JP2595489Y2 - ポンプ付き容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、内容物の再充填が可能
なポンプ付き容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、内容物注出用のポンプ付き容器に
おいて、内容物を使用し尽くした後、容器に内容物を再
充填して再使用するようにしたものとして、一定の壜体
形状を強固に自己保持する外容器に、内容物を直接収納
する内袋を、外容器に対して剥離可能にかつ、萎み変形
可能に内装組付けしたものが知られている。

【０００３】この外容器と内袋から成る容器は、外容器
口頚部の上端面と内周面に、内袋口頚部を嵌着させて外
容器に対する内袋の内装組付けを達成し、注出された内
容物の量に対応した分だけ、外容器と内袋との間に外気
を吸引しながら内袋を萎み変形させことにより、外気を
内袋内に侵入させることなく、内容物を注出可能に収納
保持することができるので、嫌気性内容物の収納にきわ
めて有効である。

【０００４】この容器において、内袋は、内容物の注出
により発生した負圧に従って萎み変形し、最終的には、
容器内に挿入されて内容物を吸い上げるポンプの筒状部
に付着する形態に萎み変形するが、内容物の再充填に際
して、ポンプの容器に対する螺合組付きを解除すると、
この螺合の解除により外気が内袋内に侵入して内袋内の
負圧が消滅するので、内袋は自身の弾力により膨らみ変
形してポンプの筒状部から分離し、これによりポンプの
容器からの取外しが支障なく達成される。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、実際に
は、容器の口頚部からポンプを螺脱して抜き出そうとす
ると、ポンプの容器に対する密な組付きを達成維持すべ
く、ポンプの筒状部に外嵌組付けされて、ポンプの筒状
部に設けられたフランジ下面と容器の口頚部上端面との
間に位置する環状パッキンが、容器内の負圧によって容
器口頚部上端面に吸着し、ポンプのフランジから引き離
されて、そのままポンプの筒状部から脱落する、と云う
問題があった。

【０００６】また、このように環状パッキンが容器口頚
部上端面に吸着したままとなると、内袋内の負圧は消滅
しないので、内袋はポンプの筒状部にまつわり付いた状
態での萎み変形を維持することになり、この内袋の筒状
部へのまつわりにより、ポンプの容器からの取外しが困
難となる、と云う問題があった。

【０００７】さらに、環状パッキンをフランジ下面に接
着して、環状パッキンのフランジからの分離を不能とす
ると、内袋内の負圧により、この内袋の上端部分が環状
パッキンに強力に吸着し、このためポンプと一緒に内袋
が外容器から抜け出してしまう、と云う問題があった。

【０００８】本考案は、上記した従来技術のおける問題
点を解消すべく考案されたもので、ポンプ付き容器にお
いて、容器からのポンプの離脱時に、ポンプの筒状部か
ら環状パッキンを離脱させることなく、内袋内の負圧を
消滅させることを技術的課題とし、もって環状パッキン
のポンプ側への組付きを確保すると共に、ポンプの容器
からの螺脱時に、内袋を確実にかつ速やかに原形に膨ら
み復帰変形させる、ことを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記技術的課題を解決す
る本発明の手段は、壜体状に成形された外容器に、この
外容器の外容器口頚部の内周面および上端面に内袋口頚
部を嵌着させて、可撓性を有する内袋を萎み変形可能に
内装組付けした容器を有すること、シリンダーである筒
状部に外鍔状のフランジを設け、容器に対し、この容器
の口頚部に筒状部を、フランジで規制される位置まで挿
入して組付けられる内容物注出用のポンプを有するこ
と、ポンプの筒状部に、内縁部を当接させた状態で外嵌
組付きして、ポンプを容器に挿入組付けした状態で、容
器の口頚部上端面とポンプのフランジ下面との間に位置
する、平リング板状の弾性材製環状パッキンを有するこ
と、ポンプのフランジ下面から、環状パッキンの厚さ寸
法よりも少し大きい寸法だけ下方に離れた筒状部の外周
面位置に、環状パッキンの下降防止用の周突条状の突部
を突設して設けること、環状パッキンの内縁部に、ポン
プの突部の突出高さ寸法よりも大きい切り込み深さ寸法
で、エアー通路を切欠き形成して設けること、にある。

【００１０】

【作用】平リング板状に成形された弾性材製の環状パッ
キンは、ポンプのシリンダである筒状部に、内周面であ
る内縁部を当接させて外嵌組付けされている。

【００１１】環状パッキンをフランジ下面に当接させた
状態で組付けたポンプの容器に対する組付けは、ポンプ
の筒状部を、容器の口頚部上端面に環状パッキンを介し
てフランジが突き当たるまで、容器の口頚部内に挿入
し、次いでフランジの上方より螺子筒を、容器の口頚部
に外嵌螺合させることにより達成される。

【００１２】ポンプにより容器内の内容物を注出する
と、この注出された内容物の容積分だけ内袋が、外容器
から剥離しながら内部の負圧に従って萎み変形するの
で、内容物を注出し尽くした状態では、内袋はポンプの
筒状部にまつわり付いた状態で萎み変形している。

【００１３】内容物の再充填等のために容器からポンプ
を取り外す際は、まず螺子筒を容器の口頚部から螺脱さ
せてからポンプを引き上げ、ポンプの筒状部を容器の口
頚部から抜き出す。

【００１４】ポンプの筒状部を容器の口頚部から抜き出
すに際して、容器の内袋内が負圧状態となっているの
で、環状パッキンは容器の口頚部に付着してポンプのフ
ランジから離れて、ポンプの筒状部に対して相対的に下
降変位する。

【００１５】ポンプのフランジ下面から環状パッキンが
離れることにより、ポンプのフランジ下面と環状パッキ
ンとの間の隙間と、環状パッキンのエアー通路とを通し
て、内袋内が外部に開放されるので、内袋内の負圧は消
滅し、環状パッキンに対する吸着作用が消滅すると共
に、ポンプの筒状部にまつわり付く状態で萎み変形して
いた内袋が、自身の弾力によりポンプの筒状部から離れ
て膨らみ変形して、ポンプの筒状部に対するまつわり付
きを解除する。

【００１６】それゆえ、ポンプの容器からの抜き出し分
離に際して、内袋がポンプにより外容器外に引き出され
ることがなく、また容器の口頚部に対する環状パッキン
の付着は、単に接触による付着となってきわめて弱いも
のとなるので、環状パッキンは、ポンプの突部に対する
係止により簡単に容器の口頚部から分離し、ポンプの筒
状部に対する嵌装組付きを維持する。

【００１７】

【実施例】以下、本考案の一実施例を、図面を参照しな
がら説明する。図１及び図２は、本考案に使用される環
状パッキン１の一実施例を示すものであり、図３は容器
とポンプとの主要部の装着状態を示すものである。

【００１８】環状パッキン１は、内容物注出用のポンプ
（図示していない）のシリンダである筒状部２３に、そ
の内周面である内縁部２を筒状部２３の外周面に当接さ
せて外嵌組付けされ、容器８に対するポンプの組付けに
より、フランジ２５下面と容器８の口頚部１５上端面と
の間に挟持されて、フランジ２５下面及び口頚部１５上
端面に密接し、容器８に対するポンプの密封組付きを達
成する。

【００１９】実施例では、環状パッキン１は、弾力性を
有する合成樹脂製で、厚さ１．５ｍｍの平リング板状
で、その外径は２９．６ｍｍに、また内縁部２の内径は
１８．４ｍｍに設定されており、内縁部２の等間隔とな
った４箇所に、内縁部２での開放幅が３ｍｍで、深さが
１．５ｍｍのエアー通路３が、環状パッキン１を上下に
貫通して切欠き成形されている。

【００２０】ポンプのフランジ２５の直下となる筒状部
２３部分、すなわち環状パッキン１が外嵌組付きする筒
状部２３部分には、フランジ２５下面からの距離が、環
状パッキン１の厚さ寸法よりも少し大きい値となる位置
に、環状パッキン１の下降防止用の突部２４が突周条状
に突設されており、この突部２４の突出高さは、エアー
通路３の深さ、すなわち１．５ｍｍよりも小さい値とな
っていて、環状パッキン１が突部２４に上方から突き当
たった際に、突部２４によりエアー通路３が塞がられる
ことがないようにしている。

【００２１】容器８は、安定した自己形状保持力を発揮
すべく、肉厚の壜体状に成形された合成樹脂製の外容器
９に、合成樹脂製の可撓性を有する内袋１０を、剥離自
在に積層状に内装組付けして構成され、この外容器９に
対する内袋１０の組付きは、外周面に雄ねじ１７を刻設
した外容器９の外容器口頚部１６に、内袋１０の内袋口
頚部１８を、外容器口頚部１６の上端面および内周面に
密着させて嵌着させることにより達成させている。

【００２２】この外容器９と内袋１０とから成る容器８
は、外容器口頚部１６と内袋口頚部１８との間にリーク
通路を設けるとか、外容器９の底壁に通気孔を開設する
等の適当な手段により、外容器９と内袋１０との間への
外気の出入りを自在としており、これにより内容物の注
出に伴う内袋１０の外容器９から離れながらの萎み変形
が、速やかにかつ円滑に達成されるようにしている。

【００２３】また、このように外容器９と内袋１０との
間への外気の出入りが自在であるので、容器８からポン
プを抜き出す際における、内袋１０の萎み変形状態から
膨らみ状態への自己復帰動作が、確実にかつ円滑に達成
されることになる。

【００２４】内容物の再充填は、ポンプを取り外した容
器８に、詰め替え用容器から内容物を詰め替えることに
より達成するが、容器８の内袋１０は、ポンプを取り外
した際に、萎み変形状態から膨らみ状態に自然にかつ確
実に自己復帰して、内容物の注入充填を円滑に達成し易
い状態となるので、内容物の充填処理を無理なく簡単に
行うことができる。

【００２５】

【考案の効果】本考案は、上記した構成となっているの
で、以下に示す効果を奏する。環状パッキンに対する突
部の下方からの係止により、容器の口頚部上端面に対す
る環状パッキンの付着を解除させることができ、もって
環状パッキンのポンプからの抜け出しを防止することが
できる。

【００２６】環状パッキンの内縁部に、突部との係止に
より塞がれることのないエアー通路を形成したので、環
状パッキンのポンプに対する相対昇降変位後、すなわち
フランジからの分離後に、容器の内袋内を確実に外部に
開放して、内袋の負圧を消滅させることができ、これに
より内袋の萎み変形状態から膨らみ状態への自己復帰変
形を確実に引き起こさせ、もって容器からのポンプの分
離を安全にかつ円滑に達成させると共に、内袋を、外容
器外に引き出すことなく、再充填を好適に行うことので
きる姿勢とすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の環状パッキンの平面図。

【図２】図１に示した環状パッキンの半縦断側面図。

【図３】本考案の一実施例を示す、簡略図示した要部拡
大半縦断面図。

【符号の説明】

１ ； 環状パッキン ２ ； 内縁部 ３ ； エアー通路 ８ ； 容器 ９ ； 外容器 １０； 内袋 １５； 口頚部 １６； 外容器口頚部 １７； 雄ねじ １８； 内袋口頚部 ２３； 筒状部 ２４； 突部 ２５； フランジ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B62D 39/00 - 55/16

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 壜体状に成形された外容器（９）に、該
   外容器（９）の外容器口頚部（１６）の内周面および上
   端面に内袋口頚部（１８）を嵌着させて、可撓性を有す
   る内袋（１０）を萎み変形可能に内装組付けした容器
   （８）と、シリンダーである筒状部（２３）に外鍔状の
   フランジ（２５）を設け、前記容器（８）に対し、該容
   器（８）の口頚部（１５）に前記筒状部（２３）を、前
   記フランジ（２５）で規制される位置まで挿入して組付
   けられる内容物注出用のポンプと、前記筒状部（２３）
   に、内縁部（２）を当接させた状態で外嵌組付きして、
   前記ポンプを容器（８）に挿入組付けした状態で、前記
   口頚部（１５）上端面とフランジ（２５）下面との間に
   位置する、平リング板状の弾性材製環状パッキン（１）
   と、から構成され、前記フランジ（２５）下面から、前
   記環状パッキン（１）の厚さ寸法よりも少し大きい寸法
   だけ下方に離れた前記筒状部（２３）の外周面位置に、
   前記環状パッキン（１）の下降防止用の周突条状の突部
   （２４）を突設し、前記環状パッキン（１）の内縁部
   （２）に、前記突部（２４）の突出高さよりも大きい切
   り込み深さで、エアー通路（３）を切欠き形成して成る
   ポンプ付き容器。