JPH0460775B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は、工作機械本体の工具を自動的に交換
するための装置に関する。

従来技術 この種の自動工具交換装置は、一般に工作機械
本体側のスピンドルと工具マガジンとの間で工具
交換アームを備えており、この交換アームの回転
運動により工作機械本体側の工具と工具マガジン
との間の工具とを自動的に交換する。これらの従
来の装置では、工具交換アームを駆動するための
駆動装置のほか、マガジンを工具取り出し位置ま
で割出回転させるための駆動装置とが別々設けら
れているため、駆動装置の設置数が多くなり、小
型化が困難であり、またそれらの同期制御が複雑
であつた。

発明の目的 したがつて、本明の目的は、数値制御可能な工
作機械本体の運動を利用して、工具の交換動作を
行わせ、またその工作機械本体の運動を工具マガ
ジンの駆動源としても利用し、これにより工具交
換アームおよび工具マガジンの駆動装置を省略
し、その構造を簡略化することである。

発明の概要 そこで、本発明は、数値制御可能な工作機械本
体のスピンドルと同じ方向を軸として、工具マガ
ジン本体を回転自在に設け、スピンドルを工具マ
ガジンの所定の位置まで直接移動させることによ
り、工具交換を行うとともに、工作機械本体の運
動を利用して、工具マガジンを所定の量だけ割出
し回転させるようにしている。

発明の構成 以下、本発明の一実施例を図面に基づいて具体
的に説明する。

本発明の自動工具交換装置１は、数値制御可能
な工作機械本体２の存在を前提としている。この
工作機械本体２は、ベツト３の上面で、Ｘ軸方向
に移動可能な移動ベース４、この移動ベース４の
上でＺ軸方向に移動可能な移動コラム５およびこ
の移動コラム５の前面でＹ軸方向に移動可能なヘ
ツド６を備えている。そして、これらはそれぞれ
の送りモータ７，８，９によつてＸ軸方向、Ｚ軸
方向およびＹ軸方向に数値制御装置により移動制
御される。上記ヘツド６は、Ｚ軸方向のスピンド
ル１０を備えており、駆動モータ１１により、ス
ピンドル１０に把持された工具ホルダー１２の工
具１２ａに切削のための回転運動を与える。

一方、上記自動工具交換装置１は、回転自在に
支持された工具マガジン本体１３を備えている。
この工具マガジン本体１３は、前記ベツト３の上
に取付けられたサポート１４およびフレーム１５
によつて支持されている。すなわち工具マガジン
本体１３の回転軸１６は、上記スピンドル１０と
平行な状態で、フレーム１５の軸受１７に対し回
転自在に支持されている。そしてこの工具マガジ
ン本体１３は、全体として正三角形の形状をして
おり、その各辺の部分で複数組みの工具保持爪手
段として、工具保持爪１８，１９を複数対保持し
ている。一対の一方の工具保持爪１８は、工具マ
ガジン本体１３に対し固定されているが、他方の
工具保持爪１９は、ピン２０によつて回動自在に
支持され、かつ圧縮スプリング２１によつて閉じ
る方向に付勢されている。なお、この工具保持爪
１８，１９の間に工具回り止め用のストツパ２２
が設けられている。

そして、本発明の自動工具交換装置１は、最も
特徴的な構成事項として、上記工作機械本体２の
工具交換時の移動を上記工具マガジン本体１３に
回転運動として伝達する回転伝達機構２３を備え
ている。すなわち上記工作機械本体２は、その可
動部分例えば移動コラム５の部分で工作機械本体
２の移動を上記回転伝達機構２３に与えるための
係合片２４，２５を備えている。

一方、上記回転伝達機構２３は、それらの係合
片２４，２５に掛かり合うフツク２６，２７を備
えている。すなわちこれらのフツク２６，２７
は、フレーム１５に対し、互いに直交する状態で
各軸線方向に摺動自在に支持されており、かつ先
端に形成された係合溝２８，２９により、上記係
合片２４，２５とそれぞれ掛かり合えるようにな
つている。なお、これらのフツク２６，２７は、
それぞれ軸線方向に形成された溝３２，３３、お
よび回り止めピン３０，３１によつて回り止め状
態となつている。

そして、上記のフツク２６に刻設されたラツク
２６ａは、中間軸３６に一方向の回転のみ伝達す
る一方向クラツチ３７を介して取付けられた歯車
３８にかみ合つている。またフツク２７のラツク
２７ａは、中間軸３９に取付けられた歯車４０お
よびこの中間軸３９に取付けられたウオーム４１
によつて中間軸３６の一方向クラツチ４２に取付
けられたウオームホイール４３にかみ合つてい
る。上記の一方向クラツチ３７，４２は、共に中
間軸３６に取付けられているが、互いに異なる方
向の回転のみを中間軸３６に伝達する。なお、こ
の中間軸３６は、フレーム１５の内部で端部の軸
受部４４によつて回転自在に支持されている。

そしてこの中間軸３６の回転は、先端のゼネバ
クランク４５によつてゼネバ歯車４６に間欠回転
運動として伝達される。このゼネバ歯車４６は、
フレーム１５に対し支軸４７によつて支えられて
おり、外周の歯車４８により回転軸１６に回転さ
れた歯車４９とかみ合つている。なお、この回転
軸１６の割出し位置は、後端に設けられたリミツ
トスイツチ５０によつて検出できるようになつて
いる。

発明の作用 次に、上記自動工具交換装置１の作用を説明す
る。

工作機械本体２は、数値制御装置により位置決
めされ、スピンドル１０の駆動モータ１１により
その先端の工具ホルダー１２に回転を与え、その
工具１２ａによりワークに対し必要な切削加工を
施す。このような切削加工が完了した時点で、工
作機械本体２は、スピンドル１０を加工の基準位
置である原位置に復帰させ、次の動作を待機する
ことになる。

一方、工具交換時には数値制御装置からの指令
によつて、移動ベース４が工具マガジン本体１３
の方向に移動して接近し、スピンドル１０の先端
に取り付けられた用済の工具ホルダー１２の所定
の工具保持爪１８，１９の間に挿入格納し、その
後、スピンドル１０の内部のクランプ装置（図示
せず）を開放することにより、その工具ホルダー
１２をアンクランプの状態としてから、移動コラ
ム５がＺ軸方向に後退し、スピンドル１０から工
具ホルダー１２を引き抜き工具保持爪１８，１９
に工具ホルダー１２を把持させる。

つぎに、新たなスピンドル１０に装着されるべ
き工具ホルダー１２がスピンドル１０と直接対応
する同じ位置にあるときには、工具マガジン本体
１３に付いて割出し運動が必要とされない。そこ
で、ヘツド６は、数値制御装置の指令を受けて、
Ｙ軸方向に移動し、スピンドル１０を装着すべき
工具ホルダー１２の位置まで後方から移動近し、
続いて移動コラム５がＺ軸方向に前進することに
よつて、工具ホルダー１２をスピンドル１０に装
着する。この状態で、スピンドル１０の内部のク
ランプ装置によりツールクランプが行われると、
工具ホルダー１２は、スピンドル１０に取付けら
れる。このようにしてから、工作機械本体２は、
Ｘ軸方向で移動ベース４が工具マガジン本体１３
から離れる方向に移動して工具マガジン本体１３
から工具ホルダー１２を引抜くとともに、原位置
に復帰し、新たな工具１２ａによる次の切削加工
に備えることになる。

ところで、新たに装着されるべき工具ホルダー
１２がスピンドル１０の取り出し位置と対応して
いない場合には、工具マガジン本体１３について
正転または逆転方向の割出し運動が必要となる。

そこで、本発明では、スピンドル１０の用済の
工具ホルダー１２が工具マガジン本体１３の所定
の位置に納められた後、工作機械本体２の移動に
よつて、工具マガジン本体１３に割出し運動が与
えられる。例えば、工具マガジン本体１３を正転
方向に回転させるときには、移動コラム５の工具
マガジン本体１３への接近とヘツド６の下降とに
より、ヘツド６に固定された係合片２４をフツク
２６の係合溝２８に掛かり合わせる。移動ベース
４のＸ軸方向の所定量の右移動により、それと一
体となつて、係合片２４もＸ軸方向に移動させ
る。このようにするとフツク２６の移動により歯
車３８が回転し、その回転が一方向クラツチ３７
を介し、中間軸３６に伝達され、さらにゼネバク
ランク４５、ゼネバ歯車４６、歯車４８，４９に
より回転軸１６、すなわち工具マガジン本体１３
に正転方向の120度の回転量として与えられる。

これとは逆に、工具マガジン本体１３について
逆転方向の回転が必要な場合には、移動コラム５
の工具マガジン本体１３への接近とヘツド６の上
昇とにより、ヘツド６に固定された係合片２５が
フツク２７の係合溝２９に掛かり合わせる。工作
機械本体２は、移動コラム５のＺ軸方向の所定量
の後退により、それと一体となつたフツク２７も
Ｚ軸方向に移動を与える。このとき、このフツク
２７の直線運動により歯車４０が回転され、中間
軸３９、ウオーム４１および一方向クラツチ４２
を介し中間軸３６に伝達され、前記と同様にゼネ
バクランク４５、ゼネバ歯車４６および歯車４
８，４９を経て回転軸１６すなわち工具マガジン
本体１３に120度の逆方向の回転として与えられ
る。

本実施例では、工具マガジン本体１３がほぼ三
角形の形状をしており、各辺の部分で複数の工具
ホルダー１２を保持しているから、工具選択時
に、いずれかの方向に120度つまり１ステツプ回
転させるのみで、必要な工具ホルダー１２の選択
が速やかに可能となる。

工具マガジン本体１３の正転または逆転運動の
後に、工作機械本体２はフツク２６またはフツク
２７を元の位置に復帰させる。この復帰時の歯車
３８、ウオームホイール４３の回転は、一方向ク
ラツチ３７，４２によつて、中間軸３６に伝達さ
れない。新たな工具１２ａの選択は、常に工具マ
ガジン本体１３をいずれかの方向に120度つまり
１ステツプだけ回転させれば足り、２ステツプ以
上回転させなくてもよいことになる。

発明の変形例 上記実施例は回転伝達機構２３の内部に一方向
クラツチ３７，４２を介在させることにより、工
具マガジン本体１３をいずれの方向にも駆動でき
るようにしているが、この工具マガジン本体１３
は、いずれかの方向にのみ回転できるようにして
もよく、したがつて一方のフツクや一方向クラツ
チを省略してもよい。また回転伝達機構２３は、
上記実施例のように、歯車機構およびゼネバ歯車
機構を用いないで、他の間欠回転機構や直線回転
変換機構を用いて構成することもできる。

発明の効果 本発明では、工具マガジン本体が工具交換時の
必要なときに工作機械本体の運動によつて回転す
るから、その工具マガジン本体の駆動のための専
用の駆動源が必要とされず、全体の構成が簡略化
でき、また従来のこの種の装置に必要とされた工
具交換アームが省略できるから、工具交換アーム
の回転運動に必要なスペースがなくてもよく、そ
れだけ工具交換装置が小型化できる。

特に、数値制御技術により三次元方向に運動制
御可能な工作機械本体と、工作機械本体のスピン
ドルと同じ方向の支軸により回転自在に支持され
た工具マガジン本体とが機械的に独立している
が、工具交換時に運動制御可能な工作機械本体が
工具マガジン本体の回転伝達機構に連結して、そ
の動きによつて工具マガジン本体に必要な割り出
し回転運動を与えるため、工作機械本体側の数値
制御によつて、工作機械本体の係合片とマガジン
本体の回転伝達機構のフツクと係り合い、両者が
有機的に結合し、必要な工具マガジン本体の割り
出し回転機能が得られること、またこのような割
り出しの後に、係合片とフツクとの係り合いが解
除されて、工作機械本体と回転伝達機構とが機械
的に分離するため、スピンドルの工具による加工
時に工具マガジン本体やその回転伝達機構が機械
的に完全に分離して、切削加工の負荷とならない
こと、さらに、工具マガジン本体での工具の収納
方向がスピンドルの軸線方向と一致しているた
め、スピンドルの位置制御によつて、マガジン本
体に保持された工具の中心とスピンドルの中心線
とが数値制御によつて一致する状態となり、工具
の着脱が運動制御可能な工作機械本体の数値制御
によつて達成できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は工作機械本体および本発明の自動工具
交換装置の正面図、第２図は同装置の側面図、第
３図はマガジン本体の正面図、第４図は回転伝達
機構の側面から見た一部の断面図、第５図は回転
伝達機構の正面から見た断面図である。 １…自動工具交換装置、２…工作機械本体、１
０…スピンドル、１２…工具ホルダー、１３…工
具マガジン本体、１８，１９…工具保持爪、２３
…回転伝達機構、２４，２５…係合片、２６，２
７…フツク、３７，４２…一方向クラツチ、４５
…ゼネバクランク、４６…ゼネバ歯車。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 数値制御により三次元方向の運動制御可能な
   工作機械本体と、この工作機械本体と同一のベツ
   ド上の定位置に設けられたフレームに対し上記工
   作機械本体のスピンドルと同じ方向の支軸により
   回転自在に支持され外周に複数の工具保持手段を
   有する工具マガジン本体と、上記工作機械本体の
   数値制御による運動を上記マガジン本体に所定量
   の回転運動として伝達する回転伝達機構とを具備
   し、 上記回転伝達機構を、上記工作機械本体の可動
   部分に設けられた係合片と、上記フレームに設け
   られ上記係合片に掛かり合う位置に設けられたフ
   ツクと、このフツクの直線運動を回転運動に変換
   する歯車と、この歯車の回転を上記マガジン本体
   に間欠的な回転運動として伝達するゼネバ歯車と
   により構成することを特徴とする自動工具交換装
   置。 ２ 上記歯車とゼネバ歯車との回転伝達路中に伝
   達回転の方向を異にして一方向クラツチを介在さ
   せ、それぞれの一方向クラツチ毎に上記の係合
   片、フツク、歯車およびゼネバ歯車を設けてなる
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の自
   動工具交換装置。