JP2608151B2 - 耐加水分解性の改善されたポリアリレート樹脂およびその製造方法 - Google Patents

耐加水分解性の改善されたポリアリレート樹脂およびその製造方法

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JP2608151B2 JP1271120A JP27112089A JP2608151B2 JP 2608151 B2 JP2608151 B2 JP 2608151B2 JP 1271120 A JP1271120 A JP 1271120A JP 27112089 A JP27112089 A JP 27112089A JP 2608151 B2 JP2608151 B2 JP 2608151B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、耐加水分解性の改善されたポリアリレート
樹脂の製造法に関する。
(従来の技術) 芳香族ジカルボン酸とビスフェノール類とから合成さ
れる線状芳香族ポリエステル(以下、ポリアリレート樹
脂と称す)は、射出成形、押出成形、ブロー成形、圧縮
成形等に適した材料として周知である。特に、米国特許
第3,216,970号明細書等に開示のテレフタル酸および/
またはイソフタル酸と2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン(ビスフェノールA)とから成るポリア
リレート樹脂は、耐熱性、機械的強度、難燃性、電気的
性質、寸法安定性、透明性等に優れ、精密機械部品、フ
ィルム、各種機器ケース類等の材料として有用である。
(発明が解決しようとする課題) 前記ポリアリレート樹脂は、初期物性として優れた物
理的、化学的性質を有しているものの、沸騰水中など
の、高温・湿潤雰囲気下での長期使用では、著しい劣化
を受けて、その性質が大幅に低下する。この劣化は、エ
ステル結合の加水分解による分子量低下が主たる原因で
ある。
加水分解による分子量低下は、ポリカーボネート樹脂
や他のポリエステル系樹脂においても見られるが、ポリ
アリレート樹脂は、これらに比較してより顕著に急速な
劣化および脆化傾向を示すことが多い。このように、水
分に敏感であることがポリアリレート樹脂の重要な問題
点であり、その為、高温・湿潤雰囲気中での使用が著し
く制限され、商業的価値を大幅に低下させている。
ポリアリレート樹脂の耐加水分解性を改善させる方法
としては、以下の方法が提案されている。
その一つは、特殊なモノマーを共重合させ、加水分解
安定性を付与する方法である。このようなモノマーとし
ては、テトラメチルスルホン(特開昭60−212423号公
報)、テトラメチルビスフェノール類(特開昭61−4253
9号公報)、芳香族系の三核ビスフェノール類(特開昭6
1−42532号公報)、三環ビスフェノール類(特開昭61−
42533号公報)等が検討されている。しかし、このよう
なモノマーを共重合させる方法は、総じて原料価格が高
く、さらに耐熱性、成形性、機械的強度も若干低下す
る。
もう一つの方法は、ポリマー末端を封止する方法であ
る。一般に、ポリエステルの加水分解性を改善するため
に、末端封止を行うことは広く知られており、封止剤と
して、エポキシ化合物、置換フェノール類、カルボジイ
ミド類等が検討されている(例えば、特開昭61−16862
号公報、特開昭63−317546号公報参照)。
ビスフェノール系ポリアリレートの場合、通常のポリ
エステル類と比較して成形加工温度が高い為(300℃〜3
80℃)、前記封止剤のうち、エポキシ化合物、カルボジ
イミド化合物は成形加工時に熱分解を生じたり、着色す
る問題がある。そこで、ビスフェノール系ポリアリレー
トでは、熱安定性に優れた末端封止剤が主として検討さ
れている。
特開昭53−8696号公報には、一価フェノール化合物に
よるポリアリレート樹脂の末端封止が開示されている。
この方法は、芳香族ハロゲン化ジアシルとビスフェノー
ル化合物を原料としてポリアリレート樹脂を合成する溶
液重合法のみに適用される。すなわち、p−tert−ブチ
ルフェノールのような一価フェノール化合物の存在下で
反応を行うことにより、ポリアリレートの末端ハロゲン
化アシル基を置換フェニルエステルで封止し、末端基に
よる加水分解触媒作用を低減させている。この方法によ
るポリアリレート樹脂は、成形加工時の熱安定性を低下
させることなく、耐加水分解性が改善されている。しか
し、当該方法は、溶液重合プロセスを必要とし、すなわ
ち、原料として高価な芳香族ハロゲン化ジアシルを用い
なければならず、また、溶媒(通常はハロゲン化炭化水
素)を用いる為、回収・再使用の工程が必須で製造コス
トが高くなる。
また、特開昭62−218418号公報には安息香酸フェニル
による末端封止が開示されている。この方法は、ジカル
ボン酸のジアリールエステルとビスフェノール化合物を
原料としてポリアリレート樹脂を合成する溶融重合法に
適用される。溶融重合法は、溶媒を用いる必要がなく、
従って前述のような製造コストの問題は解決される。し
かし、安息香酸フェニルで末端封止を行うと、ポリマー
末端が重合能力を失う為、反応初期から安息香酸フェニ
ルを存在させると、高分子量化が阻害されたり、分子量
分布が広がる問題点がある。このような欠点を克服する
為、前記方法において、ポリアリレート樹脂が十分な重
合度に達した後に、安息香酸フェニルを添加する方法も
考えられるが、このような高重合度のポリアリレート樹
脂は、溶融温度・粘度が高いため、均一な混練が不可能
であり、従って完全に末端を封止することは困難であ
る。
以上のように、当該技術分野では、いずれの方法にお
いても問題点が残されており、これら問題点を全て解決
した技術の開発が望まれている。
そこで本発明の目的は、前記問題点を全て克服し、改
善された加水分解安定性を有するビスフェノール系ポリ
アリレートの樹脂およびその製造法を提供することにあ
る。
(課題を解決するための手段) 上記目的を達成するために、本発明のポリアリレート
樹脂は、次の一般式、 (式中のArは Xは−SO2−、−S−、 または炭素数1〜10のアルキリデン基を示す。)で表さ
れる構成成分より成り、〔I〕〜〔III〕成分は各々単
一成分でも2種以上の成分であってもよく、〔III〕成
分が30モル%以下であり、このポリマー鎖の両末端が次
式、 (式中のRは炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル
基、Xは前記のものと同じものを示す。)で表される基
で封止されていることを特徴とするものである。またか
かるポリアリレート樹脂の製造方法は、原料として次の
一般式、 (式中のXおよびRは前記のものと同じものを示す。)
で表されるビスフェノール系エステル化合物と、次の一
般式、 (式中のArは前記のものと同じものを示す。) で表されるジカルボン酸化合物と次の一般式、 (式中のArは前記のものと同じものを示す。)で表され
るジカルボン酸化合物とを反応させる際、原料(i)中
と原料(ii)中の との割合がモル比で次式、 で表される関係を満たすように原料(i)を化学量論量
に対して過剰に用いることを特徴とする。
更に本発明のポリアリレート樹脂は、次の一般式、 (式中のAr、Xは前記のものと同じものを示す。)で表
される構成成分より成り、〔I〕〜〔IV〕成分は各々単
一成分でも2種以上の成分であってもよく、これら成分
のモル分率〔I〕成分及び〔II〕成分が共に30モル%以
上、〔III〕成分が30モル%以下、〔IV〕成分が25モル
%以下であり、このポリマー鎖の両末端が次式、 (式中のR,Xは前記のものと同じものを示す。) で表わされる基で封止されていることを特徴とするもの
である。またかかるポリアレート樹脂の製造方法は、 原料として次の一般式、 (式中のXおよびRは前記のものと同じものを示す。)
で表されるビスフェノール系エステル化合物と、次の一
般式、 (式中のArは前記のものと同じものを示す。)で表わさ
れるジカルボン酸化合物と、次の一般式、 (式中のArは前記のものと同じものを示す。)で表わさ
れるカルボン酸化合物と、次の一般式、 (式中のAr、Xは前記のものと同じもの、R1は−OH, R2は−Hまたは pは2以上の整数を示す。) で表わされるポリマーとを反応させる際、 原料(i)中の と原料(ii)中の との割合がモル比で次式、 で表される関係を満たすように原料(i)を化学量論量
に対して過剰に用いることを特徴とするものである。
(作 用) 本発明のポリアリレート樹脂は、以下の反復単位
(I)〜(IV); から選ばれた成分を有するビスフェノール系ポリアリレ
ート樹脂である。
反復単位〔I〕は、ビスフェノール系ポリアリレート
を構成する必須成分でポリマー中に30モル%以上含まれ
ることを要する。〔I〕の存在量が30モル%より少ない
と、衝撃強度と透明性が低下する。本発明の方法では
〔I〕を与えるモノマーは上記存在量に対して0.5〜10
モル%過剰に用いなければならない。〔I〕を与えるモ
ノマーとしては、具体的には、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)エタン等が挙げられる。この中でも入手の容
易さから、ビスフェノールAが好ましい。
反復単位〔II〕も、ビスフェノール系ポリアリレート
を構成する必須成分である。〔II〕の存在量も30モル%
以上であることを要する。〔II〕を与える原料として
は、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジ
カルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等が挙げら
れる。好ましくは、テレフタル酸とイソフタル酸の混合
物を用いる。
反復単位〔III〕の存在量は、ポリエステル全量に対
して30モル%以下、好ましくは3〜15モル%とする。反
復単位〔III〕は主として、燃焼時の溶融滴下性の改善
の為に加えられる。〔III〕の存在量が30モル%を超え
ると、衝撃強度と透明性が低下し、好ましくない。〔II
I〕を与える原料としては、p−ヒドロキン安息香酸、
m−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフト
エ酸、7−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等が挙げられ
る。入手の容易さから、p−ヒドロキシ安息香酸、6−
ヒドロキシ−2−ナフトエ酸が好ましい。
単複単位〔IV〕の存在量はポリマー全量に対して25モ
ル%以下、好ましくは3〜7モル%とする。反復単位
〔IV〕は主として成型性と衝撃強度の改善の目的で加え
られる。
尚、〔IV〕の存在量が25モル%を越えると、ビスフェ
ノール系ポリアリレートの特徴である耐熱性が低下する
ので好ましくない。
〔IV〕を与える原料としては、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等が挙げら
れる。入手の容易さからポリエチレンテレフタレートが
好ましい。
本発明のポリアリレート樹脂の対数粘度(濃度0.25g/
dl、温度、23℃、フエノール:テトラクロロエタン=6:
4(重量比)溶媒中で測定)は、好ましくは0.50dl/g以
上である。
次に、本発明のポリアリレート樹脂の製造方法につい
て説明する。
本発明のポリアリレート樹脂を製造するにあたって
は、原料(i)中の前記 と原料(ii)中の とを割合がモル比で 好ましくは1.01〜1.05の範囲内とする。過剰量がこの比
で1.005未満であれば、耐加水分解性の改善効果は少な
く、また、この範囲より多ければ、最終到達ポリマーの
分子量が低下し、十分な強度のポリアリレート樹脂は得
られない。最適過剰量は、ポリマー組成、反応条件等に
よって大きく変化するのでその都度考慮する必要があ
る。前記 を過剰にするには、原料(i)を過剰に用いれば良い。
原料としての(i)および(iii)について更に具体
的に述べると、これは前述の如く次式、 で表わされ、相当する原料の水酸基を酸無水物によって
アシル化することにより得られる。
モノマー(i)および(iii)をアシル化する為の酸
無水物としては、無水酢酸、無水酪酸、無水プロピオ酸
等が挙げられる。このうち、入手の容易さから、Rとし
てメチル基を与える無水酢酸を用いることが好ましい。
モノマー(i)および(iii)のアシル化は、重合容器
内で重合直前に行っても良いし、あるいは別途合成し、
これを単離して重合反応に供しても良い。
次に、本発明に適用可能な溶融重合法について述べ
る。
反応は、必要な諸原料と、必要に応じて触媒とを重合
容器内に入れ、加熱することにより開始させる。
重合温度は、特に制限はないが、一般的には180〜400
℃、好ましくは200〜360℃で行う。この温度が180℃未
満であると反応が遅く、また400℃を超えると樹脂の着
色や分解が激しく起こり、好ましくない。
反応時の圧力は、特に制限はないが、反応初期は大気
圧近辺で行ない、重合の進行につれて徐々に減圧する方
法が好ましい。
局所加熱による樹脂の着色および分解の防止並びに留
出物の除去を容易にするため、反応は撹拌しながら行な
わせることが好ましく、また酸素による樹脂の酸化分解
を防ぐ為、反応系の雰囲気を窒素やアルゴン等の不活性
ガス下とすることが好ましい。
重合反応は触媒を使わずに行うことも出来るが、重合
反応を促進させるために触媒を用いても良い。かかる触
媒は出発原料中に混入させても良いし、また反応開始時
に新たに加えても良い。触媒としては、酸化ゲルマニウ
ム、シュウ酸第一スズ、酢酸第一スズ、二酸化チタン、
チタンアルコキシド類、酢酸ナトリウム、酢酸カリウ
ム、酢酸亜鉛、塩化アルミニウム、アミン類、アミド
類、塩酸、硫酸等が挙げられる。好ましくは、触媒活性
の点から、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、チタンイソ
プロポキシド等が良い。
また、撹拌を容易にする目的で、反応系中に溶媒を加
えても良い。溶媒は、反応に不活性なものであればいか
なるものでも良いが、好ましくは沸点が200℃以上のも
のが良い。この様な溶媒としては、例えばジフェニルエ
ーテル、シリコーン樹脂、置換ナフタレン類等が挙げら
れる。
更に、ポリアリレート樹脂中には、加水分解安定性を
損なわない程度に重合段階、あるいは成型段階におい
て、充填剤、添加剤、安定剤、他の樹脂などを加えて新
たな特性を付与することもできる。かかる充填剤として
は、例えば、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ウオラ
ストナイト、ガラス繊維、炭素繊維、有機繊維等が挙げ
られる。また、安定剤としては、トリアリール亜リン酸
エステル、トリアルキル亜リン酸エステル、亜リン酸水
素ジエステル、トリアリールリン酸エステル、トリアル
キルリン酸エステル、ヒンダードフェノール誘導体等が
挙げられる。
また、他の樹脂としては、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン−6、ナイ
ロン−6,6、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチ
レン、ゴム、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンサルファ
イド、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。その
他、テトラブロモビスフェノールA、三酸化アンチモン
等の難燃剤、ジオクチルフタレート等の可塑剤等も添加
することができる。
上述のように、本発明は当業者間で周知の芳香族ジカ
ルボン酸とビスフェノールのアシル化物と原料とする溶
融重合法を適用することができるが、一般にこの反応で
合成されるポリアリレート樹脂は、ポリマーの技術分野
で公知の様にポリマー末端がカルボキシル基になってい
る。この末端カルボキシル基は弱酸性を有する為、次式
に示す様にエステル結合の加水分解反応に対して触媒作
用を示し、耐加水分解性を低下させている(例えばジャ
ーナル オブ アプライド ポリマー サイエンス、第
35巻、1511頁、(1988)参照)。
そこで本発明者等は、末端カルボキシル基を加水分解
触媒効果を示さない形で封止すればポリアリレート樹脂
の加水分解性は改善されると考え、鋭意検討した結果、
本発明を完成するに到ったのである。
すなわち、本発明は、モノマーの1つであるビスフェ
ノールのアシル化物(原料(i))を芳香族ジカルボン
酸(原料(ii))に対し化学量論量より過剰に用いて、
この過剰量のモノマーにより、ポリマー形成中に生じる
カルボキシル基末端を封止し、反応最終段階で、末端カ
ルボキシル基を有していない次式、 で表わされるポリアリレート樹脂を得ることが重要であ
る。
本発明の利点は、従来の末端封止法とは異なり、反応
性官能基を有した形で末端カルボキシル基が封止される
為、重合初期段階に封止剤(過剰のビスフェノールのア
シロキシル化物)が存在していても高分子量化が阻外さ
れたり、分子量分布が広がる様な欠点がないことにあ
る。また、末端封止剤がポリマーの構成成分と同じ為、
本来樹脂が有している物性、すなわち耐熱性、成形性、
機械的強度等を損うことなく、加水分開安定性が改善さ
れる。
従来のポリアリレートの溶融重合法は、ポリマー連鎖
内にエステル基を形成する構成単位の化学量論的均衡が
生じる様に慎重に反応させるものである。ただし、反応
中に原料の揮発等で、化学量論的均衡が失われる場合に
は、その損失分を補う目的で原料モノマーを過剰に用い
る場合もある。しかし、この方法は、全く本発明とは異
なり、すなわち化学量論的均衡のとれたポリマーの合成
を目的とするものである。従って、耐加水分解性改善の
目的で意図的に化学量論量をくずしてモノマーを仕込
み、ポリアリレート樹脂を合成する方法は本発明者らが
初めて見い出したものであり、従来の製造法の概念から
は全くその効果を予期出来るものではない。
(実施例) 以下に実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1 トルクメーター、回転計付撹拌装置、アルゴン導入
管、温度計および蒸留装置を備えた反応装置に、p−ア
セトキシ安息香酸54.0g(Mw180、0.30mol)、ビスフェ
ノールAジアセテート401.8g(Mw312、1.288mol)、テ
レフタル酸105.8g(Mw166、0.638mol)、イソフタル酸1
05.8g(Mw166、0.638mol)、ポリエチレンテレフタレー
ト28.8g(Mw192、0.150mol)および触媒として酢酸ナト
リウム0.09gを仕込んだ。この場合、仕込み原料中のビ
スフェノールAジアセテートに含まれる と、テレフタル酸およびイソフタル酸の合計に含まれる の割合はモル比で、次式、 の関係にある。
装置内を十分にアルゴンで置換した後、アルゴン気流
下で酢酸を留去しながら、1時間かけて300℃に上昇さ
せた。撹拌は、昇温途中で原料が十分に溶融した時点で
開始した。また、反応容器側面やフタに付着した揮発成
分は、ドライヤー等で加熱し、その付着を極力防いだ。
300℃で30分反応させた後、昇温し、同時に減圧して
最終的に340℃、0.5mmHgとした。この温度、圧で約50分
反応させ、トルクメーターが100Kg cm/7rpmを示したと
ころで重合を止めた。
射出成形し、後記の方法で加水分解試験、分子量分布
の測定及び末端−COOH基の定量を行なった。結果を下記
の第1表に示す。
実施例2〜4 ビスフェノールAジアセテートの過剰量を第1表に示
す値にした以外は、実施例1と同様に重合反応を行っ
た。
射出成形し、後記の方法で加水分解試験、分子量分布
の測定及び末端−COOH基の定量を行なった。結果を第1
表に示す。
実施例5 モノマーとして、ビスフェノールAジアセテート、テ
レフタル酸、イソフタル酸、p−アセトキシ安息香酸の
みを用い、ビスフェノールAジアセテートの過剰量を第
1表に示す値にした以外は実施例1と同様に重合反応を
行った。
射出成形し、後記方法で加水分解試験、分子量分布の
測定及び末端−COOH基の定量を行った。結果を第1表に
示す。
比較例1,2 ビスフェノールAジアセテートの過剰量を第1表に示
す値にした以外は、実施例1と同様に反応を行った。
射出成形し、後記方法で加水分解試験分子量分布の測
定及び末端−COOH基の定量を行った。結果を第1表に示
す。
比較例3 ビスフェノールAジアセテートの過剰量を第1表に示
す値にした以外は実施例7と同様に反応を行った。
射出成形し、後記方法で加水分解試験分子量分布の測
定及び末端−COOH基の定量を行った。結果を第1表に示
す。
比較例4,5 第1表の比較例4,5に示した組成のポリマーを合成す
る際に、p−tertブチルフェノールを、ジカルボン酸成
分(〔II〕〕に対して、それぞれ5モル%に相当する量
を原料と同時に加え重合反応を行った。
射出成形し、後記方法で加水分解試験、分子量分布の
測定及び末端−COOH基の定量を行った。
〔加水分解試験〕
0.32×1.27×12.7cm(1/8×1/2×5インチ)の試験片
を用いて、初期衝撃強度と、96℃の熱水中に50時間浸漬
した後の衝撃強度とを測定し、両者を比較した。
〔アイゾット衝撃強度〕
ASTM D−256に準じ、ノッチ付きで測定した。
〔末端−COOH基の定量法〕
ポリマー110gを精秤し、1のDMFに加熱溶解させ
た。この溶液を0.1NのNaOHメタノール溶液で滴定した。
末端基数は、ポリマー1kg中に存在する−COOH基のモ
ル数(mol/kg)で示した。
〔分子量分布の測定〕
東ソー株式会社製GPCを用いて、以下の条件で測定し
た。
尚、Mn及びMwは、ポリスチレン換算で示した。分析条
件;カラムTSK gel G300H 温度 30℃ 流量 1.0ml/min 溶離液 THF 第1表より、実施例のポリアリレート樹脂は、相当す
る比較例に比べていずれも改良された加水分解安定性及
び高い初期強度を有していることが判る。またポリマー
中の末端−COOH基数が少なく、末端が封止されているこ
とも判る。
これに対し、従来の様に、化学量論的均衡を保つ様に
合成した比較例1,5では、加水分解安定性が著しく低い
ことが判る。また、モノマー(i)の過剰量が多過ぎる
比較例2および4では初期物性が劣っていることも判
る。
さらに、t−ブチルフェノールのような単官能性末端
封止剤で封止した場合は、(比較例4,5)第1図に示す
ように高分子量化に著しく時間がかかり、さらには第1
表に示すように、分子量分布の広いポリマーしか得られ
ない。
尚、第1図中の換算トルクとは回転数100rpmとした場
合のトルクであり、例えば7rpmで100kg cmの場合、次式
のようになる。
また、初期強度も本発明のポリアリレートに加べて劣
っていることが判る(第1表中、実施例3と比較例4、
実施例5と比較例5の比較)。
(発明の効果) 以上説明してきたように、本発明の製造方法において
は、モノマーの1つであるビスフェノールのアシル化物
で末端カルボキシル基を封止する為、封止剤による高分
子量化の阻外や、分子量分布の広がりといった問題点が
解決される。また、かかる方法により得られる本発明の
ポリアリレート樹脂は封止部分がポリマー構成成分と同
じ構造である為、耐熱性、成形性、機械的強度の低下を
生じることなく、当該ポリアリレート樹脂の加水分解安
定性が改善される。
従って、本発明により、従来のポリアリレート成形品
よりも長期耐湿性が改良された各種機械部品、フイル
ム、ケース類等を容易に得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
第1図はトルクの上昇と重合時間との関係を示すグラフ
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−32520(JP,A) 特開 昭63−95224(JP,A) 特開 昭49−63786(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の一般式、 (式中のArは Xは−SO2−、−S−、 または炭素数1〜10のアルキリデン基を示す。)で表わ
    される構成成分より成り、〔I〕〜〔III〕成分は各々
    単一成分でも2種以上の成分であってもよく、〔III〕
    成分が30モル%以下であり、このポリマー鎖の両末端が
    次式、 (式中のRは炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル
    基、Xは−SO2−、−S−、 またはは炭素数1〜10のアルキリデン基を示す。) で表される基で封止されていることを特徴とする耐加水
    分解性の改善されたポリアリレート樹脂。
  2. 【請求項2】請求項1記載の耐加水分解性の改善された
    ポリアリレート樹脂の製造方法において、 原料として次の一般式、 (式中のXおよびRは前記のものと同じものを示す。)
    で表されるビスフェノール系エステル化合物と、次の一
    般式、 (式中のArは前記のものと同じものを示す。) で表されるジカルボン酸化合物と次の一般式、 (式中のArは前記のものと同じものを示す。) で表されるカルボン酸化合物とを反応させる際、原料
    (i)中の と原料(ii)中の との割合がモル比で次式、 で表される関係を満たすように原料(i)を化学量論量
    に対して過剰に用いることを特徴とする耐加水分解性の
    改善されたポリアリレート樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】次の一般式 (式中のArは Xは−SO2−、−S−、 または1〜10のアルキリデン基を示す。)で表される構
    成成分より成り、〔I〕〜〔IV〕成分は各々単一成分で
    も2種以上の成分であってもよく、この成分のモル分率
    は〔I〕成分および〔II〕成分が共に30モル%以上、
    〔III〕成分が30モル%以下、〔IV〕成分が25モル%以
    下であり、このポリマー鎖の両末端が次式、 (式内のRは炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル
    基、Xは−SO2−、−S−、 または炭素数1〜10のアルキリデン基を示す。) で表わされる基で封止されていることを特徴とする耐加
    水分解性の改善されたポリアリレート樹脂。
  4. 【請求項4】請求項3記載の耐加水分解性の改善された
    ポリアリレート樹脂の製造方法において、 原料として次の一般式、 (式中のXおよびRは前記のものと同じものを示す。) で表されるビスフェノール系エステル化合物と、次の一
    般式、 (式中のArは前記のものと同じものを示す。) で表されるジカルボン酸化合物と、次の一般式、 (式中のArは前記のものと同じものを示す。) で表されるカルボン酸化合物と、次の一般式、 R1は−OH、 −OCH3または R2は、−Hまたは pは2以上の整数を示す。)で表されるポリマーとを反
    応させる際、 原料(i)中の と原料(ii)中の との割合がモル比で次式、 で表される関係を満たすように原料(i)を化学量論量
    に対して過剰に用いることを特徴とする耐加水分解性の
    改善されたポリアリレート樹脂の製造方法。
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