JP2602497B2 - 燃料油用流動性改良剤 - Google Patents

燃料油用流動性改良剤

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JP2602497B2 JP8653386A JP8653386A JP2602497B2 JP 2602497 B2 JP2602497 B2 JP 2602497B2 JP 8653386 A JP8653386 A JP 8653386A JP 8653386 A JP8653386 A JP 8653386A JP 2602497 B2 JP2602497 B2 JP 2602497B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は燃料油の流動性改良剤に関するものであり、
燃料油中に存在するワックスの結晶を有効に微細化し、
かつ油中に良好に分散させることのできる燃料油の流動
性改良剤に関する。
(従来の技術) 石油中間留出油、例えばディーゼル油、A重油等は、
冬季あるいは寒冷地において低温にさらされると、その
中に含まれるワックス状物質が析出し、ディーゼルエン
ジンの燃料配管系のフィルターを目詰まりさせてエンジ
ン始動等に障害を与えるとか、燃料油それ自体が半固体
ないし固体化して流動性を失い、送油パイプを閉塞させ
るといった問題を生じる。そしてこの問題は、近年の原
油の重質化傾向あるいは灯軽油の量的な逼迫によって更
に増大してゆく傾向にあり、この問題に対する適切な対
策が望まれている。
従来、かかる問題を解決するための研究が数多く行わ
れてきており、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン−(メタ)アクリレート共重合体、枝分かれポリエチ
レン、ハロゲン化ポリアルキレン、アルキル(メタ)ア
クリレート重合体、塩素化パラフィンとナフタレンとの
縮合物、アルケニルコハク酸の含窒素誘導体、及び脂肪
族ジカルボン酸アミド等が報告されている。そして、こ
れらの改良剤は、一般に、燃料油が低温にさらされた時
に析出するワックスに吸着もしくはこれと共晶してワッ
クスの結晶の形状、大きさを変化させることによって低
温時における燃料油の流動性を改善するものである。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、近年、燃料油需要の変化が起こり、特
に軽油についていえば、灯油等の旺盛な需要のある時期
等には、軽油中の低沸点部分の割合が減少し、沸点範囲
が狭くならざるを得ない状況が存在する。このような狭
い沸点範囲の軽油に対しては、従来より使用されている
エチレン−酢酸ビニル系(EVA)共重合体をはじめとす
る種々の流動性改良添加剤を添加しても、良好な低温流
動性を発揮させることが困難である。
即ち、上記の沸点範囲の狭い燃料油に対して、CEPP
(低温濾過目詰り点、IP306)と流動点を有効に降下さ
せる能力を同時に備えた流動性を改良する添加剤は過去
見出されていない。又、従来から沸点範囲が様々な異な
る広範囲の種類の燃料油に対して有効な添加剤の開発が
望まれている。
又、従来の流動性改良剤を添加した燃料油が貯槽タン
ク内やドラム管の中で徐冷された場合、析出ワックスが
油中に分散せず、しばしば底部に沈降するといった欠点
があり、改良が望まれている。
〔問題点を解決するための手段〕
斯かる実情において、本発明者らは鋭意研究を行った
結果、広範囲の種類の燃料油に対して良好な低温流動性
を付与することができ、即ち、CEPP、PPとも同様に降下
させることができ、かつ徐冷した場合、析出ワックスを
油中に分散させることができ、沈降を減少させることの
できる添加剤を見出し本発明を完成した。
即ち、本発明は、 (a) 次の一般式(I) (式中、Rは多価カルボン酸残基であり、ヒドロキシル
基を1〜3個有する多価カルボン酸残基であってもよ
い。Aは炭素数2〜4のアルキレン基、R′はアルコー
ル残基であり、m個のR′のうち少なくとも1個は炭素
数14〜30の直鎖飽和アルコールの残基である。mは2以
上の整数、nは1〜99の整数である。) で表される化合物と、 (b−1)アルケニルコハク酸の含窒素誘導体、塩素化
パラフィンとナフタレンとの縮合物、長鎖アルキレンジ
カルボン酸の含窒素誘導体、トリカルボン酸の含窒素誘
導体、及びジイソシアネート化合物とジアルキルアミン
との反応物からなる群より選ばれた化合物、及び/又は (b−2)炭素数8〜30のアルキル基を有する(メタ)
アクリレートを必須構成単量体とする分子量3000〜2000
00の重合体 とを必須成分とする燃料油用流動性改良剤を提供するも
のである。
本発明における(a)成分は、前記一般式(I)で表
される化合物であり、これは、例えば次のようにして製
造することができる。
即ち、(イ)カルボキシル基を2つ以上有する多価カ
ルボン酸又は/及びその酸無水物と、(ロ)炭素数14〜
30の直鎖飽和アルコールのポリオキシアルキレンエーテ
ル及び必要により他のアルコールのポリオキシアルキレ
ンエーテルとを反応させてエステル化することによって
得られる。この際に使用される多価カルボン酸として
は、例えば、 RCOOH)又は/及びRCOOH)m-2(CO)2O (式中、mは2以上の整数であり、Rは1以上のエーテ
ル酸素原子又はチオエーテル硫黄原子を含んでいてもよ
い。又、Rはヒドロキシル基を1〜3個含んでいても良
い。) が挙げられる。使用することのできる多価カルボン酸と
しては、2以上のカルボキシル基を有する化合物又は2
以上のカルボキシル基から脱水が起こって得られる酸無
水物であればいずれのものでもよい。例えば、2価カル
ボン酸としては、シュウ酸、マレイン酸、無水マレイン
酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル
酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水フタル
酸、マロン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、アジピン
酸、コハク酸、無水コハク酸、アルケニルコハク酸、無
水アルケニルコハク酸、ポリブテニルコハク酸無水物、
リング酸、酒石酸、ダイマー酸、グルタル酸などがあ
り、3価カルボン酸としては、クエン酸、トリメリット
酸、無水トリメリット酸、トリマー酸、ブタントリカル
ボン酸などがあり、4価カルボン酸としては、ピロメリ
ット酸、無水ピロメリット酸などが挙げられる。又、合
成ポリカルボン酸も使用することができる。これらのう
ちで好ましいものは2〜4価のポリカルボン酸であり、
特に好ましいのは、マレイン酸、無水マレイン酸、アジ
ピン酸、クエン酸である。これらは2種以上併用しても
よい。
前記一般式(I)においてm個のR′のうち少なくと
も1個を占める炭素数14〜30の直鎖飽和アルコール残基
を形成するアルコールとしては、例えばミリスチルアル
コール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコー
ル、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、チー
グラー法による高級アルコール等の炭素数14〜30の直鎖
状1価アルコール等が挙げられ、これらのうちで特に好
ましいのはステアリルアルコール、ベヘニルアルコール
である。これらは単独で用いても2種以上併用してもよ
く、例えばナタネ脂肪酸を加水分解して得られる脂肪酸
を還元後水添して得られる混合アルコールをそのまま利
用することもできる。
前記一般式(I)において、Rは多価カルボン酸残基
を表しているが、これはエステル化されていないカルボ
キシル基を有するものであってもよい。
前記一般式(I)において、m個のR′のうち、炭素
数14〜30の直鎖飽和アルコール残基が1つも含まれてい
ない場合はCFPP(低温濾過目詰まり点IP306)、PP(流
動点JIS K2269)の低下効果が少ない。
前記一般式(I)中のR′としては、前述した直鎖飽
和アルコール残基以外に、分岐アルコール、不飽和アル
コール残基が用い得る。
前述の一般式(I)中のAとしては、炭素数2〜4の
アルキレン基、即ちエチレン、プロピレン、ブチレン
(1,2−、2,3−、1,3−及び1,4−ブチレン)基が用いら
れる。OAの形は、一種のアルキレンオキシドがn
個つながっているという意味以外に、複数種のアルキレ
ンオキシドがランダム又は/及びブロック状につながっ
て合計n個つながった場合をも意味する。Aとして好ま
しいのはエチレン又は/及びプロピレンであり、nとし
ては1〜99の範囲が好ましい。特にnが1〜60の範囲の
ものが好ましい。
前記の一般式(I)の化合物の具体的な製造方法は、
例えば、必要により適当な溶媒を用いて、アルコールを
苛性アルカリのような触媒の存在下、加熱しながら炭素
数2〜4のアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プ
ロピレンオキシド、ブチレンオキシド等)を液状又は気
体状で加えて反応させる。2種以上のアルキレンオキシ
ドを混合して反応させるランダム付加重合、又、最初に
1種のアルキレンオキシドを順次付加させるブロック付
加重合を行ってもよい。得られたポリオキシアルキレン
エーテルは、そのまま、又は精製して未反応物質や触媒
を除去した後、通常パラトルエンスルホン酸などの触媒
を加えて加熱下にて、多価カルボン酸とエステル化す
る。エステル化の反応の進行は、酸化、ヒドロキシル
価、ケン化価等の追跡を行うことによって確認できる。
次に、本発明において用いられる(b−1)成分につ
いて説明する。(b−1)成分は、アルケニルコハク酸
の含窒素誘導体、塩素化パラフィンとナフタレンとの縮
合物、長鎖アルキレンジカルボン酸の含窒素誘導体、ト
リカルボン酸の含窒素誘導体、及びジイソシアネート化
合物とジアルキルアミンとの反応物(尿素及び/又はビ
ューレット誘導体)からなる群より選ばれた化合物であ
り、2種以上の混合物であっても良い。
アルケニルコハク酸の含窒素誘導体としては、炭素数
10〜22のアルケニル基を有するアルケニルコハク酸又は
その無水物とモノ又はジアルキルアミン、(ポリ)アル
キレンポリアミンとの反応物(アミド及び/又は塩)が
挙げられ、好ましいものは炭素数10〜22のアルケニル基
を有するアルケニルコハク酸又はその無水物とアルキル
基の炭素数が14〜22のジアルキルアミンとの反応物であ
る。
塩素化パラフィンとナフタレンとの縮合物としては炭
素数8以上のパラフィンの塩素化物とナフタレンとの縮
合物が挙げられる。その分子量は通常2000〜800の範囲
である。
長鎖アルキレンジカルボン酸の含窒素誘導体としては
特開昭56−36588号公報に記載のものが挙げられる。具
体的には炭素数10以上の直鎖アルキレン鎖を有する非置
換又はアルキル置換アルキレン基をもつジカルボン酸と
ジアルキルアミンとの反応物であって、好ましくは炭素
数14〜22の直鎖アルキレン基をもつジカルボン酸と炭素
数14〜22のアルキル基2個を有するジアルキルアミンと
の反応物である。
トリカルボン酸の含窒素誘導体としては特開昭56−84
795号公報に記載のものが挙げられ、具体的には芳香
族,脂肪族又は脂肪式トリカルボン酸とジアルキルアミ
ンとの反応生成物であり、好ましくはトリメリット酸と
炭素数14〜22のアルキル基2個を有するジアルキルアミ
ンとの反応物である。
又、ジイソシアネート化合物とジアルキルアミンとの
反応生成物としては特開昭56−93796号公報に記載のも
のが挙げられる。具体的には芳香族、脂肪族又は脂環式
ジイソシアネートとジアルキルアミンとの反応物であ
り、好ましくはトリレンジイソシアネートと炭素数14〜
22のアルキル基2個を有するジアルキルアミンの反応物
である。
(b−1)成分のうちで好ましいのはアルケニルコハ
ク酸の含窒素誘導体である。
本発明に於いて用いられる(b−2)成分は、炭素数
8〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを必
須構成単量体とする分子量3000〜200000の重合体であ
り、本重合体は、他の単量体を構成成分として含んでも
良いが、その際、炭素数8〜30のアルキル基を有する
(メタ)アクリレートは、全単量体中80重量%以上含ま
れていることが好ましい。炭素数10〜22のアルキル基を
有する(メタ)アクリレートは特に好ましい。
(b−2)成分の(メタ)アクリレートとしては、オ
クチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレ
ート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)
アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、セチ
ル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレ
ート、エイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メ
タ)アクリレート、オクタコシル(メタ)アクリレート
などの炭素数8〜28の直鎖アルキル基を有する(メタ)
アクリレート、及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソセチル
(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリ
レートなどの分岐したアルキル基を有する(メタ)アク
リレートが挙げられる。
これらのアルキル(メタ)アクリレートは単独又は混
合物のいずれの形で使用してもよい。また必要に応じて
これらのアルキル(メタ)アクリレートと共重合し得る
モノマーと共重合させてもよい。ただし、共重合体中ア
ルキル(メタ)アクリレートは80重量%以上含まれてい
ることが望ましい。
アルキル(メタ)アクリレートと共重合し得るモノマ
ーとしては、分子中にビニル基のような炭素−炭素二重
結合を有するものが挙げられ、例えばスチレン、α−メ
チルスチレン、α−オレフィン、酢酸ビニル、無水マレ
イン酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、アク
リロニトリル、ビニルピリジン、N−ビニルピロリド
ン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、(メタ)アクリルアミド、メタクリル酸のエチレン
オキサイド付加物等を例示することができる。但し、上
記の後述により制限されるものではない。
共重合体の製造は、一般のアクリル酸エステル又はメ
タクリル酸エステル類の共重合の場合と同様でよく、例
えばアルキル(メタ)アクリレート及び必要により他の
単量体を炭化水素系溶剤(トルエン、キシレンなどの芳
香族炭化水素系溶剤など)のような反応系に対して不活
性な溶剤の存在下又は不存在下で少量のラジカル発生触
媒(有機又は無機過酸化物、有機アゾ系化合物など)の
存在下、不活性気体雰囲気中で通常60℃乃至140℃に加
熱することによって容易に製造することができる。
本発明における(b−2)成分の数平均分子量は通常
3000〜200000の範囲であり、好ましくは1000〜10000で
ある。尚、本発明の(b−2)成分の数平均分子量は、
ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーにより求め
る。
本発明において、(a)及び(b−1)又は(a)及
び(b−2)を併用する場合、その使用比率は任意に設
定することができるが、好ましい範囲は重量比率で
(a):(b−1)=2:98〜98:2あるいは(a):(b
−2)=2:98〜98:2である。又、(a)及び(b−1)
及び(b−2)を併用する場合、その使用比率は任意に
設定することができ、通常重量比率で(a):(b−
1):(b−2)=1:0.02〜50:0.02〜50の範囲内で使
用できるが、好ましい範囲は重量比率で(a):(b−
1):(b−2)=1:0.1〜10:0.1〜10である。
本発明の燃料油用流動性改良剤の対象となる燃料油は
主として留出燃料油及び留出燃料油に残渣油を混合した
燃料油であり、そのうち好適なものは灯油、軽油及びA
重油である。
本発明の改良剤を燃料油に添加するにあたっては、そ
の添加量は通常0.0001〜0.5%(重量基準、以下同じ)
であり、好ましくは0.001〜0.1%である。
本発明の流動性改良剤は、これまで使用されてきたエ
チレン−酢酸ビニル共重合体で代表される共重合体系の
流動性改良剤、塩素化パラフィン−ナフタレン縮合体で
代表される縮合体系の流動性改良剤、アルケニルコハク
酸とジアルキルアミンの反応物で代表される含窒素誘導
体系流動性改良剤などのいずれもがCFPPを降下させるこ
とができない非常に狭い沸点範囲の燃料油や、n−パラ
フィン含有量の高い燃料油に対して非常に低い添加量で
優れたCFPP降下能、優れたPP降下能を示すと共に、流動
性改良添加剤の効果がでやすい比較的沸点範囲の広い燃
料油に対しても優れたCFPP降不能とPP降不能を示す。
更に本発明の改良剤は、沸点範囲が様々に異なる広範
囲の種類の燃料油に対して、低温下析出したワックスを
有効に分散させることができる。
本発明の燃料油用流動性改良剤は、先に本発明者らが
開発したように、(a)成分単独でも、従来の燃料油用
流動性改良剤がいずれもCFPPを降下させることができな
い非常に狭い沸点範囲の燃料油や、n−パラフィン含有
量の高い燃料油に対して、優れたCFPP降下能及びPP降下
能を示すと共に、沸点範囲の広い燃料油に対しても優れ
たCFPP降下能、PP降下能、及び低温で析出した燃料油中
のワックスを有効に油中に分散する機能を示す。
しかし、本発明者らは、更に有効な燃料油用流動性改
良剤を見いだすべく、鋭意研究した結果、(a)成分
と、(b−1)成分及び/又は(b−2)成分とを併用
することにより、非常に狭い沸点範囲の燃料油や、n−
パラフィン含有量の高い燃料油に対して、より優れたCF
PP降下能及びPP降下能、ワックス分散能を示すことを見
出したのである。
特に(a),(b−1),(b−2)の3成分を併用
した時には、優れたCFPP降下能とPP降下能及びワックス
分散能を示す。
本発明の(a)成分である式(I)で表される化合物
は、分子内にポリエーテル結合を有するエステル化合物
であるが、従来分子内にポリエーテル結合を有する化合
物として次式 で表されるポリオキシアルキレングリコールのジエステ
ルや、次式 で表されるアルカンポリオールのポリオキシアルキレン
エーテルのポリエステルが燃料油用の流動性改良剤とし
て用いられている。しかしながら、これらの化合物は、
狭い沸点範囲の留出燃料油に対してある程度のCFPP降下
能を示すが、広範囲の沸点範囲を有する燃料油に対する
CFPP降下能の点で劣るものであり、又、徐冷下で析出す
る燃料油中のワックス成分を分散する能力がほとんどな
いものであった。
〔作用〕
本発明の燃料油の流動性改良剤が広範囲の種類の燃料
油に対して良好な低温流動性及び良好なワックスの分散
性を付与し得る理由について詳しいことはわからない
が、以下のような特徴に由来するものと推察される。
即ち、本発明に係る(a)成分のエステル化合物は、
燃料油から析出するワックスに吸着もしくは共晶する性
質を有すると考えられる直鎖状飽和アルキル基と、ワッ
クス結晶を燃料油中に分散させる働きを有すると考えら
れる一般式OA(式中、Aはアルキレン基、nは付
加モル数を表す)で表される構造とがエーテル結合で接
続しているためワックスとの共晶がスムースにゆき、本
発明の効果を奏しているものと推察される。
更に、(b−1)及び(b−2)成分の化合物は、そ
れぞれ析出するワックス結晶面に吸着等し、結晶の形を
変化させる。これらの成分は、(a)成分と併用するこ
とにより、相乗効果が現れ、析出ワックス結晶を微細化
し、油中分散させることにより、先に示した様に、広い
燃料油に対して、抜群のCFPP降化能、PP降下能及びワッ
クス結晶分散能を示す。
このような効果は本発明の改良剤を添加した燃料油を
徐冷しながら析出したワックス結晶の分散状態を観察す
ること、及び顕微鏡でのワックス結晶の析出状況を観察
することによって、よく理解される。更に実際、本発明
の改良剤を添加した燃料油を徐冷し、ワックス結晶を析
出させた後、44μフィルターで濾過すると、有効に濾過
でき、析出したワックス結晶は、ほとんどフィルターを
通過した。
このように、上記効果を奏することから、本発明の改
良剤は広い範囲の燃料油用流動性改良剤として有用であ
る。
〔実施例〕
以下に製造例、実施例及び比較例を示して本発明を具
体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定
されるものではない。
尚、例中の部は特記しない限り重量基準である。
<(a)成分の製造例> 製造例1 1のオートクレーブに、分子量322、ヒドロキシル
価174のベヘニルアルコール322g(1.0モル)を入れ、10
0℃の温度で加熱溶解させた。次に水酸化カリウム0.56g
(0.01モル)を入れ、オートクレーブを窒素置換した
後、110℃、70mmHgで1時間加熱減圧して脱水した。そ
の後、140〜160℃で3時間エチレンオキシドと反応さ
せ、付加させた。エチレンオキシドの付加モル数は4.0
であった。
次にベヘニルアルコールのエチレンオキシド付加物49
8g(1.0モル)、マレイン酸58.0g(0.5モル)及びパラ
トルエンスルホン酸2.8g(0.5重量%)を1の四つ口
フラスコに入れ、窒素気流下、生成水を除去しながら14
0〜160℃で3時間加熱撹拌してエステル化物を得た。こ
のエステルの酸価は3.7であった。
製造例2 製造例1で用いたベヘニルアルコールのエチレンオキ
シド付加物597.6g(1.2モル)とクエン酸(無水物)76.
9g(0.4モル)から、製造例1に準じてエステル化物を
得た。このエステルの酸価は4.3であった。
製造例3 ベヘニルアルコール1モルにエチレンオキシド5モ
ル、プロピレンオキシド5モルを付加させて得た生成物
3モルと、トリメリット酸1モルとから、製造例1に準
じてエステル化物を得た。このエステルの酸価は5.1で
あった。
製造例4 ステアリルアルコール1モルにエチレンオキシド6モ
ルを付加させて得た生成物4モルと、ピロメリット酸1
モルとから、製造例1に準じてエステル化物を得た。こ
のエステルの酸価は6.2であった。
製造例5 硬化ナタネアルコール1モルにプロピレンオキシド10
モルを付加させて得た生成物2モルと、アジピン酸1モ
ルとから、製造例1に準じてエステル化物を得た。この
エステルの酸価は3.7であった。
製造例6 ベヘニルアルコール1モルにエチレンオキシド5モル
を付加させて得た生成物2モル、及びオレイルアルコー
ル1モレにエチレンオキシド5モルに付加させて得た生
成物1モルと、クエン酸1モルとから、製造例1に準じ
てエステル化物を得た。このエステルの酸価は6.0であ
った。
参考例1〜6 製造例1〜6で製造したアルキレンオキシド付加物の
エステルを、芳香族系の溶剤で希釈し、50%濃厚物を調
製し、次に示す試験に用いた。即ち、これらの(a)成
分の濃厚物を含有する流動性改良剤を、第1表に示した
軽油又はA重油に配合したものについてその流動性及び
分散性を試験した。
その結果は第2表のとおりである。
尚、流動性試験は、低温目詰まり試験(CFPP,英国規
格IP−309)及び流動点試験(PP,JIS K−2269)によっ
て行った。
又、分散性試験は、100mlの試験油を100mlのメスシリ
ンダーに入れて、プログラム温度調節器付低温槽の中
で、常温から試験油の曇点(CP,JIS K−2269)より10℃
高い温度までを毎分1℃の速度で急冷、その後曇点より
5℃低い温度までを毎時1℃の速度で徐冷し、その温度
で2時間放置した後、状態を観察した。判定はワックス
析出により生じる試験油のワックス分散層と上部の上澄
みの透明層の比率で行った。ワックスの分散性は、この
ワックスの分散層の比率が大きい程良く、その比率が70
%以上を○、50%以上70%未満を△、50%未満を×とし
た。
比較例1〜3 従来より知られている添加剤として、次の3種類のも
のを用い、参考例1〜6と同様に第1表に示した軽油又
はA重油に配合したものについてその流動性及び分散性
を試験した。その結果に第2表のとおりである。
<添加剤の種類> 比較例1: エチレン−酢酸ビニル共重合体(数平均分子量3300/
酢酸ビニル含有量32重量%)の50%濃厚物 比較例2: ポリエチレングリコール(600)ジベヘネートの50%
濃厚物 比較例3: グリセリンのエチレンオキシド12モル付加物とベベン
酸とのトリエステルの50%濃厚物 第2表から明らかなように、参考例1〜6のエステル
化合物は、狭い沸点範囲の軽油、広い沸点範囲の軽油い
ずれにも、他の従来の技術より優れたCFPP降下能、PP降
下能及びワックス分散能を有している。しかし250ppmと
添加量の低い場合、まだ充分とはいえない。
実施例1〜8 上記の(a)成分に、更に(b−1)及び/又は(b
−2)成分を加えて得られた下記組成を有する本発明の
燃料油流動性改良剤1〜8を調製した。
得られた改良剤1〜8を芳香族系の溶媒で希釈し、50
%濃厚物として、第1表に示した軽油A,B,C又はA重油
に250ppm添加し、参考例1〜6と同様にCFPP、PP及び分
散性を評価した。結果を第3表に示す。
<燃料油流動性改良剤組成> 改良剤1 製造例2の化合物 40部 アルケニルコハク酸(炭素数12〜14)とジアルキルアミ
との反応物(モル比1:2) 60部 改良剤2 製造例2の化合物 40部 ポリヘキサデシルポリメタクリレート(MW:60000)60部 改良剤3 製造例2の化合物 25部 アルケニルコハク酸(炭素数12〜14)とジアルキルアミ
との反応物(モル比1:1) 50部 ポリテトラデシルメタクリレート(MW:60000) 25部 改良剤4 製造例4の化合物 25部 アルケニルコハク酸(炭素数12〜14)とジアルキルアミ
との反応物(モル比1:2) 50部 ポリテトラデシルメタクリレート(MW:60000) 25部 改良剤5 製造例2の化合物 25部 アルケニルコハク酸(炭素数16〜18)とジ(n−ヘキサ
デシル)アミンとの反応物(モル比1:2) 50部 ドデシルメタクリレート90重量%とスチレン10重量%の
共重合物(分子量30000) 25部 改良剤6 製造例2の化合物 15部 n−オクタデカン−1,18−ジカルボン酸とジベヘニルア
ミンとのジアミド 50部 ポリアルキレンポリアクリレート** 35部 改良例7 製造例2の化合物 20部 トリレンジイソシアネートとジアルキルアミン*)との
反応物 40部 ポリヘキサデシルメタクリレート(MW:60000) 40部 改良剤8 製造例2の化合物 25部 塩素化パラフィンとナフタレンの縮合物(MW:3500) 40部 ポリドデシルメタクリレート(MW:100000) 35部 (注) *) 炭素数16〜18のアルキル基を有するもの。商品名
ファーミンD86(花王株式会社製) **) アルキル基の炭素数が12のアクリレート20重量
%、14のアクリレート60重量%、16のアクリレート15重
量%、ビニルピロリドン5重量%の共重合体で分子量8
0,000 〔発明の効果〕 第3表から明らかなように、本発明の燃料油用流動性
改良剤は、従来の発明よりも、沸点範囲の狭い燃料油に
対してのみならず、沸点範囲の広い燃料油に対しても低
添加量で優れたCFPP降下能、PP降下能を示し、また更
に、燃料油が徐冷された際に析出するワックスを燃料油
中に良好に分散せしめることができる。このことによっ
て、燃料配管系のフィルターの目詰まり、送油パイプ閉
塞等を防ぐことができる。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a) 次の一般式(I) (式中、Rは多価カルボン酸残基であり、ヒドロキシル
    基を1〜3個有する多価カルボン酸残基であってもよ
    い。Aは炭素数2〜4のアルキレン基、R′はアルコー
    ル残基であり、m個のR′のうち少なくとも1個は炭素
    数14〜30の直鎖飽和アルコールの残基である。mは2以
    上の整数、nは1〜99の整数である。) で表される化合物と、 (b−1)アルケニルコハク酸の含窒素誘導体、塩素化
    パラフィンとナフタレンとの縮合物、長鎖アルキレンジ
    カルボン酸の含窒素誘導体、トリカルボン酸の含窒素誘
    導体、及びジイソシアネート化合物とジアルキルアミン
    との反応物からなる群より選ばれた化合物、及び/又は (b−2)炭素数8〜30のアルキル基を有する(メタ)
    アクリレートを必須構成単量体とする分子量3000〜2000
    00の重合体 とを必須成分とする燃料油用流動性改良剤。
  2. 【請求項2】(a)と(b−1)、あるいは(a)と
    (b−2)の重量比が2:98〜98:2である特許請求の範囲
    第1項記載の燃料油用流動性改良剤。
  3. 【請求項3】(a),(b−1),(b−2)の三者の
    重量比が、1:0.1〜10:0.1〜10である特許請求の範囲第
    1項記載の燃料油用流動性改良剤。
  4. 【請求項4】アルケニルコハク酸の含窒素誘導体が、炭
    素数10〜22のアルケニル基を有するアルケニルコハク酸
    又はその無水物と、アルキル基の炭素数が14〜22のジア
    ルキルアミンとの反応物である特許請求の範囲第1項記
    載の燃料油用流動性改良剤。
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