JP2585544Y2 - 自動変速機用シフトレバー装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動変速機用シフトレバー装置に関する。

（従来の技術及び解決すべき課題） 自動変速機を搭載した車両のシフトレバーのシフト位
置は、普通Ｐ（パーキング）、Ｒ（リバース）、Ｎ（ニ
ュートラル）、Ｄ（ドライブ）、Ｌ（ロー）の順序で配
列されており、誤操作を避けるためにＮからＲ、Ｐ或い
はＬ等にシフトする際に、フロア式ではプッシュボタン
或いはレバーを押し込む操作をしないとシフト出来ない
ようになっいる。

第６図は、従来のシフトレバーの概略を示し、シフト
レバー１は、下端がシャフト２に固着されて当該シャフ
ト２を支点として回動可能に支持され、上端にセレクタ
ハンドル３と誤操作防止用のプッシュボタン４が取付ら
れている。シフトレバー１の下部には軸方向に沿ってス
リット1aが設けられ、当該スリット1aには、ディテント
ピン５がプッシュボタン４の押し込み操作に応じて軸方
向に摺動可能に設けられている。このディテントピン５
はディテントプレート６に設けられた位置決め用の孔７
の内面に設けられた前記Ｐ〜Ｌの各位置を決める切欠に
係合可能とされており、前述したようにＮからＲ、Ｐ或
いはＬ等にシフトする際の誤操作を防止するようになっ
ている。

更に、シフトレバー１のスリット1aの上方近傍位置に
は節度感を持たせるためのディテントチェック機構８が
ブラケット９を介して固定されており、スリット1aの下
方近傍位置にはストッパプレート10が固着されている。
このストッパプレート10は、シフトレバー１が図示のよ
うにパーキング位置にシフトされたときにディテントプ
レート６に固着されたストッパ11に当接するようになっ
ている。

ところで、シフトレバー１は、スリット1aが設けられ
ているために当該スリット1aの近傍における強度が不足
し、しかも、レバー比が大きく当該シフトレバー１が長
い場合には、ストッパプレート10がストッパ11に衝突し
た際の衝撃によりスリット1a近傍で曲がる等の変形する
虞れがある。特に、ディテントピン５の摺動を良くし、
且つ騒音を抑えるために当該ディテントピン５にローラ
を装着し、スリット1aの幅を広くしたタイプのシフトレ
バーの場合には尚更である。

本考案は上述の点に鑑みてなされたもので、シフトレ
バーのディテントピンが嵌合するスリットの近傍におけ
る強度不足を補うようにした自動変速機用シフトレバー
装置を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために本考案によれば、ディテン
トピンが挿通されるスリットが形成されたレバー本体
と、前記ディテントピンが係合する係合溝が形成された
ディテントプレートとを有する自動変速機用シフトレバ
ー装置において、 前記ディテントプレート側に固定されたストッパ部材
と、 前記スリットの上方部と下方部とを挟持するよう前記
レバー本体に固着されたブラケットとを備え、 前記ブラケットは、前記スリット上方部に固着された
上腕部と、前記スリット下方部に固着された下腕部と、
前記レバー本体から離隔して前記上腕部と下腕部とを互
いに連結する中央部とからなり、前記中央部は、前記ス
トッパに当接して前記レバー本体を所定位置に保持せし
めると共に、前記レバー本体の移動方向中心と前記ブラ
ケット中央部のストッパ当接中心とを略一致させたこと
を特徴とする自動変速機用シフトレバー装置が提供され
る。

（作用） レバー本体をパーキング位置にシフトしたときにブラ
ケットの中央部がストッパに衝突する。レバー本体のデ
ィテントピンが摺動するスリット近傍の強度は、略コ字
状をなすブラケットの上腕部及び下腕部が当該スリット
の上方及び下方近傍位置に固着されているために強く、
前記ブラケットの中央部がストッパに衝突した際におけ
る当該レバー本体のスリット近傍位置における曲がり等
の変形が防止される。

（実施例） 以下本考案の一実施例を添付図面に基づいて詳述す
る。尚、第６図と同一部材には同一符号を付してある。

第１図は本考案を適用した自動変速機用シフトレバー
装置を示し、シフトレバー（レバー本体）１は、下端が
シャフト２に固着されて当該シャフト２によりフレーム
（図示せず）に回動可能に支持され、上端にはセレクタ
ハンドル３及び誤操作防止用のプッシュボタン４が設け
られており、下部所定位置には軸方向に沿い且つ直径上
両端にスリット1a、1a（第５図）が穿設されている。こ
のシフトレバー１にはスリット1aの上下両端近傍にブラ
ケット15が固着されている。尚、このシフトレバー１
は、レバー比が大きな長いレバーとされている。

ブラケット15は、ディテントチェック機構８の支持と
ストッパプレートとを兼用しており、第２図及び第３図
に示すように細長い鉄板を略コ字状に折曲して形成され
ている。このブラケット15の上部（上腕部）15aの先端1
5bは僅かに幅広とされ且つ上方に凹面をなして湾曲さ
れ、中央部15cは上部15aに対して所定の角度をなして折
曲されており、下部（下腕部）15dは上部15aよりも短く
且つ当該上部15aに略平行とされている。

また、ブラケット15の上部15aと下部15dとの間隔は、
シフトレバー１のスリット1aの長さよりも僅かに広く設
定されている。そして、ブラケット15の上部15aと下部1
5dの各一側には、シフトレバー１が嵌合するための略半
円状の切欠15e、15fが設けられている。また、ブラケッ
ト15の中央部15cはストッパプレートとして機能するよ
うになっている。

ブラケット15は、第１図に示すように上部15aの切欠1
5eをシフトレバー１のスリット1aの僅かに上方位置に、
下部15dの切欠15fをシフトレバー１のスリット1aの僅か
に下方位置に夫々嵌合されて当該シフトレバー１に溶着
固定されている。これによりシフトレバー１は、スリッ
ト1a近傍における強度が大幅に向上する。

ブラケット15の上部15aの湾曲せる先端15bにはディテ
ントチェック機構８が載置されて溶着固定されている。
このディテントチェック機構８は、第４図に示すように
ケース内にスプリング16を介してボール17が収納されて
おり、当該ボール17がディテントプレート６の孔７の上
縁に沿って設けられた位置決め用の凹部6a（第４図）に
スプリング16のばね力で圧接されて係合している。

シフトレバー１内には第５図に示すようにシャフト20
が軸方向に摺動可能に嵌挿されており、当該シャフト20
の上端は例えば、カム機構を介してプッシュボタン４に
係合されている。このシャフト20の下端にはシフトレバ
ー１のスリット1a、1aに対応して直径上両端に孔20a、2
0aが穿設されている。この孔20a、20aにはディテントピ
ン５の一端が貫通しており、当該一端にはシャフト20の
外面に当接するようにローラ21、21が軸支されている。
また、このディテントピン５の他端にはローラ22が軸支
されている。

そして、ローラ21、21はシフトレバー１のスリット1
a、1aに転動可能に嵌合され、ローラ22は、ディテント
プレート６の位置決め用の孔７の内面に沿って転動可能
とされている。このローラ22は、孔７の内面への当接時
における衝撃を緩衝し、騒音を抑制するために例えば、
樹脂部材により形成されている。

ディテントプレート６には位置決め用の孔７のＰ（パ
ーキング）側の位置にストッパ23が、シフトレバー１に
固定されたブラケット５の中央部5aと対抗して固定され
ている。このストッパ23は、シフトレバー１が位置Ｐに
シフトされたときにブラケット15の中央部15cに当接し
て当該位置に係止する。そして、ブラケット15の上部15
a、下部15bは、半円状の切欠15e、15f（第２図及び第３
図）がシフトレバー１に嵌合して固着されていること
で、第４図に示すようにシフトレバー１の移動方向中心
とブラケット15の中央部15cのストッパ23の当接中心と
が略一致して配置されている。

以下に作用を説明する。

第１図に示すようにシフトレバー１が位置Ｐに操作さ
れている状態において、当該シフトレバー１に固着され
たブラケット15の中央部15cがディテントプレート６の
ストッパ23に当接して係止されている。そして、シフト
レバー１のディテントピン５に軸支されているローラ22
がディテントプレート６の位置決め用孔７のパーキング
位置の切欠7a（第５図）に嵌合している。これによりシ
フトレバー１は回動不能とされている。また、ディテン
トチェック機構８のボール17は、第４図に示すようにデ
ィテントプレート６の対応する凹部6aに圧接されて係合
している。

シフトレバー１を当該位置Ｐから位置Ｒにシフトさせ
る場合には、運転者がセレクタハンドル３のプッシュボ
タン４を押すと、シャフト20（第５図）が下動し、これ
に伴いディテントピン５が下降して位置決め用孔７の切
欠7aから抜け出し、当該シフトレバー１のＲ位置方向へ
の回動を可能とする。次に、運転者がシフトレバー１を
第１図中時計方向（Ｒ位置方向）に回動させると、ディ
テントチェック機構８のボール17がスプリング16のばね
力に抗して押されて凹部6aから抜け出す。

そして、シフトレバー１がＲ位置まで回動すると、デ
ィテントチェック機構８のボール17がスプリング16のば
ね力により当該Ｒ位置に設けられた凹部6b（第４図）に
係合する。これにより運転者は、節度感が得られ、シフ
トレバー１がＲ位置に来たことを感知することができ
る。

上述とは反対にＲ位置からＰ位置にシフトレバー１を
シフトさせたときには、当該シフトレバー１のブラケッ
ト15の中央部15cがストッパ23に衝突する。しかしなが
ら、シフトレバー１は、スリット1aの上方及び下方近傍
位置にブラケット15の上部15a及び下部15dが固着されて
いるために、スリット1aの近傍における強度が強く、従
って、ストッパ23に衝突しても当該スリット1a近傍にお
いて曲がる等の変形が防止される。

（考案の効果） 以上説明したように本考案によれば、ディテントプレ
ート側に固定されたストッパ部材と、レバー本体のスリ
ットの上方部と下方部とを挟持するようレバー本体に固
着されたブラケットとを備え、ブラケットは、スリット
上方部に固着された上腕部と、スリット下方部に固着さ
れた下腕部と、レバー本体から離隔して上腕部と下腕部
とを互いに連結する中央部とからなり、該中央部は、ス
トッパに当接してレバー本体を所定位置に保持せしめる
と共に、レバー本体の移動方向中心とブラケット中央部
のストッパ当接中心とを略一致させるようにしたので、
シフトレバーのスリット近傍における強度が大幅に向上
し、ブラケットの中央部がストッパに衝突した際の衝撃
によるシフトレバーのスリット近傍における曲がり等の
変形が防止される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る自動変速機用シフトレバー装置の
一実施例を示す要部側面図、第２図は第１図のブラケッ
トの側面図、第３図は第２図の平面図、第４図は第１図
の矢線IV方向からみた一部切欠図、第５図は第１図の矢
線Ｖ−Ｖに沿う断面図、第６図は従来の自動変速機のシ
フトレバーの構造を示す側面図である。 １…シフトレバー、３…セレクタハンドル、４…プッシ
ュボタン、５…ディテントピン、６…ディテントプレー
ト、７…位置決め用孔、８…ディテントチェック機構、
15…ブラケット、16…スプリング、17…ボール、20…シ
ャフト、21、22…ローラ、23…ストッパ。

フロントページの続き (72)考案者 三浦 良明 東京都港区芝５丁目33番８号 三菱自動 車工業株式会社内 (56)参考文献 実開 昭63−107017（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ディテントピンが挿通されるスリットが形
   成されたレバー本体と、前記ディテントピンが係合する
   係合溝が形成されたディテントプレートとを有する自動
   変速機用シフトレバー装置において、 前記ディテントプレート側に固定されたストッパ部材
   と、 前記スリットの上方部と下方部とを挟持するよう前記レ
   バー本体に固着されたブラケットとを備え、 前記ブラケットは、前記スリット上方部に固着された上
   腕部と、前記スリット下方部に固着された下腕部と、前
   記レバー本体から離隔して前記上腕部と下腕部とを互い
   に連結する中央部とからなり、 前記中央部は、前記ストッパに当接して前記レバー本体
   を所定位置に保持せしめると共に、前記レバー本体の移
   動方向中心と前記ブラケット中央部のストッパ当接中心
   とを略一致させたことを特徴とする自動変速機用シフト
   レバー装置。