JP2589998C - - Google Patents

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JP2589998C
JP2589998C JP2589998C JP 2589998 C JP2589998 C JP 2589998C JP 2589998 C JP2589998 C JP 2589998C
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vaporthrin
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、防虫シート特に衣料用防虫シートに関し、詳しくは長い有効期間を
有し、その間優れた食害阻止効果あるいは殺虫効果を有し、保存中及び使用中の
経時安定性に優れ、また被処理対象物(衣類等)の汚染を低減できる優れた衣料
用防虫シートに関する。 〔従来の技術〕 従来より、防殺虫剤をシート状基材に含浸、塗布した剤型は種々考えられてい
る。このような防虫シートでは、薬剤が蒸散することによる空間的な防虫乃至殺
虫効力と、害虫がシートに接触した際の確実な殺虫効果が必要なことは言うまで
もない。 このような目的を達成するために、常温で揮散性あるいは昇華性を有するパラ
ジクロルベルゼン、ナフタリン、樟脳、ベーパースリン、DDVPなどの30℃
で10-3mmHg以上の蒸気圧を持つ防殺虫剤を用いた防虫紙が種々発明あるいは考
案されている。しかし、これらの防虫紙は、使用初期には薬剤が蒸散することに
よる空間的な効力が得られるが、その揮散あるいは昇華が速すぎるため、比較的
早くその効力を失ってしまう。 このようなことから、防殺虫剤の揮散をコントロール(抑制)するための種 々の方策が講じられており、例えば実開昭52−27984号公報には樹脂系溶
剤と一緒に防虫剤を包装紙に付着させる方法、実開昭53−121186号公報
には薬剤を含浸させた紙の片面に非通気性合成樹脂被膜を形成させる方法、特開
昭60−105602号公報には印刷インキあるいはコーティング剤に揮散性薬
剤を含浸させシート表面に処理する方法、特開昭60−25902号公報には印
刷インキあるいはコーティング剤に揮散性薬剤を含浸させシート表面に処理し、
さらにラミネート加工する方法、特開昭60−2799号公報には印刷インキあ
るいはコーティング剤に揮散性薬剤を含浸させ、シート表面に部分的に高濃度に
処理する方法などが考案あるいは発明されている。 また、実開昭57−43275号公報、実開昭59−133466号公報には
、30℃で10-5mmHg程度の蒸気圧を持つ薬剤自体の揮散が遅いアレスリンを用
いることにより有効期間をのばし、薬剤が蒸散することによる空間的な効力と、
害虫がシートに接触した際の確実な殺虫効果を得ることを目的とした防虫紙も考
案されている。 〔発明が解決しようとする課題〕 前記実開昭52−27984号公報、特開昭60−105602号公報等に記
載のように他の媒体と共に防殺虫剤を用いる方法にあっては、樹脂系溶剤、印刷
インキ、コーティング剤を選択する際に十分な配慮が必要であり、製造時のささ
いなバラツキにより薬剤の揮散傾向が大きく影響を受けるという欠点がある。ま
た、樹脂系溶剤、印刷インキ、コーティング剤中に防殺虫剤が取り込まれて最終
的に全ての薬剤が揮散せず、いつまでもシート中に防殺虫剤が残ってしまい、用
いた防殺虫剤にロスが生じるという問題がある。 さらに、実開昭53−121186号公報、特開昭60−25902号公報、
特開昭60−2799号公報に記載されているような非通気性合成樹脂被膜の形
成、ラミネート加工、部分的な高濃度処理などの方法においては、製造が煩雑と
なってコスト高につながり、さらには薬剤の影響により被膜やラミネートが剥離
する恐れがある。 また、本発明者らの研究によると、シート上に2g/m2以上の防殺虫剤が存
在すると、被処理対象物が変形、変質、汚染を受ける可能性が高く、部分的な 高濃度処理あるいは防殺虫剤の増量による有効期間の延長といった処理はこのよ
うな問題を避けられず、さらには人体への安全性にも問題があり、実用的に優れ
た方法とは言えない。 同様に実開昭57−43275号公報、実開昭59−133466号公報に記
載されているように、蒸気圧が低く比較的に蒸散が遅いアレスリンを用いた防虫
紙においては、薬剤が蒸散することによる空間的な効力と害虫がシートに接触し
た際の確実な殺虫効果を共に得られるようにするためには、2g/m2以上のア
レスリンが必要であり、このことは前記したように汚染を発生する可能性があり
、また人体への安全性の点でも問題がある。このため、現在市販されているこれ
らの防虫紙は、その薬剤量が全て1g/m2未満であり、効力的に不足するとい
う本質的な問題を有する。 前述したように、有効期間を長くするためにシート面積当りの薬剤量を多くす
ることは、人体への安全性に問題が生じたり、被処理対象物を汚染したり変質さ
せたりする危険性がある。そこで、実開昭57−44101号公報あるいは実開
昭59−193282号公報に記載の防虫シートのような何らかのカバーを被着
することが考えられるが、このような方策もコスト高となり、製造が煩雑となる
などの問題を有している。 一方、30℃で10-5mmHg以下の蒸気圧を持つペルメトリン、ゴキラート、レ
スメトリンといった防殺虫剤を用いた防虫紙では、接触による効果だけで薬剤が
蒸散することによる空間的な効力が全く期待できないため、害虫がシートに接触
したときの殺虫効果が高いものであっても、実用的には極めて効力の低い防虫紙
となってしまう。 さらに、本発明者らの研究によると、従来の防虫紙はシートという薄い剤型の
ため、有効成分が酸化を受け易く、保存中及び使用中の薬剤の安定性に欠ける点
があることが確認されている。 以上のように、現在までに考案あるいは発明された衣料用防虫紙は、実用的に
効力、薬剤安定性、低汚染性等の面で充分に優れたものは見い出せず、言わば妥
協の産物であった。 従って、本発明の目的は、空間的な効力及びシートへの害虫の接触による殺 虫効果共に優れた防虫シートを提供することにある。 本発明の他の目的は、薬剤の揮散をコントロールするために煩雑でコスト高な
処理を必要とせず、蒸散による食害阻止効果及び接触による致死効果共に優れ、
保存中及び使用中の薬剤の経時安定性にも優れた防虫シートを提供することにあ
る。 本発明のさらに別の目的は、上記各目的と関連して、被処理対象物への汚染の
心配がない防虫シートを提供することにある。 〔課題を解決するための手段及び作用〕 本発明によれば、前記各目的を達成するために、シート状基材にその飽和吸油
量の70%未満のピレスロイド系常温揮散性防殺虫剤及びペルメトリン、ゴキラ
ート、プラレスリン、レスメトリン、フェノスリン、トラロメスリン、デカメス
リン及びサイペルメトリンからなる群から選ばれた難揮散性防殺虫剤を塗布及び
/又は含浸させてなることを特徴とする防虫シートが提供される。 上記ピレスロイド系常温揮散性防殺虫剤とは、30℃において蒸気圧が10-3
mmHgオーダー以上のものが該当し、従来公知のピレスロイド系殺虫剤のうち上記
以上の蒸気圧を持つものが含まれ、例えばベーパースリンなどである。 また、難揮散性防殺虫剤とは、30℃において蒸気圧が10-5mmHgオーダー以
下のものが該当し、ペルメトリン、ゴキラート、レスメトリン、プラレスリン、
フェノスリン、トラロメスリン、デカメスリン、サイペルメトリンである。 本発明者らの研究によると、上記2種の薬剤を衣料用防虫シートに用いると、
常温揮散性防殺虫剤のみを用いた場合あるいは難揮散性防殺虫剤のみを用いた場
合よりも各々遥かに低い濃度で高い食害阻止効果及び殺虫効果を発揮できること
が見い出された。これは、以下のような作用によるものと推認される。 常温揮散性防殺虫剤の揮散による空間的な効力を観察した場合、高い食害阻止
効果及び殺虫効果が得られない低い薬剤濃度だが、害虫が僅かに異変を感じ、通
常の状態よりもさかんに周囲を徘徊する(例えば衣類内の害虫が攪乱され、衣類
外に飛び出してきて散乱するような状態)ようになる低濃度状態がある。このよ
うな状態は薬剤の種類にもよるが、衣裳ケース底部に0.3m2の防虫紙を用い
るような標準的使用法において防虫紙中の薬剤を0.1g/m2以上にし た時に生じる。このとき、防虫シートが常温揮散性防殺虫剤のみを含有する場合
には、低い食害阻止効果及び低い殺虫効果しか示すことはできない。しかし、シ
ートに難揮散性防殺虫剤が共に含まれていると、難揮散性防殺虫剤のみが含浸、
塗布されているシートに比べて、常温揮散性防殺虫剤の上記効果により害虫がさ
かんに周囲を徘徊するようになり、害虫が防虫シートに接触する機会が高まり、
高い殺虫効力を示すようになる。このような作用機構により、常温揮散性防殺虫
剤と難揮散性防殺虫剤を組み合わせて用いると相乗的な効力増大が得られ、常温
揮散性防殺虫剤のみ、あるいは難揮散性防殺虫剤のみを含浸、塗布した防虫シー
トに比べ、比較的低濃度でも極めて高い食害阻止効果及び殺虫効果が得られる。
このような相乗効果はシートという剤型であるが故に可能で、しかも顕著であり
、大きな特徴といえる。また、常温揮散性防殺虫剤と難揮散性防殺虫剤の組合せ
のうち、ベーパースリンとペルメトリン、ベーパースリンとゴキラートの組合せ
が特に優れた効力を示すことが確認されている。 常温揮散性防殺虫剤と難揮散性防殺虫剤の配合比に関しては、半晒クラフト紙
に2g/m2のベーパースリンを塗布した場合にはベーパースリンの1/20量
のペルメトリンを塗布することにより、また0.1g/m2のベーパースリンを
塗布した場合にはベーパースリンの5倍量のペルメトリンを塗布することにより
相乗効果が現われた。故に、ベーパースリンを塗布する量により有効な配合比は
種々異なるものであり、限定される性質のものではない。 また、本発明者らの研究によると、上記組合せにより別の側面の新たな知見が
得られた。すなわち、常温揮散性防殺虫剤と難揮散性防殺虫剤を組み合わせ用い
ることにより、常温揮散性防殺虫剤の揮散が抑制されることを見い出した。この
ことは、従来技術で挙げたような揮散抑制のための処置を必要としないで長い有
効期間が得られることを意味する。常温揮散性防虫剤の揮散を抑制する程度は、
用いた常温揮散性防殺虫剤に対する難揮散性防殺虫剤の種類、配合比によって異
なる。本発明者らの行なった試験によれば、常温揮散性防殺虫剤としてベーパー
スリンを用いたときには、難揮散性防殺虫剤としてペルメトリン、ゴキラートを
用いた場合に特にベーパースリンの揮散が著しく抑制されることを見い出した。
例えば、半晒クラフト紙に2g/m2のベーパースリンを塗布し た場合には、ベーパースリンの1/20量以上を塗布することにより揮散が抑制
された。また、他の組合せにおいても上記揮散抑制の効果は確認されている。 さらに本発明者らの研究によると、前記組合せによりさらに別の側面における
新たな知見が得られた。すなわち、防虫シートの場合、シートという薄い剤型の
ため、有効成分が酸化を受け易く、保存中並びに使用中の薬剤の安定性に欠ける
点があったが、常温揮散性防殺虫剤と難揮散性防殺虫剤を組み合わせて用いるこ
とにより薬剤(特に常温揮散性防殺虫剤)の安定性が向上した。この場合におい
ても、常温揮散性防殺虫剤としてベーパースリンを用いた場合に難揮散性防殺虫
剤としてペルメトリン、ゴキラートを用いると、ベーパースリンの経時安定性が
著しく向上する傾向が観察された。 ところで、前述したように、薬剤の含浸、塗布の担体となるシート状基材は薄
いため、また、被処理対象物の汚染、変質の危険性があるため、現実的にはそれ
程多くの薬剤を含浸、塗布することはできない。例えば、半晒クラフト紙に2g
/m2以上の薬剤が存在すると、被処理対象物である衣類に汚染、変質を生じる
可能性が高い。汚染が発生する最低防殺虫剤塗布量は、用いたシート状基材の材
質に大きな影響を受け、また防殺虫剤の種類により若干の影響を受ける。 この汚染性の問題に関して、本発明者らの研究によると、前記したような側面
とは別個に他の新たな知見が得られた。すなわち、本発明者らの試験結果による
と、防殺虫剤の種類に拘らず、用いたシート状基材にその飽和吸油量の70%以
上の防殺虫剤を含浸、塗布すると汚染が発生することが確認された。従って、常
温揮散性防殺虫剤と難揮散性防殺虫剤を組み合わせ用いた防虫シートにおいて、
用いたシート状基材の飽和吸油量の70%未満を塗布することである。なお、そ
の下限は、防虫シートの設置箇所の条件、対象害虫、シート状基材のサイズ等に
応じて適宜の割合に設定でき、当然のことながら限定されるものではない。 なお、常温揮散性防殺虫剤と難揮散性防殺虫剤を組み合わせて用いる防虫シー
トにおいては、通常、用いたシート状基材の飽和吸油量の70%未満で高い効力
や有効期間が得られるため、汚染の心配は事実上ない。従って、従来必要 としていた実開昭57−44101号公報、実開昭59−193282号公報に
記載の技術は不要である。しかし、汚染防止をさらに確実なものとするために、
上記各公報に記載されているような通気性カバーを被着あるいは被覆することは
任意である。さらに、揮散をコントロールするための実開昭52−27984号
公報、実開昭53−121186号公報、特開昭60−105602号公報、特
開昭60−25902号公報、特開昭60−2799号公報に記載されているよ
うな他の技術を併用するか否かは任意であり、限定されない。 シート状基材に前記各薬剤を含浸、塗布する方法としては従来公知の各種方法
が採用でき、特定の方法に限定されるものではない。また、シート状基材として
はあらゆるものが使用でき、紙、不織布、樹脂シートなど任意でよい。 また、本発明においては、前記した防殺虫剤の他に、殺菌剤としてクロルヘキ
シジン、グルコネート、オルガノシリコン等4級アンモニウム塩、トリクロサン
、アルキルポリエチレンポリアミドカルボン酸等を配合して多目的シートとする
こともできる。さらに、防虫、殺虫、忌避性を増強、付与する目的で、他の種々
のピレスロイド系殺虫剤、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ジエチル
トルアミド、2,3,4,5−ビス(△2−ブチレン)−テトラヒドロフルフラ
ール、ジプロピルイソシンコメロネート、ジブチルサクシネート等の害虫忌避剤
、オクタクロロジプロピルエーテル(一般名S−421)、チオシアノ酢酸イソ
ボルニル(一般名IBTA)、ピペロニルブトキサイド、N−(2−エチルヘキ
シル)−1−イソプロピル−4−メチルビシクロ[2,2,2]−オクト−5−
エン−2,3−ジカルボキシイミド(一般名サイネピリン500)、N−(2−
エチルヘキシル)−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタ−5−エン−2,3−ジカ
ルボキシイミド(一般名MGK−264)等のピレスロイド用共力剤などを単独
で又は数種混合して使用することができる。さらに薬剤の安定性を増強するため
に、BHT、BHA、OBH等の酸化防止剤を添加することもできる。 〔実施例〕 以下、実施例を実験例及び試験例を示して具体的に説明する。 実験例1 表−1に示す各種薬剤をアセトンに溶かし、このアセトン溶液を表−1に示す
薬量となるように50cm×50cmの半晒クラフト紙に塗布し、各防虫シートを作
成した。 試験例1 上記実験例1で得られた各防虫シートの殺虫効果について以下のように試験し
た。 各防虫シートを衣装ケース(PP製)の底面に敷く。この上に、100cm×1
00cmの羊毛モスリン布を4つ折りにし、3枚重ねる。この衣装ケース(PP製
)内に試験開始直後、3か月後、及び6か月後の3回、イガを30匹はなす。イ
ガを放置後2週間目にイガの致死率を観察する。得られた結果を表−1に併せて
示す。 上記表−1に示す結果から明らかなように、常温揮散性防殺虫剤のみ、あるい
は難揮散性防殺虫剤のみ(No.1〜9)とくらべて、常温揮散性防殺虫剤と難
揮散性防殺虫剤の組合せ(No.11〜16)は相乗効果が観察される。この傾
向は、イガを放した時期にかかわらず同様に観察された。常温揮散性防殺虫剤と
難揮散性防殺虫剤の組合せのなかでもベーパースリンとペルメトリン及びベーパ
ースリンとゴキラートの組合せに顕著な相乗効果が観察された。特に3か月、さ
らには6か月と試験時期が後半になるにつれ、特に顕著な相乗効果が観察された
。これは、すでに述べたようにこの2つの組合せは特にベーパースリンの揮散抑
制効果が高いことに由来するものと思われる。 実験例2 表−2に示す各種薬剤を用い、表−2に示すような薬量とする以外は、実験例
1と同様の方法で防虫シートを作成した。 試験例2 上記実験例2で得られた各防虫シートについて経時安定性を試験した。すなわ
ち、各防虫シーを密封性の包材で包装し、所定期間経過後の各シート中の薬剤残
存量をガスクロマトグラフにより定量した。その結果を表−2に併せて示す。 表−2に示す結果から明らかなように、常温揮散性防殺虫剤のみ、あるいは難
揮散性防殺虫剤のみとくらべて、常温揮散性防殺虫剤と難揮散性防殺虫剤の組合
わせは経時安定性の改善が観察できた。しかし、このなかでも特に優れた経時安
定性の改善が観察できる組み合せとしてベーパースリンとペルメトリン及びベー
パースリンとゴキラートが挙げられる。 試験例3 各種シート状基材に対する各種薬剤の飽和吸油量を以下のようにして測定した
。 20cm×20cmに切った半晒クラフト紙、不織布テイジンメルフィットBT0
60E、不織布国光製紙ユニヒートFX 500、東洋ろ紙5Aに、アレスリン
、ベーパースリン、ベーパースリン:ペルメトリン=1:1の3種の防殺虫剤を
溶かしたアセトン溶液2mlを逐次高濃度にしながら塗布する。各シート状基材が
アセトン揮散後も防殺虫剤により濡れた状態になったままになったときの塗布防
殺虫剤量を飽和吸油量とした。結果を表−3に示す。 表−3に示す結果から明らかなように、飽和吸油量はシート状基材により異な
るが、防殺虫剤の種類による影響は殆どなく、シート状基材が同一であれば殆ど
一定である。 実験例3 表−4に示す各種薬剤及びシート状基材を用い、表−4に示すような薬量とす
る以外は、実験例1と同様の方法で各種防虫シートを作成した。 試験例4 上記実験例3で得られた各種防虫シートを用い、汚染試験を行った。すなわち
、各防虫シートを衣装ケース(PP製)の底面に敷き被汚染物としてポリスチレ
ンの板(厚さ1mm)をのせた。6か月後ポリスチレンの板の変形、変質を観察し
た。その結果を表−4に併せて示す。 “−”=汚染が観察されない “+”=若干汚染が観察される “++”=汚染が観察される “+++”=激しく汚染が観察される 表−4に示す結果から明らかなように、シート状基材及び防殺虫剤の種類にか
かわらず、用いたシート状基材の飽和吸油量の70%を越える防殺虫剤を塗布す
ると汚染が発生する可能性があることが観察された。ゆえに常温揮散性防殺虫剤
と難揮散性防殺虫剤を組合せた防虫紙で、用いたシート状基材の飽和吸油量の7
0%を越えない量の防殺虫剤を塗布するべきである。また、ベーパースリンとペ
ルメトリン及びベーパースリンとゴキラートの組合せは、ベーパースリンのみあ
るいはアレスリンのみに比べ、若干汚染の程度が低いことが観察された。 〔発明の効果〕 以上のように、本発明の防虫シートは、ピレスロイド系常温揮散性防殺虫剤と
ペルメトリン、ゴキラート、プラレスリン、レスメトリン、フェノスリン、トラ
ロメスリン、デカメスリン及びサイペルメトリンからなる群から選ばれた難揮散
性防殺虫剤を組み合わせたものであるため、空間的な効力及びシートへの害虫へ
の接触による殺虫効果共に優れ、これらの相乗効果により高い効力(食害阻止効
果及び致死効果)を示し、かつ、保存中及び使用中の薬剤の経時安定性にも優れ
、また常温揮散性防殺虫剤の揮散が抑制され、長い有効期間を有するという特有
の顕著な効果が得られると共に、シート状基材にその飽和吸油量の70%未満の
常温揮散性防殺虫剤及び難揮散性防殺虫剤を塗布及び/又は含浸させたものであ
るため、衣類等の被処理対象物に対する汚染性が極めて低く、実用的に極めて優
れた防虫シートが得られる。 また、ピレスロイド系の常温揮散性防殺虫剤に、ベーパースリンを用いた組合
せの場合、特に前述した各効果に優れている。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 請求項1 シート状基材にその飽和吸油量の70%未満のピレスロイド系常温
    揮散性防殺虫剤及びペルメトリン、ゴキラート、プラレスリン、レスメトリン、
    フェノスリン、トラロメスリン、デカメスリン及びサイペルメトリンからなる群
    から選ばれた難揮散性防殺虫剤を塗布及び/又は含浸させてなることを特徴とす
    る防虫シート。 請求項2 ピレスロイド系常温揮散性防殺虫剤がベーパースリンである請求項
    1記載の防虫シート。

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