JP2594733B2 - 下水の硝化脱窒方法 - Google Patents

下水の硝化脱窒方法

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JP2594733B2 JP4216919A JP21691992A JP2594733B2 JP 2594733 B2 JP2594733 B2 JP 2594733B2 JP 4216919 A JP4216919 A JP 4216919A JP 21691992 A JP21691992 A JP 21691992A JP 2594733 B2 JP2594733 B2 JP 2594733B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、窒素とリンを含む下水
から窒素とリンとを同時に除去することができる下水の
硝化脱窒方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】下水中から窒素とリンを同時に除去する
技術としては、従来からA2O 法が知られている。このA2
O 法は図5に示すように、下水と返送汚泥とを混合して
非好気槽20で嫌気的に汚泥中のリンを吐き出させ、次い
で脱窒槽21において循環硝化液と混合して脱窒した後、
硝化槽22で窒素を硝化すると同時にリンの過剰摂取を行
わせる方法である。これによって下水中の窒素とリンは
同時に除去されることとなるので、沈殿槽23で固液分離
した処理水はそのまま放流することができる。
【0003】しかし、この方法では硝化槽22からの硝化
液の全てを脱窒槽21へ循環させることができず、硝化液
のかなりの部分が沈殿槽23へそのまま流出することとな
るので、完全な脱窒を行うことは困難であり、通常は脱
窒率50〜70%が限度とされていた。またリンの完全除去
を行うためには、非好気槽20のOPR(酸化還元電位) を−
300mV 以下の嫌気状態としてリンの吐き出しを十分に行
わせる必要があるが、この方法においては返送汚泥中に
硝化槽22で硝化された窒素分がかなり残留しており、非
好気槽20を完全な嫌気状態にすることができないので、
リンの吐き出しが不十分となり、その結果として脱リン
率も70〜80%以下と不安定であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、上記した従来の問題点を解決し、脱窒率及び脱リン
率を従来法よりもはるかに高めることができる下水の硝
化脱窒方法を提供することである。本発明の第2の目的
は、外部からのエネルギー(脱窒の際のメタノールのよ
うな水素供与体)を加えることなく、下水自体に含まれ
ている有機物を利用して完全脱窒を行うことができ、ま
た凝集剤のような薬剤を加えることなく生物学的に完全
脱リンを行うことができる下水の硝化脱窒方法を提供す
ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた本発明は、接触安定槽、第1脱窒槽、第1
沈殿槽、硝化槽、第2脱窒槽、再曝気槽、第2沈殿槽の
順に各処理槽で下水を硝化脱窒する方法であって、硝化
液の一部を前記第1脱窒槽に循環し、かつ第2沈殿槽で
生じた第2沈殿汚泥の一部を前記接触安定槽に返送する
とともに、第1沈殿槽で生じた第1沈殿汚泥の一部を前
記第2脱窒槽に供給することを特徴とする下水の硝化脱
窒方法である。そして各処理槽について着目すると、
触安定槽に下水と返送汚泥とを供給して嫌気処理により
リンを放出させた後、循環硝化液とともに第1脱窒槽へ
供給して脱窒し、次に第1沈澱槽で分離液と第1沈澱汚
泥とに分離し、分離液は硝化槽で硝化した後、一部は循
環硝化液として第1脱窒槽へ返送し、残部は第1沈澱汚
泥とともに第2脱窒槽で脱窒し、更に再曝気槽で好気処
理によりリンを過剰摂取させた後に第2沈殿槽で処理水
と第2沈殿汚泥とに固液分離することを特徴とする。
【0006】このように、本発明では第1脱窒槽と硝化
槽で硝化・脱窒を行って下水に含有される蛋白質のよう
な分解され易い窒素の大部分を除去し、第2脱窒槽以後
においては僅かに残ったNOx −N の除去と分解しにくい
有機物のみを処理する。このために再曝気槽における硝
化は極力抑制され、返送汚泥に含有されるNOx −N を減
少させることができる。この結果、接触安定槽は完全な
嫌気状態に保たれ、リンの吐き出しを十分に行わせるこ
とができるので、完全脱リンが可能となる。
【0007】以下に本発明を図1のフローシートに基づ
いて更に詳細に説明する。図中、1は接触安定槽、2は
第1脱窒槽、3は第1沈殿槽、4は硝化槽、5は第2脱
窒槽、6は再曝気槽、7は第2沈殿槽である。
【0008】まず下水は第2沈殿槽7からの返送汚泥と
ともに接触安定槽1へ供給される。ここでは下水に含ま
れている有機物が汚泥に吸着されるとともに、返送汚泥
中に含まれているリンが吐き出される。もしここで返送
汚泥中に亜硝酸(NO2 −N )や硝酸(NO3 −N)等の化合
物(NOx −N)が存在すると、従来のA2O 法について述べ
たと同様に接触安定槽1のOPR(酸化還元電位) が低下せ
ず、リンの吐き出しが十分に行われない。しかし本発明
では後述する理由により、返送汚泥中にNOx −N がほと
んどないため、リンの吐き出しが十分に行われる。図2
は接触安定槽1のOPR と、溶解性のNOx −N およびT-P
(トータルリン) の関係を示したグラフであるが、本発
明では接触安定槽1のOPR は−300mV 程度の完全嫌気状
態とすることができる。
【0009】次に接触安定槽1から流出した混合液は、
硝化槽4からの循環硝化液とともに第1脱窒槽2に入
る。ここでは循環硝化液中に含まれていたNOx −N が汚
泥に吸着されている有機物の一部を利用して脱窒され
る。ここで利用される有機物が蛋白質のような含窒素化
合物である場合、脱窒に利用された有機物の残りである
窒素がアンモニア性窒素(NH4 −N)として溶出して水側
に移るが、脱窒されるNOx−N と溶出するNH4 −N の量
の比は図3に示すようにほぼ1:1となる。従って循環
硝化液の量が多いほど脱窒されるNOx −N が多く、溶出
するNH4 −N の量も多いこととなるから、汚泥に吸着さ
れたままの状態で第2脱窒槽5以降の工程に流出する窒
素量も少なくなる。
【0010】このように、循環硝化液量は多いほど好ま
しいのであるが、本発明では流入する下水量の25〜150
%とする。図4に示すように、循環硝化液の循環率が25
%未満であると窒素除去率が従来法なみのレベルに低下
してしまうのみならず、窒素の一部が汚泥に吸着された
まま再曝気槽6に入り、そこで硝化されて返送汚泥に混
入するため、接触安定槽1におけるリンの吐き出しに悪
影響を及ぼす。また逆に循環硝化液の循環率を150 %よ
りも大きくしても、いたずらに循環動力が増加するだけ
でそれ以上の窒素除去率の向上は望めないからである。
【0011】このようにして第1脱窒槽2で脱窒された
混合液は第1沈殿槽3で固液分離され、分離液と第1沈
澱汚泥とに分離される。分離液は硝化槽4へ送られ、有
機性窒素及びアンモニア性窒素(ケルダール窒素;TKN)
は硝化され、亜硝酸と硝酸(NOx −N)となる。従って、
先の第1脱窒槽2において溶出するNH4 −N の量が多い
ほど分離液中のNH4 −N は多くなり、硝化される窒素量
も多くなる。この硝化液の一部は、第1沈殿槽から供給
される第1沈澱汚泥とともに第2脱窒槽5へ供給される
が、残部は第1脱窒槽2へ返送され、第1脱窒槽2→第
1沈殿槽3→硝化槽4→第1脱窒槽2のサイクルを繰り
返す。
【0012】第2脱窒槽5では、硝化液中に残留してい
るNOx −N が、第1沈殿槽から供給された第1沈澱汚泥
に吸着されている有機物をエネルギー源として脱窒され
る。しかも、先の第1脱窒槽2において比較的分解され
易い蛋白質のような窒素化合物はほとんど分解されてい
るため、第2脱窒槽5では比較的分解しにくい窒素を含
まない有機物を利用して脱窒が行われる。その結果、ア
ンモニア性窒素(NH4−N)が水側へ溶出する量は少なく
なり、再曝気槽6で硝化される窒素量は少なくなること
から、前述したように返送汚泥中のNOx −N を極めて少
なくすることができる。
【0013】次に第2脱窒槽5の混合液は再曝気槽6に
入る。ここでは曝気による好気性が保たれているため、
汚泥は先の接触安定槽1で吐き出した以上のリンを液中
から過剰摂取するとともに活性化される。そしてこの混
合液は第2沈殿槽7へ流入して上澄水と第2沈殿汚泥と
に固液分離され、上澄水は処理水として放流される。ま
た第2沈殿汚泥は一部を余剰汚泥として系外へ排出し、
残部は返送汚泥として接触安定槽1へ返送される。
【0014】
【実施例】次に、本発明方法と従来法(A2O 法)により
同一の下水を処理する場合の、必要な設備容積(下水処
理量1m3/Hr )を表1として示し、処理水の水質を表2
として示す。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【発明の効果】上記の実施例のデータからも明らかなよ
うに、本発明の下水の硝化脱窒方法によれば、メタノー
ルのような水素供与体を全く使用することなく下水中の
窒素を90%以上除去することができるとともに、凝集
剤などの薬剤を使用することなく下水中のリンを90%
程度除去することができる。また脱窒に必要な有機物は
全て下水中のものを使用するので、この分の有機物処理
のかなりの部分が削減され、従来法に比べて曝気動力を
減少させることもできる。更に硝化槽に生物膜法、包括
法等の硝化速度の大きい方式を採用すれば、硝化槽をコ
ンパクトにすることができる。よって本発明は従来の問
題点を解決した接触安定法による下水の硝化脱窒方法と
して、産業の発展に寄与するところは極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフローシートである。
【図2】第1脱窒槽におけるNOx −N 除去濃度とNH4
N 溶出濃度の関係を示すグラフである。
【図3】接触安定槽におけるORP と溶解性のNOx −N 及
びT-P との関係を示すグラフである。
【図4】硝化液循環率と処理全体のT-N 除去率との関係
を示すグラフである。
【図5】従来法(A2O 法)のフローシートである。
【符号の説明】
1 接触安定槽 2 第1脱窒槽 3 第1沈殿槽 4 硝化槽 5 第2脱窒槽 6 再曝気槽 7 第2沈殿槽

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 接触安定槽、第1脱窒槽、第1沈殿槽、
    硝化槽、第2脱窒槽、再曝気槽、第2沈殿槽の順に各処
    理槽で下水を硝化脱窒する方法であって、硝化液の一部
    を前記第1脱窒槽に循環し、かつ第2沈殿槽で生じた第
    2沈殿汚泥の一部を前記接触安定槽に返送するととも
    に、第1沈殿槽で生じた第1沈殿汚泥の一部を前記第2
    脱窒槽に供給することを特徴とする下水の硝化脱窒方
    法。
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