JP2597198Y2 - 椅子収納型床装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は体育館や各種ホ−ル等の
建物内の観覧席やステ−ジなどに利用される椅子収納型
床装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年では体育館や各種ホ−ル等の建物の
多目的利用の為に、複数の床台を平時は該建物の床或い
はステ−ジとして平坦にして置いて、必要時にはジャッ
キやリフト等の押上げ機構により各床台を個々に適当高
さずつ押上げて相互に雛段状（階段状）の観覧席或いは
舞台となせる昇降式床装置が設置利用されるようになっ
て来た。

【０００３】しかも、こうした昇降式床装置では、観客
が腰掛けて楽に観覧できるように各床台上に椅子を設置
したものが多くなって来ている。なお、その椅子は各床
台上に設置したままであると、各床台を平坦にして各種
競技や演技等を行なう床面としたり、雛段状のまま各種
の演台としたり、或いは立見席として利用するのに、該
椅子が邪魔となる。この為に、本出願人は先に実開平２
−９１８５１号公報及び実開平２−９１８５２号公報に
示す椅子収納型床装置を提唱している。

【０００４】これは、座と背凭れ及び肘掛けが展開状態
（座及び肘掛けが略水平状態で背凭れが後傾状態）から
着座者の離席に伴い付勢手段或いは自重により略垂直に
自動復帰する自動折り畳み式椅子を、各床台内に起立し
たままジャッキやリフト等の昇降手段により垂直に昇降
可能に収納設置すると共に、その各床台の上面床板の一
部に起倒可能に配して前記椅子の昇降による床台上方へ
の迫り出し及び該床台内への収納を可能とする幅狭な開
閉床板部を設けた構成である。

【０００５】また、椅子を床台上方に迫り出した状態で
落ち込み防止を図るロック機構を備えていると共に、椅
子と一緒に昇降し前記開閉床板部を押し上げ開放して所
定位置に起立保持したり逆に倒して閉じたりする手摺兼
用のガイド及び該ガイドと開閉床板部の連係用のホルダ
ーを備えている構成である。

【０００６】こうした構成の椅子収納型床装置であれ
ば、床台に対して自動折り畳み式椅子が全体的に垂直偏
平状態に起立したままジャッキやリフト等の昇降手段に
より昇降して出し入れされるので、床台の上面床板はこ
の一部の幅狭な部分のみを起倒可能な開閉床板部とすれ
ば良く、しかも、この幅狭な開閉床板部が椅子の昇降に
伴い手摺兼用のガイドと連係用のホルダーを介して自動
的に開閉されるので、その開閉床板部の開閉操作が簡略
化でき、床台に対する椅子の出し入れ作業が非常に簡便
且つ能率的に行ない得る。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
如く従来の椅子収納型床装置では、椅子の床台上方へ迫
り出しや該床台内への収納を楽にすべく、座と背凭れ及
び肘掛けが常に付勢手段或いは自重により略垂直に自動
復帰する自動折り畳み式椅子を用いていることから、床
台上に迫り出された椅子に対し観覧者等が着席する際、
その椅子の座を略水平に転倒させることはもちろんのこ
と、背凭れを後傾状態に、肘掛けを略水平状態に展開操
作する必要があって、その展開操作が面倒であった。特
に、手荷物等で手が塞がっている人は該椅子の展開操作
が困難でスムーズに着席できない不便があった。

【０００８】本考案は上記事情に鑑みなされ、その目的
とするところは、椅子が上昇して床台上に迫り出される
と、該椅子の背凭れが後傾状態に、肘掛けが略水平状態
に自動的に展開保持されて、観覧者等が座を押し倒すの
みでスムーズに着席でき、当該椅子を下降して床台内に
収納する際には、座と共に背凭れ及び肘掛けが略垂直に
自動復帰して折り畳み状態となって、該椅子の床台内へ
の収納が手間なく行い得る簡便な椅子収納型床装置を提
供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本考案の椅子収納型床装
置は、前記目的を達成するために、座と背凭れ及び肘掛
けが着座者の離席に伴い展開状態から付勢手段或いは自
重により略垂直に自動復帰する自動折り畳み式椅子を、
床台内に起立したまま昇降可能に収納設置すると共に、
その床台の上面床板の一部に起倒可能に配して前記椅子
の昇降による床台上方への迫り出し及び該床台内への収
納を可能とする幅狭な開閉床板部を設け、且つその開閉
床板部の裏面にフックを設け、この開閉床板部を起立開
放しながら前記椅子を床台上方に迫り出すと、該開閉床
板部裏面のフックに係合し、当該椅子の背凭れを後傾状
態に、肘掛けを略水平状態に、展開保持するリンク機構
を設けた構成である。

【００１０】

【作用】前記構成により、本考案の椅子収納型床装置で
は、椅子をジャッキやリフト等の適宜の昇降手段により
上昇して床台上面の床板一部の開閉床板部を起立開放し
ながら該床台上に迫り出すと、その開閉床板部の裏面の
フックにリンク機構が係合して、当該椅子の背凭れを後
傾状態に、肘掛けを略水平状態に自動的に展開保持する
ようになる。これで観覧者等が座を押し倒すだけの簡単
な操作でスムーズに着席できるようになる。その着座者
が離席すると、座は付勢手段により跳ね上がるように略
垂直状態に自動復帰するが、背凭れと肘掛けは前記リン
ク機構により展開保持されたままで、再び観覧者等が着
席する場合もスムーズである。

【００１１】また、椅子を下降して床台内に収納すると
きは、観覧者を退去させて、座が略垂直状態に自動復帰
しているのを確認し、この状態で椅子をジャッキやリフ
ト等の適宜の昇降手段により下降させる。この下降によ
り前記リンク機構が開閉床板部の裏面のフックから離脱
し、これにより背凭れ及び肘掛けが自重或いは付勢手段
により略垂直に自動復帰して、椅子が全体的に垂直偏平
な折り畳み状態となり、そのまま床台内に下降して手間
なく収納されるようになる。

【００１２】

【実施例】以下、本考案の椅子収納型床装置の一実施例
を図面により説明する。図１（ａ）（ｂ）は椅子収納型
床装置の床台１に対する椅子２の昇降時の折り畳み・展
開状態を示す一部断面した側面図、図２（ａ）（ｂ）
（ｃ）は同装置の床台１とこれに収納した椅子２の昇降
に伴う出し入れ状態を示す一部断面した側面図、図３は
同装置を背面側から見た概略的斜視図である。

【００１３】まず、前記床台１は、体育館やホ−ル等の
建物内の床（或いはステ−ジ）部に多数列設され、各々
ジャッキやリフト等の押上げ機構により雛段状に押し上
げたり平坦状に下げたりできる昇降式床台であって、図
２及び図３に示す如く、複数本の角鋼管等のビ−ム３を
用いて枠組みした左右方向に長い長方体状のもので、こ
の内部空間の後側略３分の１の部分が椅子収納部Ａとさ
れ、そこに椅子２が収納設置されている。またその床台
１の上面には床板４が敷設されている。この床板４は前
記椅子収納部Ａの上面部分を覆う幅狭な開閉床板部４ａ
を有し、その開閉床板部４ａのみが前記椅子２の出し入
れを許容すべくヒンジ（図示せず）を介し前側に起立開
閉可能とされ、それ以外の床板部は固定的に設けられて
いる。

【００１４】こうした床台１内の椅子収納部Ａに椅子２
が起立したまま垂直に昇降可能に収納設置されている。
この椅子２は、図１乃至図３に示す如く、複数の座席部
を持つ連結椅子で、後述する取付けベ−ス７に立設した
両端の脚２ａ上に貫材（連結パイプ）２ｂを横架し、こ
の貫材２ｂから複数の支柱２ｃを相互に等間隔を存して
立設し、これら支柱２ｃの各相互間にそれぞれ座２ｄと
背凭れ２ｅを設けると共に、各支柱２ｃの上端部に肘掛
け２ｆを設けたものである。

【００１５】しかも、この連結椅子２は自動折り畳み式
椅子で、各座席部の座２ｄが付勢手段としての公知の自
動跳ね上げ機構５により略水平な展開状態（転倒状態）
から着座者の離席に伴い起立回動して略垂直に自動復帰
する構成とされ、背凭れ２ｅと肘掛け２ｆが相互に後述
するリンク機構６を介し連動して、該背凭れ２ｅが後傾
状態に、肘掛け２ｆが略水平状態に展開すると共に、着
座者の離席に伴い背凭れ２ｅと肘掛け２ｆが自重により
略垂直状態に自動復帰する構成とされている。なお、こ
の自動折り畳み式連結椅子２は、その各座席の背凭れ２
ｅを貫通して角鋼管製の背連結部材２ｇが設けられ、こ
れで全ての背凭れ２ｅが連動して後傾状態に展開したり
略垂直状態に折り畳みされるようになっている。

【００１６】こうした折畳み式連結椅子２が取付けベ−
ス７上に立設固定されたまま前記床台１の椅子収納部Ａ
内に垂直に昇降（出没）可能に収納設置されている。つ
まり前記幅狭な開閉床板部４ａを上方に起立開放しなが
ら、その狭い空間から背座並びに背凭れが垂直偏平に折
畳んだ状態の連結椅子２を起立したまま垂直に上昇させ
て床台１上に迫り出したり、逆に床台１内の椅子収納部
Ａに真直ぐ下降させて完全に収納したりできるようにな
っている。

【００１７】なお、前記取付けベ−ス７は、連結椅子２
の床台１に対する出し入れのための昇降用ガイドとして
機能し、この下部がパンタグラフのようなＸリンク８に
案内支持されて、常に水平状態を保って真直ぐ昇降する
ようになっている。また、この取付けベ−ス７をＸリン
ク８を介して上方に押し上げるばね９などの付勢手段が
設けられ、かなりの重量物である連結椅子２を手動或い
はジャッキやリフト等の電動式昇降機構（図示省略）に
より軽く昇降できるようになっている。

【００１８】更に、その取付けベ−ス７の両端寄り部に
椅子２の床台１上への迫り出し状態をロック保持するロ
ック機構１１が各々設けられている。これらロック機構
１１は、図２及び図３に示す如く、略直角三角形状のロ
ック金具１２を該取付けベ−ス７の前後方向にばね付勢
等により出没可能に常時突出しており、前記椅子２と共
に該取付けベ−ス７所定以上に上昇せしめられると、そ
の前後のロック金具１２が自動的に床台１の椅子収納部
Ａの上端前後ビ−ム３，３上面に張出して下降を阻止す
るロック状態となる構成である。なお、前記ロック機構
１１は、作業員が外部操作可能なロック解除手段を備え
ている。

【００１９】一方、前記取付けベ−ス７上面の両端部に
は丸パイプよりなる背の高い逆Ｕ字形状の手摺兼用のガ
イド１５がそれぞれ立設されていると共に、このガイド
１５に前記開閉床板部４ａを連係するホルダー１６が備
えられている。このホルダ−１６は、開閉床板部４ａの
裏面（下面）部に一対の外接ロ−ラを備えて固設したブ
ラケット１６ａと、このブラケット１６ａから突出した
アジャスタを介して設けた内接ロ−ラ１６ｂとからなる
構成である。このブラケット１６ａが一対の外接ロ−ラ
を介し前記ガイド１５の外周に摺接すると共に、そのガ
イド１５の内周に内接ロ−ラ１６ｂが摺接することで、
開閉床板部４ａが連結椅子２の昇降いずれの状態におい
ても該椅子２自体に直接接触せずに、両端側のガイド１
５と連係して、椅子２の上昇時には該開閉床板部４ａが
押し上げられて前側に起立回動し、その起立状態のまま
倒れることなく保持され、椅子２の下降時にはこれに追
従する如く後ろに転倒するように回動して自動的に閉じ
るようになっている。

【００２０】なお、前記ロック機構１１及びこのロック
解除手段や前記手摺兼用のガイド１５並びにホルダー１
６の詳細な説明は、前述の実開平２−９１８５１号及び
実開平２−９１８５２号の明細書中に詳しく開示されて
いるので省略する。

【００２１】ここで、前記床台１上面の開閉床板部４ａ
の裏面両端寄り部には、図１及び図３に示す如く逆Ｌ字
形のフック１８がそれぞれ設けられている。一方、前記
自動折り畳み式連結椅子２の各座席の背凭れ２ｅと肘掛
け２ｆとを連動するリンク機構６は、図１に示す如く、
各支柱２ｃの上端後部に固定したピン６ａを支点に肘掛
け２ｆと一体に回動する第１リンク６ｂと、この第１リ
ンク６ｂの後端にピン６ｃを介し上端を連結して背凭れ
２ｅと一体に回動する第２リンク６ｄと、この第２リン
ク６ｄの下端にピン６ｆを介し後端を連結し且つ支柱２
の下端寄り部のピン６ｇを支点に回動する第３リンク６
ｈとを備えた構成である。しかも、その連結椅子２の両
端側にそれぞれ配したリンク機構６は、前記第３リンク
６ｈの前端側に固定されて更に前方に延出する一対ずつ
の係合アーム６ｊを有し、これら一対ずつの係合アーム
６ｊ先端に係脱ピン６ｋを有している。これで前記開閉
床板部４ａを前述の如く起立開放しながら連結椅子２を
床台１上方に迫り出すと、該開閉床板部４ａ裏面の両端
寄りのフック１８に該係脱ピン６ｋが下側から係合し
て、第３リンク６ｈを背凭れ２ｅと共に押し上げるよう
に回動させて、該背凭れ２ｅを後傾状態に、肘掛け２ｆ
を略水平状態に、展開保持するようになっている。

【００２２】而して、前述した構成の椅子収納型床装置
では、椅子付き観覧席とする場合には、まず各床台１を
ジャッキやリフト等の押上げ機構により雛段状に押し上
げる。その後、その各段の床台１内の連結椅子２を取付
けベース７ごと適宜昇降手段により上昇させる。これ
で、該連結椅子２と一緒に上昇する手摺兼用ガイド１５
と連係用ホルダー１６を介し床板４の幅狭な開閉床板部
４ａが図２（ａ）の状態から図２（ｂ）の状態に押し上
げられ、更に図１（ａ）に示す垂直な起立状態に押し上
げられて開放保持させる。この状態で更に連結椅子２が
上昇せしめられて床台１上方に迫り出すようになる。

【００２３】この連結椅子２が所定高さ近くまで上昇し
て来ると、図１（ａ）に示す如く、両端側のリンク機構
６の係合アーム６ｊ先端の係脱ピン６ｋが前記開閉床板
部４ａ裏面の両端寄りのフック１８の真下に移動し、更
に連結椅子２の最終上昇段階で該係脱ピン６ｋがフック
１８に係合して図１（ｂ）に示す如く第３リンク６ｈを
背凭れ２ｅと共に押し上げるように回動させる。これで
各座席部の背凭れ２ｅが後傾状態に、肘掛け２ｆが略水
平状態に、展開保持される。

【００２４】以上で椅子付き観覧席としてのセット作業
が終了し、観客は各段の床台１上に来て、連結椅子２の
各座席部の背凭れ２ｅは後傾状態に、肘掛け２ｆは略水
平状態に展開保持されているので、座２ｄを前に押し倒
すだけの簡単な操作でスムーズに着席できて安楽に観覧
できるようになる。その着座者が離席すると、座２ｄは
付勢手段により跳ね上がるように略垂直状態に自動復帰
するが、背凭れ２ｅと肘掛け２ｆは前記リンク機構６に
より展開保持されたままで、再び観覧者等が着席する場
合もスムーズである。

【００２５】また、連結椅子２を下降して床台１内に収
納するときは、観覧者を退去させて、座２ｄが略垂直状
態に自動復帰しているのを作業員が確認すると共に、ロ
ック機構１１のロック解除操作を行なう。この状態で連
結椅子２を取付けベ−ス７並びに手摺兼用ガイド１５と
一緒にジャッキやリフト等の適宜の昇降手段により下降
させる。

【００２６】この連結椅子２の下降により前記両端側の
リンク機構６の係脱ピン６ｋが前記開閉床板部４ａ裏面
の両端寄りのフック１８から下方に離脱して、第３リン
ク６ｈを背凭れ２ｅと共に押し上げる力が無くなり、こ
れで各座席部の背凭れ２ｅと肘掛け２ｆとが自重により
略垂直状態に自動復帰して、椅子２が全体的に垂直偏平
な折り畳み状態となり、そのまま床台１内に下降して手
間なく収納されるようになる。

【００２７】これと同時に開閉床板部４ａがホルダ−１
６を介し手摺兼用ガイド１５に連動して後側に転倒して
閉成するようになる。これで各床台１は椅子など一切上
側に突出するものがない平坦な床板４が得られて、雛段
状のままの各種演台や或いは立見席として利用できるよ
うになる。

【００２８】更にその状態から各床台１をジャッキやリ
フト等の押上げ機構により下降させて全て同一高さとす
ることで、各種競技や演技等を行なう平坦な床面が構成
できるようになる。

【００２９】

【考案の効果】本考案の椅子収納型床装置は、前述の如
く構成したから、椅子を上昇して床台上に迫り出すと、
該椅子の背凭れが後傾状態に、肘掛けが略水平状態に自
動的に展開保持されて、観覧者等が座を押し倒すのみで
スムーズに着席でき、当該椅子を下降して床台内に収納
する際には、座と共に背凭れ及び肘掛けが略垂直に自動
復帰して折り畳み状態となって、該椅子の床台内への収
納が手間なく行い得る非常に簡便で実用性大である。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）（ｂ）は本考案の椅子収納型床装置の一
実施例を示す床台に対する椅子の昇降時の折り畳み・展
開状態の一部断面した側面図。

【図２】（ａ）（ｂ）（ｃ）は同上装置の床台とこれに
収納した椅子の昇降に伴う出し入れ状態を順に示す一部
断面した側面図。

【図３】同上装置の背面側から見た概略的斜視図。

【符号の説明】

１…床台、２…椅子（連結椅子）、２ｄ…座、２ｅ…背
凭れ、２ｆ…肘掛け、４…床板、４ａ…開閉床板部、６
…リンク機構、１８…フック、１５…手摺兼用ガイド、
１６…ホルダ−。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 座と背凭れ及び肘掛けが着座者の離席に
   伴い展開状態から付勢手段或いは自重により略垂直に自
   動復帰する自動折り畳み式椅子を、床台内に起立したま
   ま昇降可能に収納設置すると共に、その床台の上面床板
   の一部に起倒可能に配して前記椅子の昇降による床台上
   方への迫り出し及び該床台内への収納を可能とする幅狭
   な開閉床板部を設けた椅子収納型床装置において、 前記開閉床板部の裏面にフックを設け、この開閉床板部
   を起立開放しながら前記椅子を床台上方に迫り出すと、
   該開閉床板部裏面のフックに係合し、当該椅子の背凭れ
   を後傾状態に、肘掛けを略水平状態に、展開保持するリ
   ンク機構を設けて構成したことを特徴とする椅子収納型
   床装置。