JP2592071Y2 - 立体駐車場 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は立体駐車場に関する。

【０００２】

【従来の技術】限られた広さの駐車場用地内にできるだ
け多くの車両を駐車でき、且つ車両の入出庫が容易に行
えることを目的として種々の立体駐車場が提供されてい
る。

【０００３】このような駐車場は、できるだけ車両１台
当りの設備費が安く、しかも安全且つ構造簡易なものが
望ましい。

【０００４】しかし、従来のものは、いずれも車両入出
庫の容易性、安全性、経済性等の種々の要請を同時に満
足せしめるには不十分であった。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】本考案は前記のような
事情に鑑みてなされたもので、利用の便利性、安全性、
経済性等の種々の要請を可能な限り同時に満足せしめる
立体駐車場を提供しようとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本考案は、車両入出庫用の自走路脇に地上駐車スペ
ースが配設されてなる地表面駐車場と、この地表面駐車
場の上方に設けられた階上駐車場と、前記地表面駐車場
と前記階上駐車場との間で車両を垂直搬送する垂直搬送
装置とからなり、前記階上駐車場が、車両を水平方向に
搬送する水平搬送装置と、この水平搬送装置の水平搬送
路脇に並設された複数の階上駐車スペースと、これらの
階上駐車スペースにそれぞれ一つずつ割り当てられた駐
車パレットと、前記水平搬送装置に設けられ前記各階上
駐車スペースとの間及び前記垂直搬送装置との間で前記
各駐車パレットの受け渡しを行うパレット受渡装置とか
らなるように構成したものである。

【０００７】

【作用】本考案に係る立体駐車場は、地表面駐車場と、
その上方に設けられた階上駐車場とからなる。

【０００８】そして、地表面駐車場においては、車両入
出庫用の自走路を通って地上駐車スペース内に車両が自
走で入出庫する。このように、前記地表面駐車場への車
両の入出庫には何ら機械的作動を必要としないため、車
両が迅速かつ安全に出入りできる。

【０００９】一方、前記階上駐車場への車両の入庫は、
次のように行われる。

【００１０】まず、複数の階上駐車スペースのうち駐車
目標となるものから、水平搬送装置、垂直搬送装置を介
して地表面駐車場まで駐車パレットが送られる。そし
て、この駐車パレット上に車両が乗り込んだ後に、前記
と逆に、垂直搬送装置、水平搬送装置を介して駐車目標
である前記階上駐車スペース内へと車両が移送されて駐
車が完了する。

【００１１】前記階上駐車場からの車両の出庫は、駐車
中の階上駐車スペースから、前記水平搬送装置、前記垂
直搬送装置を介して前記地表面駐車場まで駐車パレット
が送られ、該駐車パレット上から車両が発進することに
よって行われる。

【００１２】したがって、例えば、頻繁に出入りすべき
車両は前記地表面駐車場を利用し、入出庫の頻度が低い
車両は階上駐車場を利用する等、入出庫頻度の大小に応
じて車両を区別して駐車せしめることとすれば、駐車場
利用者にとって便利である。

【００１３】また、従来から存在している平面駐車場を
そのまま前記地表面駐車場として利用し、その上に前記
階上駐車場を構築することとすれば、車両収容能力に比
して駐車場建設に要する総費用が少なくてすみ、車両一
台当りの設備費の低減を図ることができる。

【００１４】

【実施例】以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説
明する。

【００１５】図１は、本考案の一実施例に係る立体駐車
場の要部側面図である。

【００１６】本考案に係る立体駐車場は、図１に示すよ
うに、地表面駐車場１と、この地表面駐車場１の上方に
設けられた階上駐車場２と、前記地表面駐車場１と前記
階上駐車場２との間で車両Ｃ２を垂直搬送する垂直搬送
装置３とからなる。

【００１７】前記地表面駐車場１は、従来一般に実施さ
れている平面駐車場と同様に、車両入出庫用の自走路４
の脇に複数の地上駐車スペースＳ（Ｓ１〜Ｓ９）を区画
形成してなるものである。図２は、前記地表面駐車場１
の平面図であり、道路Ｒと連続するように設けられた前
記自走路４の両脇をそれぞれ５区分したものを示してい
る。そして、これらの区分により前記自走路４の両脇に
前記地上駐車スペースＳ１〜９が形成されている。ただ
し、図２において、自走路の右側の区分のうち中央のも
のは、通常は車両が駐車されることのない空きスペース
Ｅとされている。この空きスペースＥは、前記垂直搬送
装置３用のスペースとして利用されるものである。

【００１８】前記地表面駐車場１への車両Ｃ１の入庫
は、前記道路Ｒから前記自走路４を通って前記地上駐車
スペースＳ内へと車両Ｃ１が自走することによって行わ
れる。出庫も同様である。したがって、前記地表面駐車
場１へは、きわめて迅速且つ安全に車両Ｃ１が入出庫で
きる。

【００１９】前記地表面駐車場１の上方には、前記階上
駐車場２が設けられている。図面実施例では、前記地表
面駐車場１の上方に上下二段に渡って階上駐車場２，２
を設けたものが例示されているが、該階上駐車場２は一
段でも、あるいは、三段以上でもよい。

【００２０】前記各階上駐車場２は、図３に示すよう
に、車両Ｃ２を水平方向（図３の上下方向）に搬送する
水平搬送装置１０と、前記自走路４の上方に位置する水
平搬送装置１０が走行する水平搬送路１１脇に並設され
た複数の階上駐車スペースＴ（Ｔ１〜Ｔ９）と、これら
の階上駐車スペースＴにそれぞれ一つずつ割り当てられ
た駐車パレットＰ（Ｐ１〜Ｐ９）と、前記水平搬送装置
１０に設けられ前記各階上駐車スペースＴとの間及び前
記垂直搬送装置３との間で、図３で見て前後方向におい
て前記各駐車パレットＰの受け渡しを行うパレット受渡
装置１２とから構成される。

【００２１】図示例では、前記水平搬送路１１が前記地
表面駐車場１の前記自走路４に対応してその真上に位置
し、前記各階上駐車スペースＴが前記地表面駐車場１の
前記各地上駐車スペースＳに対応してそれらの真上に位
置するようにそれぞれ配置されている。前記各階上駐車
場２における前記地表面駐車場１の前記空きスペースＥ
の上方部は、同じく空きスペースＦとされ、これらの空
きスペースＥ，Ｆによって前記垂直搬送装置３の垂直搬
送路１３が形成されている。

【００２２】前記各階上駐車スペースＴ内には、駐車パ
レット用レール１４がそれぞれ一対ずつ敷設されてい
る。これらの駐車パレット用レール１４は、前記水平搬
送路１１の伸び方向と直交方向に伸び、前記各階上駐車
スペースＴ内のものがそれぞれ等間隔となるように設け
られている。そして、前記各駐車パレットＰには、前記
各一対の駐車パレット用レール１４上を転動する転動輪
１５が設けられ、前記各駐車パレットＰは、前記水平搬
送路１１の伸び方向と直交する方向に自由に移動できる
ように前記各階上駐車スペースＴ内に配置されている。

【００２３】前記水平搬送装置１０は、前記階上駐車ス
ペースＴの並び方向と同方向に伸びるように前記水平搬
送路１１内に水平に敷設された一対のレール１６と、こ
のレール１６上を走行する台車１７とから構成される。
前記台車１７には駆動用のモーター（図示せず）が搭載
されている。

【００２４】前記台車１７上には、前記パレット受渡装
置１２が設けられている。該パレット受渡装置１２は、
その詳細を図示していないが、前記水平搬送路１１を横
切るようにして前記台車１７上に張設された無端チェー
ンと、この無端チェーンに取り付けられたフックと、前
記無端チェーンを回転せしめるモーターとから構成され
る。

【００２５】また、前記台車１７上には、前記各一対の
駐車パレット用レール１４と等しい間隔の一対の台車上
レール１８が敷設されている。この台車上レール１８
は、前記各駐車パレット用レール１４の伸び方向と同方
向に伸び、且つ、前記各駐車パレット用レール１４と同
じ高さとなるように設けられている。そして、前記台車
上レール１８は、前記台車１７の水平移動によって、前
記各階上駐車スペースＴ内に設けられた前記駐車パレッ
ト用レール１４と前後位置合わせが行われて互いに一直
線状に接続するものである。

【００２６】前記各駐車パレットＰの前記水平搬送路１
１側には、前記パレット受渡装置１２を構成する前記フ
ック（図示せず）と係合する係合部（図示せず）が設け
られている。そして、前記台車１７が水平移動していず
れかの階上駐車スペースＴの側方で停止し、前記無端チ
ェーンが前記駐車パレットＰを移動させる方向に回転す
ると、前記無端チェーンに取り付けられた前記フックが
前記駐車パレットＰの前記係合部に引っ掛かる。その結
果、前記無端チェーンの回転によって、前記台車１７と
前記階上駐車スペースＴ内との間で前記駐車パレットＰ
の受け渡しが行われる。

【００２７】次に、前記垂直搬送装置３について説明す
ると、前記垂直搬送路１３内には該垂直搬送路１３内を
昇降する昇降台２０が設けられている。この昇降台２０
は、その略々四隅部に取り付けられた昇降用ワイヤ２１
を前記垂直搬送路１３の上方に配設された巻き取りドラ
ム２２で巻き取り、又は巻き解きすることによって前記
垂直搬送路１３内を昇降せしめられる。

【００２８】前記昇降台２０上には、前記台車１７上に
配設された前記一対の台車上レール１８と等しい間隔で
一対の昇降台上レール（図示せず）が設けられている。
この昇降台上レールは、前記台車上レール１８と同方向
に伸びており、前記昇降台２０の上下移動によって、前
記垂直搬送路１３の脇に停止した前記台車１７の台車上
レール１８と上下位置を合わせて接続するものである。

【００２９】そして、前記各階上駐車スペースＴ内と前
記台車１７との間における駐車パレットＰの受け渡し作
動と同様にして、前記昇降台２０と前記台車１７との間
で、前記各駐車パレットＰの受け渡しが行われる。

【００３０】前記のように構成される本実施例の立体駐
車装置は次のように利用される。

【００３１】すなわち、例えば、頻繁に入出庫が予想さ
れる車両Ｃ１は、前記地表面駐車場１に駐車され、あま
り入出庫の頻度が高くない車両Ｃ２は、前記階上駐車場
２に駐車される。前記のように、前記地表面駐車場１は
従来一般の平面駐車場と同様の構成であり、車両Ｃ１の
入出庫に際して何ら機械的作動を要しないため、車両Ｃ
１の入出庫が迅速且つ安全に行われ、頻繁に入出庫すべ
き車両Ｃ１の駐車に適している。

【００３２】一方、前記階上駐車場２への車両Ｃ２の入
庫は次のように行われる。

【００３３】まず、駐車目標となる階上駐車スペースＴ
（例えばＴ５）内から、前記台車１７、前記昇降台２０
へと前記パレット受渡装置１２の作動によって駐車パレ
ットＰ（Ｐ５）が受け渡され、前記昇降台２０が地表ま
で下降することにより、前記駐車パレットＰ（Ｐ５）が
前記地表面駐車場１の前記空きスペースＥ内へ降ろされ
る。

【００３４】次に、前記地表面駐車場１まで下りてきた
前記駐車パレットＰ（Ｐ５）上に車両Ｃ２が自走して乗
り込み、搭乗者が下りた後に前記昇降台２０が上昇して
階上駐車場２の高さで停止する。

【００３５】そして、前記パレット受渡装置１２の作動
によって前記昇降台２０から前記台車１７へと車両Ｃ２
を載せた駐車パレットＰ（Ｐ５）が移送され、前記台車
１７が駐車目標である前記階上駐車スペースＴ（Ｔ５）
の真横まで前記水平搬送路１１内を水平移動する。

【００３６】最後に、前記台車１７上から前記階上駐車
スペースＴ（Ｔ５）内へと前記パレット受渡装置１２の
作動によって車両Ｃ２を載せた駐車パレットＰ（Ｐ５）
が送られて前記階上駐車スペースＴ（Ｔ５）への駐車が
完了する。階上駐車場２からの車両Ｃ２の出庫は、前記
と逆の手順によって行われる。

【００３７】なお、常時は前記昇降台２０を前記階上駐
車場２へ上げておけば、前記地表面駐車場１の空きスペ
ースＥにも車両を駐車できる。

【００３８】

【考案の効果】本考案によれば、入出庫の頻度に応じて
車両の格納場所を選択することができるため、利用者に
とって便利であるほか、入出庫効率もよいという効果が
ある。また、従来の平面駐車場の上に階上駐車場を付設
することによって構築することもできるため、コストも
安く経済的である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に係る立体駐車場の要部側面
図である。

【図２】図１に示す立体駐車場を構成する地表面駐車場
の平面図である。

【図３】図１に示す立体駐車場を構成する階上駐車場の
平面図である。

【符号の説明】

１ 地表面駐車場 ２ 階上駐車場 ３ 垂直搬送装置 ４ 自走路 １０ 水平搬送装置 １１ 水平搬送路 １２ パレット受渡装置 Ｃ２ 車両 Ｐ 駐車パレット Ｓ 地上駐車スペース Ｔ 階上駐車スペース

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両入出庫用の自走路（４）脇に地上駐
   車スペース（Ｓ）が配設されてなる地表面駐車場（１）
   と、この地表面駐車場（１）の上方に設けられた階上駐
   車場（２）と、前記地表面駐車場（１）と前記階上駐車
   場（２）との間で車両（Ｃ２）を垂直搬送する垂直搬送
   装置（３）とからなり、 前記階上駐車場（２）が、車両（Ｃ２）を水平方向に搬
   送する水平搬送装置（１０）と、この水平搬送装置（１
   ０）の水平搬送路（１１）脇に並設された複数の階上駐
   車スペース（Ｔ）と、これらの階上駐車スペース（Ｔ）
   にそれぞれ一つずつ割り当てられた駐車パレット（Ｐ）
   と、前記水平搬送装置（１０）に設けられ前記各階上駐
   車スペース（Ｔ）との間及び前記垂直搬送装置（３）と
   の間で前記各駐車パレット（Ｐ）の受け渡しを行うパレ
   ット受渡装置（１２）とからなることを特徴とする立体
   駐車場。