JP2613375B2 - ポリプロピレン延伸フイルム - Google Patents

ポリプロピレン延伸フイルム

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は高温下での加熱処理後の滑り性,あるいは高
温時の滑り性の良好なポリプロピレン延伸フィルムに関
する。
<従来の技術> ポリプロピレン延伸フィルムは光学的性質,機械的性
質,収縮特性,包装特性等が優れていることから,食品
包装及び繊維包装などの用途に広く使用されている。し
かしながら,従来から公知のポリプロピレン延伸フィル
ムは高温下での保管や加熱処理を行うことにより,フィ
ルムの重要な特性である滑り性が悪化し,印刷工程や高
速包装時等においてトラブルを発生し易いという欠点が
あった。
<発明が解決しようとする問題点> 本発明の目的は,前述した高温下での保管や加熱処理
を行うこと等によって,従来公知のポリプロピレン延伸
フィルムで発生する滑り性の悪化の程度が極めて少な
く,印刷工程や包装時においてトラブルの発生しないフ
ィルムを提供せんとするものである。
<問題点を解決するための手段> 本発明は、メルトフローインデックス1〜50g/10分、
融点110℃〜145℃、エチレン含有量0〜7.0重量%、ブ
テン−1含有量0〜30重量%、プロピレン含有量70〜98
重量%の結晶性プロピレン−α−オレフィン共重合体10
0重量部に対し、滑剤として融点107℃〜120℃の飽和脂
肪酸アミド0.07〜1.0重量部を添加した組成物から、溶
融押出しの後延伸して得られたフイルムであって、初期
滑り性が0.7以下であり、かつ60℃加熱後の滑り性が0.6
以下であることを特徴とするポリプロピレン延伸フィル
ムに係るものである。
以下具体的に詳述する。
本発明に使用される結晶性ポリプロピレンとしては,
延伸フィルム用途に使用が可能なものであれば特に限定
されないが,融点が100℃〜150℃の範囲内にあるエチレ
ン含有量0〜10重量%,ブテン−1含有量0〜35重量
%,プロピレン含有量65〜98重量%の結晶性プロピレン
−α−オレフィン共重合体が包装適性の点で好ましい。
融点が100℃未満の結晶性プロピレン−α−オレフィン
共重合体の場合には剛性が不足し、また融点が150℃を
越える共重合体の場合にはヒートシール性や収縮特性が
不足するため,包装時にトラブルが発生し易くなる。特
に好ましくはメルトフローインデックス1〜50g/10分,
融点110℃〜145℃,エチレン含有量0〜7.0重量%,ブ
テン−1含有量0〜30重量%,プロピレン含有量70〜98
重量%の結晶性プロピレン−α−オレフィン共重合体が
用いられる。
なお,これらの結晶性ポリプロピレンには,ポリエチ
レン等他の樹脂を0.1〜10重量%の範囲で含むこともで
きる。
本発明に使用される滑剤としては,融点が107℃〜120
℃の範囲のものであり,C16〜C22の飽和脂肪酸アミドと
その誘導体の単品または混合物が例示される。更に具体
的には,例えば,ベヘニン酸アミド,を主成分とするも
のが例示されるが,本発明の要件を満たすものであれば
特に限定されない。滑剤の融点が107℃未満のもので
は,初期滑り性は良好な場合が多いが,高温下での滑り
性が極端に悪化するか又は製膜時にロール汚れが発生す
るために好ましくなく、また融点が120℃を越えるもの
では、初期滑り性そのものが発現しないため好ましくな
い。
更に本発明に使用する滑剤としては,滑剤の混合物の
融点が100℃〜120℃の範囲に入るものであれば,前述の
融点が107℃〜120℃の滑剤(以下,滑剤〔A〕と称す
る)と下記に示す低融点の滑剤(以下,滑剤〔B〕と称
する)との混合物が使用できる。
滑剤〔B〕は,融点が75℃〜90℃の範囲のものであ
り,C18〜C22の不飽和脂肪酸アミドとその誘導体が例示
される。更に具体的には,例えばオレイン酸アミド,エ
ルカ酸アミド,等を主成分とするものが例示されるが,
本発明の要件を満たすものであれば,特に限定されな
い。滑剤〔B〕の融点が75℃未満のものでは,高温下で
の滑り性が悪化するために好ましくなく,また融点が90
℃を越えるものでは,滑剤〔A〕との併用効果が小さい
ため好ましくない。
滑剤〔A〕と滑剤〔B〕の混合系においては,融点が
107℃〜120℃の飽和脂肪酸アミドを滑剤〔A〕として,
融点が75℃〜90℃の不飽和脂肪酸アミドを滑剤〔B〕と
して,滑剤の混合物の融点が100℃〜120℃の範囲にある
ものが製膜時の発煙性や初期滑り性と加熱後滑り性のバ
ランスなどの点から更に好ましい。
本発明の滑剤の配合量は,初期滑り性及び加熱後滑り
性において本発明の要件を満たす範囲であれば特に限定
されないが,結晶性ポリプロピレン100重量部に対して
0.07〜1.0重量部,更に好ましくは0.1〜0.3重量部であ
る。配合量が0.07重量部未満では初期滑り性,または加
熱後滑り性が不足するため好ましくなく,一方,必要以
上に多量に配合するとフィルム表面にプリードアウトし
て,ポリプロピレンフィルムの本来有する特性が損なわ
れたり,経済性の面からも好ましくない。
本発明のポリプロピレン延伸フィルムは,下記に示す
特徴を有するものである。すなわち,初期滑り性(例え
ば,製膜後30℃〜35℃の条件下で1日〜3日間程度エー
ジングを行って達成される)が0.7以下であり,かつ60
℃加熱後の滑り性が0.6以下であることが必要である。
初期滑り性が0.7を越える場合は製膜後の取扱い時や,
印刷工程などの二次加工工程において滑り性が不足して
好ましくなく,また60℃加熱後の滑り性が0.6を越える
場合は,夏季の高温時の保管や高速包装時に滑り不良が
発生して好ましくない。
本発明のポリプロピレン延伸フィルムは,上記のよう
に初期滑り性が良好であり,かつ高温下での滑り性が良
好なものであるため,夏季や高速包装時等の高温条件下
を経過した後も,公知のフィルムの滑り性が大巾に悪化
するのに対して,極めて安定した滑り性を発揮する。こ
のため,二次加工工程や高速包装工程において滑り不良
によるトラブルが発生することなく,経済的に極めて優
れたフィルムである。
本発明のポリプロピレン延伸フィルムの滑り性は,初
期滑り性0.6以下,60℃加熱後の滑り性が0.5以下が更に
好ましい。
本発明のポリプロピレン延伸フィルムは,T−ダイ法,
またはチューブラー法等の公知の方法で本発明の組成物
を溶融押出し,その後に一軸または二軸に延伸を別々
に,あるいは同時に一方向に3〜20倍,好ましくは4〜
10倍の範囲で延伸することによって製造が可能である。
また,本発明のポリプロピレン延伸フィルムとして
は,基材層に別種の結晶性ポリプロピレンを使用して,
少なくとも片面に本発明の組成物からなる層を持つポリ
プロピレン延伸複合フィルムとしても製造が可能であ
る。延伸複合フィルムの製造は,基材と本発明の組成物
を共押しする方法,あるいは基材を溶融状態で押出し,
縦軸あるいは横軸いずれかの方向に一軸延伸した後,本
発明の組成物を溶融状態で押出すか,あるいは固化した
フィルムの状態で積層し,更に異なる方向への延伸を施
す方法で可能である。
本発明によるポリプロピレン延伸フィルムには,酸化
防止剤,紫外線吸収剤,帯電防止剤,防曇剤,抗ブロッ
キング剤,及び造核剤などの公知の添加剤を必要に応じ
て含むことができる。また,本発明のポリプロピレン延
伸フィルムを通常工業的に採用されている方法によって
コロナ放電処理,あるいは火災処理等の表面を施すこと
もできる。
<実施例> 本発明をさらに明確に説明するために,以下に実施例
ならびに比較例を記すが,本発明はこれらの実施例によ
ってのみ限定されるものではない。なお,以下の例中の
特性値は下記の方法で測定したものである。
(1) メルトフローインデックス JIS K 6758によっ
た。
(2) 融点 試料5〜10mgを固体試料用のサンプルホルダーに封入
したものを,示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DS
C)で窒素雰囲気中で5℃/分の昇温速度で測定した。
得られた融解図形において最大の吸熱量を示したピーク
温度を融点とした。
なお,試料が滑剤の混合物または結晶性ポリプロピレ
ンの場合には,あらかじめ,それぞれ次の前処理をした
ものについて測定した。
前処理の方法 (滑剤の混合物) 滑剤を混ぜ合わせたものを乳鉢ですりつぶして混合し
た後,固体試料用サンプルホルダーに入れ,150℃で30秒
間加熱し,その後室温に半日放置した。
(結晶性ポリプロピレン) 試料を固体試料用サンプルホルダーに封入したもの
を,DSCで窒素雰囲気中で220℃で5分間溶融した後,5℃
/分の降温速度で40℃まで降温する。
(3) エチレン含有量,ブテン−1含有量 エチレン含有量:高分子分析ハンドブック(1985年,
朝倉書店発行)の256ページ“(i)ランダム共重合
体”の項記載の方法によってIRスペクトル法で決定し
た。
ブテン−1含有量:IRスペクトル法により次式から決定
した。
ブテン−1含有量(重量%)=1.208K′767 (4) ヘイズ ASTM D2457によった。
(5) 滑り性 ASTM D1894−63により,フィルム面同志の摩擦係数
を測定した。数値が小さい程,滑り性が良好であること
を示す。
実施例−1 結晶性ポリプロピレンとして,エチレン含有量2.1重
量%,ブテン−1含有量6.0重量%,プロピレン含有量9
1.9重量%であり,メルトフローインデックス5.2g/10
分,融点138℃の結晶性プロピレン−エチレン−ブテン
−1三元共重合体に,滑剤としてBNT−22H(融点113℃
日本精化製)0.12重量部を配合し,さらに0.05重量部の
ステアリン酸カルシウム,0.1重量部のスミライザー BH
T(住友化学製),0.2重量部のサイロイド 244(富士デ
ビソン社製)を配合して混合した。この混合物を210℃
に加熱された押出機で溶融押出し,押出されたストラン
ドを切断してペレットを得た。
〔延伸フィルムの製膜と物性〕
前記ペレットを40mmφシート押出機にて,樹脂温度23
0℃で溶融押出しを行い,25℃で冷却固化することによっ
て厚さ500μのシートを得た。シート加工中,発煙状態
および冷却ロール面のロール汚れを観察したところ,両
者共にほとんど認められなかった。
次いで,得られたシートを延伸温度120℃で小型二軸
延伸装置で縦,横それぞれ5倍で同時二軸延伸を行い,
厚み約20μの延伸フィルムを得た。
得られたフィルムを空気循環式の恒温槽中で35℃で1
日間前処理を行った。このフィルムはヘイズ2.8%,滑
り性0.45であった。次いで,このフィルムを60℃に加熱
された循環式恒温槽中で24時間加熱処理を行い,室温に
取り出し1時間放置した後に,滑り性を測定したところ
0.25であった。
更に,高温下での滑り性(ホットスリップ性)を測定
する意味で,前記のフィルムを80℃に加熱された循環式
恒温槽中で10分間加熱した後に,室温に取り出して1分
以内の短時間で滑り性を測定したところ0.36であった。
この二軸延伸フィルムは収縮包装用フィルム用途に好適
なものであった。
実施例−2 滑剤としてBNT−22H(融点113℃,日本精化製)0.09
重量部と,ニュートロン −S(融点85℃,日本精化
製)0.03重量部とを配合した以外は,実施例−1と同様
に調製して延伸フィルムとした。
得られたフィルムの性能を第1表に示した。なお,上
記のBNT−22Hとニュートロン −Sとを上記の割合(9/
3)で混ぜ合わせた混合物は融点が108℃であった。
比較例−1 滑剤としてアーマイド HT(融点104℃,ライオン油
脂製)0.12重量部を用いた以外は,実施例−1と同様に
調整して延伸フィルムとした。得られたフィルムの性能
を第1表に示した。
実施例−3〜4,比較例−2〜6 滑剤の種類および添加量を変更した以外は,実施例−
1と同様に調整して延伸フィルムとした。得られたフィ
ルムの性能を第1表に示した。
実施例−5〜7 結晶性ポリプロピレンとして,エチレン含有量6.0重
量%,プロピレン含有量94.0重量%であり,メルトフロ
ーインデックス12.5g/10分,融点134℃の結晶性プロピ
レン−エチレン共重合体100重量部,またはブテン−1
含有量19.1重量%,プロピレン含有量80.9重量%であ
り,メルトフローインデックス3.5g/10分,融点139℃の
結晶性プロピレン−ブテン−1共重合体100重量部,ま
たはブテン−1含有量26.2重量%,プロピレン含有量7
3.8重量%,メルトフローインデックス4.1g/10分,融点
117℃の結晶性プロピレン−ブテン−1共重合体100重量
部に,滑剤として,BNT−22H(融点113℃,日本精化製)
0.2重量部を用いた以外は,実施例−1と同様に調整し
て延伸フィルムとした。得られたフィルムの性能を第2
表に示した。
実施例−8 実施例−6で使用した結晶性プロピレン−ブテン−1
共重合体100重量部に,メルトフローインデックス8g/10
分,密度0.96g/cm3の高密度ポリエチレンを1.0重量部配
合し,滑剤としてBNT−22H(融点113℃,日本精化製)
0.25重量部を配合し,更に0.1重量部のスミライザー B
HT(住友化学製),0.2重量部のサイロイド 244(富士
デビソン社製)を配合して,実施例−1の方法によりペ
レットとした。
〔延伸フィルムの製膜と物性〕
滑剤無添加の結晶性ポリプロピレン住友ノーブレン
F32011D(メルトフローインデックス2.6g/10分,融点16
0℃)をシート押出機にて,樹脂温度280℃で溶融押出し
を行い,20℃の冷却ロールにて冷却固化することによ
り,厚さ500μのシートを得た。次いで,前記組成物
(ペレット)を樹脂温度280℃に設定した押出ラミネー
ターにて溶融押出しし,上記結晶性ポリプロピレンシー
トの片面に50μの厚みで積層した。得られた積層品を延
伸温度150℃で小型二軸延伸装置で縦,横それぞれ5倍
で同時二軸延伸を行い,厚さ約22μの積層フィルムを得
た。得られたフィルムの性能を第3表に示した。
比較例−7 滑剤としてデノン SL−1(融点79℃,丸菱油化製)
0.25重量部を用いた以外は,実施例−8と同様に調整し
て延伸フィルムとした。得られたフィルムの性能を第3
表に示した。
<発明の効果> 本発明により,高温での加熱処理後の滑り性あるいは
高温時の滑り性が極めて良好で,かつ製膜時におけるロ
ール汚れ,二次加工工程や包装時の適性が著しく改良さ
れたポリプロピレン延伸フィルムが提供される。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】メルトフローインデックス1〜50g/10分、
    融点110℃〜145℃、エチレン含有量0〜7.0重量%、ブ
    テン−1含有量0〜30重量%、プロピレン含有量70〜98
    重量%の結晶性プロピレン−α−オレフィン共重合体10
    0重量部に対し、滑剤として融点107℃〜120℃の飽和脂
    肪酸アミド0.07〜1.0重量部を添加した組成物から、溶
    融押出しの後延伸して得られたフイルムであって、初期
    滑り性が0.7以下であり、かつ60℃加熱後の滑り性が0.6
    以下であることを特徴とするポリプロピレン延伸フィル
    ム。
  2. 【請求項2】滑剤が、融点107℃〜120℃の飽和脂肪酸ア
    ミドと融点75℃〜90℃の不飽和脂肪酸アミド併用系であ
    り、滑剤の混合物の融点が、100℃〜120℃である特許請
    求の範囲第1項記載のポリプロピレン延伸フィルム。
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