JP2611192B2 - 静電潜像現像方法 - Google Patents

静電潜像現像方法

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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は電子写真法の一工程である静電潜像現像方法
に関する。
従来技術 既に、実用化されているこの種の現像方法として、磁
性トナーのみからなる粉体現像剤を用いる一成分現像方
法がある。しかし、この一成分現像方法は、トナーに関
しては現像時に導電性を、転写時には絶縁性をという互
いに相反する条件を要求されるという点で困難な問題が
あり、現状では、複写プロセスにあまり負担がかから
ず、転写特性が良好な高抵抗を有する磁性トナーを使用
し、種々の対策を講じて現像特性の向上を図っている。
この種の対策の一つとして、既に、本出願人によっ
て、高抵抗値を有する磁性トナーを使用し、現像スリー
ブ上のトナー層に磁性キャリアを予め混入しておくこと
により、現像スリーブ上でトナーを磁性キャリアと接触
させて静電潜像の極性と逆極性に摩擦帯電させた後に
(併せて現像スリーブの表面とも接触して同様に摩擦帯
電することもある)、静電潜像の現像に使用する現像方
法が提案されている。
この現像方法によれば、磁性キャリアの混入によって
磁性トナーの摩擦帯電の確実化,透磁率の向上による搬
送力増大やこれに起因するトナー凝集の防止、現像領域
での実質磁界,電界強度の増大等が図られ、現像特性の
大巾な向上を期待できる。しかし、その反面、使用され
る現像剤の種類に応じては、 (a)現像スリーブ上におけるキャリアの量を変更する
等しても、十分な濃度の現像画像が得られない。
(b)前記(a)の如き問題を有しない場合であって
も、現像の繰返しに伴い現像画像の濃度が徐々に低下し
てしまう。
等の現象の発生が本発明者等の実験によって経験され
た。
そして、これらの現象の発生原因につき探究したとこ
ろによると、その主原因は、本来の帯電極性とは逆極性
に摩擦帯電されるトナー(以下、逆帯電トナーと称す
る)が現像剤中に存在していることにあると解明され
た。即ち、 (a′)使用される現像剤自体にこの様な逆帯電トナー
が多量に存在する場合、静電潜像の顕像化に使用される
トナーの絶対量が少ないことに起因して、前記の如き現
象が発生する。
(b′)使用される現像剤自体にこの様な逆帯電トナー
が多量に存在しない場合であっても、基本的には、逆帯
電トナーは現像の際に消費されないため、現像の繰返し
に伴い現像スリーブ上に蓄積されて行って、その絶対量
が増えることに起因して、前記(b)の如き現像が発生
する。
この様な逆帯電トナーが発生するのは、トナー製造時
の分散性や分級,後処理工程等により、磁性微粉末のト
ナー表面露出量,染料,カーボンブラック等の添加剤の
露出量が異なるため、トナー粒子間で摩擦帯電列上の差
が出てトナー粒子相互で摩擦帯電が行われるからであ
る。
ただし、本発明者等が観察したところによると、画像
のエッジ部には、エッジ効果によって比較的大きな逆方
向電界が形成されるため、前述の逆帯電トナーの少量の
ものは、エッジ部に付着して消費される。このため、逆
帯電トナーの存在が少量であれば、前記蓄積は生じな
い。また、逆帯電トナーの少量のもとはさらに現像スリ
ーブとの接触で本来の帯電極性に反転することも生じ、
この現象も前記蓄積の低減として作用する。
即ち、逆帯電特性を有するトナーが現像剤中に存在し
ているといっても、その量が問題であることが判明し
た。
発明の目的 そこで、本発明の目的は、トナー補給部へのキャリア
の拡散を防止し、現像領域において常時一定のトナー濃
度を維持するとともに、現像スリーブの軸方向の濃度む
らをも速やかに解消し、現像剤中における前記逆帯電ト
ナーの混合比を一定値以下に押えることにより、前記
(a),(b)の現象発生を防止し、常時十分な濃度の
現像画像を得ることのできる静電潜像現像方法を提供す
ることにある。
発明の要旨 以上の目的を達成するため、本発明に係る静電潜像現
像方法は、 磁気ローラを内蔵した現像スリーブ上で、磁気ローラ
または/及び現像スリーブの回転に基づいて、キャリア
と磁性トナーとの混合物からなる粉体現像剤を攪拌・混
合しつつ一方向に循環搬送し、該粉体現像剤にて静電潜
像担体表面に担持された静電潜像を現像すると共に、前
記現像スリーブ上に磁性トナーを適宜補給する静電潜像
現像方法において、 現像剤搬送方向の現像領域上流側に設けた穂高規制部
材と、この穂高規制部材上流側に現像スリーブの外周面
に対向するように設けた前規制部材と、穂高規制部材と
前規制部材との間に現像スリーブの外周面に向かって開
口するように形成した空室と、前規制部材上流側に設置
したトナー補給部とを備え、かつ、前記前規制部材とス
リーブとの間隔が、前記穂高規制部材で層厚規制された
現像剤をほとんど通過させる大きさであるように構成
し、 前記磁性トナーとして、キャリアもしくは現像スリー
ブ等との接触による摩擦帯電性を有し、磁性トナーをキ
ャリアを混合しない単体で現像した場合に、キャリアも
しくは現像スリーブ等とで摩擦帯電する極性での付着量
が逆極性での付着量と比べて2倍以上であり、磁性粉含
有率が40wt%以下であるもの、 前記キャリアとして、108Ωcm以上の抵抗率を有する
と共に、40emu/g以上の飽和磁化を有する、平均粒径20
〜100μmのもの、 を用いることを特徴とする。
すなわち、現像領域へ搬送される現像剤を一旦空室に
滞溜させることによりキャリアがトナー補給部内に拡散
されるのが防止される。このように、前記空室の存在に
より、空室には一定量のキャリアが存在する。そして、
空室が現像スリーブの上方にあることにより、現像スリ
ーブと前規制部材との間には空室内の現像剤による自重
が作用し、トナー補給部からのトナーは、現像スリーブ
によるトナー搬送力が前記自重と釣り合うまで補給され
る。つまり、現像領域で消費されたトナー量に見合う量
のトナーが空室内に供給される。したがって、現像領域
において常時一定のトナー濃度を維持することができる
とともに、トナーとキャリアとの摩擦帯電も十分なもの
となり、かつこの空室内で現像剤が攪拌されることによ
って軸方向の濃度むらが速やかに解消されるのである。
また、第1図に示すように、現像スリーブを接地した
状態において正常帯電トナー単体で現像した場合の付着
量をtanθ、逆帯電トナー単体で現像した場合の付着
量をtanθを表わし、逆帯電トナーの混合比を実質的
に示す係数としてtanθ1/tanθを導入し、この値が2
以上の現像剤を用いることにより、前記(a),(b)
の現象発生を防止しようとするものである。換言すれ
ば、逆帯電トナーの存在が少ないことは、実質的に静電
潜像の現像の使用される正常帯電トナーの量が多いこと
になり、前記(a),(b)の現象は発生し得ないので
ある。なお、第1図に示されるトナーは、正極性の静電
潜像を現像するものとして適するものである。
実施例 まず、本発明に係る現像方法の実施に使用され、各種
実験を行った複写機、現像装置について説明する。
まず、第2図に従って複写機の概略を説明すると、感
光体ドラム(10)は一定速度で矢印(c)方向に回転駆
動可能であり、その周囲には帯電用チャージャ(11)、
画像露光手段(12)、現像装置(20)、転写用チャージ
ャ(13)、残留トナーのクリーニングブレード(14)、
残留電荷のイレーサランプ(15)が設置されている。ま
た、複写紙は二点鎖線で示すように右方から左方に搬送
され、転写後は図示しない定着装置を経て複写機外へと
排出される様になっている。
現像装置(20)は、第3図に示すように、導電性非磁
性材から円筒状に形成した現像スリーブ(21)内に、外
周部にS,N極を順次着磁した磁気ローラ(22)を同軸に
収納し穂高規制板(23)を設けたもので、現像剤は磁気
ローラ(22)の矢印(a)方向の回転及び現像スリーブ
(21)の矢印(b)方向の回転に基づいて、現像スリー
ブ(21)の外周面上を矢印(b)方向に循環搬送され
る。さらに、穂高規制板(23)の上流側には現像剤の前
規制板(24)が設置されている。この前規制板(24)は
トナー補給槽(25)のハウジング部材と一体に形成さ
れ、先端は現像スリーブ(21)の外周面に対向してい
る。そして、穂高規制板(23)と前規制板(24)との間
には空室(26)が形成されており、この空室(26)の上
方は開閉可能なカバー(27)で覆われ、現像スリーブ
(21)の外周面に向ってのみ開口している。
一方、トナー補給槽(25)の下部は前規定板(24)の
上流側に開口したトナー補給部(28)とされ、このトナ
ー補給部(28)の下部には補給槽底部形成板(29)が設
置され、またトナー補給槽(25)の下端であって現像領
域(A)の下方には現像剤こぼれ防止板(31),(32)
が設置されている。
以上の構成において、本発明者等は現像領域(A)に
おけるギヤップ(d1)、穂高規制板(23)及び前規制板
(24)と現像スリーブ(21)の外周面とのギャップ
(d2),(d3)等の条件を一定に設定したうえ、トナー
やキャリアの種類を変えて種々の複写実験を行った。
ここで、いくつかの実験例を記載する。
実験は、以下の磁性キャリアと各種磁性トナーA〜F
の組合せからなる現像剤を使用して行われた。
[磁性キャリア] 酸化第2鉄(平均粒径0.5μm)を100重量部、酸化亜
鉛(平均粒径0.1μm)を40重量部、酸化ニッケル(平
均粒径13μm)を17重量部の混合物3000gと水1195gとを
混合してスラリー化し、これにポリメタクリル酸ナトリ
ウム塩の25wt%水溶液98gを加えて混合した後、アトマ
イザーで噴霧乾燥し、次いで、焼成して、フエライトを
生成し、これを分級して得られた、平均粒径50μm、抵
抗値109Ωcm、飽和酸化94emu/gのもの。
[磁性トナーA] スチレンアクリル系樹脂55重量部、磁性微粉末40重量
部、カーボンブラック1重量部、負帯電性染料2重量
部、ワックス3重量部を溶融混合した後に冷却粉砕,分
級して得られた、平均粒径13.1μm、抵抗値1013Ωcm以
上のもの。
[磁性トナーB] スチレンアクリル系樹脂40重量部、負帯電性染料3重
量部、ワックス10重量部と変更した以外は、前記トナー
Aと同じ組成・方法により得られた、平均粒径13.5μ
m、抵抗値1013Ωcm以上のもの。
[磁性トナーC] スチレンアクリル系樹脂50重量部、カーボンブラック
3重量部、ワックス5重量部と変更した以外は、前記ト
ナーAと同じ組成・方法により得られ、平均粒径12.7μ
m、抵抗値1013Ωcm以上のもの。
[磁性トナーD] 前記トナーCと同一組成・方法により得られ、平均粒
径14.2μm、抵抗値1013Ωcm以上のもの。
[磁性トナーE] 負帯電性染料を正帯電性染料に変えた以外は、前記ト
ナーCと同じ組成・方法により得られた、平均粒径13.7
μm、抵抗値1013Ωcm以上のもの。
[磁性トナーF] 負帯電性染料を正常帯電性染料に変えた以外は、前記
トナーDと同じ組成・方法により得られた、平均粒径1
4.2μm、抵抗値1013Ωcmのもの。
なお、前記トナーA〜Dはキャリアとの接触にて負極
性に帯電する特性を有し、トナーE,Fは正極性に帯電す
る特性を有する。
前記磁性キャリアと各トナーA〜Fの一種を組合せた
現像剤にて前記現像装置(20)を使用し、以下の現像条
件の下で現像実験を行った。
[現像条件] 現像スリーブ 材質:ステンレス 外径:24.5mm 回転数:77rpm(矢印(b)方向) 表面処理:サンドブラスト処理 磁気ローラ 磁力:750G 極数:8極 回転数:1000rpm(矢印(a)方向) ギヤップ(d1):0.50mm ギヤップ(d2):0.35mm ギヤップ(d3):1.50mm プロセス速度(感光体ドラム周速):130mm/sec 静電潜像電位:+450V(負帯電トナーA〜Dを使用する
場合) −450V(正帯電トナーE,Fを使用する場
合) 現像バイアス電位:直流+150V(負帯電トナーA〜Dを
使用する場合) 直流−150V(正帯電トナーE,Fを使
用する場合) 交流550Vrms(1KHz)(直流バイア
スに重畳) 以上の条件下において行われた実験について、キャリ
ア,トナーの動き、現像のメカニズムについて説明す
る。
前記キャリアは、最初カバー(27)を開けて空室(2
6)に60g供給され、現像装置(20)を作動させることに
より、現像スリーブ(21)の外周面に載置される。この
際、キャリア中にある程度のトナーが予め混入されてい
てもよい。トナーはその後補給槽(25)に収納され、補
給部(28)から現像スリーブ(21)の外周面に供給され
る。トナーは磁気ローラ(22)の矢印(a)方向への回
転あるいは現像スリーブ(21)の矢印(b)方向への回
転に基づいて現像スリーブ(21)の外周面上を矢印
(b)方向に循環搬送され、空室(26)を通過する際に
キャリアと撹拌・混合され、トナーはキャリアとの摩擦
帯電あるいは現像スリーブ(21)との摩擦帯電にて、ト
ナーA〜Dにあっては負極性、トナーE,Fにあっては正
極性に帯電される。実際上、現像はトナーとキャリアと
が十分に混合された状態で行われ、現像領域(A)にお
いて感光体ドラム(10)上に形成された静電潜像を現像
する。
現像後のトナーはキャリアと共に、さらに矢印(b)
方向に搬送され、トナー補給部(28)にて新たなトナー
を補給され、空室(26)にいったん滞溜して撹拌・混合
され、再び現像領域(A)へと至る。
この場合、現像領域(A)に至る現像剤の搬送量は穂
高規制板(23)のギヤップ(d2)にて規制されるが、前
規制板(24)のギヤップ(d3)はギヤップ(d2)よりも
大きく設定されているため、キャリアは全てギヤップ
(d3)を通って空室(26)へ至る。ここで、穂高規制板
(23)で規制されたキャリアとトナーが空室(26)内に
滞溜して現像スリーブ(21)の軸方向にも撹拌・混合さ
れるのであるが、キャリアは空室(26)内でのみ撹拌さ
れ、トナー補給部(28)からトナー補給槽(25)内に拡
散されていくことはない。
そして、現像領域Aでのトナー濃度は空室26に滞溜す
るキャリアの量で決まる。ところで、前述のように、前
記空室26の存在により、空室26には一定量のキャリアが
存在する。一方、現像スリーブと前規制部材24との間に
は空室26内の現像剤による自重が作用しているため、ト
ナー補給部からのトナーは、現像スリーブ21によるトナ
ー搬送力が前記自重と釣り合うまで、つまり、現像領域
Aで消費された量に見合う量まで空室26内に供給され
る。したがって、現像領域Aにおいて常時一定のトナー
濃度を維持することができる。また、空室26内に供給さ
れるキャリアの量を予め調整することによりトナー濃度
を任意かつ正確に設定することが可能である。
この場合、ギャップd3はギャップd2よりも現像剤を多
く通過させることが必要である。換言すれば、ギャップ
d3はキャリアを含むトナーの全てを通過させる大きさが
必要であり、前規制板24は空室26とトナー補給槽25とを
仕切り、空室26に滞溜するキャリアの補給槽25への拡散
を防止する。ギャップd3が狭くてギャップd2よりも現像
剤の通過が少ないと、前規制板24の部分でキャリアの滞
溜が生じ、本発明の目的を達成することはできない。ま
た、現像剤が空室26を通過する際にトナーとキャリアと
の摩擦帯電が十分に行われるばかりか、軸方向のトナー
濃度むらが効果的に解消される。
また、現像スリーブ(21)の表面をサンドブラスト処
理を施したのは、該表面に形成された微小凹凸にて現像
スリーブ(21)の回転に伴う現像剤の搬送性を向上させ
るためである。
さらに、現像バイアスとして交流バイアスを重畳印加
したのは、トナーの現像時のカブリを防止するためであ
り、交流バイアスの電圧値,周波数を変更することによ
り、現像特性の変更も可能である。具体的には、電圧値
を高くすると現像閾値電位が高くなり、同時に現像効率
特性の立ち上りが向上する。周波数を高くすると画像濃
度が高くなり、逆に低くするとエッジ効果が強くなる。
また、エッジ効果については電圧値によって変わり、電
圧値が大きい程エッジ効果が強くなる傾向にある。
一方、現像剤搬送時における磁気刷子の穂の状態を顕
微鏡で観察したところ、トナーは鎖状につながったキャ
リアの間に多数存在し、キャリアの側面には存在しない
状態で混合されていることが確認された。即ち、トナー
は磁力線に沿ってキャリア間の空隙を埋める様に存在す
る。従って、従来の二成分現像方法の如く、現像槽内で
バケット等にて撹拌・混合させなくとも、現像スリーブ
(21)上で十分に撹拌・混合させることが可能であり、
トナーは十分に摩擦帯電しなくても飛散が少なく、また
トナー濃度を高く設定することも可能である。この様
に、キャリアは現像剤の搬送性の向上,現像領域(A)
における実質電界強度,実質磁界強度の向上,これによ
る現像効率の向上,キャリア混入量の調整による画像濃
度,階調性,エッジ効果の制御を可能とする機能を奏す
る。
ここで、前記キャリアと各磁性トナーA〜Fの組合せ
による現像画像濃度を表1に示す。
tanθ1/tanθは本発明者等によって導入された係数
で、第1図を参照して前述した様に、正常帯電トナー単
体で現像した場合の付着量をtanθ、逆帯電トナー単
体で現像した場合の付着量をtanθとし、逆帯電トナ
ーの混合比を実質的に示すものである。
表1から明らかな様に、tanθ1/tanθが2以上のト
ナーB〜Eを組合せた現像剤を使用した場合には、画像
濃度が常に安定する結果が得られた。具体的には、A4サ
イズ30,000枚分の連続複写を行っても絶えず均一濃度の
現像画像が得られた。一方、tanθ1/tanθが2以下の
トナーA,Fを組合せた現像剤を使用した場合には、十分
な画像濃度が得られぬばかりか、A4サイズ数千枚の連続
複写を行った場合に、顕著な濃度変化(低下)が確認さ
れた。
また、現像スリーブ(21)上に付着させるキャリアの
量を変えるとトナー濃度が変化し、画像濃度を制御でき
るのであるが、前記トナーA,Fに関してはこの様にして
トナー濃度を変化させるたところで、0.8以上の画像濃
度を得ることはできず、画像濃度は0.9以上でないと実
用的でないため、tanθ1/tanθ≧2という条件は必要
であるといえる。
次に、本発明にて使用される磁性トナーの特性等につ
いて詳述する。
磁性トナーは熱可塑性樹脂中に磁性微粉末を分散させ
ることによって製造され、必要に応じて着色剤,帯電制
御剤を添加してもよい。平均粒径は常識的範囲として5
〜20μmとする。平均粒径が5μm以下では、現像時に
トナーのカブリが生じ易いし、20μm以上では現像画像
の解像度が低下する。
前記磁性微粉末の含有率は、現像剤の搬送性,現像性
にも影響を与えるが、複写紙上への定着性との関連が特
に強く、常識的範囲として5〜40wt%とする。5wt%以
下ではトナー飛散が生じ易いし、40wt%以上ではトナー
の定着性が不良となる。
本発明者等によって、磁性微粉末の含有率をそれぞれ
0wt%,10wt%,20wt%,30wt%,40wt%,50wt%と変えたト
ナーを用意し、前記現像装置(20)にて現像を行い、得
られた複写画像の定着強度を調べた。それによると、磁
性微粉末の含有率が多くなると定着強度が低化する傾向
が見られ、40wt%を越えると実用範囲外に急激に低下す
ることが確認された。
なお、トナーが非磁性(磁性微粉末含有率5wt%以下
を含む)であると、前記現像装置(20)を用いたタイプ
の現像では、非磁性トナーは摩擦帯電し難い。トナーが
磁性を有すると、トナーも磁気ローラ(22)による磁気
撹拌作用を受けるため、現像スリーブ(21)上を搬送さ
れる過程でキャリアと十分に撹拌・混合され、かつ飛散
が防止されるのである。
また、磁性微粉末含有率はトナーのカラー化に対して
重要な意味を持っている。茶色のトナーは磁性微粉末の
種類によってある程度の色の選択性を有する。しかし、
赤や青色のトナーを製造する場合には、TiO2や顔料を添
加して色相を調整することとなるが、鮮かさを要求され
る場合には、TiO2を多量に(一般的には0〜30wt%)添
加する必要がある。この場合には、磁性微粉末の量を20
wt%以下程度に押えないとトナーの定着強度が低下して
しまう欠点を有する。従って、カラートナーの場合は5
〜20wt%の含有率が良好である。
一方、電気抵抗は、103V/cmの電界下での測定で、10
12Ωcm以上とする。これ以下ではトナーの電荷保持能力
が低下することとなり、また現像されることによって得
られたトナー像の転写(転写チャージャの放電現象によ
る静電的転写)が困難にもなる。
摩擦帯電性については、tanθ1/tanθ≧2を満す様
に設定する必要がある。この条件は前述のように画像濃
度の安定性を確保するために要求され、tanθ1/tanθ
<2であると画像濃度不足、濃度不安定といった欠点を
生じることは前述した。これに関連して、トナーの特性
について説明すると、トナーは現像領域に搬送される前
に十分に帯電している必要があり、トナーの帯電はトナ
ー粒子相互間の接触、あるいはキャリア,現像スリーブ
等との接触にて行われる。トナー粒子相互間の接触によ
る摩擦帯電は、トナー粒子の個々で摩擦帯電列上の位置
が異なることに起因して発生し、キャリア,現像スリー
ブとの接触による摩擦帯電は、トナー粒子とキャリア,
現像スリーブとで摩擦帯電列上の位置が異なることに起
因して発生する。磁性トナー本来の帯電極性が負の場合
について説明すると、本発明に関してはtanθ1/tanθ
が2以上であることから、正極性に逆帯電する若干のト
ナーが含まれていることとなるが、 (i)逆帯電トナーが摩擦帯電列上でキャリア,現像ス
リーブよりも負側に位置していると、逆帯電トナーはキ
ャリア,現像スリーブとの接触にて負極性に反転し、か
つ反転しないまでも画像のエッジ部にいわゆるエッジ効
果にて形成される比較的大きな電位差部分に付着して消
費されるため、逆帯電トナーの蓄積は防止され、現像濃
度の低下,不安定を招来することはない。
(ii)また、逆帯電トナーがキャリア,現像スリーブと
摩擦帯電列上の同じ位置にある場合には、逆帯電トナー
の極性の反転といった現象は生じないが、画像のエッジ
部に付着して消費される現象は前記同様に生じるため、
実用上問題なく現像に使用できる。
(iii)さらに、正極性に帯電する逆帯電トナーが摩擦
帯電列上でキャリア,現像スリーブよりも正側に位置し
ていると、前記(ii)と同様に逆帯電トナーの反転は生
じないが、画像のエッジ部に付着して消費され、画像が
黒ベタ部,文字部の比率の比較的安定したプリンター等
ではtanθ1/tanθ≧2の範囲内にある限り、安定した
複写画像を得ることができる。
tanθ1/tanθの値を大きくするためには、具体的に
は、トナー粒子相互間の摩擦帯電を防止すること、トナ
ー粒子相互間の摩擦帯電によって静電潜像と同極性に帯
電されるトナー(逆帯電トナー)が、磁性キャリア,現
像スリーブとの摩擦帯電によって逆極性に帯電(反転)
される様にする等の手法があるが、これ等に限定されな
い。
次に、本発明にて使用される磁性キャリアの特性等に
ついて詳述する。
磁性キャリアはマグネタイト,フエライト等の磁性微
粉末をスチレン,アルリル,スチレン・アクリル,シリ
コン,ポリエステル,テフロン等の樹脂中に分散させる
ことによって、あるいはフエライト粒子の表面を樹脂被
覆することによっても製造される。平均粒径は20〜100
μmとする。一般に、Se,CdS,PVK/Se,有機系感光体を用
いる場合、現像バイアス電位と非画像部電位とのコント
ラスト電位は100V以上を要求されるが、磁性キャリアの
平均粒径が20μm以下では100V以上のコントラスト電位
下にあっては感光体表面へのキャリア付着が発生し易
く、キャリアが現像に伴い消費されることとなる。即
ち、現像に伴い現像剤中のトナー濃度が徐々に上昇して
しまうのである。一方、100μm以上では現像スリーブ
上の磁気刷子の穂が硬くなり、面画像(ソリッド画像)
中に穂で擦り取られた白スジが発生することになる。
電気抵抗は、103V/cmの電界下での測定で、108Ωcm以
上とする。これ以下では、現像スリーブ上の現像剤が導
体化される結果、電界注入により感光体のキャリア付着
が発生し易く、たとえ僅かな付着であっても従来の二成
分系現像剤と比べてキャリアの絶対量が少ないため、そ
の悪影響は大きい。そして、現像剤中のトナー濃度が低
下した場合等にあっては、静電潜像の電荷が磁気刷子を
介して放電されることになり、現像画像中ではこの放電
部分が白ヌケとなって現われる。特に、前記現像装置
(20)を使用した実験例で説明した様に、現像バイアス
として交流バイアスを重畳印加した場合には一層電界注
入を受け易くなり、放電部分での白ヌケが顕著である。
一方、飽和磁化に関しては40emu/g以上とする。これ
以下では、現像スリーブ上でのキャリアの凝集が発生し
易く、現像剤の搬送性が不良となる。特に、前記現像装
置(20)の如く、磁気ローラ(22)の回転により現像剤
を搬送するタイプにあっては顕著である。飽和磁化が40
emu/g以上では、磁気モーメントが大きくなるため、磁
気ローラの回転に起因する磁場の変化に応答して現像剤
がスムーズに搬送されると推測される。
摩擦帯電性については、トナーの帯電量を安定させる
ため、現像スリーブの表面との接触にて摩擦帯電しない
ことが望ましい。
発明の効果 以上の説明で明らかなように、本発明によれば、穂高
規制部材とその上流側に設けた前規制部材との間に空室
を形成し、かつ、前規制部材とスリーブとの間隔が、穂
高規制部材で層厚規制された現像剤を殆ど通過させる大
きさであるから、現像領域へ搬送される現像剤が一旦空
室に滞溜して攪拌,混合されることとなり、キャリアが
トナー補給槽内に拡散されるのが防止される。このよう
に、前記空室の存在により、空室には一定量のキャリア
が存在する。そして、現像スリーブと前規制部材との間
には空室内の現像剤による自重が作用しているため、ト
ナー補給部からのトナーは、現像スリーブによるトナー
搬送力が前記自重と釣り合うまで補給される。現像によ
りトナーが消費されると、消費されたトナーの容積分だ
け空室に隙間ができることになる。そのため、現像スリ
ーブによるトナーの送り込み力により前記消費されたト
ナー量と同量のトナーが空室に補給される。
また、現像スリーブ上に載置したキャリアに対してta
1/tanθ≧2の特性を示す磁性トナーを供給する様
にしたため、一成分現像方法にキャリアを混入すること
の利点、即ちトナーの摩擦帯電の確実化や現像領域での
実質電界強度の向上等現像特性を大巾に向上させること
ができることは勿論、現像剤中における逆帯電トナーの
蓄積を防止して十分な濃度の現像画像を得ることがで
き、現像の繰返しに伴っても現像画像濃度が低下すると
いった不具合を生じることはない。
【図面の簡単な説明】
第1図はトナーの電荷特性を示すグラフ、第2図は本発
明に係る静電潜像現像方法を実施するための複写機の概
略構成図、第3図はその現像装置の断面図である。 (10)……感光体ドラム、(20)……現像装置、(21)
……現像スリーブ、(22)……磁気ローラ、(23)……
穂高規制板、(A)……現像領域。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁気ローラを内蔵した現像スリーブ上で、
    磁気ローラまたは/及び現像スリーブの回転に基づい
    て、キャリアと磁性トナーとの混合物からなる粉体現像
    剤を攪拌・混合しつつ一方向に循環搬送し、該粉体現像
    剤にて静電潜像担体表面に担持された静電潜像を現像す
    ると共に、前記現像スリーブ上に磁性トナーを適宜補給
    する静電潜像現像方法において、 現像剤搬送方向の現像領域上流側に設けた穂高規制部材
    と、この穂高規制部材上流側に現像スリーブの外周面に
    対向するように設けた前規制部材と、穂高規制部材と前
    規制部材との間に現像スリーブの外周面に向かって開口
    するように形成した空室と、前規制部材上流側に設置し
    たトナー補給部とを備え、かつ、前記前規制部材とスリ
    ーブとの間隔が、前記穂高規制部材で層厚規制された現
    像剤をほとんど通過させる大きさであるように構成し、 前記磁性トナーとして、キャリアもしくは現像スリーブ
    等との接触による摩擦帯電性を有し、磁性トナーをキャ
    リアを混合しない単体で現像した場合に、キャリアもし
    くは現像スリーブ等とで摩擦帯電する極性での付着量が
    逆極性での付着量と比べて2倍以上であり、磁性粉含有
    率が40wt%以下であるもの、 前記キャリアとして、108Ωcm以上の抵抗率を有すると
    共に、40emu/g以上の飽和磁化を有する、平均粒径20〜1
    00μmのもの、 を用いることを特徴とする静電潜像現像方法。
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