JP2600288Y2 - 自動車用灯具の取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車用灯具に係り、
特に車体外板の開口部にシール材を介して灯具を取り付
ける取付構造に関する。

【０００２】

【従来技術】この種の自動車用灯具にはハイマウンテッ
ドストップランプ等があるのが、その従来の取付構造の
例が実開平２−74237 号公報や実開昭60−168642号公報
に記載されている。

【０００３】前者の例を図１に示す。自動車の後部トラ
ンクの外板であるトランクリッドスキン01の開口部にハ
イマウンテッドストップランプ02が内側から嵌装されて
いる。

【０００４】トランクリッドスキン01の開口周縁部01a
は内側へ凹出しており、ハイマウンテッドストップラン
プ02の前面レンズ03の周縁部03b が内側へ凹出したトラ
ンクリッドスキン01の開口周縁部01a にシール材04を介
して当接し、前面レンズ03の中央の前方へ凸出したレン
ズ領域03a が開口部から外側へ貫出している。

【０００５】レンズ領域03a の周囲にトランクリッドス
キン01の凹出した開口周縁の空間が溝条に形成されてお
り、この溝条にリム05とエンドラバー06の組付体を装着
して前面レンズ03を固定し、ハイマウンテッドストップ
ランプ02のガタつきを防止している。

【０００６】また後者の例は、トランクフレームに灯具
マウント用のサブブラケットを固定し、トランクリッド
スキンに内側からパッキンを介して、灯具を押しつける
ようにサブブラケットが灯具を支持している。

【０００７】

【解決しようとする課題】前者の例の場合、ハイマウン
テッドストップランプ02を固定するのに、レンズ領域03
a の周縁の溝条にリム05を装着する構造であるので、薄
型に意図した灯具の外周に余分なリムによる意匠線が出
てしまい、外観を損う欠点がある。

【０００８】また後者の例では、トランクリッドスキン
に対するサブブラケットの位置精度を高く設定すること
が難しく、その結果合わせ建付けが悪くなる欠点があ
る。

【０００９】本考案は、かかる点に鑑みてなされたもの
で、その目的とする処は、シール性を確保した上で外観
に優れ、合わせ建付けの良好な自動車用灯具の取付構造
を供する点にある。

【００１０】

【課題を解決するための手段および作用】上記目的を達
成するために本考案は、弾性部材を介して支持された自
動車用灯具が自動車の車体外板の開口部に車体の内側か
ら嵌装され、該灯具と車体外板の開口縁の当接部にシー
ル材が挟まれ前記弾性部材の弾性力で前記シール材が挟
圧される自動車用灯具の取付構造とした。

【００１１】弾性部材を介して支持された自動車用灯具
が車体外板の開口縁の当接部にシール材を介して押圧固
定されるので、車体外板に対する灯具の位置のバラツキ
を弾性部材で吸収して合わせ建付けを良好に保つことが
でき、取付けが簡単で生産性の向上を図ることができ
る。

【００１２】またシール材は挟着された状態となるので
高いシール性が確保されるとともに、経時変化によりシ
ール材がヘタリを生じても弾性部材による押圧力がなお
作用して灯具を押圧支持することができるとともに、接
着剤による接着なしにシール材によるシール性も長年に
亘って確保される。リム等の外観に表われるような固定
部品を必要としないので、見栄えを良くすることができ
る。請求項２記載の発明は、請求項１記載の自動車用灯
具の取付構造において、前記シール材が、軟質層と硬質
層の２層からなることを特徴とする。 軟質層と弾性部材
の弾性変形により車体外板に対する灯具の位置のバラツ
キを吸収して合わせ建付けを良好に保つことができ、軟
質層が経時変化によりヘタリを生じても硬質層がストッ
パとして機能して弾性部材の押圧力に基づき長年に亘っ
て合わせ建付けを良好に維持することができる。

【００１３】

【実 施 例】以下図２ないし図５に図示した本考案の
一実施例について説明する。本実施例は自動四輪車のト
ランクリッドへのハイマウンテッドストップランプの取
付構造である。

【００１４】図２は、該自動四輪車１の後部外観図であ
り、上壁後端から屈曲されて後壁をなすトランクリッド
２の後壁上部中央に左右に長尺のハイマウンテッドスト
ップランプ３が取付けられるものである。

【００１５】図３は、ハイマウンテッドストップランプ
３の正面図であり、図４はその一部切欠いた裏面図であ
り、図５はハイマウンテッドストップランプ３をトラン
クリッド２に取付けた状態の断面図である。

【００１６】ハイマウンテッドストップランプ３は、車
体側の樹脂製の固定部材４に前面レンズ５が被せられて
内部の長尺の空間に固定部材４に支持されて多数のラン
プ（発光ダイオード）15が一列に配列されている。

【００１７】前面レンズ５の中央には膨出したレンズ部
5aが形成されその周縁に溝条5bが設けられている。この
溝条5bにシール材16が嵌入されている。

【００１８】シール材16は、前面レンズ５の溝条5bの底
面から膨出したレンズ部5aの側面にかけて断面Ｌ字状に
硬質のソリッド材17が接し、このソリッド材17のＬ字の
内側に軟質の発泡材18が一体に貼着されたものである。

【００１９】またこのシール材16の左右に長尺で偏平し
た長円の下側部分に近接して平行にスポンジ材19がやは
り前面レンズ５の溝条に嵌着されている。

【００２０】固定部材４の背面には、左右端部にそれぞ
れ取付ボス部６およびその内側に一対の取付ボス部７が
形成されている。取付ボス部６には弾性ステー８が、そ
の基端部を固着されて左右側方へ延出しており、その延
出部8aに取付孔8bが穿設されている。

【００２１】また取付ボス部７には左右上下に延出して
十字形をした弾性ステー９が、その左右への延出部9aを
ねじ11で固着され、上下の延出部9bは固定部材４の上下
幅から上下にはみ出しており、同延出部9bに取付孔9cが
穿設されている。弾性ステー８，９は、SK材等のバネ鋼
板で弾性を有するものである。

【００２２】一方トランクリッド２は、図５に示すよう
に外板であるトランクリッドスキン20とその内側にブラ
ケット21が一体に形成されている。トランクリッドスキ
ン20の後壁の上部に左右に長尺の開口22が設けられてい
て、開口周縁部は内側に屈曲されている。

【００２３】この屈曲部はハイマウンテッドストップラ
ンプ３の前面レンズ５の溝条5bに嵌入されたシール材16
に対応している。このように屈曲したトランクリッドス
キン20の開口22の内側は対向してブラケット21に大きな
開口26が形成されている。

【００２４】ブラケット21の該開口26の周縁部にはハイ
マウンテッドストップランプ３の固定部材４に固着され
た左右対をなす弾性ステー８，９の取付孔8b，9cに対応
して取付孔が穿設され、同ブラケット21の取付孔にねじ
孔を一致させたナット27がブラケット21の裏面に予め溶
接されている。

【００２５】ハイマウンテッドストップランプ３本体
は、トランクリッド２の内側からブラケット21の開口26
に挿入され、前面レンズ５の溝条5bに嵌入したシール材
16をトランクリッドスキン20の開口22周縁の屈曲部に当
てがい押しつけると、屈曲部はシール材16の発泡材18に
食い込み、一方で弾性ステー８，９の取付孔8b，9cはブ
ラケット21の取付孔に合致するので、内側からボルト28
を取付孔8b，9cに貫入し、さらにブラケット21の取付孔
に貫入してブラケット21の裏側に溶接されたナット27に
螺合する。

【００２６】ハイマウンテッドストップランプ３は本体
の前面レンズ５の膨出レンズ部5a周囲のシール材16に、
トランクリッドスキン20の開口22周縁の屈曲部が食い込
むことでレンズ部5aが開口22に嵌合する。また同時にス
ポンジ材19がトランクリッドスキン20に押圧されて変形
し、シール材16の下に侵入した水を左右へ導く樋が形成
される。

【００２７】この状態で弾性ステー８，９のボルト28が
貫入された延出部8a，9bとブラケット21の開口26周縁部
とは間隙を有し、ボルト28のさらなる締め付けにより弾
性ステー８，９はその延出部8a，9bをブラケット21に近
づけて弾性変形し、ハイマウンテッドストップランプ３
本体をトランクリッドスキン20側へ押し付け、トランク
リッドスキン20に対するハイマウンテッドストップラン
プ３の位置のバラツキを弾性ステー８，９が吸収して合
わせ建付けが簡単かつ適切になされる。また良好な建付
けの下でリム等を使用していないので外観に優れ見映え
が良い。

【００２８】前面レンズ５とトランクリッドスキン20に
挟まれるシール材16は発泡材18の軟質層のほかソリッド
材17の硬質層を有するので、押圧力により膨出レンズ部
5aがトランクリッドスキン20の開口22から外側へ突出す
るのをソリッド材17が押えとなって防止している。また
シール材16は前面レンズ５とトランクリッドスキン20と
の間で挟圧されてシール性が十分確保される。

【００２９】次に別の実施例について図６に断面で示し
た図に基づき説明する。ハイマウンテッドストップラン
プ３本体、トランクリッドスキン20、ブラケット21、シ
ール材16等は、前記実施例と同様なので、同じ部材は同
じ符号を用いる。

【００３０】ハイマウンテッドストップランプ３の固定
部材30の裏面にはゴム等の弾性材31を介してステー32が
段付きスクリュー33により取付けられている。段付きス
クリュー33は、頭部33a から延出した大径円筒部33b が
ステー32を貫通しさらに弾性材31を貫通して、先端の小
径ねじ部33c が固定部材30に螺合緊締されていて、段付
きスクリュー33の頭部33a に規制されたステー32により
弾性材31が固定部材30との間で僅かに挟圧された状態で
ステー32が固定部材30に取り付けられている。

【００３１】ステー32は、上下に延出部32a を有し、同
延出部32a に取付孔が形成されていて、ハイマウンテッ
ドストップランプ３本体をブラケット21の開口26より挿
入し、前面レンズ５の膨出レンズ部5aの周囲のシール材
16をトランクリッドスキン20の開口22周縁の屈曲部に当
てがい押しつけると、屈曲部はシール材16の発泡材18に
食い込み、ステー32の取付孔はブラケット21の取付孔お
よび裏側に固着されたナット27に合致し、同取付孔にボ
ルト28を内側から嵌入しナット27に螺合する。

【００３２】そしてボルト28を締め付けていくと、ステ
ー32が弾性材31を押圧して、弾性材31の弾性復元力がハ
イマウンテッドストップランプ３本体をトランクリッド
スキン20に押し付け、トランクリッドスキン20に対する
ハイマウンテッドストップランプ３本体の位置のバラツ
キを弾性材31が吸収して位置決めされ合わせ建付けが簡
単かつ適切になされる。

【００３３】ボルト28はステー32とブラケット21とを緊
締し、そのときステー32が弾性材31を押圧して移動した
ため段付きスクリュー33の頭部33a はステー32より離れ
て突出した状態にある。

【００３４】そしてシール材16は前面レンズ５とトラン
クリッドスキン20との間で挟圧されてシール性が十分確
保される。

【００３５】

【発明の効果】本考案は、弾性部材を介して支持された
自動車用灯具が車体外板の当接部にシール材を介して押
圧固定されるので、車体外板に対する灯具の位置のバラ
ツキを弾性部材で吸収して合わせ建付けを良好に保つこ
とができるとともに、取付けが簡単で生産性の向上を図
ることができる。またシール材は挟着された状態となる
ので高いシール性が確保される。リム等の外観に現われ
るような固定部品を必要としないので、見映えを良くす
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来のハイマウンテッドストップランプの取付
け構造を示す要部断面図である。

【図２】本考案に係る一実施例の灯具取付構造を採用し
た自動四輪車の後部外観図である。

【図３】同実施例のハイマウンテッドストップランプの
正面図である。

【図４】同裏面図である。

【図５】同ハイマウンテッドストップランプをトランク
リッドに取付けた状態の図３におけるＶ−Ｖ断面図であ
る。

【図６】別実施例のハイマウンテッドストップランプの
取付構造を示す断面図である。

【符号の説明】 １…自動四輪車、２…トランクリッド、３…ハイマウン
テッドストップランプ、４…固定部材、５…前面レン
ズ、６，７…取付ボス部、８，９…弾性ステー、11…ね
じ、15…ランプ、16…シール材、17…ソリッド材、18…
発泡材、19…スポンジ材、20…トランクリッドスキン、
21…ブラケット、22…開口、26…開口、27…ナット、28
…ボルト、30…固定部材、31…弾性材、32…ステー、33
…段付きスクリュー。

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 弾性部材を介して支持された自動車用灯
   具が自動車の車体外板の開口部に車体の内側から嵌装さ
   れ、該灯具と車体外板の開口縁の当接部にシール材が挟
   まれ前記弾性部材の弾性力で前記シール材が挟圧される
   ことを特徴とする自動車用灯具の取付構造。
2. 【請求項２】 前記シール材は、軟質層と硬質層の２層
   からなることを特徴とする請求項１記載の自動車用灯具
   の取付構造。