深さの制御性、工程の簡便性を
考えると最も有利な方法であり一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしフォトダイオー
ドを形成する過程でイオン注入を用いると、pn接合近
傍のイオン注入ダメージ領域での結晶性が劣化し、生成
再結合電流等の暗電流増加の原因になり特性劣化を招く
問題がある。
【0005】本発明の目的は、この欠点を除くため、イ
オン注入を用いないp−on−n構造の赤外線検出器の
製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、Hgを含む化
合物半導体を用いた赤外線検出器の製造方法において、
Inドープのn型結晶上にHg空孔よりなるp型層が積
層されているpn接合を有する結晶を用い、前記pn接
合を分離するためのドライエッチング工程と、前記ドラ
イエッチングのダメージにより生じたエッチング面近傍
での格子間のHgをエッチング面から離れる方向へ拡散
させるための熱処理工程を含むことを特徴とするもので
ある。n型結晶としてはHgCdTeを用いる。
【0007】
【作用】本発明の赤外線検出器の製造方法では、Inド
ープのn型結晶上に、Hg空孔よりなるp型層が積層さ
れている結晶を用い、イオンミリング等のドライエッチ
ングでメサ構造を形成することによりpn接合を分離
し、赤外線検出器となるダイオードを形成している。更
にその後、熱処理を行い、ドライエッチングのダメージ
により生じたエッチング面近傍での格子間のHgをエッ
チング面から離れる方向へ拡散させることにより、pn
接合の位置はドライエッチングによる結晶ダメージの少
ないメサの中央部に移動する。このように本発明の赤外
線検出器の製造方法を用いると、pn接合近傍での結晶
ダメージのないダイオードを形成することができ、従来
生じていた暗電流増加等のダイオード特性の劣化もみら
れない。
【0008】
【実施例】本発明の赤外線検出器の製造方法を図面を用
いて具体的に説明する。図1(a)〜(c)は本発明の
一実施例の製造工程を示す断面図である。まず、図1
(a)に示すように、CdTe基板1上にInドープの
n−HgCdTe層2を10μm、ノンドープのHgC
dTeを3μm、MBE法により成長し、Hg雰囲気中
のp化アニールによりノンドープのHgCdTe中にH
g空孔を作りp−HgCdTe3としp−on−n基板
を形成する。次に図1(b)に示すように、イオンミリ
ングにより深さ約5μm、直径20μmのメサ型にエッ
チングしpn接合を分離し、検出器となる部分を形成す
る。エッチング面近傍はドライエッチングにより弾き出
された格子間のHgが数多く存在し、n型を呈し、pn
接合はヘテロ界面以外ではエッチング面に非常に近い結
晶ダメージの多い領域4に存在している。次に図1
(c)に示すように、熱処理を150℃/1時間行い格
子間のHgを拡散させる。このとき格子間のHgはp−
HgCdTe3中のHg空孔を埋めるように拡散し、こ
のとき熱処理により形成されたpn接合5はエッチング
面より離れた位置にある。最後に表面保護膜形成、電極
形成を行い素子は完成する。
【0009】このように本発明の赤外線検出器の製造方
法は、ドライエッチング、熱処理を組み合わせて行うこ
とにより、素子分離とエッチングダメージによる特性劣
化の回避を有効に行うことができる。即ち本発明の製造
方法により得られたpn接合は、Inドープn−HgC
dTe2とHg空孔より成るp−HgCdTe3のヘテ
ロ界面と、熱処理により形成されたpn接合5であるた
めに、pn接合近傍で発生する、結晶のダメージ等が原
因となる生成再結合電流を非常に小さく抑えることがで
きる。更にメサ型のp−on−n構造であるために、ア
ニールによるpn接合の外側への拡がりもなく、配列型
赤外線センサを高集積化、多画素化する上で非常に有効
である。
【0010】本実施例に示した赤外線検出器の構造及び
プロセスの条件等はあくまでも一例であり、素子分離の
ためのドライエッチングにより生じた結晶ダメージを次
の熱処理工程で回避できるものであれば良い。
【0011】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の赤外線検
出器の製造方法によれば、pn接合近傍での暗電流の小
さいp−on−n構造のHgCdTeフォトダイオード
を提供することができ、赤外線検出器の高性能化に十分
貢献する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)は、本発明の一実施例であるH
gCdTeフォトダイオードの製造工程を説明するため
の断面図である。
【図2】(a),(b)は従来例の一般的なp−on−
n構造のHgCdTeダイオードの製造工程を説明する
ための断面図である。
【符号の説明】
1 CdTe基板 2 Inドープn−HgCdTe層 3 Hg空孔によるp−HgCdTe層 4 ダメージの多い領域 5 熱処理により形成されたpn接合 11 レジストマスク 12 Asドープp−HgCdTe領域 13 イオン注入ダメージ領域

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Hgを含む化合物半導体を用いた赤外線
    検出器の製造方法において、Inドープのn型結晶上に
    Hg空孔よりなるp型層が積層されているpn接合を有
    する結晶を用い、前記pn接合を分離するためのドライ
    エッチング工程と、前記ドライエッチングのダメージに
    より生じたエッチング面近傍での格子間のHgをエッチ
    ング面から離れる方向へ拡散させるための熱処理工程を
    含むことを特徴とする赤外線検出器の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記n型結晶はHgCdTeである請求
    項1記載の赤外線検出器の製造方法。
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