JP2594966B2 - 放射線検出素子ブロック及びその製造方法 - Google Patents

放射線検出素子ブロック及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はX線CT装置に利用される放射線検出素子に係
り特に放射線入射位置による検出感度のばらつきや、多
数素子間の感度ばらつきが少なくかつ検出感度の高い放
射線検出素子に関する。
〔従来の技術〕
CT用X線固体検出素子はシンチレータとフオトダイオ
ード,セパレータ板からなつている。その構造は第2図
に示す如くであり、シンチレータとフオトダイオード,
セパレータ板の接着は、接着材により行われている。接
着方法は例えば特開昭62−24174に詳細に記載されてい
る。またフオトダイオードとシンチレータの他の積層方
法は特開昭62−71881号公報に記載されている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
まずCT装置用X線検出素子に要求される性能を述べ
る。CT装置では多数個(例えば512ch)の素子を用いる
がこれら素子に感度のばらつきがあると再生画像上に円
状の偽像(アーチフアクト)が生じてしまうため、多素
子間の感度一様性が極めて重要である。また一素子内で
の感度分布のばらつきも同様に画像上の識別能を決定す
る重要な要素である。即ちこの素子内感度分布ばらつき
は、素子内入射X線量分布が一様でない場合、例えば人
体頭頂部撮影時において、アーチフアクトの原因となつ
ている。このため素子内感度の一様性が極めて重要にな
る。
また第3世代,第4世代CT装置では多数の素子を必要
とするので製造工程が単純であることが大切である。
従来、シンチレータと光検出素子、例えばSiフオトダ
イオードは互いに接着材により固定されていたが、この
方法によれば、次のような問題を有していた。
1.シンチレータとフオトダイオードを接着する際両者間
の位置づれが起こり素子内感度ばらつきが生じる。
2.多数素子についてシンチレータとフオトダイオードを
精度良く接着するには高度な技術と労力を有する。
3.多数素子について、互いに高い位置精度で密着配列す
ることは極めて高度な技術を必要とする。
特に第3の問題点は実装技術上極めて重要であるにも
かかわらず従来この点について現実的な構造及び方法の
提案はなされていなかつた。
本発明の目的は、上記問題を基本的に有しない構造の
放射線検出素子を提供し素子間、素子内感度ばらつきが
少なく、多素子間の位置精度が高い放射線検出素子を提
供することにある。
また特に、上記放射線検出素子を多数密着配列してな
る放射線検出素子ブロック及びその製造方法を提供する
ことを目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
非晶質光導電材料からなるフオトダイオードをシンチ
レータから成る基板上に直接形成した放射線検出素子に
おいて該シンチレータ基板上に前記フオトダイオードを
電気的に独立に、複数個形成することにより達成され
る。上記フォトダイオードとしては、例えば非晶質シリ
コンを、上記シンチレータとしては、例えばGd2O2S:Pr,
Ce,Fを熱間静水圧加圧法により形成したシンチレータを
使用する。
〔作用〕
本発明によればフオトダイオードはシンチレータ上に
直接形成されているので、従来例のように両者を貼り合
わせる工程は存在しない。この結果両者の位置づれは起
こり得ない。また導光性接着材を用いないので気泡や接
着材厚さの不均一性に起因する素子内、多素子間感度ば
らつきは生じない。さらに本発明ではフオトダイオード
とシンチレータ間に空気層が介在しないので境界面での
光反射はおきにくく光伝達効率が高い。さらにフオトダ
イオードとシンチレータ貼り合わせ工程がまつたくない
ので製造工程は著しく簡略化される。
またX線は基板であるシンチレータに直接入射するの
で検出X線の損失がなく効率的な検出が可能となる。
また複数個の素子を一ブロック上に形成できるので、
実装が極めて容易になる。
また製造工程について見てみると、フオトダイオード
の材料として非晶質光導電材料を用いるので基板材料の
選択範囲が広く、基本的にフオトダイオード形成面が鏡
面であれば良い。さらに低温プロセスで形成可能である
ので、鏡面研磨シンチレータ上に容易に形成できるわけ
である。
〔実施例〕
以下本発明の一素子の構造を第1図により説明する。
シンチレータ1は例えばGd2O2S:Pr,Ce,FやCdWO4,ZnWO4
などで例えばa−Siフオトダイオード4が形成される面
は鏡面研磨されている。a−Siフオトダイオード4は第
1図(a)に示すように1素子ずつ分離して形成する。
第1図(a)では.3素子を1つのシンチレータ上に形成
した例である。1素子のサイズは例えば長手方向30mm,
幅1.2mm,素子間隔300μmである。シンチレータ厚さは
例えば1.5mmである。ここで、シンチレータ厚さは、検
出する放射線を十分に吸収する厚さが望ましい。
これは、検出効率を向上する目的と、フオトダイオー
ドを直接放射線照射から避け、ダイオードの劣化や、雑
音増大を防ぐ目的を有する。
さて、フオトダイオード形成後、シンチレータ1を各
素子毎に切断する。切断面6は第1図(a)に点線で示
してある。切断後第1図(b)のように各素子の間にセ
パレータ板3をはさみそれぞれの素子をX線・光学的に
分離する。セパレータ板は例えばAl蒸着をほどこしたモ
リブデン板である。このようにして放射線検出素子ブロ
ックを得る。各素子,セパレータ板の固定は、後述す
る。
次にa−Siフオトダイオード部について第3図(a)
に示した実施例に従つて説明する。
シンチレータ7は熱間静水圧加圧法により作成された
Gd2O2S:Pr,Ce,Fのブロツクであり表面は鏡面研磨されて
いる。ここで、Gd2O2S:Pr,Ce,Fを熱間静水圧加圧法によ
り作成したシンチレータブロツクは熱的,化学的に安定
であり、a−Siフオトダイオードを形成する基板として
適している。この鏡面研磨されたシンチレータ表面に透
明導電膜8としてITOを0.5μm厚に形成する。次にa−
Si:H9を1μm厚形成し光導電膜とする。a−Si:H形成
にはプラズマCVDを用いる。a−Si:Hの上とITOの上に電
極として10.NiCrを2μm,11.Auを1μm形成する。さら
にこの上に保護膜12としてSiN4を2μm形成する。電極
11上にワイヤボンデイングによりAu線を接続し外部へ信
号を取り出す。なお、各々の薄膜は通常のホトリソブラ
フイ技術を用いて加工する。
本実施例では光導電層としてa−Si:H一層構造とした
が、これを例えばPIN型,シヨツトキー型,拡散型,ア
バランシエ型,MIS型構造としても良い。また透明導電膜
としてITOを用いが、SnO2やその他シンチレータの光を
透過する物質または構造であれば他の物質であつても良
い。また電極材料や保護膜も本実施例に限定されるもの
ではない。
本実施例ではシンチレータとして発光波長が500nm−8
00nmのGd2O2S:Pr,Ce,Fを用いたが、a−Siフオトダイオ
ードの有感波長領域(約300nm−約800nm)に発光波長が
存在する他のシンチレータを用いることも可能である。
第3図(b)は本発明の他の一実施例である。本実施
例では透明導電膜8とシンチレータ7の間に透光性保護
膜16を配置している。透光性保護膜は例えばSiO2膜やSi
N4膜などで良い。厚さは例えば1μmで良い。この構造
ではシンチレータ基板からa−Si側への汚染を防止する
ことが容易であり、a−Siフオトダイオードの性能を十
分に引き出すことが可能である。また上記膜を形成する
ことによりa−Siフオトダイオード形成面の鏡面性を向
上することが可能となり、高性能a−Siフオトダイオー
ドの形成が容易になる。
また本実施例ではシンチレータのX線入射面側に光反
射膜17を形成している。この反射膜として例えば0.3μ
m厚のAl蒸着膜を用いれば、例えば50keVのX線を実質
的に吸収せず、かつシンチレータからの発光をほぼ完全
に反射するので、検出素子の検出感度は著しく増大す
る。またシンチレータ外部からの迷光もしやへいするこ
とができるので、迷光に起因する雑音の減少にも効果的
である。本実施例において、透光性絶縁膜、光反射膜の
厚さ,材質は本実施例に限定されるものではない。
次に多素子センサの構造を第4図に示した実施例を用
いて説明する。
a−Siフオトダイオード4をシンチレータ1上に4素
子形成する。シンチレータを切断する前に第4図(a)
のように、a−Siフオトダイオード面を接着材14を用い
て支持体13上に接着する。支持体,接着材は単にシンチ
レータ1を固定するものであり、X線,光に対して不透
明で良い。支持体を接着後第4図(b)に示すように各
素子の間に溝15を掘り素子の分離を行う。このとき支持
体と各素子が接着されているので素子間の位置が変化せ
ず均一な性能の素子が容易に得られ都合が良い。こうし
てつくられた溝15に第4図(c)のようにセパレータ板
3を挿入する。セパレータ板は端部を接着材で固定し
て、複数素子からなる放射線検出素子ブロックを得る。
本実施例では一次元多素子列を均一かつ極めて簡単に製
作することができる。
上記実施例においてシンチレータ上面、即ちX線入射
が行われる面及びシンチレータ端面にあらかじめ光反射
膜を形成すると光がa−Siフオトダイオードで検出され
る割合が増え信号量増大が見込めるので良い。反射膜と
して、例えばAl蒸着を行うと反射率が高く、またX線透
過率も極めて高いので好適である。
第5図は本発明の他の実施例を示すものである。第5
図(a)に示したように、ブロツク状シンチレータ1を
点線で示した切断面6で切断する。切断面を鏡面研磨し
たのち、第5図(b)の如くセパレータ板としてのモリ
ブデン板18を、例えば低融点ガラス19で融着し、積層シ
ンチレータを形成する。ここでモリブデン板18は例えば
0.1mm厚で、また反射率を向上する目的で両面をアルミ
蒸着しても良い。
次に積層シンチレータを第5図(b)に点線で示した
切断面6で切断する。シンチレータ切断幅は例え1.5mm
とする。切断面を鏡面研磨しこれをフオトダイオード形
成基板として用いるわけである。
本実施例では第5図(c)及び第5図(d)に示した
如くシンチレータ1は既にセパレータ板18により分離さ
れているのでこの上の各シンチレータ素子に対応する場
所にフオトダイオードを形成すれば良い。このときの素
子製作精度はフオトリソグラフイーの精度で決まり、こ
れは機械工作精度に比べ極めて高い。この結果フオトダ
イオードとシンチレータの素子の位置ずれは起きにく
い。
本実施例では透光性保護膜16は基板を保護する目的と
して極めて有効である。光導電膜は第5図(c)の如く
全素子共通として良い。また第5図(d)の如く各素子
毎に個別に形成しても良い。全素子共通の場合はフオト
リソグラフイーの工程が簡略化される。また光導伝層と
してa−Siを用いればその高抵抗特性から隣接素子への
信号のもれ込みは極めて少ない。
また第5図(d)のように各素子毎にa−Si層を個別
に形成しても良く、この場合には上記信号のもれ込みは
一層少なくなり信号の質は著しく向上する。第5図
(c)及び第5図(d)に於て電極20は各素子毎に分離
してあり、各素子に対応した出力信号を検出することが
可能である。
本実施例では、フオトダイオード基板として、あらか
じめ各素子に対応して光学的,放射線的に分離してある
シンチレータを用いているので、フオトダイオード形成
により直ちに、多素子から構成される放射線検出素子ブ
ロックが製作でき、製作工程が著しく簡略化される。ま
たフオトダイオード形成後、切断,溝掘り等の機械的工
作工程が無いので、フオトダイオードを損傷することが
ない。
本実施例においてシンチレータの分割は1次元のみで
あるが、必要に応じて2次元に分割しても良い。
以上すべての実施例に於いて、光導電材料としてa−
Siを用いて説明してきたが、本発明の特徴の一部は、シ
ンチレータ基板上に直接フオトダイオードを形成するこ
とにあるので、基本的には光導電材料がa−Siに限定さ
れるものではない。即ち、シンチレータ物質上にフオト
ダイオード形成可能な材料であれば良く、例えば非晶質
Seを主体とするカルコゲナイド材料を用いても良いこと
はいうまでもない。この場合、シンチレータはその発光
波長のSe系フオトダイオードの検出可能な波長であるこ
とが必要である。
〔発明の効果〕
本発明によればフオトダイオードはシンチレータ上に
直接形成されているので従来例と比べ製造工程が検しく
簡略化される。また、シンチレータとフオトダイオード
の組立て時の位置づれはまつたくなく均一な性能の検出
素子の複数個からなる放射線検出素子ブロックを容易に
製作可能である。さらにシンチレータからフオトダイオ
ードへの光伝達起程で導光性接着材層や空気層が介在し
ないので光伝達効率が高く、素子内感度分布の一様な検
出素子の複数個からなる放射線検出素子ブロックを容易
に製作できる。
また、検出すべき放射線がシンチレータに直接入射可
能なので、放射線検出ロスがなく高効率検出が可能とな
る。また、複数の素子が1つのブロツク上に形成されて
いるので実装が極めて容易である。
以上により極めて好適な性能を有するX線CT用の放射
線検出素子ブロックを提供することができX線CT装置の
画質向上に大きな効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す図、第2図は従来例を
示す図、第3図は本発明の他の一実施例を示す断面図、
第4図は本発明の他の一実施例を示す図、第5図は本発
明の他の一実施例を示す図、及び断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 稔 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 山本 英明 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 伊藤 晴夫 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭57−172273(JP,A) 特開 昭59−150358(JP,A) 特開 昭58−216974(JP,A) 特開 昭59−88676(JP,A)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】放射線を光に変換するシンチレータの放射
    線が透過する一つの面に、非晶質光導電材料からなるフ
    ォトダイオードが形成された複数の放射線検出素子を空
    間点に分離して支持する支持体を有し、該支持体に、隣
    接して支持される前記放射線検出素子間の間隔と等しい
    寸法の幅の複数の溝が形成され、光学的かつ放射線的に
    不透明な金属板が、隣接して支持される前記放射線検出
    素子間の空間部分と前記溝に挿入され、前記放射線検出
    素子と前記金属板とが交互に配列されたことを特徴とす
    る放射線検出素子ブロック。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項に記載の放射線検出
    素子ブロックにおいて、前記非晶質光導電材料が非晶質
    シリコンであることを特徴とする放射線検出素子ブロッ
    ク。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第1項に記載の放射線検出
    素子ブロックにおいて、前記シンチレータは、Gd2O2S:P
    r,Ce,Fが熱間静水圧加圧法により形成されたシンチレー
    タであることを特徴とする放射線検出素子ブロック。
  4. 【請求項4】短冊状のシンチレータの放射線が透過する
    一つの面に、透明性保護膜、透明電極、非晶質光導電材
    料からなるフォトダイオードの各層が順次積層して構成
    される放射線検出素子と、前記シンチレータの厚さと同
    じ一辺の寸法をもつ光学的かつ放射線的に不透明な金属
    板とが交互に一体化して形成された放射線検出素子ブロ
    ックであって、前記透明性保護膜及び前記透明電極が複
    数の前記シンチレータの前記一つの面にまたがって連続
    して形成されたことを特徴とする放射線検出素子ブロッ
    ク。
  5. 【請求項5】特許請求の範囲第4項に記載の放射線検出
    素子ブロックにおいて、前記非晶質光導電材料が非晶質
    シリコンであることを特徴とする放射線検出素子ブロッ
    ク。
  6. 【請求項6】特許請求の範囲第4項に記載の放射線検出
    素子ブロックにおいて、前記シンチレータは、Gd2O2S:P
    r,Ce,Fが熱間静水圧加圧法により形成されたシンチレー
    タであることを特徴とする放射線検出素子ブロック。
  7. 【請求項7】特許請求の範囲第4項に記載の放射線検出
    素子ブロックにおいて、前記フォトダイオードの層が前
    記短冊状のシンチレータの複数個にまたがって連続して
    形成されたことを特徴とする放射線検出素子ブロック。
  8. 【請求項8】放射線を光に変換する一つのシンチレータ
    の板の放射線が透過する一つの面に、非晶質光導電材料
    からなる互いに分離された複数のフォトダイオードを形
    成する工程と、前記フォトダイオードが形成されたシン
    チレータの板を支持体に固定する工程と、隣接する前記
    フォトダイオード間の部分及び前記支持体の一部に溝を
    形成する工程と、前記溝内に光学的かつ放射線的に不透
    明な金属板を挿入固定する工程とを有することを特徴と
    する放射線検出素子ブロックの製造方法。
  9. 【請求項9】特許請求の範囲第8項に記載の放射線検出
    素子ブロックにおいて、前記シンチレータの板を支持体
    に固定する工程において、前記フォトダイオードが形成
    された面が前記支持体に固定されることを特徴とする放
    射線検出素子ブロックの製造方法。
  10. 【請求項10】特許請求の範囲第8項に記載の放射線検
    出素子ブロックにおいて、前記シンチレータはGd2O2S:P
    r,Ce,Fが熱間静水圧加圧法により形成されたシンチレー
    タであることを特徴とする放射線検出素子ブロックの製
    造方法。
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