JP2616093B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents

スクロール圧縮機

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JP2616093B2
JP2616093B2 JP2029127A JP2912790A JP2616093B2 JP 2616093 B2 JP2616093 B2 JP 2616093B2 JP 2029127 A JP2029127 A JP 2029127A JP 2912790 A JP2912790 A JP 2912790A JP 2616093 B2 JP2616093 B2 JP 2616093B2
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隆史 山本
博史 小川
達也 杉田
利之 中村
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、例えば空気調和機等に実施して好適なスク
ロール圧縮機に関するものである。
〔従来の技術〕
従来、この種のスクロール圧縮機は例えば特開昭59−
120794号公報に開示され、第4図に示すように構成され
ている。これを同図に基づいて説明すると、同図におい
て、符号1で示すものはその底部に油溜め2を有する密
閉容器で、全体が上方に開口する有底筒体によって形成
されている。この密閉容器1内には、スクロール駆動用
のモータ3を収納するモータ室1aが形成されている。4
は上下側に開口する上部軸受支えで、前記密閉容器1に
開口部を閉塞するように装着されている。この上部軸受
支え4には、上方に開口するオルダム室4aおよびこのオ
ルダム室4aと前記モータ室1aに開口する返油孔4bが設け
られている。5は側方に開口する油導入孔5aを有する筒
状の下部軸受支えで、前記密閉容器1内の底部に設けら
れている。6は軸線方向に延在する給油路6aを有するク
ランク軸で、前記オルダム室4a内および前記下部軸受支
え5内に各々主軸受7と副軸受8を介して回転自在に設
けられており、前記モータ3によって回転するように構
成されている。このクランク軸6の上端面には、前記給
油路6aに連通し上方に開口する偏心孔6bが設けられてい
る。9は台板9aおよび渦巻体9bを有する固定スクロール
で、前記上部軸受支え4ボルト(図示せず)等によって
固定されている。この固定スクロール9の台板9aには、
吸入管10と吐出管11が取り付けられている。12は前記台
板9aに対向する台板12aおよび前記渦巻体9bに偏心して
組み合わされた渦巻体12bを有する揺動スクロールで、
前記上部軸受支え4にスラスト軸受13を介して支承され
ている。この揺動スクロール12には、前記台板12aの背
面側に突出する揺動軸12cが一体に設けられている。こ
の揺動軸12cは、前記偏心孔6bに揺動軸受14を介して嵌
合されている。また、15は前記上部軸受支え4に対して
前記揺動スクロール12を揺動可能に連結し、かつ前記揺
動スクロール12の自転を防止するリング状のオルダム継
手、16は前記両スクロール9,12間に形成される圧縮室で
ある。なお、17および18は前記モータ3を構成するモー
タステータとモータロータ、19はこのうちモータロータ
18に取り付けられたバランサである。
このように構成されたスクロール圧縮機においては、
クランク軸6の回転によって揺動スクロール12が旋回運
動する。このとき、作動流体は、吸入管10から密閉容器
1内に流入すると、圧縮室16内に吸入されるため、この
圧縮室16内で圧縮されて吐出管11から密閉容器1外に流
出する。
次に、この種スクロール圧縮機の定常運転時における
揺動軸受14の運動状態につき、第5図を用いて説明す
る。
すなわち、定常運転時には、揺動軸受14が合成力Fの
分力F′によって偏心孔6bの長手方向に摺動し、揺動ス
クロール12を固定スクロール9に接触力FRで押し付けて
間隙Cを常時C=0とする。
ここで、rをクランク軸6の軸心から揺動軸受14の偏
心量、Fcを揺動スクロール12の旋回運転時に発生する遠
心力、Fgを遠心力Fcと略直角な方向のガス負荷、Fを遠
心力Fcとガス負荷Fgの合成力、Cを固定スクロール9と
揺動スクロール12の半径方向の間隙、αを偏心孔6bのス
ライド方向線分と揺動スクロール12の遠心力方向線分と
のなす角度、θを合成力Fの作用力線と遠心力方向線分
とのなす角度、Aをクランク軸27の回転方向とすると、
分力F′および接触力FRは次式で表すことができる。
F′=Fcos(−α+θ) …(1) FR=F′/cosα =Fcos(−α+θ)/cosα(α<0) …(2) さらに、式(2)は合成力Fとガス負荷Fgによって表
せば次式となる。
FR=F(cosαcosθ+sinαcosθ)/cosα =Fc+Fgtanα(α<0) …(3) また、遠心力Fcは、揺動スクロール12の重量,回転数
および重力加速度を各々W,f,gとすると、次式で表すこ
とができる。
Fc=W/g{r(2πf)} …(4) なお、角度α(α<0),θは遠心力方向線分よりよ
りクランク軸6の反回転方向を正とする。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかるに、従来のスクロール圧縮機においては、揺動
スクロール12の重量Wが軽量である場合あるいは揺動半
径r,回転数fが小さい場合に、(4)式より遠心力Fc
小さくなり、固定スクロール9に対する揺動スクロール
12の押付力(径方向)が十分に作用するものではなかっ
た。これは、(3)式よりガス負荷FG>−Fc/tanα:
(α<0)の場合には接触力FR<0となることから理解
することができる。この結果、固定スクロール9と揺動
スクロール12の径方向間隙CがC=0とならず、良好な
圧縮作用が行われなくなるという問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、固
定スクロールと揺動スクロールの径方向間隙Cを常時C
=0に設定することができ、もって良好な圧縮作用が行
われるスクロール圧縮機を提供するものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明に係るスクロール圧縮機は、揺動スクロールの
台板背面にクランク軸を連結する揺動軸受を、クランク
軸の軸線と直角な面内でスライド可能に構成し、かつこ
の揺動軸受のスライド方向を揺動スクロールの遠心力方
向の作用力線よりクランク軸の反回転方向に所定の角度
をなすように設定しているものである。
〔作 用〕
本発明においては、揺動スクロールの重量が軽量であ
る場合あるいは揺動半径,回転数が小さい場合にも、揺
動軸受のスライド移動による固定スクロールに対する揺
動スクロールの接触力をガス負荷の分力によって増加さ
せることができる。
〔実施例〕
以下、本発明の構成等を図に示す実施例によって詳細
に説明する。
第1図は本発明に係るスクロール圧縮機における揺動
軸受の運動状態を示す横断面図、第2図は同じく本発明
におけるスクロール圧縮機の全体を示す縦断面図であ
る。同図において、符号21で示すものは水平方向に延在
する軸線をもつ密閉容器で、内底部には潤滑油が貯溜す
る油溜め22が設けられている。23は一側に開口する凹孔
24を有する第1の軸受支えで、前記密閉容器21内に固定
されている。25は中央部に挿通孔26を有する第2の軸受
支えで、前記軸受支え23に所定の間隔をもって設けられ
ている。27は水平方向に延在する給油路28を有するクラ
ンク軸で、一端部が前記凹孔24に支承され、かつ前記挿
通孔26に挿通されている。29はスクロール駆動用のモー
タで、前記クランク軸27に固着されたモータロータ30お
よびこのモータロータ30の周囲に固定されたモータステ
ータ31からなり、前記両軸受支え23,25間に設けられて
いる。32は渦巻体33および台板34を有する固定スクロー
ルで、前記第2の軸受支え25に固定されている。35は前
記渦巻体33に偏心して組み合わされた渦巻体36および前
記台板34に対向する台板37を有する揺動スクロールで、
前記第2の軸受支え25に後述する揺動軸受を介して連結
されており、台板背面側にはモータ側に開口する嵌合孔
38が設けられている。39は前記クランク軸27の挿通端部
がその内部に臨む偏心孔40を有する揺動軸受で、前記嵌
合孔38内に装着されている。この揺動軸受39は、前記ク
ランク軸27の軸線と直角な面内にスライド可能な揺動軸
受によって構成されている。そして、この揺動軸受39の
スライド方向は、前記揺動スクロール35によって生じる
遠心力方向の作用力線より前記クランク軸27の反回転方
向に進む傾斜角αをもつ線上に設定されている。また、
41は前記第2の軸受支え25に対して前記揺動スクロール
35を揺動可能に連結し、かつ前記揺動スクロール35の自
転を防止するリング状のオルダム継手、42は前記両スク
ロール32,35間に形成される圧縮室である。なお、図中
符号rは偏心量、FCは揺動スクロール35の旋回運動時に
発生する遠心力、Fgは遠心力と直角な方向に作用するガ
ス負荷、Fgrは遠心力と反対方向に作用するガス負荷、F
nおよびμは各々揺動軸受39と揺動スクロール35間の
接触力,摩擦係数、FRおよびμは各々固定スクロール
32と揺動スクロール35間の遠心力方向接触力,摩擦係
数、Bはクランク軸27の回転方向、Cは両スクロール3
2,35間の半径方向の間隙、αは揺動軸受39のスライド方
向作用線と揺動スクロール35の遠心力方向作用力線との
なす角度(遠心力方向作用力線よりクランク軸27の反回
転方向を正とする)である。また、43は前記偏心孔40に
嵌合する前記クランク軸27の先端部である。
このように構成されたスクロール圧縮機においては、
揺動スクロール35の重量Wが軽量である場合あるいは揺
動半径r,回転数fが小さい場合にも、揺動軸受39のスラ
イド移動による固定スクロール32に対する揺動スクロー
ル35の接触力FRをガス負荷Fg,Fgrの分力によって増加さ
せることができるから、固定スクロール32と揺動スクロ
ール35の径方向間隙Cを常時C=0に設定することがで
きる。
次に、本発明におけるスクロール圧縮機の揺動軸受39
の運動状態について説明する。
すなわち、定常運転時には、遠心力FCとガス負荷Fg,F
grによる合成力の分力F′によって揺動軸受39が揺動ス
クロール35を固定スクロール32に押し付けるまでスライ
ド移動する。ここで、揺動軸受39に作用する力は遠心力
FC,ガス負荷FgとFgr,固定スクロール32と揺動スクロー
ル35間に作用する接触力の反力Fnおよびその摩擦力μnF
nであるから、揺動軸受39のスライド方向とこの方向に
直角な方向の力の釣り合いを考えると、次式が導かれ
る。
(Fc−Fgr−FR)cosα+(Fg+μRFR)sinα=μnFn
(5) (Fc−Fgr−FR)sinα+(Fg+μRFR)cosα=−Fn
(6) (5),(6)式よりFnを消去し、FRについて解け
ば、固定スクロール32と揺動スクロール35間の接触力FR
を次式で表すことができる。
FR={(Fc−Fgr)(cosα+μnsinα) +Fg(sinα−μncosα)}/{(μμ+1)cosα +(μ−μ)sinα} …(7) なお、(7)式において、μ=μ=Fgr=0と
し、揺動軸受39に作用する力を簡素化すると、(3)式
を得ることができる。ただし、この場合は,α>0とな
る。
ここで、揺動軸受39の傾斜角αに対する固定スクロー
ル32と揺動スクロール35間の接触力FRの変化をガス負荷
Fgで無次元化すると、第3図に示すようになる。但し、
μRn,FgrおよびFgにはμ=μ=0.1,Fgr/Fg=0.1
の関係がある。また、遠心力FCをパラメータとすると、
(実線)はFC/Fg=0.25、(一点鎖線)はFC/Fg=0.
1、(二点鎖線)はFC/Fg=0.05の場合を示す。これ
は、ルームエアコン級のスクロール圧縮機の標準条件を
おける負荷特性に相当する。
これにより、遠心力Fcが小さい場合(FC/Fg=0.05,0.
1)には、傾斜角αがある領域でFR<0となり、揺動ス
クロール35を固定スクロール32に押し付けて半径方向の
間隙Cを常時C=0に設定することが不可能となる領域
があり、傾斜角αを揺動スクロール35の遠心力方向の作
用力線よりクランク軸27の反回転方向(α>0)に向か
って進む角度に設定すれば、所定の傾斜角α(α≒5.7
゜at Fc/Fg=0.1,α≒8.6゜at Fc/Fg=0.05)からFR
0となり、揺動スクロール35を固定スクロール32に押し
付けて半径方向の間隙Cを常時C=0に設定できること
が理解できる。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明によれば、揺動スクロール
の台板背面にクランク軸を連結する揺動軸受を、クラン
ク軸の軸線と直角な面内でスライド可能に構成し、かつ
この揺動軸受のスライド方向を、スクロール圧縮機の運
転領域に対して固定スクロールに対する揺動スクロール
の接触力FRがFR>0となるように、揺動スクロールの
遠心力方向の作用力線よりクランク軸の反回転方向に所
定の角度をなすように設定しているので、揺動スクロー
ルの重量が軽量である場合あるいは揺動半径,回転数が
小さい場合にも、揺動軸受のスライド移動による固定ス
クロールに対する揺動スクロールの接触力をガス負荷の
分力によって増加させることができる。したがって、固
定スクロールと揺動スクロールの径方向間隙Cを常時C
=0に設定することができるから、良好な圧縮作用が行
われる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係るスクロール圧縮機における揺動軸
受の運動状態を示す横断面図、第2図は同じく本発明に
おけるスクロール圧縮機の全体を示す縦断面図、第3図
はスクロール圧縮機の負荷特性を示す図、第4図は従来
のスクロール圧縮機の全体を示す縦断面図、第5図はそ
の揺動軸受の運動状態を示す横断面図である。 27……クランク軸、32……固定スクロール、33……渦巻
体、35……揺動スクロール、36……渦巻体、39……揺動
軸受、FC……揺動スクロール35の旋回運動時に発生する
遠心力、Fg……遠心力と直角な方向に作用するガス負
荷、Fgr……遠心力と反対方向に作用するガス負荷、Fn
……各々揺動軸受と揺動スクロール間の接触力、FR……
固定スクロールと揺動スクロール間の遠心力方向接触
力、C……固定スクロールと揺動スクロール間の半径方
向の間隙、α……揺動軸受のスライド方向作用力線と揺
動スクロールの遠心力方向作用力線とのなす角度。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 利之 静岡県静岡市小鹿3丁目18番1号 三菱 電機株式会社静岡製作所内 (56)参考文献 特開 昭62−282186(JP,A) 特開 昭62−162786(JP,A) 特開 昭59−120794(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】渦巻体および台板を有する固定スクロール
    と、この固定スクロールの渦巻体に偏心して組み合わさ
    れた渦巻体および前記台板に対向する台板を有する揺動
    スクロールと、この揺動スクロールの台板背面に揺動軸
    受を介して連結され前記両台板の軸線方向に延在するク
    ランク軸とを備えたスクロール圧縮機において、 前記揺動軸受を、前記クランク軸の軸線と直角な面内で
    スライド可能に構成し、かつこの揺動軸受のスライド方
    向を前記揺動スクロールの遠心力方向の作用力線より前
    記クランク軸の反回転方向に所定の角度をなすように設
    定していることを特徴とするスクロール圧縮機。
JP2029127A 1990-02-07 1990-02-07 スクロール圧縮機 Expired - Lifetime JP2616093B2 (ja)

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