JP2607144B2 - ガス切断法における切断片回収法及びその装置 - Google Patents

ガス切断法における切断片回収法及びその装置

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はNCガス切断装置等により厚肉鋼板等を切断加
工する際に、切断して得られた製品である小切断片や小
切断残片、及び切断時に溶融した金属が固化した金属粒
又は微粉末よりなる所謂ノロ等を自動的に回収して選別
する方法、及びそれに用いられる装置に関するものであ
る。
〔従来の技術〕
NCガス切断装置等により厚肉鋼板を自動的に切断する
際には、第2図に示すように、水平に一定間隔で平行に
配列した桁よりなる格子状の定盤1上に、材料の鋼板2
を水平に載置して、NCガス切断装置のガス炎3を自動的
に制御し、冷却水を噴射しつつ切断を行う。
従来の切断装置では、定盤1の下方に金網4が水平に
張設されている。切断された鋼板のうち、大きな切断片
は定盤1上にそのまま残るが、小さな切断片は定盤1の
間隙から金網4上に落下する。切断時に溶融した金属
は、溶融状態のまま又は粒状或いは粉末状に固化しつつ
落下して、大部分は金網4の網目を通って落下し、所謂
ノロとして下方の床面5に堆積する。
材料の鋼板をできるだけ有効に利用するために、大型
の製品と小型の製品を適宜組み合わせて、一枚の鋼板か
ら同時に切り出すので、金網4上に落下した切断片の中
には、小型の製品として必要な小切断片と不要な小切断
残片とが混在する。従来、これらの金網4上に落下した
切断片は、作業員が手で拾い上げて、マグネットクレー
ンに吸着させ、所定位置に運搬して必要な製品と不要な
切断残片に選別している。
〔発明が解決しようとする問題点〕
上記従来のガス切断法では、鋼板の切断の際に発生す
るノロの大部分は金網4の目を通って、床面5に堆積す
るが、溶融金属の一部は金網4上で固化してこれに固着
し、更にその上にノロが堆積して、終には網目が塞が
れ、切断時の熱の放散が妨げられ、不都合が生ずる。従
って金網4上に堆積したノロは定期的にエアーハンマー
等で崩して床面5に落下させる必要がある。
更に床面5に堆積したノロは、数ヶ月毎に定盤1を外
して、シャベルローダ等で除去する必要があり、その間
切断作業は中断し、装置の稼働率が低下する。
又金網4上に落下した切断片を作業員が手で拾い上げ
て、マグネットクレーンに吸着させる際に指を挟まれた
りして負傷する事故が多く発生し、労働安全上問題とな
っている。
これらの切断片やノロの回収を自動化するため、定盤
全体を移動するコンベアとしたコンベア定盤を用い、切
断終了後コンベアを運転して切断片を集める方法、定盤
の下方の全体に複数本のコンベアを設置して、切断片及
びノロをコンベア上に落下させて集める方法等が提案さ
れているが、長大なコンベアを必要とし、設備が大掛か
りになり、設備費が嵩むという欠点がある。
従って本発明は自動ガス切断における小切断片及びノ
ロを自動的に回収する方法とそれに用いる低廉な装置を
提供することを目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
上記目的を達成すべく、本発明者らは鋭意研究を重ね
た結果、定盤の下方に金網を設けず、定盤の間隙から落
下した切断片及びノロを全て床面に落下させ、電磁石を
備えた台車により、その切断片及びノロを吸着して自動
的に運搬して分別することにより切断片及びノロを自動
的に回収しうることを見出し本発明を完成するに至っ
た。
即ち、本発明は一定の間隔を隔てて平行に且つ水平に
配置した多数の支持材よりなる定盤上に載置した鋼板を
ガス炎により切断する自動ガス切断法において、切断に
より生ずる小切断片および溶融金属が固化して生ずるノ
ロを全て該定盤の下方の床面上に落下させ、該床面上に
配設されたレールに沿って往復する台車に積載した電磁
石を下降させて該小切断片及びノロを吸着し、該電磁石
を上昇させてコンベア上方まで運搬し、電磁石の電流を
切ってコンベア上に該小切断片及びノロを脱落させ、こ
の作業を繰り返すことにより、該定盤の下の床面上の小
切断片及びノロを回収するガス切断法における切断片回
収法を要旨とする。
又本発明のもう一つは、自動ガス切断装置において、
切断すべき鋼板を載置する定盤の下の床面上に敷設した
レールと、該レール上を転動する自動走行装置を備えた
台車と、該台車上に積載され昇降機構を備えた電磁石
と、該台車の走行路の一端または中間部の下部に該走行
路と直角方向に設けたコンベアとを備えたことを特徴と
する切断片回収装置を要旨とする。
〔実施例〕
次に本発明の実施例について図面により詳細に説明す
る。第1図は本発明の回収装置を設けた自動ガス切断装
置の全体の平面図である。幅10m長さ60mの定盤1の両側
に沿って敷設したレール6上に跨がって移動するブリッ
ジ状の移動架台7の上に複数のガス切断装置が装備さ
れ、定盤1に並行に載置された複数の鋼板2の切断が同
時に並行して行われる。上記60mの長さの定盤1上で
は、4台の移動架台7が同時に切断作業を行うことがで
きる。
9は定盤1の下の床面5上をガス切断装置の移動方向
と同方向に移動する台車であり、10は台車9の移動方向
と直角方向に設けられたスラットコンベアである。
第3図乃至第5図は台車9及びスラットコンベア10の
平面図、正面図及び側面図である。台車9は車輪11によ
り床面5上に敷設されたレール12上を転動し、台車走行
用モータ13により駆動される。
14は台車9に積載された電磁石であって、2本の軸1
5、15′にそれぞれ固着された2組のチエンホイル16、1
6′に一端を固着されたチエン17、17′により前後が独
立して昇降可能に懸吊されている。18、18′はそれぞれ
昇降用減速モータであって、チエン19、19′を介して軸
15、15′を駆動する。
第4図において、20は定盤1上より落下する切断片及
びノロが床面5の台車走行路内に落下するようにその落
下を案内する傾斜案内板である。
スラットコンベア10は複数の台車走行路の端部に、台
車走行路と直角方向に設けたピット21内に配設され、そ
の一端は湾曲して斜め上方に運搬する傾斜部26を形成す
る。22はスラットコンベア10の駆動用モータであり、チ
エンを介して駆動チエンホイル23を駆動し、スラットコ
ンベア10を駆動する。スラットコンベア10の搬送板24は
上面に突出する突起板25を設け、傾斜部26で搬送板24上
の搬送品が滑落しないようになっている。スラットコン
ベア10の搬送板24の上面には切断片等の落下時の騒音を
軽減するためにクッション材を貼付するのが望ましい。
スラットコンベア10の上端部27の下方には、搬送され
た切断片とノロを分離する多数のスリットを有するスリ
ット板28を傾斜して配設し、スリット板28の真下にノロ
回収箱29を、スリット板28の先端部下方に切断片回収箱
30を配置する。
第6図における8は台車9上に落下して積載された切
断片等を排除するためのゴム製の排除板である。台車9
は切断片等の回収作業中に台車走行路を往復する間に、
鋼板の切断作業中の部分の真下を何度も通過するため、
走行中の台車9上に丁度切断片等が落下して、その上に
載置される場合があるが、上記排除板8はその下端が下
を通過する台車9上面に僅かに触れる位置に吊り下げら
れ、その下を台車9が通過する毎に台車9上に積載され
た切断片等を掻き落とすようになっている。また台車9
の前後には障害物検知用バンパー31を設け、台車9走行
中にこれが何かに触れるとそれを感知して、台車9が直
ちに停止するように、安全装置が施されている。
本発明の回収装置を備えたガス切断装置では、定盤1
の下に金網4を設けないが、上記実施例では、定盤1の
桁の間隔が110mmであるので、その上で作業する作業員
の安全のために、定盤1の桁の間隙の中間に桁と平行に
作業員の踏外し防止用の横棒を配設するのが望ましい。
上記実施例では、スラットコンベア10を配設したピッ
ト21は複数の台車走行路の一端を連ねるように設けた
が、複数の台車走行路の中間部を横切るように設けても
よい。
〔作用〕
ガス切断装置により鋼板が切断されると、切断製品で
ある小切断片、小切断残片及びノロはすべて定盤1の間
隙から落下して傾斜案内板20により案内されて台車走行
路の中央部に沿って床面5に堆積する。この床面5に堆
積した切断片及びノロを回収するには、図示しない制御
装置により、台車走行用モータ13を駆動して、台車を回
収作業をすべき床面5上まで移動させる。この時は電磁
石14は上昇位置にある。
次に減速モータ18、18′により軸15、15′及びチエン
ホイル16、16′を回転してチエン17、17′を巻き戻し
て、電磁石14を水平状態のまま下降させ、磁力で切断片
及びノロを吸着する。次いで電磁石14を約20cm上昇さ
せ、その状態のまま台車9をコンベア10上の待機位置ま
で走行させ、そこで電磁石14の電流を切り、吸着した切
断片及びノロを脱落させる。切断片及びノロはピット21
内の傾斜案内板20′により案内されてコンベア10上に落
下する。この1回の台車9の往復で、電磁石14の底面積
に略等しい部分の床面5を清掃することができる。
次に台車9を前回に切断片等を回収した床面5の部分
に隣接する位置まで移動させ、前回と同様に電磁石14の
昇降、磁力吸引により切断片等を吸着して、コンベア10
上の待機位置まで帰還して、回収した切断片等をコンベ
ア10上に落下させる。これを繰り返して、床面5の台車
走行路上にある切断片等を順次回収する。上記各作業サ
イクルで回収し残した切断片等が若干残ることがあるの
で、最後に台車9を待機位置から最も遠い、最初に回収
を始めた位置まで移動させ、今度は電磁石14を水平に降
下させず、待機位置から遠い側のみを下降させて、電磁
石14を傾斜した状態にしたままで、台車9を待機位置ま
で床面5をスイープするようにして移動させ、僅かに取
り残した切断片等を全て回収する。
通常幅×長さが3000×9000mm大の鋼板を1台のガス切
断装置で切断加工するには、4〜5時間程度を要するの
で、その間に充分上記回収作業を一巡して完了すること
ができる。
上記の台車9の移動と回収場所の記憶、電磁石14の昇
降等は全て図示しない制御装置のコンピュータにより制
御される。
複数の台車9により回収され、スラットコンベア10上
に落下した切断片及びノロはコンベア10の上端27まで搬
送されてスリット板28上に落下し、その上を滑落する間
にノロはスリット板28のスリットを通りノロ回収箱29に
落下する。切断片はスリット板28の先端から切断片回収
箱30に落下して貯留され、別の次工程で製品とスクラッ
プに選別される。
〔発明の効果〕
本発明のガス切断法における切断片回収法によれば、
定盤1の間隙から落下した小型の切断片を作業員が拾い
上げる作業を全くなくすることができ、この作業に伴う
労働災害を絶無にすることができる。
従来のガス切断装置の定盤1の下の金網4を除去した
ため、ここにノロが堆積することがなく、堆積したノロ
により金網4が塞がれて、放熱が妨げられることがな
い。
定盤1の下の金網4上に堆積したノロを排除するため
に、金網4をエアーハンマー等により清掃する必要がな
く、又床面5に堆積したノロ等を定期的に除去するため
に作業を中止して、大掛かりな清掃作業をする必要がな
くため、ガス切断装置の稼働率が向上する。
定盤1から落下する切断片等は直接コンクリート製の
床面5に落下しそれを電磁石14で吸着して運搬するた
め、騒音が小さい。
また定盤1の下の切断片を回収する床面5全体にコン
ベアを設けるような大掛かりな設備を必要とせず、簡単
な設備で極めて能率よく切断片及びノロを回収して、切
断片とノロを選別することができる。
定盤1の下の床面5を常に清掃した状態に保つことが
できるので、ガス切断の際の冷却水が床面5上に落下し
た後、その流れが妨げられることがない。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の回収装置を設けた自動ガス切断装置の
全体の平面図、第2図は従来のガス切断装置に用いられ
る定盤の側面図、第3図は本発明の回収装置の要部の平
面図、第4図は同正面図、第5図は同側面図である。 1……定盤、2……鋼板、 3……ガス炎、4……金網、 5……床面、6……レール、 7……移動架台、8……排除板、 9……台車、10……コンベア、 11……車輪、12……レール、 13……台車走行用モータ、14……電磁石、 15……軸、16……チエンホイル、 17……チエン、18……減速モータ、 19……チエン、20……傾斜案内板、 21……ピット、22……駆動用モータ、 23……駆動チエンホイル、24……搬送板、 25……突起板、26……傾斜部、 27……上端、28……スリット板、 29……ノロ回収箱、30……切断片回収箱、 31……バンパー。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一定の間隔を隔てて平行に且つ水平に配置
    した多数の支持材よりなる定盤上に載置した鋼板をガス
    炎により切断する自動ガス切断法において、切断により
    生ずる小切断片および溶融金属が固化して生ずるノロを
    全て該定盤の下方の床面上に落下させ、該床面上に配設
    されたレールに沿って往復する台車に積載した電磁石を
    下降させて該小切断片及びノロを吸着し、該電磁石を上
    昇させてコンベア上方まで運搬し、電磁石の電流を切っ
    てコンベア上に該小切断片及びノロを脱落させ、この作
    業を繰り返すことにより、該定盤の下の床面上の小切断
    片及びノロを回収するガス切断法における切断片回収
    法。
  2. 【請求項2】自動ガス切断装置において、切断すべき鋼
    板を載置する定盤の下の床面上に敷設したレールと、該
    レール上を転動する自動走行装置を備えた台車と、該台
    車上に積載され昇降機構を備えた電磁石と、該台車の走
    行路の一端または中間部の下部に該走行路と直角方向に
    設けたコンベアとを備えたことを特徴とする切断片回収
    装置。
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