JP2603647B2 - ポリカーボネート系樹脂組成物 - Google Patents

ポリカーボネート系樹脂組成物

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JP2603647B2 JP62200029A JP20002987A JP2603647B2 JP 2603647 B2 JP2603647 B2 JP 2603647B2 JP 62200029 A JP62200029 A JP 62200029A JP 20002987 A JP20002987 A JP 20002987A JP 2603647 B2 JP2603647 B2 JP 2603647B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は新規なポリカーボネート系樹脂組成物に関す
るものである。さらに詳しくいえば、本発明は、例えば
レンズ、プリズム、オーディオディスク、光メモリーデ
ィスク、光ファイバーなどの光学素子用材料として好適
な、透明性、耐熱性、機械的強度、耐湿性などに優れる
上に、光弾性係数が小さく、成形時における複屈折の発
生を低く押えることのできるポリカーボネート系樹脂組
成物に関するものである。
[従来の技術] 従来、ポリカーボネート樹脂は透明性、耐熱性、機械
的強度などに優れていることから、エンジニアリングプ
ラスチックスとして多くの分野において幅広く用いられ
ており、また、近年、これらの性質を利用して、例えば
レンズ、プリズム、オーディオディスク、光メモリディ
スク、光ファイバーなどの光学素子用の材料として用い
られるようになってきた。
ところで、光学材料には、優れた光学特性が要求さ
れ、このため、従来は、アクリル系樹脂、特にポリメチ
ルメタクリレート樹脂が主として用いられてきた。しか
しながら、このアクリル系樹脂においては、耐熱性が必
ずしも十分ではない上に、耐湿性に劣り、そのため、こ
のものを素材とする光学材料は、保存時に吸湿による機
械低下を免れず、さらに、耐熱性が要求される用途には
使用が困難であるなどの欠点を有していた。
他方、ポリカーボネートは耐熱性や耐湿性に優れ、か
つ良好な透明性を有するので、最近これが光学材料とし
て着目されるようになった。しかしながら、従来のポリ
カーボネート樹脂は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン(通称ビスフェノールA)を出発原料と
するものであって、射出成形や圧縮成形などの成形加工
時に、分子鎖の配向や残留応力によって光学的異方性が
生じやすく、これに起因して複屈折が発生しやすいとい
う欠点を有している。したがって、精密度が要求される
光学材料として用いる場合に、用途の制限を免れない。
例えば、レーザービームを利用した光による情報の読み
取りや書き込みなどに用いられる光ディスクにおいて
は、コンピュータなどのメモリーとしては使用できず、
オーディオ用のいわゆるコンパクトディスクとして使用
されている。したがって、透明性、耐熱性、耐湿性、機
械的強度などに優れる上に、成形加工時などにおいて複
屈折の発生を低く押えることのできる光学材料の開発が
強く望まれていた。
[発明が解決しようとする問題点] 本発明は、このような要望にこたえ、ポリカーボネー
ト樹脂が本体有する透明性、耐熱性、耐湿性、機械的強
度などをそこなわずに、成形加工時などにおける複屈折
の発生を低く押さえうる、光弾性係数の小さなポリカー
ボネート系樹脂組成物を提供することを目的としてなさ
れたものである。
[問題点を解決するための手段] 本発明者らは、前記の優れた特徴を有するポリカーボ
ネート系樹脂組成物を開発するために鋭意研究を重ねた
結果、特定の構造を有する2種類のポリカーボネートを
混合することにより、その目的を達成しうることを見い
出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(A)一般式 (式中のXはアリール基で置換されていてもよい直鎖状
又は枝分れ状アルキレン基、シクロアルキレン基、−O
−、−S−、−SO−又は−SO2−、R1とR2はハロゲン原
子、アルキル基、アルコキシ基又はアリール基、lとm
は0又は1〜3の整数であって、2個以上のR1又は2個
以上のR2を含む場合これらは同一でもまた異なっていて
もよい) で表される繰り返し単位を有するポリカーボネート5〜
95重量%と、(B)一般式 (式中のX′はアリール基で置換されていてもよい直鎖
状又は枝分れ状アルキレン基、シクロアルキレン基、−
O−、−S−、−SO−又は−SO2−、R3とR4はハロゲン
原子、アルキル基、アルコキシ基又はアリール基、l′
とm′は0又は1〜4の整数であって、2個以上のR3
は2個以上のR4を含む場合これらは同一でもまた異なっ
ていてもよい) で表わされる繰り返し単位を有するポリカーボネート95
〜5重量%とを含有して成るポリカーボネート系樹脂組
成物を提供するものである。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明組成物に用いられる(A)成分、すなわち前記
一般式(I)で表される繰り返し単位を有するポリカー
ボネートは、一般式 (式中の′X、R1、R2、l及びmは前記と同じ意味をも
つ) で表わされるビスフェノール類を原料として製造するこ
とができる。このビスフェノール類としては、入手の容
易さなどの点から、通常前記一般式(III)における(R
1)lと(R2が同一であるものが用いられる。
前記一般式(III)で表わされるビスフェノール類の
代表例としては、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4
−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−シ
クロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,
2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘ
キシルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,3−ジメチル
−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシ−5
−シクロヘキシルフェニル)プロパン、1−フェニル−
1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシルフ
ェニル)エタン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4
−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジフェニルメタン、3,3
−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニ
ル)ペンタン、1,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−
ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3−シクロ
ヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)
スルホン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒド
ロキシ−6−クロロフェニル)プロパン、ビス(3−シ
クロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシ
ド、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニ
ル)エーテル、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロ
キシフェニル)チオエーテルなどが挙げられる。一方
(B)成分、すなわち、前記一般式(II)で表わされる
繰り返し単位を有するポリカーボネートは、一般式 (式中のX′、R3、R4、l′及びm′は前記と同じ意味
をもつ) で表わされるビスフェノール類を挙げることができる。
このビスフェノール類としては、入手の容易さなどの点
から、通常前記一般式(IV)における(R3)l′と
(R4)m′が同一であるものを用いるのが有利である。
前記一般式(IV)で表されるビスフェノール類の代表
例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(2,3−ジメチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メトキシ
−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)エタン、1−フェニル−1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジフェニルメタ
ン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2
−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)
スルホン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ス
ルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシ
ド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)チオエーテル、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル,4.4′−ジヒド
ロキシビフェニルなどが挙げられる。
前記ビスフェノール類を用いてポリカーボネートを製
造する方法については特に制限はなく、従来公知の方
法、例えばビスフェノール類とホスゲンとの界面重縮合
法、ビスフェノール類と、例えばジフェニルカーボネー
ト、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−p−トリ
ルカーボネート、ジ−p−クロロフェニルカーボネー
ト、ジナフチルカーボネートなどのジアリールカーボネ
ートとのエステル交換反応による方法、ビスフェノール
類と、ジメチルカーボネートやジエチルカーボネートな
どのジアルキルカーボネートとのエステル交換反応によ
る方法、ビスフェノール類の脂肪酸エステルと前記ジア
ルキルカーボネートとのエステル交換反応による方法、
ビスフェノール類をパラジウムなどの貴金属触媒の存在
下、一酸化炭素及び塩素と反応させてポリカーボネート
を製造する直接法などいずれの方法も用いることができ
る。
次に、本発明組成物に用いられるポリカーボネートの
好適な製造方法について、ホスゲンを用いる界面重縮合
法を例に挙げて説明すると、まず適当な溶媒、例えば塩
化メチレン、クロロベンゼン、キシレンなどの中に、所
要量のビスフェノール類、酸結合剤、触媒及び末端停止
剤などを添加し、これに、ホスゲンガスを吹き込み、縮
合させることにより、ポリカーボネートが得られる。
この反応においては、通常0〜40℃の範囲の温度で反
応が行われる。ホズゲンガスを吹き込むに従って、溶媒
中にまず−OCOClのような末端基を有するオリゴマーが
生成し、このものは、さらに酸結合剤と接触して、高分
子量のポリカーボネートとなる。
この際使用する酸結合剤としては、例えば水酸化ナト
リウムや水酸化カリウムのようなアルカリ金属の水酸化
物、ピリジンのような有機塩基などが挙げられる。また
は、触媒は、縮重合反応を促進するために所望に応じて
添加され、例えばトリエチルアミンのような第三級アミ
ンや、第四級アンモニウム塩などが用いられる。さら
に、末端停止剤は分子量を調節するために用いられ、こ
のようなものとしては、例えばp−t−ブチルフェノー
ル、フェニルフェノールなどが挙げられる。
本発明の組成物に用いられるポリカーボネートの分子
量については、塩化メチレンを溶媒とする0.5g/dl濃度
溶液の温度20℃における還元粘度[ηsp/c]が0.2dl/g
以上のものが好ましい。この還元粘度が0.2dl/g未満の
ものでは、機械的強度が不十分であり、好ましくない。
本発明組成物における(A)成分のポリカーボネート
と、(B)成分のポリカーボネートとの配合割合につい
ては、(A)成分が5〜95重量%、好ましくは50〜90重
量%、(B)成分が95〜5重量%、好ましくは50〜10重
量%になるような割合で配合することが必要である。こ
の配合割合が前記範囲を逸脱すると本発明の目的を十分
に達成することができない。
また、該(A)成分のポリカーボネートは、前記一般
式(I)で表される繰り返し単位のみを有するホモポリ
マーであってもよいし、一般式(I)で表される繰り返
し単位と、一般式(II)で表される繰り返し単位とを有
するコポリマーであってもよい。
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物を成形する方
法については特に制限はなく、従来ポリカーボネートの
成形に慣用されている方法、例えば射出成形法、圧縮成
形法、あるいは射出成形と圧縮成形の折衷法であるロー
リンクス法やマイクロモールディング法などの中から任
意の方法を選択して用いることができる。
これらの成形法の中で、通常のポリカーボネートの成
形の際に生じる複屈折の程度が比較的大きい成形法ほ
ど、本発明の効果は大きく、例えば射出成形法が最も有
利である。
さらに、流動性の悪いポリカーボネート系樹脂組成物
を成形する場合には、例えば架橋性モノマーを少量添加
して流動性を向上させた状態で成形したのち、これにγ
線、電子線、X線、紫外線などを照射して、架橋硬化さ
せる方法を用いることができる。
本発明組成物を成形して得られる光学用素子として
は、例えば、スチールカメラ用、ビデオカメラ用、望遠
鏡用、眼鏡用、コンタクトレンズ用、太陽光集光用など
のいわゆるレンズ類、ペンタプリズムなどのプリズム
類、凹面鏡、ポリゴンなどの鏡類、オプティカルファイ
バー、光導波路などの光導性素子類、ビデオディスク、
オーディオディスク、メモリ−ディスクなどのディスク
類など、光を透過又は反射することによって機能を発揮
しうる素子を挙げることができる。
また、本発明組成物は、前記の光学用素子材料以外に
機械や電子材料などとしても好適である。
[発明の効果] 本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、透明性、
耐熱性、機械的強度、耐湿性などに優れる上に、光弾性
係数が小さくて、成形時における複屈折の発生を低く押
さえることができるなど、優れた特徴を有し、特に各種
光学機器用素子に好適に用いられる。
[実施例] 次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、
本発明はこれらの例によってなんら限定されるものでは
ない。
なお、各例中の還元粘度は、塩化メチレンを溶媒とす
る0.5g/dl濃度溶液の20℃における値を求めた。
製造例1 モノマーとして、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−
4−ヒドロキシフェニル)プロパンを用い、この100g
(0.255モル)と8重量%NaOH水溶液550mlと塩化メチレ
ン400mlと分子量調節剤としてのp−t−ブチルフェノ
ール1gと触媒としてのトリエチルアミンの10重量%水溶
液3mlとを、じゃま板付反応器に仕込み、激しくかきま
ぜながら、これにホスゲンガスを10分間10℃で吹き込ん
で縮重合を行った。
次いで、反応混合物を塩化メチレン1で希釈したの
ち、水1、0.01規定NaOH水溶液500ml、水500ml、0.01
規定HCl水溶液500ml、水500mlの順で洗浄した。得られ
た重合体の塩化メチレン溶液をメタノール3中に注
ぎ、再沈精製して白色粉末状の高分子量ポリカーボネー
トを得た。
このポリカーボネートの還元粘度は0.48dl/g、ガラス
転移温度Tgは131℃であった。
製造例2〜17 第1表に示す量のモノマーを用いた以外は、製造例1
と同様にしてポリカーボネートを製造し、その還元粘度
及びガラス転移温度を求めた。その結果を第1表に示
す。
実施例1〜16 製造例1〜17で得られたポリマーを定量の塩化メチレ
ンに溶解して得られた溶液2種を混合してポリカーボネ
ート系樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物の光弾性
係数を測定し、その結果を第2表に示した。
比較例1〜3 製造例で得られたポリカーボネート単独の光弾性係数
を求め、その結果を第2表に示した。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)一般式 (式中のXはアリール基で置換されていてもよい直鎖状
    又は枝分れ状アルキレン基、シクロアルキレン基、−O
    −、−S−、−SO−又は−SO2−、R1及びR2はハロゲン
    原子、アルキル基、アルコキシ基又はアリール基、lと
    mは0又は1〜3の整数であって、2個以上のR1又は2
    個以上のR2を含む場合これらは同一でもまた異なってい
    てもよい) で表わされる繰り返し単位を有するポリカーボネート5
    〜95重量%と、 (B)一般式 (式中のX′はアリール基で置換されていてもよい直鎖
    状又は枝分れ状アルキレン基、シクロアルキレン基、−
    O−、−S−、−SO−又は−SO2−、R3及びR4はハロゲ
    ン原子、アルキル基、アルコキシ基又はアリール基、
    l′とm′は0又は1〜4の整数であって、2個以上の
    R3又は2個以上のR4を含む場合これらは同一でもまた異
    なっていてもよい) で表わされる繰り返し単位を有するポリカーボネート95
    〜5重量%とを含有して成るポリカーボネート系樹脂組
    成物。
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