JP2607497B2 - 磁気共鳴映像装置 - Google Patents

磁気共鳴映像装置

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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、磁気共鳴現象により誘起される複数のエコ
ー信号をフーリエ変換することによって映像化する磁気
共鳴映像装置に関する。
(従来の技術) 磁気共鳴現象により誘起されるMRエコー信号を2次元
フーリエ変換法によって映像化する方法が知られてい
る。この場合誘起されるMRエコー信号は次式で表示され
る。
ここで r:物質で決まる磁気回転比、 Gx:x方向の傾斜磁場強度、 Xy:y方向の傾斜磁場強度、 tx:Gxの印加時間、 ty:Gyの印加時間、 I(x,y):断層面内のスピン密度分布。
すなわち、エコー信号f(ξ,η)は傾斜磁場強度
(Gx,Gy)とその印加時間(tx,ty)との積で表わされる
情報を有している。このエコー信号を映像化するには
ξ,ηの平面(フーリエ面と称される)を埋めるだけの
エコーデータを収集して次式に従って2次元フーリエ変
換すればよい。
第6図は2エコーを用いた場合の2次元フーリエ変換
法に適用されるパルスシーケンスを示すものである。
このパルスシーケンスで90゜パルスと傾斜磁場GzはZ
軸に垂直な断層面を選択励起するために用いる。180゜
パルスと断層面内のX方向に勾配を持つ傾斜磁場Gxは、
励起されたスピンをエコーの形で集めるためのもので、
このときのエコーの周波数成分は断層面内のX方向に対
するスピンの分布に依存する。上記Gz,Gxと直交する傾
斜磁場Gyはこの振幅を負の値から正の値へと順次変化さ
せて位相エンコーディングを行うためのものである。
このパルスシーケンスは90゜パルスによる励起が行わ
れるたびに、Gyの振幅を変化させて(−NからNまで)
エコーデータを収集して第7図のように第1エコーと第
2エコーとによってフーリエ面を埋めていく。つまり2N
+1回の励起によって2エコーが各々のフリーエ面を埋
めるので、2回にわたって2次元フーリエ変換すると2
エコーによって2つの映像が作られることになる。
(発明が解決しようとする問題点) ところで従来の映像法においては、2N+1回の励起回
数によって2つのフーリエ面を埋めているのでスキャン
時間が長くなるという問題がある。
このため映像化に費やされる時間が比較的長くなるこ
とになる。
本発明はこのような問題に対処してなされたもので、
スキャン時間の短縮を図った磁気共鳴映像装置を提供す
ることを目的とするものである。
[発明の構成] (問題点を解決するための手段) 上記目的を達成するために本発明は、被検体内のスピ
ンを励起するステップと、このステップにより励起され
たスピンにていて複数のエコー信号を発生させて第1の
データ群を得るとともに、位相エンコード量を全て零に
して前記エコー信号に与えるステップとを実行する手段
と、前記被検体内のスピンを再び励起するステップと、
このステップにより再び励起されたスピンについて複数
のエコー信号を発生させて第2のデータ群を得るととも
に、位相エンコード量を前記エコー信号毎に異ならせて
前記エコー信号に与えるステップとを実行する手段と、
前記第2のデータ群を前記第1のデータ群に基づいて補
正する手段と、この補正手段により補正された前記第2
のデータ群に基づいて磁気共鳴画像を求める手段とを有
することを特徴とする特徴とするものである。
(作 用) 例えば2エコーの場合第1エコーに対してGyの振幅を
−N/2からN/2まで変化させて位相エンコーディングを行
い、第2エコーに対しては上記Gyと同じ方向で大きさが
N/2のGyを印加することにより位相エンコーディングを
行う。これによって第1及び第2エコーで(N+1)回
の励起回数でフーリエ面を埋めつくすことができるの
で、スキャン時間を短縮することができる。
(実施例) 以下図面を参照して本発明の磁気共鳴映像装置の実施
例を説明する。
第1図は本発明実施例に用いるパルスシーケンスを示
すもので、90゜パルスと傾斜磁場GzはZ軸に垂直な断層
面を選択励起するためのものである。傾斜磁場Gxは励起
されたスピンをエコーの形で集めるためのものである。
Gz,Gxと直交する傾斜磁場Gyは振幅を順次変化させて位
相エンコーディングを行うためのものである。
GyのA部分において90゜パルスによる励起の後に振幅
を−N/2からN−2まで変化させる。これをフーリエ面
で示すと第2図のように第1エコーに対してη∝(−N/
2)tyから(N/2)tyの範囲のエコーデータを収集するこ
とになる。尚、第2図はξ,ηで形成される直交座標を
示している。次にGyのB部分において第2エコーに対し
てA部分と同じ方向で大きさがN/2のGyを常に印加する
ようにする。すなわち、A部分において正の位相エンコ
ーディング用の傾斜磁場が印加されているときは、B部
分において正の位相エンコーディング用の傾斜磁場(大
きさはA部分でかかる最大値)を印加する。またA部分
において負の傾斜磁場が印加されているときは、B部分
において負の傾斜磁場(大きさは正の場合と同じ)を印
加するようにする。
この結果第2エコーは第1エコーが受けた位相エンコ
ード用傾斜磁場i(1≦i≦N/2:A部分)と第2エコー
の前に印加された傾斜磁場N/2(B部分)が加算され
て、i+N/2番目の位相エンコードがなされたことにな
る。これは第2図のフーリエ面で考えると、第1エコー
に対しηを(−N/2)tyから(N/2)tyまで変化させると
第2エコーはηを(−Ntx)から{(−N/2)−1}ty,
{(N/2)+1}tyから(Nty)を変化させたことにな
る。すなわち、第1エコーと第2エコーにより(N+
1)回の励起回数で、フーリエ面を埋めつくすことがで
きる。この結果得られた第2図のデータを2次元フーリ
エ変換すれば1枚の映像を得ることができる。
このようにして映像を得るスキャン時間を従来と比較
すると次のようになる。
繰り返し時間TR=2秒に設定して、2アベレージング
を行った256×256マトリクスのロングSE(スピンエコ
ー)のMR映像を得るものとすると、各々次のようにな
る。
従来のスキャン時間 =2(秒)×256(位相エンコード)×2(AV) ≒17分 本発明のスキャン時間 =2(秒)×128(位相エンコード)×2(AV) ≒8.5分 すなわち本発明によればスキャン時間は従来の約半分
に短縮することができる。
ところで第1エコーも第2エコーも同一の空間情報を
有しているが、T2緩和現象によって第1エコーと第2エ
コーとではエコー信号の大きさが異なる。このため第2
図のフーリエ面の第1エコーと第2エコーとの境界であ
るη=±(N/2)tyの位置において、不連続を生じて画
質を劣化させるおそれがある。これを避けるために次の
ような振幅補正処理を行うようにする。
先ず位相エンコーディング零のエコー信号を得ると
き、第2エコーの前につける位相エンコーディング傾斜
磁場(B部分)も零にして、2つのエコー信号を求める
と共に2つのエコー信号の振幅A1,A2を求める。次に第
2エコーの全エコーデータに対してA1/A2の値を乗じて
フーリエ面を埋めるようにする。これによれば画質劣化
のおそれがなくなる。
また、MRエコー信号は原理的に前記(1)式のように
示されるが現実には装置等の性能やパルスシーケンスの
調整度合、被検体などに依存する位相誤差φが加わって
いるので次式のように修正される。
この位相誤差φは第1エコーと第2エコーとで各々φ
1と異なる値をとることが多く、第2図のフーリエ
面のη=±(N/2)tyの位置(第1エコーと第2エコー
との境界)で大きな位相差を生ずる。
このためこの不連続性は映像にアーチファクトを生じ
させるので前記同様に画質を劣化させるおそれがある。
これを避けるために位相誤差φ1を求めるべく振
幅補正の場合と同様に位相エンコーディング零のときの
データ(このときB部分のGyも零にする)を用いること
により、位相補正処理を行うようにする。
位相補正は位相誤差φを求める部分(位相補正I)
と、位相誤差φを取り除く部分(位相補正II)とから成
っており、各エコーに対して同じように実施する。以下
位相補正I及びIIについて説明する。
第4図のフローチャートを参照して位相補正Iの処理
の詳細を説明する。
位相補正Iの処理は、位相エンコード量が零の時(i
=η=0の時)の検波信号を用いて装置固有の不要な位
相差φを算出し、除去する処理である。
上記(1)′式よりη=0(位相エンコード量が零)
の時、 となるので、(1)式よりtx=0の時、ξ=0となるの
で、φは、 φ=tan-1{Im[f′(0,0)] /Re[f′(0,0)]} …(4) となる。
実際の検波信号f′(ξ,0)から、ξ=0の点を見つ
けることができれば、(4)式から不要な位相量φが求
められる。
(3)式の絶対値をとると、 となり、位相量φに依存しないことがわかる。(5)式
の右辺を考えると|f′(ξ,0)|はξ=0の時最大値を
とることがわかるので、ξ=0(つまりtx=0)の条件
は|f′(ξ,0)|の最大値を探し、その値が最大になる
時刻がtx=0の位置となる。このような位相補正Iの処
理手順を第4図に示した。同図中Imは虚部、Reは実部で
ある。
次に位相補正IIの処理を第5図をも参照して説明す
る。
η≠0(位相エンコード量が非零)の時は、(4)式
で求められたφを用いて(1)′式からφを除去する。
(1)′式を変形し、実部と虚部とに分けると、 f′(ξ,η) =Re[f′(ξ,η)]+iIm[f′(ξ,η)] =Fc(ξ,η)cosφ−Fs(ξ,η)sinφ +i{Fs(ξ,η)sinφ+Fc(ξ,η)cosφ} …
(6) (6)式を逆に解くと、Fc(ξ,η),Fs(ξ,η)
として、 となる。ここでFc(ξ,η),Fs(ξ,η)は(1)式
で表現されるf(ξ,η)の実部と虚部である。以上処
理手順を第5図に示す。
このように位相補正I,IIを第1エコー,第2エコーに
対して行い、第1エコーに関する位相誤差φ1,第2エコ
ーに関する位相誤差φを各々取り除いた後、第2図の
フーリエ面にデータを埋めていくことにより、アーチフ
ァクトのない良好な映像が得られる。
本文実施例においては第1図のパルスシーケンスを参
照して説明したが、これに限定されることなく例えば第
3図に示すような2エコーの場合の位相エンコード傾斜
磁場の印加法(A部分と逆にC部分を加える)でも同様
な効果を得ることができる。また位相エンコーディング
量を変化させる際、第1図ではGyの振幅を変化させた
が、振幅を一定にして印加時間を順次変化させるように
してもよい。
さらに本実施例では2エコーを例にあげて説明した
が、2エコー以上の場合でも同様に適用することができ
る。さらにまた2次元フーリエ変換によるMR映像法に限
らず3次元フーリエ変換への拡張も可能である。
[発明の効果] 以上述べたように本発明によれば、複数のエコー信号
に対して各々異なった位相エコー情報を与えるようにし
たので、スキャン時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の磁気共鳴映像装置の実施例を示すパル
スシーケンス、第2図は本実施例のデータ収集を示す説
明図、第3図は本発明の他の実施例を示すパルスシーケ
ンス、第4図及び第5図は本実施例の動作を説明するフ
ローチャート、第6図は従来例を示すパルスシーケン
ス、第7図は従来例のデータ収集を示す説明図である。 Gx……X軸方向傾斜磁場、 Gy……Y軸方向傾斜磁場、 Gz……Z軸方向傾斜磁場、 ty……Gyの印加時間。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被検体内のスピンを励起するステップと、
    このステップにより励起されたスピンについて複数のエ
    コー信号を発生させて第1のデータ群を得るとともに、
    位相エンコード量を全て零にして前記エコー信号に与え
    るステップとを実行する手段と、 前記被検体内のスピンを再び励起するステップと、この
    ステップにより再び励起されたスピンについて複数のエ
    コー信号を発生させて第2のデータ群を得るとともに、
    位相エンコード量を前記エコー信号毎に異ならせて前記
    エコー信号に与えるステップとを実行する手段と、 前記第2のデータ群を前記第1のデータ群に基づいて補
    正する手段と、 この補正手段により補正された前記第2のデータ群に基
    づいて磁気共鳴画像を求める手段とを有することを特徴
    とする磁気共鳴映像装置。
  2. 【請求項2】前記第2のデータ群の補正は、前記第2の
    データ群についての各エコー信号の振幅に関して補正す
    るものであることを特徴とする特許請求の範囲第1項記
    載の磁気共鳴映像装置。
  3. 【請求項3】前記第2のデータ群の補正は、前記第1の
    データ群の各エコー信号の振幅の比に基づいて補正する
    ものであることを特徴とする特許請求の範囲第2項記載
    の磁気共鳴映像装置。
  4. 【請求項4】前記第2のデータ群の補正は、前記第2の
    データ群について各エコー信号の位相に関して補正する
    ものであることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載
    の磁気共鳴映像装置。
  5. 【請求項5】前記第2のデータ群の補正は、前記第1の
    データ群に基づいて、前記第1のデータ群の位相誤差を
    求め、該位相誤差に基づいて前記第2のデータ群の位相
    を補正することを特徴とする特許請求の範囲第4項記載
    の磁気共鳴映像装置。
  6. 【請求項6】前記スピンの再励起は、前記スピンに対し
    て複数回励起を行うものであり、 前記第2のデータ群を得る際には、該複数回の励起のそ
    れぞれについて複数のエコー信号を発生させ、これらの
    エコー信号から前記第2のデータ群を得ることを特徴と
    する特許請求の範囲第1項記載の磁気共鳴映像装置。
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