JP2612638B2 - セメントパネル及びセメントパネルの製造方法 - Google Patents

セメントパネル及びセメントパネルの製造方法

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JP2612638B2 JP2321930A JP32193090A JP2612638B2 JP 2612638 B2 JP2612638 B2 JP 2612638B2 JP 2321930 A JP2321930 A JP 2321930A JP 32193090 A JP32193090 A JP 32193090A JP 2612638 B2 JP2612638 B2 JP 2612638B2
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晴雄 田中
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、建造物において遮音あるいは床下配線又は
床下通気等を目的として構成される二重床等に使用され
るセメントパネル及びその製造方法に関する。
「従来の技術」 従来、建造物における遮音あるいは床下配線又は空調
のための床下通気等を目的として設けられる床構造であ
って、パネルを床下地上に支柱を介して複数敷き詰めて
構成する二重床が知られている。
この二重床用のパネルには、モルタル等のセメント材
よりなる成形品が使用される場合があるが、この場合に
は引張強度が低いセメント材を補強するために例えばカ
ーボン繊維等よりなる補強筋が埋め込まれた成形品が使
用されていた。
そして従来、このようなセメントパネルは、針金等に
より補強筋を予め格子ネット状に組んでおき、この格子
ネット状の補強筋を型内に投入した後、型内にセメント
材を流し込んでプレス成形して製造されており、また表
面にはセメント材が露出した状態で使用されていた。
「発明が解決しようとする課題」 このため、補強筋が所定の位置に埋設されずにパネル
に要求される所定の強度が確保できないという問題や、
補強筋を予め組み合わせしかもなんら案内のない状態で
型内に位置決めなければならないので、製造作業が困難
で手数がかかるという問題があった。
すなわち、二重床として組み込まれたセメントパネル
上に荷重が加わると、引張応力が生じるのは下面側であ
る。そして、補強筋とセメント材との接触部において補
強筋に引張荷重が伝えられセメント材の引張破壊が防止
されるわけである。したがって、補強筋はセメントパネ
ル内の下面側に露出しない状態で(なるべく大きな表面
積でセメント材に接触した状態で)均等に複数配置され
ることが理想である。
ところが、従来のような製造方法であると、補強筋の
位置決めが困難であるので、このような理想的な配置で
補強筋を埋設することが非常に難しかった。
また、二重床に使用された場合には、床下側にセメン
ト材が露出することになるので、床下を空調のための通
気路として使用する場合にはセメント材の発塵が問題と
なっていた。
本発明は上記従来の問題点に鑑みなされたものであっ
て、補強筋が所定の位置に配置されて十分な強度が発揮
でき、しかもこのような品質のものを安定的に製造する
ことが容易であるとともに、通気用の二重床に使用して
も発塵が問題とならないセメントパネル及びそのための
セメントパネルの製造方法を提供することを目的として
いる。
「課題を解決するための手段」 本発明のセメントパネルは、底部に複数の溝が形成さ
れたトレーと、該トレーの溝内にそれぞれ配置された補
強筋と、該補強筋を埋め込んだ状態で前記トレー内に充
填されたセメント材とよりなることを特徴とし、さら
に、前記トレーを、透水性を有する材料により構成した
ものである。
そして、前記溝の内面には前記補強筋を前記溝の内面
から離間させた状態に支持する突起が形成されているこ
とを特徴としている。
また、本発明のセメントパネルの製造方法は、補強筋
が内部に埋め込まれたセメントパネルを製造するに際し
て、 底部に複数の溝が形成され、透水性材料からなるトレ
ーを下型で支持し、該トレーの溝内にそれぞれ補強筋を
配置し、前記トレー内に未硬化のセメント材を流し込ん
だ後、上型を下型に向けて押し付けて前記トレー内のセ
メント材をプレス成形して硬化させることにより、前記
トレーと一体となった成形品として前記セメントパネル
を製造することを特徴としている。
そして、前記補強筋は前記溝の内面に形成された突起
によって前記溝の内面から離間させた状態に支持するよ
うにし、この状態で前記セメント材の流し込み及びプレ
ス成形を行うようにしたことを特徴としている。
「作用」 請求項1又は請求項3記載のセメントパネルあるいは
セメントパネル製造方法によれば、補強筋はトレーの溝
内に落とし込むだけで容易に位置決されてセメントパネ
ル内の下面側の所定位置に配置できるとともに、セメン
トパネルの下面はトレーにより覆われた状態となる。こ
のため、簡単な作業で強度的に優れたセメントパネルを
安定的に製造できるようになるとともに、二重床に使用
した場合におけるセメント材の発塵が問題とならないば
かりでなく、圧縮時に発生した水をトレーを介して下型
側より排水することができる。
さらに、請求項2又は請求項4記載のセメントパネル
あるいはセメントパネルの製造方法によれば、セメント
パネル内において、補強筋はトレーの溝内面の突起のみ
に接触した状態で支持されて補強筋の表面のほとんどは
セメント材により覆われることになるので、補強筋とセ
メント材との接触面積が大きくなりさらに強度的に有利
なものとなる。
「実施例」 以下、本発明の一実施例を第1図〜第6図により説明
する。
第1図において、全体として示すものが本実施例のセ
メントパネル1である。
このセメントパネル1は、底部に複数の溝2,3が形成
されたトレー4と、該トレー4の溝2,3内に一筋づつ配
置された補強筋5と、該補強筋5を埋め込んだ状態で前
記トレー4内に充填されたセメント材6とよりなる。
ここで、トレー4は、第4図に示すように、全体とし
て矩形の皿状に形成されたもので、前記溝2,3はそれぞ
れ縦方向と横方向とに複数形成され全体として格子状を
なしている。このトレー4の各溝2,3の内側面には、符
号2a,3aで示すような突起が溝の長手方向に複数形成さ
れ、これら突起2a,3aにより補強筋5が溝2,3の内面から
離間した状態に支持される構成とされている。
また、このトレー4の溝2の深さ寸法は、少なくとも
補強筋5の直径以上に溝3の深さよりも大きく設定され
ており、溝2に配置される補強筋5と溝3に配置される
補強筋5とがその交差位置において接触しないように構
成されている。
なお、このトレー4としては、合成樹脂材を真空成形
によって成形してなる厚さ0.02mm程度のものを使用でき
るが、これに限らず、例えば後述するように透水性を有
する材料によって形成してもよい。
また、補強筋5としては、例えば、アラミド繊維5aを
第3図に示すように組紐状に編み、エポキシ樹脂を含浸
させて硬化させることにより、全体として表面に凹凸の
ある棒状の形に固めたものを使用することが好ましい。
このような補強筋5であると、凹凸によって表面が入り
組むとともにその表面積が大きくなるので、後述する如
くセメントパネルの強度がさらに向上するのである。
また、セメント材6としては、従来より用いられてい
るモルタルあるいは骨材の入ったコンクート等を使用で
きる。
上記のような構成のセメントパネル1は、例えば以下
のようにして容易に製造できる。
すなわち、第6図に示すように、トレー4が嵌まり込
むような底面形状とされた下型10によりトレー4を支持
し、トレー4の溝2,3内に順次補強筋5をそれぞれ投入
し、トレー4内に未硬化のセメント材6(第6図におい
ては図示略)を流し込んだ後、下型10に対向しつつ上下
する上型11を下型10に向けて押し付けてトレー4内のセ
メント材6をプレス成形して硬化させればよい。
この際、補強筋5は側面がテーパ状とされた溝2,3に
落とし込むだけで位置決めされる。
また、前述のように各補強筋5は溝の内面から浮いて
おり、又補強筋5同士も接触していないので、セメント
材6は各補強筋5の略全体を覆うようにトレー4内の隅
々に入り込む。
なお、セメント材6をプレス成形する際にセメント6
から染み出る水は、上型11に形成された複数の排水通路
11aを介して真空ブロア等により吸い出すようにすれば
よい。また、この際、上型11とセメント材6との間には
脱水布等よりなる濾過板体12を介装させるようにすれ
ば、セメント材6の表面は滑らかに成形される。
また、前述したようにトレー4の材質を透湿性を有す
る材料とした場合には、下型10に排水通路を形成して水
を排出でき、この場合濾過板体12は不要になる。
さらに、トレー4の供給,セメント材6の投入,補強
金5の供給,あるいは完成品の取り出し等は、特公平1
−23286号公報に記載されたものと同様な構成の装置を
使用して自動的に行うことができるが、この場合にも補
強筋5は溝2,3内に落とし込むだけで位置決できるので
あり、またトレー4が下型10とセメント材6との間に介
装されるので脱型も容易である。
以上説明した本実施例のセメントパネル1あるいはそ
の製造方法によれば、以下のような効果がある。
すなわち、補強筋5はトレー4の溝2,3内に落とし込
むだけで容易に位置決されてセメントパネル内の下面側
に一定ピッチで格子状に配置できるとともに、セメント
パネル1の下面はトレー4により覆われた状態になる。
このため、簡単な作業で強度的に優れたセメントパネル
1を安定的に製造できるようになるとともに、二重床に
使用した場合にセメント材6が床下に露出せずにその発
塵が問題とならなくなる。
さらに、セメントパネル1内において、補強筋5はト
レー4の溝2,3内の突起2a,3aのみに接触した状態で支持
されて補強筋5の表面のほとんどはセメント材6より覆
われることになり、しかも補強筋5の表面は凹凸状であ
るので、補強筋5とセメント材6との接触面積が極めて
大きくなりさらにセメントパネルが強度的に有利なもの
となるという効果がある。
また、本実施例の場合、トレー4の下面(セメントパ
ネル1の下面)を凹凸状にすることによって、補強筋5
を配置する溝2,3を形成しているので、底面を平滑な面
とした場合よりも、材料を減量することができるととも
に、この下面に形成された連続する凸状部がリブ効果を
発揮してさらに高強度なセメントパネルとなっている。
なお、本発明は上記実施態様に限られるものでなく各
種の変形が有り得る。
例えば、トレー4の溝2,3の形状すなわち補強筋5の
配置形状は、格子状に限られず放射状としてもよい。
「発明の効果」 以上の説明から明らかなように、本発明によれば、セ
メントパネル内において補強筋が下面側の所定位置に配
置されてセメントパネルの十分な強度が確保でき、しか
もこのような品質のセメントパネルを安定的に製造する
ことが容易になるとともに、セメントパネルを通気用の
二重床に使用しても発塵が問題にならないという効果が
ある。また、トレーが透水性を有しているから、圧縮時
に発生した水をトレーを介して下型側へ排出することが
できる。という効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第6図は本発明の一実施例を示す図であって、
第1図はセメントパネルの斜視図、第2図はセメントパ
ネルの側断面の拡大図、第3図は補強筋を説明するため
の斜視図、第4図はトレーの平面図、第5図はトレーの
側断面図、第6図はセメントパネルの製造工程を説明す
るための図である。 1……セメントパネル、2,3……溝、 2a,3a……突起、4……トレー、 5……補強筋、6……セメント材、 10……下型、11……上型。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】底部に複数の溝が形成されたトレーと、該
    トレーの溝内にそれぞれ配置された補強筋と、該補強筋
    を埋め込んだ状態で前記トレー内に充填されたセメント
    材とよりなり、前記トレーは、透水性を有する材料によ
    り構成されたことを特徴とするセメントパネル。
  2. 【請求項2】前記溝の内面には前記補強筋を前記溝の内
    面から離間させた状態に支持する突起が形成されたこと
    を特徴とする請求項1記載のセメントパネル。
  3. 【請求項3】補強筋が内部に埋め込まれたセメントパネ
    ルを製造するに際して、 底部に複数の溝が形成され、透水性を有する材料により
    構成されたトレーを下型で支持し、該トレー内に未硬化
    のセメント材を流し込んだ後、上型を下型に向けて押し
    付けて前記トレー内のセメント材をプレス成形して硬化
    させることにより、前記トレーと一体となった成形品と
    して前記セメントパネルを製造することを特徴とするセ
    メントパネルの製造方法。
  4. 【請求項4】前記補強筋は前記溝の内面に形成された突
    起によって前記溝の内面から離間させた状態に支持する
    ようにし、この状態で前記セメント材の流し込み及びプ
    レス成形を行うようにしたことを特徴とする請求項3記
    載のセメントパネルの製造方法。
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