JP2608710B2 - 電動工具用整流子電動機における配線装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、電動工具用整流子電動機における配線装
置に関する。

〔従来の技術〕

従来、電動工具用整流子電動機の内部配線及び接続は
リード線と圧着端子等を用いて行われているが、このリ
ード線の接続作業は手作業に頼らなければならないこと
もあって作業効率が悪く、このため生産コストが上昇す
るばかりか、電動機組立て合理化の障害になっていた。

また、リード線による内部配線は電動機組立て時にリ
ード線がハウジング等に挟み込まれてリード線の被覆が
剥がれたり、リード線が回転子やファン等の他部材に接
触して絶縁不良や漏電等の原因になるおそれがあった。

〔発明の目的〕

本発明は、かかる従来の問題に鑑みなされたもので、
その目的とするところは、電動工具用整流子電動機の内
部配線におけるリード線をなくし、電動機組立ての部品
点数や組立て工数を低減するとともに、組立て時におけ
る配線作業の合理化を達成して整流子電動機の生産コス
トを大幅に低下させ、しかも電気的な信頼性を損なうこ
とのない電動工具用整流子電動機の配線装置を提供する
ことにある。

〔実施例〕

次に、本発明の第１実施例の構成を第１図〜第25図に
基づいて説明する。

整流子電動機、例えば電動工具の第１図に示す電気ド
リル１に組み込まれた整流子電動機２の場合、固定子巻
線３を巻き付けた固定子鉄心４は電気ドリル１のボディ
を形成するハウジング５の内側リブ６間に嵌め込まれた
状態で取付けられ、回転子巻線７を巻き付けた回転子鉄
心は該回転子鉄心の軸心を形成する回転子シャフト９に
ベアリング10を嵌め込んだ状態でハウジング５に回転可
能に取付けられ、回転子巻線７に電源を供給する整流子
11に圧接するブラシ12を摺動可能に保持するブラシホル
ダ13及び各種配線用端子等を取り付けた整流子電動機用
ブラシホルダアッセンブリ14は次のように構成されてい
る。

固定子鉄心４の端面には、第２図に示すように固定子
巻線３の絶縁枠と巻線形崩れ防止とを兼ねた絶縁ターミ
ナルプレート15が取付けられ、絶縁ターミナルプレート
15上には固定子巻線３の各巻線端末に対する配線用係脱
可能な一対の端子16、この場合各巻線端末に対応した４
個の端子16の一方を構成する雌端子16Aが取付けられて
いる。

また、整流子電動機２の整流子11に圧接するためのブ
ラシ12を圧接方向移動可能に保持するブラシホルダ13を
取り付けた絶縁ベースプレート17上には、第３図〜第９
図に示すように前記一対の端子16の一方の雌端子16Aに
プラグイン接続される端子16の他方の雌端子16Bと、回
転子巻線７に電源を供給するためのブラシ12保持用ブラ
シホルダ13と電源に接続される電源端子18とのそれぞれ
が取付けられ、かつ、絶縁ベースプレート17に取付けら
れたこれら一対の端子16の他方を形成する雄端子16Bと
ブラシホルダ13と電源端子18とのそれぞれは絶縁ベース
プレート17に対して予め設定された電気回路、例えば第
25図の電気回路に従っての接続配線を含めて次のように
構成されてブラシホルダアッセンブリ14が形成されてい
る。

即ち、端子16の他方の雄端子16Bの４個のうちの２個
の雄端子16B1は、第10図〜第12図に示すように、ブラシ
ホルダ13をスポット溶接して絶縁ベースプレート17に一
体に取付けるためのブラシホルダ取付け部20と端子16の
他方の雄端子16B1とを１本の導電バー21に形成して絶縁
ベースプレート17に埋め込み成形され、埋め込み成形さ
れた導電バー21のブラシホルダ取付け部20は、その露出
部において第16図〜第19図に示すブラシホルダ13がその
フランジ部22をスポット溶接した状態で取付けられ、こ
の場合において、整流子電動機２の機種により整流子11
の直径が変化しても、部品を変えることなくスポット溶
接の位置を変化させるのみで容易に対応することができ
る。

又、端子16の他方の雄端子16B2は第13図に示すよう
に、電源端子18兼用の端子板24として形成され、端子板
24を該絶縁ベースプレート17に形成された鍵孔状端子挿
入孔23に挿入後その折り曲げ部25を第14図、第15図のよ
うに折り曲げて端子板24を絶縁ベースプレート17に取付
け、この取付け状態で絶縁ベースプレート17には４個の
雄端子16B1、16B1、16B2、16B2と２個の電源端子18と２
個のブラシホルダ13が取付けられ、更に、第３図に示す
導電バー21の露出電極部26にはホルダ突起27に支持させ
たノイズ防止用チョークコイル28両端のリード線がスポ
ット溶接で接続され、かつ、このスポット溶接による接
続の前に導電バー21の露出電極部26間の第５図、第７図
に示す矩形状導電露出部29は切断されて第25図に示す電
気回路を形成する。

又、絶縁ベースプレート17に取付けられたブラシホル
ダ13には、第20図および第21図に示すように、導電性キ
ャップ30にピッグテール31を介して接続されかつスプリ
ング32を介して前方に付勢されたブラシ12が摺動可能に
挿入され、この挿入状態で導電性キャップ30をブラシホ
ルダ13後端部に嵌込むと、導電性キャップ30の内側に形
成した係止突起33がブラシホルダ13後端部に形成した係
止孔34に嵌って係止し、この係止状態でブラシ12はその
先端がブラシホルダ13先端部に折曲げ形成したストッパ
部35に当接してブラシ12の飛出しを防止しているが、こ
の飛出し防止状態で整流子電動機用ブラシホルダアッセ
ンブリ14を整流子電動機２に組込んだ後、ストッパ部35
を第19図に示す切込み部36から折曲げカットしてブラシ
12を整流子11に圧接させる。

この場合において、ストッパ部35を切込み部36から折
曲げカットする際に、この折り曲げカット作業を容易に
するため、ストッパ部35には上方に湾曲突出させた状態
で引掛け部35aが形成されている。

又、ブラシホルダアッセンブリ14の電源端子18には電
源用リード線37の先端に取り付けた外部端子38が第23図
のように、差込み接続されるか、或は、端子板24を用い
ることなく、電源用リード線37を第15図に２点鎖線で示
すように、鍵孔状端子挿入孔23を通して端子16の一方の
雌端子16Aに直接挿入することによって接続される。従
って、本実施例においては電源用リード線37の先端に外
部端子38を取り付けても、取り付けなくても接続するこ
とができる。

ここで、電源リード線37としては、単線タイプか若し
くは複数の細径ワイヤを撚り合わせてなる撚り線タイプ
を用いるのが一般的であり、いずれを用いるかはその価
格や線径等を考慮して適宜モータ仕様に合わせて使い分
けられている。撚り線タイプを使用する場合には、通常
図23に示すように端子板24を介して接続され、単線タイ
プの場合にはリード線を直接雌端子16Aに差し込んで接
続される。この点、上記鍵孔形状の貫通孔23によれば、
電源用リード線37が単線タイプであっても撚り線タイプ
であってもベースプレート17を変更することなく接続で
きる。

また、これら電源用リード線37の配線は第22図に示す
ように、絶縁ベースプレート17の周辺に形成された切込
み部39に引掛けた位置固定状態で配線される。

なお、このように構成されたブラシホルダアッセンブ
リ14は第６図、第23図に示す上下姿勢で積重ねると、ブ
ラシホルダ13の頂部40が絶縁ベースプレート17に形成し
たコの字状窪み41に嵌り、安定した状態で積重ねること
ができ、しかも、この積重ね状態で端子16は他の絶縁ベ
ースプレート17に当接せず、従って、端子16を痛めるこ
となく絶縁ベースプレート17を積重ねて整流子電動機２
の組立て作業を容易にすることができ、又、ノイズ防止
用チョークコイル28を接続しない場合は矩形状導電露出
部29を切断することなくそのまま使用される。

次に、第26図は本発明の第２実施例であって、この場
合、絶縁ベースプレート41に埋め込み形成した導電バー
42のブラシホルダ取付け部43に対するブラシホルダ44の
取付けを、ブラシホルダ取付け部43に形成したスリット
45に対しブラシホルダ44に突出形成した爪片46を挿入後
折曲げとし、かつ、導電バー42をその中間位置で絶縁ベ
ースプレート41から突出露出させて導電露出部47を形成
するとともに、該導電露出部47の中間部分を切断した状
態においてノイズ防止用チョークコイル28を接続するよ
うにし、更に、絶縁ベースプレート41の各端子48位置
に、整流子電動機の組立て作業途上において端子48を保
護するためのガード突起49が形成されている他は、発明
の構成、作用、効果ともほぼ前記第１実施例と同様の構
成である。

〔発明の効果〕

本発明によれば、整流子電動機組立ての部品点数と組
立て工数を低減させるとともに、部品及びアッセンブリ
を機械的に組込むだけで電気的接続も行うことができ、
組立て作業の合理化を可能にして整流子電動機の生産コ
ストを大幅に低下させることができ、しかも、整流子電
動機組立て時においてはリード線による電気配線がない
ため、リード線をハウジングに挟んだり、リード線が電
機子、ファン等の他部品に接触したりすることがなく、
漏電、絶縁不良等の発生を未然に防止して電気的信頼性
を十分に確保することができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第１実施例の電気ドリル１の破断正面
図、第２図はその固定子鉄心４部分の斜視図、第３図は
そのブラシホルダアッセンブリ14の正面図、第４図はそ
の第３図の側面図、第５図はその第３図の裏面図、第６
図はその第３図の底面図、第７図はその第３図のＡ−Ａ
線断面図、第８図はその第３図のＢ−Ｂ線断面図、第９
図はその第３図のＣ−Ｃ線断面図、第10図はその導電バ
ー21の正面図、第11図はその第10図の側面図、第12図は
その第10図の底面図、第13図はその端子板24の正面図、
第14図はその端子板24組立て部分の説明図、第15図は第
14図の平面図、第16図はそのブラシホルダ13の正面図、
第17図はその第16図の平面図、第18図はその第16図の側
面図、第19図はその第16図の一部詳細図、第20図はその
ブラシ12組立て状態を示す正面図、第21図はその第20図
のスプリング32圧縮状態の側面図、第22図はその配線状
態を示す正面図、第23図はその整流子電動機用ブラシホ
ルダアッセンブリ14の斜視図、第24図はその整流子電動
機用ブラシホルダアッセンブリ14の一部裏面部分斜視
図、第25図はその電気回路図、第26図は本発明の第２実
施例の斜視図である。 ２…整流子電動機 ３…固定子巻線 ４…固定子鉄心 ７…回転子巻線 13…ブラシホルダ 14…ブラシホルダアッセンブリ 15…絶縁ターミナルプレート 16…端子 17…絶縁ベースプレート 18…電源端子 20…ブラシホルダ取付け部 21…導電バー 24…端子板

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】固定子巻線を有する固定子と、該固定子の
   端部に配設され、前記固定子巻線に接続された複数の端
   子を有する絶縁材料製のターミナルプレートと、回転子
   コイルを有する回転子と、前記回転子コイルに接続され
   た整流子を備えた電動工具用整流子電動機における、前
   記ターミナルプレートとの電気的接続のための配線を有
   する絶縁材料製のベースプレートを有する配線装置であ
   って、 前記ベースプレートには、前記ターミナルプレートの対
   応する端子に対面する位置に貫通孔が設けられ、 該貫通孔は、対応する前記ターミナルプレートの端子に
   接続するリード線を挿通可能な断面円形部分と、該断面
   円形部分から切込み形成されて対応する前記ターミナル
   プレートの端子に接続する端子板を挿通可能な断面長溝
   孔形状の部分とを有する鍵孔形状に形成され、 前記リード線または前記端子板のいずれか一方が該貫通
   孔に挿通されて前記固定子巻線と前記ベースプレートと
   が接続される構成としたことを特徴とする電動工具用整
   流子電動機における配線装置。