JP2595994Y2 - 自動変速機の可倒式シフトレバー装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、自動変速機の可倒式
シフトレバー装置に係り、特に、シフトレバー内にコン
プレッションロッドを内蔵した可倒式シフトレバー装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】停車時、すなわちシフトレバーがパーキ
ングポジションにシフトされている時の自動車におい
て、周囲の状況では運転席側からの乗員の乗降が困難で
助手席から乗降するときがある。ところでシフトレバー
装置のシフトレバーは、運転席の反ドア側に配置されて
おり、このため上記のように乗員が運転席から助手席
へ、又は助手席から運転席へ移動する場合の障害物とな
っていた。そこで、シフトレバーを中間部で折曲可能に
した可倒式シフトレバー装置が従来から種々提案されて
いる。

【０００３】この種の可倒式シフトレバー装置におい
て、シフトレバー内に軸方向に移動可能なコンプレッシ
ョンロッドを有するものでは、このコンプレッションロ
ッドについてもシフトレバーと同時に折曲可能とするこ
とが要求される。また、シフトレバーがパーキングポジ
ション以外のポジションにシフトされているときは、シ
フトレバーを折曲不能とすることが要求される。

【０００４】ところで、上述したシフトレバー装置の設
計製作上の重要なポイントは下記の通りである。 構造が簡単であること。 操作が容易であること。 作動が確実であること。 製造コストが廉価であること。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】しかし、上記各ポイン
トを満足した自動変速機の可倒式シフトレバー装置は提
案されていないのが現状である。

【０００６】この考案の目的は、上記重要なポイントを
ことごとく満足できる自動変速機の可倒式シフトレバー
装置を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この考案に係る請求項１の自動変速機の可倒式シフ
トレバー装置では、シフトレバーに設けたノブボタンを
作動することによりコンプレッションロッドを介してデ
ィテントピンをディテント溝に択一的に係合離脱させる
ようにし、さらに、前記シフトレバーを中間部で折曲可
能とした自動変速機の可倒式シフトレバー装置であっ
て、前記シフトレバーは、車体側に回動可能に軸支され
たロアチューブと、このロアチューブに固定したブラケ
ットに折曲可能に軸支されたノブボタン側のアッパーチ
ューブとに２分割され、また、前記コンプレッションロ
ッドは、前記ロアチューブに嵌挿されると共に、前記デ
ィテントピンを設けたロアインサート部材と、このロア
インサート部材に折曲可能に当接されると共に、前記ア
ッパーチューブに嵌挿されたアッパーインサート部材と
に２分割され、さらに、前記ブラケットのアッパーチュ
ーブ側に位置せしめて形成された起立用ロック溝及びこ
の起立用ロック溝から離れて形成された倒伏用ロック溝
に択一的に係合する前記アッパーチューブに設けたロッ
クピンと、このロックピンを前記起立用ロック溝側及び
倒伏用ロック溝側に圧接する圧接手段とからなるロック
手段を設けたことを特徴としている。

【０００８】また、請求項２の自動変速機の可倒式シフ
トレバー装置では、シフトレバーをパーキングポジショ
ンにシフトしたときのみ、アッパーチューブの折曲を可
能とした折曲規制手段を設けたことを特徴としている。

【０００９】

【作用】請求項１の自動変速機の可倒式シフトレバー装
置によれば、シフトレバーはロックピンが圧接手段によ
り起立用ロック溝に圧接しているときは、起立状態に保
持されている。このシフトレバー起立状態から倒伏状態
にするには、アッパーチューブをアッパーインサート部
材と共に折曲し、ロックピンを圧接手段により倒伏用ロ
ック溝に圧接係合させることによって行われる。

【００１０】また、請求項２の自動変速機の可倒式シフ
トレバー装置によれば、シフトレバーをパーキングポジ
ション以外のポジションにシフトしたときは、シフトレ
バーが倒伏不可能となっているので、シフトレバー使用
時における不測の倒伏を防ぐことができる。

【００１１】

【実施例】以下、この考案を図面に示す実施例に基づい
て説明する。

【００１２】図１乃至図５はこの考案の第１実施例に係
り、図１は自動変速機の可倒式シフトレバー装置の正面
視説明図、図２は図１のII−II矢視断面説明図、図３は
図２のIII −III 矢視断面説明図、図４は図２のIV−IV
矢視断面説明図、図５はシフトレバー倒伏時の状態を示
す説明図である。

【００１３】図において、Ｅは自動変速機の可倒式シフ
トレバー装置であって、シフトレバー１０に設けたノブ
ボタン５１を作動することによりコンプレッションロッ
ド２０を介してディテントピン２７をディテント溝６１
ａに択一的に係合離脱させるようにしてある。

【００１４】そしてこの考案は、特に、シフトレバー１
０は、車体６０側に回動可能に軸支されたロアチューブ
１１と、このロアチューブ１１に固定したブラケット１
３に折曲可能に軸支されたノブボタン５１側のアッパー
チューブ１２とに２分割され、また、コンプレッション
ロッド２０は、ロアチューブ１１に嵌挿されると共に、
ディテントピン２７を設けたロアインサート部材２１
と、このロアインサート部材２１に折曲可能に当接され
ると共に、アッパーチューブ１２に嵌挿されたアッパー
インサート部材２２とに２分割され、さらに、ブラケッ
ト１３のアッパーチューブ１２側に位置せしめて形成さ
れた起立用ロック溝１３ｃ及びこの起立用ロック溝１３
ｃから離れて形成された倒伏用ロック溝１３ｄに択一的
に係合するアッパーチューブ１２に設けたロックピン３
１と、このロックピン３１を起立用ロック溝１３ｃ側及
び倒伏用ロック溝１３ｄ側に圧接する圧接手段３２とか
らなるロック機構３０を設けたことを特徴としている。

【００１５】また、シフトレバー１０をパーキングポジ
ションにシフトしたときのみ、アッパーチューブ１２の
折曲を可能とした折曲規制手段４０を設けたことを特徴
としている。

【００１６】さらに、この考案の構造を詳細に説明す
る。

【００１７】シフトレバー１０は、ロアチューブ１１
と、アッパーチューブ１２とに２分割されており、ロア
チューブ１１は車体、例えばフロア６０にシフト軸１４
により軸支され、その中間部には軸線方向に沿ってディ
テントピン２７を挿入するための長孔１１ａが貫通して
形成されている。また、ロアチューブ１１の上部には所
定の間隔をおいて一対の直立壁１３ａ，１３ｂを有する
断面コ字状のブラケット１３が固定されている。この一
対の直立壁１３ａ，１３ｂの上面には、ロアチューブ１
１の軸線を通る鉛直線上に起立用ロック溝１３ｃがそれ
ぞれ形成されており、また、一対の直立壁１３ａ，１３
ｂの開口側縁面には、起立用ロック溝１３ｃから離れて
略９０゜の位置に倒伏用ロック溝１３ｄがそれぞれ形成
されている。

【００１８】アッパーチューブ１２は、その下部をブラ
ケット１３の直立壁１３ａ，１３ｂによって挟持され、
直立壁１３ａ，１３ｂにディテントピン２７と直交して
設けられた枢軸１５により折曲可能に軸支されている。
また、アッパーチューブ１２の上部にはノブ５０が取付
けられており、このノブ５０には、圧縮スプリング５２
により外方に突出するよう付勢されたノブボタン５１が
軸線と直交する方向に嵌挿されている。

【００１９】コンプレッションロッド２０は、ロアチュ
ーブ１１に嵌挿されたロアインサート部材２１と、アッ
パーチューブ１２に嵌挿されたアッパーインサート部材
２２と、このアッパーインサート部材２２に取付けられ
たロッド２３とからなり、ロッド２３の上部には、係合
部材２４が一体的に設けられている。また、係合部材２
４の下面とアッパーチューブ１２の上部内周面に設けら
れたリング１６との間には圧縮スプリング２５が介装さ
れており、この圧縮スプリング２５によって係合部材２
４は上方に付勢されノブボタン５１に圧接係合してい
る。

【００２０】ロアインサート部材２１は、ロアチューブ
１１内に介装された圧縮スプリング２６により上方に付
勢されており、その下部には、ロアチューブ１１の長孔
１１ａに挿入されるディテントピン２７が軸線と直交し
て植設されている。また、アッパーインサート部材２２
には、枢軸１５及びロックピン３１を挿入するための長
孔２２ａ，２２ｂがロアチューブ１１の長孔１１ａと直
交してそれぞれ形成されている。

【００２１】ディテントピン２７が択一的に係合するデ
ィテント溝６１ａを有するディテントプレート６１は、
フロア６０に固定されており、ディテント溝６１ａはシ
フトレバー１０によって選択されるシフトポジション、
例えばパーキングポジション（Ｐポジション）、リバー
スポジション（Ｒポジション）、ニュートラルポジショ
ン（Ｎポジション）、ドライブポジション（Ｄポジショ
ン）、２ポジション及び１ポジションの各々と対応する
位置に設けられている。そして、このディテント溝６１
ａにディテントピン２７を択一的に係合させることによ
り、シフトレバー１０のシフト操作が行われる。

【００２２】ロック機構３０はロックピン３１と、圧接
手段３２とからなっている。ロックピン３１はアッパー
チューブ１２に、ロックピン３１と平行に貫通して形成
された長孔１２ａに挿入されている。また、圧接手段と
しての圧縮スプリング３２は、ロックピン３１に当接す
るようアッパーチューブ１２の外周面に挿入されたワッ
シャー３３と、このワッシャー３３の上方に所定の間隔
をおいてアッパーチューブ１２外周面に挿入固定された
ワッシャー３４との間に介装されており、この圧縮スプ
リング３２によってロックピン３１は、シフトレバー１
０起立時には起立用ロック溝１３ｃに、倒伏時には倒伏
用ロック溝１３ｄにそれぞれ圧接係合するように設定さ
れている。

【００２３】折曲規制手段４０はストッパ４１と、この
ストッパ４１の移動を規制するストッパ規制部４２とか
らなっている。ストッパ４１は、アッパーチューブ１２
の外周面に、ディテントプレート６１側に突出するよう
一体的に設けられており、その下面はシフト軸１４の軸
心を中心とする半径Ｒの円弧状に形成されている。ま
た、ストッパ４１の先端部にはストッパ規制部４２に向
って延出する突部４１ａが形成されている。

【００２４】ストッパ規制部４２は、ディテントプレー
ト６１の上部に扇形状に形成され、その上面はシフト軸
１４の軸心を中心とする円弧面４２ａになっており、こ
の円弧面４２ａの半径Ｒ₁ は半径Ｒより少許小さく設定
されている。また、図１に示すように円弧面４２ａの左
端面４２ｂは、シフトレバー１０がＰポジションにシフ
トされているときのストッパ４１の右端面４１ｂと僅か
な隙間ａをもって配置されている。さらに、円弧面４２
ａの右端面４２ｃは、シフトレバー１０を１ポジション
にシフトしたときのシフトレバー１０の軸線から少許右
方に延出して形成されている。

【００２５】つぎに、この考案の第１実施例の作用を説
明する。

【００２６】図１及び図２に示すように、シフトレバー
１０が起立状態にあるときは、ロックピン３１が圧縮ス
プリング３２のスプリング力により起立用ロック溝１３
ｃに圧接係合しており、これによりシフトレバー１０を
起立状態に保持することができる。

【００２７】そして、シフトレバー１０を所定のポジシ
ョンにシフトするときは、ノブボタン５１を押圧する。
すると、係合部材２４、ロッド２３及びアッパーインサ
ート部材２２を介してロアインサート部材２１が下降
し、これによりディテントピン２７がディテント溝６１
ａから離脱する。この状態でシフトレバー１０を所定の
ポジションに対応する位置まで回動させ、その位置でノ
ブボタン５１を離すとディテントピン２７が所定のディ
テント溝６１ａに圧縮スプリング２６のスプリング力に
より圧接係合する。これによって、シフトレバー１０を
所定のポジションにシフトすることができる。

【００２８】図１及び図２に示すようにＰポジションに
あるシフトレバー１０を図５に示すように倒伏状態にす
るには、図２においてシフトレバー１０を矢印Ａ方向に
回動させる。すると、アッパーチューブ１２及びアッパ
ーインサート部材２２が枢軸１５を中心として矢印Ａ方
向に折曲する。この際、ロックピン３１は圧縮スプリン
グ３２のスプリング力に抗して上方に移動し、起立用ロ
ック溝１３ｃから離脱する。そして、このロックピン３
１が倒伏用ロック溝１３ｄと対向する位置に達すると、
圧縮スプリング３２のスプリング力により倒伏用ロック
溝１３ｄに圧接係合する。これによって、シフトレバー
１０を倒伏状態に保持することができる。

【００２９】上述したように、この考案の第１実施例に
よれば、シフトレバー１０を単に回動させるだけで起立
状態から倒伏状態に、又は倒伏状態から起立状態にする
ことができ、操作が極めて容易である。

【００３０】また、ロックピン３１が起立用ロック溝１
３ｃ又は倒伏用ロック溝１３ｄに圧接係合することによ
りシフトレバー１０の起立状態又は倒伏状態を保持する
ことができるので作動が確実である。さらに、構造を簡
単にすることができるので、製造コストを廉価にするこ
とができる。

【００３１】また、シフトレバー１０がＰポジション以
外のポジションにシフトされているときは、シフトレバ
ー１０を矢印Ａ方向に回動させようとしても、ストッパ
４１の突部４１ａがストッパ規制部４２に当接し、その
移動が規制される。これによって、アッパーチューブ１
２の折曲が不可能となり、シフトレバー１０使用時にお
ける不測の倒伏を防止することができる。

【００３２】図６乃至図９はこの考案の第２実施例に係
り、図６は自動変速機の可倒式シフトレバー装置の正面
視説明図、図７は図６のVII −VII 矢視断面説明図、図
８は図７のVIII−VIII矢視断面説明図、図９は図７のIX
−XI矢視断面説明図である。

【００３３】この第２実施例のロック機構３０では、圧
接手段として板ばね３２Ａが使用されている。この板ば
ね３２Ａは、基部３２ａをストッパ４１に固定してお
り、先端に形成された二又部３２ｂによりロックピン３
１を弾圧している。

【００３４】その他の構成及び作用は第１実施例に示す
ものと同様であり、その説明は省略する。

【００３５】

【考案の効果】上述した通り、この考案に係る請求項１
の自動変速機の可倒式シフトレバー装置によれば、操作
の容易化及び作動の確実化を図ることができると共に、
構造が簡単で製造コストを廉価にすることができる。

【００３６】また、請求項２の自動変速機の可倒式シフ
トレバー装置によれば、パーキングポジション以外では
シフトレバーが倒伏不可能となっているので、シフトレ
バー使用時における不測の倒伏を防ぐ事ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の第１実施例に係る自動変速機の可倒
式シフトレバー装置の正面視説明図である。

【図２】図１のII−II矢視断面説明図である。

【図３】図２のIII −III 矢視断面説明図である。

【図４】図２のIV−IV矢視断面説明図である。

【図５】シフトレバーの倒伏時の状態を示す説明図であ
る。

【図６】この考案の第２実施例に係る自動変速機の可倒
式シフトレバー装置の正面視説明図である。

【図７】図６のVII −VII 矢視断面説明図である。

【図８】図７のVIII−VIII矢視断面説明図である。

【図９】図７のIX−IX矢視断面説明図である。

【符号の説明】

Ｅ 自動変速機の可倒式シフトレバー装置 １０ シフトレバー １１ ロアチューブ １２ アッパーチューブ １３ ブラケット １３ｃ 起立用ロック溝 １３ｄ 倒伏用ロック溝 １４ シフト軸 １５ 枢軸 ２０ コンプレッションロッド ２１ ロアインサート部材 ２２ アッパーインサート部材 ２３ ロッド ２４ 係合部材 ２７ ディテントピン ３０ ロック機構 ３１ ロックピン ３２ 圧接手段（圧縮スプリング） ３２Ａ 圧接手段（板ばね） ４０ 折曲規制手段 ４１ ストッパ ４２ ストッパ規制部 ５０ ノブ ５１ ノブボタン ６０ 車体（フロア） ６１ ディテントプレート ６１ａ ディテント溝

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−200216（ＪＰ，Ａ) 実開 平５−67861（ＪＰ，Ｕ) 実開 平５−30604（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭61−204217（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭54−76495（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) F16H 59/00 - 61/12 F16H 61/16 - 61/24 F16H 63/40 - 63/48 B60K 20/00 - 20/08

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 シフトレバーに設けたノブボタンを作動
   することによりコンプレッションロッドを介してディテ
   ントピンをディテント溝に択一的に係合離脱させるよう
   にし、さらに、前記シフトレバーを中間部で折曲可能と
   した自動変速機の可倒式シフトレバー装置であって、前
   記シフトレバーは、車体側に回動可能に軸支されたロア
   チューブと、このロアチューブに固定したブラケットに
   折曲可能に軸支されたノブボタン側のアッパーチューブ
   とに２分割され、また、前記コンプレッションロッド
   は、前記ロアチューブに嵌挿されると共に、前記ディテ
   ントピンを設けたロアインサート部材と、このロアイン
   サート部材に折曲可能に当接されると共に、前記アッパ
   ーチューブに嵌挿されたアッパーインサート部材とに２
   分割され、さらに、前記ブラケットのアッパーチューブ
   側に位置せしめて形成された起立用ロック溝及びこの起
   立用ロック溝から離れて形成された倒伏用ロック溝に択
   一的に係合する前記アッパーチューブに設けたロックピ
   ンと、このロックピンを前記起立用ロック溝側及び倒伏
   用ロック溝側に圧接する圧接手段とからなるロック手段
   を設けたことを特徴とする自動変速機の可倒式シフトレ
   バー装置。
2. 【請求項２】 シフトレバーをパーキングポジションに
   シフトしたときのみ、アッパーチューブの折曲を可能と
   した折曲規制手段を設けたことを特徴とする請求項１記
   載の自動変速機の可倒式シフトレバー装置。