JP2592076B2 - 掘削機のグリッパ駆動装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、オールケーシング工法に適用される掘削バ
ゲツトなどの掘削機、その付設機器に配設されたグリツ
パの自動制御機構に特徴を有する掘削機のグリツパ駆動
装置に関するものである。

（従来の技術） オールケーシング工法に適用される掘削機について従
来例を説明すると、全旋回ボーリングマシンによってケ
ーシングチューブを地中に回転しつつ押込み推進して、
該ケーシングチューブによって孔壁の崩壊を防止し、ケ
ーシングチューブ内をハンマグラブやアースドリルバケ
ツトあるいは回転式バケツト等により掘削して排土する
構造になっており、ケーシングチューブの内部掘削装置
には、諸々の機構のものが開発され提案されているが、
いわゆる回転式掘削装置は、独自の回転駆動装置により
駆動されているのが一般的である。

また、前記ケーシングチューブの中掘方法、その中掘
装置として、例えば特開昭62−137389号公報「大口径竪
孔掘削工法およびその装置」などが提案されており、該
中掘削装置は、ケーシングチューブの内壁に取付けた突
起物に回転バケツト側の突起を係合させて、回転バケツ
トをケーシングチューブとともに駆動する構造になって
いる。

（発明が解決しようとする問題点） ケーシングチューブの内部を掘削、排土する従来の前
記掘削機において、ハンマグラブに代表される衝撃式掘
削、排土装置は、１本のワイヤロープによって操作でき
て取扱いが容易であるが、騒音や振動が大きく、水中掘
削時に能率が低下し、硬質地盤では掘削、土砂の掴持量
が減少するなどの問題点がある。

アースドリルバケツトに代表される回転式掘削、排土
装置は、下端部のカツタで回転掘削するため低騒音、低
振動で掘削されるが、独自の回転駆動装置が必要であっ
て関連機構を含めて大規模なものとなり、該回転駆動装
置をケーシングチューブ内に挿入、配置するタイプで
は、動力の供給や制御手段としてのホース、ケーブル類
の配置、取扱いが煩雑であるなどの問題点がある。

前記中掘装置は、ケーシングチューブの内壁に設けた
突起物が後工程の鉄筋籠の挿入の邪魔になり共上りの原
因になるなどの問題があって実用上の問題点がある。

（問題点の解決手段） 本発明は、前記のような問題点に対処するために開発
された掘削機のグリツパ駆動装置であって、内、外筒か
らなる伸縮機構によって掘削機を吊持するとともに、前
記内、外筒の一方側に配設した複数のグリツパの少くと
も一部を可動式グリツパとし、前記内、外筒の他方側と
前記可動式グリツパ間に連設され同内、外筒の相対的な
荷重負荷による伸縮で同可動式グリツパを開閉作動する
グリツパ制御機構を連設した構成とし、内、外筒からな
る伸縮機構による掘削機の吊持と、グリツパ制御機構に
よる内、外筒の伸縮に伴う可動式グリツパの開閉作動に
よって、ケーシングチューブに対する掘削機の着脱操作
性、作動信頼性を高めるとともに、掘削性能、作業能率
を向上させている。

（作用） 内、外筒からなる伸縮機構によって掘削機を吊持する
と、掘削側の荷重負荷によって伸縮機構が伸長しグリツ
パ制御機構を介して可動式グリツパが閉作動となり、掘
削機のケーシングチューブ内の下降配置と上昇による掘
削土砂の排出が円滑に遂行されるとともに、掘削機の土
砂への載置による伸縮機構の上部側の荷重負荷によって
同伸縮機構が短縮しグリツパ制御機構を介して可動式グ
リツパが自動的に開作動となり、該開作動によって掘削
機がケーシングチューブ内壁に係止、固定され、該掘削
機はケーシングチューブとともに回転および押込み推進
され、無騒音、無振動でしかも強力な掘削機能、掘削土
砂の掴持機能が得られ高能率で掘削、排土が遂行され
る。

（実施例） 第１図ないし第３図に本発明の第１実施例を示し、第
１図に示す（ａ）は全旋回ボーリングマシン、（ｂ）は
クローラクレーン、（ｃ）はワイヤーロープ、（ｐ）は
ケーシングチューブであって、全旋回ボーリングマシン
（ａ）によってケーシングチューブ（ｐ）を地中に回転
しつつ押込み推進するとともに、クローラクレーン
（ｂ）によってワイヤーロープ（ｃ）を介しカツタ（1
a）付き掘削機（１）をケーシングチューブ（ｐ）内に
配置して、該掘削機（１）によってケーシングチューブ
（ｐ）の内部土砂を掘削して排土するオールケーシング
工法の実施例であって、第1,2,3図に示すように内、外
筒（２）（３）からなる伸縮機構（2,3）によって掘削
機（１）を吊持するとともに、内、外筒（２）（３）の
一方側に配設した複数のグリツパ（6a）（6b）の少くと
も一部を可動式グリツパ（6b）とし、内、外筒（２）
（３）の他方側と可動式グリツパ（6b）間に連設され相
対的な荷重負荷による伸縮で可動式グリツパ（6b）を開
閉作動するグリツパ制御機構（7,…９）を設けた掘削機
のグリツプ駆動装置になっている。

前記伸縮機構（2,3）について詳述すると、第2,3図に
示すように掘削機（１）の本体上部に固着、立設された
角筒形状の外筒（３）と、該外筒（３）内に伸縮可能に
嵌装された角筒形状の内筒（２）からなり、内筒（２）
の下部フランジ部（2a）が外筒（３）の上端係止部に係
止されて抜止された構造になっていて、内筒（２）の上
部に枢着したスイベルジョイント（４）を介してワイヤ
ロープ（ｃ）で吊持される。内、外筒を上、下逆配置に
することもできる。

前記グリツパ（6a）（6b）について詳述すると、第2,
3図に示すように外筒（３）の側部にブラケツトを介し
て突出、固設された固定式グリツパ（6a）と、外筒
（３）の他側部にグリツパ制御機構（7,…９）で配設さ
れ側方へ進退されて開閉作動される可動式グリツパ（6
b）からなり、第２図に示すように可動式グリツパ（6
b）が外方へ移動された開作動になって固定式グリツパ
（6a）とともにケーシングチューブ（ｐ）の内壁に係止
し、可動式グリツパ（6b）が内方へ移動されて固定式グ
リツパ（6a）とともにケーシングチューブ（ｐ）の内壁
から離れる閉作動になり、ケーシングチューブ（ｐ）に
対して外筒（３）とともに掘削機（１）を固定あるいは
解除する。

前記グリツパ制御機構（7,…９）について詳述する
と、第2,3図に示すように内筒（２）の上部に支持部材
（5a）（5b）で配設されたウエイト（７）と、支持部材
（5b）の一側にピン枢着（8a）されたリンク（８）と、
リンク（８）の先端に中間ピン枢着（9a）で連結され外
筒（３）の他側のブラケツトにピン枢着（9b）されたリ
ンク（９）からなり、該リンク（８）と（９）からなる
１対のリンク機構（8,9）が設けられ、リンク（９）
（９）の下端部にピン枢着（9c）（9c）で可動式グリツ
パ（6b）を外方へ移動可能に支持した構造になってお
り、第２図に示すようにワイヤロープ（ｃ）によってス
イベルジョイント（４）、伸縮機構（2,3）を介して掘
削機（１）を吊持すると、掘削機（１）側の荷重負荷に
よって伸縮機構（2,3）が伸長し、１対のリンク機構
（8,9）が実線で示す伸長状態になって可動式グリツパ
（6b）がケーシングチューブ（ｐ）の内壁から後退し固
定式グリツパ（6a）も離れて距離δが確保され、ケーシ
ングチューブ（ｐ）内で掘削機（１）が昇降自在になる
とともに、掘削機（１）がケーシングチューブ（ｐ）内
の土砂上に載置されてワイヤロープ（ｃ）が弛緩される
と、内筒（２）側の荷重負荷で外筒（３）内に入り短縮
状態（距離ｌ）となり、リンク機構（8,9）が点線で示
すように屈曲して可動式グリツパ（6b）がケーシングチ
ューブ（ｐ）内壁に係止し固定式グリツパ（6a）も係止
状態になるとともに、ウエイト（７）により係止力が所
望値に増加されて、ケーシングチューブ（ｐ）内に掘削
機（１）が強力に係止、固定される。また、ワイヤロー
プ（ｃ）によって吊上げると前記係止が自動的に解除さ
れケーシングチューブ内壁に対するグリツパの前記距離
δが得られる。

本発明の第１実施例は、前記のような構成になってお
り作用について詳述すると、第１図に示すように全旋回
ボーリングマシン（ａ）の回転押込機構（a₁）によって
ケーシングチューブ（ｐ）が地中に回転しつつ押込み推
進されるとともに、クレーラクレーン（ｂ）等によって
操作されるワイヤロープ（ｃ）でスベルジョイント
（４）、伸縮機構（2,3）を介し掘削機（１）がケーシ
ングチューブ（ｐ）内に下降配置されて内部の土砂を掘
削し地上へ排土する。

ワイヤロープ（ｃ）によって掘削機（１）を吊下げる
と、第２図に示すように掘削機（１）側の荷重負荷によ
り内筒（２）に対して外筒（３）が下方へ相対的に伸長
し、グリツパ制御機構（7,…９）のリンク機構（8,9）
が図示実線のように伸長され可動式グリツパ（6b）がケ
ーシングチューブ（ｐ）の内壁から大きく離れて固定式
グリツパ（6a）とともにケーシングチューブ（ｐ）内壁
に対し距離δが確保され、掘削機（１）がケーシングチ
ューブ（ｐ）内で自由に昇降される。

前記掘削機（１）がケーシングチューブ（ｐ）内の土
砂上に載置されワイヤロープ（ｃ）が弛緩されると、内
筒（２）の荷重負荷により外筒（３）内に内筒（２）が
入って短縮し、グリツパ制御機構（7,…９）のリンク機
構（8,9）が図示点線のように屈曲して、可動式グリツ
パ（6b）が外方へ移動されてケーシングチューブ（ｐ）
内壁に係止され固定式グリツパ（6a）も係止された開作
動となり、さらにウエイト（７）の荷重も付加されて可
動式グリツパ（6b）、固定式グリツパ（6a）がケーシン
グチューブ（ｐ）内壁に強力に固定され、ケーシングチ
ューブ（ｐ）の回転力および押込み推進力が掘削機
（１）に伝達されて、該掘削機（１）はケーシングチュ
ーブ（ｐ）とともに回転および押込み推進されて、カツ
タ（1a）でケーシングチューブ（ｐ）内の土砂を掘削
し、掘削土砂が掘削機（１）本体内に収容される。水
圧、地盤硬度等に対する対抗力を有し掘削が円滑に遂行
される。掘削機（１）内に収容された掘削土砂が増加す
ると、ワイヤローブ（ｃ）が巻上げられ伸縮機構の外筒
（３）に対して内筒（２）が上方へ伸長されて、グリツ
パ制御機構のリンク機構（8,9）が図示実線のように伸
長され可動式グリツパ（6b）がケーシングチューブ
（ｐ）内壁から大きく後退して固定式グリツパ（6a）と
ともに距離δが確保された閉作動となり、ワイヤロープ
（ｃ）によってスイベルジョイント（４）、伸縮機構
（2,3）を介し掘削機（１）を上昇し掘削土砂を地上へ
排土する。掘削機（１）内の掘削土砂の排出は、カツタ
（1a）および土砂操込溝付き底板の開閉手段などで行わ
れる。

（他の実施例） 第４図に本発明の第２実施例を示し、第１実施例に比
べると内筒（２）側の支持部材（5b）と外筒（３）上部
間にスプリング（11）を張設した構成に特徴を有し、該
スプリング（11）は内、外筒（２）（３）の短縮を助長
してグリツパ作動がさらに円滑になっており、その他の
構成は第１実施例とほぼ同様になっており同様な作用効
果が得られる。

第５図に本発明の第３実施例を示しており、第１実施
例に比べると一方の可動式グリツパ（6b）を１対のリン
ク機構（8,9）によって配設するとともに、他方の可動
式グリツパ（6b）を１対のリンク機構（18,19）によっ
て配設し、両可動式グリツパ（6b）（6b）をグリツパ制
御機構のリンク機構（8,9）、（18,19）で同時に開閉作
動し、グリツパの開閉距離を増大してケーシングチュー
ブ（ｐ）に対するグリツパの係止、固定力とともに後退
距離を大きくして作動信頼性がさらに高められ、その他
の構成は基本的に第１実施例と同様になっており同様な
作用効果が得られる。

前記各実施例は、１対のグリツパを設けたものとなっ
ているが、グリツパ数は必要に応じて増加可能であり、
可動式グリツパ数の設置割合も適宜に選択可能である。

（発明の効果） 本発明は、前記のような構成になっており、内、外筒
からなる伸縮機構による掘削機の吊持時には、伸縮機構
が伸長しグリツパ制御機構によって可動式グリツパが閉
作動となり、掘削機のケーシングチューブ内における下
降配置および上昇による掘削土砂の排出が円滑に遂行さ
れるとともに、該掘削機を土砂上に載置すると、伸縮機
構が短縮しグリツパ制御機構によって可動式グリツパが
自動的に開作動となり、該掘削機はケーシングチューブ
内壁に係止、固定されて回転力および押込み推進力が伝
達され、無騒音、無振動でしかも強力な掘削性能が得ら
れて、掘削性能、作業能率が著しく向上されている。

また、ケーシングチューブの回転推進機構が掘削機と
兼用となり、機構が大幅に簡素化され作動信頼性が高め
られているとともに、コストが著しく節減されるなどの
効果を有している。

以上本発明を実施例について説明したが、勿論本発明
はこのような実施例にだけ局限されるものではなく、本
発明の精神を逸脱しない範囲内で種々の設計の改変を施
しうるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるケーシングチューブ内の掘削状態
を示す一部縦断側面図、第２図は第１実施例を示す一部
縦断側面図、第３図は斜視図、第４図は第２実施例を示
す一部縦断側面図、第５図は第３実施例を示す一部縦断
側面図である。 1:掘削機、2:内筒 3:外筒、6a,6b:グリツパ 6b:可動式グリツパ、7,8,9:グリツパ制御機構

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内、外筒からなる伸縮機構によって掘削機
   を吊持するとともに、前記内、外筒の一方側に配設した
   複数のグリッパの少なくとも一部を可動式グリッパと
   し、前記内、外筒の他方側と前記可動式グリッパ間に連
   設され同内、外筒の相対的な荷重負荷による伸縮で同可
   動式グリッパを開閉作動するグリッパ制御機構を連設し
   たことを特徴とする掘削機のグリッパ駆動装置。
2. 【請求項２】内、外筒からなる伸縮機構によって掘削機
   を吊持するとともに、前記内、外筒にわたって配設した
   複数の可動式グリッパと、前記内、外筒の相対的な荷重
   負荷による伸縮で同可動式グリッパを開閉作動するグリ
   ッパ制御機構を連設したことを特徴とする掘削機のグリ
   ッパ駆動装置。