JP2589476B2 - 工作機械の工具交換装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、工作機械の工具交換装置の改良に関する。
特に、加工時に、加工作業のために十分広い空間が確保
しうるようにする改良に関する。

〔従来の技術〕

複数の工具を常時マガジンに搭載しておき、その中の
任意の工具を、所望により選択使用することを許すため
に、種々の工具交換装置が開発されている。

かゝる工具交換装置の一つとして、本特許出願の出願
人は、第７図（加工時の状態を示し、工具は主軸に固着
しており、マガジンとは切離されている状態）と第８図
（工具交換時の状態を示し、工具はマガジンに固着して
おり、主軸とは結合されていない状態）とに示す構造の
工具交換装置の特許出願をなしている（特願昭第56−14
5242号）。

この従来技術に係る工具交換装置は、図示するよう
に、主軸頭４に、回動可能に支持される主軸５の先端に
結合されるベベルギヤの一片20と、主軸頭４にそって移
動し複数の工具８を支持・収容するマガジン９に設けら
れ上記のベベルギヤの一片20と噛み合うベベルギヤの他
片21とを有する。

加工完了後に工具８を交換するには、ドローバー等を
含む工具着脱手段（図示せず）を使用して主軸５から工
具８をアンクランプさせた後、マガジ９はその位置に残
して主軸頭４のみを上昇させて、使用済みの工具８を主
軸５から抜出すとともに上記のベベルギヤ20・21を噛み
合わせ、主軸５を回転してマガジン９を回転して、所望
の工具８を主軸５に対向させ、この選択された工具を、
ドローバー等を含む工具着脱手段（図示せず）を使用し
て、主軸５に挿入して取り付け、マガジン９を主軸頭４
にそって上昇させて上記のベベルギヤ20・21をアンカッ
プルとして加工状態に復帰する。

この状態においては、マガジン９の工具収容位置の一
つは主軸５の先端近傍に止まることになるが、主軸５と
は結合しておらないので、加工作業は可能である。

この工具交換装置は、工具交換用に専用のモータを使
用せず、主軸回転用モータを使用してマガジンを回転さ
せて所望の工具を選択するもので、割出し制御が容易
で、構造も簡単であり、その工業的利用価値は大きい。

〔発明が解決しようとする問題点〕

上記の工具交換装置においては、加工中、マガジンの
工具収容位置が主軸先端近傍に残留し、その左右の工具
収容位置に収容されている工具が加工領域に侵入して存
在するので、加工に使用される空間を狭ばめることにな
る欠点が避け難い。

本発明の目的は、この欠点の解消することにあり、加
工時に、作業に使用しうる空間を十分に確保しうる工作
機械の工具交換装置を提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の目的を達成するために本発明が採った手段は、 （イ）コラム１にそって移動するＺスライダ３と、 （ロ）Ｚスライダ３によって支持され、主軸５と主軸５
中に内蔵される工具着脱手段６とを内蔵する主軸頭４
と、 （ハ）コラム１によって回動可能に支持されるマガジン
支持体７と、 （ニ）マガジン支持体７によって回動可能に支持され、
工具８を支持・収容し、工具８を主軸５に取り付けると
き工具８を支持するスプリング式工具グリップ10を支持
するマガジン９と を具備する、工作機械の工具交換装置に対して、 （イ）マガジン支持体７を待機位置（加工位置）に弾性
的に保持する弾性部材71と、 （ロ）第１のカム機構11（Ｚスライダ３・主軸頭４の上
下動に応答して、弾性部材71に抗してマガジン支持体７
を回動して、スプリング式工具グリップ10を、工具交換
位置と待機位置（加工位置）との間を回動させる機能を
有し、（ｉ）第１の実施例においては、Ｚスライダ３ま
たは主軸４に取り付けられる第１のカム111aと、コラム
１に取り付けられ、第１のカム111aによって駆動されて
マガジン支持体７を駆動する第１のレバー112とよりな
り、（ii）第２・３・４の実施例においては、Ｚスライ
ダ３または主軸頭４に取り付けられる第１のカム111b、
111c、111dよりなる）と、 （ハ）第２のカム機構12（Ｚスライダ３の上昇・下降動
作に応答して、工具着脱手段６を動作させる機能を有
し、コラム１に取り付けられる第２のカム121と、この
第２のカム121によって駆動され工具着脱手段６を駆動
する第２のレバー122とよりなる）と、 （ニ）一方はマガジン９によって一体支持され、他方は
主軸５によって一体支持され、主軸頭４の上方向移動の
終点において両片が噛み合う一対の傘刃歯車20・21と を付加したものである。

〔作用〕

本発明は、（イ）後述する第１のカム機構11が動作し
ていない期間、マガジン支持体７を待機位置に弾性的に
保持する弾性部材71と、（ロ）第１のカム機構11（Ｚス
ライダ３・主軸頭４の上下動に応答して、弾性部材71に
抗してマガジン支持体７を回動して、スプリング式工具
グリップ10を、工具交換位置と待機位置（加工位置）と
の間を回動させる機能を有し、（ｉ）第１の実施例にお
いては、Ｚスライダ３または主軸頭４に取り付けられる
第１のカム111aと、コラム１に取り付けられ、第１のカ
ム111aによって駆動されてマガジン支持体７を駆動する
第１のレバー112とよりなり、（ii）第２・３・４の実
施例においては、Ｚスライダ３または主軸頭４に取り付
けられる第１のカム111b、111c、111dよりなる）と、
（ハ）第２のカム機構12（Ｚスライダ３の上昇・下降動
作に応答して、工具着脱手段６を動作させる機能を有
し、コラム１に取り付けられる第２のカム121と、この
第２のカム121によって駆動され工具着脱手段６を駆動
する第２のレバー122とよりなる）と、（ニ）一片はマ
ガジン９によって支持され、他片は主軸５によって支持
され、主軸頭４の上方向移動の終点において両片が噛み
合う１対の傘刃歯車20・21とを付加して、（ホ）Ｚスラ
イダ３を上昇・下降させるのみで、スプリング式工具グ
リップ10が工具着脱位置と待機位置との間を回動し、ス
プリング式工具グリップ10が主軸５と嵌合・離脱し、工
具着脱手段６が動作することとし、さらに、加工時に
は、加工領域に広い作業空間を確保しうることゝしたも
のである。

〔実施例〕

以下、図面を参照しつゝ、本発明の４の実施例に係る
工作機械の工具交換装置について、さらに説明する。

第１例 第１図参照 １はコラムであり、Ｚ軸２を内蔵するとともに、後述
する第１のカム機構11の第１のレバー112とマガジン支
持体７とを回動可能に支持し、マガジン支持体７を待機
位置に弾性的に保持するスプリング71aの１端を支持す
る。

３はＺライダであり、Ｚ軸２にそって上下に移動す
る。４は主軸頭であり、Ｚスライダ３によって支持さ
れ、この中に主軸５が回動可能に収容され、また、先端
にコレット（図示せず）が取り付けられるドローバー等
によりなる工具着脱手段６も同時に収容されており、工
具８を着脱しうるようにされている。

７はマガジン支持体であり、コラム１によって回動可
能に支持され、１端がコラム１に支持され他端がマガジ
ン支持体７に支持されるスプリング71aによって図にお
いて時計方向に弾性的に支持されており後述する第１の
カム機構11が動作しないかぎり待機位置に保持される。
そして、第１のカム機構11の第１のレバー112によって
駆動され、スプリング式工具グリップ10を、工具交換位
置と加工位置との間を往復させる。

また、マガジン支持体７はマガジン９とスプリング式
工具グリップ10とを常時保持する。

20・21は傘刃歯車であり、20は主軸頭４の先端に取り
付けられ、工具着脱位置において噛み合う。

スプリング式工具グリップ10は、スプリングの力をも
って工具８を挟持するものであり、これを工具８のアー
バーに押付けまたは引き離すのみにて嵌合・離脱が可能
である。

11と12とは、それぞれ、本発明の要旨に係る第１のカ
ム機構と第２のカム機構とであるが、これらについて
は、さらに、以下に述べる。

11は第１のカム機構であり、主軸頭４に取り付けられ
る第１のカム111aと、コラム１に取り付けられ、第１の
カム111aによって反時計方向に駆動されマガジン支持体
７を反時計方向に回動する第１のレバー112と、スプリ
ング71aによって図において時計方向に弾性的に引っ張
られているマガジン支持体７とよりなり、スプリング式
工具グリップ10を、工具交換位置と加工位置との間を回
転的に往復させる。

12は第２のカム機構であり、コラム１に取り付けられ
る第２のカム121と、Ｚスライダ３に回動可能に取り付
けられる第２のレバー122とよりなる。

Ｚスライダ３が上昇して第２のレバー122が第２のカ
ムと接触すると、第２のカム機構12が動作し、第２のレ
バー122は反時計方向に回転して工具着脱手段６を動作
させて工具８を主軸５から離脱させる。すなわち、第２
のレバー122は工具着脱手段６がドローバー（図示せ
ず）を下方に押し下げてコレット（図示せず）を開く等
して、工具８と主軸５との結合を断つ。

第２図参照 以下に、第２図に示すタイムチャートを参照して、工
具交換装置の動作を説明する。

第３図併参照 加工完了時には、マガジン支持体７・マガジン９・マ
ガジン・スプリング式工具グリップ10と主軸頭４との相
対位置は図示する位置にあり、工具８が存在する加工領
域にスプリング式工具グリップ10は存在しないから、十
分広い加工領域を確保しうる。この状態では、マガジン
支持体７はスプリング71aによって時計方向に引っ張ら
れて待機位置にある。また、スプリング式工具グリップ
10は工具８をグリップしていない。

第１図併参照 ここで、Ｚスライダ３を上昇すると、しらくの間は、
Ｚスライダ３と主軸頭４のみが上昇し、マガジン支持体
７は回転しない。この期間に、マガジン支持体７・マガ
ジン９・スプリング式工具グリップ10と主軸頭４との相
対位置は第１図に図示する状態に変化する。

ここで、第１のレバー112が第１のカム111aと接触す
ると、第１のカム機構11が動作し、マガジン支持体７は
スプリング71aに抗して図において反時計方向に回転し
て、スプリング式工具グリップ10を、工具交換位置にも
たらす。そこで、スプリング式工具グリップ10は工具８
のアーバーに押付けられて嵌合がなされる。

Ｚスライダ３と主軸軸４とがさらに上昇して、第２の
レバー122が第２のカム121と接触すると、第２のカム機
構12が動作して工具着脱手段６が動作して、工具８は主
軸５から離脱するが、この時点では、工具８はスプリン
グ式工具グリップ10によってグリップされているから落
下するようなことはない。

Ｚスライダ３は継続して上昇する。その結果、主軸頭
４の先端に取り付けられているベベルギヤ20とマガジン
９に取り付けられているベベルギヤ21とは噛み合う。こ
こで、Ｚスライダ３の上昇を停止する。

ここで、主軸５を回転してベベルギア20・21を介して
マガジン９が回転し、任意の工具８を主軸５に対抗する
位置にもたらす。

以上のようにして工具８を割出した後、加工状態にも
どすには、上記の逆工程をたどればよい。

Ｚスライダ３を下降させると、主軸頭４の先端に取り
付けられているベベルギヤ20とマガジン９に取り付けら
れているベベルギヤ21とはアンカップルする。

第１のカム機構11と第２のカム機構12とがおゝむね同
時に動作するが、まず、第２のカム機構12が動作し、工
具着脱手段６を移動させて、工具８を主軸５に固着す
る。次に、第１のカム機構11が動作を開始して、マガジ
ン支持体７はスプリング71aによって図において時計方
向に回転して、スプリング式工具グリップ10を工具８の
アーバーから引き離して離脱し、マガジン支持体７とス
プリング式工具グリップ10とを、待機位置にもたらす。

ここで、第１のカム機構11は動作を終了して、それ以
降は主軸頭４のみが下降を継続して加工位置にもどる。

第２例 第４図参照 本実施例においては、第１のカム111bは、図示するよ
うに、Ｚスライダ３によって、主軸頭４の上方に支持さ
れている。また、スプリング71bは図示するように、コ
ラム１とマガジン支持体７との間に設けられている。こ
のスプリング71bの機能は第１実施例の場合と同様であ
り、第１のカム機構11が動作しないかぎりマガジン支持
体７を加工位置に保つ。第１のカム機構11が動作すると
きは、第１のカム111bはスプリング71bを圧縮しながら
マガジン支持体７を図において反時計方向に回転して、
スプリング式工具グリップ10を工具交換位置に移動す
る。その他の動作は、第１の実施例と同様である。

第３例 第５図参照 第３例、第４例が、第１例、第２例と異なるところ
は、第１のカム111c、111dの動作方向が第１例、第２例
の第１のカム111a、111bの動作方向と逆であることと、
第１のカム111c、111dとマガジン支持体７との間に補助
リンク72c、72dが設けられていることである。そして、
第３例の補助リンク72cは水平方向のみに移動可能な垂
直型である。その他の動作は、第２の実施例と同様であ
る。

第４例 第６図参照 第４例が、第３例と異なるところは、補助リンク72d
が第３例の直進型と異なり回転型であることである。そ
の他の動作は、第３図の実施例と同様である。

〔発明の効果〕

以上説明せるとおり、本発明に係る工具交換装置は、
マガジン支持体が弾性部材によって待機位置に弾性的に
保持されており、第１のカム機構（Ｚスライダ・主軸頭
の上下動に応答してマガジン支持体を回動して、スプリ
ング式工具グリップを、工具交換位置と加工位置（待機
位置）との間を往復させる機能を有する）と、第２のカ
ム機構（Ｚスライダの上昇・加工動作に応答して、工具
着脱手段を動作される機能を有する）とが付加されてお
り、これらのカム機構がタイムチャートに示すように経
時的に動作して、Ｚスライダを上昇・下降させるのみ
で、スプリング式工具グリップを、工具着脱位置と待機
位置との間を回転的に移動することができ、工具着脱位
置において主軸を回転することにより工具の割出しが可
能であり、しかも、加工位置（待機位置）では、加工領
域にグリップ等がなく、広い加工空間を確保することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の第１の実施例に係る工作機械の工具
交換装置の構成図である。 第２図は、本発明の第１の実施例に係る工作機械の工具
交換装置の動作を示すタイムチャートである。 第３図は、本発明の第１の実施例に係る工作機械の工具
交換装置の加工完了時のマガジン支持体・マガジン・ス
プリング式工具グリップと主軸頭との相対位置（待機位
置）を示す図である。 第４図は、本発明の第２の実施例に係る工作機械の工具
交換装置の構成図である。 第５図は、本発明の第３の実施例に係る工作機械の工具
交換装置の構成図である。 第６図は、本発明の第４の実施例に係る工作機械の工具
交換装置の構成図である。 第７図は、従来技術に係る工具交換装置の加工時の状態
（工具は主軸に固着しており、マガジンとは切離されて
いる状態）を示す構成図である。 第８図は、従来技術に係る工具交換装置の工具交換時の
状態（工具はマガジンに固着し、主軸とは結合していな
い状態）を示す構成図である。 １……コラム、 ３……Ｚスライダ、 ４……主軸頭、 ５……主軸、 ６……工具着脱手段、 ７……マガジン支持体、 71、71a、71b、71c、71d……弾性部材、 72c、72d……補助リンク、 ８……工具、 ９……マガジン、 10……スプリング式工具グリップ、 11……第１のカム機構、 111、111a、111b、111c、111d……第１のカム、 112……第１のレバー、 12……第２のカム機構、 121……第２のカム、 122……第２のレバー、 20・21……歯車。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 秋山 喜久 日野市旭が丘３丁目５番地１ ファナッ ク株式会社商品開発研究所内 (72)発明者 鎌田 寛 日野市旭が丘３丁目５番地１ ファナッ ク株式会社商品開発研究所内 (72)発明者 永冨 隆志 日野市旭が丘３丁目５番地１ ファナッ ク株式会社商品開発研究所内 (56)参考文献 特開 昭62−259737（ＪＰ，Ａ) 特開 昭54−53373（ＪＰ，Ａ) 特開 昭56−3161（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】コラム（１）にそって移動するＺスライダ
   （３）と、該Ｚスライダ（３）によって支持され、主軸
   （５）と該主軸（５）中に内蔵される工具着脱手段
   （６）とを内蔵する主軸頭（４）と、前記コラム（１）
   によって回動可能に支持されるマガジン支持体（７）
   と、該マガジン支持体（７）によって回動可能に支持さ
   れ、スプリング式工具グリップ（10）を介して工具
   （８）を支持するマガジン（９）とを具備してなる、工
   作機械の工具交換装置において、 前記マガジン支持体（７）を待機位置に弾性的に保持す
   る弾性部材（71）と、 前記主軸頭（４）の上下動に応答して、前記弾性部材
   （71）に抗して前記マガジン支持体（７）を回動して、
   前記スプリング式工具グリップ（10）を、工具交換位置
   と待機位置との間を回動させる第１のカム機構（11）
   と、 前記Ｚスライダ（３）の上下動に応答して前記工具着脱
   手段（６）を開閉（アンクランプ・クランプ）する第２
   のカム機構（12）と、 一方は前記マガジン（９）によって一体支持され、他方
   は前記主軸（５）によって一体支持され、前機種軸頭
   （４）の上方向移動の終点において両片が噛み合う１対
   の傘刃歯車（20・21）と を有し、 前記Ｚスライダを上昇・下降するのみで、前記スプリン
   グ式工具グリップ（10）が工具交換位置と待機位置との
   間を回動して、前記スプリング式工具グリップ（10）が
   前記主軸（５）と嵌合・離脱し、前記工具着脱手段
   （６）が動作し、加工時には、加工領域に広い作業空間
   を確保しうる ことを特徴とする、工作機械の工具交換装置。