JPS6316783Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は主に講堂や体育館等の多目的ホール
に設置使用されるロールバツクスタンドなどと称
されている伸縮式階段状観覧席に関する。

近年講堂や体育館等においては他目的使用を可
能とすべく、ロールバツクスタンドと称される伸
縮式階段状観覧席が多く設置されるようになつて
きた。この伸縮式階段状観覧席は各々高さが順に
異なる複数段の観覧席単体を順次相互に連繋した
状態で前進・後退移動可能に列設した構成で、使
用に際しては最も低い最前段の単体から順次引出
す如く前進移動させることで全体的に階段状即
ち、ひなだん状に伸長して各段デツキ上に観客が
乗れる状態となり、不使用時には逆に最前段の単
体から順次各々の後段の単体のデツキ下側に退入
すべく後退移動させることで全体的に垂直棚状に
短縮して建物等の壁部などに収納保管されるよう
になるものである。なお、最近では上述の観覧席
の各段のデツキ上に固定式ベンチに代え座跳ね上
げ式椅子を設けて観覧者の坐り心地を改善した椅
子付き伸縮式階段状観覧席が開発されて利用され
て来ている。

その椅子付き伸縮式階段状観覧席の本出願人が
先に提唱した一例を第１図・第２図により簡単に
述べると、図中１Ａ，１Ｂ，１Ｃ…は順次段違い
状に高さを異にして第１図に示す如く階段状に伸
長したり逆に図示しないが順次後退して垂直棚状
に短縮したりするように相互に連繋して配列され
た複数段の観覧席単体である。

即ち、これら各単体１Ａ，１Ｂ，１Ｃ…は各各
前後方向に走行可能な移動台車２と、これらの上
部に取付けられた水平なデツキ３とから構成され
ており、それら各移動台車２はその上下高さが後
段から前段のものに行くに従い順次段階的に低く
なるように構成されていると共に、左右間口幅が
後段のものから前段のものに行くに従い順次段階
的に狭くなるように構成されている。これにて各
段の単体１Ａ，１Ｂ，１Ｃ…が各々の後段のデツ
キ３の下側に入出自在に前後動可能となつている
と共に、各単体１Ａ，１Ｂ，１Ｃ…は各々の後段
の移動台車２の左右脚部から内側に突出したスト
ツパー（図示せず）により第１図に示した階段状
の伸長状態以上に前方へ移動せず、又逆に後方へ
の移動時にはそれぞれのデツキ３の後端が各々の
後段の移動台車２の左右支柱部前面に衝合してそ
れ以上後方に抜け外れないようにされていて、最
前段の単体１Ａを電動式又は作業員による手動式
等により前進・後退させることにより各単体が相
互に連繋して前後動して階段状に伸長したり垂直
棚状に短縮したりできるように構成されている。
なお、各単体１Ａ，１Ｂ，１Ｃ…の移動台車２の
左右支柱２ａ上端にはガイドローラ４がそれぞれ
取付けられて、各々の後段の単体のデツキ３を下
側から案内支持するようになつている。

こうした公知の伸縮式階段状観覧席の各段の観
覧席単体１Ａ，１Ｂ，１Ｃ…のデツキ３上にそれ
ぞれ座跳ね上げ式の折り畳み椅子５が設けられて
いる。つまりこの椅子５は第２図に示す如く横一
列に多数隣接する状態で座席部を有する所謂折り
畳み式連結椅子であつて、各デツキ３の上面後側
寄り部にその左右方向に間隔を在して配設した後
述する取付けベース６に枢軸７を介してそれぞれ
立設された複数の脚８と、これら各脚８上端に横
架された連結用貫杆９を介して立設された多数の
支脚１０と、これら各支脚１０の各相互間にそれ
ぞれ支承された座１１及び背凭れ１２とから構成
されている。そしてこの連結椅子５は平時は座１
１と背凭れ１２が連動して自重又は座跳ね上げ機
構（図示せず）の押し上げ力により自動的に折り
たたまれて、全て垂直に起立した扁平状態となつ
て、前後の通路スペースを広くでき、その状態か
ら着座者が座１１を押し下げるべく回動すると、
該座１１が略水平に転倒すると同時に、背凭れ１
２が上昇しながら後傾状態となつて、安楽に着席
できるようになる。なお、上述した連結椅子５の
各脚８はそれぞれ取付けベース６の枢軸７を中心
に回動自在で、デツキ３上面に対して該脚８もろ
とも椅子５全体を手動的に起立・転倒操作できる
ようになつており、その椅子５の起立状態を位置
決めロツクするロツク装置１３が前記取付ベース
６内に第３図に示す如く設けられている。つまり
デツキ３上に固設した取付ベース６内の前端寄り
下部に枢軸７が横架され、その枢軸７に上記脚８
の下端部が嵌合して起倒方向に回動可能に支持さ
れていると共に、その枢軸７外周にねじれコイル
ばね１４が巻装されて脚８を常に起立方向に弾圧
し、作業員が手軽に椅子５を起立・転倒操作でき
るようにしている。こうした取付ベース６内の該
脚８より後方上部個所に上記枢軸７と平行して一
本の支軸１５が横架され、この支軸１５に後端部
を嵌合してロツクレバー１６が上下に回動可能な
状態で前方に向け突設され、その先端フツク部１
６ａが脚８の起立に伴いその脚裏面部に形成した
開口８ａ内に侵入して、常時上方向に回動すべく
弾圧するロツクばね１７により該フツク部１６ａ
が該開口８ａ上側内面部に掛止して、脚８の前方
向への転倒を阻止し、逆に適宜場所からロツク解
除用のワイヤー１８を引張り操作することにより
ロツクレバー１６がロツクばね１７に抗して下方
向に回動することで、前端フツク部１６ａの脚８
に対する掛止が外れるようになつて、前方への転
倒を許容する構成である。なお、１９は脚８の起
立限のストツパーである。

而して、各単体１Ａ，１Ｂ，１Ｃ…を前進させ
て階段状に伸長した後、各段のデツキ３上に転倒
していた椅子５を作業員がその脚８もろとも回動
して起立するように直接手で引き上げ操作すれ
ば、脚８は前後どちらにも回動することなく起立
状態に位置決めロツクされ、椅子５は各座１１を
前方へ倒して展開することで観客が着座できるよ
うになる。また、そのロツク解除を行つて椅子５
を脚８もろとも前方に押し倒す如く回動操作すれ
ば、該椅子５がデツキ３上に扁平な状態に転倒し
て、各単体１Ａ，１Ｂ，１Ｃ…の各々の後段のデ
ツキ３下側への後退移動を可能とするようにな
る。

ところで、上述した椅子付きの伸縮式階段状観
覧席では各段のデツキ３上に椅子５が設けられて
いるので、観客は安楽に坐れるが、テーブルが付
いていないので、各種書類を拡げたりメモを取つ
たりするのに不便であつた。特に多くの資料を広
げたりメモを取る機会が多い各種講演場や学校な
どでは上記不便さが目立ち、その改善の要望が強
くなつて来た。

この考案は上記要望に答えるべく開発したもの
で、非常に簡単な構成で、製作・組立てが容易で
あつて、各観覧席単体の階段状の伸長状態時、各
段のデツキ上に座付きテーブルを起立展開でき
て、そのテーブルの前面部の座に着座した観客が
各々前段のデツキ上のテーブルを簡便に各種書類
を拡げたりメモを取つたりするのに利用できると
共に、不使用時は座とテーブルを扁平状態に折畳
んで転倒できて各単体の各々の後段のデツキ下側
への退入による後退移動を何ら支障なく行い得
て、全体を垂直棚状に短縮保管できるようになる
極めて簡単なテーブル付きの伸縮式階段状観覧席
を提供することを目的とする。

つまり、この考案は、各々左右間口幅及び高さ
が段違い状に異なる移動台車とその各移動台車上
に支持したデツキとからなる複数段の観覧席単体
を、その高さが低く且つ間口幅が狭い順に前方か
ら配列すると共に、使用時には最も低い最前段の
単体から順次前進移動させることで全体的に階段
状に伸長し、不使用時には該最前段の単体から順
次後退移動させることで各々の後段のもののデツ
キ下側に退入して全体的に垂直棚状に短縮するよ
うに連繋して設けた伸縮式階段状観覧席におい
て、上記各段の観覧席単体のそれぞれのデツキ上
に取付ベースを設け、この取付ベースに左右の脚
下端部を回動可能に枢着してテーブルを該脚もろ
ともデツキ上にて起立・転倒可能に配設すると共
に、そのテーブルの脚を起立状態にロツク保持し
たり解除したりできるロツク装置を設け、そのテ
ーブルは前記左右の脚と、この脚上端に枢着され
て後方に略水平に突出した状態から下方に垂下す
る状態の範囲で回動可能に取付けられた天板と、
この天板を後方に略水平に突出した状態に保持し
たり下方への回動を許容したりするトグルリンク
とからなる天板折畳み式テーブル構造とすると共
に、そのテーブルの脚前面部に観客が坐る座を前
方に略水平に突出した転倒状態と該脚前面に沿つ
て重合する跳ね上げ状態とに回動可能に取付け、
その座とテーブルが該座を跳ね上げると共に天板
を垂下状態に折畳んで脚もろともデツキ上に転倒
させることで当該段の観覧席単体と一緒に各々の
後段の単体のデツキの下側に干渉することなく退
入可能な偏平状態となる構成としたものである。

以下、この考案の一実施例を第４図により説明
する。なお、前記第１図乃至第３図のものと同一
構成をなすものは図面に同一符号を附して設明の
簡略化を図ることにする。

ここで各段の観覧席単体１Ｂ，１Ｃ，１Ｄ…の
デツキ３上の後端寄り部に第２図で示した如く複
数個所に配して取付ベース６が固設され、この各
取付ベース６にそれぞれ前述と同様の枢軸７及び
起立ロツク装置（図示省略）が設けられ、その各
枢軸７に横長なテーブル２０の各脚２１の下端部
が回動可能に枢着されて、該テーブル２０がその
脚２１もろとも枢軸７を中心に前方へ転倒したり
略垂直に起立してロツク保持されたりできるよう
に取付けられている。なお、そのテーブル２０は
一般に椅子付き学生机などと称されているものと
近似しており、各脚２１上端部に横長な天板２２
が、その下面の天板支えフレーム２３の基端部を
ピン２４で枢着することで、後方に突出した略水
平の状態から下方に垂下する状態の範囲で回動可
能に設けられていると共に、その天板２２の回動
に連動して該天板２２を略水平な状態にロツク保
持したり逆Ｖ字状に折畳まれて該天板２２の下方
への回動を許容したりする一対のトグルリンク２
５，２６を備えた、いわゆる天板折り畳み式テー
ブルである。こうしたテーブル２０の各脚２１前
面側の高さ方向略中間部に跳ね上げ可能な座２７
が背凭れ２８と共に取付けられている。

即ち、各脚２１の中間より稍々上方寄り部にピ
ン２９を介して背凭れ２８のフレーム２８ａの上
端部が枢着され、これにて背凭れ２８が脚２１の
前面に沿つて重合するように垂下した状態から該
ピン２９を支点に下端側が前方に浮くように回動
可能に取付けられ、且つその背凭れ２８のフレー
ム２８ａが下端に延出してＬ字状に屈曲した座受
部２８ｂを構成しており、この座受部２８ｂ先端
に上記座２７のフレーム２７ａの後端寄り部がピ
ン３０により回動可能に枢着され、またその座２
７のフレーム２７ａが後方に円弧状に延出してア
ーム部２７ｂを構成し、このアーム部２７ｂの後
端にスライドピン３１が取付けられ、このスライ
ドピン３１が上記脚２１の前面側略下半部に縦長
に亘り固設したブラケツト３２のガイド溝３２ａ
内に上下動可能に摺嵌されて、前記背凭れ２８と
連動して座２７が着座可能に前方へ略水平に展開
したり逆に上方に回動して背凭れ２８と重合する
状態で垂直に起立したりできるように取付けられ
ている。なお、例えば最後段の単体１Ｄのデツキ
３上にはテーブル２０ではなく、座２７と背凭れ
２８とを支持する短い脚２１Ａが設けられてい
る。なお図中３３は上記テーブル２０の脚２１前
面の略上半部に取付けられた幕板である。

而して、上述した構成の伸縮式階段状観覧席で
は、各段の観覧席単体１Ｂ，１Ｃ，１Ｄを前進移
動により第４図に示す如く階段状に伸長した後、
各デツキ３上のテーブル２０の脚２１を枢軸７を
中心に上方へ回動操作して略垂直に起立保持する
ことができ、その起立状態で天板２２を引き上げ
るように回動すれば略水平な状態にロツクしてメ
モ台等として使用可能な状態に展開でき、また同
状態において前側の座２７を前方に倒せば背凭れ
２８と連動して該座２７が略水平な転倒状態に、
又背凭れ２８が稍々後傾状態に展開できて、観客
等が具合よく着席できるようになり、その座２７
に坐つた観客等は各々の前段のデツキ３上のテー
ブル２０を利用可能となる。

次に不使用時には、上記展開状態から、座２７
を跳ね上げ回動して背凭れ２８と重合する状態で
垂直に起立させて脚２１前面に沿つて重なる状態
となし、またリンク２５，２６を折り畳むように
して天板２２を下方に回動して脚２１後側に重合
するように垂下する。これにてテーブル２０及び
座２７、背凭れ２８全てを前後巾の小さい扁平な
状態に折畳み、その状態で脚２１の起立ロツク解
除して、テーブル２０全体を脚２１もろとも枢軸
７を中心に前方へ回動してデツキ３上面に重なる
ように第４図想像線で示す如く転倒させる。こう
することで、各段の観覧席単体１Ｂ，１Ｃ，１Ｄ
は後退移動させることで各々の後段のデツキ３下
側に何ら支障なく退入して全体的に垂直棚状に短
縮して保管されるようになる。

この考案は上述した如くなしたから、構成が簡
単で、製作・組立ても容易である上に、各観覧席
単体の階段状の伸長状態時、各段のデツキ上に座
付きテーブルを起立展開できて、そのテーブルの
前面部の座に着座した観客が各々前段のデツキ上
のテーブルを簡便に各種書類を拡げたりメモを取
つたりするのに利用できると共に、不使用時は座
付きテーブルを扁平に折畳んでデツキ上に転倒で
き、これにて各単体を後退移動により各々の後段
のデツキ下側に退入させて全体を垂直棚状に短縮
保管することが何ら支障なくできる極めて実用上
簡便なものとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は椅子付き伸縮式階段状観覧席の側面
図、第２図は同観覧席の最前段のみの正面図、第
３図は椅子起立状態のロツク装置の断面図、第４
図はこの考案の伸縮式階段状観覧席の一部省略し
た側面である。 １Ａ，１Ｂ，１Ｃ，１Ｄ……伸縮式階段状観覧
席の単体、２……移動台車、３……デツキ、４…
…ガイドローラ、５……椅子、６……取付ベー
ス、７……枢軸、８……脚、８ａ……開口、９…
…貫杆、１０……支柱、１１……座、１２……背
凭れ、１３……ロツク装置、１４……ねじれコイ
ルばね、１５……支軸、１６……ロツクレバー、
１６ａ……フツク部、１７……ロツクバネ、１８
……フツク解除用ワイヤー、１９……ストツパ
ー、２０……テーブル、２１……脚、２２……天
板、２３……天板支えフレーム、２４……ピン、
２５，２６……トグルリンク、２７……座、２７
ａ……座フレーム、２７ｂ……アーム部、２８…
…背凭れ、２８ａ……背凭れフレーム、２８ｂ…
…座受部、２９，３０，３１……ピン、３２……
ブラケツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 各々左右間口幅及び高さが段違い状に異なる移
   動台車とその各移動台車上に支持したデツキとか
   らなる複数段の観覧席単体を、その高さが低く且
   つ間口幅が狭い順に前方から配列すると共に、使
   用時には最も低い最前段の単体から順次前進移動
   させることで全体的に階段状に伸長し、不使用時
   には該最前段の単体から順次後退移動させること
   で各々の後段のもののデツキ下側に退入して全体
   的に垂直棚状に短縮するように連繋して設けた伸
   縮式階段状観覧席において、上記各段の観覧席単
   体のそれぞれのデツキ上に取付ベースを設け、こ
   の取付ベースに左右の脚下端部を回動可能に枢着
   してテーブルを該脚もろともデツキ上にて起立・
   転倒可能に配設すると共に、そのテーブルの脚を
   起立状態にロツク保持したり解除したりできるロ
   ツク装置を設け、そのテーブルは前記左右の脚
   と、この脚上端に枢着されて後方に略水平に突出
   した状態から下方に垂下する状態の範囲で回動可
   能に取付けられた天板と、この天板を後方に略水
   平に突出した状態に保持したり下方への回動を許
   容したりするトグルリンクとからなる天板折畳み
   式テーブル構造とすると共に、そのテーブルの脚
   前面部に観客が坐る座を前方に略水平に突出した
   転倒状態と該脚前面に沿つて重合する跳ね上げ状
   態とに回動可能に取付け、その座とテーブルが該
   座を跳ね上げると共に天板を垂下状態に折畳んで
   脚もろともデツキ上に転倒させることで当該段の
   観覧席単体と一緒に各々の後段の単体のデツキの
   下側に干渉することなく退入可能な偏平状態とな
   る構成としたことを特徴とする伸縮式階段状観覧
   席。