JP2599896B2 - アルミナ・クロム・ジルコニア質耐火物及びその製造方法 - Google Patents

アルミナ・クロム・ジルコニア質耐火物及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、灰溶融炉、即ちごみ及
び汚泥焼却炉から発生する2次廃棄物の溶融処理炉の内
張り材として好適なアルミナ・クロム・ジルコニア質耐
火物及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の水処理汚泥の溶融炉として、例え
ば特公平5−54010号公報には、Cr2325〜80重
量%のほか、Al23またはAl23とZrO2を10
重量%以上含有し、上記以外の成分が20重量%以下で
ある耐火材からなるものが開示されている。しかし、こ
の溶融炉においては、酸化クロムの含量が25〜80重
量%と広範にわたり、実質上酸化クロムの配合量の低減
ついては検討されていない。
【0003】また、特開平1−192761号公報には、(a)
32〜42重量%ZrO2、12〜16.5重量%SiO
2、45〜49.5重量%Al23、1〜3重量%Na2
O、及び7重量%までの他の種成分からなる40〜85
重量%溶製AZS粒と、(b)15〜60重量%の、反
応性アルミナ及び反応性アルミナ及び酸化クロムの組
合せから成る群から選択される成分とから実質成る耐火
組成物であって、この場合反応性アルミナが耐火組成物
の10〜20重量%の量において存在し、そして酸化ク
ロムが、耐火組成物の0〜45重量%の量で存在する耐
火物品製造用耐火組成物が開示されている。
【0004】更に、特開平2−38361号公報には、約1
5〜90重量%の溶成クロム−アルミナ粒子、5〜25
重量%の酸化クロム(III)、30重量%未満のジルコニ
ア含有粒子及び残分がアルミナから本質的になる混合物
を圧縮し、焼成することにより製造されるクロム−アル
ミナ耐火れんがが開示されている。
【0005】また、特開平4−132656号公報には、酸化
アルミニウム40重量%以上と、酸化クロム60重量%
以下と、酸化チタニウム及び/または滑石(3MgO・
4SiO2・H2O)を1.5重量%以下含むセラミックマ
トリックス中に第2相を分散してなるセラミック焼結体
において、セラミックマトリックスが制御された詳細な
クラックを含み、分散する第2相が前記セラミックマト
リックス形成物と未安定ジルコニアとの均一な凝集体で
あるアルミナ−クロミア焼結体が開示されている。
【0006】更に、特開平6−122546号公報には、酸化
アルミニウム75〜94重量%、酸化クロム5〜15重
量%、ジルコニア1〜10重量%の成形体を焼成してな
るカーボンブラック製造炉用のアルミナ−クロミナ−ジ
ルコニア質耐火物が開示されている。この耐火物は酸化
クロムの配合量が5〜15重量%と少ないものの、その
用途は上述の如くカーボンブラックの製造炉用であり、
このものの灰溶融炉への適用は開示されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】現在、灰溶融炉では、
下水汚泥ケーキのみならず、都市ごみ等の焼却灰、飛灰
の他、シレッダーダスト、乾電池等多種にわたるものが
溶融されており、また、塩基度の高い灰もある。例えば
高クロム含量のアルミナ・クロム・ジルコニア質耐火物
は耐食性には優れるが、(1)変質層(浸潤層)の生成が多
い;(2)温度変化に対して割れ易い等の欠点があり、長
期間使用に際しては変質層からの剥離を生じ、従来の灰
溶融炉に使用されているアルミナ・クロム質耐火物、ク
ロム質耐火物と大差がない。
【0008】即ち、ごみ及び汚泥焼却炉から発生する2
次廃棄物の溶融処理炉等の灰溶融炉の炉材に使用するた
めのアルミナ・クロム・ジルコニア質耐火物の酸化クロ
ム配合量の低減については何ら考慮されていないのが現
状である。
【0009】従って、本発明の目的は、灰溶融炉におい
て、従来の高クロム含量のアルミナ・クロム・ジルコニ
ア質耐火物に比較して耐浸潤性、耐割れ性、耐食性が改
善され、かつ構造的スポリーリングにも優れたアルミナ
・クロム・ジルコニア質耐火物及びその製造方法を提供
することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の灰溶融炉
用アルミナ・クロム・ジルコニア質耐火物は、Al23
含量99.0重量%以上で、粒度0.044〜5mmのア
ルミナ原料30〜75重量%、Al23含量99.0重
量%以上で、粒度0.03mm以下の仮焼アルミナ10
〜20重量%、Cr23含量90重量%以上で、粒度
0.03〜3mmのクロム原料5〜20重量%、及び粒
度1mm以下のジルコニア原料10〜30重量%を含有
してなり、1650℃以上の温度範囲で超高温焼成して
得られたものであることを特徴とする。
【0011】更に、本発明の灰溶融炉用アルミナ・クロ
ム・ジルコニア質耐火物の製造方法は、Al23含量9
9.0重量%以上で、粒度0.044〜5mmのアルミナ
原料30〜70重量%、Al23含量99.0重量%以
上で、粒度0.03mm以下の仮焼アルミナ10〜20
重量%、Cr23含量90重量%以上で、粒度0.03
〜3mmのクロム原料5〜20重量%、及び粒度1mm
以下のジルコニア原料10〜30重量%を含有してなる
原料混合物に所定量のバインダーを添加、混練した後、
常法により成形し、1650℃以上の温度範囲で超高温
焼成することを特徴とする。
【0012】
【作用】本発明に使用するアルミナ原料は、Al23
量が99.0重量%以上の高純度品例えば電融アルミ
ナ、焼結アルミナ等であり、その粒度は0.044〜5
mm、好ましくは0.44〜3mmの範囲内のものであ
る。アルミナ原料のAl23含量が99.0重量%未満
であると耐侵食性低下のため好ましくない。また、粒度
が0.044mm未満であると耐スポーリング性低下の
ため好ましくなく、また、5mmを超えると耐食性低下
のため好ましくない。なお、アルミナ原料の添加配合量
は、30〜75重量%、好ましくは40〜70重量%の
範囲内である。該配合量が30重量%未満であると組織
が悪く、耐浸潤性が低下するために好ましくなく、ま
た、75重量%を超えると耐食性低下のために好ましく
ない。
【0013】また、本発明に使用する仮焼アルミナは、
Al23含量が99.0重量%以上の高純度品であり、
かつ粒度0.03mm以下、好ましくは0.01mm以下
の超微粉である。仮焼アルミナのAl23含量が99.
0重量%未満であると耐侵食性低下のために好ましくな
い。また、粒度が0.03mmを超えると耐侵食性低下
及び成形性不良のために好ましくない。なお、仮焼アル
ミナの添加配合量は、10〜20重量%、好ましくは1
2〜18重量%の範囲内である。該配合量が10重量%
未満であると成形性が不良となり、耐食性が低下するた
めに好ましくなく、また、20重量%を超えると焼結
し、耐スポーリング性が低下するために好ましくない。
【0014】次に、本発明に使用するクロム原料は、C
23含量が90重量%以上、好ましくは95重量%以
上で、粒度0.03〜3mm、好ましくは0.03〜1m
mの範囲内のものである。クロム原料のCr23含量が
90重量%未満であるとSiO2、Al23、TiO2
FeO等の不純成分による耐食性低下及び焼結化に伴う
耐スポーリング性の低下などのために好ましくない。ま
た、粒度が0.03mm未満であると過焼結化に伴う弾
性率の上昇及び耐スポーリング性の低下のため好ましく
なく、また、3mmを超えると組織の不良に伴う耐食性
の低下のため好ましくない。なお、クロム原料の添加配
合量は5〜20重量%の範囲内である。該配合量が5重
量%未満であると耐侵食性の低下のために好ましくな
く、また、20重量%を超えると耐スポーリング性及び
耐浸潤性の低下のために好ましくない。
【0015】また、本発明に使用するジルコニア原料
は、粒度1mm以下、好ましくは0.044〜0.2mm
の範囲内のもので、例えば電融ジルコニア、焼結ジルコ
ニア等である。ジルコニア原料の粒度が0.044mm
未満であると耐スポーリング性の低下のために好ましく
なく、また、1mmを超えると耐侵食性の低下及び機械
的強度劣化のために好ましくない。ジルコニア原料の添
加配合量は10〜30重量%、好ましくは10〜20重
量%の範囲内である。該配合量が10重量%未満である
と耐侵食性及び耐スポーリング性の低下のため好ましく
なく、また、30重量%を超えると機械的強度の不足の
ために好ましくない。
【0016】本発明のアルミナ・クロム・ジルコニア質
耐火物は、上述のような配合を有する原料混合物に所定
量のバインダーを添加、混練した後、常法により成形
し、1650℃以上の温度範囲で超高温焼成することに
より得られる。
【0017】ここで、バインダーとしてはメチルセルロ
ース等の有機バインダーあるいはポリエチレンオキサイ
ド等の熱可塑性樹脂等を使用することができ、この添加
量は上記原料混合物に対して外掛で0.3〜1重量%、
好ましくは0.5〜0.8重量%の範囲内である。なお、
該添加量が0.3重量%未満では素地強度の不足及び成
形性不良のために好ましくなく。また、1重量%を超え
ると物性が低下するために好ましくない。なお、粘土等
の無機質バインダーは耐食性不良などのため使用は好ま
しくない。また、適宜水を使用することもできる。
【0018】また、成形方法は得に限定されるものでは
ないが、例えば1トン/cm2以上、好ましくは1.5ト
ン/cm2の圧力で所定の形状に高圧成形して気孔率を
低下させることが好ましい。
【0019】上述のようにして所定の形状に成形した
後、50〜150℃、好ましくは100〜150℃の温
度範囲で、15〜30時間、好ましくは20〜30時間
程度乾燥した後、焼成する。焼成操作は、還元雰囲気条
件下では、炭化クロムの生成による表面硬化があり、ま
た、酸化雰囲気条件下ではクロムの酸化による組織不良
が発生するため、極力酸素とカーボンの供給を抑制した
中性雰囲気が好ましい。更に、焼成温度は1650℃以
上、好ましくは1750〜1850℃の温度範囲で、1
0〜30時間、好ましくは20〜30時間程度の超高温
焼成することにより行うことができる。ここで、焼成温
度が1650℃未満であると耐侵食性の低下及び機械的
強度の不足等のために好ましくない。
【0020】上述のような配合割合及び製造条件で製造
された本発明のアルミナ・クロム・ジルコニア質耐火物
は下記のような特徴を有する: Cr23含量90重量%以上のクロム原料を5〜20
重量%使用し、好ましくは高圧成形し、更に、1650
℃以上の温度で超高温焼成することにより、高クロム配
合量のアルミナ・クロム・ジルコニア質耐火物を灰溶融
炉に使用する際に多量に生成していた変質層の生成を抑
制することができる; クロム原料とジルコニア原料とを上述の範囲内の配合
量で併用することにより、ジルコニア原料による高膨張
性と、クロム原料による収縮により、耐火物組織内にマ
イクロクラックを生成させて低弾性化することにより、
熱衝撃抵抗性を向上することができる; 主原料として上述の範囲内の配合量でアルミナ原料を
使用し、更に、仮焼アルミナ超微粉を併用することによ
り耐食性を高めることができる。
【0021】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明のアルミナ・ク
ロム・ジルコニア質耐火物を更に説明する。 実施例 以下の表1に記載する原料のうち、まず5〜1.0mm
の粗粒部をミキサーに投入し、次に、メチルセルロー
ス、ポリエチレンオキサイド及び水を添加して混合し、
更に、0.3mm以下の微粉部を投入し、最後に中間粒
を投入して7分間混合した。得られた混合物を1000
kg/cm2の圧力でフリクションプレスすることによ
り成形し、得られた成形体を100℃で24時間乾燥し
た後、1750℃で24時間焼成することにより供試体
を得た。得られた供試体の諸特性を表1に併記する。
【0022】
【表1】
【0023】なお、電融アルミナとしては、Al23
量99.5重量%のものを、仮焼アルミナとしては、A
23含量99.0重量%のものを、酸化クロムとして
はCr23含量92重量%のものをそれぞれ使用した。
【0024】また、表1において、圧縮強さはJIS R220
6に基づいて、常温曲げ強さはJIS R2213に基づいて、侵
食テストはJIS 101−3に基づいて、スポーリングテスト
はJIS 105−1に基づいてそれぞれ試験した結果である。
【0025】参考例 上記実施例で得られた本発明品1を灰溶融炉に配設して
実炉試験を行った結果、損傷スピードも遅く、極めて良
好な結果が得られた。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、灰溶融炉用の従来の高
クロム含量のアルミナ・クロム・ジルコニア質耐火物に
比較して耐浸潤性、耐割れ性、耐食性が改善され、かつ
構造的スポリーリングにも優れたアルミナ・クムロ・ジ
ルコニア質耐火物及びその製造方法を提供することがで
きる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Al23含量99.0重量%以上で、粒
    度0.044〜5mmのアルミナ原料30〜75重量
    %、Al23含量99.0重量%以上で、粒度0.03m
    m以下の仮焼アルミナ10〜20重量%、Cr23含量
    90重量%以上で、粒度0.03〜3mmのクロム原料
    5〜20重量%、及び粒度1mm以下のジルコニア原料
    10〜30重量%を含有してなり、1650℃以上の温
    度範囲で超高温焼成して得られたものであることを特徴
    とする灰溶融炉用アルミナ・クロム・ジルコニア質耐火
    物。
  2. 【請求項2】 Al23含量99.0重量%以上で、粒
    度0.044〜5mmのアルミナ原料30〜75重量
    %、Al23含量99.0重量%以上で、粒度0.03m
    m以下の仮焼アルミナ10〜20重量%、Cr23含量
    90重量%以上で、粒度0.03〜3mmのクロム原料
    5〜20重量%、及び粒度1mm以下のジルコニア原料
    5〜30重量%を含有してなる原料混合物に所定量のバ
    インダーを添加、混練した後、常法により成形し、16
    50℃以上の温度範囲で超高温焼成することを特徴とす
    る灰溶融炉用アルミナ・クロム・ジルコニア質耐火物の
    製造方法。
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