JP2612069B2

JP2612069B2 - 射出成形機のシール機構

Info

Publication number: JP2612069B2
Application number: JP1175519A
Authority: JP
Inventors: 博義数面
Original assignee: Sumitomo Heavy Industries Ltd
Current assignee: Sumitomo Heavy Industries Ltd
Priority date: 1989-07-10
Filing date: 1989-07-10
Publication date: 1997-05-21
Anticipated expiration: 2012-05-21
Also published as: JPH0342221A

Description

【発明の詳細な説明】（産業上の利用分野）本発明は、スクリュ式の射出成形機において、成形材
料の逆流を防止するための射出成形機のシール機構に関
するものである。

（従来の技術）従来、加熱シリンダ内で加熱され流動化された成形材
料を高圧により金型内に射出し、その中で冷却固化又は
硬化させ、次いで金型を開いて成形品を取り出す射出成
形機には、プランジャを前後進させて射出成形するプラ
ンジャ型のものと、スクリュを前後進させて射出成形す
るスクリュ式のもの等があるが、プランジャ型のもの
は、スクリュ式のものに比べて材料の可塑化能力の点で
劣り、また射出圧力の損失も大きいなどの理由で、一般
にスクリュ式のものが使用されている。

第２図〜第５図により上記従来の射出成形機について
説明する。

第２図は従来の射出成形機の断面図、第３図は従来の
射出成形機に使用されているシール機構の要部断面図、
第４図は他のシール機構の要部断面図、第５図は更に他
のシール機構の要部断面図である。

図において、射出成形機の加熱シリンダ１の内部にス
クリュ２が回転自在かつ前後進自在に支持されている。
すなわち、駆動軸３は、スラストベアリングを介して図
示しない電動機又は油圧モータからなる駆動系に接続さ
れ、該駆動系によって前後進させられる。

第２図のスクリュ位置の状態は射出成形ショットを終
了した状態であるが、ここで次のショットに先駆けて、
成形材料５を溶融し、可塑化してヘッドの先端に蓄える
作業、すなわち計量が行われる。該計量においては、ス
クリュ２が上記駆動系に駆動されて後退し、この時、材
料供給口４から落下供給された成形材料５が、上記スク
リュ２の回転により溝６の中を前方に移動しつつ加熱シ
リンダ１内で溶融可塑化され、スクリュ２の前端に蓄え
られる。溶融可塑化に伴い発生する加熱シリンダ１内の
成形材料５の圧力は、スクリュ２に対する反力となり、
該反力でスクリュ２が後退するようになっている。

こうして、スクリュ２の前端部に蓄えられた成形材料
５は、続いて該スクリュ２を上記駆動系によって前方に
押し出すことによりノズル７から金型の中に射出され
る。

ここで、上記成形材料５は、金型内に射出される際に
加えられる射出力の反力によって、その一部が上記スク
リュ２の溝６を伝わって後方に逆流する。これを防止す
るため、第３図又は第４図に示すような逆止リング12が
スクリュ２の前端に配設されている。そして、該逆止リ
ング12がスクリュ２から抜けないように、スクリュ２の
本体部分とスクリュヘッド９とを別体で形成し、両者を
ネジ止めするようにしている。そして、スクリュヘッド
９の外径を上記逆止リング12の内径より大きくして、逆
止リング12が抜けないようにしている。

これら逆止リング12は、スクリュヘッド９との間に成
形材料のための流路13を形成しており、スクリュ２が後
退する計量工程においては、該流路13を介して成形材料
がスクリュ２の前方に送られる。一方、スクリュ２が前
進する射出工程においては、上記逆止リング12がスクリ
ュ端面に配設されるシールリング14に当接することによ
って上記流路13が閉鎖され、成形材料の逆流が防止され
る。

また、第５図に示す射出成形機のシール機構において
は、スクリュヘッド９内に、成形材料が流れる流路15及
び成形材料の流れを一方向にのみ許容する逆止弁16が形
成されている。

上記構造において、スクリュ２が後退する計量工程に
おいては、上記逆止弁16が開放されて成形材料がスクリ
ュ２の前方に送られる。一方、スクリュ２が前進する射
出工程においては、上記逆止弁16が閉鎖されることによ
って成形材料の逆流が防止される。

（発明が解決しようとする課題）しかしながら、上記従来の射出成形機のシール機構に
おいては、いずれも構造が複雑で、小径のスクリュに適
用することは困難であり、製造コストも高くなってしま
う。

また、一般に、射出成形は全部の成形材料を射出し終
わった状態で終了するようになっており、成形を再開す
る場合においては、計量の段階から作業が開始される。
また、何らかの理由で射出成形を中断せざるを得ない場
合においても同様に、成形材料を射出し終わった状態に
おいて中断させることが一般的であり、この場合にも計
量の段階から作業が開始される。

このように、いずれの場合にも射出成形は計量の段階
から再開され、再開の時には最初に上記スクリュ２が回
転されることになる。この時、第３図及び第４図の例に
おいては、加熱シリンダ１の内壁と逆止リング12の外周
間、また、第５図においては、加熱シリンダ１の内壁と
スクリュヘッド９の外周間に入った成形材料が、糊状と
なって固着していたりすると、上記逆止リング12又はス
クリュヘッド９がスクリュ２の回転に対する抵抗となっ
てスクリュ２に衝撃に与える原因となる。

例えば、第３図に示すように、スクリュヘッド９と逆
止リング12との間に係合部がなく、相互に自由な回転を
することができる「非とも廻り方式」の場合において
は、スクリュ２が回転しながら後退し、スクリュヘッド
９と逆止リング12が接触する瞬間に、その摩擦力によっ
て発生する回転衝撃力でスクリュヘッド９に捩じり負荷
が掛かることになる。

また、第４図に示すように、スクリュヘッド９と逆止
リング12との間に係合部分17があって、両者が一緒に回
転する「とも廻り方式」の逆止リング12にあっては、ス
クリュ２が回転を始めると、該逆止リング12が直接的に
抵抗となってスクリュ２に捩じり力が発生することにな
る。

さらに、第５図に示すように、スクリュヘッド９の外
周が直接加熱シリンダ１の内周に接触している場合にお
いては、スクリュ２が回転を始めると、スクリュヘッド
９が直接的に抵抗となってスクリュ２に捩じり力が発生
することになる。

上記のいずれの場合も、スクリュ２を回転させようと
するトルクに反して、加熱シリンダ１が上記逆止リング
12を介して、又は直接スクリュヘッド９を固定しようと
するため、該スクリュ２に衝撃を与えて切損させてしま
う。

また、計量中において第３図に示すものは、スクリュ
ヘッド９と逆止リング12間で成形材料が焼けることがあ
り、また、第４図及び第５図に示すものは、加熱シリン
ダ１と逆止リング12間、加熱シリンダ１とスクリュヘッ
ド９間での摩擦により摩耗が生じてしまう。

本発明は、以上述べたような問題点を解決して、射出
成形の終了後又は中断後に成形を再開する場合におい
て、スクリュヘッドが切損することがないようにすると
ともに、スクリュヘッドと逆止リング間での成形材料焼
け、また、加熱シリンダと逆止リング間、加熱シリンダ
とスクリュヘッド間の摩耗を抑制することが可能な射出
成形機のシール機構を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段）そのために、本発明の射出成形機のシール機構におい
ては、加熱シリンダと、該加熱シリンダ内に回転自在か
つ前後進自在に配設されたスクリュと、該スクリュの先
端に配設され、成形材料の逆流を防止する逆止リングと
を有する。

そして、上記スクリュの先端にロッドが形成され、該
ロッドの先端に突部が形成されるとともに、上記逆止リ
ングは円筒形を有し、中央にロッド貫通孔を、その周囲
に成形材料流路をそれぞれ備え、上記ロッドに沿って所
定距離だけ移動自在に配設される。

また、上記ロッド貫通孔の内周とロッドの外周との間
には間隙が形成され、上記成形材料流路は、上記スクリ
ュが前進したときにスクリュの端面によって閉鎖される
位置に形成される。

そして、上記突部は、径方向において上記成形材料流
路より内方に周縁を有する。

（作用）本発明によれば、上記のように射出成形機のシール機
構においては、加熱シリンダと、該加熱シリンダ内に回
転自在かつ前後進自在に配設されたスクリュと、該スク
リュの先端に配設され、成形材料の逆流を防止する逆止
リングとを有する。

この場合、計量工程において、上記スクリュが後退す
る際に、上記成形材料流路は開放され、成形材料は上記
成形材料流路を介して前方に流れる。

また、射出工程において、スクリュが前進する際に、
上記成形材料流路は閉鎖され、成形材料の逆流が防止さ
れる。

（実施例）以下、本発明の実施例について第１図に基づき詳細に
説明する。

第１図は本発明の射出成形機のシール機構を示す図、
第１図（Ａ）は射出成形機のシール機構の要部縦断面
図、第１図（Ｂ）は同横断面図である。

図において、スクリュ２の先端に、断面円形のロッド
31が突出形成される。該ロッド31には、断面が円筒形が
ロッド31より短い逆止リング32が配設されている。

該逆止リング32は、中央に貫通孔33を有していて、上
記ロッド31が貫通している。そして、ロッド31の先端に
は、上記逆止リング32の抜けを防止するために突部34が
形成されていて、その結果、逆止リング32は、スクリュ
２の端面に配設されたシールリング14と上記突部34間を
往復することができる。

上記逆止リング32は、中央の貫通孔33の近傍に複数の
成形材料流路35を形成しており、逆止リング32の前方端
と後方端とを連通している。該成形材料流路35は、逆止
リング32がスクリュ２の端面に当接してシールリング14
と接触したときに、その後端側が閉鎖される位置に配設
される。

また、上記逆止リング32の貫通孔33の内周とロッド31
の外周間には、間隙36が形成されている。該間隙36は、
貫通孔33とロッド31間に成形材料が進入して糊状となっ
て固着した場合、抵抗が少なくなるように形成される。

次に、上記構成からなる射出成形機のシール機構の動
作について説明する。

まず、計量工程において、スクリュ２が後退すると、
逆止リング32がロッド36の前方に移動し、突部34と当接
する。この時、スクリュ２と加熱シリンダ１間の成形材
料は、成形材料流路35を経て逆止リンダ32の前方に流
れ、加熱シリンダ１の前端部に溜められる。

射出工程においては、スクリュ２が前進するのに伴
い、逆止リンダ32の前後の成形材料圧力の差によって逆
止リング32は後方に移動し、スクリュ２の端面に配設さ
れるシールリング14に接触する。その結果、上記成形材
料流路35の後端部が閉鎖され、逆止リング32の前方にあ
る成形材料が射出される。

なお、本発明は上記実施例に限定されるものではな
く、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、
これらを本発明の範囲から排除するものではない。

（発明の効果）以上詳細に説明したように、本発明によれば、射出成
形機のシール機構においては、加熱シリンダと、該加熱
シリンダ内に回転自在かつ前後進自在に配設されたスク
リュと、該スクリュの先端に配設され、成形材料の逆流
を防止する逆止リングとを有する。

この場合、電源が投入され、スクリュが回転させられ
ると、加熱シリンダの内周と逆止リングの外周との間に
糊状に固着した成形材料が抵抗となってスクリュの回転
が阻止され、上記ロッドに捩じり力が加わるが、突部の
径が小さいので、トルクが小さくなる。

したがって、スクリュに加わる衝撃を小さくすること
ができ、ヘッド折れが発生するのを抑制することができ
る。

また、突部の径をｒとし、スクリュの角速度をωとし
たとき、突部と逆止リングとの間の周速ｖは、ｖ＝ｒω で示されるように小さくなる。

したがって、成形材料焼けが生じるのを防止すること
ができる。

そして、加熱シリンダと逆止リングとの間の摩耗が少
なくなるとともに、逆止リングの半径方向の変形量が少
なくなるので、逆止リングの割れを防止することができ
る。

さらに、成形材料流路の形状を変更することによっ
て、成形材料流路内における混練効果を向上させること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の射出成形機のシール機構を示す図、第
１図（Ａ）は射出成形機のシール機構の要部縦断面図、
第１図（Ｂ）は同横断面図、第２図は従来の射出成形機
の断面図、第３図は従来の射出成形機に使用されている
シール機構の要部断面図、第４図は他のシール機構の要
部断面図、第５図は更に他のシール機構の要部断面図で
ある。１……加熱シリンダ、２……スクリュ、14……シールリ
ング、31……ロッド、32……逆止リング、33……貫通
孔、34……突部、35……成形材料流路、36……間隙。

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】加熱シリンダと、該加熱シリンダ内に回転
自在かつ前後進自在に配設されたスクリュと、該スクリ
ュの先端に配設され、成形材料の逆流を防止する逆止リ
ングとを有する射出成形機のシール機構において、（ａ）上記スクリュの先端にロッドが形成され、（ｂ）該ロッドの先端に突部が形成されるとともに、（ｃ）上記逆止リングは円筒形を有し、中央にロッド貫
通孔を、その周囲に成形材料流路をそれぞれ備え、上記
ロッドに沿って所定距離だけ移動自在に配設され、（ｄ）上記ロッド貫通孔の内周とロッドの外周との間に
は間隙が形成され、（ｅ）上記成形材料流路は、上記スクリュが前進したと
きにスクリュの端面によって閉鎖される位置に形成さ
れ、（ｆ）上記突部は、径方向において上記成形材料流路よ
り内方に周縁を有することを特徴とする射出成形機のシ
ール機構。