JPH05281789A - 絶縁性磁性1成分トナーの現像方法 - Google Patents

絶縁性磁性1成分トナーの現像方法

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JPH05281789A
JPH05281789A JP4105887A JP10588792A JPH05281789A JP H05281789 A JPH05281789 A JP H05281789A JP 4105887 A JP4105887 A JP 4105887A JP 10588792 A JP10588792 A JP 10588792A JP H05281789 A JPH05281789 A JP H05281789A
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孝一 小川
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 摩擦帯電を利用しない現像方式において特定
の現像装置に用いるトナー組成物が、ある特定の要件を
満たす際にトナーが主に静電誘導によって帯電し、もっ
て、従来の種々の欠点を排除し得る絶縁性磁性1成分ト
ナー現像方法を提供する。 【構成】 少なくとも熱可塑性樹脂、磁性粉、帯電安定
剤、および必要に応じて着色剤を含有し、該熱可塑性樹
脂は体積固有抵抗約1×1014Ωcm以上であり、該帯電
安定剤は体積固有抵抗約1×104 〜1×1012Ωcmで
あり、該磁性粉おにび着色剤は体積固有抵抗約1×10
4 〜1×1012Ωcmであり、かつ体積固有抵抗約104
Ωcm以下の物質を実質的に含まない磁性1成分トナー
を、少なくとも現像場では表面が導電性のトナー担持体
に磁力を用いて保持し、静電荷像担持体上に形成された
静電潜像に該磁性1成分トナーを接触させ、該静電潜像
の電界による静電誘導ないし誘電分極によって主に帯電
することにより潜像を可視化することを特徴とする絶縁
性磁性1成分トナーの現像方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真法、静電記録
法等による静電潜像を、絶縁性磁性1成分トナーを用い
て現像する現像方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、複写機のみならずプリンタ、ファ
クシミリなどに広く用いられている電子写真方式の現像
剤では、その取り扱い易さなどの点から乾式が主流であ
る。また、乾式現像剤にはキャリア粒子とトナー粒子を
混合して用いる2成分現像剤と、キャリアが不要な1成
分現像剤がある。2成分現像剤を用いる現像法(以後2
成分現像法と呼ぶ)は現在最も実績があり最も広く用い
られているものであり、画質も比較的良好であるが、以
下の欠点がある。
【0003】(1) 現像剤は現像に際しトナーだけが消費
されるため、トナー濃度を常に一定に保つためのトナー
補給手段及び調整機構が必要になり機械が大型かつ複雑
になる。 (2) トナーとキャリアを摩擦帯電させるために、現像剤
の攪拌が十分かつ速やかに行われなければならず、大き
な動力を要し、現像器も大型化する。 (3) トナーによるキャリア表面の汚染等により、現像剤
の寿命が短い。 (4) 上記(3) の問題から時々現像剤の交換が必要であ
る、トナー帯電量低下によるトナー飛散が原因の機内汚
れが発生しやすく、時々大掛かりな機内清掃が必要であ
る、等の問題から専門知識を持つ者によるメンテナンス
が不可欠である。 (5) トナーの摩擦帯電性が環境湿度の影響を受けやす
く、カブリ発生や画像濃度低下の問題を起こし易い。
【0004】しかし近年は電子写真方式による複写機、
プリンタ、ファクシミリなどの小型化、パーソナル化が
急速に進展してきていることから、小型、簡易でかつ特
に上記のようなメンテナンスを必要とせず、しかもどん
な使用環境、特に高温高湿度下でも、安定した画像の得
られる1成分現像法の確立がますます重要になってきて
いる。また、大型機や高速機に2成分現像法を用いる場
合には、現像機構の複雑化、大型化が一層顕著になり、
メンテナンス時の現像剤交換作業も非常に困難となり、
これに伴うダウンタイムの増大が使用上大きな支障とな
って、これらの改善への要望が高まっている。
【0005】キャリア粒子を含まない1成分トナーに
は、内部に磁性粉を含み磁気ブラシ現像法で現像する磁
性1成分トナーと、内部に磁性粉を含まない非磁性1成
分トナーがある。非磁性1成分トナーは鮮やかなカラー
トナーが可能であるという特長があり、既に種々の現像
法が提案されているが、1成分現像方式であるにもかか
わらず、常に安定したトナー帯電量と画質を維持するの
が難しく、またトナー及び現像器の寿命が短いという欠
点がある。
【0006】一方、磁性1成分トナーも従来の磁気ブラ
シ現像法で高画質の画像が得られるため比較的広く用い
られている。磁性1成分トナーには当初、例えば米国特
許3,639,245号公報、同3,909,258号
公報等に開示されているような導電性磁性トナーが用い
られていた。導電性トナーによる現像は絶縁性トナーと
異なり静電誘導作用から電界により誘起される電荷を利
用して現像するため、絶縁性トナーに比較して主に以下
の利点がある。
【0007】(1) 摩擦帯電による静電荷を利用しないた
め、湿度による画像低下の影響を排除できる。 (2) トナーの構成成分である、樹脂、顔料、添加物など
の選択に際し、帯電極性を考慮する必要がないため、選
択の幅が広範囲になる。 (3) 均一電荷をトナーに与えることができるので、地汚
れの少ない、解像度の優れた画像が得られる。 (4) 無理のない1成分現像が可能になる。 (5) 摩擦帯電機構が不必要なため現像器の構造が簡単に
なり、小型化できる。 (6) 同一トナーで、正現像、逆現像の双方を行うことが
できる。
【0008】上記のような多くの利点にもかかわらず、
導電性トナーは、絶縁性トナーを用いたプロセスで現在
広く用いられている、静電気力を利用した普通紙転写方
式、即ちコロナ放電やバイアスを印加した導電性または
誘電体ローラーにおいて、普通紙への良好な転写が困難
であるという最大の欠点のために、普通紙複写機(PP
C)、ファクシミリが不可能であり、現在では大型・低
効率の粘着転写法を併用したもの以外には殆ど利用され
ていないのが実状である。
【0009】導電性トナーが、静電気力を利用した普通
紙転写方式において、転写性が劣化する原因は以下の通
りと推定される。即ち、導電性トナーは原理的に、電界
により生じる静電誘導電荷を利用して現像、転写を行
う。このため、特に高湿下においては転写紙が吸湿する
ことによる電気抵抗値の低下、その結果注入した電荷が
紙を通じてリークしてしまい導電性トナーに有効な電界
が働かなくなり転写しなくなると考えられる。よってこ
の現象を防止するために、従来は絶縁処理を施した静電
記録紙を用いていたが、紙が厚手になってしまい、また
コスト的にも高価であった。
【0010】そこで、PPCを可能にするために例えば
特開昭50−92137号公報に開示されているよう
な、トナーの電気抵抗を上げて転写性を改善する試みが
なされた。しかし、トナーの電気抵抗が上がるにつれて
主にトナーの静電誘導ないし誘電分極による分極が不十
分となり現像性が悪化し、特に1012Ωcmを超えると全
く実用的ではない。よって、磁性1成分現像法をPPC
で可能にするために、以下の方策が考えられた。
【0011】(1) 例えば特開昭53−39752号公
報、同53−131044号公報に記載されているよう
な、比較的抵抗の高い導電性トナーにより現像し、転写
紙を工夫することにより転写の問題を改善する。 (2) 1012Ωcmを超えるトナー(以後絶縁性トナーと呼
ぶ)を用い、その現像性を改善する。
【0012】上記(1) の方策については、十分な成果は
未だ得られていないが、(2) ではいくつかの有用な方策
が見出されている。ここで、絶縁性トナーは、その帯電
機構からさらに分類される必要がある。
【0013】絶縁性磁性1成分トナーの帯電機構につい
ては、既に多くの文献が報告されているが、それらは摩
擦帯電を利用しない方式と摩擦帯電によるものに大別さ
れる。しかし、現在では現像機構が良く解明されている
ために、摩擦帯電を利用した現像法の採用が殆どであ
る。このような摩擦帯電を利用した現像法としては例え
ば、特公昭59−44627号公報等に開示されてい
る”BMT現像法”と呼ばれる現像法、特開昭55−1
8656号公報等に開示されているような”磁性ジャン
ピング現像法”と呼ばれる現像法、特開昭57−114
163号公報等に開示されている”FEED現像法”等
がある。これらの現像法は前述した1成分現像法の長所
である小型、簡易でメンテナンスフリーな現像器を実際
に提供するものである。しかし、これらは現像に摩擦帯
電を利用するため、特に高湿度下でトナー帯電量が不十
分になり、また低湿度下では帯電量が高くなり易く、使
用環境に関係なく常に安定した画像を得るという目的に
対しては、依然十分ではない。
【0014】そこで、この使用環境に関係なく常に安定
した画像を得るという目的も併せて達成するためには、
帯電機構が使用環境の影響を原理的に受けない、電荷注
入または、静電誘導ないし誘電分極による電荷を利用し
た絶縁性磁性1成分現像法を実用化することがどうして
も必要となる。摩擦帯電を利用せず、しかも電荷注入ま
たは静電誘導以外の電荷付与方法を利用することも例え
ば米国特許3,645,770号公報、特開昭50−1
17432号公報等に開示されているが、主に安定性の
面で未だ十分ではない。
【0015】電荷注入を利用した絶縁性磁性1成分現像
法としては、例えば米国特許4,121,931号公報
に開示されている現像法がある。この現像法の現像機構
についてはField,"A MODEL TO DESCRIBE ERECTROGRAPHI
C DEVELOPMENT OF RESISTIVEONE-COMPONENT TONER SYST
EMS",IEEE/IAS Conference Records p.973 の文献に詳
細に報告されている。トナーの帯電に摩擦帯電を利用し
ないため、環境の影響を受けにくい優れた1成分現像法
であるが、この現像法には依然として以下の問題点があ
る。
【0016】(1) トナーは感光体上の静電潜像によって
作られる電場内に於いて、導電性部分(電極)を持つト
ナー担持体(主に磁気スリーブ)に電気的に接触し、電
極から電荷を注入されて強制帯電される。この際、電極
に電源を付加することも効果を高める上で必須に近い要
件であるが、その結果機構も複雑化する。また、感光体
と逆極性の電荷注入のための電圧印加は、現像時の逆バ
イアスの効果を来すため、カブリの原因となる。また、
この公報及び文献に記載されている方法は、実際に検討
してみると感光体の種類、トナーの種類、磁気スリーブ
の磁力等により現像性が大きく変化し、特にトナーの種
類の選定は極めて大きな要因であるため、この方法のみ
から実用性のある1成分磁性トナー現像法を得ることは
できない。
【0017】(2) 磁気スリーブから電荷を注入されたト
ナー粒子は、トナー層上層へ速やかに移動し静電像を現
像しなければならない。そのために高速で激しいトナー
層の物理的攪乱が必要となり、現像器の機構が複雑化す
る。また、現像の原理をさらに考察すると、前述したよ
うな絶縁性トナーの現像性の悪さをこの方法は、トナー
を10cm/秒以上の高速で静電像へ搬送するというトナ
ー移動速度の増加で対処しているが、静電像とトナーの
高速での接触は逆に磁気スリーブ上のトナー磁気ブラシ
による感光体のクリーニング効果を促進し現像効率を低
下させる。さらに、トナーには上記したように強い攪拌
に伴う剪断力がかかるために、トナーの劣化促進等の問
題も発生する。このような磁気スリーブの回転に関する
問題点を解決するための方法として、例えば特開昭53
−129639号公報に示されているようにスリーブの
み回転させ、スリーブと感光体の速度差を所定範囲に限
定する方法、特開昭55−126266号公報に示され
ているようなスリーブと内部磁極のスピード、方向、及
び磁極数を所定値に設定する方法等が開示されている。
これらの方策は前記磁気スリーブの回転に関する諸問題
を改善するものであるが、実際に検討してみるとやはり
感光体の種類、トナーの種類等により現像性が大きく変
化し、特にトナーの種類の選定は極めて大きな要因であ
るため、この方法のみから実用的に安定した磁性1成分
トナー現像法を得ることはできない。
【0018】一方、静電誘導作用を利用した絶縁性磁性
1成分現像方式としては、例えば特開昭54−1346
40号公報に開示された方法がある。この現像方式は絶
縁性の主領域に、主にカーボンブラックのような電荷移
動可能な領域を散在させたような表面を持つトナーを用
い、現像部を構成するトナー担持体としては絶縁性のも
のを用い、トナーは画像部の潜像電荷によって現像可能
な荷電状態にするものである。現像メカニズムを更に詳
しく述べると以下のようになる。カーボン等の導電体を
分散させた磁性トナー粒子を用い、現像場の電界中で、
露出したカーボン部分同士が接触した2個のトナー粒子
を考えると、その接点を通して静電誘導によりそれぞれ
のトナーのカーボン部分に正・負の電荷が誘起される。
こうして現像に寄与し得る電荷状態になったトナー粒子
は潜像に接触した際に潜像を現像する。トナー電荷が
(スリーブからの)電荷注入によるものでないことは、
トナー担持体として現像部では絶縁性のものを用いてい
ることからも明らかである。しかし、この現像方式には
以下の問題点がある。
【0019】静電誘導の起こり易さから考えると、上記
電荷移動可能な領域はカーボンブラックのような電気抵
抗の低いものが望ましいことになる。しかし低抵抗にな
ると、分極は起こりやすくなるが、同時にトナー粒子が
再度離反する際の電荷中和速度も速くなり、本公報には
この点の考察がなされていないため、この方法のみか
ら、良好な現像性を得ることはできない。
【0020】よって、以上のように既に提案されてきた
各種の現像方式において、摩擦帯電、電荷注入、静電誘
導等の何れの機構が支配的であるかという議論がこれま
で多くなされてきたが、全ての効果は大小の差はあって
も存在し、単一の機構だけが効いているということはな
いという見方が一般的である。トナー担持体として現像
部では絶縁性のものを用いても良好に現像することか
ら、スリーブからの電荷注入が全くなくても良いことは
明らかであるが、分極を効率的に起こす目的と、トナー
担持体(スリーブ、内部マグネット)の移動速度の低
減、画質の向上という点から、トナー担持体は導電性で
あることが望ましい。
【0021】静電誘導(分極)を利用する方法としては
この他に例えば特開昭58−186765号公報に開示
されている方法もある。これは、上記特開昭54−13
4640号公報のような微視的な考察ではなくトナー粒
子の抵抗値からのみ議論しているため、現像性が十分で
はなく、使用できる感光体も限られたものになってしま
っている。
【0022】また、特開昭57−58162号公報に
は、磁性トナー担持体及び/またはマグネットロールを
回転させた場合の、トナー層の表面電位を静電荷像と同
極性とするように帯電制御する高抵抗磁性1成分トナー
が開示されている。この中で、添加された帯電制御剤が
所期の目的である摩擦帯電性能の制御の他に、導電性の
トナー担持体などからの電荷注入または静電誘導による
電荷の付与を容易にする効果の存在を示唆する記載がな
されているが、具体的な方法等は一切記載されていな
い。
【0023】絶縁性磁性1成分現像で良好な画像を得る
ためには、現像機構の機械的、電気的な面での問題の他
に、それに使用するトナー種類の選定も非常に重要であ
る。トナー物性に関しては例えば、特開昭54−365
24号公報では、トナーの電気抵抗値のみならず比誘電
率に着目しそれを適当な範囲内にすることで現像性、転
写性を両立する方法、特開昭54−139545号公報
では、印加電圧によってトナーの電気抵抗を特定の範囲
内で変化するようにし、かつ誘電率を特定値にすること
で現像性と転写率を向上させる方法が開示されている。
その他多くの特許公報でも、トナー物性を規定すること
で上記問題を改善する試みがなされているが、実際はト
ナーとして同一物性であっても現像性、転写率に差が出
ることが多く、トナー内部の個々の材料の物性値を選択
しなければ、実用性のある磁性1成分トナー現像法を得
ることはできない。さらに、実機での長期間の耐刷試験
時には、原因は一定ではないが、現象としてトナー電荷
量が変化するために画像濃度が大きく変化したり、その
結果凝集するという問題が生じる。この現象は前述の特
開昭54−134640号公報にも記述されており、こ
の公報の場合は、逆極性電荷を有するトナー粒子の蓄積
を防止するために、逆極性電荷除去手段を設けることが
必要であるとしている。この現象は或いは、例えば特開
昭56−130764号公報に開示されているような強
制的にトナーに電荷を付与または除去する第2の電気的
手段を設置する以外は、特定のトナー組成にしなければ
防止できない。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、以上の
議論から、絶縁性磁性1成分トナー現像には摩擦帯電を
利用しない現像方式が最も有利であり、これにより従来
の現像法の種々の問題点を解決できるという結論に達し
た。しかしながら、前述したように従来の電荷注入ない
し静電誘導による帯電を利用した現像方式にも種々の問
題点があった。そこで本発明者らが鋭意研究を重ねた結
果、特定の現像装置に用いるトナー組成物が、ある特定
の要件を満たす際において初めて、トナーが主に静電誘
導によって帯電し、良好に静電潜像を現像することが判
明した。
【0025】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、少なくと
も樹脂、磁性粉、着色剤および帯電安定剤を含有し、該
樹脂は体積固有抵抗約1×1014Ωcm以上であり、該帯
電安定剤は体積固有抵抗約1×104 〜1×1012Ωcm
であり、該磁性粉および該着色剤は体積固有抵抗約1×
104 〜1×1012Ωcmであり、かつ体積固有抵抗約1
4 Ωcm以下の物質を実質的に含まない磁性1成分トナ
ーを、少なくとも現像場では表面が導電性のトナー担持
体に磁力を用いて保持し、静電荷像担持体上に形成され
た静電潜像に該磁性1成分トナーを接触させ、該静電潜
像の電界による静電誘導ないし誘電分極によって主に帯
電することにより潜像を可視化することを特徴とする絶
縁性磁性1成分トナーの現像方法に関する。
【0026】本発明をより具体的に説明する。本発明に
使用するトナー及びトナー組成物の体積固有抵抗は以下
のように測定する。市販の赤外線吸収スペクトル測定用
錠剤成型器(成型内部断面が20mmの円)に、予め23
℃・50%RHの恒温恒湿槽に24時間放置したトナー
約0.8gを入れ、油圧プレス器を用い400Kg/cm2
で加圧して、厚さ約2mm、両端面が直径20mmの円形で
ある円筒形ペレットを作製する。このペレットの両方の
円形端面部の中央に、直径10mmの主電極を銀ペースト
を塗布して密着させ一端をグランドに接地する。次に、
一端をグランドに接地したガード電極をペレット外周部
に沿って設け、主電極に直流電圧を印加し、電流計で主
電極間を流れる電流を直読し、安定した段階の電流値よ
り体積固有抵抗値を算出する。
【0027】本発明に用いる絶縁性磁性1成分トナー
は、その組成物の体積固有抵抗値が所定値である必要が
ある。本発明に用いる絶縁性磁性1成分トナーの製造方
法としては、熱可塑性樹脂を主成分とするバインダー成
分と磁性粉、着色剤、帯電安定剤、及びその他必要に応
じて添加される成分を、2軸押出混練機、2本ロールミ
ル、加圧ニーダー等の混練機を用いて熱熔融混練した
後、冷却固化しジェットミル等の粉砕機を用いて微粉砕
し、気流分級機等により所望の粒度分布に調整するのが
一般的である。また、近年は懸濁重合法、乳化重合法等
により、直接トナー粒子を生成する方法も種々提案され
ており、これらの方法により製造したトナーでも使用で
きる。上記トナーは体積基準平均粒径が5〜15μであ
ることが必要である。上記上限を超えると画像の荒れが
顕著になり、また上記下限より小さいと通常の現像器・
現像法ではトナーとしての流動性の悪化による補給性の
悪化が顕著になるので好ましくない。
【0028】熱可塑性樹脂としては、トナー用として通
常使用されるものであればよく、例えばポリスチレン
系、スチレンとアクリル酸エステルもしくはメタクリル
酸エステル、アクリロニトリルあるいはマレイン酸エス
テルとのスチレンを含む共重合体系、ポリアクリル酸エ
ステル系、ポリメタクリル酸エステル系、ポリエステル
系、ポリアミド系、エポキシ系、フェノール系、炭化水
素系、石油系等の樹脂を例示できる。
【0029】磁性粉としては、各種フェライト、マグネ
タイト、ヘマタイト等公知のものが使用でき、形状も立
方晶状、正八面体状、球状、針状等種々のものが使用で
きるが、トナー中に分散した際のトナー粒子間の磁性粉
量の偏在、遊離磁性粉の発生等の問題から粒径は1μ以
下であることが望ましい。磁気特性の面では、飽和磁化
については50emu/g 程度以上あれば特に限定はない
が、保磁力は主にトナー粒子のトナー担持体上での運動
性の問題から200Oe以下であることが望ましく、更
には120Oe以下、40Oe以上であることが望まし
い。また、磁性粉はそのまま使用しても問題はないが、
必要に応じて脂肪酸、シランカップリング剤等で表面処
理をしてから使用すると、熱可塑性樹脂に熱熔融混練す
る際の樹脂への濡れ性の改善とそれ自体が磁性粉を被覆
することにより、トナー表面への磁性粉の露出が防止で
きる。その結果、トナー相互間の摩擦帯電防止の効果か
ら、耐環境性、画像性等が向上することがある。
【0030】磁性粉の添加量については、トナー粒子を
トナー担持体上に保持するための磁力を付与するため
に、トナー担持体上の磁場の強さによって必要量添加さ
れるが、トナー担持体への拘束力と静電潜像への引力の
関係から、トナーに対して20〜60重量%が望まし
い。
【0031】帯電安定剤としては、これまで通常の摩擦
帯電を利用する各種現像法に於いて利用されてきた各種
電荷制御剤の中から、特定のものが使用される。さらに
具体的には、熱可塑性樹脂を静電荷像担持体上の静電潜
像と逆極性に摩擦帯電させ得る、体積固有抵抗が所定値
である物質に優れた効果が認められている。静電潜像と
逆極性とは、正規現像のときは感光体表面を一様帯電す
る際の電位と逆極性、反転現像の場合はバイアス電圧に
よって未露光部分が接地電位になるために、感光体表面
を一様帯電する際の電位と同極性のことである。
【0032】本発明に使用する帯電安定剤は自体公知な
ものも含むが、基本的に該帯電安定剤は従来のような摩
擦帯電性の付与ではなく、絶縁性のバインダー成分中
で、該帯電安定剤が静電誘導ないし誘電分極により電荷
を発生し、この発生した電荷を保持する効果と、実際の
現像ランニング中に潜像電荷と同極性電荷がトナーに蓄
積するのを防止する効果を持つ点で、従来と全く異なる
効果を持つものである。つまり、従来の電荷制御剤のよ
うなそれ自体の摩擦帯電性は本発明に関する現像性とは
二次的関係であり、本発明に関する帯電安定剤では主に
その抵抗が問題である。熱可塑性樹脂を静電荷像担持体
上の静電潜像と逆極性に摩擦帯電させ得る性質は、結果
的に発生した電荷の保持性に相関があるが、電荷制御剤
のこのような知見は今迄未報告である。すでに多くの文
献でも検証されているように、絶縁性1成分現像法の現
像において、摩擦や電荷注入、静電誘導の効果はそれぞ
れ単独が支配的になることは少なく、それぞれの効果は
同時に少なからず存在する。しかし少なくとも、このト
ナーとこの現像法により、従来のどの磁性1成分現像法
よりも、電荷の付与と環境、耐刷性の安定化が容易にな
ったと言える。
【0033】上記帯電安定剤の効果をより詳細に説明す
る。図1に本発明に関する現像法に於ける、トナーの帯
電機構の概念図を示す。トナー担持体1上に磁石2によ
り保持されたトナー3は磁気ブラシを形成し、静電荷像
担持体4に接触している。トナー担持体表面は導電性で
あっても絶縁性であっても基本的には静電荷像担持体上
の静電潜像を現像し得るが、導電性である方が現像性が
向上する。次に、静電荷像担持体に近いトナー粒子3
a、3bに着目する。トナー粒子が現像に寄与し得る電
荷を獲得するのは以下の2つの機構が考えられる。ひと
つは1図(a)に示すように、静電潜像5とそれに近接
して存在するトナー間に発生する電界によって、バイン
ダー樹脂中に分散した帯電安定剤の作用により、潜像に
接触または接近したトナー粒子間で静電誘導ないし誘電
分極が起き、静電潜像に近いトナー粒子3aが静電潜像
と逆極性の電荷を持ち、静電潜像とのクーロン力により
現像する。ここで、帯電安定剤の重要な機能は、現像に
寄与する極性の電荷は保持し、分極により生じた潜像と
同極性の電荷は保持しない性質である。もちろん、抵抗
値が所定範囲内ならば、磁性粉も同様な効果をもつ。あ
るいは磁性粉と帯電安定剤の接触においても同様であ
る。しかし、このため、トナー粒子3bの同極性電荷は
空気中への放散、またはトナー担持体ないしその他の現
像装置表面との接触によって失われると推測される。よ
ってもうひとつの機構として1図(b)のように、単独
粒子の分極によって生じた潜像と同極性電荷もトナー表
面から放散され結果的に現像に寄与する電荷を獲得する
ことも考えられる。また更に、このような分極は単にト
ナー層中に於ける最上層の2粒子間でのみ発生するので
はなく、1図(c)のように電荷の移動が上から3層目
以下へも伝達すると思われる。このように絶縁性のバイ
ンダー樹脂中に顔料等が分散された系で実際の電荷移動
が起こることは、PIP法(Persistent Internal Polar
ization),Photographic Science & Engineer 6 #2 p-65
〜70, '62, Kallmann & Rennert や単層型フタロシアニ
ン感光体での電子雪崩現象(特開平2−302759号
公報参照)からも類推できる。なお、静電荷像担持体か
らトナー粒子への電荷注入は発生していないと思われ
る。なぜならば、この場合トナーへは静電潜像と同極性
電荷が注入されるからである。
【0034】勿論既に述べたように、同極性電荷の放出
に於ける帯電安定剤の摩擦帯電の効果も否定はできな
い。しかしながら、摩擦帯電性に与える効果が殆ど同等
でも上記同極性電荷の放出効果が大きく異なり現像性に
差がでる場合があることから、図1の現像メカニズムが
支配的であることは確かである。なお、静電誘導ないし
誘電率分極は単に帯電安定剤に於いてのみ起こるもので
はなく、露出した磁性粉同士ないし磁性粉と帯電安定剤
との接触に於いても同様であると考えられる。しかしい
ずれにせよ、磁性粉には分極した電荷の特定極性を選択
的に保持する能力はないのであるから、帯電安定剤が必
須の成分であることに変わりはない。
【0035】なお、本発明に関する現像法に用いるトナ
ーは初期画像に於いては、静電誘導による電荷を利用し
ているために、正極性でも負極性でもいずれの極性の静
電潜像も良好に現像する。しかし、バインダー樹脂に対
する摩擦帯電性が静電潜像と同極性の帯電安定剤を用い
ると、上記のように現像するに従い潜像と同極性電荷が
トナー層中に蓄積してくるために、画像濃度が低下して
くる。このような場合にはバインダー樹脂に対する摩擦
帯電性が、正のものと負のものを併用することで、正・
負いずれの極性の静電潜像も安定して現像することが可
能になる。
【0036】このような帯電機構に寄与しうる帯電安定
剤としては、トナー中に熔融混練分散後、粉砕、分級し
た際にトナー粒子から遊離しない程度の粒子径を有し、
体積固有抵抗が約104 〜1012Ωcm、かつ熱可塑性樹
脂を静電荷像担持体上の静電潜像と逆極性に摩擦帯電さ
せ得る性質のものが有効であり、従来の摩擦帯電を利用
したトナーの電荷制御剤として利用されているものも殆
ど利用できる。このような物質としては例えば、ニグロ
シン系の油溶性染料、クリスタルバイオレット、トリフ
ェニルアミン、4級アンモニウム塩、アゾ系の金属錯
塩、バラチン染料、オラゾール染料等の金属錯塩染料等
が挙げられる。また、体積固有抵抗と帯電極性さえ適当
であれば、各種顔料、例えば、各種非鉄金属酸化物、亜
鉛華、黄色酸化鉄、ハンザイエロー、ジスアゾイエロ
ー、キノリンイエロー、パーマネントイエロー、ベンガ
ラ、リソールレッド、ウォッチャンレッドカルシウム
塩、ウォッチャンレッドマンガン塩、ピラゾロンレッ
ド、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカ
ーミン3B、紺青、フタロシアニンブルー、酸化チタン
等が利用できる。
【0037】着色剤としては、磁性粉が黒色、褐色ない
し暗青色なため必ずしも必須ではないが、通常使用され
ている顔料や染料が使用でき、磁性粉である鉄黒以外に
も例えば、各種非鉄金属酸化物、亜鉛華、黄色酸化鉄、
ハンザイエロー、ジスアゾイエロー、キノリンイエロ
ー、パーマネントイエロー、ベンガラ、リソールレッ
ド、ウォッチャンレッドカルシウム塩、ウォッチャンレ
ッドマンガン塩、ピラゾロンレッド、レーキレッドC、
レーキレッドD、ブリリアントカーミン3B、紺青、フ
タロシアニンブルー、酸化チタン等の顔料、或いは油溶
性の染料を使用できる。
【0038】着色剤の添加量については、トナーに所期
の着色性を付与するための必要量が添加されるが、添加
量が過多な場合は遊離の着色剤粒子が摩擦帯電助剤とし
て働くこと、トナー担持体、静電荷像担持体等を汚損す
ること等の問題から、トナーに対して10重量%以下で
あることが望ましい。なお、黒色の着色剤としてカーボ
ンブラックが従来、価格及び汎用性等の点から最も一般
的に用いられているが、本発明においては体積固有抵抗
が低いために不適であると判断する。
【0039】その他必要な成分としては、各種ワックス
等の滑剤等がある。また、トナーには流動性を改善する
ために、必要に応じてシリカ等を乾式混合する。
【0040】トナーとしての抵抗値については、前述し
たような測定方法を用いるが、印加電圧によって体積固
有抵抗値が変化することがあり、特にカーボンブラック
のような低抵抗物質を分散させたトナーでは顕著であ
る。従来の静電誘導を利用したトナーへの電荷付与方法
として、印加電圧が増加するにつれて体積固有抵抗が低
下する現象を利用する方法があるが、本発明に用いるト
ナーではむしろこのような特性は不適で、例えば10,
000V/cmの電界下で1012Ωcm以下になるようなもの
は好ましくない。本発明にけるトナーは約500〜20
00V/cm程度の低電界下で測定すればほぼ一定の抵抗値
を示す。
【0041】トナー担持体としては、例えば図2に示す
ような、内部に複数の磁極6を有し、導電性のスリーブ
7が回転することによってドクターブレード8で規制さ
れたトナー層を搬送する機構が最も一般的である。内部
の磁極6は固定でも回転しても構わない。この導電性の
スリーブは静電潜像との間の現像場で電界を発生させ、
更にはトナー上の潜像と同極性電荷を漏洩させる上から
も、電気的に接地されていることが好ましい。また、有
機及び無機感光体において、露光量が十分でない等の理
由で背景部に残留電位がある場合には地汚れ防止の目的
で、静電潜像と同極性の直流バイアスを印加する必要が
ある。ただし、スリーブへの直流電圧印加は、トナーへ
の電荷注入によって画像濃度低下を招くことがあるた
め、絶対値で300V以下程度に押さえることが望まし
い。ただし反転現像の場合にはバイアスは画像濃度を向
上させる方向に働くために300V以上印加しても問題
ない。
【0042】トナー担持体とドクターブレードの間隙及
びトナー担持体と静電荷像担持体との距離は、トナー層
が静電荷像担持体に接触するか極接近するように調整す
る必要がある。また、トナー担持体とドクターブレード
の間隙は0.2mm程度以上1mm程度以下が好ましい。
0.2mm程度以下になると、トナーとスリーブとの摩擦
帯電の効果が大きくなり、画像の環境安定性やランニン
グ安定性が悪化する。なお、トナー担持体とドクターブ
レード、及びトナー担持体と静電荷像担持体の間隙を通
常より大きくできることは、機械設計に於ける寸法精度
をラフにできることから、製造コスト低減および、超大
型画面の複写機等に極めて有利であり、更に緻密な調節
が不要なことから、機械間の性能が安定化するという特
長もある。
【0043】静電荷像担持体上に静電潜像を形成する方
法としては、Se系、a−シリコン系等の無機感光体、
及び有機感光体等の静電荷像担持体に光を当てない状態
でコロナ放電等を利用して帯電させることにより均一に
電荷を分布させた後、画像情報を露光して静電潜像を形
成するのが最も一般的である。その他、針状電極によっ
て静電記録紙等に直接静電潜像を記録する方式及びイオ
ンフロー記録等であっても差し支えない。その後、この
静電潜像に例えば磁気力によりトナーを保持したトナー
担持体を接触させると、前記メカニズムによってトナー
は静電潜像に選択的に付着し現像する。
【0044】ここで本発明に関する現像法が、従来の電
荷注入による方式および相互摩擦を利用した方式と原理
的に異なる方式であることが以下の現象から明らかであ
る。導電性のトナー担持体から電荷注入されたトナー
が、トナー層の物理的攪乱によってトナー層上層へ移動
し、静電潜像に接触することにより現像する機構につい
ては、トナー担持体を絶縁体にしても現像することから
それによらないものであることが判る。また、電荷注入
サイトとしてカーボンブラック等を表面に付着させるこ
とが望ましいとしていることに於いても、本発明では1
4 Ωcm以下の物質は実質的に含まない方が良好である
ことから、そのメカニズムは全く異なることが判る。
【0045】また、トナー粒子相互間の摩擦帯電を利用
する機構についても、以下の点から相違は明らかであ
る。 (1) トナー表面のバインダー樹脂部分と露出した磁性粉
部分が相互摩擦することによって磁性粉が正、樹脂が負
に帯電するとしていることについては、磁性粉量を5%
から55%まで変化させても、現像性に大きな変化は現
れない。 (2) 本発明に用いるトナーは、積極的に磁性粉をトナー
表面に露出させていない。 (3) 摩擦帯電を利用しないため、現像性が環境の影響を
受けない。静電潜像の現像性については7℃20%RH
から30℃85%RHまで殆ど変化せず安定した一定の
画質が得られる。
【0046】勿論既に述べたように、本発明に関する現
像法は静電誘導ないし誘電分極が支配的であるが、電荷
注入、相互摩擦の効果も若干は存在していることも否定
できない。
【0047】
【発明の作用及び効果】本発明は、熱可塑性樹脂は体積
固有抵抗約1×1014Ωcm以上であり、帯電安定剤は体
積固有抵抗約1×104 〜1×1012Ωcmであり、磁性
粉、着色剤は体積固有抵抗約1×104 〜1×1012Ω
cmであり、かつ体積固有抵抗約104 Ωcm以下の物質を
実質的に含まない磁性1成分トナーを、少なくとも現像
場では表面が導電性のトナー担持体を用い、静電潜像の
電界による静電誘導ないし誘電分極によって主に帯電す
ることにより潜像を可視化することを特徴としている。
【0048】絶縁性磁性1成分トナーを用いるため、以
下の特徴がある。 (1) 絶縁性トナーのため静電転写に適しており、PPC
化が可能である。 (2) 1成分現像方式のため、現像機構が簡単になり、小
型化が可能である。また、メンテナンスが従来より容易
ないし不要である。
【0049】さらに本発明に関する現像法は摩擦帯電な
いし電荷注入を利用しないため、以下の特徴がある。 (1) 使用環境(特に湿度)依存性がない。これは印字品
質及び機械の信頼性を大きく向上させるものである。 (2) 特別な電気的手段を用いることなく、トナーの電荷
量が長期の印字でも非常に安定し、画像の信頼性が大き
く向上した。 (3) 現像速度の高速化が可能であり、大型機における現
像器の簡素化、メンテナンスフリー化が可能になった。 (4) 現像器の寸法精度が従来に比べてラフでも良い。 (5) 従来より遅いスリーブ速度(10cm/秒以下)でも
現像性が良い。
【0050】
【実施例】
製造例 絶縁性磁性トナーの製造 下記配合のトナー原料を予備混合した。部は重量部を表
す。 スチレン−アクリル樹脂(商品名:アルマテックスPA−201、三井東圧化 学(株)製、体積固有抵抗=5×1015Ωcm) 63.0部 マグネタイト(商品名:MG−WMK、三井金属工業(株)製、体積固有抵抗 =5×108 Ωcm) 35.0部 帯電安定剤(以下で詳述) 2.0部 上記原料3kgを、20リットルのミキサー(商品名:
ヘンシェルミキサー、三井三池製作所(株)製)で15
00rpmにて5分間混合した。これを2軸押出混練機
(商品名:PCM−30、池貝鉄工(株)製)で熔融混
練した後、ジェットミルで粉砕、気流分級機にて分級
し、体積基準平均粒径約11μで、5μ以下及び20μ
以上を実質的に含まないトナーをサンプルとした。この
トナーに主に流動性を向上させるため、疎水性シリカを
トナー100重量部に対し0.3部加え乾式混合した。
【0051】試作例 複写試験機の試作 なお、上記トナーを市販の複写機を改造した実験機を用
いて実際に印字試験を行った。複写機としては感光体に
正帯電のSe(表面電位+800V)感光体を用いた機
械及び負帯電のOPC(表面電位−600V)感光体を
用いた複写機を使用した。前者を実験機A、後者を実験
機Bと呼ぶ。それぞれの実験機には同一の現像器を使用
した。現像器の構造および設定条件は以下の通りであ
る。
【0052】現像器の基本機構: ・内部磁極:8極、1000ガウス、1000rpmで
感光体と逆方向に回転 ・導電性スリーブ:直径24mmφ、周速15cm/secで感
光体と同方向に回転(感光体との相対速度は10cm/sec
以下) ・ドクターブレード−導電性スリーブ間隙:0.3mm ・感光体−導電性スリーブ間隙:0.3mm ・スリーブは電気的に接地
【0053】(実施例1〜8)帯電安定剤としては第1
表のような物質を選択した。
【0054】 第1表 実施例 帯電安定剤 体積抵抗 Ωcm 1 ニグロシン染料(注1) 2×109 2 ニグロシン染料(注2) 8×1010 3 ニグロシン染料(注3) 2×108 4 アニリンブラック(試薬) 6×108 5 スピロンブラック(注4) 5×108 6 粗製ニグロシン染料 5×105 7 アゾ系含金属染料(注5) 6×1010 8 アゾ系含金属染料(注6) 3×1011 9 キナクリドン顔料(注7) 8×1012 10 フタロシアニンブルー(注8) 1×1011 (注1)ニグロシンベースEX:オリエント化学(株)
製 (注2)ボントロンN−2:オリエント化学工業(株)
製 (注3)ボントロンN−07:オリエント化学工業
(株)製 (注4)スピロンブラックSB:オリエント化学工業
(株)製 (注5)スピロンブラックTHR:保土谷化学工業
(株)製 (注6)ボントロンS−34:オリエント化学化学工業
(株)製 (注7)KET RED 310:大日本インキ化学工
業(株)製 (注8)リオノールブルーSL:東洋インキ製造(株)
【0055】上記各トナーを現像器中に50g投入し、
50枚のベタ黒画像連続印字実験を行い、印字開始1枚
目及び50枚目の3×3cm角のベタ黒部反射濃度を測定
した(反射濃度計、マクベスRD−918)。これを同
一トナーで実験機A及びBで行った。結果を第2表に示
した。
【0056】 第2表 印字試験画像濃度 実施例 樹脂との摩擦帯電極性 実験機A 実験機A 実験機B 実験機B 初期 50枚 初期 50枚 1 正 1.32 0.37 1.49 1.42 2 正 1.31 0.85 1.40 1.32 3 正 1.36 0.25 1.43 1.38 4 正 1.38 0.32 1.41 1.34 5 正 1.38 0.40 1.38 1.34 6 正 1.37 0.35 1.39 1.31 7 負 1.37 1.38 1.39 0.58 8 負 1.32 1.34 1.30 0.77 9 負 1.39 1.37 1.38 1.14 10 負 1.47 1.41 1.32 0.98 11 正/負 1.41 1.38 1.42 1.40
【0057】本発明に関するトナーは初期画像現像に於
いては、静電誘導による電荷を利用しているために、正
極性も負極性もいずれの極性の静電潜像も同様に良好に
現像することが判った。しかしベタ黒画像を連続印字す
ることによって、静電潜像と同極性電荷トナーがトナー
層中に蓄積してくるために、樹脂に対する摩擦帯電極性
が、静電潜像と同極性の帯電安定剤を用いたトナーは画
像の濃度が低下が著しく、不適であった。(表中画像濃
度数値に下線を施してあるものが、本発明による結果を
表している。反射濃度は実用上1.2以上、さらに望ま
しくは1.3以上であることが好ましい。)また実施例
1に於いて、環境を7℃・20%RH、23℃・50%
RH、30℃・85%RHと変化させて同様な印字試験
を行ったが、帯電に摩擦電荷を利用しないため、いずれ
の環境に於いても画像濃度、画質の劣化は認められなか
った。
【0058】(実施例11)実施例1及び実施例7で用
いた帯電安定剤を、各1部づつ用い、実施例1〜10と
同様に印字試験を行った。この場合、第2表に示すよう
に両方の極性の静電潜像に対して画像濃度が安定化し同
一トナーで正/負極性及び正規/反転いずれの現像も可
能であることが判った。
【0059】(比較例1〜9)比較例として第3表のよ
うな各種物質を実施例1〜11と同様に評価した。(な
お比較例8、9のみ、カーボンブラックの体積固有抵抗
値が小さいため、1.0部とし、スチレン−アクリル樹
脂を64.0部とした。)結果を第4表に示した。
【0060】 第3表 比較例 帯電安定剤(商品名体積抵抗 Ωcm 1 4級アンモニウム塩(注1) 1×1015 2 4級アンモニウム塩(注2) 1×1016 3 ホウ素化合物(注3) 5×1013 4 Cr(3価)錯体(注4) 3×1015 5 Zn錯体(注5) 3×1014 6 アゾ顔料(注6) 5×1014 7 フタロシアニングリーン(注7) 2×1014 8 カーボンブラック(注8) 2×103 9 カーボンブラック(注9) 4×102 (注1)TP−302:保土谷化学工業(株)製 (注2)ボントロンP−51:オリエント化学工業
(株)製 (注3)LR−147:日本カーリット(株)製 (注4)ボントロンPNR−BE:オリエント化学工業
(株)製 (注5)ボントロンE−84オリエント化学工業(株)
製 (注6)リオノールイエローFGN−T:東洋インキ製
造(株)製 (注7)リオノールグリーン6Y−501:東洋インキ
製造(株)製 (注8)三菱カーボン44:三菱化成工業(株)製 (注9)コンダクテックスSC:コロンビアカーボン社
【0061】 第4表 印字試験画像濃度 比較例 樹脂との摩擦帯電極性 実験機A 実験機A 実験機B 実験機B 初期 50枚 初期 50枚 1 正 0.90 0.95 1.36 1.37 2 正 1.06 1.19 1.40 1.31 3 負 0.35 0.88 0.46 0.22 4 負 1.40 1.36 1.16 0.25 5 負 1.37 1.34 0.84 0.32 6 負 1.40 1.40 1.23 1.05 7 負 1.45 1.46 1.20 0.88 8 − 1.42 0.75 1.28 1.13 9 − 1.34 1.18 1.24 1.03
【0062】比較例1〜2及び4〜7は体積固有抵抗が
高いため、摩擦帯電の効果が静電誘導ないし誘電分極の
効果に比べ大きくなるため、両極性の静電潜像の初期に
於ける現像性、およびベタ黒50枚後の画像濃度低下の
点で不適であった。しかし、適性を有する潜像極性に対
する現像においては実施例1〜11と同様に安定してい
る。しかしながら、前記3環境条件(7℃・20%R
H、23℃・50%RH、30℃・85%RH)下にお
ける摩擦帯電の湿度依存性画像試験においては画像濃度
が変化し、不適であった。よってこれらは本発明に関す
る現像法とは異なることが判る。また、比較例8〜9は
体積固有抵抗が低いため、両極性の静電潜像を同様に現
像するが、電荷の保持及び放散性が劣るため、印字枚数
が進むに従い画像濃度が低下し不適であった。比較例3
については、摩擦帯電性も劣り両極性ともに画像濃度が
不足であった。
【0063】(比較例10)トナー原料を以下のように
磁性粉量に着目して変化させたトナーを実施例1〜11
と同様に試作した。使用した原材料は、実施例1と同一
である。
【0064】 第5表 原材料処方(重量%) 実験機Bでの サンプル名 樹 脂 マグネタイト 帯電安定剤 試験結果 A 88 10 2 トナー現像量過多 B 78 20 2 やや不良(飛び散り) 実施例1 63 35 2 良好 C 48 50 2 良好 D 28 70 2 静電転写性が不適
【0065】磁性粉量は35〜50%が最も良好であっ
た。トナーサンプルA及びBについては静電潜像の現像
性という点では問題なく、トナー担持体の磁力が一定な
ため、この実験機では現像性が不適合なだけと考えられ
る。また、トナーサンプルDはトナーとしての体積固有
抵抗が低下したため、静電転写性が低下してしまい、不
適であった。
【0066】(比較例11)帯電安定剤が104 Ωcm以
下の場合を、第6表のように、カーボンブラック添加量
を変化させて実験機Bを用いて印字試験を行った。カー
ボンブラックは比較例9に用いたものを使用した。
【0067】 第6表 原材料処方(重量%実験機Bでの画像濃度 サンプル名 樹 脂 M(*) C(**) 初期 50枚 E 65 35 0 1.35 0.88 F 64.9 35 0.1 1.26 0.95 比較例9 64 35 1.0 1.24 1.03 G 62 35 3.0 1.19 1.01 H 58 35 7.0 1.18 1.09 *:マグネタイト **:カーボンブラック
【0068】カーボンブラック添加は例え微量であって
も、その量に従い画像濃度が低下し、また静電転写性も
悪化するため不適であった。
【0069】(比較例12)実施例1に用いたトナーに
於いて、その帯電安定剤の添加量を変化させて、実施例
1と同様に試作し、印字試験を行った。結果を第7表に
示した。
【0070】 第7表 原材料処方(重量%実験機Bでの画像濃度 サンプル名 樹 脂 マグネタイト 帯電安定剤 初期 50枚 I 64 35 1 1.46 1.40 実施例1 63 35 2 1.49 1.42 J 61 35 4 1.38 1.40 K 57 35 8 1.40 1.31
【0071】トナーKでは添加量が過多なため、トナー
としての体積固有抵抗が低下し、やや不適であったが、
他はいずれも良好であった。
【0072】(比較例13)実施例1、比較例12中の
トナーF及び実施例1にカーボンを0.1%を含有させ
たトナーを実施例1と同様に評価した。結果は第8表に
示すように、トナーLはトナーFに比べて非常に良好で
あり、帯電安定剤の効果が十分であれば、ごく微量なら
ば低抵抗の物質が含有されていても使用できることが判
った。
【0073】 第8表 原材料処方(重量%はマグネタイトは35%一定) 実験機Bでの画像濃度 サンプル名 樹 脂 カーボン 帯電安定剤 初期 50枚 F 64.9 0.1 0 1.26 0.95 実施例1 63 0 2 1.49 1.42 L 62.9 0.1 2 1.44 1.39
【0074】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の現像方法の概念を示す断面図 (a) 図1の円内拡大図 (b) トナー単独粒子の荷電状態の拡大図 (c) トナー磁気ブラシに於ける荷電状態の概念を示
す断面図
【図2】 本発明のトナー担持体の概念を示す断面図
【0075】 1・・・トナー担持体 2・・・磁極 3・・・トナー粒子 4・・・静電荷像担持体 5・・・静電荷像 6・・・磁極 7・・・導電性スリーブ 8・・・ドクターブレード

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも熱可塑性樹脂、磁性粉、帯電安
    定剤、および必要に応じて着色剤を含有し、該熱可塑性
    樹脂は体積固有抵抗約1×1014Ωcm以上であり、該帯
    電安定剤は体積固有抵抗約1×104 〜1×1012Ωcm
    であり、該磁性粉および該着色剤は体積固有抵抗約1×
    104 〜1×1012Ωcmであり、かつ体積固有抵抗約1
    4 Ωcm以下の物質を実質的に含まない磁性1成分トナ
    ーを、少なくとも現像場では表面が導電性のトナー担持
    体に磁力を用いて保持し、静電荷像担持体上に形成され
    た静電潜像に該磁性1成分トナーを接触させ、該静電潜
    像の電界による静電誘導ないし誘電分極によって主に帯
    電することにより潜像を可視化することを特徴とする絶
    縁性磁性1成分トナーの現像方法。
JP4105887A 1992-03-31 1992-03-31 絶縁性磁性1成分トナーの現像方法 Expired - Fee Related JP2962040B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001226337A (ja) * 1999-12-07 2001-08-21 Hodogaya Chem Co Ltd 金属錯塩化合物及びそれを用いた静電荷像現像用トナー
JP2012037898A (ja) * 1999-12-07 2012-02-23 Hodogaya Chem Co Ltd 電荷制御剤及びそれを含有する静電荷像現像用トナー

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